シラセ@ブログ

元博士課程大学院生、今は新米社会人です。自立した研究者への転身を目指しています。大学院生の頃のことや、日々の生活で調べて見たこと・考えたことを書いていきます。


会社員になって1年が過ぎた

速いもので、もう会社にはいって1年と1か月が過ぎてしまいました。 実は今、主に学術方面へ戻ることを目的とした転職活動を行っています。 丁度リアルタイムの話題なので、今日はこれについて簡単に書きたいと思います。

会社での仕事がとにかく自分に合わない

会社での現在の仕事なのですが、自分にとって全く「合わない」仕事ばかりを押し付けられている状況です。

私はコンピュータシミュレーションで博士号をとったため、やはり自分のスキルや志向は数理科学的な思考を必要とする解析系の仕事や、プログラミングなどだと思います。

しかし、現状は製造現場にかなり近いところで雑用のような仕事ばかりを押し付けられている状況です。たとえば、特許の調査(を知財部とやり取りする仕事)だったり、他社との契約書の締結など。そしてこれらの雑用的タスクはいずれも、他の人や前任者がやり残した、もしくは手がかかるからやっておいてほしい、という理由で振ってきている仕事ばかりです。そのほかにも、手軽に「あれやっといて!」って降ってくる横槍的な仕事もかなりあります。

苦手、かつ嫌いな事務処理的な仕事のみを延々と押し付けられるうえに、将来的なスキルに繋がるような仕事が現状全くないという点で、ここからは逃げる方が良い、という考え方に至りました。

さらに言えば、周りの人はその辺の大学を適当に卒業したような人たちが殆ど。5年や10年と同じ製品に長く携わっているため、知識・経験では彼らの方が上ではありますが、だからと言って尊敬できる点があるかと言われると残念ながら全くそんなことはありません。

これからどうするか

現在、アカデミックに戻ることを目指して、ポスドクへの応募を考えています。 会社での仕事で、「自分にはこういう仕事がとにかく向いている!」というのは何も見つけられませんでしたが、逆に「こういう仕事は無理」っていうのがよくわかりました。

博士課程時、企業の環境は大学よりも全然良いと思っていましたが、そこに個人の「これがやりたい」を挟む余地は残念ながらありません。 多少貧乏でも、ポスドクの仕事は「自分でゴールを設定して、研究を遂行する」という点で、会社員にはないメリットだと思っています。

この半年くらいはいろいろなことを考えながら来たので、今考えていることなどをうまく文章にまとめられる状況ではありません。 一方で、頭の中だけに置いておくとさらに散乱しますから、別の記事でこれまでに考えたことを書いていきたいと思います。

大学院生の頃に読んで良かった本

大学生の頃から、大体週末の午前は本を読んでいました。(午後は研究室です。。。) この記事では、読んでよかったと思う本でかつトレンド的でないものを紹介します。 いくつかの本については、また別で記事を作成する予定です。

『イシューから始めよ』

まず紹介する『イシューから始めよ』は、コンサル業界などではほぼ全員が読む定番の本です。 この筆者の安宅和人氏は、マッキンゼーで働いた後で、アメリカの大学で脳科学のPh.Dも取得されています。 それらの経験も踏まえ、コンサルティング業界と研究業界に共通する効率的な問題解決法について説明された本です。
これを読むと、研究を進めるためには、闇雲に実験をすれば良いというわけではない、というのがよくわかります。

『金持ち父さん貧乏父さん』

こちらも有名な本です。 大学院にいると、「高度な専門性を磨くこと」に重きを置きがちです。 しかしながら、それだけでは最終的に他人に安く使われてしまうという呪縛から一生逃れることはできません。 「職に就くこと」ではなく、「自分のビジネスを持つこと」の重要さを教えてくれる本です。
私はこの本を読んだ後で、何冊もお金に関する本を読むようになりました。

『サピエンス全史』

人類が出現してから、地球を支配する存在となるまでの歴史を追いかけた本です。 農耕を開始して以降、人間は同じ目標を共有する人たちと協力することで多数の大きなことを成し遂げてきました。もちろん、これは現代にも通じることです。 ここで私が目標と書いたものを、著者は「虚構」ととてもシニカルに表現しています。
人類は幸せになっているのかどうか、今後はどうなっていくのかを考える必要を感じる壮大な本です。

この本は長くて難しいので、全てをきちんと理解できたわけではありません。先に漫画で要約されたものを読むのもオススメです。

『江戸を造った男』

江戸時代の商人である河村瑞軒(wikipedia)を扱った歴史小説です。 河村瑞軒は治水工事や航路開拓など、江戸時代のインフラ構築に大きな功績を残した商人です。 瑞賢は商人なので、もちろん何かを売ることが仕事なのですが、同時に「人々の欲しいもの」を読み取る天才だと感じます。 この本は歴史小説でありながら、ビジネス小説の要素も多分に含んでいる本だと思います。

「大きな研究室か、小さな研究室か」問題はnatureにも取り上げられていた

ポスドク先となる研究室を選ぶときに「大きな研究室を選ぶか、それとも小さな研究室か」という問題は、natureでも記事が組まれていました。

www.nature.com

長い記事なので全てを紹介することはできませんが、エッセンスをここで掻い摘んでみます。 中盤以降の多くは過去にポスドクをされた方のインタビューや感想です。

とても短い要約

まず、ポスドクを志望する人が検討する問題の中で、「ビッグラボ(大きな研究室)か、スモールラボ(小さな研究室)か」は、殆どの場合において最初の悩み事である、とあります。 その答えについて、フランシス・クリック研究所のキャリアマネージャーの言葉を引用しています。

“It's quite a personal choice,”

つまり、正解や一般的な原理・原則はなくどちらが自分にとって良い方向に転ぶかを考えるのが良いだろうということです。

この後で、4つの切り口でそれぞれのメリット・デメリットを紹介しています。

Publishing Paradox

大きな研究室では、様々な研究が並行して進められているために、どうしても「ポスドク本人が望んだわけではない、部分的な貢献をした仕事が増える」傾向にあるとあります。 つまり、自分がファーストでもコレスポンディングオーサーでもない論文が多くなりがち、ということですね。

さらに、MITの91の生物系研究室を調査した結果が挙げられています。これによれば、大きな研究室は、平均的な研究室に比べて、トップジャーナル(Nature, Scienceなど)に論文を出版する傾向にあるとのこと。つまり、大きな研究室に所属することで、トップジャーナルに自分の名前を乗せることができる可能性が高まる、ということです。

一方、良くない点として、大きな研究室では一人当たりの論文出版数は減る傾向にあることだそうです。 以上をまとめると、大きな研究室は「みんなでホームランを狙いに行くが、個人の独立した仕事にはなりにくい」ということですね。

Valuable mentorship

ここでは、PIとのディスカッション時間のことについて触れられています。 それによれば、大きな研究室では必然的にPIが一人当たりに割くことのできる時間は減るとのこと。さらに、PIの時間のみならず、研究室内のリソースの奪いが発生しやすいとのことです。 確かに、これらの問題は小さな研究室では起こりにくいことは想像しやすいです。

Survive and thrive

ここでは、ポスドクの人が得る仕事のチャンスについて議論されています。 1点目に、大きな研究室にいると、それぞれが異なった手法やテーマで研究をしているため、それらの情報をお互いにシェアして新しいチャンスを得る可能性が高まるとのことです。

2点目に、前のセクションにあったように、大きな研究室ではPIが一人一人に割くことのできる時間は減ってしまいます。 したがって、(逆説的ではありますが)それぞれのポスドク主体的に独立して研究を進めるようになる、というインタビューが取り上げられています。

Real-world training

ここでは小さな研究室の強みが紹介されています。それは、小さな研究室は、ポスドク自身が研究室を構えた際のマネジメントなどの練習になることです。 研究費などを多数持っている大きな研究室から独立した場合、それらの研究費はほぼなくなってしまいます。そのような状況でショックをうける方が多いのだそう。

さらに、大きな研究室にいると、キャリア観がアカデミックよりに歪んだものになる、ともあります。なんだかちょっと分かるような気がしますね。

最後に

ここまで掻い摘んで見ましたが、最後は自分の性格などと照らし合わせて判断するしかなさそうです。 私自身、博士課程の研究室を選ぶ際はここまで考えてはいませんでした。 非常に参考になる記事でありつつ、今後自分が研究室を選ぶ際の悩みが増えそうです(苦笑)

それにしても、記事の紹介というのは難しいですね。。。

併せて、以前に書いたこちらの記事も読んでいただければ幸いです。

www.shirase-takaya.com

博士課程から民間企業への就職活動 情報収集編

博士課程修了後に民間企業に就職する予定の人は、D2からD3の前半にかけて就職活動をすることとなります。

しかし博士課程には、大学に残ることを目指している人や、卒業を延期するなどの理由で、情報を共有する相手がいないことが多いのも実情です。 この記事では私が就職活動した時のことを個人的な感想なども交えつつ、紹介したいと思います。

なお、私は2018年3月に博士課程を卒業したため、就職活動を実際に行ったのは2016年の年末ごろから2017年の前半でした。 就職活動を行った会社は鉄鋼・半導体・化学分野の日経企業(メーカー)と、それらを顧客とするベンチャー企業・中小企業でした。 (これらの企業の将来性などがどうか、などは本記事の範囲外です)

人材の流動性が高い情報系・ウェブ系の企業などとは大きく雰囲気が異なりますので、取捨選択を行いつつお役に立てば幸いです。

事前の情報収集は入念に

あたりまえのことなのですが、情報収集は入念に行いましょう。 特に、「どの企業が」「いつ」募集をかけているのかという点には注意をすることが必要です。

博士学生は”就活ルール”に縛られていないのが一般的

国内の大企業は経団連などで合意した就活ルールに従った動きをしていますが、博士課程の学生はこれらルールの対象外である、というのが一般的な認識です。

実際、いわゆる「就活解禁」の時期よりも前に博士の人のみエントリーが可能になっている会社も多くありました。

厄介なのは、これらのスケジュールは業界内でも企業により異なることです。 「早期選考も行いつつ修士課程の人と同時期の募集も行う企業」もあれば、「修士・博士関係なく同時期に募集を行う企業」もあるなど、これは企業の採用方針によります。

これらは自分で一つ一つ調べるより仕方ありません。同時に、周りの同期の人と情報収集しあうなどして、入念な情報収集を心がけましょう。

早期選考がある会社は、そちらを使った方が良い(と思う)

製造業の会社は「生産技術要員○人、研究開発要員○人、事務系○人・・・」といった感じで採用方針を決めています。 このなかで、一般には博士課程の人は研究要員(の予定)として採用が行われます。

しかし早期選考がある企業で、学部・修士課程の人と同時期の募集に応募する場合、研究開発枠(おそらく皆さんこれを望んでいるはず)は既に埋まっている、といったことも十分ありえます。

内定後の配属面談や配属先通知の時に「こんなはずでは!」とならないためにも、早期採用がある場合はそちらに応募して、自分の希望職種をはっきりしておくことが重要です。

情報サイトやイベントなど

近年では、博士課程やポスドクの人のみを対象としたイベントなども増えてきました。

就職活動が盛んになる時期が近づいてくると、大学のキャリアセンター主催のイベントなど主催のイベントが行われます。 博士課程の人のみを対象とすると1大学のみでは人数が少ないこともあるため、周辺の他大まで声がかかることも多いようです。 一例として、東京工業大学ではこのようなイベントを過去に行っていました。

12/15(金)「ドクターズキャリアフォーラム(DCF)2017」開催! | 東京工業大学イノベーション人材養成機構

その他、アカデミックに特化した就職・転職コンサルタントであるアカリクなどでも、今年はこのようなイベントが行われたようです。

acaric.jp

アカリクはこれ以外にも、複数の企業の1次面接を併せて行えるような就職イベントなども行っています。 ベンチャー企業などは情報が少なく、一つ一つ見ていくのもしんどいかと思いますので、これらのイベントなどを利用しつつ効率よく見ていくのが良いでしょう。

最後に

就職活動の事情は景気や政府のご意向などで、毎年変化します。

まずはその年の基本的なスケジュール確認をするのを忘れずに。その上で、博士課程学生は一般的な学生とはやや異なる採用日程であることを踏まえ、早めの情報収集をして行きましょう。

忙しい大学院生のためのTOEIC対策法

https://www.iibc-global.org/library/default/common/img/layout/site-id_img02.png

就職活動などで必要になるTOEICの試験、なるべく楽して良い点数が取れるに越したことはありません。 この記事では、自分の経験を元に、研究に忙しい大学院生のTOEIC対策法を紹介します。

TOEICは続けて受験すると点数が上がる

まずは私の経験を書きたいと思います。

私は就職活動を始める前、5年ぶりくらいにTOEICを受験しました。この時は自信がなかったため3回連続で受験しましたが、試験と試験の間は特に何も英語の勉強はしませんでした。

ところが、この時の点数の推移は、690→785→835 と、予想をはるかに上回る結果となりました。

このことは、TOEICは「続けて受ければ点数が上がる」ことを示唆していると言えます。

(注:その後で受験した時は850でした。が、そろそろ頭打ちのようです)

TOEICの対策は、英語力と試験慣れの両面で行う

上記の結果の推移から言えることは、TOEICの点数には続けて受験することによる試験慣れの面が大きく反映されているということです。

言い換えるならば、TOEICスコア=実際の英語力×試験慣れ。

したがってTOEICの試験対策は、変に始めからパートごとにポイントを絞るよりも、上記のそれぞれをバランスよく行うのが良いと言えます。

英語力の方は普段からしっかり論文を読むこと

研究の過程で先行研究や他の研究手法を調べるために論文を読む機会が多くあると思います。これを日々続けているならば、TOEICの個々のパートにポイントを絞った対策は差し当たって必要ないでしょう。

TOEICの目的は主にビジネス英語の能力を測ることなので、比較的カッチリした英文が多く出てきます。したがって、論文をある程度ザーッと文章の頭から読めるようになっていれば、そのままある程度の英語力対策になると言えます。

試験慣れのためには、公式問題集が最良の選択肢

試験慣れのための対策は、公式問題集が最善の選択肢だと思います。

これを実際の試験と同じ時間制限で解いた後で採点し、解説を見るだけで良いでしょう。

実際の試験よりも少し難易度が高めに設定されていますので、これで少々低い点数が出ても落ち込む必要はありません。

最後に

企業に入社した後も、TOEICの点数が昇進に必要な会社は多いようです*1

学生のうちに試験の形式にも慣れた上で高い点数が取れれば、入った後で一つ余分な苦労をしなくてすみます。

肩肘張らずに数打って当てるつもりで受験して、良い点が取れたらその後はTOEICに使う時間は研究や趣味に充てましょう。健闘を祈ります。

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楽天

*1:ただし、日系企業の場合は決して高い点数ではない

お金やポストに悩まずに安心して研究を続けるために、専門知識以外で身につけたいこと

博士課程修了後に学術機関に残ることを希望する場合、昨今のポスドク問題に代表されるように、お金やポストの問題にずっと悩む方が圧倒的多数の状況です。

実際、私がお世話になった先輩も、ポスドクの任期が切れる頃には次の職探しを大変しんどそうにしていたのを覚えています。

今日は、この問題について考えたいと思います。

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専門性だけではビジネスは成り立たない

優秀な研究者の方であってもポストやお金に悩む方が絶たないのは、専門性(専門知識)だけでは、他人のビジネス*1に組み込まれるだけだからです。

ここで世間一般のビジネスの流れを大雑把ですが考えてみましょう。すると

  1. 市場調査・企画: お客さんの欲しい製品・サービスを調査する

  2. 研究開発・製造: 製品・サービスを開発し、必要な数だけ製造(複製)する  

  3. 営業・販売:   作った製品やサービスをお客さんに販売し、お金をもらう

というように、いくつかのフェーズに分けることができます。

一方、理科系の人の専門性は、この2のフェーズ(研究開発・製造)に集約されがちで、お客さんにリーチするまでの一連の商売の流れを完結することはまずありません。

なぜなら、研究者に求められるアウトプットは論文であって、売り上げではないからです。

論文以外のアウトプットも持とう

研究者としての評価向上に論文は必須ですが、お金は生きていく上でもっと重要です。

しかし自分でお金を作る方法論を知らなければ、いつまでも専門性のみで同業他者と勝負することとなり、結果的にお金やポストに常に悩まされることになるわけです。

だからこそ、市場調査や販売の方法を身につけ、いざとなった時に自分でお金を作る術を身につけましょう。

言い換えれば、多数のお客さんにリーチする媒体を持ち、マネタイズする練習が必要だといえます。

現実的に考えられる方法としては、サラリーマンの副業と同様に色々ありますので、後日改めて書きます。

最後に

私がこのような考えを持つきっかけになったのは、D3の頃に読んだ『金持ち父さん貧乏父さん』という本がきっかけでした。

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この本は「ビジネス」と「職」の違いを学べる大変良い本です。

今このようにブログを立ち上げているのも、お客さんにリーチするための方法を試行錯誤しながら習得するためでもあります。

「俺は専門性だけで生きていく」という気概の人も、騙されたと思ってぜひ読んで見てください。

*1:ここでいうビジネスの意味は、最後に紹介する「金持ち父さん貧乏父さん」を読んでください

大学院進学の理由はひとそれぞれ

今日はものすごく自分語り記事です。

後輩に進学相談をされたときにはほぼ必ずされる質問、それは「なぜドクター行ったんですか?」というものです。 自分の場合は博士進学時に研究分野も変えているので、「分野を変えてまでなぜ進学したのですか?」と言われます。

今更ではありますが、この答えを文章にしておこうと思います。

表向きの答え

まず第一にあげられる理由は、自分で物事を調べていく作業が楽しかったというのがあります。とはいえ、自分の場合は「研究」が好きだったのか、それとも「勉強」が好きだったのかは今でもよくわかっていません。

博士課程は、自分でテーマを設定して研究できるようになるための練習期間といわれます。
しかし、未知のこと、かつ自分で解決可能な問題を探すとなると、「まず昔から温めてきた大きな疑問があった上でのテーマ設定」はなかなか難しく、それよりはむしろ「色々と教科書なり文献を読んで勉強した結果、その細部に疑問を持ち、自ら検証した」という形で研究を進めることになりました。 この時の文献の調査結果が、論文のIntroductionの項にそのままなってくれるわけです。
この時を振り返ると「勉強」フェーズがテーマ設定までの大半の時間を占めており、これを楽しんでやれるかどうかはそれなりに重要な気がします。

また、研究、もしくは勉強が好きとは言っても、やはり分野や手法によってあう合わないはあるようです。
自分は修士までやっていた学問分野はどうも肌に合わないと思ったので、途中で進路変更をしましたが、その後はものすごく集中して研究に取り組むことができました。 今やっている研究内容があっていない気がする、もしくはどれだけ努力してもうまく行く気がしない、というときは他の分野に行ってみるのも選択肢の一つとして考えれば良いのではないでしょうか。

実のところは・・・

正直にいえば、「名刺にPh.D.って書いてあるのはかっこいいじゃん!」というものです。 我ながら、単純すぎて驚きます(笑)

この理由に説得力はあまりないかもしれませんが、私が分野を変えてまで博士課程に進学したのはこのような動機があったからです。

このように思うようになったきっかけは、大学3年生の頃に何度か話を聞かせてもらった先生(教授)です。 その先生自身、博士課程進学時に全くの別分野に進み、学位を取られた先生です。 その先生に「これからはどんな職業に進もうとPh.D.の称号があるかないかで全然対応が変わる」という内容のことを言われました。

これについては、社会人になった今の時点での感想を述べると、今の日本ではまだ全然そんなことはなく、むしろ博士号などというものは厄介な存在であることも多いのが実情だと思います。

しかしながら、長い学生時代、上記の先生の言葉は、モチベーションを保つのに確かに効いていました。

自分のまわりは?

同期で飲み会などをした時、何度かこういう話をした覚えがあります。N数は多くありませんが、

  • 「単にその学問分野が好きだった」(←研究が好きだったのかどうかは知りません)

  • 「将来は自分の研究室を運営したいから」

  • 修士まで研究しているうちに、もうちょっと深めたくなった」

  • 「もう研究者の道しか考えていない」

などの意見を聞きました。皆さん私よりはきちんと考えているみたいです(笑)

最後に

上記にあげたような自分の知り合いは全員、結果はどうであれ進学そのものを後悔している人はいません。 進学の理由は人それぞれですし、その理由の良し悪しを他人に判断される筋合いもありません

進学したい、と思うならば、経済的な事情が許す限り、素直に進学すれば良いのではないでしょうか。