【熊野古道・中辺路】一泊二日テント泊縦走、2日目
登った日:2018年06月25日~ 2018年06月26日
天 候:6月26日 AM晴
メンバー:単独
【コースタイム】
起床 6:30
蛇形地蔵 7:30
三越峠休憩所 8:05
湯の峰温泉への分岐 9:10
伏拝王子休憩所 11:05
熊野本宮大社 12:30
【二日目】
6:30、起床。
地面が固かった。寝返りの度に目覚めるも、なんだかんだよく眠れた。
近くに川が流れているので、顔を洗い歯磨きをする。ついでに水浴びも。冷たい流れに無理矢理頭を突っ込むと気持ちいい。早く風呂に入りたい。
7:30、蛇形地蔵、再び。
昨夜と違い、朝の凛とした空気が清々しい。
あの恐ろしい雰囲気はない。
8:05、三越峠休憩所。
山を登った先に立派な休憩所がある。
まだ新しくトイレも綺麗。
いい野宿スポットだと思ったけれど、
「焚き火、キャンプ禁止」
の貼り紙があった。
ここに来てようやく携帯の電波が一本立った。昨日の後半から携帯が通じなくなっていたので、奥さんにLINEを送り無事を伝える。
三越峠の関所を抜けた先から、道が徐々に歩きやすくなる。
途中で「道の川集落」の跡地を通る。
かつては小さな集落があり、南側には田畑まであったらしい。
そう言われて見ると、確かにそんな作りだ。
昭和48年まで人が住んでいたと想うと、ついつい足が止まる。
そう遠くない昔の、全然知らない山奥の生活を想像する。
9:10、湯の峰温泉への分岐。
ここにはトイレもある。トイレ前は広場。
ここから直進し東へ向かえば、熊野本宮大社。
分岐を右に曲がり橋を渡れば赤城越、湯の峰温泉へ。
その後はしばらくは、いくつかの小さな集落を抜けて進む。
所々で無人販売がある。梅干しやジュース、色んな物を売っている。
この間、アスファルトなので歩きやすい。
歩いていると中型犬くらいの大きさの動物が一瞬横切った。
そして落ち葉の詰まった側溝に頭を突っ込み、お尻だけ出して必死にもがいている。
「なんだなんだ……」
そっと近寄ると、動物はさらに大慌てで掘り進む。
残すは尻尾だけになり、全身がすっぽりと見えなくなる。
いったいなんだったんだ、側溝の隙間を覗き込むと、
「ヴゥゥゥー」
低い唸り声。
それでもしばらく繁々と眺めていると、向こうも下からつぶらな瞳で見上げている。
タヌキか、イタチか……
スカンクに見える。
一人で側溝の隙間に必死に話しかけていると、謎の動物も逃げるわけでもなくこっちを見つめている。
かなかな可愛い。
いつまでも動物と見つめあってるわけにもいかないので、本宮大社を目指し進む。
水呑王子から伏拝王子へ向かう道は、宿泊施設もある。
もう山から里に下りてきた感じがする。
11:05、伏拝王子の休憩所。
トイレにベンチ、僕が行ったときは開店していなかったけれど、200円で梅ジュース、紫蘇ジュース、コーヒーなどを売っているらしい。
伏見王子を後にする。
民家の脇を通り、最後の坂を下る。
鳥居が見える。
大通りとは反対側から入っていく。
12:30、熊野本宮大社到着。
熊野古道中辺路、無事にゴール。
【熊野古道中辺路を歩いてみて】
一泊二日しか歩いていないけれど、熊野古道は思っていたよりも、海外のロングトレイルと似た作りになっている気がする。
コンパクトにまとめられたロングトレイル。
ひたすら山道を歩くわけではなく、山中と集落を交互に歩く。
途中で宿泊することも、補充することもできる。
地元の方の助けや交流もある。
そして長い歴史がある。
それは熊野古道で暮らす人達の中や、今はもうなくなってしまった集落跡、そして何千何万の旅人が歩いてきた道に、ふと感じられる瞬間がある。
山のピークを目指す登山とは、また違った楽しみがありました。
総じて楽しい熊野古道トレイルでした。
【熊野古道・中辺路】一泊二日テント泊縦走、一日目
登った日:2018年06月25日~ 2018年06月26日
天 候:6月25日 AM晴 PM晴
メンバー:単独
【コースタイム】
滝尻バス停 9:30
高原霧の里休憩所 11:05
道の駅牛馬童子ふれあいパーキング 13:05
道の駅で昼食 13:05~14:05
近露 15:00
野中の清水 16:20
迂回路 17:45
蛇形地蔵 18:35
テント場 18:50
【一日目】
4:30、渡瀬緑の広場キャンプ場で起床。
川沿いにあるので結露が酷い。
ツェルトの入り口を全開で寝たにも関わらず、少しの振動で雨のように滴が降り注いでくる。
他のキャンパーはまだ寝ているので、静かに撤収を済ませバイクを走らせ本宮へ向かう。
6:30、キャンプ場からバイクで15分、熊野本宮に到着。
近くの川原が一面駐車場になっているらしいのでそちらへ向かうと、犬の散歩をしていた地元のおばちゃんに出会う。
その柴犬がやたらと可愛い。
聞けば思った通り女の子だった。
くしゃくしゃに犬を撫で回しながら、おばちゃんと話をしていると、
「駐車場なら、道路沿いの和歌山県世界遺産センターに停めるといいですよ」
「滝尻行きのバス停もそこにありますよ。便は少ないですけど」
色々教えてくれる、上品なおばちゃん。
やっぱり熊野は普通の田舎とは違う。歴史があるだけあって、人もどこか雅ているなあと感心してしまう。
おばちゃんにお礼を言って、教えられた世界遺産センターへ向かう。
バスの時刻表を確認すると、一日に三便と、思いの外少ない。
次のバスは8:05。
駐車場にバイクを停め、ツェルトを乾かす。
やることもないので、まだ人の少ない静かな本宮を散策する。
9:30、滝尻着。本宮から一時間以上バスに揺られた。
バス停横の橋を渡ると、小さな集落がある。
右手には熊野古道館。左手にはカフェや土産物屋、ホステル等が数軒並んでいる。
熊野古道館で是非もらってほしい地図。
無料とは思えない作りで、ルート、標準コースタイムだけでなく、施設や自販機、給水ポイント、実際の古道500メートル毎にある番号道標、とにかく事細かく記載してある。
9:40、熊野古道中辺路、縦走スタート。
スタート地点の地図を眺めて計画を考えていると、隣のカフェのお姉さんが出てきて、コースのアドバイスをしてくれる。
いきなりの急登が始まる。
「不寝王子」の石碑。熊野古道の至るところにあり、その都度解説のパネルも設置してある。これを読むのがまた楽しい。じっくり読んでは想像を膨らます。
歴史好きな人は、予定時間多目に設定した方がいいかもしれない。
11:05、高原霧の里休憩所。
自販機にトイレ、休憩スペース、さらに土日祝日は草餅まで売っているらしい。
カフェのお姉さんの話で、この先道の駅までは何もないとの事だったので、自販機でジュースを購入。
休憩所を出発するとき、ちょうど目の前の家のおじいさんが軽トラで帰ってくる。
「こんにちはー」声をかける。
「こんにちは、今日は暑いね~。気をつけてね~」
会う人会う人みんな気さくだ。
山深い農村なのに、排他的な雰囲気はまるでない。
熊野古道は、何百年も旅人を受け入れてきたんだなあと嬉しくなる。
坂を上っていくと、家の前で「エナジーバー」が売っている。ほんとにウェルカムだ。
この後は、熊野古道らしい山道を進む。
石畳は苔で滑りやすいので注意。
13:05、道の駅牛馬童子ふれあいパーキング着。
ここで一時間、昼休憩をとることにする。
めはり寿司と鯖寿司の弁当。茹で玉子に草餅。美味しくて値段も安い。
歩きやすく眺めのいい道が続く。近露の町が見えてくる。
15:00、近露に着く。
近露の町はこの辺りでは大きな町で、民家も多い。数軒の商店もあったので、飲食物の補充はここでできる。
旅館や民宿も点在しているので、野宿じゃなく宿泊施設を利用する予定の人は、ここで泊まる人が多いらしい。
僕はテント泊をするので先を急ぐ。
近露の先の野中にも数軒の宿泊施設があった。
14:05、継桜王子に着く。
継桜王子から階段を下ると、道路脇に「野中の清水」がある。
「全国銘水百選」にも選ばれているらしく、ちょうど地元の人が汲みに来ていた。カッパを着込んでペットボトルに何十本も汲んでは、軽トラに積み込んでいる。
遥か昔から、熊野古道を歩く旅人は、ここの湧き水で喉を潤しつきたらしい。それを想うと不思議な感じがする。せっかくなので三リットル補充していく。
「ボクのオチシコ冷しコーヒーだよ」
ハイセンスな自動販売機。
17:15、小広王子に着く。
途中、東屋があったりするが、ツェルトが張れるような場所がない。自立式のテントを持ってこなかったことを悔やむ。
すでに午後五時をまわっていたので、焦り始める。
走れるところは駆け足で進む。
目的地は蛇形地蔵に定める。
17:45、迂回路に到着。
蛇形地蔵まで後少し。
希望が見えた!
「迂回路を通ると、蛇形地蔵まで一時間半かかります」
一時間半………
ウソ……
希望消えた!
ここにきて、なんと山越えが始まる。
写真もこれ一枚。
「日が沈む前に着く!」
一心で休みなく山を登っては下り、
走れるところは走る。
18:35、死に物狂いで蛇形地蔵到着。
何ここ怖い!
思ってた感じと違う!
薄暗く、肌寒く、小汚なく……
「なんか出てください」と言わんばかり。
参考にしていたブログを読んで、どこにテントを張っていたかを確認する。
「真夜中の山中の闇は非常に怖かった。テント近くで砂利の上を歩く音が一瞬聞こえました。」
これは良くない。良くないぞ。
おどろおどろし過ぎる。
急いで下ってきた坂を猛スピード登る。
そして坂の上で無理矢理ツェルトを張って、一安心。
今日は頑張ったから飯が美味い。
本を読んでいたら面白くなり、22:00就寝。
鈴鹿セブンマウンテン縦走 二日目
【二日目】
起床 04:30
出発(根ノ平) 05:30
雨乞岳 08:00
御在所岳 10:25
鎌ヶ岳 12:00
入道ヶ岳 16:05
椿大社(下山) 18:30
五月二十二日、朝四時に目覚ましをかけるも、外はまだ真っ暗。結局二度寝をしてしまい、四時半に活動開始。
昼飯は行動食しか摂らないので、朝は米と味噌汁でしっかり栄養補給。
五時半に荷物をまとめ終わり歩き出す。
昨日の後半から左膝が痛んでいた。一日経てば痛みも退いていくと思い気にしていなかったが、歩き出すとすぐにまた痛くなる。歩けないほどではないので、構わず先を急ぐ。
コクイ谷出合、杉峠を経由し雨乞岳へ。
八時に雨乞岳に着く。根ノ平から約二時間半、コースタイムと同じくらいだ。
そのまま東雨乞岳、クラ谷分岐を過ぎ、沢谷峠の分岐へ。
沢谷峠から直接御在所岳へ向かう道が見つけ難い。
よく見るとピンクのテープで目印はしてあるけれど、看板がない。
以前このルートを歩いたことがあるにも関わらず、そのまま通り過ぎた。GPSで現在地を確認し、見逃したことにようやく気づき引き返した。
このルートを使わないと、一度武平峠の駐車場に出てピストンするか、雨乞岳の前に御在所岳へ向かうかしないといけないので、いずれにしても遠回りになってしまう。
体力や時間に余裕がある人は問題ないけれど、ない場合はこのルートは使った方が楽だ。
十時二十五分、御在所岳に着く。
流石御在所岳、平日でも人が多い。
御在所岳にはレストランもあるので、一食分荷物も減らせるし、水も補給できるので、利用するのもありだと思う。
ただし三角点からは少し距離があるので注意。
僕は行動食を食べ少し休憩し出発。
目の前に鎌ヶ岳が見えている。
今までと違いすぐ隣に次の山が見えているのは、精神的に楽。
見えててもなかなか着かないけど。
十二時、鎌ヶ岳着。
久々の鎌ヶ岳。思っていたより登山道が長い。斜面が急なだけですぐに山頂に着くイメージだった。
ここで左膝に異変が起こる。徐々に痛みが増してくる。
後は入道ヶ岳一座だし、まあ大丈夫だろうと先へ進む。
遠くに入道ヶ岳の山頂が見える。
遥か彼方ではあるけれど、最後の一座だと思うともう少しだという気持ちになってくる。
ただ気持ちとは裏腹に、膝が急激に痛くなる。上りは我慢できるが下りが激痛で、左足を庇うように歩かないといけない。
全然スピードが出ない。進むのにコースタイムの倍かかり始め焦る。最後までアップダウンしかない鈴鹿の尾根が恨めしい。
尾根から入道ヶ岳山頂がよく見えるので、遅いけど確実に近づいていると自分に言い聞かせ進む。ほんと遅いけど。
坂を上りきると、入道ヶ岳の鳥居が見えてくる。
十六時五分、遂に入道ヶ岳到着。
時間も時間なので山頂には人影もなく、一人でポツンと感動のゴールを切る。
念願の鈴鹿セブン縦走を成功させたので、もちろん感動と喜びはあるが、ここからこの足での下山を思うと憂鬱だった。とにかく膝の痛みから解放されたい。
日が沈むと嫌なので、さっさと下山を開始する。
急斜面に膝が悲鳴を上げているので、途中ちょうどいい長さの木の枝を杖がわりにして下る。
「ヒーコラ、ヒーコラ、バヒンバヒン」
痛みを堪えながら無心で心の中で呟き、その遅いリズムで引き摺るように足を前に出す。
十八時半、コースタイムの約二倍の時間をかけてどうにか下山。無事でよかった、自分。
こうして、鈴鹿セブンマウンテン縦走が終わった。
鈴鹿セブンマウンテン縦走 一日目
【一日目】
起床 4:10
大貝戸登山口 5:20
藤原岳山頂 7:20
竜ヶ岳山頂 10:15
釈迦ヶ岳山頂 14:10
テン場(根ノ平) 17:00
2018年5月21日、朝4時10分。
まだ窓の外は薄暗かった。
枕元に置いた携帯のアラームを止め、ベッドを抜け出しフリースを羽織る。
眠くはあったが、緊張と興奮で意識はすぐに冴えていく。
僕は鈴鹿セブンのスタート地点を、藤原岳の大貝戸登山口に決めていた。
奥さんに送り迎えしてしてもらえることになっていたので、早朝から申し訳ないが奥さんを起こす。
準備は前日に纏めてある。顔を洗い、歯を磨き、着替えたらすぐに出発。
荷物は極力少なくしたかったので、朝食をガッツリ食べて、その分持っていく食料を減らそうと考えていた。
途中ですき家へ立ち寄り、牛丼の定食を胃に詰め込んだ。流石に早朝からはもたれる。
大貝戸登山口には立派な小屋が建っている。駐車場には車が二台。
五時過ぎ、登山開始。
既に明るいのでヘッドライトは必要ない。この点は秋より絶対いい。一人で暗い山の中を歩くのは、怖くて怖くて。
藤原岳の上りは、八号目辺りまで単調なつづら折りが延々続く。誰もいない地味な上りを、黙々と歩く。
退屈といえば退屈だけれど、この地味な感じは嫌いじゃない。
一時間半で避難小屋の藤原山荘に着く。ここにも立派なトイレがある。そう考えると、藤原はよく整備された山だ。
まだ疲れていないので、トイレだけ借りてそのまま山頂を目指す。
スタートから二時間。山頂に到着。
ここまでは順調だった。まだまだ元気もある。
自分が今から歩く道を見渡す。期待と不安が膨らみ、変なテンションで坂を下る。
問題はここからだった。
藤原岳から竜ヶ岳へ向かうルートは、山と高原地図でも破線ルートになっている。
そして「迷」の文字が至るところにある。
その名も「迷い尾根」。
もうどんだけ迷うんだと、地図を広げルートを計画してる段階から、かなりビビらせてくる。
藤原岳を抜けてすぐ、急な下りが始まった。と思ったら、滑り落ちていく。
下るというか、木から木へ飛び移る猿のように、斜面の木すがりつきながら滑り落ちていく。
自分にできる唯一のことは、ただただピンクのテープ目掛けて落ちていくのみ。
いきなり酷い目にあったなと、竜ヶ岳を目指し気を取り直して歩く。
驚くほどアップダウンしかない。
藤原岳から竜ヶ岳の縦走路は、数年前に一度歩いたことがある。
今回久々に歩いて思ったのは、新しい標識が増えてる。そしてテープも新しい。これにはかなり助けられた。
迷い尾根に治田峠、鈴鹿セブンの難所を迷うことなく通過できた。
十時十五分、竜ヶ岳着。
なかなか良いペースではあるけれど、二座目にして体力は使いきった。やりきった感に満たされるが、まだ先は長い。歩かないわけにもいかない。
竜ヶ岳から釈迦ヶ岳へ向かう途中、石榑峠で水を補充する。
ここを当てにしていたので、スポーツ飲料を1リットルしか持ってきていなかった。
事前に調べた情報では、この看板の奥の道を進むと水場があるらしい。
でも、もし見つからなかったら下山するしかない。下山したいわけではないが、致し方ない。水がないなら、やむを得ない。撤退するも勇気。
祈るような気持ちで道を進むと、簡単に水場が見つかってしまう。
浄水しながら昼飯のポテチを食べる。
この柵の先に釈迦ヶ岳への登山道がある。
白い看板にうっすら立ち入り禁止みたいなことが書いてあるので、入っていいのかわからずウロウロ探し回ってしまったが、ここで間違いない。
登山道入り口手前の空き地は、テント泊するにもよさそうな場所があったので、この辺りでテン場を探してる人は利用してもいいと思う。水場も近いし。
ここから釈迦ヶ岳までの道のりが、長いこと長いこと。
さっき見たよねっていう、同じようなアップダウンを何度も何度も歩かされる。
どうせ後で上るなら、無駄に急斜面を下らせないでくださいと神様にお願いしながら歩くことになるが、願いは一切聞き入れられない。
この区間は疲労と距離の長さが合間って、精神的には一番キツいルートだった。
午後二時過ぎ、釈迦ヶ岳着。
御在所岳が見えるが、遠すぎて全然嬉しくない。むしろ悲しくなる。
この日の計画では、水晶谷でテントを張ろうと考えていたけれど、時間的にも精神的にも、肉体的にも追い詰められていたので、水が確保できる場所があればそこで張ることにする。
その後は、良い場所がないか探しながら進む。
御在所岳と雨乞岳の分岐、根ノ平に広い平地がある。すぐ近くに水場もあったので、ここを今日の寝床とする。
夜は飯を食いすぐ寝袋に潜り込む。
こんなに疲れるとは思わなかった。
鈴鹿セブン、予想以上に手強い。
鈴鹿セブンマウンテン一泊二日縦走準備編
【鈴鹿セブンマウンテンとは】
北は岐阜県から始まり、西に三重県、東には滋賀県と三つの県の県境いに位置する場所に鈴鹿山脈があります。
その鈴鹿山脈にある、
藤原岳、竜ヶ岳、釈迦ヶ岳、御在所岳、雨乞岳、鎌ヶ岳、入道ヶ岳、
この主峰の七座をまとめて「鈴鹿セブンマウンテン」と言います。
きっと東海地方や関西で、鈴鹿山脈に登山に来る人なら一度は耳にしたこともあると思うんですが、知名度はどの程度あるのか。
鈴鹿セブンマウンテン自体は昔からあったそうですが、トレイルランニングやファストパッキングが流行るに従い、鈴鹿セブンも名前が知られていったように感じます。
この鈴鹿セブンを縦走しようと思うと、「山と高原」地図のコースタイムで50時間弱かかります。無理なく歩くと三泊四日くらいかかることになります。
そこをトレランの人は一日で、ファストパッキングでも一泊二日で縦走します。
社会人で四日間を登山に充てることがまず難しいし、もしそれが可能でも、わざわざマイナーな低山に行く人も少ないと思います。
でもそれが二日間で行けるというので、一気に「鈴鹿セブンマウンテン縦走」が現実的になり、浸透していったんじゃないかなと思います。
三重県北部に住む僕にとって、鈴鹿山脈は一番身近な山です。大した登山経験があるわけではないですが、鈴鹿の山には何度登ったかわかりません。
1000メートル前後の低山ですが、場所により地質も違えば植生も変わる、景色の変化に富んだ山脈の一つ一つに個性があります。
地元の人間が言うのもなんですが、鈴鹿はとても良い山です。
数年前、登山を始めたばかりの頃は「鈴鹿セブンマウンテン」を全て登ることが目標でした。その七つを登り終えた時は、初心者なりに感慨深いものがありました。
その頃からいつか七つの山を一度に縦走してみたいとは考えていたのですが、時期もよく時間もあるうちにと思い、台湾から帰国してすぐ、5月21日から22日の二日間で行ってきました。
鈴鹿山脈は全国的にもヤマビルが多い地域です。
御在所岳以外が石灰岩なので、梅雨を境にヤマビルの巣窟と化します。いくら鈴鹿の山が大好きでも、ヒルはどうも好きになれません。なので僕にとってはベストシーズンだったんじゃないかなと思います。
【鈴鹿セブン一泊二日装備一覧】
全ての装備
身に付ける衣類以外をパッキングした状態
ベースウェイト
二日分食料
装備、食料をパッキングした状態
装備、食料、水分1リットルを含めた重量
装備一覧
ザック 山と道 mini2
テント ヘリテイジ クロスオーバードーム
寝袋 ハイランドデザイン Down Bag
パッド 山と道 UL Pad 15+
カッパ シートゥーサミット ウルトラシルナノポンチョ
水袋 プラティパス3L
靴 イノヴェイト ロックライト295
サングラス OAKLEY
ライト ブラックダイヤモンド
携帯 HUAWEI
充電器 アンカー
ウィンドブレーカー mont-bell
上着 山と道 フーディ
短パン ティートンブロス
Tシャツ スーパーナチュラル
ダウン mont-bell
アームウォーマー mont-bell
レッグウォーマー mont-bell
ネックウォーマー mont-bell
手袋 mont-bell
パンツ mont-bell
帽子 アイスブレーカー
スタッフサック シートゥーサミット
クッカー ジェットボイル
浄水器 ソーヤーミニ
その他 財布、医療品、歯磨き、ビニール袋、コンパス、地図、文庫本、タオル
ベースウェイトが4㎏弱。食料込みで約七㎏。
七㎏くらいなら肩が痛くなることもないし、いざとなれば走ることもできるので、重量的には問題なかったです。
防寒着もちょうどいい感じでした。5月半ば、天気も良く気温も安定していたので、ダウン、帽子、手袋は使いませんでしたが、この時期でも寒い日は冷え込むので、ダウンは持っていった方がいいと思います。
台湾徒歩環島ルートまとめ
【時計回りか反時計回か問題】
台湾人で環島をやる人のスタート地点は、大体自分の家が多いと思いますが、台湾に住んでいない外国人の環島スタート地点は、ほとんどの人が台北から始めていると思います。
航空機の発着が桃園国際空港の人が大半だと思うので、台北近辺でスタートを切るのが実際一番便利です。
僕のように松山駅の環島0キロポストから開始する人もいれば、最北端の富貴角燈塔へ行って始める人、宿泊してる宿から直接スタートする人、色々あると思います。
環島を始める時に、ルートについては細かく予定を立てないことはありますが、時計回りが反時計回りかは決めないとスタートを切れません。
僕は台北から反時計回りを選びました。
日本出国前に台湾環島についてネットで調べていたのですが、日本語で徒歩環島について書かれているブログが見つけられず、自転車環島のブログを参考に予定を立てていました。
自転車環島では反時計回りが主流なようです。
台湾は日本とは逆に右側通行の国です。自転車環島では、反時計回りを選ぶと海が近いので景色も良く、落石のあるエリアでは、山の斜面から離れているので、安全面でも良いという理由があるそうです。
僕はそれを読んで何にも疑問に思わず反時計回りを選びました。しかし、環島中に出会った徒歩の人が言うには、徒歩の場合は時計回りのが安全だと言っていました。
徒歩は自転車と違い、無理して右側通行する必要がありません。時計回りで左側を歩けば、対向車が自分から見えているので、気付かないこともない。危ないと感じたら端に寄ることができるからだそうです。
これを言われたときは心底納得しました。
実際歩いていると、危険を感じることは毎日のようにありました。歩くスペースがないような道で、後ろから車が来る音を聞く度に振り返り、安全を確認するのも大変です。それを繰り返していることで、危険なエリアを抜けるのに時間がかかること自体、危ないと感じていました。
なので、歩き環島で安全面だけを考えたら、時計回りの方がいいのかもしれません。
ただ僕自身は反時計回りでよかったとは思っています。
一つ目の理由は、前半に大都会の北部、西部を経由して、後半に南部、東部と徐々に田舎になって自然が豊かになっていく、そして最後にまた都会に帰っていく、という過程に起承転結があり、旅に減り張りができたように思います。
それと最初に都会のエリアで歩き旅に慣れた後、後半に何もない東部がやって来るので、対処しやすかったのがあります。もし時計回りで、開始早々いきなり何もない東部が始まったら、けっこう慌てたかもしれません。
二つ目の理由は、出会いです。
僕は西側の方が圧倒的に出会いが多かったです。
西側と東側ではそもそも人口が全く違います。東側は町も少なく、誰にも会わずに黙々と歩いている時間が長かったので、出会う機会が単純に少ないです。
西側でたくさんの人と仲良くなり、東側へ行った時にも、それまでに仲良くなった人が東側に遊びに来てくれたり、花東公路や蘇花公路を歩くときには、知り合った人からアドバイスや情報をもらうことができました。
それ以外には、自転車環島の人と同じ方向へ進んでいるので、自転車の人と出会う機会が多い気もします。自転車の人が途中まで一緒に歩いてくれたり、同じ目的地なら、待ち合わせをして一緒に夕飯を食べに行ったりすることができました。
反時計回りしか経験していないので比べることが難しいですが、安全面を差し引いても、反時計回りでよかったと思っています。
【花東公路海線か山線か問題】
台湾東部、台東から花蓮を南北に結ぶ道を花東公路といいます。内陸の山間部を走る道を山線、太平洋側の海岸線を走る道を海線と言います。距離はほんの少し海線の方が長いそうですが、約170㎞。
ここは環島中の最大の分かれ道になりました。
僕は海と山なら山の方が好きなんですが、海を見て歩くのは気持ちがいいだろうという単純な理由から、開始当初は海線を通る予定でいました。
予定を変更して山線を考え始めたのは、最南端の墾丁を過ぎてからでした。
南部に入ってからは、毎日毎日右手側に海ですでに大分飽きてきていました。もしここで更に海線を選んだら、続く花東公路も海、蘇花公路も海、つまり残りの八割くらいは海沿いを行くことになる。そう思うと流石にげんなりしました。
もう一つの大きな理由は、出会いがなくなるんじゃないかと心配でもありました。
僕が出会った歩き環島の人たちは、利便性から海線を避けて山線を行くとみんな言っていたし、自転車の人もほとんどが山線を行くと言っていたので、環島している人が誰もいないのかもしれない、更には町も少ないんじゃ出会いなんて全然ないかもしれないとは考えました。
けっきょく僕は最後の最後まで迷い、宿のおばちゃんに勧められるがままに海線を選びました。
海線は話に聞いた通りで、実際に町は少なく、補給や宿泊には不便でした。
この区間、徒歩環島には一人も出会いませんでしたし、自転車の人もいるにはいるといった状況でしたがやはり少なかったです。
ただ海線には海線のよさがあると思います。
途中の町はどこも少数民族の人達が暮らしているので、それまでの台湾とはガラッと雰囲気が変わります。台湾なのに別の異国に来たような、海線ならではの楽しさがありました。
花東公路海線は、町から町への距離が長く、20㎞から40㎞間隔が空いているので、テント持参していないと厳しいと台湾の人に何度も脅かされましたが、実際に歩いた感想は、人によるかなと言う感じです。
しっかり目的地を決めて、一日に40㎞くらい歩けるなら、テントはなくても大丈夫だと思います。
どっちのルートがいいかはわかりませんが、たぶんどっちでも楽しいんじゃないかなと思います。
【蘇花公路は列車を使うのか問題】
蘇花公路は、花蓮から蘇澳を結ぶ道です。
ここは道が狭いのにダンプや観光バスの大型車が行き交い、落石も多いことから、台湾の観光協会もこの区間は列車の利用を勧めています。
実際に出会った人は、自転車の人は列車利用が多かったのに反して、徒歩の人は歩くと言う人が大半でした。
ここは天気が崩れる心配があったので、もし雨なら回避しようかとも考えていたんですが、急いで抜ければ雨を避けて通過できそうだったので、歩いて行くことにしました。雨の日は特に落石が多いそうです。
実際に歩いた感想は、噂通りだなと感じました。
「環島中、一番危険で一番綺麗な場所」
これは時計回りで既に蘇花公路を歩いて通過してきた人に聞いた言葉ですが、まさにそんな感じでした。
眺めは圧倒的に雄大です。
すぐ左手の険峻な山の斜面は、こちらに反りだしているんじゃないかと感じるほどに迫力があり、右手の海側も垂直に切り立った壁が遥か下の海までストンと落ちています。
ただ残念なのは、常に車を意識しながら、落石の不安も感じてなければいけないので、ゆっくり景色を眺めている余裕がないことです。
後はトンネルの多さも敬遠される理由かもしれません。
特に自転車の人は、トンネルの端にある段差や側溝の上を行くことができないので、長いトンネルを何度も通過するのは堪えると思います。
歩きは基本的に、トンネル内に安全なスペースがありますが、この蘇花公路にだけは、白線の上を歩かないといけないようなトンネルが二つか三つありました。体の右側が壁に触れるほど端に寄り、それでも左側を掠めるほど近く車が通過していくたびに、肝を冷やす思いがしました。
安全面を考えるとお勧めはできませんが、蘇花公路にしかない眺めがあるのも確かだと思います。
台湾徒歩環島の靴まとめ
長距離を歩く時に、結構悩むのが靴選びだと思います。
自分の足に合った、履き心地の良い靴が既に決まっているなら問題ありませんが、そうでないと迷います。そして実際に自分でしばらく履いて歩いてみないと、それが正解かどうか結論がでません。
僕は今回の装備で一番失敗したと思ったのが靴選びなので、参考になるかは微妙ですが書いておきます。
【ルナサンダルベナード】
僕は今回、ルナサンダルのベナードというモデルを履いて歩き始めました。
日本から持っていった履き物はこれ一足で、履いた状態で出国しました。
ルナサンダルは走れるサンダルと言われていて、ナチュラルランニングやトレイルランニングをしている人の間ではかなり有名です。
僕はサンダルで走る趣味はないのですが、普段登山の時、テン場で使うサンダルとして所有しています。ベナードはルナサンダルの中でも最もミニマムなモデルになるので、軽量でかさ張らず重宝しています。
サンダルで歩こうと思ったのは、台湾が四月でも暑いこと、歩く道が全て舗装路だということがまずあります。
そして以前ニュージーランドをロングトレイルした際に、登山道以外はルナサンダルで問題なく歩けました。雨で靴が濡れて乾かないということもないし、豆ができないというのも僕にとっては大きな理由です。
しかし、今回の台湾環島では足裏の指の付け根が痛くなり、けっきょく嘉義でナイキのシューズを買うことになりました。
ニュージーランドでは痛くならなかったのに、なぜ台湾で痛くなったのか、理由はハッキリとはわかりませんが、いきなりサンダルで硬いアスファルトを歩き続けたので、足の裏の同じ箇所に常に負荷が掛かり、休まることがなかったのかもしれません。
ニュージーランドでは大部分がトレイルだったので(トレイルでは靴を履いていました)、アスファルトが何日も続くという状況がありませんでした。
とは言え、環島の東部からは豆に悩まされ、けっきょくサンダルに戻り、それ以降は最後までサンダルを履き歩き通しましたが、足が痛くなることはありませんでした。慣れたら大丈夫なのかもしれません。
つまり、よくわかりません。
【ナイキフリー】
嘉義でナイキフリーを選んだのは、単純に値引きしていたのと、以前に履いていたことがあったので、足に合わない確率が少ないと思ったからです。
履いた感じは可もなく不可もなくでしたが、ナイキフリーを履いて以降、足の裏の痛みは徐々に治っていきました。
最大の問題は豆です。豆はなり易い人となり難い人に別れるのか、僕は靴を変えようが靴下を変えようが、サンダル以外は豆になります。逆にならない人は何やってもならないと聞きます。
一度豆ができて皮が固くなると、それ以降は問題ないのですが、それまでが地獄です。
今回は特に、小指の爪まで皮ごと剥がれてしまったので大変でした。
サンダルと靴、個人的にどちらが好きかと言えば断然サンダルです。
単純に気楽で気持ちがいいので、もし同じ条件でもう一度歩くなら、ルナサンダルのモノ(厚底のタイプ)を選ぶと思います。
ただ舗装路歩きとは言え、ガラスの破片が落ちていたりと怪我のリスクがあります。
それを考えると、靴の方が安全なのは確かだと思います。
因みに出会った歩き環島の人で、サンダルを穿いてる人はいませんでした。
スポーツ用のスニーカーの人もいましたが、しっかりしたトレッキングシューズの人が多かったように思います。