映画ヘルドッグスの坂口健太郎演じる室岡秀喜が最高だった話

タイトル通り、映画ヘルドッグスの坂口健太郎演じる室岡秀喜が最高だったって話です。

 

岡田准一が主演と発表されてからずっとずっと公開を楽しみにしていたこの作品。原作も先に読んで推しの相棒の室岡は誰が演るんだ!?って発表をずっと楽しみにしていて、リアルに朝起きて1番にすることがTwitterで『ヘルドッグス 室岡』で検索かけて情報が発表されてないか探すことだったんですけど、そんな中発表された室岡役はもう1人の推しの坂口健太郎でした。(こんなことあっていいの?)

9月16日の公開が待ち遠しくて、いつもは仕事終わりのレイトショーで観に行くけどそれも待ちきれなくて、有給をとって初日の午前中から観に行きました。

 


見終わった後はちょっとね、やばくて。室岡に心全部持っていかれて、しばらく意味もなくショッピングモールの中をふらふら歩いてた。途中でなんだこれ、って気づいて、とりあえずスタバでも入って落ち着こうかと思って行ったけどいっぱいで、他の場所を探そうと思ったけど、頭の中を室岡に占拠されてるせいで何も考えられなくなって、しばらく近くのベンチにぼーっと座って動けなかったなぁ。その後何とか復活して別の珈琲屋を探してそこで2時間くらいかけて気持ちを落ち着かせるために吐き出したメモがスマホに残っていたので供養。今見ても、見た順にとりあえず書き出してったんだなーって当時の思考停止の状況が伝わってくる。(カッコ内で2回目以降に見て気づいたことを一部加筆)

 

 

以下箇条書きの感想メモ

 

しょっちゅう何かを口にしてもぐもぐしてる室岡が可愛い、食べ物あげたくなる

 


獲物を狙いに行く時の上目遣いで口が半開きなところ、可愛いとヤバいやつってかんじが同居してる

 


兼高と追いかけっこする室岡の可愛らしさ、まじで飼い主とわんこ

インタビューでよく聞いてた、室岡はもともと空っぽで、そこに兼高という存在が徐々に入ってきて満たされていった、っていうのが表情からはっきり伝わってきた。もちろんそんなもの映像には映ってないんだけど、私には室岡が持っている空っぽのコップに兼高という水が注がれて、空っぽだったはずのコップが徐々に満たされる様子がはっきりと見えた

 


ドキュメンタリーっぽく撮ったという序盤の訓練シーン、岡田さんにしては珍しく(というかスクリーンでは初めて観た)岡田准一要素がすごく残ってて(特に喋り口調)、兼高×室岡の訓練シーンにも岡田×坂口の練習シーンにも見えるのが凄く良かった

 


室岡が1人でやってみて『え、出来た?出来た!』『‥出来てねぇ』わはー、みたいなシーン凄く良かったし、あれがめちゃくちゃ後半活きてくる

 


埋めに行くシーン、俺は1日5人までしかやらないって決めてる、あと3枠残ってる、の流れ、セリフがめちゃくちゃスピーディで息もつかせない感じが言われた方を追い詰めてるのをより表現してて、演技うまーってなった

 


事務所に帰ってきてからのシーン、兼高は暴れたこと怒られるのに室岡はほっとかれるの、ああそうだよね、これで兼高がいなかったらそりゃ孤独だよねってのがよく分かるシーンだった

 


食事会で兼高と三神は土岐と同じ席なのに自分はそこに入れてもらえなかった時の反応、立ち場が下だから入れてもらえなかったことに対する悔しさじゃなくて、アニキの隣でご飯食べれない引き離される寂しさの方が圧倒的に大きくて表現されてて、室岡〜〜!!ってなった

しかも通された席も真ん中じゃなくて端だし。でもそこで『やってきたの俺たちだぞ!?!?』って暴れることはない室岡偉いよ。

 


兼高を送り終わってステーキ店に戻ってくる室岡、その誰もいない空間に戻って来れることも室岡の孤独を表してるように感じた、2次会行かなくても止められないんだね。

 


杏南とは結局何だったんだろ、原作にはないからこの辺りは改めて考察して解釈したい

 


性欲はあるけど女の子を大事にするって感覚は持ってなさそう、恋愛感情もない?

この組織から離れた室岡は健ちゃんとは全然違うけど所々坂口健太郎要素を多めに感じれてめっちゃ良かった

 


次はボディガードになるテストのシーン?

もはやこの辺から若干記憶がないな

 


兼高室岡ペアでもう一方を一気に倒すシーン

岡田さんは勿論としても健ちゃんも負けず劣らず同じくらいのスピード感で相手を倒してて、そのスピード感の一致に相性抜群コンビー!ってなった

 


その後合格して会長のところに挨拶行くシーン、室岡はなんかテロテロのオシャレシャツでインしてない緊張感の無さがめちゃくちゃ良かった、周りキョロキョロしてる感じもまた良き

でも所々熊さんがやってること真似するんだよね

 


空気読まずに十朱会長のこと周りに何でも聞きまわる感じもめちゃよかったなー

というか室岡は随所でまじで空気を読まない発言するとこめちゃ良い(軽口最高)

 


クラブでのシーン、ずーっとナッツ食べてる室岡の緊張感のなさ、めっちゃ良

 


ルカがおかしいって兼高が気づいて攻めるまでのシーン、室岡と挟み撃ちにしてアイコンタクトでやりとりしてるのめちゃ良い、この2人に言葉は要らないのよ

フォロー入ってくれ、最初にこれだけ。ここ兼高がメインだけど裏で室岡が色々やってるのほんと最強コンビって感じ

 


ここかは分からんが、確かに攻めと引きがうまく出来てた殺陣だなーと

 


処理場のシーン

熊さんとくだらん話してる室岡可愛い

熊さんとは仲良くなれそうだったよね

熊さんの組だったら上手くやっていけたのかな?でも土岐が悪い訳じゃない、土岐も情に厚いいいやつだし。同じ立場の中に室岡を充たしてやれる人がいないとダメだったってことか。兼高とバディ組んでないと室岡の良さは生かしきれなかったから、こんなに上の人と近づける存在になれなかっただろうし。

https://twitter.com/ynskvvv6/status/1572852989403897856?s=46&t=PouiWehZzoyBC6m5kqsvKg

 

2人で戦うアクションシーンも良かった、兼高との組み合わせがこれも攻め引きが上手く噛み合ってる感じ(パンフレットで本来は1人でやる動きを敢えて2人で分けてやる殺陣にしたってのを聞いて納得)

 


会長と本並と一緒に戦うシーンに関しては、室岡がわくわくしてるのが表情に現れてて良かった、罪悪感とかなくてきっと普通の人がスポーツとかゲームをやってる時と同じ感覚なんだろうな、例の如く口が半開きなのが可愛くて良き

殺す前は楽しそうで、殺した後はアドレナリン出て目がヤバい感じもすげー室岡

 


熊さんのお葬式

あの室岡が食欲なくなるって時点でもうサイコパスじゃなくなってるのよ、熊さんがいなくなったこと、ちゃんと悲しんでる。でもそれは兼高という圧倒的な存在と出会って変わった室岡だから感じれた感情なのかな?と思う。

兼高が会長秘書になるからコンビ解消って言われた時の室岡の悲しそうなこと。だって兄貴のこと大好きだもんね、なんか室岡の好きには執着を感じる。それはきっと元々室岡の空っぽを埋めた大半が兼高で、それを誰かに奪われるなんて耐えられなかったんだろうな。

 


兼高に噛みつきにいった三神を襲うシーン、これも兄貴への愛が室岡を突き動かしている気がする。トイレで襲うシーンももう歯止めが効かなくなってて、でもそれって兼高と出会う前のただ暴れたい?みたいな衝動じゃなくて、確実に兼高が起因となって起こっている衝動で、その衝動はきっと今までに無いくらい大きくて。でも何が起因となってるか、何でこんな大きな衝動が自分の中に起こっているのか室岡自身は分かってなくて、驚いている感じがした。(愛だけじゃないなこれ、今までと変わってしまうことへの不安、兼高を奪われる嫉妬、色々)

 


『兼高がサツの犬もしれねーんだよ!』のシーン、もともと一緒に組んでた三神を殺すまでに至ったのは、疑いたくなくて、でももしかしたら本当にそうなのかもしれないって思いがあって、その思いを打ち消したくて、そのエネルギーが三神を殺すまでになっちゃったのかなって。(ここ、ふせったーにもかいたけど、色々セリフ聞き取れてから見ると全然違った解釈になったな)

https://twitter.com/ynskvvv6/status/1574990405933768704?s=46&t=r42-w4TI8TZrFopVqGHf7w

 


えーっと、そのあと室岡を刺しにきたのは三神組の人?(後で確認したらモグラだった)

ここ一対一だし照明もちゃんと明るいので健ちゃんのアクションがすごく良く見えてかっこよかった。

雨の中戦うのもその衝動の続きというか、それで勢いでやっちゃってるとこ(ここ、ちょっと冷静なってる?でももう取り返しがつかなくて勢いで突き進むしかないみたいな感じだったのかな?)そしてモグラに最後寝技で仕留めるのよ。兼高から散々教えてもらった寝技。出来てねぇって言われた後、寝技向いてないー!って言ってたのに出来るようになってたね。ここのアクションも岡田さんが考えてるってこと?だとしたら天才では?

えーっと、もう私の中ではここがこの物語の大サビです。室岡が兼高を思う気持ち、好きだという気持ちが画面からこっちにダイレクトにエネルギーとして伝わってきて泣いてしまった。しかもほろっと涙とかではなくグワっときてしまった。いや、ヘルドッグスでこんな泣くとは思ってなかったからさ、もう、私はびっくりしたよ。

『アニキはサツの犬なんかじゃないよね?』って縋るように聞く室岡も、それに違うよって凄く優しくて甘い声で答えてくれたのに『その「違う」がなんか嫌な感じすんだよなー』って答える室岡も、なんかその時点ではもう何となく分かってるけどそれでも信じたくないってのが凄く伝わってきてもう号泣。室岡に逃げろっていう兼高も良かったなー、兼高の中でも室岡は特別な存在になってたんだよね。

室岡はただずっとこのまま一緒にいたかっただけなのにさ、いろんなことがあって、それが叶わなくなって、その衝動をどうすればいいか分かんない感じがすごく切なかった。

 


土岐の家で恵美裏と鉢合わせしてそのあと捕まえてキス(死の接吻でした)しようとするとこも殺そうとするとこもめっちゃよかった、なんだろう、良かったな、もうこの辺、雨のシーンの後で頭のキャパ終了してるのであんま覚えられてない、もっかいちゃんとみたい、兄貴のオンナってことは知らなかったんだよね?だとしたらその瞬間めちゃくちゃ嫉妬じゃない?それがまた新たな室岡のエネルギーになったのかなぁ(うーん、なんかエネルギーとかじゃない気がする。言葉にするの難しい。)

 


最後、殺さずに捕まえた恵美裏を見せる為にテレビ電話を兼高にかけたのは、きっとかまってほしい、自分のことを見て欲しいみたいな思いがあったからじゃないかな?それで呼び出して会って話して、あのラスト、兄貴は自分のことを選んでくれるって希望が何%あったんだろう。選ばれなくても兄貴に殺されるなら幸せだって思いだったのかな?この辺も2回目みた時改めて考えながら観たい。『俺とこの女どっちが大事なんだよ!』ってメンヘラ女みたいなこと聞く幼さが最後まで室岡だった。ここのシーンの兼高の声がすごく柔らかくて甘くて優しくて、切ないよね。(2回目以降見るとあれは選ばれてないようで実は選ばれてる。1回目の私、思考停止が過ぎる。ただ、室岡が何を望んでいたか、こっちではいろんな解釈出来るけど結局のところ正確には分かることは出来ないのが辛い。)

ここのシーン、兼高のことずっと『出月さん』って呼んでるの、めっちゃせつねー。でもこの頑なな『出月さん』呼びも子供っぽいんだよな。

 

兼高への大きすぎる愛には執着や独占欲みたいなものを感じたなー。室岡ってどこか子供っぽいところもあって、最後の兼高に対する態度も女子中学生みたいだな、って思っちゃった。実際には大人だから、仕事だから、兼高と離れる瞬間、それを口にすることはないけど、表情はそう語ってる。ご飯食べる時は兄貴の隣に座って一緒に食べたいし、ずっと2人でコンビ組んで仕事したいし、いついかなる時も離れたくないみたいな。

 


バンコクでの兼高室岡の出会のシーン、最後にこれ入れるの本当ずるい。すっごい室岡が楽しそうで可愛くて、一目惚れみたいな感覚だったのかな、さすが相性98%。それがラストに映るのしんど過ぎた、、だって室岡はあの時から純粋に兼高のこと大好きだったのに結局最後は別れる事になってしまった訳だから。

 

 

 

全体を通して

坂口健太郎演じる室岡秀喜、まじで原作以上に魅力的だし、きっと脚本に書かれた文字以上に魅力的に演じたんだと思う。良く宣伝で使われるサイコパスってのは実は兼高と出会う前の室岡を示すキャッチコピーで、この映画はほとんど兼高と出会ってからの室岡が映ってる訳だから、ただのサイコパスじゃないんだよね。だって兼高と出会って凄く大きな愛情感じてるもん。そしてそれが室岡というキャラクターをとても魅力的に見せている。きっと健ちゃんが室岡の理解者になって演じてるからだよね。私は元々坂口健太郎のリアリティのある、この私の生きる世界に演じたキャラクターが生きているような演技がとても好きで、あの非現実的な物語の室岡というキャラをどうやって演じるんだろうってのは気になってた。でも室岡の中にも所々上手く坂口健太郎みが残ってて、でもそれはその部分が浮いてるんじゃなくて上手く室岡の中に混ざり合ってるというか、うん、すごいハイブリッドだった。こんな非現実的な物語の中でもこんな感じで役を生きれるんだーって。

これ、改めていろんなインタビューとか見返してると、坂口健太郎岡田准一を兄貴と慕っててそれを役にも反映させてるみたいのを聞いて、今回は台詞や行動ではなくて、その関係性が一番リアリティを持たせてたんかぁと納得。坂口健太郎が室岡を演じたせいで、室岡秀喜はフィクションの存在なのに私が生きる世界に室岡が生きてる気がして救ってあげたくて、抱きしめてあげたくて、大丈夫だよって言ってあげたくて、(それが室岡にとって意味のない事だとは分かっている)本当に胸が苦しくなった。

(この辺りは岡田さんの演技アプローチの対比とも合わせて別で書きたい)

 

 

私は元々岡田准一のファンなのに申し訳なくなるくらい今回は室岡がよすぎて、室岡から目が離せなくて、完全に優勝してたと思いました。これは日本アカデミー賞最優秀助演男優賞です。でもこれみんなに伝わるかなーって感じ。正直ストーリーは原作読んでないと理解が難しいだろうし、原作ファンからしたら全然別物やん!って言う人もいるだろうし。でも室岡はめちゃくちゃ良かったんよー!ねー!みんなわかってよー!!

 

 

原作って当たり前だけど文字でしか情報を伝えることが出来なくて、基本兼高目線で物語が進んでいくわけだからそりゃ室岡ってただドライでサイコパスな奴って印象しか与えられないよね。それが映像になると室岡側からも発信できる。セリフじゃなくても行動や表情で。長編の小説を映画化するとなるとストーリーを端折ったり変えたりせざるを得ないから、原作の方が良かった…は良くある事なんだけど、この作品を見て映像化することのメリットというか意義をひしひしと感じてる。

 

映画ヘルドッグス、原作好きとしては100点満点中、省かれた諸々や映画用に変えられた設定で-50点なのに、映画版室岡の設定や兼高と室岡のコンビ感、それに加えてサントラなどが作る雰囲気が良すぎて+200点で結果合計150点叩き出してるって感じなんだよな。

なので最終的にはとても好きな映画でした。

 

私は0か100の100側でよかった。