いい歳したおじさんがカメラの前で独り言ちる虚無を胸に抱いて
STAY &●#in' HOME、してますか?
こんにちは、私です代表です村山です。
業界の最果てでうずくまるワインインポーターです。
早くソーシャル自体とソーシャルディスタンスを取りたいと願い日々暮らしています。
このブログが生存確認としての機能を有していることを思い出し筆をとった次第です。「思い出した」っていうか、「ようやく自分の時間が持ててきた」と言うのが正直なところなんだけど。
健やかに、慎ましく、ひっそりと、野に咲く枯れ草のように生きてますよ。
↑ こっちは野に咲く花の方。今年はツツジが余計に綺麗に見える気がする。
昨今のコロナ禍、そんな野に咲く私を心配してご連絡いただくことも多い4月でしたね。ニュースとか見るより、よっぽど「あぁ そういう世界になったんだよな」と意識されたものです。
同時に、成人男性のちょっとした溜め息程度で吹き飛ぶような弊社なわけですから、さもありなん(同情されても無理からぬこと)と遅れて気付き、一抹の空虚がフレンチキスのようにさりげなく私の胸に訪れました。
でもね、そんなコロナ禍をめぐる心配をよそに、なんと弊社への影響は
ゴリッゴリ にあります。
もう直撃、どストライク、正面衝突、会心の一撃(痛恨の一撃でも可)。
なんたって、弊社を支えてくださっている一角は飲食店さんですからね。飲食店さんが総崩れってことは、雪崩のように弊社にも “禍” がやってきます。
どこか遠くへ、逃げ出したかった。
脳内ではずっと稲葉浩志が『遠くまで』を歌い、私の現実逃避に一役も二役も買っていた。
実は結構青ざめてたんですよ、これでも。
売上もヤバいけど、まぁそれはいつもヤバいから良いとして(ここで一旦意識を失う)、何がヤバいって新しく輸入するはずだったワインが入ってこないことですよ一番は。
在庫がそろそろ危ないわけですよ。
ラーメン屋さんに入って「すいません、麺が切れてて」とか、服屋さんに入って「あー 今着る服ないんですよね、うち」とか言われたらどうでしょう、それなりに面食らいませんか?
かと言って輸入したとしても、買ってもらえるところがないわけですから、ランニングコストだけが電光石火で積まれていくという引くも地獄 行くも地獄の役満状態。
まぁ文句言ってたって仕方ないし、「ヤベーのは人類みな一緒だぜヒャッハー!」ってことで、今は無になり、ただひたすら目の前のことに対処するさながらAIになってます。
菩提樹の下で悟りを開いたお釈迦さんは、きっとこんなお気持ちだったんでしょうね。大いに違うでしょうね。
ラジオ的動画、ひっそりと
3月下旬。都知事から土日の外出自粛要請が出たときから、「何にもしないよりマシじゃん」「自粛を言い訳に自分とこのワインを飲めるじゃん」の精神で気軽に始めました。今はもう後悔してます。
ブログを書く時間と気力が起きなかったので、これなら簡単かなと始め、その後に発令された緊急事態宣言が解除されるその時まではやりきろうと決心し、頑張って続けてます。自分の心に自分で楔を打ったわけです。
◆ 動画内容
「弊社シェルドレイク取扱のワインを飲んで独り言をぶつぶつ呟いてる」だけです。
飲んでいるワイン自体や、ワイナリーの説明、ワイン生産地としてのスロバキアの話などしてます。
1時間ほど撮影状態にしてダラダラ飲み、簡単に部分をカットして、25〜30分にしてます。なんとお気楽な、なんと無責任な。
“カット” してるのは、主に無言でひたすら飲んでるクールタイムや、業界の悪口を言いまくってる部分です。むしろカットした「放送できない部分」の方が面白いんでしょうけど、そんなことしたら弊社の存在が業界から完全にデリートされますのでご理解ください。
◆ コンセプト
“コンセプト”と言ったら大袈裟。
「こんな世界でも(だからこそ)、愛すべきワイナリーとそのワインを紹介する場がほしいな」
ってことです。
当然ながら、スロバキアやチェコの生産者も、ワインが売れなくて困ってます。
せっかく造ったワイン。ストックしておける場所がある生産者ばかりではありません。でもブドウは育つ。またワイン造りたい。そのためのお金は?スタッフの給料は?在庫を置いとく場所は?
そんな生産者同士が、互助していくための動きが現地では行われてます。
こんな時、自身の非力を痛感します。何もできない自分へのせめてもの慰めに、こんなことやってます。
あとはやっぱり、「よかったら一緒に飲みませんか?」ってなくらい感じです。
今はお酒もお家で飲むことがほとんどでしょうから、ご自分のお好きな酒飲みながら、ラジオみたいにして一緒に飲んでくれたらいいなって。
※ 注意事項
1,じっと観ていても何も面白くありません
映像に何の動きもありません。何の事件も、笑いも、社会性も、お役立ち情報も、起承転結すべて無く、虚無のような時間が続きます。
つまり、「観る」よりも「聴く」方に重くべきタイプの動画です。
2,じっと観ていてたら不快になり得ます
「社会人」とはおよそかけ離れた髭面の汚いおっさんが、固定されたカメラの前でただ独り言を呟くだけです。
画面の中の自分の姿を視界に捉えるたび、「え…? これが……私…?」と絶句します。
3,一緒に飲んでください
上述です。自由に外で飲み歩くのは、まだまだ先になるでしょう。家飲みのレパートリーにワインを選んでくれればこれ幸い。
もちろん「シェルドレイクのワインを選んでほしい」ということではなく
「良い生産者がたくさんいる。そういう人のワインを選んでほしい。そしてその瞬間瞬間を楽しんでほしい」
との淡い願望を胸に秘めてはいます。
てなわけで、2020年5月15日現在
一部は緊急事態宣言解除となっておりますが、気は抜かず、手洗い・うがい・消毒、そしてソーシャルディスタンス。
未解除都市に住む方々は特に、各々可能な限りの最低限の自粛を。
大切な人のためにも、どうかご自愛ください。
【YouTube 再生リスト】
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弱小ワインインポーターが送る、マンスリーに住む際の厳重注意事項
脱・マンスリーマンション童貞記念。
こんにちは、私です代表です村山です。
先月から、訳あってマンスリーで一人暮らししてます。
「訳あって」って言っても、離婚して追い出されたとか、借金取りに追われてるとか、家が爆破されたとか、会社が潰れたとか、そんな重い理由じゃありませんよ?
物件は1日で決めました。1日っていうか、正確にいうと1時間くらいで決めました。
トイレットペーパーでも買うかのように、ものすごくカジュアルに。
※根城のマンション ↑
さて、マンスリーに移って1ヶ月半。
私のマンスリー生活において、起こった現象や勉強になったことなど、主なトピックをまとめていきます。
という、本日はワインも何も関係ない心底クソどうでもいい記事です。どうも、ワインインポーターです。
マンスリー経験済の方は、「あーそうそう」と感じることもありましょう。
マンスリー未経験の方は、“ いつか来るその時 ”のために参考にしていただければ幸いです。
目次
1,IHコンロの罠
この部屋、IHでした。
入居初日、部屋を見回してIHコンロだと知った時から嫌な予感はしてました。
だって、IH使ったことないんだもん。
次の日、鍋やフライパンを買いに行きます。
せっかくのマンスリーライフ。自炊の一つや二つしないと勿体ないですからね。
なるべく安い鍋を買い込み、早速、野菜いっぱいの鍋でも決め込もうと、わっくわくでIHをスイッチオン。
…
……
………
何も、起こりません。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も試しますが、静寂だけが部屋を支配します。
30分間くらい、鍋いっぱい入れられた野菜と、鏡水のような水面をただじっと見つめるだけの時間。
「いや なんだこの時間」としびれを切らし、サポートに電話をかけます。
あのぉ〜 IHがですね、全く反応しないんですけどぉ
電源は確かについてますか?
はい、ちゃんとつけました
鍋の中身、お水とか入ってます?
はい、水どころか野菜もどっさり
IH専用鍋ですよね?
え?
IH 専 用 の 鍋 で す よ ね ??
IH……専…用………???????
この世界の理りを、僕は、知らなかった。
鍋に張った水と野菜たちが、哀れみの目で僕を見つめていた。
せっかく買った鍋たちは、全て無駄になった。
「この世界を滅ぼそう」。僕はそう心に誓った。
こうして僕は、生きて行く強さをまた一つ手に入れた。
2,自炊にまつわる栄枯盛衰
『IH専用鍋』と『IH専用フライパン』を手に入れ、毎日セコセコと自炊を始めます。
「自炊」といっても、私は完全なレトルト脳所持者なので、なるべく手のかからないもので済ますに決まってます。
入居1ヶ月半という短い期間にして、もう既にいくつかの流行り廃りの波が、押しては返しを繰り返します。
■ブーム1:(レトルト)カレー
めっちゃハマった。
というか、今思い返せば、「この世にはレトルトカレーしか食べるものがない」くらいに思ってたんじゃないか。
エスビー、ハウス、明治、無印、中村屋…etc。
毎日毎日毎日毎日、飽きもせず、ちょっとした修行僧みたいに、ひたすらレトルトカレーを温める。
某・元仮面ライダーみたいに「美味しくな〜れ。美味しくな〜れ。」と唱えながら。レトルト相手に。
時々、ゆで卵とか、キムチとか、豚肉炒めたやつ乗せたりして、バリエーションに幅を出して「それっぽいこと」も行いました。数ミリ単位の狭い幅だけど。
そして、何事もなかったかのように、私のブームは次に切り替わります。
■ブーム2:チャーハン(の素)
めっちゃハマった。
1週間以上、毎日毎日毎日毎日チャーハンを炒める日々だった。
多い時は朝と夜、音楽もかけない無音の中、おっさんが、無言でひたすら炒め続ける。
多分、端から見たら軽くホラーだと思う。
もちろん、味付けの要はチャーハンの素。もはや「チャーハンの素味」。
これも、フライパンが擦り切れるいろんな会社の試しました。
オーソドックスチャーハン、カニチャーハン、ガーリックチャーハン、焼き豚チャーハン、カルビチャーハン、etc…。
そして時折、レトルトカレーの時と同じく、ゆで卵とか、キムチとか、豚肉炒めたやつを混ぜたり乗せたりしてバリーション幅を増やします。
おめーのバリエーションはゆで卵とキムチと豚肉炒めたやつしかねーのかよ
そう思ったかもしれません。はいそれしかありません。
そしてまた、何の惜別の念もなく、私のブームは次に移ります。
ブーム3:鍋(の素)
これもめっちゃハマった。というか、現在進行形でハマってる。
栄養も取れて簡単。簡単にして頂点。これに手を出さないわけがない。
もちろん、使うのは市販の鍋の素。
鍋に素をブチ注ぐ
↓
具材をぶち込む
↓
ぐつぐつの音以外に何の音もない部屋で一人じっと待つ
という料理プロセスを経て幸せが訪れる。
ゆず醤油鍋の素、キムチ鍋の素、モツ鍋の素、水炊き鍋の素、etc…。
来る日も来る日も、鍋の素をぶち込み煮込む日々。
スーパーでいっっつも違う鍋の素を買って行くから、多分店員から「鍋素(なべもと)」とか「素(もと)さん」とか呼ばれてるんじゃないかと推察している。
そして、というかやっぱり、というか。
お待たせしました。ゆで卵とか、キムチとか、豚肉炒めたやつ。
小指の爪くらいの振れ幅でバリエーションを楽しみます。
今現在は、この鍋の素ブームも「“キムチ鍋の素”で各社試す」「“醤油系鍋の素”で一番旨いのはどこだ」といった先鋭化の様相を見せ始めています。
この先の自分が怖い。
3,全裸を癖にするな
狭い部屋に一人。
朝起きて、シャワーを浴びる。
その後 家を出るまで、ずっっと全裸で過ごします。毎朝。
全裸のまま洗濯を始め
全裸のままメールをチェックし
全裸のまま朝食を作り始め
全裸のまま朝食を摂り
全裸のままコーヒーを淹れ
全裸のまま洗濯物を干す
このように基本、朝はフリースタイルで活動します。フリースタイルっていうかフルチンスタイルなんですけど。
※ベランダからの風景 ↑
ある朝、全裸で洗濯物を干してる時のこと。
向かいの家の人に見られるという事故がありました。
また違う朝、窓際に全裸で立ち、コーヒー片手にスマホをいじってる時のこと。
向かいの家の人に見られるという事故もありました。
想像してみてください。
秋晴れの気持ち良い、爽やかな朝。
玄関を出て空を見上げる。
視界には青空。白い雲。 そして全裸のおっさん。
ある時は、髪びしゃびしゃのおっさんが全裸で洗濯物を干してる光景。
またある時は、部屋からふと外を見ると、おっさんが全裸でコーヒーを飲んで佇んでいる光景。
…
……
………
ホラー以上の “何か” ですよね。
『 IT 〜それが見えたら終わり〜 』が人気ですけど、そっちの『IT』はペニー・ワイズで、こっちの『IT』はペニ○・ワイズで ってやかましいわ。
私だったら通報する、絶対にだ。
まだ警察は来てないので、通報は控えてくれてるんだと思います。
なんという心の広い人でしょう。菓子折りでも持って行きたいけど、今度こそお向かいさんを戦慄させてしまうので我慢します。
しかしながら、現状はこの朝活のルーティンをやめられていません。全裸のままです。
一度ならず、二度までも見られてなお全裸です。
38歳なのに、なお全裸です。
ワインインポーターなのに、なお全裸です。
原始の昔
人類は群れを形成し協力し合うことで多種族を圧倒し
その繁栄を謳歌した。
強大な武器の一つである「群れの形成」は
しかし同時に、群れ内を制御するための「掟」を必要とし
今日「法律」と形を変えて
今もなお人間社会を一定の均衡に保つ楔として機能している。
我々は “全” の中の1。
人間は社会に生きてこそ、その存在を追認できるのだ。
何が言いたいのかというと
朝から不快な気持ちにさせてしまい、誠に申し訳ないと思っています。本当に、心から。
この先マンスリーを借りる予定があるというそこのあなた、上記のような行為を癖にするのは絶対にやめましょう。
------
さて、どうでもいい私の近況はさておきまして
新ワインが日本に到着し、試飲、販売準備を進めております。
いくつかのワインに関しては、お店さん向けに既にこっそり販売をしておりますが
評判は上々、というか最高です。
お楽しみに。
=・=・=・=・=・=・=・=・=・=
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人間が機械に支配されるディストピアへの道程
全日本健康志向トライブ連盟の皆様。
どうも、ヘルス村山です。
こんにちは私です代表です村山です。
一応、弱小ワインインポーターです。
あの、「ヘルス村山」って書いちゃってから気づきましたけど、あれですよ?「ヘルス」って夜の歓楽街のアレコレ的な方じゃないですよ? 夜な夜なソッチのヘルスで歓楽に身を陥落させてなんかいませんよ?
「ヘルスケア」的な意味で打ちました。念のため、慌てて言い訳張ります。
おっさんの焦燥感
最近ね、ちょこちょこランニングしてるんですよ。
私も正真正銘のいいおっさんですからね。再来年40ですよ、40。シジュウです。もうほとんどチェ・ジウですね。チェ・ジウってなんでしたっけ?
商売柄、毎日のように酒を飲み、食事も睡眠も時間はバラバラ。
体力は落ち、目は落ち窪み、髪も抜け落ち、その辺の公園の土に還る未来もそう遠くないかもしれません。
そんな、無意識のうちに飼い慣らしていたわがままボディに、ヘルスの鉄槌を下してやらねばなりません。「ヘルスの鉄槌」もなんかエグい下ネタっぽいけど他意はありませんよ?
近未来の音がするイヤホン
で、ランニングって、基本クソだるいじゃないですか。
自然いっぱいの山や森とか、せせらぎの音が心地良い川沿いなんかを走るなら、そりゃぁ気持ちが良いんでしょうけど。
私が走る場所なんて、無機質な車が排気ガスを吐き出しながら行き交うコンクリートジャングルな訳です。
小粋な音楽でも聴きながら、じゃないと一瞬で私の精神に支障をきたします。
そこで、これです。
HA-ET870BV-H
ワイヤレスイヤホン。
と、同時に実装されているランニングサポート機能。
こいつを有志で頂いたことが、私のランニングへの覚悟と繋がりました。
で、このイヤホンがなかなかスゴい。
以下が、このイヤホンの性能に関する、製造元サイトからの抜粋。
↓
本機は、ランニングをサポートするフォームコーチング機能を搭載した、新コンセプトのヘッドホンです。
本体内蔵の専用モーションセンサーにより測定した頭部の動作情報から、専用アプリがランナーのランニングフォームを推測し、音声によるリアルタイムのコーチングを提供します。
なんかよくわからんけど、文章から滲み出る近未来感だけはひしひしと感じ取れます。
要はこんな風に使います。
・専用のアプリをiPodに入れて各種設定
↓
・iPod / アプリとイヤホンを紐づける
↓
・アプリをスタートしてランニング開始
↓
・近未来の幕開け
上記の文章を読んだ瞬間から、私の脳内はこれ ↓ 。
※画像はイメージ(願望)です
お耳の恋人
ということで、いそいそとシューズを履き、早速外に出ます。
新しいデバイスと、ヘルスな未来への期待感で、すでに気持ちはわっくわくです。
こんな感じで、専用アプリを立ち上げ
胸を躍らせながら開始をプッシュ。
「ランニング ヲ 開始 シマス」
おぉ、女性の声でコーチングしてくれると。
機械的な音声ではあるけど、低過ぎることに定評のある私のやる気を上げてくれそうです。
君がこれから私をコーチしてくれるんだね。
わがままボディを飼い慣らしてたけど、今日からは君に飼い慣らされそうだ。
「ペース ヲ 維持 シテ 走リ マショウ」
OK、カトリーヌ
人間という存在は、モノに名前をつけることで、その対象を集合的な存在からもっと具体的・個別的なそれへと転換させ、そこに愛の存在を認知できる稀有な生物である。
音楽を再生し、希望への轍を走り始めます。
高性能カトリーヌ(センサ)
走り始めてすぐ、カトリーヌが語りかけてきます。
「頭ノ位置ガ テイ スギマス」
「テイ」…? なんだ「テイ スぎる」って…
って思いましたが、「低過ぎます」のことだとすぐに気づきます。
海外のアプリですからね。翻訳がままならない部分があるだろうし、むしろそんなドジっ子カトリーヌが可愛いとさえ思えます。
この時は、まだ。
頭の位置を修正し、しっかり前方を見て走り始めると、すぐ
「頭 ノ 位置ガ 正常 ニ ナリマシタ」
「ソノ位置 ヲ 維持 シテクダサイ」
と、すぐさま褒めて(ガイド)くれます。このセンサーなかなか敏感ですね。
スゴいよ、僕のカトリーヌ。その美声で、引き続き僕の耳をくすぐっておくれ。
家の近くの川沿いを、ひたすら走り続けます。
気持ちの良い風、木々のざわめき
下を流れる川、時折姿を見せる鯉や亀
耳にはお気に入りのミュージック、そしてカトリーヌの美声。
「良イ ペース デス。フォーム ヲ 維持シマショウ」
無意識のうちに、私は少しづつ、徐々に、カトリーヌの声だけを頼りに走ることになります。
神経質な恋人(空想の)
しかしながらですね、このカトリーヌという名の(っていうか勝手に名付けた)センサ、ちょっと敏感すぎるんです。
例えば、ランニング中ちょっとした段差とかあるじゃないですか。窪んだコンクリートとか。
そいつを “ひょい” っと飛び越える。
すると、すぐさま
「衝撃ガ 強 スギマス」
と、突っ込まれます。
ちょっとドキっとします。恋とかじゃなくて、「ぁ…ゴメン…」って。
足の衝撃を通常に走り始めると、
「衝撃ガ 戻リマシタ。ソノ フォーム ヲ 維持シテクダサイ」
(あ〜よかった。褒めてくれた)
こんな風に、私の脳は反応し始めます。
最初は
(やれやれ、心配性な女だな。まぁちょっとくらい神経質な方が可愛げもあるってね)
くらいに、軽く思ってました。当初は、まだ。
たまに、無邪気に走るペース上げてみるじゃないですか。
「ペース ガ 速 スギマス。ペース ヲ 維持 シテクダサイ」
(ぁ…ごめん…)
……
これの繰り返し。
次第に、私と彼女(ただのアプリ)の関係に変化が現れ始めます。
徐々に壊れていく関係
こんな感じで走ってるとですね
段々、注意されることを恐れ始めるんですよ。
誰のため、何のために、走っているのか
これがわからなくなります。カルト宗教とか変なスピリチュアル系にハマるのってこんな感じなんだと、今ならわかる。
カトリーヌ(アプリ)のため、彼女(アプリ)に褒めてもらうために、献身(ランニング)する
このように変化します。もう訳わかりませんよね。
「自分のために機械を使ってた」はずなのに、「機械のために自分を使ってる」という逆転現象が起こっていました。夏から秋に移りゆく季節のように。グラスの中でグラデーションを形成するカクテルのように、ゆるやかに、でも確実に。
……
少し疲れてきて、走りながら「ふぅ」と大きく息を吐きつつ、頭を下げる。
ーーーーーーーー その刹那
「頭ノ位置ガ テイ スギマス」
「あぁ、綺麗な空だな」と思いながら、走りながら空を見上げる。
ーーーーーーーー その刹那
「頭ノ 位置 ヲ 維持 シマショウ」
川のそこかしこに点在する飛び石で、甲羅干しをする亀たちが目に入る。「お、干してるねぇ」と見つめながら走る。
ーーーーーーーー その刹那
「頭ノ位置ガ テイ スギマス」
道端にたまに落ちている “犬の落し物” 。「おっと 」ヒョイッ と避ける。
ーーーーーーーー その刹那
「衝撃 ガ 強 スギmr……」
お" お" あ" あ" あ" あ" あ" あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ーーーー うるっっせぇぇぇぇえええええ!!!!ブチブチブチブチィィ(イヤホンを耳から引きちぎる音)
貴様はあれか!? 俺が走っているのは傾斜もタイルのほころびもない、ガラスのような!真っっっ平らで!真っっっ直ぐな!そんな道を走っているとでも!? なわけあるか!こちとらガッタガタのグッニャグニャなコンクリートジャングルでサヴァイブしてきとんじゃボケ!
首を常に一定にしろだ!? 少しは動かさなきゃ逆に首おかしくなるわ!こちとら腰痛持ちじゃぞ!そのイヤホンにマッサージ機能でも付いとるんか!?おぉん!?
青空くらいを見上げたっていいだろが!! あの子と僕の距離は遠いけど、この空は繋がってるってば!空の青さと木々の色!夕陽の輝き!そんな自然の美しさ!子供達に伝えること!それが!大人の!責務!何の話だボケ!
貴様、亀見たくないんか!?見たいでしょうが!!亀いたら「あ、亀さんだ〜うける〜☆ どんだけ乾かし万年〜☆ キャッ キャッ」ってなるだろが! ヒトは甲羅干し見たい生物なんじゃこの機械仕掛けのオタンコナス!
貴様、道端に犬のアレがあったら避けないんか!? そのまま進んで踏んでいくんか!? いくんか!?おぉん!? 我が道はマイロードっとか言ってガシガシ踏んでその轍をどこまでも伸ばしていくんか!? 軍人でも行軍中に犬のアレがあったら無意識に避けるわ!! 貴様の住む近未来では道端に犬のアレは落ちていないかもしれんがな!この令和ではまだまだそんなソフト地雷が落ちてるんだわ!命を!預かる!飼い主の!責任!馬鹿たれどもが!!!
俺は!俺の!意思で!走るんだーーーーあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ああああああ
はぁ はぁ はぁ
…
……
すみません、少々取り乱しました。
こうやって、男と女の関係って終わっていくんだな
こうやって、人類は AI に支配されていくんだな
そう思わせるに、誠に充分な彼女(ただのアプリ)だったな(遠い目)。
これ以降、アプリを起動することはなく、私とカトリーヌの間には深い溝が横たわったまま、今に至る。
冷え切った二人の関係は、今もなお春の訪れを見ないまま、季節は秋を迎えようとしている。
みなさま、良い残暑をお楽しみください。
ランニング、しばらく休みます。
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新入荷ワイン紹介5 スロバキア・ストレコフの家族ワイナリー 〜 リースリング、2つのアプローチ 〜
↑ の続きです。残りの白2種のご紹介。
2種とも同じヴィンテージのリースリング。そして醸造アプローチがそれぞれ異なります。
これは飲み比べが面白いですよ。
◆ 目次
- Nabobuliach, Riesling 2016
- ラベル表記について
- 『Nabobuliach, Riesling 2016』テイスティング
- FOUR DAYS, Riesling 2016
- ラベル表記について
- 『FOUR DAYS, Riesling 2016』テイスティング
- ※3月25日 追記
- 新入荷ワインご紹介 まとめ
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新入荷ワイン紹介4 スロバキア・ストレコフの家族ワイナリー 〜 ストレコフの伝統白品種2種 〜
先週当ブログでご紹介し、一般発売も開始された新入荷ワイン。
おかげさまで非常によく売れております。ご注文いただいたみなさま、心から御礼申し上げます。ね、すんげー美味しかったでしょ?
さて、まだあります新入荷ワイン。
最後は同じくスロバキアから、ジューシーでミネラリーな、各個性が鮮明に光る白4種。
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