【東京都:中野】アザミ 喫茶店のカレー編
喫茶店のカレー編をお届けしている。
今日の喫茶店は、中野の〈アザミ〉だ。
こちらは、喫茶店というべきかレストランというべきか。
材料の産地にもこだわり、オーナーの食への姿勢にこころ打たれる。
メニューはどれも見目麗しく、胃も心も満たされる。
☆
そんなお店のカレーというのはどんなものだろう。
カレーは家庭料理のイメージが強く、一昔前までは身近すぎるゆえ、
お店で頼まないものの一つだった。
でも最近の私は、だからこそカレーは個性が出るのだと思い、
食べ比べするようになった。
こんなこだわりのあるお店で出てくるカレーは、
唯一無二の個性をもつカレーに決まっている。
他のメニューから放たれる「私にして!」という主張をもろともせず、
シーフードカレーを選ぶ。
それはそれは、華麗なカレースープというかカレーソースというか、
今まで見たことのない洋装カレーが出てきた。
欧風カレーともインドカレーとも違う。バジルソースが添えられ、
途中で風味を変えることもできる。
☆☆
まるで本に出てくる幻の料理店のようなメニューの数々だ。
じっさい、かぼちゃのプリンも、モンブランも美しい。
ここには、何度も訪れ、楽しんでいる。
【2017年7月訪問 他】
【東京都:東中野】珈琲館 喫茶店のカレー編
喫茶店のカレーシリーズをお届けしている。
今日は東中野にある〈珈琲館〉だ。
☆
東中野の駅前の町並みは、
線路と平行に映画館や飲食店が並んで、懐かしい雰囲気がある。
カルチャーを発信する町という印象だ。
10年前ほど、「39度のとろけそうな日♪」と歌う飲料水のCMがあった。
当時は、そんな気温大げさでしょと思ったけど、
今年の夏には現実である。
《災害のような暑さ》と気象庁が言うほどだ。
しかも連日である。
毎朝、外に一歩出てこれから始まる一日を思うと、
このCMソングが脳内に流れる。
☆☆
夏で好きなもの。
陽光と葉っぱで織りなす刺繍のような夏の日差し。
静寂の中の蝉の声。
テレビから聞こえてくる高校野球の応援の音楽。
そして遠い日にキャンプで作ったカレー。
切り取ってどこかの箱に大事に残しておきたい夏のいいところを、このお店で感じた。
夏の高校野球が流れる喫茶店が好きだ。
ちょっと大衆食堂のようなハンバーグカレーもいい。夢みたいな空間だった。
思い出の箱を開けたくなったら、夏にここにこよう。
【2017年8月訪問】
【東京都:国立市】ロージナ 喫茶店のカレー編
さてこれから数回、喫茶店のカレー編を綴りたいと思う。
今日は国立にある〈ロージナ茶房〉だ。
☆
夏はカレーなのである。
夏になると無性に食べたくなる。体の中でだるそうにうずくまる細胞を、
スパイスで刺激したい。
むかし夏目漱石だったか、頭をそっくり取り替えて入院させたい。
という趣旨を小説の中で語っていた。その気持ち、よくわかる。
頭を取り替えたい!と思うほどヒートしている時に、カレーを欲する。
ヘッドスパは凝りを外側からほぐすものだが、
カレーは内側をほぐしてくれる気がする。
☆☆
〈ロージナ茶房〉のカレーは、ザイカレーというネーミングだ。
頭を取り替えたい時に食べたくなる味である。
サラッとしていて、辛くてスパイスが効いている。やみつきになる好みの味だ。
☆☆☆
隣では老人会だろうか、楽しそうに憩いの時間を過ごしていた。
ゲートボールを楽しんだ後の食事会かな。
他には、カップルもいるし、家族連れもいる。満席で大人気だった。
山口瞳さんも常連だったという。文化人や有名人も、近所の住人も、遠方からの食べ歩き人も。
誰をもを受け入れてくれる上に、心地よい時間が過ごせるお店は、
本当に貴重だと思う。
何より、美味しいから長く愛されてきたのだと実感する。
☆☆☆☆
今日、どの喫茶店に行こうか。自分のブログで探していたのだが、
〈ロージナ〉の記事を書いていたら、カレーが食べたくなってきた。
カレーの美味しい店は……他にどこだっけ。
あーだこーだ、あれこれ考えている時が一番楽しい。
【2017年3月訪問】
【東京都:麻布十番】西緋亜 喫茶店のチーズケーキ編
喫茶店のチーズケーキ編をお届けする。
今日は麻布十番の〈西緋亜〉だ。
レアチーズケーキにのったハニーレモンが甘酸っぱかった。
匿名になりたい。はじめての海外滞在は、ロンドンでのホームステイだった。
緊張のせいか、ついて早々体調を崩した私は、異文化の洗礼を受ける。
日本では、というより我が家では、体調を崩すとなんどもなんども様子を伺われる。
その調子だから、異国で一人寝室に放っておかれた時の絶望たるや想像してもらえるだろうか。
のちに、放っておくことが優しさだったと知る。カルチャーショックだった。
そして一つの新しい価値観を得た。
いま、放っておかれることを希うとき、知らない町の喫茶店に足を運ぶ。
それが私の癒しとなる。だからいろいろな喫茶店に通っているのだと思う。
じぶんが匿名で居られる場所があると助かるのだ。
喫茶店では異邦人になった気分で過ごす。
【2017年8月訪問】
【東京都:西荻窪】コーヒーロッジダンテ 喫茶店のチーズケーキ編
今日は西荻窪のコーヒーロッジダンテ。
きっと『神曲』を書いたダンテからとったんだろうな。とは言うものの
森鴎外もダンテも未読だ。
店先に自転車が止まっている。この風景がいい、インテリアも素敵で、艶やかなチョコケーキのようなカウンターの椅子が目を引く。
⭐︎
私にとって、チーズケーキとコーヒーは、ピザとコーラ、カレーとラッシーのようにお決まりのコンビだ。コーヒー専門店ではわたしはこのマッチングのキューピット役になる。
私は、好きなものを食べることで絶妙な安全性を保っている。だから海外小説を読んでるときもつい気になるのは、食文化の記述。
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最近読んだ本はドン・ウィンズローの『ストリート・キッズ』。
ロンドンが舞台の小説でとにかく紅茶が飲みたくなること必至。それも高級茶葉でなく100ピース入りデイリーユースの丸形のティーバッグのものを。本書では蜂蜜をたっぷり絡めた紅茶を飲むシーンが幾度となく出てくる。それにオートミールのクッキーがお供だ。
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オートミールクッキーが恋しくなった。
下の写真は私が10年ほど前にレシピブログを書いていた頃のオートミールクッキーの画像。『ストリート・キッズ』に触発され、また作ろうと思い当時のレシピを検索した。
当時は蕁麻疹等に悩まされており食生活に異常にこだわっていた。だからこれ、材料のクセが強い。小麦粉の代用にキヌアや米粉を使い、バターの代わりに菜種油やリンゴピューレを代用している。いかに代用品で最もらしくできるかのチャレンジをしていたのだけれど、今は幸いそのチャレンジも必要ない。
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そういえば最近の私、やらないということに満足するようにしている。いまなら材料集めに奔走するのをやめる。どこかでオートミールクッキーを買おうか。........ものづくりは専門家に任せると決めたのだ。でも出来上がったばかりのクッキーのあの柔らかさ、温かさは手作りじゃないと味わえない。その葛藤のあいだでしばし揺れる。凪の時はいいけど、荒波ではバランスが崩れる。葛藤もほどほどに。
ドン・ウィンズロー『ストリート・キッズ』のティータイムごっこは、
いつか気になるオートミールクッキーを見つけた時に叶えよう。
そのときは、「あ、食べたかったんだよね!」くらいの偶然を装うと思う。
封印した情熱は、思い出したときにまた楽しめる。
【2015年10月ごろ訪問】
【東京都:小川町(淡路町)】高山珈琲 喫茶店のチーズケーキ編
喫茶店のチーズケーキ編をお届けしている。
今日は小川町(淡路町)の高山珈琲だ。
小川町駅と淡路町駅は、ほぼ同じ場所にある。
これは、遠征組さんへの豆知識として記載する。
(神保町も神田駅も頑張れば徒歩可能だ。←徒歩がなかなか変換されず杜甫と出てきてトホホ)
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しなかったことを満足しよう月間を送っている:5月の後半の状況は以下の通りだ。
夕食を作らず、家の近所の食堂で済ませた。
朝食を作らず、喫茶店でモーニングをして出勤した。
夜寝る前に本を読まなかった。
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1週間の食生活パターンはだいたい決まっている。
月曜は仲間と外ランチ。火曜から金曜までは、作り置きのおかずでお弁当箱を埋める毎日だ。でも、詰めないお弁当の数だけゆとりができるかも知れない。
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そして、まっすぐ帰るのをやめてみた。
そのとき、一番に寄りたいと思ったのがここ、高山珈琲だ。
綺麗な生クリームのフリルで縁取られたチーズケーキがとてもおいしいのだ。
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いまは家で本格珈琲を淹れるのをやめている。
飴色の愛すべきものが泥沼化したら嫌だ。
凝り症だからはまってしまうことがわかっている。
息抜きのための趣味のはずが、そうではなくなるのがこわい。
それに、私はどこかに足を運び、気分転換のために珈琲を飲むことが好きなのだ。
専門分野は専門家に任せるのがいい、と思う。
あと可憐なお皿を鑑賞するのも、お店ですればいいと思っている。
わたしにとって高山珈琲は、両方叶えてくれるお店なのだ。
【2015年9月訪問】
【東京都:人形町】かふぇ あっぷる 喫茶店のチーズケーキ編
まだまだある。喫茶店のチーズケーキ編をお届けする。
今日は人形町にある焙煎コーヒー店〈かふぇ あっぷる〉だ。
表記はひらがなだ。
こちらのチーズケーキは独特な形をしている。
カリカリに香ばしく焼けたシュー皮に包まれている。
パリブレストのような見た目をしていて、中は酸味のきいたチーズケーキときている。工夫され、それにとても美味しい。
他にも季節のフルーツを使用したタルトなど、ショーケースに収められたマダム手作りのケーキはすべて見目麗しい。
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さて週末は地球ゴージャス(岸谷五朗さん・寺脇康文さんが主催する演劇ユニット)のミュージカル”ZEROTOPIA”を観劇してきた。タイトルからテーマが滲み出ている。
ユートピアとディトピアのお話だ。
あらすじは、こうだ。
ある日、豪華客船が沈没する。
無事生還した登場人物たちは、そこにいるみんなの過去が共有できるようになる。
それは、なぜなのか。
登場人物はある共通した理由で、豪華客船の乗船者として選ばていた。
それは、なぜなのか。
鑑賞後には、大事にしてこなかった人を抱きしめたくなる。
ごめんなさい、とすぐにでも謝りに行きたくなる。
それは、自分に対してだ。
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好きなシーンは
ある主人公がひとりぼっちで、話し相手もなく、いつも自分と対話し続けるが、とうぜんなかみが枯れてくる。はなすことがなくなるのだ。その、ちょうど自分との対話がうまくいかなくなったころ、おりよく目の前に、友だちが現れるシーンがある。
友だちができると新たな対話がうまれるのだ。
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わたしはまだまだ自分との対話が足りないし、想いを伝える語彙が足りないから、
いまだに、そしてこれからも本が友達である。
〈ZEROTOPIA〉の観劇に感激したあとは、
やはりG.オーウェルの『1984』と『動物農場』を読みたくなった。
『1984』は持っていたはずだが、探してもない。
新しい『1984』を用意した。新訳で、高橋和久さんの翻訳したものだ。
【2017年9月訪問】