湘南啄木文庫ブログ

このブログは佐藤勝が個人的に収集した歌人・石川啄木に関する「よろず」情報を紹介いたします。また、私の雑多な日常的な話題や趣味の世界(落語や演劇鑑賞、読書体験)なども記してゆきますが、いずれの部門の同好の方々からのご協力なども頂くことが出来れば有難いです。なお、石川啄木に関する文献を主にした「湘南啄木文庫」のホームページ(http://www.ne.jp/asahi/shonan/takuboku/)の方も覗いて頂ければ嬉しいです。

富永虔一郎著『小説 啄木と牧水』<新刊紹介>


生命の灯がまさに消えようとしている啄木。
救いなき悲恋に懊悩する牧水。
苦悩を抱えるふたりの間に交わされる友情。
その向こうに立ち現れる明治の青春群像。
啄木・牧水の生と死と愛を描く初の伝記小説。
★★★★★
初の啄木と牧水を主人公とした書き下ろし小説。
評伝小説の快作
詩人・歌人として天才の名をほしいままにするも、自由勝手な行動で周囲を翻弄する啄木。家族の軋轢、極限の貧困、そして不治の病により死が迫っている。いっぽう、旅と酒を愛し、時代を画する歌人となりながら、思いもかけぬ恋の行方に懊悩する牧水。「歌」に寄せて二人の間に生まれた深い友情も、まもなく消え去るのか...。明治末期、大逆事件など騒然とした社会状況の下、二人をめぐり、漱石、鷗外、鉄幹、晶子、白秋ら多くの文学者が交錯する。
★「若山君、僕はどうしても死にたくない。僕はまだ助かる命を金のないために自ら殺すのだ...。見たまえ、そこにある薬が二、三日来絶えているが、この薬を買う金さえあったら...、僕はすぐ元気を恢復する。だがうちにはもう二六銭しか金がないんだよ。しかも、もうどこからも金の入ってくる見込みはない...」「死ぬんだよ、いなくなるんだ。この石川啄木が。許せるかい、そんなことが...。まだ君と同じ二六なんだよ」死の五日前、混乱して必死に訴える啄木。だが、牧水にも金はない。(本文より) (言視舎:
2024年発行 - 208 ページ)
初の啄木と牧水を主人公とした書き下ろし小説。
評伝小説の快作
詩人・歌人として天才の名をほしいままにするも、自由勝手な行動で周囲を翻弄する啄木。家族の軋轢、極限の貧困、そして不治の病により死が迫っている。いっぽう、旅と酒を愛し、時代を画する歌人となりながら、思いもかけぬ恋の行方に懊悩する牧水。「歌」に寄せて二人の間に生まれた深い友情も、まもなく消え去るのか...。明治末期、大逆事件など騒然とした社会状況の下、二人をめぐり、漱石、鷗外、鉄幹、晶子、白秋ら多くの文学者が交錯する。
★「若山君、僕はどうしても死にたくない。僕はまだ助かる命を金のないために自ら殺すのだ...。見たまえ、そこにある薬が二、三日来絶えているが、この薬を買う金さえあったら...、僕はすぐ元気を恢復する。だがうちにはもう二六銭しか金がないんだよ。しかも、もうどこからも金の入ってくる見込みはない...」「死ぬんだよ、いなくなるんだ。この石川啄木が。許せるかい、そんなことが...。まだ君と同じ二六なんだよ」死の五日前、混乱して必死に訴える啄木。だが、牧水にも金はない。(本文より)

啄木と牧水 表紙
 
 
 
 
 

最初の啄木「オタク」だった吉田孤羊と云う人は!

吉田孤羊は最初の啄木研究者であり、啄木愛好者であった。

昭和40年から50年にかけて洋々社という出版社からは吉田孤羊の貴重な啄木図書が数冊発行されているが、これよりもずっと以前の昭和10年代(所謂戦前)には吉田によって最初の啄木全集が発行されたり、啄木写真帳なども発行されている。これらは戦後も発行元を変えて再販を重ねているが「吉田孤羊」を語る文献は少ない。「彼(孤羊)は面白い人物だ」と語るのは本頁の管理人でもある平山陽氏である。

その孤羊について、このたび藤井茂氏による短い紹介文が盛岡市の地域冊子「街もりおか」(2024年3月号)に載った文章のコピーを頂いたので此処に紹介する。

「吉田孤羊」の紹介文(1)

藤井茂=吉田孤独羊(2)=

 

啄木の歌集外歌「床屋の歌」を読む歌人!

啄木には『一握の砂』と『悲しき玩具』の二冊の歌集があることは承前の通りですが、歌集の収められなかった多くの秀歌があることは各種の文庫本などでも広く知られているが、短歌結社誌「りとむ」(2024年3月)にて倉重恵造氏が珍しい歌を取り上げておられて啄木愛好者である私は嬉しくなった。

 

  ふるさとの床屋の鏡わが顔と麦の畑をうつせし鏡

 啄木の歌集外歌のみを取り上げて解釈と鑑賞を付して一冊の本にした望月善次氏の労作もあるが、今回のように思いがけない啄木の歌に出会うと、また、文庫本の(私は久保田正文編の旺文社文庫が好きだ)歌集外歌の頁を開きたい心持になる。

倉重恵造氏の啄木短歌を引用したエッセイと掲載誌「りとむ」2024年3月

 

啄木の父・一禎和尚の短冊寄贈/森義真館長の退任記事!

先日、岩手在住の知人から下記の2点の啄木に関する記事の載った新聞の写真が届きましたので紹介させていただきます。

★★★

(略)森義真さんは10年4ヶ月務められた石川啄木記念館の館長を3月末日をもって退任いたします。

森館長ご在任のうちにと(略)国際啄木学会盛岡支部会が新潟支部の塩浦彰先生から寄贈いただいた「一禎短冊」を石川啄木記念館に寄贈し、活用していただくことにいたしました。

森さんの石川啄木記念館の館長退任のニュースと併せて、報道いただききました。

また、「盛岡タイムス」も3月いっぱいで廃刊になりますが、3月16日に、盛岡支部から石川啄木記念館に「一禎短冊」寄贈の記事もご掲載いただききました。(後略)

一禎和尚の短冊を記念館に寄贈する盛岡タイムスの記事2024年3月16日号

石川啄木記念館長を退任する森館長のインタビュー(岩手日報2024年3月30日の記事)


 

★俳優・小野武彦とネット歌人・枡野浩一の可笑しな啄木歌の記憶についての覚書★

★★私の啄木余話(1)★★

この話は今から30年ほど前になる古い昔の話しが始まりです。
俳優の小野寺武彦氏がテレビ朝日の人気番組「徹子の部屋」で
″@石川啄木の短歌
やや長きキスを交して別れ来し/深夜の街の/遠き火事かな
あの歌は自分の祖父である小野愁蛾が東京朝日新聞の歌壇に読者として投稿した歌を当時の選者であった啄木が、後に自分の歌として歌集に載せた″
という主旨の話しをされたことがあり、この番組を見ていた啄木研究者のM氏がテレビ朝日に「該当の歌の初出は、朝日歌壇が始まる前に「東京朝日新聞」(明治43年月23日号)に載っていますので、小野愁蛾が朝日歌壇に投稿したものを、啄木がさも自分の歌のように歌集に載せた、とう小野の発言は明らかに事実誤認だ、ということを小野の所属事務所とテレビ局に抗議した」と云うことで小野愁蛾が投稿をした時期と啄木が作歌した時期が異なるので小野武彦氏の発言は明らかに間違いであり、小野愁蛾が朝日歌壇に投稿したものを、啄木がさも自分の歌のように歌集に載せた、とう小野の発言は明らかに事実誤認だ、ということを小野の所属事務所とテレビ局に抗議したが、これについて同番組の中での訂正はなかったが小野氏の所属事務所よりテレビ朝日に「小野武彦氏は自分の発言は確証の無いものであり視聴者が不快な思いをされたことをお詫びします」という言葉を寄せたとテレビ朝日からM氏宛に返信があったことを私はM氏から伺い、M氏の啄木熱に感服したものであった。(上記の「」内の部分はM氏のメールよりの引用)
なお、この話しには更にオマケがあって小野氏のテレビ発言から10年近く経ってから、ネット歌人として知られた枡野浩一氏が函館市で啄木についての講演をされた時、(小野氏の発言を引いて)「啄木は朝日新聞の選者をしてた時に読者が投稿した歌を自分の作品として歌集に収めている」と「徹子の部屋」で聞いたことを話したそうで、その講演を聞いたK氏から私に、この話しは本当ですかと電話があった。私はM氏から直に聞く方が良いと伝えた。
その数年後に枡野氏がBSテレビ朝日で啄木特集を放送した番組にゲスト出演したが、同じ番踏みにゲスト出演したI氏はM氏と同じ啄木を研究する会に所属する学者なので司会者の別所哲也が○○会の会長と紹介した途端に枡野氏が「うわー○○会ですかぁ〜怖い」と笑った。
これは函館での講演で自分が話したことは間違いであることをM氏が枡野氏に直接手紙で抗議していたからのリアクションであることは、この番組を見てた私にはすぐにわかったが、I氏は枡野氏のリアクションには応じずに研究者として見た啄木の姿を大変わかりやすく話された。
なお、私はこの番組を見ていて枡野氏の軽々とした啄木談義に辟易したことを今も記憶している。
ついでに枡野氏の啄木に関する本はネットに発表して少し話題になったことで朝日出版から発行された『石川くん』という漫画入りの啄木短歌の一部分を現代語に訳したものだが、この本の表紙に使った啄木の顔写真に黒マジックでイタズラ書きをして刊行されたので、 私は不快な気分になり、其ことを出版社に電話で伝えたことがある。
その後に文庫本として再販された時は初版の表紙にイタズラ書きをしてたことで読者の方々に不快な思いをさせたことを詫びるという文言が載ったことで私の他にも多数の苦言があったものと思った。
もちろん表紙は変えられていたが、枡野氏の現代語訳本は私には不要だと今も思っている。

★【お詫びと訂正】

昨日、私が投稿した上記の稿をご覧になった文中に登場するM氏より、北村総一朗氏と其の祖父の氏名は間違いであり、ほかにも細かな記憶違いのあることをご指摘頂きました。これに感謝しつつ、お名前を誤記した北村総一朗氏と関係者に深くお詫びいたしまして、上記のように訂正させていただきました。ご寛恕ください。(2024年2月29日・佐藤勝)

グーグル検索からの小野武彦氏の画像

画像はグーグル検索の桝野氏の著書



啄木図書の新刊紹介! 内藤一成著『弥彦と啄木』(芙蓉書房出版)

本日、新刊の啄木関係図書案内チラシを送っていただきましたので紹介します!

啄木との接点は全く無い人物ですが同時に同じ場所に住んでをり

方や富豪のお坊っちゃま、方や妻子を函館の友人に託して小説家を目指し

上京した貧しき啄木青年。

この2人を比較して当時の日本経済を俯瞰するようなのですが小生は未読であるため

コメント無しの紹介です。興味のある方は下の写真から出版社へ問い合わせてください

弥彦と啄木 (芙蓉書房出版)

「弥彦と啄木」のチラシ

 

被災地と啄木短歌をつなぐエッセイを尾畑文正氏が東京新聞に掲載!

能登半島地震の人々は今も寒さの中で苦闘されている。

そんな人々に啄木短歌を添えて励ます心温まるエッセイが2024年2月18日の東京新聞に載ったのでご紹介させていただきます。

尾畑文正氏のエッセイが載った東京新聞