2013年の水戸ホーリーホックの課題とは。

ボランチがあまりにも不確定要素すぎますねー。西岡が1人抜けただけで、別チームになってしまってます。去年の塩谷と同様の状況です。(予算が無いチームなので、仕方ないといえばそうなります。)

開幕前の神戸戦・鹿島戦を見るに、守備がやや軽いものの、ボランチの西岡・木暮・橋本を起点とした厚みのある攻撃ができており、難波や山村という、前に推進力のある選手が加入した事により、攻撃面では計算できるチームになるのではないか。と思っていました。反面、ボール奪取とビルドアップがうまくいかず、落ち着かせるべき所で落ち着かせる事ができていないな、と。しかし、神戸・鹿島との戦力差を考えると、仕方ないのかな、とも思っていました。

しかし、上記2戦に加えて、群馬・富山戦を見ると、やはりボール奪取、ビルドアップに難がある、という弱点を露呈しつつあるように感じます。

群馬戦では、前半のDFラインでのフィードの精度の低さ、ビルドアップの度重なるミスによりペースを乱し、自滅する形での失点。(なので、次戦尾本が先発起用されたと思われる。これが結果的に決勝ゴールを呼んだ!)富山戦では、強風という状況にもかかわらず、ボールが全く奪えずに自陣で相手に好き勝手にボールを回し放題される始末。

犬塚の獲得を検討しているという事は、監督も中盤の守備力と、最終ラインからのビルドアップをフォローできるボランチが必要だと考えているからだと思います。(厳しいかもしれませんが、現状、他のボランチでは、J2上位陣相手だと歯が立たないのではないでしょうか。)

逆に言えばですが、去年塩谷がいた頃のような安定した守備とビルドアップができるようになれば、今年の攻撃力はもっと活かせるようになり、安定して勝ち点を奪えるようになると思います。塩谷のような、ボランチがそこそこでも打開できてしまうようなスーパーなCBがいない以上、ボランチが一定水準以上やってくれないと、昇格圏内に入る事は不可能と思われます。

まとめ

  • 今年は、ボランチが鍵を握る。
  • DFラインからのビルドアップと、落ち着かせたい場面でのポゼッションができるようになるか。(ボランチのサポートが重要!)
  • ショートカウンターが狙える位置でのボール奪取を増やしたい。

今年は、こんなところに注目して観戦していきたいと、思ってまーす。

2012.4.27 J2第10節 湘南ベルマーレー水戸ホーリーホック 感想

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シーズン前から戦術的に興味深く思っていた湘南との一戦。3−6−1のフォーメーションですが、両WBが非常にワイドかつ前の方に張る事が多いため、3−4−3と表す方もいるようです。選手の共通理解と運動量でもって、両フォーメーションの良いところを表現できている、素晴らしいチームだと思います。実際、8勝1分けの単独1位。こういうチームに不利なこの時期の連戦と夏場を無事乗り切れば、まず6位以内は固いでしょう。

水戸としては、どのように湘南の厳しい前線からのチェックをかいくぐってポゼッション状態をキープするか。あまりロングカウンターを使わない水戸だけに、その点を上手く遂行できるか。相手のプレスをかいくぐってキープできれば、相手最終ラインの後ろの広いスペースを、島田、小澤と言ったスピードのあるプレイヤーが突く事ができる分、相手も苦しくさせる事ができるかなと思ってました。

試合は序盤から動き、水戸が前述したようなプレーで相手プレスをかいくぐり、シュートを何本か放ちました。初先発、高卒ルーキー鈴木雄斗のターンからの突破で、ゴール前でのセットプレー等もありました。前半5分には、波状攻撃をしかけ、市川大祐のややライナー性のクロスを、エリア外から走り込んできたフランクが強烈なヘッドで先制。一連のプレーは、非常にクオリティの高いパスと動きの連続で、市川のクロスもかなり精度が高いもので、うーん、とうなってしまうような質の高いゴールでした。

先制後は、前線でキープするのかはたくのか、水戸のちょっとしたずれを何度か突かれて、湘南にカットされるシーンが何度かあり、ポゼッションが出来なくなりました。また、湘南がブロックの間にどんどん侵入してきて、精度の高いパスと動きで、ゴール前まで何度もボールをはこばれました。そして、前半38分には、左サイド輪湖が抜かれて、ニアにグラウンダーのクロスを、馬場の豪快なシュートで同点に。その中で感心したのは、失点はあったけど、水戸のブロックが揺らがずに機能し続けていたこと。また、尾本の、ジョン・テリーのように体を張った勇気のある守備と、尾本、塩谷の戦術面で質の高いロングフィードでした。押し込まれていても、ポゼッションと最後方からのロングフィード、キーパー本間を使うプレーと、選択肢が豊富かつ質が落ちないため、ハイプレスに対応できたのではないでしょうか。

前半は、お互いに技術面、戦術面の両面で持ち味を発揮しあうという、J2ではあまり見ない非常に質の高いゲームで、誰が見ていても面白い内容だったと思います。後半の試合展開を個人的に予想したんですが、お互い走るサッカーなので体力が落ちてくる中で、ある程度中盤を省略したりかいくぐる機会が増えるので、打ち合いになるのかな、と予想しました。

しかし、後半になってもお互いスタイルをぶらさずにきっちりと中盤からゲームを作ってきたし、運動量も思ったほどには落ちなかったように見えました。さすがに最終盤は気力の戦いになりましたが、最後まで集中を切らさず戦術を高いレベルで実現した両チームは素晴らしかったし、それ故に好ゲームになりました。

決勝点は後半42分、中央でフランクがキープして左サイドでプルアウェイの動きでDFの視覚外から侵入できた島田が、メッシのようなチップシュートで決めたもの。まさにお手本のようなプルアウェイの動きで、最後の最後に相手3バックの弱いところをストレートに突く事ができた少ないチャンスを物にしました。

今回、首位チーム相手という事でモチベーションが高かった部分もあると思いますが、どんな相手に対してもこのくらいのサッカーが出来れば、昇格争いは十分可能だと思います。攻撃に関して言えば、ここ2試合ほど、中央からの崩しが高いレベルで出来ているので、得点につながっていると思います。これを継続していって欲しいです。

2012.4.22 J2第9節 水戸ホーリーホックーザスパ草津 プレビュー

ともに3勝3分け2敗と、ここまで同じ勝ち星の両チームの対決。

草津は、松下と櫻田の両ボランチと、有薗・小柳のセンターバックによる中央のブロックがしっかりしており、ここを崩すのは簡単ではない。今節水戸は鈴木隆行の先発が微妙な状態らしく、怪我から復帰の三島康平、あるいはロメロフランクの1トップも考えられる。いずれにしても、ここ数戦は隆行のコンディションがあまり良いようには見えなかったし、中央から強引にこじあけてのチャンスというシーンはそんなに多くは見られないと思う。こういう相手にこそ、両サイドを上手く使ってのゆさぶりが必要になる。特に、相手右サイドバックの元水戸の保崎は、どんどん上がってくると思うので、そこを島田が縦に突破する機会は増えるはず。

また、今期新加入の三島が、ついに怪我から復帰。どんな選手か非常に興味があります。

 

2012.4.15 J2第8節 アビスパ福岡ー水戸ホーリーホック プレビュー

4試合連続無得点の水戸。前節は千葉に玉際で勝つ気持ちが見られず、残念な試合となってしまった。

練習でも状況を打開すべく島田を前に置く4−4−2のフォーメーションを試したりしているようだが、フォーメーションの問題とは思えない。チームとして、前に行く意識であったり、中央をいかにこじあけていくかだったり、チャレンジを恐れないプレーだったりと、いわゆるメンタルの問題が大きいように感じている。

相手が福岡で強敵なのは分かっていること。攻撃時にボールを失う事を恐れずに、どんどんチャレンジして欲しい。チームとして意図を持った攻撃を行った結果、カウンターをくらうのはある程度しかたのないことなので、点を取るという気迫をサポーターに見せて欲しい。フォーメーションをいじったりとか、トリックプレーを使ったりとかは、その後で十分良いと思う。

注目選手

鈴木隆行

中央で体を張って起点となり、相手のディフェンスラインを押し下げていた序盤戦に比べて、明らかにサイドに流れる場面が目立つ。中央で起点となり、恐れずに中央から突破していく姿勢と勇気を、チームとサポーターに見せて欲しいところ。それが、決定機にもつながっていくであろう。

2012.4.1 J2第6節 モンテディオ山形 - 水戸ホーリーホック 感想

前半は、相手キープレイヤーの山崎と宮坂が守備に追われて消えており、水戸ペースだった。しかし、失点の多かった山形の守備陣の意識の高さと、秋葉の水戸左サイドに対しての好守、ポジショニングの良さでカバーされてしまった。

後半に入ると、山崎がトップ下の位置を取る事が多くなり、マークのずれた水戸は、バイタルエリアで山崎をフリーにしてしまう場面が多く、危ない場面を作られた。

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後半23分のシーン、西岡のスルーパスが、中央にダイアゴナルランで入ってきた島田にドンピシャで入ったシーン。これは山形DFにひっかけられてシュートまで行けなかったけど、隆行と橋本が動いて作ったスペースを突いた攻撃で、シュートまでいけてれば決定的なチャンスになってたはず。

この試合は特に、隆行と橋本がスペースを作って、そこに島田と小澤がペナルティエリアに侵入するシーンが多かったように思う。そして、左サイド島田、輪湖の攻撃に比べて迫力不足な右サイドから、このような攻撃ができるのは、守る方に取っては非常に嫌。このシーンも、西河が中央をカバーしたいけど、西岡の後ろから市川がするする上がってくるのが見えてるので、そこをケアしない訳にもいかないという悩ましい場面であろう。

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後半ロスタイム、自陣での坂井のカットからカウンター。右サイド市川から中央の小澤へ。3トップの形で左から隆行、ヨンギ、吉原と並んでいて、ヨンギが下がりながらCBをつり出して、小澤のくさびをワンタッチで右サイド走り込んできていた市川にはたく。ドフリーの市川が受けてルックアップし、中央のがら空きのスペースに走り込んだ吉原にパスが出る!と思った瞬間、レフェリーの笛、小澤への秋葉のファウル。イエローが出たけど、これは本当なら流して、プレーが止まったときにイエローを出すべき場面。レフェリーのミス、あるいは力量不足かな、と。

というわけで、じっくり見てみたら、非常に多彩な攻撃を繰り出していた。隆行が下がってるシーンが多かったのが気になったけど、肝心なところでは相手の裏を狙う位置にいたりするのは、やっぱすごい。下がって、サイドに流れて、最後は裏を狙う。これだけでも何人分の役割をこなしているのがわかる。隆行すごい。

点を取れなかったのは残念だったけど、やっぱりこういう試合でセットプレーの正確さとかが重要になってくるのかな、とも思った。

そういえば、スカパーの解説の人も言ってたけど、ラインコントロールが素晴らしかった。かなり完璧なタイミングでオフサイドにして、山形を封じ込めた。もしかすると、今期の失点の少なさはそれも理由にあるのかもしれない。次の試合からは、水戸のディフェンスラインのコントロールにも注目して観戦してみたい。

2012.4.1 J2第6節 モンテディオ山形 - 水戸ホーリーホック プレビュー

[プレビュー]
前節、山形はアウェイで岡山に1-2で敗戦。水戸は、ホームで松本に0-0の引き分けだった。
山形は4-1-2-3の攻撃的なフォーメーションで、出入りの激しいサッカーをしている印象。
前節岡山戦では、センターバックのミスで1点、チアゴのポストプレーからのシャドーの抜け出しで1点失点していた。

アンカーの宮坂は、甲府戦でフリーキックを直接決めてたりして、多分技術のある選手なんだろうと思う。4-1-2-3のアンカーは、その前の5枚(FWとその後ろの2枚)に比べて、マークが薄くなるので、キックの精度が高い選手にフリーで持たせると、DFの裏を突いたり、3トップに縦パスを入れてきたりと、いい形でゲームを作られてしまう。アンチェロッテイがいた時のミランが、ピルロをそんな感じで使ってたイメージなのではなかろうか。
なので、宮坂からいい縦パスを入れられないようにするのがポイントで、水戸も当然、宮坂の脇の空いたスペースを使うことは念頭に入れてると思うので、ポジション的には橋本と宮坂のマッチアップになると予想されるが、お互いの中盤が絡んできて、どちらがこの場所を制するかが見もの。

また、非常に攻撃力が高く、経験も豊富な右ウイングの山崎が、左サイドバックの輪湖とマッチアップになるので、ここをどう抑えるか。
決して守備の得意ではない輪湖が山崎相手に守りに入っても勝ち目は薄いはずなので、オーバーラップを繰り返して、山崎のポジションを押し下げていき、高い位置での攻撃の基点にさせないようにしたい。

攻撃では、岡山が前節中央から2得点しているように、センターの守備に難があると思われるので、島田や小澤にどんどんダイアゴナルに中に入ってきて欲しいのと、隆行はセンターバックをひきつけて欲しい。隆行が得意な役割なので、まったく問題ないと思うが。ここは、水戸のストロングポイントと山形のウイークポイントがぶつかるので面白い戦いになるだろう。

[注目選手]
山崎雅人
多分J2では図抜けた存在。得点もできるけどチャンスメーカーにもなれる。彼をチームとしてどう抑えるのかが、個人的にこの試合の一番のポイント。
橋本晃司
ハーフウェーラインまで引いてきてゲームを組み立てるのがうまいけど、前で勝負して、相手の2センターハーフの後ろを取って欲しい。ここでうまく隆行と連携して起点を作って、後ろからの上がりを促したい。

2012.3.24 J2第5節 水戸ー松本山雅FC 感想

あくまでサッカー好きの一個人のチラ裏です。あんまり信用しないことをおすすめします。

(フォーメーション)

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(感想)

個人的な予想に反して、山雅はサイドではなく中を固めてきた。3-4-2-1の布陣だけど、両ウィングバックが下がって実質5バックで、ペナルティエリアを3バックががっちりと固めてました。それだけ水戸がリスペクトされていたのか、中を固めれば大丈夫と甘く見られていたのかはわかりません。攻撃では、予想通りヨンギのところを狙ってきてました。

終始、相手のカウンターを警戒するあまり、思い切った攻撃を見ることができないばかりか、ゴールから遠いところでのパス回しでミスが出て、むしろ大切にしすぎてカウンターにつなげられてました。固められた中を崩す方法がわからず、ピッチが悪くてパスもつながらず、選手たちが右往左往してた印象です。今日は隆行がサイドで起点を作ったり、橋本がギャップや下がった位置でビルドアップをしてましたが、やはりこういうところはJ1経験者、強豪チームにいたからこその動きなのかな、と思いました。こういうところから少しずつ解きほぐしていくしかないんでしょうね。

山雅側から見ると、水戸に攻められて怖いシーンは特になかったんじゃないでしょうか。むしろ、山雅はカウンターやセットプレーから得点してもおかしくないチャンスが多々ありました。完全に山雅のゲームで、水戸は内容に置いても完敗です。(ちょっと言い過ぎでした。ミッションを達成できたのが山雅、達成できなかったのが水戸という事を言いたかったです。)

柱谷監督のコメントが、素晴らしく的を得ていますね。

「反応が悪くて、ミスが多くて、リトリートして守る相手に対して攻めなれていない。そういう部分で、特にメンタリティーのところが気になりました。集中力のところですね。それは1試合通して気になりました。」

「特に前半、最終ラインがボールを持っているとき、センターバック同士のパスが多くなってしまって、もう少しボランチを絡めないといけないのに、村田とフランクのところでノッキングしたような感じ」

「技術の差はピッチコンディションが悪ければ悪いほど、技術の高いチームが勝つと思っているので、そういう意味では、相手は別にして、我々の技術はJ1に行くレベルではないのかなと。そういう厳しい見方をしました。」

「今のレベルで交代をしてすぐに流れが変わるとは思えなかった。早く吉原だったり、三島だったりが復帰するのを待つしかないのかなと。」

全くその通りです。柱谷監督はとても正確な分析をされておると思います。

個人的に注目選手にあげていた村田選手ですが、予想が悪い方に当たってしまい、とても残念なプレーが多かったです。ここは彼にとっても正念場で、プロとしてやっていく上での踏ん張りどころだと思います。このまま石神、西岡に負けてしまうのか、一つ上のステージに駆け上がれるのか。入団したばかりの頃のあの自信たっぷりな姿を取り戻してほしいです。頑張れ、村田!!

ポジティブなところを探すとすると、こういう苦い経験がこの早い段階でできたことでしょうか。水戸相手に引いて守ってくるような場面は、水戸が強くなるにつれて増えてきます。経験上、それを打開できるチームのみが、J1昇格できています。ゴールから遠いところでパスをいくらつないでも得点には結びつきませんし、崩す動きのところでミスが多発してしまっては、その先の決定機までたどりつけません。きっと時間はかかると思いますが、あせらず応援していくしかありませんね。頑張るぞ!