駕与丁公園で夜桜見物。
駕与丁池をながめていたら、ふと、
思い出しました。
ペンフレンドの二人の恋はつのるほどに
悲しくなるのが宿命
また青いインクが涙でにじむせつなく
若すぎるから 遠すぎるから
会えないから 会いたくなるのは 必然
貯金箱こわして
君に送ったチケツト
定期入れの中のフォトグラフ
笑顔は動かないけど
あの大きな玉ねぎの下で 初めて君と会える
九段下の駅をおりて 坂道を
人の流れ追い越して行けば
黄昏時 雲は赤く焼け落ちて
屋根の上に光る玉ねぎ
中学生か高校生くらいのときの曲。
あれ、そもそも今時の子、
ペンフレンドってわかるのかな。
文通って知ってるのかな。
まぁいいや。
ところでさ、なんで女の子、来なかったと思う?
え?特別な用事ができたんじゃない?
急なご不幸とか事故とか。
連絡しようにも家出てるだろうし、
スマホないから連絡しようがない。
…私はね、こう思ってるの。写真が、偽物だった。
たとえばクラスで一番可愛い子の写真送ってた、とか。
んなことないよ。
昭和の時代の高校生がそんな詐欺みたいなこしないでしょ。
いや、詐欺とまでは言わないけどさ。
話の成り行き上とか、盛り上がって
お互いの写真を送ることになったはいいけど、
自分の写真を送ったことで文通が終わってしまったら、とか
自分の容姿に自信がない、とか
今みたいに修正も加工もないのよ、
ありえると思う。
仮によ、あなたがこの男の子の立場だったとしてよ、
コンサートから帰ってから、手紙、書く?
書かない、たぶん。書けない。
だよね。
じゃあ女の子は書く?
やんごとなき事情でいけなかったとしても、
いいわけがましいそんな手紙、書かないよ。
偽写真を送ってたとしたら、なおさら。
待って、この子達に悪意はないよ。
残念ながら二人の恋はここで終わりよ。
せいれいちゃん…心がねじ曲がってる…
あ、そう。
もしかしたらね、
女の子はコンサート会場までは行ったかもしれない。
だとしても、遠くから見つめて、黙ってさよならよ。
ほ、本当に捻じ曲がってる…
ああ、夢壊してごめんね。
(2回も言ったな、覚えてろよ)
だけどさー、昭和の歌って情景豊かよねー
私、夜の池みてて、「千鳥ヶ淵、月の水面」って
言葉と情景が浮かんだんだわ、たぶん。
千鳥ヶ淵なんて行ったことないけどね。
それにしても昭和の文通、
言葉だけのやり取りでの恋って、まるで平安ね。
恋は千年経っても変わらないってことだね。
というわけで、今夜も寝落ちするまで読みますよ。