Ge男

地理をエンタメに!地域の事象や旅について語る

住むごとに愛着がわく街、大井町

みなさんこんにちは、Ge男です。

今回は、丸4年住んで愛着がわきすぎた東京・大井町を改めて紹介したいと思います。

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実は、一年前に当ブログを開始したときに書いた記事が大井町についてでした。

今思うと、右も左もわからない状況で拙い文章ですみませんでした。。

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今年の契約更新で引っ越すつもりが、情がわいてきてしまい気づけば更新の書類にハンコを押していました。なので最低でもあと2年、今の2LDKに住み続けることになります。治安もよくストレスなく住める今の状況に感謝せねばとつくづく思います。

1.何もかもちょうどいい街

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大井町の魅力は?」と聞かれると「何もかもがちょうどいい」と答えています。

都心へのアクセスのよさ、人の多さ、商業施設の充実度、図書館などの公共施設、家賃・・。

住むうえの要素をほどなく満たしている街が大井町です。

例えば、都心から見て同じような立地にある三軒茶屋。おしゃれな飲み屋が多く、若者から絶大な支持を受けています。私自身も学生の頃学校が近かったこともあり、ふらっとよく立ち寄るエリアでした。

しかし、いざ住もうと思うと246や首都高は常に渋滞しており、駅前は少々ごみごみしており私には刺激が強すぎました(今思えば、近隣の松陰神社といったすこしズラしたエリアにすれば解決できたのかもしれません)。

ターミナル駅から一駅で、ごちゃごちゃしていない、買い物も便利でちょっとローカルなエリア。それでいて、当時の職場である平和島にチャリ通できる所。。

大井町がドンピシャでした。

4年前、コロナ禍ど真ん中ですが、奥さんとの同棲をきっかけに越してきたのです。

東京ということもあり近隣住民との交流は必要最低限。古くから住んでいるだろう年配と方々はみな穏やかで、ゴミ出しの際は気さくに話しかけてくれます。

 

駅前のヨーカドーとアトレ、西友、家近くのまいばすけっとを駆使して、仕事に追われる毎日でも負担なく買い出しができています。週末は駅東口の飲み屋街にある立ち飲み「晩杯屋」で、1000円台でサクッと飲め、これまた至高です。歩こうと思えば近隣の観光スポット「戸越銀座」をはじめ五反田、大崎、品川にも簡単に出れちゃう。f:id:shidare225:20240526155036p:image

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そんな「ちょうどいい街」の恩恵を享受しながら、せわしない毎日を過ごしています。

2.気になる今後の再開発

駅から品川区役所へ伸びる緩やかな坂道にはアーケードが伸びており、雨天時にも気にすことなく通行できます。このアーケード沿いにはJR東日本の車両センターならびに関連施設があるのですが、その一部を取り壊して全く新しい街を作ろうとしています。

JR東日本によると、2025年度末にはオフィス、ホテル、ルーフトップバー、ショッピングモールを始めとする複合型施設が開業する予定で、その工事が急ピッチで進められています。

大井町駅周辺広町地区開発(仮称)に本格着手します (jreast.co.jp)

ここ1~2年でこんなに大きな開発が完成するのかと思うと正直半信半疑です。

入居するホテルやルーフトップバーは庶民には縁遠いなと思いつつ、品川区役所側の広場には期待を寄せています。大井町住みの唯一の欠点ともいえる「自然の少なさ」が幾分解消されるからです。近場でお弁当片手にピクニックできたらなと思っていたので、完成が待ち遠しいです。

3.個人的ハイライト

大井町駅前にもう一つサウナが6月にオープンする予定で心待ちにしています。

www.shinagawa-sauna.com

テーマは「憂き世離れ」。サウナを通してデジタルデトックスし、日常から離れることをモットーにしています。

料金は60分980円(貸しタオル180円)で、今の所私の行きつけである「SMART STAY SHIZUKU」の方がコスパはよさそうです(貸しタオル付き60分800円)。

しかしクラウドファンディングをしサウナの質、内装、屋上の外気浴スペースには相当こだわっており、満足度が高ければこちらに乗り換えるかもしれません。

お風呂の王様含め駅前に3店舗がひしめき合う格好となり、大井町がちょっとしたサウナ激戦区になりそうです。ファンとしてはその日の気分で複数から選択できるのはうれしい限りです。

もうひとつ、個人的にハッピーなのが大井町アトレにセレクトショップがオープンしたこと。「UNITED ARROWS green lavel relaxing」が4月にやってきました。

いつも服を買うとなると横浜か二子玉川に出ていたのですが、わざわざ移動しなくても最寄り駅で季節のトレンド感を知ることができる。これは贅沢なことです。

store.united-arrows.co.jp

4.個性豊かな近隣の街

戸越、池上、武蔵小山、天王洲といった近隣の街が週末をさらに盛り上げてくれます。先述した戸越銀座商店街は食べ歩きが楽しく、半日予定が空いた日に徒歩でふらっと行けるのが良いです。

歴史的な雰囲気に触れたければ池上本門寺とその門前町が満たしてくれますし、記念日に雰囲気のよいビストロでお祝いしたければ武蔵小山までタクシーですぐです。

海辺でパンとコーヒー片手に読書なら天王洲アイルの「BREAD WORKS」がおすすめです。

www.tysons.jp

高天井の余裕のある空間とタイル張りのヨーロッパ風の雰囲気は日常を忘れさせてくれてよいです。WiFi&電源有りなので、よくここでブログを書いています。

大井町自体の魅力もさることながら、こうした周辺の街がスパイスとなり、より生活がブラッシュアップされている気がするのです。

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5.初めて東京に住む人こそ大井町に住んでほしい

進学や就職で上京した方、是非最初の街に選んでいただければなと思います。私自身が治安面で不安な思いを一切したことがなく、心にゆとりを持って暮らせてます。生活になじむまでが相当のストレスになるかと思いますので、刺激少な目の落ち着いた土地が非常におススメなのです。

 

 



 

 

福岡最後の一等地の今後

みなさんこんにちは。

 

前回に引き続き福岡ネタです。

JR博多駅近く、九州大学箱崎キャンパス跡地の再開発について、徹底解説します。



1.福岡市の国内での立ち位置

市主導でMICE(会合、研修、展示会、イベント)の積極的誘致やクルーズ船寄港誘致を進め、従来の支店経済都市・九州の中心都市から、東アジアの拠点都市というポジションに。第3次産業の人口比が高く、ITを中心としたスタートアップ企業の新たな集積地として頭角を表しています。

国家戦略特区に指定された繁華街・天神では従来の高さ制限を取っ払った新たな高層ビルが次々と建てられ、ひっ迫するオフィス需要やホテル需要に対応しています。

敏腕の高島市長(アナウンサー出身)の元、産官はもとより一般市民を巻き込んだ街づくりが繰り広げられ、まさに生き馬の目を抜く勢いで進んでいます。

2.九州大学箱崎キャンパス

箱崎エリアは江戸時代より漁村として栄えました。1911年に今の九州大学にあたる九州帝国大学が置かれると漁村という立ち位置は薄れ、学生街や古書街へと様変わり。学生数年が増加し手狭になった箱崎キャンパスは2014年に現在の福岡市西区・伊都(いと)キャンパスへと移転。博多・天神エリアからのアクセスは低下しましたが、郊外の広々したキャンパスに生まれ変わり、研究が盛んな大学としてはスペースをふんだんに使え良いのかのしれません。

一方、大学としての機能を伊都キャンパスに譲った旧箱崎キャンパスは、近代的な建築物を一部残し、取り壊して更地に。博多駅から2駅という立地に東京ドーム6個分という広大な空白地帯が出現しました。50ヘクタールという土地に全く新しい新都市が生まれようとしています。

3.どのような街ができるのか

2024年4月、土地を所有する九州大学とURは公募をかけ、住友商事をはじめとする参画する企業の選定を実施。九州電力率いるチームが大敗したニュースが記憶に新しいです。九大が100年近く所有したというブランドイメージ、筥崎宮のような歴史を感じさせる空気感を街に取り入れ、イノベーション拠点として機能させ、幅広い人々を引き寄せる高次元都市を創るというのが計画のグランドイメージとなっています。

Microsoft PowerPoint - 180727_グランドデザイン策定版.pptx (fukuoka.lg.jp)

実際の計画は50ヘクタールの敷地を北エリア、南エリアに分割。
北エリアは福岡市主導で、交通渋滞の激しい貝塚駅周辺を再整備し新たな交通の帰結点を創出します。

一方の南エリアはURに完全委任。道路敷設もURに託し車、自転車、人が共存しする区画づくりを行います。

Microsoft PowerPoint - 180727_グランドデザイン策定版.pptx (fukuoka.lg.jp)

ここまではよくある再開発のスキームです。しかし、箱崎地区は一味違います。

福岡市が掲げる「FUKUOKA SMART EAST」という最先端のスマートシティ構想をこの箱崎地区再開発事業に落とし込み、国内最大級のスマートシティを実現しようとしているのです。

smartcity.fukuoka.jp

実際に乗客を乗せて運行するバス自動運転の実証実験、視覚障がい者の事故防止実験(白杖に搭載されたAIカメラが赤信号を感知し振動を与える)を既に行っています。

FUKUOKA Smart EAST (smartcity.fukuoka.jp)

主に移動(モビリティ)、健康管理の分野を中心にIOT(モノの情報化)を加速させ、バスドライバー不足や残業問題、交通事故の抑止、子供や高齢者の見守りを実現させていきます。

福岡市がここまで積極的に取り込むのは、視座が日本国内だけでなく海外、とりわけ東アジア全域に向いているから、人口減少社会を主体的にとらえているからです。

アナウンサー出身の高島市長の自叙伝を読んだことがあるのですが、「世界中で自身と同年代の大統領が活躍している。日本という一国内で成功してあぐらをかいてはいけない」と危機感を募らせる描写がありました。確かに日本国内では唯一のスタートアップシティとなり人口は上昇傾向ですが、アジア全域に目をやれば、深刻な渋滞問題を解消すべく力を入れているスマートシティはごまんとあるわけです。この中でもリーダーとして存在感をあらわにできるか、今後の福岡市に目が離せません。

福岡市は全国でも珍しい人口増加自治体の一つですが、いずれは減少に傾きますし、福岡県、九州、日本という広い枠組みでみると顕著な人口減少社会の真っただ中にいます。これは決して他人ごとではありません。福岡市でできたことを他都市へ移植するぐらいの気概で取り組んでいるのが分かります。

4.まとめ

今回は、博多駅福岡空港に至便な福岡市東区箱崎地区の再開発の様子をみてきました。東京でも大阪でもなく九州の地から世界に通用するスマートシティが生まれようとしていることに興奮を隠しきれません。江戸時代の漁村としての役割、20世紀の学生街、そして令和の現在全く新しい街が建設され、箱崎地区の進化の様子を目の当たりにしているのです。筥崎宮や九大の遺構が残る歴史的なエリアで最先端のテクノロジーの豊かさを享受しながら暮らし、イノベーティブなアイディアが生まれ、それがまた箱崎での暮らしに再循環される。素敵なことだと思いませんか。

同時進行中の「天神ビッグバン」「博多コネクテッド」という再開発プロジェクトと掛け合わせると可能性が無限大に広がる福岡の今後。日本という国家を飛び出した国際都市になっていくのが非常に楽しみです。

 

 

 

福岡が3大都市に永遠にならない理由

突然ですが、日本の3大都市ってどこを指すか即答できますよね。

 

言うまでもなく、「東京」「大阪」「名古屋」です。今後基本的には入れ替えになることはないと思います。

しかし、同じ問いを長崎出身の友達にしたらこう返ってきました。

東京・大阪・福岡でしょ?

ええええっ!!思わず叫んでしまいました。冗談かと思いましたが、本気でそう信じているようです。東京・大阪の順はいいとして、その後が明らかにおかしいです。

それは違うと何度も正解を伝えましたが、「いや、名古屋ではなく福岡だ」と一点張りでした。

彼によると、九州の人々は皆そう思っているそうです。

確かにそれも無理ないなと思う部分もあります。

福岡は全国で5本の指に入る大都市で、地下鉄や都市高速が整備され、博多と天神という2大都心を有しています。それ以外にも香椎や西新、大橋といった副都心もあり、都市規模でそんじょそこらの街を凌駕します。約1,200万人が住む九州の首都は伊達ではありません。

しかし、明確に日本三大都市には入らない理由があります。見ていきましょう。

・要素1

最大の根拠はGDP正確には都市の生産額なのでGDPという表現は正しくないですが、わかりやすくする為、こう表現させてください。

福岡市・・・7兆3862億円(名目 R2)*1

名古屋市・・・13兆9363億円(名目 R6)*2

数字を見てもらえれば一目瞭然なのですが、名古屋と福岡で日本国内での経済的な影響力が2倍近くも違います。

ここからは個人論ですが、福岡市は明確にこの産業が強いといえるのものが無い気がします。

それもそのはず、基本的に福岡市は支店経済都市という、東京や大阪の支店が置かれ発展した都市です。札幌、仙台、広島も同じような背景で栄えました。九州電力JR九州など地域インフラを支える大企業はありますが、全国的に影響を与える企業は、先に工業化した北九州に多いイメージです(TOTO、ゼンリン)。

一方、名古屋はグローバル企業である「トヨタ」のおひざ元。正確な本社所在地は愛知県豊田市です。このトヨタの存在が現在の名古屋市を日本一の工業都市へと導いたといっても過言ではありません。下流に当たる下請会社、トヨタ関連企業(豊田通商など)が集積、莫大な富をもたらしました。

GDPでは名古屋に存在感に負ける福岡ですが、日本のシリコンバレーである九州を束ねる福岡は新興IT企業が相次いで進出しています。天神にほど近い大名(だいみょう)では、福岡空港容積率規制緩和により大名ガーデンシティというオフィスビルが開業し、ビジネス需要の高さを感じることができます。今後福岡がどう化けるか、楽しみで仕方ありません。

・要素2

港湾の貿易額にも大きな違いがあります。平等に、福岡空港博多港中部国際空港・名古屋港でより貿易額が高い方を採用します。貿易額を見る際、空港も「港」に分類されるのは知っておいてください。

博多港・・・5兆7092億円(R5)(輸入額+輸出額)*3

 

名古屋港・・・17兆7669億円(R3)*4

 

こちらについては3倍近くの差をつけています。

名古屋港の輸出額は12兆4881億円なのですが、そのうちの約6兆円が自動車関連の輸出となっています。世界各国に生産拠点があるとはいえ、今でも名古屋港はトヨタにとって欠かせない出発点ですね。

また名古屋港と成田空港は毎年輸出額で国内の2トップを争っており、令和3年度でいえば12兆8214億円で、僅差で名古屋港を上回ります。貿易総額は28兆8992億円*5と名古屋港に11兆円の差をつけダントツ国内1位です。

こうして見ると、博多港の数値が少なく感じてしまいます。

しかし、博多港は付加価値が高いうえに軽量な半導体の取り扱い割合が大きいです。

貿易額も前年比20%近いペースで増加しており、伸びしろが大きい港湾であるといえます。*6

・要素3

単純明快、人口が両市では大きな差があります。

福岡市・・・1,645,863人*7

名古屋市 2,322,143人 (R6)

*8

必ずしも人口=都市規模ではありません。横浜市の人口は日本一ですが、中心市街地の規模を考えると大阪に軍配が上がりますしね。

中心駅の乗車人員も見ていきましょう

JR博多駅・・・約108,000人(R4)*9

 

JR名古屋駅・・・約177,000人(R4)*10

※ともに降車客含めず

東京と大阪をダイレクトに行き来できる名古屋駅の規模感が如実に出ています。中京圏のターミナルであると同時に、巨大な出張需要を支えているのが名古屋駅の構図です。



先ほどのGDP、港湾貿易額と人口を掛け合わせると都市の実力が浮かび上がります。よく、「OO市と✕✕市、都会なのはどっち?」というテーマのYOUTUBE動画を見ますが、人口だけでなく複数の指標を用いて分析するとより解像度が高くなりおススメです。

よく用いられる要素

  • 都市生産額
  • 人口
  • 都市圏人口
  • 港湾貿易額
  • 大企業数
  • 中心駅の乗降客数
  • 大学数
  • 百貨店の数
  • 地下鉄の有無、路線数

これら一つの要素では断定できません。例えば5つピックアップして5つともOO市のほうが上回っていれば、少なくとも○○市は✕✕市より都会だといえます。あくまで、両市それぞれ良い点があり優劣はありませんので、そこは強い意識を持ってください。

・Ge男的視点

今回は、規模が似ている(ように見える)名古屋市と福岡市を比較検証し、福岡が三大都市へ入らない理由を述べてきました。

ここからは個人的な体感です。

福岡・・九州随一の大都市で、近くに100万都市がないのでファッションなどの文化面の集積が高く、洗練されている。高い建物が少ないぶん建物の高さの揃った市街地が広がっている。空港が鬼近く便利。志賀島の入り江に広がり、海に面した北側が弧を描く不思議な地形。長浜ラーメン、もつ鍋、中州の屋台など日常的にグルメを楽しめる。

若者が多い。ゆえに学生の街のイメージも。

名古屋・・名古屋駅桜通口の人の多さは、横浜駅を超えている。名駅の都心感は流石の一言。反対側の太閤口は一昔前の繁華街が広がっている。JRで北へ10分も移動すれば畑や田んぼが出現し、ギャップに驚く。東京と大阪という巨大都市に挟まれながらも、中日ビルの開業など存在感を放っている。揉めに揉めているリニア新幹線だが、開業後どう街が変化するのか楽しみ(名駅一極集中か、栄へ分散か)。

※個人的には僅差で福岡推しです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本最先端のコンパクトシティ 富山

皆さんこんにちは、Ge男です。

 

今回は、日本でもっともコンパクトシティ化が進んでいる富山県富山市について、その様子を分かりやすく解説します。

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1.概要

日本が少子高齢化社会に突入してはや15年、消滅可能性自治体がニュースで取り上げられるなどもはや人口減少を意識せずにはいられないフェーズに入っています。

 

そのような状況の中富山市は早くからこの問題に取り組んできており、コンパクトシティ化をどこよりも早く推し進めてきました。

具体的には、LRTと呼ばれる次世代の路面電車を導入するなど公共交通の強化、そのLRT沿線を開発し居住を促進させる中心市街地の活性化です。その結果、富山市の人口減少は県内でも緩やか、国内外が注目する都市の一つとなりました。

2.LRTの功績

LRTと聞いて、それが何かを正確にイメージできる方は少ないと思います。

手っ取り早くいうなれば、「次世代する路面電車」といったところでしょうか。路面電車は、中心市街地の輸送手段として戦前から日本の各都市で活躍していました。しかし、自家用車が普及しモータリゼーションが進行した結果、車道と干渉する路面電車は渋滞の原因とされ、1970年代までに次々と姿を消しました。一方最盛期に比べ数を減らしてはいますが、北は札幌から南は鹿児島まで今日においても路面電車が活躍しています。自動車に比べ環境負荷が少なく、Co2削減が叫ばれる21世紀の都市交通としてふさわしいと評価されているためです。

引用:https://www.city.toyama.lg.jp/kurashi/road/1010282/1006311.html

そんな路面電車をベースにより次世代向けに特化させたのがLRT「Light Rail Vehicle」です。従来より路面電車の車両に比べ床が低く設計されている、専用軌道を使用し速達化と定時運行を実現している、駅が駐車場やスーパーと一体化し、シームレスに移動でき高齢者の流動を促しているなど、路面電車を発展進化させています。1994年、仏ストラスブールで導入され、そのスマートな見た目から関心が集まりました。

日本では2023年に宇都宮ライトレールが開業し話題になりましたね。

富山においては、JR富山港線富山地方鉄道へ譲渡、LRTに改修し2003年に新規開業させました。当初は富山駅岩瀬浜間のみでしたが、2020年3月、富山駅構内のドッキング工事が終了し、岩瀬浜から市電(環状線南富山駅方面)へのダイレクトアクセスが可能になりました。これにより市街地南北と中心部の移動が容易になり、商業地では富山駅周辺13地点、住宅地では市内21地点で地価が上昇しました。*1

3.LRT沿線への居住促進

富山市では、LRTを軸とした「お団子のような都市設計」を念頭にこれまで開発を進めてきました。

3 集積による効率化 (mlit.go.jp)

真ん中の図ですね。徒歩圏で移動できる範囲を「団子」、一定水準以上のサービスレベルの公共交通を「串」に見立てています。

コンパクトシティと聞くと、一か所に都市機能を集約してその他は取り壊すぐらいのイメージがありますが、そうではなく複数箇所核となる拠点が設置されます。

都心エリア、LRT駅半径500m圏内で新規住居者が定着するよう住宅購入費用や家賃を助成する制度を作り、合計2685戸がその恩恵を受けました。*2

これらを運行本数の多いLRTで結び、都市に連続性を持たせたのが富山式コンパクトシティの特徴といえます。これによる最大の利点は、都市のスプロール化を防いだことです。

スプロール化(現象)」。聞きなれないワードだと思います。

英語で「虫食い」という意味。都市の無秩序な発展により、宅地や農地、工場が虫食いのように混在している状態を指します。もともと農業で生計を立てていた人々が住む地域にいきなり住宅や工場が建設されるわけですから、道路や上下水道といったインフラ整備が追い付かず、利害の異なる住民同士のトラブルも発生します。居住地として移り住んだのに、虫が入ってきたり排煙に悩まされたくないですものね。

富山市においても、市街地が拡大していく上でスプロール化の傾向が認められました。

定住者に気持ちよく住んでもらうために、LRT沿線に新規住宅を集中させたのはよい施策であったといえます。

4.中心市街地の活性化

日本の地方都市の多くが抱える中心市街地の空洞化問題。

高松市など健闘している事例もあります。

shidare225.hatenablog.com

↑過去記事

しかし、直近だと北海道帯広市の老舗百貨店「藤丸」が閉店するなど、厳しい局面を迎えていると思わざるを得ません。

そんな中富山市は、既存の百貨店を移転&複合施設とドッキングさせることで中心部に新たな賑わいを作り出しました。

北陸地方を中心に展開している「大和(だいわ)」百貨店は、2007年に老朽化した旧店舗を取り壊し、現在の店舗に移転開業しました。「総曲輪(そうがわ)フェリオ」という複合施設と同居し、全蓋型の広場を挟んで反対側には、公共のイベント施設である「グランドプラザ」が立地。周辺商店街もアーケードを介して一体化しており、雨や雪の多い富山で天候を気にせず買い物環境が整っています。



当然、目の前にはLRTの停留所がありアクセスも抜群。先述の通り、岩瀬浜方面から乗り換えなしで行けるようになりました。自家用車の普及率が日本一ともいわれる富山において、中心市街地への賑わいが創出されているのは凄いの一言です。

イカーからLRTに完全移行というのはなかなか難しいですが、移動する場所や方面に応じて使い分けれてもらうだけでも排気ガスの抑制、交通渋滞の解消、そして中心市街地に人が集まる環境が維持できるのではないでしょうか。

5.負の面・他都市でも応用可能か

富山市コンパクトシティ構想は世界的に見ても注目度が高く、国内外から視察に訪れる人が後を絶たないようです。

一方結局の所、LRTを活用しているのはお年寄りばかりで、若者の多くが車を利用して郊外の「ファボーレ富山」という巨大なモールに行っているのは事実としてあります。この施設はコンパクトシティ構想が始まる以前の1998年開業で、既に富山市民の買い物の場として定着していたので、そこからの購買層の取り込みは難しい側面はあります。

そして、この富山市での施策を他都市で生かすには、

  1. 既存の駅間の短い市内鉄道線があるか
  2. 住民が施策に共感し、官民で盛り上げられるか

この2点に尽きます。

ここからは話半分に聞いてください(笑)。

宇都宮のように、ゼロから鉄道を敷設するには用地取得など莫大な時間とコストがかかりあまり真似ができる事例ではありません。

たとえば、鳥取県米子市の境港線や金沢市北陸鉄道石川線のような、駅間の短い既存路線をLRT化するのはまだ現実味がありそうです。階段のないフラットな移動手段ができれば都市の回遊性は増します。

そしてできれば中心駅が高架化され従来より栄えているエリアまでダイレクトアクセスできればベスト。LRTではありませんが、JR新潟駅の高架化事業が佳境を迎え、2024年4月から高架下のバス乗り場の運用がスタート。これに伴い、市の南北と中心地を結ぶバス路線が複数新設されました。

www.city.niigata.lg.jp

*3

そして、住民の共感を得て、官民が連動できるか。

施策を他人事ではなく自分の生活に直結すると考えてくれる市民がいないとコンパクトシティ構想は実現しません。富山市の場合、LRT沿線への転居や、総曲輪フェリオの成功に理解を示した市民が非常に多かったです。自身も実際にLRT沿線に移り住んでみたり、総曲輪(そうがわ、富山市の中心エリア)を盛り上げようと地元商店街が合同でセールをするなどの動きがあったからこその成功だと思います。

この2点が達成できれば、再現性があるでしょう。

 

人口減少社会において、富山市はある一定の成功例を示してくれました。

これに追随する都市が現れるかどうか、今後が楽しみです。

 

 

 

 

インスタグラム開設&ブログ名変更

みなさんこんにちは。

 

2024年1発目の投稿で宣言した、インスタグラム発信をいよいよ始めます。

その準備で、ブログ投稿の頻度が落ちてしまい申し訳ありませんでした。

 

現在最終調整をしており、2024年4月19日(金)のスタートを予定しています。

また、それに伴い活動名を「えだたび」から「Ge男」に心機一転変更しました。

読み方は「ジオ」。「ジオグラフィー男」というわけです。

 

インスタという全く異なるSNSで、地理や旅行、鉄道の魅力を発信し、是非エンターテインメントとして楽しんでもらえればなと思います。

 

ここでこっそり投稿の一部をお見せします。

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QRコードから飛べます。

フォローお待ちしております。

 

 

 

 

北陸の観光都市 金沢を分解する

 

 

 

みなさんこんにちは。

 

久しぶりの都市分解シリーズです。

今回は、みんな大好き金沢について解説していきたいと思います。

正直、私も金沢について書きたくて仕方がありませんでした。

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コンパクトな市街地に複数の都心と観光地が存在し、完成度の高い都市である金沢。

魅力について次章から深堀していきます。

 

1.人口

都市規模を即時に把握するのに人口は不可欠です。見ていきましょう。

456,537人*1。同じくらいの都市として高松市(約41万)、松山市(約50万)が挙げられます。政令指定都市ほどではないが、それなりに大きな都市というイメージです。後述しますが、金沢の都心である武蔵が辻~香林坊~片町のメインストリートを歩くとオフィス街や繁華街がはっきりと形成されているのが分かり、北陸の中心都市であることが実感できます。

就業人口の割合をみると、第三次産業(農業、工業、漁業に分類されないサービス業等)の人口比は76.5%で、全国平均の72.8%を上回っています。*2f:id:shidare225:20240413090709j:image

加賀野菜が有名なので農業も盛んなのでは?と思ってしまいますが、第一次産業の就業者数割合はわずかに1.4%にとどまっています(全国平均3.5%)。

平日の朝金沢駅前に立つと、市内中心部へ向かうバス乗り場に長蛇の列が伸びており、肌感で都市のエネルギーを感じます。

2.交通

北陸新幹線IRいしかわ鉄道(旧JR北陸本線)、北陸電鉄、北鉄バス等。

2024年3月をもって金沢市内からJR在来線が消滅しましたが、JR七尾線より毎日直通運転があります。f:id:shidare225:20240413090735j:image
中心部には鉄道は通っておらず、バスがメイン。土休日には100円で乗車できる観光地循環型のバスも出ます。

3.歴史

戦国時代に加賀一向一揆の拠点となった金沢。織田信長軍によって鎮圧され、今の金沢のいしずえを築いた前田利家が1583年に入城。城下町を整備し、「加賀百万石」の名の通りの繁栄ぶりを見せました。今日まで戦禍を逃れた兼六園、長町武家屋敷、金沢城尾山神社、ひがし茶屋街の景観が情緒を生み、国内外の観光客を魅了しています。f:id:shidare225:20240413090931j:image

同時に金箔、漆塗、能、加賀友禅といった独自の加賀文化が花咲き、国内有数の文化都市に押し上げました。

あまり知られていないのですが、1887年に旧制四高(今の金沢大学)が置かれ、早くから学術都市を目指した過去もあります。f:id:shidare225:20240413091012j:image

4.魅力

地理的な観点からみると、「完成度の高すぎる究極のコンパクトシティー」という評価ができます。正直なところ中心市街地は決して広いとは言えず、半径1㎞の円に全て収まってしまいます。この中にターミナルである金沢駅、市民の台所がある近江町市場武蔵が辻)、企業の支社や銀行が集中する香林坊(やや武蔵が辻寄り)、若者が集まり、夜も華やかな片町という用途ごとに4つの都心が存在します。という事で車が必要なく、中心エリアに住めば徒歩、自転車、バス(本数多め)で生活が完結するのが個人的に魅力に感じている点です。朝は兼六園で散歩、昼は長町の武家屋敷を活かしたカフェ、夜は片町のビストロで・・憧れますね。f:id:shidare225:20240413091609j:image

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5.問題点

一方、金沢大学が市街から離れた山の中にあるなど、学校や勤め先が中心地以外にあると話は変わってきます。基本的には鉄道が網羅していないので、車所持が必須となります。金沢は区画が狭いうえ観光地であるため、SUVなどの大型車は不向きです。行きかう車も不思議と軽自動車が多いように思います。

また、気候も太平洋側とは大きく異なり、冬場は北陸独特の寒さと降雪に悩まされます。年間を通して雨が多く、「弁当忘れても傘忘れるな」という謳い文句があることは有名です。天気が悪い日が続くと心理的に落ち込む人も出てくるのではないでしょうか。

週末や三連休は観光客が押し寄せ、生活動線上に滞留されるという若干の「オーバーツーリズム」化も問題です。京都ほど顕著ではありませんが、インバウンド観光客が増えている現在、もし住むのであれば場所をよく吟味する必要があります。

6.新潟との比較

北陸最大都市は金沢と新潟どっちか」という議論は終わりが見えません。

個人的な見解は、「人口、GDPは新潟の圧勝」「文化面、都市魅力度は金沢に軍配」という事で「引き分け」を宣言します。

 

新潟市の人口は764,193人*3

一方の金沢市456,537人新潟市の3分の2程度です。

信越本線上り新津~新潟間は、コロナ禍という短い期間ですがJR東日本の混雑率トップに躍り出たことがあります。

都市高速並みの機能をもつ新潟バイパスは国内の国道で2番目に交通量の多い道路で、深夜帯を除くほぼ全ての時間で渋滞が発生します。港湾を有することから、今でも石油化学工業、海上運輸業が存在感を発揮しており、多くのトラックが新潟バイパスを行き交います。

令和2年度の新潟市の市内生産額(名目)は3兆1422億円。*4

金沢市の資料がなく石川県の数値になりますが、県内総生産額(名目)が令和2年度で4兆5,277億円。*5

上越新幹線の開業が北陸新幹線金沢開業より33年も早いことを踏まえると、いかに新潟市が国家にとって重要な位置づけにあるかがわかるかと思います(これに関しては田中角栄の功績が大きいですが)。

人口集積、経済規模では新潟に軍配が上がります。f:id:shidare225:20240413091526j:image

 

一方、「金沢と新潟どちらか一都市旅行ができます」と言われたら、大多数の人が金沢を選択することでしょう

1泊2日もあれば加賀百万石の繁栄ぶりを知れる観光地を周れるだけでなく、グルメやカフェなんかも十分に満喫できます。街がコンパクトですからね。市内中心部で観光が完結するのでレンタカーを借りる必要もなく、初心者でも気兼ねなく楽しむことができます。f:id:shidare225:20240413091733j:image

新潟も同じ日本海側に位置するので春夏秋冬がはっきりしており、気温の年較差が生み出す農作物や豊富な海鮮が有名です。しかしここにおいては金沢と互角、むしろ和菓子を中心としたスイーツのクオリティが秀逸で、グルメ面でも一歩リードしています。

アート、建築の観点からも金沢の右に出るものはなく、金沢駅の「おもてなしドーム」「21世紀美術館」「金沢海みらい図書館」といった趣向を凝らした建築物が点在しており、みごたえがあります。

※個人的見解ですが、武蔵が辻~香林坊の「中心街」感は新潟のそれを上回っています。金沢駅前~片町まで都心が均等に連続しているので回遊性が高く、自然と人が集まってくるからではないかと推測しました。新潟の旧中心街である古町がもっと活気があれば…と思わずにはいられません。

 

7.まとめ

 

今回の都市分解シリーズでは、みんな大好き金沢を取り上げました。

 

複数の都心が均等に分布していて美しい、ある意味理想的な40万都市。

金沢駅~武蔵が辻~香林坊~片町を結ぶ石川鉄道の市内線があったらもっと求心力の強い都市になっていたかもしれません。そんな妄想を膨らませるのも楽しいものです。

 

和菓子、加賀友禅などの伝統工芸の分野でその名をとどろかせる金沢ですが、2024年3月に北陸新幹線福井県敦賀市まで延伸開業したため、今後は「通過点」となってしまいます。

しかしながら、加賀百万石の栄華を色濃く残す金沢の魅力にハマると簡単には抜け出せません。自身、今年の3月(一か月前)に5回目の金沢旅行をしてきたのですが、また禁断症状のように行きたくなるのです。もしこれから行かれる方がいれば、この記事を通して解像度を上げて楽しんできてください。

 

それでは!

 

 

 

 

 

 

 

 

三大都市圏の”あの”都市を比較してみた

 

 


みなさんこんにちは。

 

突然ですが、今回は三大都市圏(首都圏、中京圏、関西圏)に属するある二つの都市を比較検証していきたいと思います。

というのも、双子のように立地特性が似ている都市で、調べてまとめてみたら面白いなと思ったからです。中心都市と主要都市の中間にあり、JRと私鉄が相互に伸びておりベッドタウン化している両市。どうでしょうか、皆さんは思いついたでしょうか。

 

ズバリ、愛知県一宮市大阪府高槻市です。

関東に住んでいるといまいちピンとこない地名です。

無理くり当てはめると、浦和であったり川崎が該当でしょうか。

一宮は名古屋と岐阜の中間、高槻は大阪と京都の中間に位置します。どちらもそれなりに規模が大きい街でJRの優等種別が停車する”無視できないポジション”。県庁所在地都市並みの人口を有し、対中心都市への通勤需要も大きい両市。次章以降でもう少し詳しく見ていきます。

1.人口

高槻・・・346,972人高槻市の人口(令和5年) - 高槻市ホームページ (city.takatsuki.osaka.jp)

一宮・・・377,966人最新の人口|一宮市 (city.ichinomiya.aichi.jp)

どちらも中核市に指定され、政令指定都市に次ぐ重要な都市という位置づけ。ほとんど互角の人口ですね。

2.場所

まずは一宮の位置関係です。若干岐阜よりですが、ほぼ名古屋と岐阜の中間地点であることがわかると思います。JR新快速で名古屋まで17㎞、14分。岐阜まで13㎞、9分という利便性です。名鉄を利用し、中部国際空港セントレア)まで乗り換えなしで行くことも可能です。

続いて高槻です。きれいに中間地点に位置していますね。

大阪までJR新快速で21㎞、16分。京都まで21㎞、13分。高槻に住んだら、通勤は梅田、休日は京都といったライフスタイルが実現しそうです。阪急も利用でき、京都中心部の烏丸(からすま)、河原町のアクセスも楽ちん。

3. 駅乗車人員

JR高槻駅・・56160人(データで見るJR西日本2023:駅 (westjr.co.jp)

阪急高槻市駅・・25131人(駅別乗降人員 | 駅別乗降人員 | 阪急電鉄 (hankyu.co.jp)

 

JR尾張一宮駅・・27300人(JR_MEDIA_GUIDE 2020 (jrta.co.jp)

名鉄一宮駅・・15194人(r4_torikumihokoku_eki.pdf (meitetsu.co.jp)

 

駅利用客の多さは高槻が2倍近く多いという結果に。関西圏と中京圏では(通勤)人口の母数が比較にならないほど違いますし、中京圏がどちらかというと車社会というのも理由として挙げられます。

JR高槻駅は、他路線へ乗り換えできない単独駅としてはJR西日本最大の乗車人員となっています。f:id:shidare225:20240406055504j:image

 

4.立地する商業施設

高槻・・松坂屋、阪急百貨店、アクトアモーレ、たかつき阪急スクエア、イオン高槻

一宮・・アスティ一宮、イオンモール木曽川

 

JR高槻駅南口~阪急高槻市駅の間は、「高槻センター街」「松坂屋」を中心に高密度の商業集積地となっています。路上駐輪の自転車が多く、買い物客でごったがえす「大阪ぽい光景」が広がっているエリアです。

一方のJR高槻駅北口は、タワーマンション直結の「アクトアモーレ」、「たかつき阪急スクエア(旧高槻西武)」といった複合施設が充実。混沌とした雰囲気の南口とは対称的に、整然とした落ち着いた雰囲気となっています。一方、古くからの商店街である「芥川商店街」も健在です。

 

一宮は30万都市の割には駅前の商業集積が弱く、市域東部の一宮バイパス寄りに市街地が流れている印象。

JR尾張一宮駅側の駅ビル「ⅰビル」は真新しさが感じられる斬新な作りで、商業施設「アスティ一宮」や図書館が入居する複合施設となっています。仕事帰りに寄って本を借り、惣菜を買って帰るといった暮らしが実現しそうです。

やはり一宮の商業の要は「イオンモール木曽川」なのでしょう。通勤ではJRや名鉄を利用し、休日の移動や買い物は車というライフスタイルが浮かんできます。

なんとなく、中京圏の名古屋以外の求心力の弱さが見えてしまった気がします。

5.両市の見どころ

高槻は関西では「都会と田舎両方楽しめる街」と評判です。

駅前の繫華ぶりは先述の通りですが、一方で市域を流れる芥川の上流には「摂津峡」と呼ばれる渓谷があるくらい自然が豊かなのです。

www.takatsuki-kankou.org

大阪京都へのベストアクセスを確保しながら、大自然にも触れることができる。ワークライフバランスを重視する方には高槻という選択は大いにアリです。

余談ですが、「ライフガード」で有名な飲料メーカー「チェリオ」はここ高槻が発祥です。小さい頃よく飲んだ方も多いのではないでしょうか。

 

一宮は知る人ぞ知る「毛織物産業」の世界的な集積地です。

服好きな方ならピンとくるかもしれませんが、「尾州(びしゅう)ウール」というブランドは、ここ一宮が一大拠点です。

bishu-japan.com

イギリス、イタリアと並ぶウールの産地と知って正直驚きました。

市域を流れる木曽川の水利と一大消費地である名古屋が近いという地の利を活かし関連企業が集まり、世界的な産地へと押し上げれられたのです。ファッション産業は市場志向型(大都市立地型)の産業ですからね。

セレクトショップに行くとちらほら、尾州ウールを使用したアウターやシャツが販売されています。品質が高いので高額な傾向がありますが、一着は手に入れたいものです。

 

6.まとめ

今回は、人口と立地がとてつもなく似ている大阪府高槻市と愛知県一宮市を比較検証してみました。蓋を開けてみると全然違う性格を持つ市なのが面白いですよね。

この検証を通じてやや暴論ですが、「関西圏は中心市街地以外のベッドタウンも駅前が賑わっている」「中京圏の名古屋以外のベッドタウンは駅前施設は最低限で、車所持が必須」という2つの都市圏の決定的な違いが明らかになりました。大都市の企業に勤めながら車も所持している方は、平日は一宮から名古屋へ鉄道で通勤し、休日は車で買い出しやレジャーに出かけるとQOLが高いのかなと一人妄想しました。



 

 

お家って最高!!!!

お家って最高!!!!

どう考えても限界トラベラーな私がこう言ってしまうのは何なのですが、

家にいる時間が至福のひとときなのです。

実際に旅行している瞬間はその場でしかできないことを精一杯体験しているのですが、

同時に「早く帰りたいな」とさえ考えています。

 

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身も蓋もないですね。

引っ越してきた当初は日当たりが悪いだの給湯器が壊れたのだの文句たらたらだったのですが、4年住んだ今、実家より快適に過ごせている自信があります。

住まいが充実してこそ旅を楽しめる体制が整う

旅行って「キラキラ」「非日常」「日頃の疲れを癒す」みたいなイメージがあると思います。しかし、現実は(私の場合)、「前日楽しみで寝れず寝不足」「荷物が重い」「行動するたびに判断を繰り返しているので実は仕事より脳が疲れる」というネガティブな要素もはらんでいます。f:id:shidare225:20240330204809j:image

稀ですが旅行後体調を崩すこともあるので、帰宅後の家のコンディションは高ければ高いほどよい。具体的には、家事が一通り済んでいて、ベッドに即ダイブできる状態です。洗濯物が残っていたり、食器がシンクに溜まっている状態はストレスですからね。フローリングははがれているし、細かい埃は残っているし決して「丁寧な暮らし」はできていませんが、瀕死で帰ってきても受け入れてくれる住まいづくりを心がけています。

シーリングライトを消してお香を焚き読書する

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最近はまっている自分なりの回復方法です。

電気が開通して1世紀以上経ち、電灯のおかげで暗い夜道におびえることなく歩けるようになりました。しかし文明の利器を享受している一方、明るすぎる夜に脳が疲弊しているのも事実です。主に20時以降という短い時間ですが、部屋の明かりを消して間接照明のみで過ごすという生活をかれこれ半年以上続けています。白熱灯の明かりは温かみがあり癒されるものです。極力スマホを触らず、YOUTUBEで流すピアノ音楽(もっぱら坂本龍一)とお香を楽しみながら読書するのですが至高です。


 

年収の1割を旅行に費やすそれなりのトラベラーですが、旅に出ていない自宅での時間が大切という事を今回お伝えしました。20代前半の頃は夜勤明けで銭湯に行き仮眠→旅行、ライブに直行という強行軍をよくやっていました。しかし、30歳を目前に控え、「いかに日常生活と折り合いをつけていくか」が自分の中のテーマとなっています。

将来、さらに体力が低下し足腰が弱り、満足に旅行を楽しめなくなる日が来ます。

一回でも多く旅に出れるよう、家での過ごし方、運動習慣を皆さんも今一度見直してみてください。

それでは!

サンダーバード最後の北陸路 金沢と京都を巡る旅 後編

皆さんこんにちは。

前編に続き、金沢・京都を同時に巡る旅の様子をお届けします。

 

1.山代温泉

ホテルで少し寝た後、再び町へ繰り出してゆきます。雨は引き続き残っていたようで、自転車はやめ、バス停まで歩きます。

 

新潟に次ぎ、日本海側2番目の都市とよく言われる金沢。駅前、武蔵ノ辻、香林坊、片町と4つの都心があり、連続しているように見えてなんとなく棲み分けされているのが好きです。

それぞれ、交通の帰結点、観光(近江町市場)、中心街・ビジネス街、若者の街・歓楽街のイメージです。

土日祝のみ100円で乗れる循環バスが走っているのですが、観光客ですし詰め。

片町から15分ほどで金沢駅前に戻ってきました。

サンダーバードは明日乗るのですが、せっかくなので同じ路線を走る名古屋行き「しらさぎ」に乗車。列車予約アプリ「WESTER」(e5489≒いいご予約)で特急券を購入したのですが、任意のパスワードを設定できないなど、使い慣れていないと結構難しいです。f:id:shidare225:20240324191930j:image

さすが国内最速級の特急なだけあって、爆速で飛ばしていきます(それゆえ、乗り心地は悪い)。あっという間に加賀温泉に到着。

2週間後の新幹線開業を目前に控え、構内はほとんど仮設仕様。階段を上り下りして改札へ。すぐの接続でバスに乗り込みます。

実は、「加賀温泉」という温泉は存在せず、近辺の山中・山代・片山津温泉の最寄りという事で分かりやすくこの駅名となっています。私も直近までそれを知らず「加賀温泉行きたいな」とぼやいていたので、今思い出すと恥ずかしいです(笑)隣駅の動橋(いぶりはし)や大聖寺(だいしょうじ)も各温泉の玄関口だった時代がありましたが、現在ではその役目を加賀温泉に譲っています。北陸新幹線延伸開業で、いよいよ東京から1本でアクセスできるようになりますね。すごい。

小雨の降る中、雰囲気のある温泉街に到着。

山代温泉のシンボルである、古総湯へ入っていきます。

yamashiro-spa.or.jp

ここはシンプルに脱衣所と湯舟しかなく、シャンプーやボディソープはもちろん、カランやシャワーすらないので注意が必要です。せいぜいかけ湯で体を流すくらいなので、極力宿泊するホテルで事前にシャワーを浴びとくと良いです。

中の写真は撮れませんでしたが、石川を象徴するような、木造建築にステンドグラス

が映える光景が美しく、このためだけに来てよかったと思えました。扉を開けたらいきなり脱衣所と湯舟があるので少々とまどいましたが、気さくな番頭さんが親切に教えてくれるので、心配はいりません。

2.夜の金沢

帰りはうまく接続がとれず、普通列車で50分ほどかけて金沢に戻ります。

小松で後続のサンダーバードと接続したのですが、12両ある編成の窓側のほとんどが埋まる乗車率でした。改めて、北陸線特急の需要の高さを実感すると同時に、新幹線で需要を拾いきれるのか心配になります。

金沢駅前商業施設「FORUS」に入る「もりもり寿司」へ。

tabelog.com

金沢に来たら必ず訪れる、人気の回転寿司です。日曜の夜7時で、東京に帰る観光客はもういないと踏んでいましたが、想像を超える待機列が。結構クタクタでしたが引き下がるわけにもいかず、結果1時間ぐらい待ちました。あと30分遅かったら受付終了だったので、一本早いバスで山代温泉を出発しておいてよかったです。

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待ちに待ったのどぐろ。ひとしお美味しく感じます。濃厚でクリーミーな味わいを求めて、何度でも金沢にきてしまいますね。インバウンド需要が増えていることもあり、5年前より単価が上がりましたが、満腹で幸せなのでOKです。

店を出るころには21時近かったですが、もう一か所だけ寄ります。

雨が上がっていたのでまた自転車を借り、かの有名な「ひがし茶屋街」へ。f:id:shidare225:20240324084155j:image

日中はかなりの人出ですが、夜間は誰もいません。観光施設や飲食店は当然やっていませんが、昼間とは違う雰囲気の景色を楽しめるので個人的には夜がおススメです。

自転車のサドルを三脚代わりにしてなんとか1枚撮れました。f:id:shidare225:20240324083808j:image

居住者の邪魔にならないよう、あまり長居せずにホテルへ戻ります。

3.いよいよサンダーバード乗車

翌日。

5時半に起き、併設のジムで軽くランニング。

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最高の一日のスタート・・・と言いたいところですが、アラサーの体はだんだん無理が利かなくなってきており、なんともいえない倦怠感に襲われます。8時台の再速達サンダーバード(福井、京都、新大阪のみ停車)の指定を受けていましたが、もう少し休みたかったので10:56発に差し替えました。この先30代の旅行はとにかく「無理をしない」事が最優先事項になりそうです。

特に観光の予定も入れず、ホテルでだらだら過ごします。どちらかというと滞在型のホテルなので、ラウンジでボケーとしたり、加賀棒茶を淹れながらYOUTUBEをみたりと思い思いにくつろげたのが良かったです。f:id:shidare225:20240324084035j:image

いよいよ金沢を発ちます。

車内で食べるパンを買ってたら意外といい時間に。

www.german.co.jp

ホーム上は、最期の時を惜しむギャラリー、写真を撮る人、何も知らずに普通に乗り込む人など三者三様でした。

座席に座ると外の音はあまり聞こえてこず、定刻通りにゆっくりと滑り出します。f:id:shidare225:20240324192008j:image

ラストランが近づいていますが、時間帯のせいか指定席は意外と空席が目立ちます。午前11時台、関西方面よりかは近場の福井への需要が大きいのでしょうか、自由席混雑の案内がありました。

途中駅をぶっ飛ばしていきます。「(中略)3/15をもちまして、サンダーバード号は敦賀より先、金沢までの運行を終了し、北陸新幹線にバトンタッチを渡します。これまでの皆様のご愛好に心から感謝申し上げます。あとわずかとなりましたが、金沢と大阪を結ぶ、特急サンダーバード号でのひと時をお楽しみください。」と車掌からの挨拶が。

最初で最後の通しでの乗車ですが、存分に満喫したいと思います。

私が乗ったサンダーバード18号は小松通過、加賀温泉停車という千鳥停車(停車駅を分散し、混雑を緩和する)タイプでちょっと珍しいです。その後、芦原(あわら)温泉、福井、武生(たけふ)、敦賀(つるが)、京都、新大阪、大阪と停車。

基本的に北陸3県の県境越えは峠で、県庁所在地→地域の拠点都市→トンネルで山越えを繰り返すイメージです。白山系統の山々の景観をしばらく眺めたあと、牛ノ谷峠を抜け、石川県から福井県に入ります。

芦原温泉~武生間はえちぜん鉄道とほぼ並走。スピード差が大きすぎるので競合することはないです。駅間が短いえちぜん鉄道の方は、地域と福井市内中心部の輸送に特化していて、上手く棲み分けられていると思います。九頭竜(くずりゅう)川を渡り、高架を上がると福井に到着です。

人口約25万、県庁所在地としてはやや少ない部類に入りますが、高架から見下ろす街並みは十分に都会感がありました。関西圏からの出張需要も大きそう。新幹線開業で、金沢、高岡、富山といった北陸諸都市の結びつきが増しそうで期待が高まります。

福井県は東京に住んでいると馴染みが少ない県で、私も敦賀しか行ったことがありません。永平寺東尋坊一乗谷イカした観光地が多いので、いつかはちゃんと行ってみたいものです。

武生まではなんとなく福井の延長という感じで、住宅地が続きます。

千鳥停車パターンの18号は県内主要駅、鯖江を通過。メガネのフレーム生産数が全国トップシェアであることで有名です。駅通過前に、高級メガネ店の金子眼鏡(がんきょう)の建物を見つけ、一人テンション上がりました。

サンダーバード縮小で一番割を食うのが鯖江ではないかと個人的には思っていて、メガネ関連の商談でめちゃくちゃ出張需要が多いだけに、サラリーマン相手の飲み屋やビジネスホテルの存続が心配になります。

そうこうしているとまた県境越えに差し掛かります。福井県内最後の駅である南今庄を通過すると、長大で有名な北陸トンネルへ。

全長約13キロ。関西から北陸への速達化に大きく貢献した一方、悲惨な火災事故が起きたことで知られています。

北陸トンネルに入った瞬間は静かすぎてわかりませんでしたが、次第にゴーゴーという音と前後に揺さぶられる感覚で確信を持ちました。めちゃくちゃぶっ飛ばしています。

トンネル出口間際で「北陸ロマン」が流れると、北陸の出口、敦賀へ到着です。

2年前に敦賀から姫路まで新快速を乗り通すために来たので、来るのは2回目になります。前回工事中だった、新幹線ホームが入る「要塞」が完成していました。

www.chunichi.co.jp

高さにして37m、ビル11階に相当する新駅。地上に特急専用ホーム、コンコースを経てスムーズに上階の新幹線に乗り換えられる仕組みになっています。コンコース内にあるお土産屋さんに寄っていると列車に乗り遅れる「乗り換えトラップ」があるとかないとか、、。

関西の入口、敦賀を出ると列車はループ線に入っていきます。

これですね。トンネルを作る技術力の無い頃の鉄道での山越えは、距離を稼いで登ってゆくスイッチバック(ジグザグ方式)や図のようなループ線が多く採用されています。

秘境駅新疋田(しんひきた)を超え、列車はいよいよ滋賀県へ。

f:id:shidare225:20240323155719j:image塩津浜」が見えてきました。琵琶湖です。冗談抜きで「海なんかあったっけ?」と錯覚しました。湖西線内は全て高架で、高い位置から永遠と琵琶湖を眺める事となります。個人的には1番退屈な区間(それでもグランピング施設をみつけ、もし関西に住んだら琵琶湖でどうやって遊ぶか考えるとワクワクします)で、気が付けば眠りに入ってしまいます。

目が覚め、気が付いたら朝夕一部のサンダーバードが停車する堅田を通過するところ。

琵琶湖大橋も過ぎ、この辺から一気に都会感が出てきます。

西大津大津京を過ぎると京都はすぐそこなので、荷支度をはじめます。

ほどなくして北陸ロマンが流れ、分岐器を渡り、到着。f:id:shidare225:20240324192038j:image

4.京都で家族と合流

乗客の半分くらいは降りたでしょうか、いつも京都に来るときは新幹線なのでなんだか新鮮な気分です。

このあと家族と合流するのですが、架線に飛来物がかかった影響で新幹線が大幅に遅延しており、暇つぶしに新快速に乗って遊んでました。

無事合流し、大徳寺の一般公開を見に行きます。

地下鉄で京都駅から7駅、北大路へ。受付終了時刻が16時なのに、駅到着が15時40分というピンチ。個人タクシーさんにお世話になり急ぎます(何とか間に合いました)。f:id:shidare225:20240324084302j:image

京都有数の敷地面積を誇る大徳寺。通常は公開していない本坊の天井画、「雲龍」を拝むことができました。

京都・大徳寺本坊:国宝の唐門や狩野探幽の天井画を特別公開 | nippon.comより引用

石庭がどうしても見たい私の希望で、境内瑞峯院の庭園も見学しました。

仕事に脂が乗り始めて(?)せわしない日々を送るアラサーにとって、波のさざなみや線香の煙、静寂な石庭をただ眺めているだけで癒されます。夕刻という事もあって、拙い表現で恐縮ですが「エモ」かったです。石庭を見るだけに京都に来る価値がありますね。f:id:shidare225:20240324084404j:image

残念なことに私だけ翌日仕事。駅前に移動し、最後の晩餐を楽しんでいきます。

駅構内、京都劇場目の前「京やさい料理 接方来」。

tabelog.com

季節のてんぷら、九条ねぎ釜揚げしらすのピザ、なすの揚げ出しなど頂きました。f:id:shidare225:20240324084422j:image

京都駅直結で半個室の高級感ある店内ながら、予算は一人3000円程度とかなり使い勝手が良いです。遠方同士の両家顔合わせなんかに最適なのではと思います。

ホテルに向かう家族と解散し、私だけ新幹線ホームに向かいます。悲しいい。

19:30発、のぞみ248号に乗車。新大阪始発ですが、それなりに混んでいます。ぽつぽつと通り過ぎる民家の灯りをぼんやり眺めながら虚無の帰宅です。

5.まとめ

今回、区間を工夫して激安で京都と金沢を巡る旅を楽しんできました。

幼少期から慣れ親しんだ名門特急「サンダーバード」が敦賀止まりになるという事で、最期の北陸路を楽しめたのも良かったです。かつて、深夜急行「きたぐに」「能登」や「北越」「はくたか」「白鳥」など名列車が駆け抜けた北陸本線に別れを告げつつ、新幹線によって身近になった福井へ思いを馳せるきっかけにもなりました。

今回前編後編合わせてかなり長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

よろしければ、読者登録をお願いいたします。

 

それでは!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

サンダーバード最後の北陸路 金沢と京都を巡る旅 前編

みなさんこんにちは。

本日は、先日紹介した東京発東京行きの一筆書ききっぷを実際に使用し、金沢と京都を周る旅レポです。

shidare225.hatenablog.com

↑前回記事はこちら

今回のダイヤ改正で運行区間が短縮となる名門特急「サンダーバード」の乗車がメインですが、しっかり観光もしたのでその様子もお届けできればと思います。

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3/3 世間ではひな祭りでした。

前日の22時くらいまで仕事をしていたのでゆっくりめのスタートです。

8時36分発 かがやき 506号金沢行きに乗車。

E5系は全車にコンセントがあり、ヘッドレストが可動式で調整が利き乗り得感があります。今回は進行方向右側、E席を押さえました。

大宮までの個人的な見どころは赤羽駅をすぐの「赤羽山トンネル」、右手に見えてくる川口の高層タワーマンションエルザタワー55」、「外環自動車道」です。少しずづ都心から遠ざかるのを感じながらビールが進みます。

気が付いたら爆睡しており、車窓に目をやると一面の雪景色が広がっていました。碓井峠を越えた、軽井沢手前あたりです。ちなみにこの後の長野駅近辺の積雪はゼロだったので、いかに軽井沢が標高が高いか思い知らされました。

山々が連なるエリアを長いトンネル区間で抜け、やっと抜けた先に見えるのは晴れた日の美しい日本海この景色が好きで、あえて右側の座席をとったのです。

そうこうしているうちに富山へ到着。新高岡も一瞬で通過し、あっという間に金沢へ着いてしまいました。かつて越後湯沢まで上越新幹線で行き特急「はくたか」に乗り換えていたころと比べると、格段に便利になりましたね。

改札を出ると、「ありがとう 北陸本線」の張り出しの下にホワイトボードが。皆思い思いに手書きメッセージを残していました。私も一言書きそっと添えました。f:id:shidare225:20240316170140j:image

震災の風評被害で閑古鳥が鳴いていると聞きましたが、駅はいつも通りのにぎわいで窓口には長蛇の列。インバウンド観光客もそれなりにいます。

予約していたレンタサイクル「まちのり」でとりあえず今日泊まるホテルへ向かいます。寒空の下風はびゅうびゅう吹いてきますが、ダウンを着込んでいるので汗だくになりながら繁華街「片町」に到着。

ホテルアマネク金沢」という新しめのホテルにチェックイン。

amanekhotels.jp 

〒920-0981 石川県金沢市片町2丁目25−17

荷物を預け、ホテルから近かったので昼食に金沢おでん「赤玉本店」に来ました。

11時40分くらいには来たのですが、既に10組くらいの列が。並んでる途中、いわゆる「やいらふぃー」の方が道端で騒いでいてちょっと残念な気持ちに。自分の中で金沢のイメージが悪くならないように20分耐えました。

www.oden-akadama.com

〒920-0981 石川県金沢市片町2丁目21−2

 

12時に一斉に中へ通され着席。看板の「赤巻」を中心に好きな具を頼んでいきます。

寒さの中並んだ甲斐あって、熱々のおでんが一層おいしく感じられました。f:id:shidare225:20240316144704j:image

特に気に入ったのが「えびしんじょう」。メニューに「ケーキのような食感」とあったので気になって頼んでみたら本当にその通り。エビの出汁が利いていて、リピートするか悩んだくらいです。良い体験ができました。

その後は雲行きを心配しながら、金沢城兼六園を見学。

兼六園と橋を挟んで反対側にある石川門の光景は何度も見てきたのですが、中まで入るのは今回が初めてです。入り口手前ですが、元旦の能登半島地震で緩んだと思われる箇所の修復工事が行われていました。

金沢城の象徴的な建築である「海鼠壁」(なまこかべ)が随所にみられます。f:id:shidare225:20240316144725j:image

江戸時代の建築なのに、令和の今見ても先進的な外観だなと思います。かっこいいですね。随所にセンスの良さが光るコンパクトな街、金沢のイメージそのものです。

もう何度訪れたかわかりませんが、兼六園も見ていきます。

加賀藩の5代目藩主前田綱紀(つなのり)が金沢城に面した傾斜地に1676年「蓮池御亭」(れんちおちん)という別荘を建てたのが発祥とされています。日本三大庭園としてあまりにも有名ですよね。

毎度のごとく、定番スポットで撮ってきました。やはりこのポイントが一番きれいに撮れると思います。いつもなら人だかりができていますが、平日と悪天候ということもあり観光客は少なめでした。f:id:shidare225:20240316170254j:image
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個人的に兼六園の好きなポイントは、高台に位置しているため景色が良い事。唐崎松のあたりから市街地が見下ろせ、特別な場所にいるという気分になって良いです。

そうこうしているといよいよ雲が黒くなり、かなり強い雨が降ってきました。

せっかく折りたたみ傘を用意したのにリュックに忘れてきた私は急いで香林坊方向へと走って向かいました。

水浸しになる前に駆け込んだのが、長町・MORON CAFE。(インスタでサクッと調べました。)

moroncafe.com

〒920-0865 石川県金沢市長町2丁目4−35 1F

※HPより引用

武家屋敷街の雰囲気も取り入れつつ、(入り口では提灯が出迎えてくれます)やや無機質な空間に観葉植物がぎっしり並ぶバチバチにイケてるカフェでした。

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地元の若い人で賑わっていました。

雨の日が多い地域なので慣れているのでしょう。小やみになったタイミングで皆そそくさと退席していきました。

ホテルまで小走りで戻りチェックイン、休憩。

部屋は小ぎれいで、窓からホストクラブの看板が見えること以外は申し分無し。

YOUTUBEもネトフリも見れるようですが、疲れていたので小一時間寝ることにしました。

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〜後編へ続く〜

 

 

 






 

 

 

 

なぜ都市は面白いのか

みなさんこんにちは。

旅行記が続いたので、久しぶりに頭を切り替え真面目なテーマで書いていきたいと思います。原点に立ち返り、自分の中にある熱いものを掘り起こしてしていきます。

そもそも、「なぜ都市って面白いのか」。

それは私もみなさんも同じなのではないでしょうか。

「ワクワクする」「家の近所ではできない体験ができる」「買い物の選択肢が広がる」

非日常的な体験を求めて、皆都会へと繰り出します。

私は東京から約40㎞離れた横浜市戸塚区で生まれ育ちました。

地域で一番の都会は「横浜駅前」なのですが、それよりも映画館や京急百貨店、ヨドバシカメラが揃う「上大岡」に特別な都会感を感じていました。自転車で丘を越えよく遊びにいったのを思い出します。上大岡の京急百貨店では、京急Nゲージ鉄道模型)を実際に使用されていた運転台を用いて運転できるブースがあり、間違いなく「そこでしかできない体験」でした。

東京」は非日常そのもので、幼少期は全国各地が列車が発着する場所、新潟のばあちゃんちに遊びに行く時に通る場所というイメージ。東京に連れて行ってもらえる時は大喜びしたのを覚えています。年齢が上がるにつれ、アニメにハマったときは秋葉原や池袋、服に興味を持った時は下北沢や原宿の古着屋街に繰り出すなど、趣味の追求の場となりました。

そういった人間だれしもが通る「都市」「都会」でのワクワクするような体験が記憶に残り、都市を研究する学問に惹かれたのだと思います。

実際の所、旅行に出かけた際最も楽しみなのは大自然よりも都市です(30歳を目前に形自然の魅力にも惹かれつつあります)。地方都市でご当地グルメや地域の公共交通に乗り、市民生活に溶け込んでいる瞬間こそが一番脳汁がでます。旅行というより、感覚としてはプチ移住に近いでしょうか。

あとはやはり建物が好きなのでしょう。

都市の狭い空間を有効活用した高層ビルもそうですし、港湾の倉庫を改築した商業施設(特に吹き抜けを大胆に活用しているもの)を目の前にすると無条件で気に入ってしまいます。ざっと例にあげると、東京大手町の「OOTEMORIタワー」や、大阪の「グランフロント」、高松の「北浜アリー」や天王洲アイルの「T.Y.HARVER」などです。地域ゆかりの産品を扱う店舗やおしゃれなカフェが入っていればなおさら気に入ります。都市とはある意味生き物のようなもので、歩いていくと廃屋や空き家といった「朽ちていく」部分にも出会いますし、再開発されたきれいな建物に驚くこともあります。新陳代謝を感じることができるのも都市の魅力ではないでしょうか。

同じ日本国内といえど、一つとして同じ都市はありません。

確かに人々の生活がなんとなく固定化され、モータリゼーションが進み、郊外の国道沿いにファミレスやホームセンターが並び「都市の個性」が薄れてきているのは事実です。しかしながら国際都市、工業都市港湾都市、衛星都市(ベッドタウン)、門前町、宗教都市、保養都市と日本には様々な形態の都市があります。わかりやすく例を挙げると、東京、室蘭、横浜、流山、長野、天理、熱海といったところでしょうか。

同じような性格をもっていても、人口(密度)、面積、歴史、GDP市町村合併の有無など形成要因がバラバラで、一つ一つ追ってゆくだけでも楽しいのです。私はやはり人口100万人以上の都市が好きなので、札幌や福岡の比較なんかを頭の中でしょっちゅう繰り広げています。基準は「もし私が明日から住むなら」。「福岡のこのエリアは札幌のここに当たるな」とか、「天神と大通ならどっちが休日を楽しめるか」とか妄想が膨らみます。

地理全般に言えることですが、知識を知識として頭の中にため込むだけでなく、日常生活に当てはめてゆくととグッと解像度があがりますよ。旅行中に見かけた景色(景観)に対して、自分なりに形成要因を予想してみるのも良いです。

 

今回は、珍しく自分の中に秘めている熱い思いを書いてみました。

都市ってやっぱり面白い!」そう共感していただければ幸いです。

 

 

 

 

 

キュン♡パスで行く信州・仙台欲張り旅 後編

みなさんこんにちは。

前回は、JR東日本全線が1日1万円で乗り放題になるという切符で長野までやってきました。新幹線で行けばいいものをわざわざ新宿から「あずさ」に乗り、遠回りして行ったので、7時出発なのに気が付いたらお昼に。それでも、普段なかなか乗る機会のない「しなの」に乗れて嬉しかったです。

1.名湯に浸る

幾分疲労がたまったので温泉で癒そうと思います。

長野で鉄道でアクセスできる温泉地として最初に浮かんだのが湯田中温泉

長野電鉄の有料特急「ゆけむり」号で約50分です。

古くからの温泉街の雰囲気。

調べていた日帰り温泉に行ってみます。

湯田中温泉「よろづや」。

湯田中温泉 よろづや【公式】

建物と浴場が千と千尋の神隠しに出てきそうな趣きで楽しみにしていました。

しかし調べ方が悪かったのか、「日帰り入浴はやっていない」とのこと。

ぼうぜんと立ちすくんでしまいましたが、切り替えて別の所を探してみます。

 

駅の反対側に、よさげな日帰り入浴を発見。

「吉の湯」。

www.yudanaka.com

700円(貸しタオル代別400円)というお手軽な料金で利用できます。

せっかくサウナもあったのですが、時間の関係で断念。待ちに待った温泉を心ゆくまで楽しんでいこうと思います。

平日のお昼という事もあり中はガラガラ。

古代遺跡や採掘場を思わせるような独特な作りが面白いです。

温泉・サウナ | 信州湯田中温泉 ホテルゆだなか ~大浴場「吉の湯」~ (yudanaka.com)

4つお風呂があり、深さや熱さが異なりました。43℃ほどの希釈されていない風呂→ぬるめの浅い風呂→休憩。リニューアルされた休憩スペースは十分な広さがあり、寝っ転がれるほど。サウナ使用時の外気浴としても活用できます。

これで700円は安い。湯から上がった後、別料金でコアワーキングゾーンを使用できるので、ノマドワーカーの方は是非。

2.次の目的地へ

駅へ戻ります。

帰りに乗っていくのが、かつて成田エクスプレスで使用されていた253系

今は「スノーモンキー」という愛称の特急になっています。f:id:shidare225:20240302102637j:image

幼少期に毎日のように眺めていた車両ですが乗車するのは初めてです。気になる内装ですが、「THE平成」の雰囲気。20年前にタイムスリップしたのではないかと錯覚するほどでした。インバウンドの観光客が多く、ほぼ満席に。f:id:shidare225:20240302102654j:image

リクライニングは無し、特急らしからぬのんびりとした速度で街へと下っていきます。

かつて首都圏で活躍した、2つの名列車を気軽に楽しめるのはいいですね。次回は小布施で栗を堪能する旅もしてみたい。行きたい所が無限にあります。

 

長野からはいよいよ新幹線に乗って行きます。

先発がはくたか、後発が長野始発のあさまという状況でしたが、次の目的地への可能性を広げるため立席覚悟ではくたかに乗車(この時点では行先を決めていませんでした)。f:id:shidare225:20240307152855p:image

乗降入れ替わり、なんとか空席にありつけました。基本新幹線は指定席派なのですが、今回の旅で機敏に自由席を使いこなす術が身についた気がしました。

・早めにホームに来て列の先頭を狙う

・可能な限り階段から遠い前(後)側の車両から乗る

この2点を心がけるだけで、いまのところは着席できています。

速達型のはくたかなので長野県内は無停車、1時間強で大宮に到着。新潟方面に抜けるか東北方面に出るかで悩みましたが、この切符の強みを生かせる方に決めました。

帰宅ラッシュが始まりそうな時間にかかってきたので、今回も列の先頭に陣取ります。

16:37 やまびこ69 盛岡行き

直前で気づきましたが、E5系の端の車両は鼻が長い分座席数は少な目なのです。

時すでに遅し、通常車両の半分以下の座席数を争っていきます。

・・・なんとか通路側一席を抑えることができました。キュンパスでの旅はこんな感じのシビアなシチュエーションが多いので、可能なかぎりキャスターを使用しないことをお勧めします。日帰りであればリュックやサコッシュで十分ですしね。

小山、宇都宮と通勤客がどさっと降車し、窓側席が空きました。那須塩原で降りる人が結構多くびっくりしました。普段はなかなか見れない、新幹線通勤の実情を見ることができるのもこうしたフリーパスのおかげです。

はやぶさのようにひゅいひゅいとはいかず、途中駅で通過待ちをしながらのんびり北上。郡山、福島では逆に乗車のほうが多くなってきました。

マンションが目立ち始め、進行方向左手に大年寺山のテレビ塔(東京タワーぽい)、広瀬川が見えきたら仙台到着の合図です。f:id:shidare225:20240307152940j:image

3.東北の大都市へ

特に観光する予定はありませんが、久しぶりに大好きな街に来ることができ気分が高まります。

真っ先に向かったのが仙台駅東口ヨドバシカメラの増床オープン、イーストゲートビル開業などかつての「駅裏」のイメージが払しょくされつつあります。

そんな中、今も変わらずあるのが「半田屋」という仙台ローカルの食堂。駅前の「Bivi」という商業施設に入っています。

大学生のころ、深夜バスで遊びに行った際に重宝していました。

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東口BiVi店 - あなたの街の食堂 半田屋 (handaya.jp)

ちょうど夕食時なので会計は長蛇の列。「生まれた時からどんぶり飯」というキャッチフレーズが有名ですが、この後も食べ歩く予定なので「めし(ミニ)」と肉じゃがだけにしました。一品料理から麺類まで豊富にそろっており、普段使いから晩酌まで活用できます。家の近くにあったら毎日行くこと間違いないでしょう。一刻も早い関東進出を臨むばかりです。

仙台のリアルな夜飯を堪能したあと、駅構内鮨通りにある「仙令鮨」へ。f:id:shidare225:20240309142814j:image

どの店も混雑しているなか、立ち食いという事もありすぐに入れました。寿司は全然詳しくないのですが、ネタの切り口が高級店のそれで「本当にこの値段でいいのだろうか」と不安になります。どれも非常においしかったのですが、よく火入れがされたあなごがホクホクでたまりませんでした。しっかりビールも頼んで、7貫で会計は1800円前後。仙令鮨の為だけに新幹線に乗ってくる価値があります。

おなじみの「ずんだシェイク」で〆ます。初めてだったのですが、想像以上の甘さとクリーミーさに夢中で飲み干してしまいました。東京駅大丸にも店舗あり。f:id:shidare225:20240309142837j:image

ほろ酔いで街をぶらつきます。仙台は都市規模の割に地下街が存在せず、代わりにアーケード街が充実しています。北国ながら西日本ぽい要素があるのは面白いですね。

駅から西に伸びるが「ハピナ名掛丁(なかけちょう)商店街」。江戸時代、仙台藩主が「御名懸組」という優秀な侍を選抜したクラスを設け、住まわせたことにその名の由来があります。駅前から一番町、国分町といった繁華街に抜ける通り道なのでたいへん賑わっており、東北にいることを忘れそうになります。

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このままいくと「クリスロード」「マーブルロードおおまち」とアーケードが連続します。しかしあえて、北に伸びる路地にそれ、仙台の違う顔も見ていきます。飲み屋や飲食店が密集するエリアを抜け、家具店やファッション店、予備校が集まる「本町」へきました。喧噪が一気に消え、ぽつぽつとある居酒屋から笑い声が聞こえるくらいの賑わい。都市に「静と動」があるなら、「静」にあたる場所です。

ここにいわずと知れた古着屋があります。

「Utah」(ユタ)。ヨーロッパやアメリカの輸入古着を扱うお店です。ミリタリー系のアイテム(カーゴパンツなど)が充実しています。高価格帯にあたる古着屋ですが、中にはリーズナブルな商品もあるので、読者の方で服に興味がある方は是非とも訪れてほしいです。

utahltdshop.thebase.in

閉店時間間際でしたが、暖かく迎えていただきありがとうございました。)f:id:shidare225:20240309142935j:image

そのまま歩いて数分で定禅寺通りへ。

杜の都」を象徴する通りで、中心部ながらケヤキの緑豊かな景観を楽しむことができます。年末の「せんだい光のページェント」というイルミネーションでも有名ですね。

しかし2月下旬の夜間ということもありさすがに真っ暗。雰囲気だけ楽しみました。f:id:shidare225:20240309143004j:image

隣接するのは歓楽街、「国分(こくぶん)町。」地元では「ブンチョウ」の名で親しまれています。都市の「動」にあたるエリアです。タクシーが牛歩しているあたり、新宿の歌舞伎町を彷彿とさせます。個人的に私の仙台のイメージは「落ち着いた街」「学生の街」なので、こうした歓楽街の存在はギャップがあって面白かったです。f:id:shidare225:20240309143035j:image

泉中央や長町といった副都心の街並みも見たかったのですが、新幹線の時間が迫っているのと疲れもあったのでそそくさと駅に戻ります。

最終のはやぶさで東京へ。f:id:shidare225:20240309143113j:image

実は昨日のうちから指定席を取っていました。

キュンパスの効果はすさまじく、東京発の早朝のはやぶさが満席になっていました。それを見て、「終電も埋まっているのでは?」と不安になり、仮に押さえた次第です。案の定窓側は全て満席、3列がけの通路側がわずかに空いている程度でした。

前後のやまびこも立ち客が出るほどの混雑だと予測したため、指定を受けて正解だったのです。

奴隷船のごとく、ただただ帰るだけの乗車。それでも、たった90分で東京へ連れて行ってくれる事に感謝しなければですね。

4.まとめ

本来一日で周るべきではない所に行ったので疲れはありましたが、フリーパスの良さを存分に発揮した学生のような旅行ができたのは良かったです。

2年連続で冬季のフリーパスが発売されたわけですが、平日とはいえ各地で想像を超える混雑模様となりました。特に、区間の北限にあたる青森地区はきっぷ利用客が殺到し、オーバーツーリズム化したと言わざるを得ません。

来年も2~3月の閑散期の需要喚起でフリーパスが発売される可能性がありますが、発売枚数制限といったなにかしらの縛りが出てくるものと予想します。また、私の行程のように比較的すいている長野周りルートや、近隣の伊豆・房総エリアを選択すると混雑を避けれるかもしれません。「どうしてもおトクに東北を巡るんだ」という方は、新幹線と並行して磐越線、陸羽線といった東北の「横の軸」を組み込んでみてください。

あと少し(3/14)でキュン♡パスの期間が終わりますが、これから切符を活用して旅に出る方、是非存分に楽しんでください。

今回行かなかった方も、私の行程をパクッて活用していただければと思います。

 

それでは!

 

 

キュン♡パスで行く信州・仙台欲張り旅 前編

みなさんこんにちは。

先日の投稿で紹介した、JR東日本全線(新幹線・特急含む)が1万円で一日乗り放題になる「キュン♡パス」でふらっと旅に出ていたので、その様子をお話しできればなと思います。

shidare225.hatenablog.com

shidare225.hatenablog.com

↑過去記事はこちら

朝一のあずさへ松本へ

都内自宅から新宿へ移動。6時台の電車が一本しかないので乗り遅れたらアウト。余裕を持って出発しました。

キュンパスの特典である、NEWDAYSで使える15%オフクーポンでサッポロ黒ラベルを仕込みました(笑)。f:id:shidare225:20240226210216p:image

朝ラッシュが本格的に始まる前の新宿駅。小雨がしとしとと降っていますが寒くはないです。久しぶりに新宿に来ると「都会だな」ってちょっとワクワクしますね。最初に乗っていくのが、7:00発特急あずさ1号。始発です。

かつてのE351系から現行のE353系へ置き換えられてからかなり経ちますが、いまだに「新しい車両」というイメージがあります。当時は奇抜だなと思っていたデザインもかっこよく思えてきました。特に、連結部分の左右対称な感じが好きです。f:id:shidare225:20240226210257j:image

予約時は空席が多かったものの、新宿発車時点で8割ほど、八王子発車後ほぼ満席になりました。甲州へのビジネス需要の大きさを感じます。少なくとも、豪快にビールを開けたのは私だけでした。

やはり甲府で大量下車があり、立川から乗ってきたおばあちゃんも降りていきました。

韮崎を過ぎ、小淵沢に差し掛かろうというところから景色に映る山々が急峻になっていき、ところどころ残雪もみられるようになってきました。山国に来たなと実感します。f:id:shidare225:20240226210742j:image

長野県内に入り茅野、上諏訪、岡谷、塩尻諏訪湖沿いの主要駅に停車。この辺りは水がきれいな土地で、工程に洗浄が欠かせない精密機械工業が発展したエリアです。時計の生産で有名なスイスと立地背景は同じです。上諏訪は高校生の頃、青春18きっぷで来たことのある思いで深い駅。温泉地なので駅構内に足湯があります。

塩尻で途中下車し名産のワインを仕込もうと思いましたが、調子に乗って飲みすぎると失敗するので自粛。終点、松本では30分少々の乗り継ぎで、松本城に行くにはちょっとギリギリなので駅前をぷらぷら歩いていました。

遠く離れた土地にも人々の生活があると再認識するのも旅の重要なテーマです。

観光地に行くだけではなく、町を行く高校生やサラリーマン、客待ちをするタクシーをぼんやり眺めるのも旅行では欠かせないです。できれば、地元ローカルのグルメを楽しみ、現地の人の生活を追体験すると最高です。f:id:shidare225:20240226210717j:image

JR東海の列車にも乗ってみる

「まつもと~まつもと~」と列車到着時に独特の自動アナウンスが流れる松本駅

旅情があって結構好きですよ。やってきたのは、名古屋からきた特急「しなの」JR東海の車両ですが、区間JR東日本管内なので問題なく乗れます。残り1回しか座席を指定できないので、今回は後方の自由席を使用しました。降車と乗車が同じくらいで、8割方席が埋まりました。f:id:shidare225:20240226210354j:image

列車は長野の二大都市を結ぶ篠ノ井(しののい)線を走行するのですが、松本出発後しばらくは北アルプス沿いを走る大糸線と並行にまっすぐ走っていきます。なので、進行方向左手に穂高岳槍ヶ岳といった3000m級の山々を眺めることができます。残念なが山頂が雲に隠れてしまいましたが、その雄大さに息を飲みました。氷河によって削り取られた、尖った地形が特徴的です。f:id:shidare225:20240226210420j:image

登山には興味があり去年は妻と筑波山に上ってきました。いつかは準備を重ねて北アルプスにも挑戦してみたいですね。

列車交換を挟みながら、比較的のんびり県庁所在地の長野を目指していきます。

篠ノ井到着手前で姨捨(おばすて)を通過。日本三大車窓である善光寺平を一望できるポイントなのですが、右座席に他の方が座っていたので撮影は諦めました。

ロマンスカー車両で温泉へ

なんだか箱根に行きそうな感じですが違います(笑)。f:id:shidare225:20240226210443j:image

長野駅から出発する長野電鉄では、引退済みの旧ロマンスカー車(HiSE)や旧成田エクスプレス車(253系)を現在でも特急として活用し、観光資源にしています。特急料金は100円、展望座席指定料金が300円と手頃なので、気軽に乗れてしまいます。座席はネット予約可能なので、迷わず展望席を押さえました。

nagaden-reserve.jp

すると自分以外は全員インバウンド観光客とその通訳という状況に(笑)

アトラクション要素も大きいので外国人に大ウケなようです。

地下鉄のような区間をしばらく走行し、途中駅権堂に停車。地上に上がった後も首都圏郊外のような景色が続き、通勤路線に乗っているかのような錯覚を起こします。

本郷、信州吉田といった途中駅さえも地方私鉄にしては規模が大きいです。

しかしそうこうしているうちにりんご畑がぽつぽつと目立ち始め、四方を山に囲まれた長野らしい景観になっていきます。

途中、千曲(ちくま)川を自動車道路と並走して渡る村山橋に差し掛かるのですが、車と同じくらいのスピードでデッドヒートを繰り広げていて面白かったです。皆一様にカメラを向けていました。f:id:shidare225:20240226211314j:image

列車の車庫がある須坂、信州中野や栗で有名な小布施(おぶせ)といった主要駅に停車していき、長野から45分で湯田中に到着。

新宿を7時に出たのにもう昼前。さすがに疲れが出てきたので、名湯湯田中温泉で癒されたいと思います。

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~後編へ続く~

 

 

 

 

 

東京発東京行きで金沢・京都にいける切符

 

 

みなさんこんにちは。

おまえは何を言っているんだ」。そう思った方が大半なのではないでしょうか。

当然の感覚だと思います。首都圏の大回り乗車でさえ、同じ駅を2度通ってはいけないのですから。

しかしながら、ルールに乗っ取って「東京発東京行き、途中金沢と京都を経由する切符」を発券することができたので載せたいと思います。

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いかがでしょうか。本当に東京→東京の切符ですね。「東京都区内」は23区内の駅のことを指しています。

前途無効とは、「降りたら自動改札機に回収される」と思って頂けるとよいです。

23区内の駅間で完結する乗り方、例えば大森から乗って上野で降りたら無効になります。東京駅で買い物するために改札を出ても無効なので要注意です。

経由を見てみると「(上越)新幹線・高崎・(北陸)新幹線・金沢・北陸・湖西・(東海道)新幹線」とあります。地図上に起こしてみると、

中日本をぐるりと一周する一筆書きルートが浮かび上がってきます。

JR公認の、正式に使用できるルートとなっています。総距離1200㎞近い、壮大な行程にわくわくするのは私だけでしょうか。


そして値段に注目。14080円という金額が高いのか安いのかピンとこないと思います。東京~京都の往復が16720円ということを考えると、15%引きで京都だけでなく金沢にも寄れるこの切符のおトクさが実感できるはずです。

一筆書きの切符ということで運賃は片道扱い、遠ければ遠い安くなる遠距離逓減(ていげん)制度のもと、この安さが実現しています。有効期間も7日間と長いので、途中下車し温泉に立ち寄り、連泊しながら京都を目指すのが理想的なプランです。

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特急券も同時に発券してきました。

特定区間において、新幹線と特急を乗り継ぐ場合特急側の料金が半額になる「乗り継ぎ割引」が適用されています。金沢~京都間のサンダーバードが1470円という破格で乗車できてしまいます。f:id:shidare225:20240224211037j:image

乗り継ぎ割引はジリ貧旅行にとっては欠かせない神制度なのですが、実は今年3月のダイヤ改正にて消滅してしまいます。また、サンダーバード北陸新幹線敦賀延伸に伴い金沢始発ではなくなってしまいます。この2つを最後に楽しむため、わざわざ金沢を経由する切符を作ったというわけです。

特急券の総額は14180円、さっきの乗車券と合わせると28260円という金額になります。これは東京~京都を単純に往復した料金とほぼ同額。この切符の凄さがわかるかと思います。

しかし完璧に思われる東京発東京行きの切符ですが、一つだけある落とし穴があります。それは京都には行けない点です。

「さんざん言っといて今更何なんだ」と思ったことでしょう。ごめんなさい。

正確には、「京都駅」には行けません。京都の一つ手前、山科(やましな)までは行くことができます。

切符上、金沢方面から北陸本線、湖西(こせい)線を南下し、山科でUターンし東海道本線琵琶湖線)を通るルートになっているためです。図の通り、京都駅をスルーしているのがわかるかと思います。なので、山科~京都間の往復乗車券を買い足せば事足ります。

東海道新幹線からサンダーバードへ乗り継ぐ場合、京都駅で改札を出ない限り切符の効力があります。

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これで大丈夫。心置きなく2つの古都とサンダーバードを楽しむ旅に出れます。

旅の様子も今後アップロードしていくので、こうご期待ください。

 

それでは!

 

 

 

”キュンパス“発券してきました! 注意点を解説します

みなさんこんにちは。

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去年の記事で、JR東日本管内全線(特急、新幹線含む)が一日1万円で乗り放題になる切符の紹介をしました。

shidare225.hatenablog.com

「旅せよ平日!JR東日本旅キュン♡早割パス」

発売期間は1/14~2/29、利用期間は2/14~3/14。希望休を取り、2/19に信州方面への旅行を決めました。

利用日前の14日前までに購入する必要があるので、これから買おうと考えている方は注意してください。またみどりの窓口指定席券売機では取り扱いがなく、えきねっと限定発売なのも落とし穴です。えきねっとアプリではなく、ブラウザからのみ購入可能です。実際に発券が必要な商品なので、ポチったまま何もせず当日まで気が付かないという事態は避けたいところです。

実際の購入画面です。

決済後、列車の指定席選択画面に飛べます。1枚の切符につき2回まで指定が可能なので、使いどころに注意です。現状、JR東日本管内新幹線特急の半数近くが全車指定席になっています。自分が乗ろうとしている列車に自由席があるのか必ずチェックしてください。

全車指定席列車の例

立席特急券≒特定特急券。指定席でも空席時に着席可。指定客が現れたら譲る必要がある。

実際に指定してみます。

 

ここでひとつ気を付けるポイントが。

列車の発車駅を選択する画面なのですが、手入力ではなく駅名のあいうえお順から選択する必要があります。これが結構やっかいです。今回は「新宿」を選びたいのですが、「し」から始まる駅名が多すぎて1分以上かかってしまいました。直感的に入力できないのはだいぶストレスが溜まります。

ここからさらに降車駅、時間、号車や座席を決めていくので、極力時間のある時にやることをお勧めします。自由自在に予定変更できるのがこの切符の魅力ですが、列車まで時間がないとこの操作のせいでパニックになるかもしれません。行程中に乗る列車が変わるとわかった瞬間から早めに申し込むとよいでしょう。

そして、忘れずにみどりの窓口指定席券売機で発券をしましょう。

窓口の閉鎖やインバウンド観光客の増加で、主要駅には長蛇の列が並びます。特に新幹線停車駅は凄まじいです。朝一番など空いている時間はありますが、基本的には前日までに発券しちゃうのがおすすめです。

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これでOKです!明日からキュンパスを使用して信州旅を満喫したいと思います。

実際に使ってみた感想も共有できたらと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

それでは!