desk of dusk

It's not dawn.

アマガミの聖地巡礼で銚子に行った③


9/21 3日目

 

 きちんと朝起きる。いつもでは考えられないくらい、ちゃんと朝起きている。銚子に来てから、調子いいんですよ(銚子だけになーっ!ありがとうございました)。

 起きて朝ごはん食べてホテルをCheck my soul、いいえ、Checkoutです。

ホテルに車をおいて少し歩く。本当にすぐなんです。
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あー、これこれ、これです、完全にアマガミになってしまいます。

ちょくちょく見かけて気になっていた、駅付近のポールに埋め込まれていた国旗風の模様の意味。実はここに書かれていました。
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チーバくんだ。自転車にも乗れるのか……。
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 車に乗り込み、少し昨日より天気がいいかと思ってまた次回予告の場所に。

犯人とオタクは現場に戻ると、世間ではそう言われています。

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天気、悪かったね……。

 

少し下って市立銚子高校前へ。
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これは、完全に、入学した。大学を4年で出ることが出来なかった男が、再び高校に入学してしまいます。

 

ぐるりと回って銚子マリーナ及び屏風ヶ浦へ。銚子マリーナでは七咲膝枕の場所を拝みに行ったら、家族連れが先にいらっしゃったので心の中で拝んでおわり。七咲と橘くんが家庭を築いて銚子マリーナに子供を連れてくるのかなと考えて、少し、泣く。

屏風ヶ浦は聖地というわけではないのですが、地層のあんなところ💓やこんなところ❤が丸見え♥の大地が積み重ねてきた時間の壮大なスケールを感じることができます。

余談ですが、米津玄師氏のミュージックビデオで屏風ヶ浦を使ったりもしたそうですね。それを見に来た人もいるのでしょう。

少し早いお昼にしようとC's marina Kitchen & cafeさんに。ここにもノートが。今日はランチはお弁当形式しかなく、灯台コーラを頼んでお弁当を待つ間に断りを入れてノートに一筆。


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灰干し鯖ランチをチョイス。帰る途中で食べましたが、ヘルシーな感じで美味しかったです。
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帰りもアマガミのアルバムを爆音で流しながら安全に高速移動。全行程800kmプラスαの旅程を終えました。
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非常に楽しかったです。

ただ、駆け足で回った上に、川口神社は修繕中で入れず、ほかもう少し細かな聖地、家族連れでじっくり見られなかった聖地等ありますのでまた来たいです。温泉もあるようですしね。画角にもう少し頓着して写真も取りたいし。銚子電鉄さんももっと使って回りたかった。だいたいの土地勘がわかってきたので次はじっくり乗りたいです。

 

番外編 お土産リスト

天然醸造の醤油が2本、魚の干物セット、海苔・あおさ、鯖缶セット、醤油サイダー、ぬれ煎餅、地ビール3本等。

 

以下、参考にさせてただいたブログ等

アマガミ聖地巡礼 - TB絢宮のブログ https://tb-ayamiya.hatenablog.com/entry/2018/10/24/213831

 

アマガミSS聖地巡礼マップを作製したよ - 想景の地(旧:とある日常の暴走日記) https://fujisyuu01.hatenablog.jp/entry/2020/04/26/075313

 

ツイッターでお世話になりました

オッサンズ11銚子 @Ossans11C 様

昨年末にDMで色々と教えて頂いてその後思うように銚子行きが出来なかったのですが、その時教えて頂いた記録が残っていたので助かりました。

 

輝日東アマガミファンクラブ 

@Kibito_Choshi 様

ノート、マップ寄贈等お疲れ様です。とても楽しく巡礼することができました。

 

だにえり @danie_lism 様

美しいノートを見て思わず礼拝。

 

参考にさせてもらってばっかりで、さっぱり参考にしてもらえそうなブログになっていないのがちょっと恥ずかしいくらいです。

アマガミの聖地巡礼で銚子に行った②


9/20 2日目

 ホテルの部屋で昨夜コンビニで買ったお酒を飲んでアマガミをプレイして脳みそから順番に床に溶け出していましたが、なんとか常識的な時間に起きて無事に復帰。

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今日は回るぞ、と気分一新して車に乗り込みます。まずは市立銚子高校、と思ったのですが時間帯によるものか交通量が多いのと道が狭く、ちょっと後で考えようとなったので次回予告の場所へ向かいます。市立銚子高校に向けて坂を登るのですが、さらに登っていくと台地が開けて畑と風力発電が見えてきます。おお、海の街だと思っていたのに、こんなに畑が……!

そして…
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ハチャメチャにどんよりしていて、暗雲立ち込める不穏な次回予告になってしまいました。雨が降っていないだけ、よしとしましょう……。でも、たしかにここは、次回予告の場所だ。

 切り返してまた銚子高校の前を通って今度は清川町第一公園へ。公園の隣がテニスコートだからか、公園の脇に路駐がたくさん。私も申し訳ないと思いつつ、邪魔にならないところに。

見える、私には見えるぞ……

犬を操る森島先輩が……!
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アッ…ブランコに七咲が……
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ウッ…お尻が抜けなくなる梨穂子が…


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木にもたれかかる紗江ちゃんと、エンディングテーマ「告白」が脳に直接語りかけてくる……


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この時点で、私は脳に深刻なダメージを負ってしまいました。膝から崩れ落ちたところ、子供連れのご家族様と目があってしまいました。なるべく、人がいなくなったところを見計らって写真を撮っていましたが、いつの間にか遊びに来ていたようです。大変に、申し訳ないと改めて反省しています。

 

お昼はトトス!と思ったのですが、昨日の飲酒とそれによる朝ごはんの遅延により、まだお昼ごはんには程遠いコンディションでした。しばらく悩んだのですが、移動してお腹を減らします。

また、いろいろな人が、見える……
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一度海の方へ方向転換し、地球の丸く見える丘展望館へ。ここでポートタワーにも入れる共通券(700円)を購入しておくとはかどります。

 地球の丸く見える丘展望館、ただの展望台と侮るなかれ。写真にどう残すか迷いまして、心の中に留めておいたのですが、絶景です。一番上まで登って周りを見渡すと、かなり広範囲の水平線が見えます。体感的に6,7割くらい水平線なんじゃないのかなってくらいです。シータとか全天球カメラみたいなやつ持ってる人は楽しいかも。ここは、アマガミ興味ない人にもおすすめです。例えば登山とかしててもあまり見られる光景じゃないと思います。

して、早速交流ノート。目立つ!

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先人たちの歩みを読んで一筆。

登ったり下ったりしたらお腹が空いて、すぐ近くにもあるじゃないですか、ノート。 

中華料理店の歩夢蘭(ほーむらん)さんでお昼。聖地ではないんですが、ノートを置いてくださっており、なおかつ、うまい。ニラもやしらーめんと、レバニラ炒め(なぜか似たようなものを選んでしまう)をチョイス。断りを入れてからノートを見せてもらう。ここでもフォロワー、フォローはしていなかったけど見たことあるツイッターの人、おお、先人たちよ……。


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とてもお腹いっぱいになりました。どのメニューも美味しそう。

鉄鍋で強火にてジュワッと炒めたであろうシャキシャキ野菜と香ばしい油の香り、これはたまらない。スープも、ラーメン屋さんの中華そばとはまた違う、これは中華料理店のラーメンだ(孤独のグルメの顔)。

完全に井之頭五色になってしまいつつ、完食。美味しいだけあって混み始めました。仕事終わりのような方、家族連れでお座敷で食べる方、電話で予約が入ったり。鉄鍋の音が響いており活気のある素敵なお店でした。

 

小雨がパラつき始めたものの歩みを止めるわけには行かず、海辺に回って君ヶ浜しおさい公園へ。浜辺を移動して、七咲の変身シーンの場所へ。家族連れの方々が海で遊んだのかサンダルを洗ったりしていたので、心の中で建物を拝む。更に少し移動すると、見覚えがある場所。見える、僕には見えている……

寄り添い歩く二人の姿が……

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遠くに見える灯台の風景などもアニメでみた通りでした。うわあいいね。

 雨が強くなってきたので車に戻り、灯台を先に見たかったのですが、遠目に見てわかるくらいに犬吠埼灯台の上に人がワラワラと登っていて、足元の犬吠テラステラスも満車で車がごった返す。これはあとにすべきとポートタワー及びウオッセ21に。

 これが後からすれば適切な判断でした。何故ならば、私がたくさんお土産を買ったウオッセの営業時間が四時までだったから。

ポートタワーを見上げる。


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アニメで見たやつだ……!

登っての眺望はまた地球の丸く見える丘展望館とは違って、より銚子の海を間近で見られます。


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……お一人様にはしみるね、ちょっと。

見終わったら一階に戻るとレジカウンター付近にノートが。


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場所が場所だけにか、たくさんの人が書き込んでいる。

一筆。

 そして連絡通路から水産物がたくさんあるウオッセ21へ。このへんの時間で風雨が吹き付けており、連絡通路があって本当に良かった。

 後で出しますが、ここで干物やら、海苔やらいろいろ買って帰ります。営業時間の終わりが近いからか、多少まとめて買ったら少し気を利かせてくれました。ありがてえ。銚子のホテルのフロントに言えば冷凍庫に入れてくれるよと後押しがあり干物セットを購入。鯖の開きの他に金目鯛の開きだ……!

 たくさん買ってホクホクになりながら、折返して犬吠埼灯台へ。駐車場が激混み、取り回しがいい車で良かった。車を入れて先に複合商業施設の犬吠テラステラスへ。入ってすぐのクラフトビール屋さんで、残念ながらドライバー(というかひとり)なのでビールは飲めず、灯台コーラなるものがあったのでそちらを。色が上下で分かれてて映え〜なカクテルっぽくていいね、味も少しガラナ系で好きな感じ。


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樽のテーブルで飲んだあとに断りを入れてノートを。
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一筆。こちらもたくさんの方々が。後ろの方でアマガミの話してる人もいたし、もしかして見知らぬ同志たちがたくさんいたのかもしれない。

隣接する犬吠埼灯台へ。入館料を払って入る。え、安くない?大丈夫?みたいな入館料だった。500円くらいとっても入ると思う。
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灯台、想像より大きく、資料館も充実。通信について少し詳しくなったかもしれない。たぶん。

中には一等レンズという灯台に使われている巨大なレンズが展示されており、テレビで見たことある天文台のアレ(伝われ)みたいだった。その他、建物に使われる材質にまつわる話など、楽しめた。灯台にも登れるが、階段が大変に狭く、すれ違いが難しい上に99段の階段がお腹が出ているアラサーの膝に容赦なく襲いかかる。

登り切ると今日一番ヒュンってなる光景。ポートタワーより海っぺりにあるんだから、それはそう。荒々しい海がすぐ足元に。
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……ちょっと怖かった。

昔の灯台を守っていた人たちはここに詰めていたんだなあとしみじみ思いを馳せていました。

 

雨も降り、5時を過ぎたこともあって宿に戻ります。

フロントに干物を預けて冷凍庫に入れてもらい、あづま寿司さんへ。

銚子大橋の袂にあり、おまかせ寿司と伊達巻きをお願いしました。写真を撮ってもいいですか、と聞くと飾り付けが終わってから大将が持ってて下さいました。
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寿司はもちろん美味しく、伊達巻きも卵焼きの延長線くらいの気持ちで食べたら全く違うもので、まさにプリン、甘く美味しく、満足でした。

寿司、日本酒、整わないわけがなく。

追加でお刺身を。金目鯛は煮付けのイメージが強かったので、お刺身と炙りで出してもらい、歯ごたえもさることながら風味がよくて満足です。


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若大将からいろいろと銚子の話、アマガミストが来たときの話、伊達巻きの話を教えてもらいました。


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一筆。

アクリルスタンドもあっていいですね。
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十分に堪能したあとにホテルへ帰着、2日目はきちんとベッドに寝ました。

 

2日目 おわり

アマガミの聖地巡礼で銚子に行った①

 前から行きたかったんですよね、銚子。それはともかく、コロナ禍での抑圧的な生活(でも仕事はいつもどおり、もしくはそれ以上ある)、耐えかねた仕事へのストレスとGotoキャンペーン、普段アイコンに使ってめちゃくちゃやってて申し訳ねえという気持ちとそのお礼参りみたいな感覚もあって銚子に行くことにしたんです。

 最近ありがたいことに特にツイッターアマガミ有識者や気合入ったファンをよく見かけて、さらには銚子の方もアマガミというコンテンツに向き合ってくれていろいろと発信してくれているので、なおのこと、よし行こうという気持ちになったのであります。

 本当は、電車で行って銚子電鉄にお世話になるべきなんだろうけど、諸般の事情とモータリゼーション著しい東北の地で育ってしまったゆえの云々で車で行きました。思っていたより快適で、去年買った自分の車がまた好きになりました。

 9/19の11時頃にガソリン入れて願掛けに車を洗って高速に乗りました。途中からの慣れない3車線高速道路やJCTなど田舎者を丸出しにしながら楽しいドライブ。この日は日中ほぼ運転だけです。銚子プラザホテルさんに2連泊で宿を取りました。駅からほど近く、佇まいは駅前ホテルという感じですが、部屋はクリーンで洗面所やシャワールームも部屋から出てすぐ隣で、リフォームされたのか綺麗でした。廊下もちょっと和テイストで面白かった。

 さて、初日の夕飯は銚子プラザホテルに入っている廣半さんの銚子御膳。鯖寿司が好きなので、これはツイッターの方の話を見ていてアマガミとは別に食べたいと思っていました。
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鯖寿司の他につみれ汁、鰯の天ぷらを含む盛り合わせ、サラダ、茶碗蒸しがついて2600円。美味しゅうございました。しょうゆなしでも美味しいけど、しょうゆつけてちょうどいいですね。

他のお店で二軒目をやろうと思ったのですが、コロナ禍のせいかラストオーダーが早かったり、Gotoのせいか混んでいました。おのれコロナ。

初日、おわり。

 

 

「紙魚はまだ死なない」を読んだ

 「紙魚はまだ死なない」とはリフロー型電子書籍化不可能小説合同誌。本書のまえがきにもあるように、電子書籍はリフロー型と固定型のレイアウトがあるのだそう。固定型はそのまま、リフロー型は端末や環境に応じて文字サイズなどを変更することができるものと。あまりこのへん詳しくないのだけれども。で、その電子書籍において便利なリフロー型に対する挑戦、というのが本書のコンセプトらしい。

 様々な方法でリフロー型にはできないであろう工夫がなされた全6編が収録されている。

 

○春霞エンタングルメント

まず初手で脳をガツンと殴られる。なるほど、リフロー型電子書籍化不可能ってこういう方向性ね。

三段の段組みで複数の登場人物の視点が行ったり来たりする。どこから読めばいいんだ、と思いつつ、わかりやすいように何回か試してみればいいやと思ってそうする。

青根温泉を舞台に決して会うことのない、意思疎通がダイレクトになされることのないやりとりをもどかしく思いながら読み進める。

よく朝起きてツイッター開くと、寝る前くらいの時間にみんながワイワイしてふぁぼられたツイートが、誰がしがいいね!しましたってサジェストされるんだけど、寝ぼけてるから8時間くらい前のツイートにエアリプしちゃったりすることがあって、漠然とそれを思い出したりしていた(例えが矮小すぎた)。切なくも愛おしい世界。

青根温泉、宮城県でも有数の温泉地で中には自称宮城県最古の企業(旅館)があるのでいいところ。

 

○しのはら荘にようこそ!

しのはら荘の4部屋それぞれを1ページ内に4面付けして別の進行をしていく。最初は1ページを同じ流れの話だと思って普通通り読み進めてあれっ?なんか違うな?となった。確かにこれは紙じゃないとできない。

共通して管理人さんが4面の物語の柱になっていて、でも各部屋でまるで違う人間のようなので読んでいて漠然とした不安に駆られて続きが気になる。かと思えばコミカルなキャラクターやアイコンがわかりやすく所々にあって、テーマパークでシリアスな展示を見せられるような不思議な感覚。

 

○中労委令36.10.16三光インテック事件(判レビ1357.82)

判例の形をした物語。高校生の頃の国語の恩師が「判例六法には人間ドラマが込められているのだ」と言っていたのを思い出す。慣れない形式で苦戦しながらも読む。人と、人なのか非人間的存在なのかは一度では理解できなかったけれども、階級が違う存在同士のトラブルで、ところどころ未来っぽい単語が出てくるんだけど、人間とわかる方はいまのイメージとあまり変わらなくて実際令和36年くらいだとまだまだこんな感じの価値観かもね、という腑に落ちる感覚があった。

あまりに読み慣れない形式だったので再読しようと思う(全編読み直すけど)。

 

○点対

混乱。一行飛ばしで読んでようやくわかった。一行ずつ交互にふたりの視点から物語が進んでいく。双子の話だと認識して読み始めたものの、だんだんと境界が曖昧になっていき、時折一部の言葉が重なる瞬間があって、もしかするとどこかで入れ替わったのでは?と何度も戻ったりした。結局いったい誰視点の話だったのか、狐につままれたような感覚。

 

○冷たく乾いた

途中まで1ページおきに視点やフォントの他、右綴じ縦書きと左綴じ横書きが交差する。いずれもきっちり1ページでキリ良く展開がまとまってるのがすごい。1ページで1章くらいのまとまりのよさ。間に挿し込まれる横書きのページも、書き方が巧妙で誘惑に抗えず前のページに戻って何かヒントがないか何回か探してしまった。まさか本をひっくり返して読まなきゃならなくなるとは。ストーリー展開も好きだった。

 

○ボーイミーツミーツ

えっ、最後の話だと思ったらいきなり巻末まで飛ばされて戻ってくるの?と困惑した。でも、これが最後じゃないと中途半端になっちゃうよね。美少女ゲーム風の展開で左ページが会話ログ、右ページがゲームの攻略wiki風になっていて、本編と注釈が同時に読めるような見やすさ。三種類の食肉から告白を受けて誰を選ぶか迫られるという、説明のしようがないシュールなストーリーで笑ってしまった。攻略wiki風の注釈も、wiki特有の適当な空気感が出ていて和む。ゲームの攻略wikiと独自用語が多いライトノベルの用語解説wikiの中間みたいな雰囲気。このめちゃくちゃなストーリーのラスボス戦まで見てみたいと思った。

 

お世辞にも良い方ではない頭なので読みきれなかった部分もあるけれども、何度読んでもいいものだから、また読みます。

普段、印刷や紙に携わる仕事をしていて、電子書籍化、電子化、ペーパーレス化といった言葉には敏感に反応してしまうもので、読む前から興味があった。

観測範囲内では電子化に対して、風合いのある紙を使ったり、特殊印刷だったり箔押しや製本などの装幀、あるいは強力なオマケをつけて「コストもかかるけどリアルな資産的価値・芸術的価値を出すことで紙の本としての価値を追求する」という方法を取るのが一般的。この流れの中でコンテンツ面から、システム的にリフロー型に限るとはいえ電子書籍化を不可能にする、という紙の本へのアプローチを見たのは初めてかもしれない。そういう意味でも非常に面白かった。

 

……仕事の話をして危うく無理になるところだった。

 

楽しい時間をありがとうございました。

キャップレスの話

 万年筆の話。そしてまた、パイロット製品の話。

 今回はキャップレス木軸Fニブです。f:id:rskud:20200212235839j:image

特徴いっぱいです。万年筆ながらもキャップ式ではなく、ノック機構なんです。ボールペンみたいな。それでいて密閉性は確保されているし、書き味も損なわれていない。不思議なものです。それでいて、1963年とかなり昔に開発されてからロングセラーです。その時代にこういうのを作ろうとする発想も当時としては斬新だろうし、実現したのもすごいですよね。そういう変わり種って、なんかいいじゃないですか。その変わり種がこれだけ長い間支持されてきたということですから(それはもはや変わり種ではないのでは?)、逆に言えば筆記具として求められている形はノック式シャープペンシルやボールペンと同じというトラディショナルな万年筆の形から離れることにもなるのかもしれませんが、そういう万年筆があってもいいのかもしれませんね。

 それだけでかなり特徴的なのですが、見た目もポイントがあります。それはクリップがペン先側についていること。一般的にはクリップとはノック側についているものですが、この万年筆はペン先側についていて(逆向きだと延々とインクがポケットの中で漏れるのでしょうけれども)、邪魔だろうなと思いきや、これが指を置くときにちょうどいい目安になる。ノックして、ペン先の向きを確かめて(万年筆は書くときにペン先の向きを合わせる必要があります)、書くというときに、見なくてもいいのです。キャップレスの利点を求める人はなるべく書くまでの工程を減らして、早く書きたいでしょうから、便利だと思います。

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 この他、スタンダードな樹脂軸や螺鈿細工の豪華仕様、金属軸などもありますし、スリムタイプのキャップレスデシモや軸をひねってペン先を繰り出すタイプのキャップレスフェルモなどありバリエーション豊富です。

軸といえば、このキャップレス木軸に近い色味の木材を採用しているボールペンもまたパイロットコーポレーションから販売されています。タイムラインという繰り出し式ボールペンのシリーズがあり、その中のPAST(過去)というモデルが似たような木材をグリップ部分に使用しています。タイムラインの名のとおり、PAST、ETERNAL、FUTURE、PRESENTと時間軸を名前にしており、材質やカラーリングが特徴です。ボールペンとしてもかなりいいグレードの替芯を使用していて、ぬらりとした書き心地が快感です。軸をひねるのですが、二段階の繰り出し式でまだ変身を残している、この意味がわかるか、と聞こえてくるようです。完全格納時は独特の形で、PASTに至っては色味も相まって葉巻のような形になっています。ひねったときの一段ずつのクリック感も心地よく、所有欲を満たしてくれます(所有欲だけではなく、手書きの領収証などガンガン書いていますが)。


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 脱線しましたが、いい万年筆です。ボールペンもですけれども。

カスタム槐の話

 また、万年筆の話。そして、また、パイロットコーポレーション製品の話。気に入ったものの話をしているだけで、一切の利害関係はありません。ちなみに、高価格帯万年筆をあまりアマゾン等で買うのが好きではなく、アフターサービスや調整ができるお店から買います。

 今回はカスタム槐のMニブです。


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軸に槐(えんじゅ)の木材を使用した万年筆で、ややマットな木肌(使っているうちに良い意味でツヤが出ます)と若干のざらつき(こちらも使っていると均されてきます)が木材らしさを感じさせてくれます。よく、野球のバットやウイスキー樽から作った筆記用具がありますが、それらとは少し違って、あれほどまでツルツルとした表面ではないです。同じように圧縮加工した木だとは思うのですが。「延寿」という表記をされることもあるように縁起のいい木です。既に販売終了になってしまいましたが、カスタム一位の木というものもありまして、元々は名前的にそちらが欲しかったという経緯もあります。が、槐で十分に満足しています。

 ペン先は15号というサイズでパイロット製品の中では上から2番目。大きなペン先が荷重をしっかりと受け止めてくれます。カスタム743とペン先は同じサイズになりますが、カスタム743は14金、こちらは18金。また、外観上の違いとしてバイカラーといって、いわゆるツートンカラーなんですが、金と銀で色味が分かれていておしゃれです。全面金もカッコいいのですが、銀が入ることでメリハリが出てあっさり系の良さが出ますね。好き。

わかりにくいけどフチがゴールドで中心部がシルバーになっています。
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小さいポイントですが、パイロットの万年筆って基本的にキャップのクリップは先端を丸くしてあるのですが、このカスタム槐はいわゆる普通のクリップです。理由は少しばかり調べましたがわかりません。

 キャップを反対側につけるとき、木材ゆえにキャップ内に付着したインクが軸に付着して落ちにくくなってしまうのがやや気になりますが、それも含めて味といえるのかもしれませんね。書いていては文句なしに良いです。ケースなどに入れたりせずにラフに持ち歩いて使い倒すということであれば、カスタム743のほうがフレンドリーというか、気兼ねなく使えるような気がします。

シルバーンの話

 また万年筆の話。そして、またパイロットコーポレーション製品の話。回し者ではございません。ちゃんと適切なお金を払って買っています。

 さて、今回はパイロットコーポレーションのシルバーンという万年筆です。


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これがまたいろいろとオトコノコのココロをくすぐる仕様でして、まず胴軸がスターリングシルバーで作られています。シルバーアクセサリーなどに詳しい人はご存知と思いますが、銀の比率が92.5%の合金で、丈夫な上にかなり錆びにくいです。代わりに硫化して黒ずむのですが、これがまたシブい。いぶし銀というヤツです。

本当は磨けばいいのでしょうが、おしりのほうがくすんでいます。

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毎日手にする文具でこれが楽しめる。軸には数パターンの紋様が選べ、私は「つむぎ」ですが「石畳」や「格子」もあります。

 筆記という側面から見てもいささか特徴的で、ペン先が首軸一体型でシュッとしています。これもあまりメジャーな形ではなく、ひとつのアイデンティティです。


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長いペン先は胴軸の金属の重さをしっかりと受け止め、荷重を滑らかな筆記につなげてくれます。キャップがねじ切りではなく嵌合式で、いわゆるキャップ式のボールペンなどと同じ方式なのですが、押し込むとカチッという音と手応えで閉まったことを伝えてくれます。密閉性にも不安なし。メモ書き程度の筆記にもすぐ対応できます。

 デメリットとしては主流の大きめのコンバーターが入らないために、いろいろなインクを瓶から出して使おうというのは不向きです。カートリッジが容量面から得策だと思います。カートリッジがおすすめなのと、嵌合式キャップであることを踏まえても、実用向きというのもこのペンのキャラクターなんだろうなとも思います。

 カスタム743とはまた違った個性があり、これはこれで頼れる相棒、といった趣があります。ちなみに、似たような仕様のボールペンもパイロットコーポレーションから発売されており、そちらはカスタム切子という名称でまたスターリングシルバー製です。


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回転式のボールペンですが、非常にどっしりとした安心感と、和柄の組み合わせが良いです。こちらも持っていますが、太めの芯を入れて威風堂々と紙の上を走らせるのが心地よいです。