読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

光文社新書『共働き・共育て世代の本音』感想

本道敦子 山谷真名 和田みゆき『<共働き・共育て>世代の本音』光文社新書 2024年3月刊

 

 

共働き共育ての世代へのインタビュー調査、アンケート調査の結果を記した本。働きながらの子育てはこういうところが大変で、こういう取り決めでやっていっていて、などなど。

会社名や具体的な仕事の内容は一切出てこない匿名のインタビューで、ぼんやりした内容とは感じました。リアル感が有るといえば有るし無いといえば無い内容だなと思いました。現代日本人の私の側の問題かもしれません。匿名空間で戦いすぎた弊害かもしれません。

でもこの本の中で書かれていたように、子供を送り迎えする順番や夜ご飯や寝かしつけなどの当番など、それぞれの夫婦間で色々な取り決めがあるのだろうなと思います。職場での仕事の仕方についても、時短を選んだり部署変更を希望したり、色々なケースがあってそれぞれ子育てしているのだろうなと思います。

私の子どもはまだ1歳ですけど、私はおそらくかなり子育てしている方なのだろうなと思います。この本の中には存在しないレベルと思います。保育園の送り迎えはほぼ私の担当ですし、妻が外食へ行っている夜は保育園の迎えから夜ご飯にお風呂に寝かしつけまですべて私がワンオペで対応したりしています。今も子どもが横で寝ている隣でワンオペ対応でノートPCカチカチしながらブログを更新しています。私がこういう生活をしているのは、別に私が子育てに対して思うところがあるからではなく、単に私がヒマだからです。時間の余裕がめちゃめちゃあるからです。逆に確定申告時期の忙しいときは妻にワンオペ対応をお願いしていました。

この本の中でも語られていましたけど、長時間労働というのは本当に子育てにとって負担になっていると思います。めちゃめちゃ残業している人とか子育て無理だと思います。この本の中でもその残業を何とか減らして子育てがんばってますという内容が多かったですけど、仕事時間を減らしたら収入も減るでしょうし、時短勤務などで職場の周りの人の仕事が増えたりしたら居心地が悪くなってしまいますし、色々と大変だと思います。まずこの労働環境を変えないと少子化問題も解決しないですよね。割と日経新聞とかでもずっと前から言われ続けてますけど、少子化が改善してないということは労働環境も改善されていないのだろうと思います。

私が子育てを始めたときに思ったのが、子育てに時間を取られたら読書時間や勉強時間が減ってしまうなぁということでした。子育てせずに仕事だけしている人に負けてしまうのではないかと。生まれたあとの3か月間くらいは読書とかまったくできませんでしたし、研修会の参加とかも全然無理でした。それで、仕事の量を減らすことにして、確定申告の新規の仕事をお断りしたりしていました。夜の飲み会も全部断っていました。去年は開業してから年間の売上が初めて下がりました。時短勤務している人と似た状況と言えるかもしれませんけど、まぁ仕方ないですよね。今は子どもも1歳を過ぎて多少楽になり、従業員も成長してくれているので、また新規の仕事をがんがん受けています。

本当にこの本の通り、共働き・共育てが当たり前の社会になればいいなと思います。家庭も会社もそれで円満にまわっていける社会になればいいですよね。この社会のすべてがそうなるのは何年先になるかわかりませんけど、私の家庭やうちの事務所は共働き共育て対応でやっていこうと思います。

光文社新書『漫画の未来』感想

小川悠介『漫画の未来 明日は我が身のデジタル・ディスラプション』光文社新書 2024年2月刊

 

 

韓国発のウェブトゥーンが漫画に代わっていく可能性について語られた本。私は漫画はかなり読みますけどウェブトゥーンはほとんど読んだことがありませんでした。『俺だけレベルアップな件』とか『女神降臨』とか『外見至上主義』くらいはさすがに知ってるというレベルで、それも無料で読める部分だけ読んだことがあるくらいでした。ちなみにどれも特にはまりませんでした。絵はカラーで綺麗と思いますけどキャラクターとストーリーが弱いなという感想だったと思います。

ウェブトゥーンがチームで製作されているとか、いろんな会社が参入しようとしているとか、知らない話ばかりでおもしろかったです。漫画業界が過去一番レベルで盛り上がっているのは知っていましたけど、ウェブトゥーンもここまで盛り上がっているとは知りませんでした。エンターテイメントの世界に新しい波が来るのはとても楽しみですね。おもしろいウェブトゥーンが生まれてきたら絶対読もうと思います。

作中で語られていませんでしたけど、なぜいま漫画が過去一番レベルで盛り上がっているのかという話で言うと、単純に漫画業界に才能のある人が集まっているからだと思います。しかも裾野が広いというか、漫画の数も漫画家の数もびっくりするくらいに多い。逆にその分ほかのエンターテイメントがしぼんでいっているんじゃないかと危惧してしまうほどです。実際テレビドラマとか、有名作品や人気作品でも脚本があきらかに弱かったりしますよね。才能ある人がみんな漫画業界に行っちゃってるんじゃないですかね。最近だとVIVANTとか、序盤はおもしろかったですけど後半は圧倒的に失速していました。こういうストーリーレベルで許される業界ってとってもぬるいと思います。きっと演者重視なのだろうと思いますけど。

例えば今日世の中に公開された漫画というだけでも200~300個はあると思いますけど(もっともっとあるかもしれませんけど)、↓これとか発想がおもしろすぎる作品だなぁとわくわくします。こういう製作者たちが小説でもテレビドラマでもウェブトゥーンでもなく漫画を選ぶから漫画業界が強いのだと思います。

https://tonarinoyj.jp/episode/2550689798374522269

 

あと、これもこの本の中でまったく語られていない論点ですけど、ウェブトゥーンが流行りそうだからという考えで参入してきた人たちの中に天才はいないと思うのですよね。なので、根付いたあとの第二世代第三世代の中から超面白い傑作ウェブトゥーンは生まれてくると思います。

どっちにしても漫画がおもしろければ漫画を読みますし小説がおもしろければ小説を読みますし、ウェブトゥーンがおもしろければウェブトゥーンを読みます。時代がどう変わっても若くて才能のある人たちを追いかけていくと思います。

ちくま新書『「いいね!」を集めるワードセンス』感想

斎藤孝『「いいね!」を集めるワードセンス』ちくま新書 2024年1月刊

 

 

今の時代は言葉のセンスがとても大事という内容の本。現代は大SNS時代ですし、良い言葉で良い文章を書ける能力は本当に大事ですよね。あって損は無い能力だと思います。もちろん人とリアルで会話するときの言葉の選び方のセンスも、いつの時代も変わらず大事だと思います。

そのワードセンスを身に付けるためにはどうすればいいかというテーマの本で、具体的な訓練方法が色々と紹介されていました。キャッチコピーをつけてみるとかあだ名とつけてみるとか。テレビ、ネット、新聞などに触れるときもワードセンスに着目しながら情報に接していくのが良い、など。訓練しないと身に付かない能力なので訓練が大事という話でした。

私も講師の仕事のときの原稿や、人に説明するときの伝え方など、ずっとあれこれ考えて、ようやく思い付いています。何も考えずに原稿がすらすら書けることはなく、良い伝え方がないものかとずっと考えているうちにひらめくという感じです。きっと芸人やギャグ漫画家の人たちは人を笑わせる表現をずっと考えているから思いつくのだろうと思いますし、私も税金やお金について人にわかりやすく伝えるということを常に考えながら仕事していかないといけないなーと思います。

私としては、この言葉のセンスという分野では太宰治が圧倒的だと思っています。高校1年生のときに太宰治の文章に感動してしまって新潮文庫をめちゃめちゃそろえました。それ以来ずっと太宰信者です。言葉のチョイスが天才的だと思います。太宰治の小説は、常に言葉選びについて考え抜いた結果ひらめいたのだろうなぁという文章が並んでいると思います。

この本の後半に色んな文豪の作品が抜粋されて紹介されていたのですが、たしかにどれもワードセンスがすばらしいなという作品ばかりでした。ちょっと普通の人には思いつかないだろうなというものばかりで、ものすごく訓練して身に着けた文章力なのだろうなと感じました。プロの中の一流の人たちはすごいなと。

ちなみに私のSNSはまったく「いいね!」を集められていません。当たり障りのないことしか書いていないです。実名ですべてオープンに書いていますけど、基本何でも好きなので、楽しかったです美味しかったですという内容になってしまうのですよね。小学生の感想文みたいな。まぁでもそれがマネタイズのコツです。