恋なきこに恋が到来、そして去る
いつからだろう。
もう恋なんかしないと思い始めたのは。
いつからだろう。
恋愛が面倒くさいというカテゴリになったのは。
いつからだろう。
恋というものが自分にとってマイナスなことになったのは。
学生時代は苦しい気持ち沢山泣いたりもしたけど、恋をしている自分が嫌いじゃなかったし、好きな人がいたから勉強も部活も嫌なことも耐えれたし頑張れてた。
人を信じられなくなっていた私がもう一度信じてみようと思うことができた人。
5年という長い月日を一緒に過ごしてきたけど、与えてもらうばっかりで私から与えられなかった結果が招いたお別れ。
永遠はない、どんなに信じても裏切られる、恋なんてもういいやとなった瞬間。
元々恋愛体質ではなかったのにもっと遠ざかる。
友達に便乗して婚活パーティーや街コンに行っても乗り気になれず、そんな雰囲気になろうものならすべてシャットアウトしてきた。
恋愛するの面倒くさい。辛い想いしたくない。仕事や好きなことだけ考えたい。
ある職場に就く。
会社自体を辞めようと思っていたはずなのに何故か辿り着いた職場。
社会人になってから初めてのすべてがホワイト…と思った職場・人。
良い人というだけでなく仕事が超できる優秀な方達が集まる、いるだけでモチベーションアップ、成長できる、そんな職場。
見た目とのギャップで言葉の伝え方が綺麗な人だな。
テレワークだから挨拶でさえ直接顔を合わせたことがなく、チャットの文字とたまにする通話のみのざっくりとした最初の印象。
多分ハタから見たら皆同じような文章なのに日を追うごとにその人の文だけ特別に見えた。本当、他にも丁寧で伝え方がうまい人いたのに。
頭の回転が速くて、仕事量膨大なのにきちんとこなす。話し方も声もとても心地よくて聞きやすい。対応の仕方がスムーズで忙しいのにどこか余裕を感じるやさしさ。不明点を分かりやすくサッと教えてくれる。
作業の為に私へ送ってくれたファイル・マクロ組んで作ってくれたExcel。
言葉の伝え方が綺麗で真面目な印象からちょっとした遊び心がみえたこの瞬間から私は尊敬の好きから恋愛の好きになったんだと思う。
そのときは気づいていなかったけど、気づいてないふりをしていたけど、段々確信に変わっていって気づいたときには気持ちの後戻りができなくなってた。
気づかされた後は、毎日してた一言、二言のチャットもたまーにする仕事の通話も業務指示のチャットも仕事だって分かってるのにやり取りできたことがいちいち嬉しくて、返信がないときは少し落ち込んだりして。
あんなに職場恋愛はないとか恋なんてもういいやって言ってたのにな。
色々初めての好きだった。
でも恋人がいる。
長く付き合ってて同棲までしている、きっと素敵な彼女。
マイナスなこと言ってたけど、なんだかんだ結婚までいくんだろうなって。
それでいい。幸せになってほしい。
だって私にとって尊敬する大切なひとだから。
そう心から思うのに、どこかで嫌だって言っている自分がいて。
自分とどうのってこと絶対あるわけがないのにそう思ってしまう。
じゃあこの感情は何?って毎日毎日すごく辛くて苦しくて悔しくて。
30代にもなってウジウジ本当バカみたい。
だから職場から離れることを選んだ。
選んだというかそうなる道が用意されていたから、すごく悩んだけどそのまま進もうと決めた。
今の仕事はすごくやりがいがあって、尊敬する人たちから学ぶこと沢山あって、自分にとって成長できることが沢山あって、まさか30越えてからこんな恵まれた職場に出会えるなんて正直思ってもなかった。人生の中でないと一生ないと思ってた。
でも別の感情が生まれてしまった今、もう「仕事」だけをすることはできない。
例え感情を消したとしても私の中では切り替えることができない。仕事での力が十分に発揮できない。それは嫌だ。
職場を離れるのは名残惜しいけど、この選択をしたときなんかすごくスッキリした。
もちろん辞める理由はこれだけじゃないから肩の荷が下りたのかなって思う。
あと数ヶ月でこの毎日にもこの想いにも終止符をうつ。
きっとその日まではあっという間でそれが過ぎたら何もない日々が当たり前になる毎日が待ってる。
もう関わることも会うことも本当になくなってしまうんだ…って考えると今は辛くて苦しいけど、きっと「尊敬」への感情に戻れたときは一緒に過ごせた数年がいい思い出になってるかな。
尊敬する人に出会えたこと
沢山ある部署の中で同じ部署の配属になれたこと
その中でもより近くで仕事ぶりや姿勢をみれたこと
私のことを少しでも評価してくれたこと
仕事で行き詰ったときいつもサラッと助けてくれたこと
飲み会に誘ってもらえて実際に会えたこと
友達ではないけど個人の連絡先を知れたこと
一緒に写真を撮れたこと
もう一度人を好きになることを教えてくれたこと
考えてみれば、同じ日本で同じ時代で同じ職場で出会えたことが奇跡だし、私という存在を知ってくれて一緒に仕事できて飲み会の内輪に入れてただけで、そのひとの人生の一部に入れたそれだけでも幸せなことなんだよな。
すべてのタイミング、すべての人に感謝しかないや。
この後職場を離れてから運よく会えても、もう一生会えなくても、尊敬する気持ちは私の中ではずっと変わらないからこの先もずっと好きな人。
尊敬の好き。大好き。
いつか幸せな報告を聞けるときがあったとき、心から祝福できる同僚でありたい。
そんな私になるために、最後まで悔いなく終わらせて次の新しいステージへいくんだ。頑張れ私。