アベノミクスは果たして成功するのか。
それがはっきりするまで、あまり時間はないと思います。
ここ数ヶ月くらいが勝負ではないでしょうか。
この間になんらかの成果を示せないと、暗示効果はまったく発揮できず、期待が失望に変わってしまうでしょう。
暗示効果、つまり「これはいけそうだ!」と多くの人が思い浮かべるようになることーーが働くためには、初期段階の成功が特に大事です。
そのため、初期段階の成功は全力で勝ち取らなければなりません。
初めよければすべてよしーーこのことは戦略では絶対です。
アベノミクスもそういう観点で眺めることが必要です。
ルールの選択は自分に有利になるようにするのが当然なのに
大リーグでは、試合が一方的な展開になった場合での盗塁やセーフティーバント、3ボールからの強振を自粛する「暗黙のルール」がある。
この「紳士協定」に違反すると、その打者や次打者が報復死球を受ける可能性が高い。
ところで、9日(日本時間10日)、WBC1次ラウンド、D組のメキシコ―カナダ戦で、故意死球をきっかけに大乱闘が発生した。両チームで計7人が退場。
ことのおこりは、6点リードで迎えたカナダの攻撃。先頭打者ロビンソンが初球に三塁へバント安打。
メジャーでは大量得点差の状況では禁じ手であり、メキシコ三塁手のクルーズが投手のレオンに当然のごとく報復を指示。
2球続けて体スレスレに投じられたところで球審が両軍へ警告を与えたが、直後の3球目、打席に立ったトソニの背中に直撃した。
ではなぜ、カナダが紳士協定を破ってまでバントを行ったのか。
それは、WBCのルールが原因だ。
1次ラウンドで同率チームの順位決定は、まずは当該チームの直接対決。それでも並んだ場合は、得失点率によって決められる。そういう場合に備えて、1点でもほしいのだ。
つまり、この乱闘は国際ルールと大リーグのルールの違いがもたらしたものともいえる。
ところで、同じことがTPPでも起きるのではないかと危惧されるのである。
TPPでは国内法は適用されず、TPPの条約が優先されるISD条項というのがあるからだ。
これについては、類似の参考事例がある。
少し前、カナダはアメリカの石油を輸入していたが、そのなかに有害物質があったため、その石油の輸入を禁止した。
すると、アメリカ企業はカナダ政府を訴え、なんと裁判で勝ってしまった。カナダ政府は賠償金を支払ったという。
どう考えても理不尽に思えるが、こういうことがTPPでも起きると危惧されている。
しかも、TPPの裁判ではアメリカ企業が圧倒的に有利になっている。
裁判が世界銀行(アメリカ政府の強い影響下にある)の傘下の団体によって行われ、かつ裁判が非公開で行われる、しかも一審しかないのだ。
さらに、この裁判は経済利益だけを重視する裁判になっているというのだから、もう何をか言わんやだ。
大企業の言い分に国家がいいなりになる事態を、安倍首相は本気で受け入れようと考えているのだろうか。
暗愚な首相をいただく日本は悲劇だ。
戦略リーダー養成のための組織行動学科7:戦略眼養成の訓練法
組織行動学科シリーズ全7巻も、今回で最後。ついに全巻完成となりました。
最終回は、戦略眼養成の訓練法。
この訓練法は、いわゆるデータ分析の訓練ではありません。
見えないもの、まだ表に現われていないものを察知するための訓練です。
今回取り上げたのは、以下の5つ。
・兆し発見の訓練
・チャート分析
・ギャップ分析など
推理力をつけることが主眼になります。
ポイントは、自分の好きな題材を選ぶこと。
訓練をコツコツ続けないとものになりません。何年も行う必要があります。
そのためには、持続できることでないといけません。
紹介動画を用意しました。なお、組織行動学科の詳細はこちらにあります。
戦略リーダー養成のための組織行動学科第3巻組織間の相互作用
新興国が安価な労働力によって世界の生産地として機能し、日本国内の仕事がどんどん奪われています。
日本が生き残るには、あるいは個人が生き残るためには、高度な価値の創造が求められます。
従来の仕事の延長では、新しい価値は創れません。そのためには、どういう知識と心構えがなければならないのか。
ものごとを戦略的に考えることも、そのひとつでしょう。
今や、あらゆる階層のリーダーが、戦略思考を身につけ、日々の仕事を効果的に行う必要があります。しかし、それができるためには、戦略センスが身についていなければなりません。
しかし、戦略リーダーになりたいなら、戦略手法ばかり学んでいるのはどんなものでしょうか。
野球やサッカーでいうなら、球を扱う以前の基礎体力養成みたいなものがないといけないでしょう。それをやらないで、いきなり技術論に入るのは、私には無謀のように思えます。
いや、かえって害があるとさえ思っています。
何か問題があると、すぐ戦略手法を探すようなことでは、ろくな戦略などたてられませんね。
自分の問題は自分の頭で考えないとだめです。
なぜなら、自分の問題は、世の中にひとつとして同じものがないからです。最後は自分で考えるしかありません。
その考える力をつけるのが、この組織行動学科です。
第3巻、組織間の相互作用の紹介動画です。
戦略リーダー養成のための組織行動学科ー動画作成
組織行動学科のテキスト、全7巻のうち、最初の1巻ができました。
第1回は「組織の問題」
紹介動画です。
詳細はこちらに
http://lken-leader-school.com/index.php?organization1
戦略リーダー養成のための組織行動分析ゼミ
L研リーダースクールでは、この春から組織行動分析ゼミを開講する予定です。
テーマは戦略センスをいかにつけるか。
私は戦略について戦略手法を教えるやり方には批判的です。
戦略センスがない人に手法を教えても役に立たないと思います。
こんな主旨でやりたいと思っております。
より詳しい説明は、L研リーダースクール組織行動分析ゼミで
◆問題を調べるな
何か新しいことを起こすときこそ、リーダーの行動力が問われます。このようなとき、リーダーはどういう心構えでいるべきかという問題を取り上げてみましょう。
最近、橋下徹氏は、「10年後に原発0(ゼロ)! と叫ぶのは、10年後に火星に行くぞ! と叫ぶのと同じレベル」と未来の党をしきりに非難しています。
維新の会は、いろいろな調査手続きを経ていけば、自ずと原発のあり方が見えてくると言っています。これが橋下氏の戦略的意思決定の方法なのでしょうか。
私は橋下氏の戦略家としての資質については、日ごろから疑いの目で見ております。
大きな目標をぶちあげ、落としどころを見て、小利をつく。その繰り返しです。
戦術的な勝利を積みかさねても、必ずしも戦略的勝利は得られません。それは太平洋戦争の敗北で立証されています。
◆戦略的意思決定のあり方
新しいことを起こそうとすれば、まずなにがなんでもやるんだ、という気でなければなりません。いちばんよくないのは、そして、大きな組織ほど起きがちなのが「調査してみてから決めよう」という態度です。
だいたい、そういうような問題は難しいから論議になるわけです。ですから、調査したら、問題点が山のように提示されるに決まっています。それではみんなやる気を失ってしまうでしょう。
こういう場合は、問題点を洗い出すことが議論のテーマになってはいけません。問題点をどうすれば克服できるかを論じるようでなければなりません。
まず、「できるのだ」と腹をくくる。それから、「どうやったら問題を克服できるか」というところに思考を集中させていくことが大事です。
私がいつも感心するのは、初代の南極越冬隊長・西堀栄三郎さんです。
日本人にとって、南極で冬を過ごすことは初めての経験でした。1950年代のことですから、当時の日本はまだ貧乏国。カネも技術もない。経験もない。不安だらけだったでしょう。ですから、無理だという人がほとんどだったのも無理はありません。
そこで、例によって日本が行けるかどうか調査をしようという意見が会議で出ました。でも、西堀さんは反対しました。調査をすれば、必ず問題点がいくつも見つかります。そうなったら、絶対反対者が増える。
そういう調査は意味がないと西堀さんは考えました。そうではなく、まず行くことを決める。そして、そのために、どういう問題をクリアしていくかという発想でないと絶対駄目だと主張したのです。
◆決断したあとの細心さも必要
さて、紆余曲折を経て、日本も南極探検に行くことが決まりましたが、それからの西堀さんは事前準備を周到に行っています。南極に出かける前には、北海道の厳寒の地で隊員たちと暮らし、南極越冬の予行演習をしております。
そこでは、隊員の訓練だけでなく、犬ぞりの訓練、越冬のための食糧の研究、機器の耐寒テストなど、広範囲なテストが行われました。
つまり、南極で行う仕事を細分化し、それを個別に取り出してテストしたわけです。
その結果、発電機のオイルが凍って使い物にならなくなることがわかりました。また、寝泊まりする建物の構造に不備のあることもわかりました。
西堀隊長は、このような調査を「論理的リスク削減対策」と呼んでいました。論理的に考えられるリスクをすべて拾い上げ、それを徹底的にテストしてつぶしていこうというのです。言い換えれば、仕事を細分化し、それぞれについて疑似体験することで、リスクを発見しようということです。