日本アンデパンダン展について最後に。
通路沿いに2つの特別展示もあったから。
まず日本美術会の付属研究所「民美」の生徒展。
御茶ノ水駅の近くにあるとのことで
昔は学生たちが主体だったが
いまでは定年などで人生を一段落させた方々が
学ぶことが多くなったそうだ。
人物表現基礎コースの
「座る人」日高昌子
別の角度で東京ミッドタウンを背景に撮ってみた。
また水彩画で強く引き付けられたのが
「あと9秒」小山美津枝
原子力爆弾であとどれくらいで人類が滅びるかを
24時間の時計で換算すればどうなるかの例えだが
柔らかくそれを描いたことに
核廃棄への願いが込められている。
他には広島市立基町高等学校が被爆者の証言から
絵画でその時の状況を再現した展示も。
「ああ!幽霊だ!!」(2012年)
65回生3年次の高山愛季さんが
笠岡貞江さんの証言で描いたもの。
「はだしのゲン」にも出てきた
被爆者の悲惨な状況がそのままに。
「父のために畑にトマトを取りに走っていく時、
白い幽霊の行列が目の前の行進していた。
その場は逃げたが、後から考えてみると、
それは皮膚がはがれて垂れ下がった腕を前に出して歩く、
灰をかぶった被爆者であった。」
「私は地獄に迷い込んだんじゃろうか」(2017年)
宮本陽菜さん(70回生3年次)が
篠田恵さんの証言に基づいて。
大火傷を負った母と弟を乗せるために
大八車を引いて爆心地の方向へ向かっている途中で
ゆらゆらと蠢いている集団を見た。
これもまた大火傷を負った被災者たち。
当時11歳。これには「生き地獄だ」と思った。
本展示に戻ってこちら。
この看板はほんとうにあった画廊のものだ。
なんでも1年後に取り壊しになるからと
格安で借りられたことで
300日画廊と名付けられ
期間限定で多くの作品が展示され
なくなったあとは別のプロジェクトが
この歴史を残している。
そのスペースでは編み物と詩の朗読、
あとはチェロ演奏もあったが
こちらは聴くことが出来なかった。
最後に会員の遺作の展示より。
浅川光一(1933-2023 享年89歳)の
「汚染水」
見えない排出されたあの水は
その海の色を重く変えようとしていることを
暗示しているかのようだった。
合掌。
(この項は終わり。)