war×スタメン起用
今回は総合指標の「war」について説明します。「war」とは
そのポジションの代替可能選手に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか
代替可能選手とは
平均以下の実力で、容易に獲得できる選手
のことです。平均的な先発投手とレギュラー野手のwarは2、リリーフ投手は0.3とされています。war2ということはその選手が出場することで、年間2勝上積みできる、ということです。
warのいいところは投手も野手も同じ値で比較することが出来る、ということです。warは走攻守投の様々な複雑な指標を用いて算出されるそれでは、今シーズンのベイスターズの選手のwarについてみていきましょう。
「war」という指標の問題点はリリーフ投手の数値が低くでてえしまうところと、捕手のリードなどの面が評価されていないところです。戸柱選手のwarはマイナスを検出していますが、warはリード面が反映されない、という点があります。戸柱選手が今年正捕手を務めるようになったことで去年68個で12球団最多だった暴投数が39にまで減少しました。それよりも石川選手と倉本選手のwarがマイナス、という点に注目しなければなりません。この2選手は数多くの出場機会がありながらwarでマイナスを検出しているのです。ここで、わたしはこれまでの記事でも言及した通り、白崎選手をショートにコンバートして、セカンドエリアン選手、ショート白崎選手、サード宮崎選手で固定してほしいというのが私の願望です。倉本選手は高い出塁能力を生かして代打、石川選手は高い走塁能力をいかして代走で活躍してもらいたいです。
これまでの記事のまとめをしていきたいとおもいます。
スターティングメンバ-
1(中) 桑原
2(右) 梶谷
3(左) 筒香
4(一) ロペス
5(三) 宮崎
6(遊) 白崎
7(捕) 戸柱
8(投)
9(二) エリアン
先発ローテ
山口→石田→今永→井納→久保→熊原
勝利の方程式
三上(対右)・山崎(対左)
↓
田中(8回)
↓
須田(9回)
というのが私の考えるもっとも勝率の高くなる選手の起用法です。注意しておきたいことはこれは今シーズンの1軍での成績を考慮した結果だということです。これが私の意見のすべてではありませんが、データのみに注目するとこの起用法が1番よいであろう、という結論になりました。今回の記事はここまでです。次回は起用からいったんはなれて、「補強」というテーマで記事を書いていきたいとおもいます。ではまた。
守備の評価
今回は「守備の評価」というタイトルで記事を書いていきたいと思います。
今までの守備の評価では「守備率」という指標が使われることが多くありました。「守備率」は簡単に言うと「どれだけエラーをせずに守れているか」という指標です。しかし本当にこの指標で選手の守備の上手さをはかることができるのでしょうか。わたしはそうは思いません。なぜなら「守備率」は守備範囲を全く考慮していないからです。むしろ守備範囲の広い選手が不利になる指標です。この問題点を解決する守備指標は「UZR」です。「UZR」とは
リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだか
を表す指標です。例えばUZR+5の選手はほかの平均的な守備の選手が守った場合よりも5点失点を少なくしている、ということです。今回は「UZR1200」つまり、1200イニング守った時にどれだけ守備で失点を防げるか、という意味です。今年の守備のイニングは1274回なのでほとんど正しく1年間で何点防げるかをあらわすことが出来ます。ここで注意したいことは、投手と捕手は守備しなければならない範囲が狭いので普通UZRの対象とはならない。それでは2016年のベイスターズの選手のUZRをみていきましょう。
(守備200イニング以上)
ベイスターズのチームUZRは12球団中6位でわるくはないといえるでしょう。12球団UZRの1位が日本ハム、2位が広島、3位がソフトバンクというのを見ても、UZRをあげることは勝利につながる、と考えることが出来るでしょう。
マイナスをだしているポジションはセカンド、ショート、ライトの3ポジションです。
しかし、ライトの梶谷選手は昨年までは大幅なプラス(去年は+7.6おととしは+11.9)を検出しており、今年マイナスを検出したのは春にした怪我の影響ではないか、と考えることが出来ます。なので、来年以降は心配ないでしょう。
問題は二遊間ですが、二遊間は他球団も優秀な選手が多いため、プラスの値を検出するのはなかなか難しいでしょう。倉本選手は守備が上手い、というイメージを多くのベイスターズファンの方は持っているとおもいます。しかし、倉本選手の守備は堅実ではあるものの、「守備範囲」という分野で他の遊撃手にかなり劣った成績を出しています。「守備範囲」はポジショニングや動き出しの速さが重要になってきます。倉本選手が経験を積んでよいポジショニングが出来るようになるのを期待するのと同時に、今季UZRで大幅のプラス値を検出した白崎選手をやはりショートで育成してほしいと思います。
次回は総合指標「war」や今までの考察を用いてスタメン起用などについて言及していきたいとおもいます。ではまた。
打順×セイバーメトリクス
今回は「打順」というテーマで記事を書いていきたいと思います。
「打順」というテーマのため、8人の打者は2016年の出場試合数の多い順にします。
この8人で打順を組む時セイバーメトリクス的の観点ではどのように打順を組んだら一番効率よく点が取れるのかを考察します。
打順を組む際に重要なことは
1良い打者を集中させること
2良い打者に多く打席を与えるために上位に置くこと
です。現在打順の組み方で統計学的に結果が出ていません。ですから監督ごとに打順の組み方が変わるのでしょう。なのでここでは、現在明らかになっている理論を中心に用いて考察していきたいと思います。先ほどのを用いると「良い打者の順番に一番から組めばよいのではないか・・・という意見が出てくるでしょう。しかし、1番打者はその性質上ランナーなしで打席を迎えることが多いので、長打力よりも出塁率が重要になります。また4番打者はアウトカウントも走者も比較的多い場面で回ってくることが多いです。したがって、出塁率よりも長打率が重要になってきます。
また、優れた打者を集中させ、そうでない打者を優れた打者から離す、ということも重要です。イメージ的にはこんな感じです。
(絵も字も下手でほんと申し訳ありません笑、数字は説明のためにふってあります)
山をイメージしてもらえればわかりやすいと思います。ベイスターズのなかで最も優れている打者は筒香選手です。なので筒香選手の周りに良い打者をどんどん固めていく、という感じです。ここで筒香選手を何番にするかをまず決めます、にはOPS.7越えの優れた打者が5人います。OPS5番目の桑原選手(.769)とOPS6番目の倉本選手(.655)
では大きな開きがあります。なので、②~④の中に桑原選手までの良い打者を並べたとする時、筒香選手が3番に座った場合がこの5人に多く打席を回せる、ということです。
3番打者が決まったので次は2,4番について決めていきたいと思います。筒香選手の次に優れている、梶谷選手、ロペス選手に2,4番に入ってもらうと考えると、出塁能力の高い梶谷選手を2番にいれた方がよいので、ロペス選手は4番となります。次に、宮崎選手と桑原選手を1,5番に入れます。出塁率、長打率ともに宮崎選手が上回っているのですが、今シーズン19盗塁と高い走塁能力のある桑原選手が1番にいたほうがよいので、5番宮崎選手となります。1~5番までの選手は埋まりました。次に6~9番について考えていきます。プロ野球のほとんどの場合、9番には投手がはいります。しかし私はこれには反対です。優れた打者とそうでない打者を離す、という点で9番に投手が入ってしまえば1番にチャンスで回る確率が減ってしまいます。桑原選手の得点圏打率は.370でチーム2位です。しかし得点圏打数は5.02打数に1回と大変低い数字になってしまっています。これは前の打順に投手が多く入るからだと考えることが出来ます。なので9番も軽視せずに打順を組んでいきたいと思います。それでは6,9番を決めていきたいと思います。次に優秀な打者は倉本選手と戸柱選手です。6番と9番では与えられる打席数が年間を通すとかなりさがでてしまいます。なので6番に倉本選手、9番に戸柱選手を置きます。残りの7番に石川選手、8番に投手を置きます。これで打線の完成です。
1 桑原
2 梶谷
3 筒香
4 ロペス
5 宮崎
6 倉本
7 石川
8 投手
9 戸柱
3,4番8,9番以外はラミレス監督が
これは3番打者最強説を唱えているのではなく、このメンバーで打順を組むと考えた時に筒香選手がたまたま3番になっただけなので、ほかのチームの最強打者が何番になるかは、考察してみなければわかりません。今回の記事はここまでです。次回は「守備の評価」というタイトルで記事を書いていきます。ではまた。
投手の評価(中継ぎ)×セイバーメトリクス
今回は中継ぎ投手の評価について記事を書いていきたいと思います。中継ぎ投手の勝敗があてにならないことはもちろん、ホールド数やセーブ数もチーム状態などといった「運」にゆだねられるからです。前回と同様に基本となる指標は同じです。
1与四死球数
2奪三振数
3被本塁打率(9回を投げた時に平均で打たれる本塁打の数)
この3つを基本に見ていきます。
(中継ぎ登板20試合以上+先発ローテに入れなかった三名)
今シーズンは8回三上、9回山崎、7回までのピンチを須田、田中の二人で乗り切る、というのがベイスターズの勝ちパターンでした。特に田中は対左をよくまかされていました。しかし田中の左右被打率は
対右 (79-18) .228
対左 (95-28).295
で、なんと右バッター相手の方が成績が良いのです。なので成績の良い田中をワンポイントで使うというのはあまりよい起用とは言えません。私がDIPSと左右別被打率の値をみて、新しく提唱する起用法は
8回を田中9回を須田に任せます。そして、7回までの対右を三上、対左を山崎に任せる。という起用法です。
三上 対右(126-23).183
対左(90-24).267
山崎 対右(138-39).283
対左(82-18).220
この数値を考慮した結果この起用法が良いという結果になりました。三上の得意球がスライダーで山崎の得意球がシンカー気味に落ちるツーシームであるということを考慮するとこのような数字は来年以降も続くと考える事が出来ます。山崎投手は大好きな投手ですが一度こういった起用もみてみたいとも思います。
今回の記事は以上です。次回は「打順」というテーマで記事を書いていきたいと思います。ではまた。
投手の評価(先発)×セイバーメトリクス
今回は「投手の評価(先発)」について書いていきたいと思います。
これまで先発投手は勝敗数や防御率などで評価されてきました。しかし防御率は後のピッチャーによって左右されたり、エラーが絡んだりで大きく変わってきます。勝敗に関しては野手の援護にかなり左右されます。つまりこれらの指標には「運」の要素が大きく絡んでいるのです。「運」の要素がほとんど関わらない指標で、投手を比較する必要があります。極端な話フィールドにとんだ打球はすべて運に影響されます、野手の正面をつくライナー、ボテボテのあたりの内野安打、フラフラっとあがったポテンヒットなどがその例と言えます.。投手にとって「運」に左右されない指標は3つあります。それは
1与四死球数
2奪三振数
3被本塁打
です。この3つの指標は運にほとんど左右されず、投手の能力を見る事のできる指標だと言えます。つまり
たくさん三振をとれて四死球を出さず本塁打を打たれない投手が良い投手である
と定義することが出来ます。
この3つの指標を統合したものが「DIPS」です。「DIPS」の求め方は
DIPS={(与四球-故意四球+死球)×3+被本塁打×13-奪三振×2}÷投球回+3.12
最後に3.12をたすことで「防御率」に代わる指標として見やすくなっています。
早速今シーズンのベイスターズの選手にこの2つの指標を当てはめてみましょう。
(先発3試合以上)
という結果になりました。久保投手は今年15試合にしか登板しませんでしたが、指標をみるとよいピッチングをしています。久保投手の援護率は2.85でチーム最下位でした。そのせいもあり、なかなか勝つことが出来なかったと考えられます。また熊原投手制球があまりよくないものの、29回をなげて被本塁打0は立派な数字、DIPSの数値をみて来年のローテーションを決めると、
久保 熊原 山口 今永 井納 石田
この6人がセイバーメトリクスの観点でみた最も理想的なローテーションと言えるでしょう。久保投手と熊原投手は登板試合数があまり多くないため、絶対的に信用できる数値と言えませんが、今シーズンの成績自体はかなり良い成績だったと言えるでしょう。次回は「投手の評価(中継ぎ)です」ではまた。
盗塁の効果
りバントはせずに盗塁をしろ今回は「盗塁」について考察していきます。前回使用した得点期待値表と、得点確率表を今回も使用します。
上が期待値表で、下が確率表です。今季のベイスターズの盗塁成功率は.670です。
しかしエンドランの失敗なども多々ありましたので、成功率を7割と仮定した場合の期待値の変化を計算します。
無死1塁 0.843→0.881
1死1塁 0.557→0.557
2死1塁 0.241→0.225
3盗は滅多にないので除くとして、こうなります。ベイスターズの今年の成功率だと、無死1塁の場合のみ、盗塁の効果がある、と言えます。
次は終盤の1点を争う場面での盗塁について考えていきたいと思います。
無死1塁39.9%→45.9%
1死1塁27.1%→ 31.23%
2死1塁12.9%→15.12%
すべての場面で得点確率は上昇しています。
これには私自身とても驚きました。
セイバーメトリクスでは、楽に相手にアウトを与える可能性のある盗塁はあまり勧められていない作戦です。
しかしこの考察からわかるように期待値も2死1塁の場合を除き減少することはなく、得点確率はどの場面でもUP、さらに盗塁をバッテリーが警戒すれば打者も狙い球を絞りやすくなる、などメリットのほうが大きいと言えます。
ということで結論は
送りバントはせずに盗塁をしろ
ということです。
セイバーメトリクスの定説からするとリスクの高い「盗塁」という作戦はあまりこのまれていませんが、私はそれには賛成できません。
今年のベイスターズは盗塁を10個以上決めている選手が2人しかいません。
梶谷 33-26(.788)
桑原 29-19(.655)
この二人です。
梶谷選手の成功率は素晴らしいです。この成功率ならどんどん企画するべきだと言えるでしょう。
桑原選手の場合は理論上は得点期待値が下がってしまう値です、終盤の1点を争う場面での桑原選手の盗塁は有効であると言えるでしょう。
次回は「投手の評価」というテーマで書いていきたいと思います。ではまた。
送りバントは必要か?
今回は送りバントの有効性について考察していきたいと思います。
こちらは2005年の得点期待値表です。(本当はもっと新しいものがよかったのですが・・・すみません)得点期待値とはその状況から平均で何点取ったかをあらわすものです。
この表からわかるように無死1塁から1死2塁への送りバントはもちろん、すべてのシチュエーションで送りバントは得点期待値を下げる作戦となっています。
10割成功しても得点期待値を下げる送りバントを序盤、中盤で使わないほうが良い事ははっきりとわかります。
ですが、例外もあります、それは1点を争う終盤の試合の場合です。次にこの得点確率表をご覧ください。
例えばこの得点確率表をみてわかるように
無死1塁(39.9%)→1死2塁(41.7%)
無死2塁(58.8%)→1死3塁(61.6%)
無死1,2塁(59%)→1死2,3塁(63.9%)
の3ケースで得点確率は上がっています。
しかし、大幅に確率があがるわけではありません。今季のベイスターズの犠打成功率.が736ということも考えると、終盤であっても送りバントという作戦はあまり効果のない作戦と言えるでしょう。
次回は「采配」編の続きとして、「盗塁の効果」というテーマで書いていきたいと思います。ではまた。