くらしのマーケット - 掃除のマーケットプレースで「個人や中小企業に信頼を」
くらしのマーケットは、クリーニングや掃除などを依頼するためのマーケットプレイスだ。彼らの定義によると、
くらしのマーケットは、オンラインで「出張・訪問サービス」の依頼ができるインターネット商店街です。
ということで自らを「インターネット商店街」と定義し、かつ「出張・訪問サービス」に限定している(逆に言えば、出張・訪問が発生する全てのものに対してサービスを提供している)。
市場規模
ハウスクリーニング業界の市場規模は2013年時点で2200億円(参照)というデータがあり、2018年時点では3000億円超の市場になっていると推測される。1人暮らしや共働き夫婦、高齢家庭など掃除まで手が行き届かない家庭は多くなっており、掃除の担い手として成長している業界である。
収益性
昔から当該業界に居るダスキンなどの会社もある一方、掃除という内容上独立して個人や小さい会社でやることができるが集客に課題があるというところをくらしのマーケットはサポートしており、手数料を20%取れているということは収益性に大きく貢献している。
もちろん、個別契約を持ちかけられて手数料逃れをされることは容易に想像できるが、このサービスに収入を依存するようなプレイヤーが増えれば増えるほど業者がペナルティーを食らうリスクが高まることになる(一般ユーザは上位の業者に連絡しようとするため、検索順位を数位下げられるだけで収益は一気にガタ落ちする)。
また職人としても口コミレビューが集まっているプラットフォームはここだけのため、囲い込まれるという点もある。
利用雑感
ウェブ上での利用した人のレビューを見ると、
- 料金は職人に対して手渡し
- 実際に来るときは不安だが、レビューによって安心さが生まれ、かつ実際に利用してみて好印象だとリピートしたくなる
とのことである。
初回利用のハードルは高いが、そこからのリピート性は高いので顧客の囲い込み効果は非常に高く、ビジネスとしては継続して安定性を生みやすいモデルになっていることが想定される。
ZOZOSUITS - ベストフィットな服を提供する
ZOZOSUITSは、彼らの定義によると、
ZOZOSUITであなたの体型を計測することで、もうサイズ選びで 悩むことが無くなります。計測後に注文できる「ZOZO」を着てぴったりな体験をお試しください。
もともと非常に話題となったサービスでコンセプトは同じで別の製品だったものを、スマホカメラ撮影を含めた製品に変えて実装しなおしたのが、現在のZOZOSUITSになる。
スマホカメラを使う以上、ある程度精度の問題はあるものの、スーツのサイズ仕様などにより現実的な精度を出せたためこの度の展開となったようだ。
市場規模
このサービスは最終的には店舗での試着を不要にするサービスのため、強引に行ってしまえば、国内アパレルの全市場(9.2兆円)がサービスのターゲットとなる。国外展開も視野に入っていることは容易に想像でき、そうなると市場規模は300兆円規模の市場となる。
このサービスはバーチャルでの服を購入する体験を劇的に向上させるものであり、最終的にいわゆるSFで出てくるような、
- バーチャル環境での試着(VR/AR試着)
- 体型データ計測によるベストフィットな服の提供(バーチャルフィッティング・オーダーメイド)
なども視野に入ったサービスの一角だ(そして、現在のテクノロジーで、これらのサービスがリリースされるのは時間の問題ともいえる!)。
リリース速度を優先してまずは市場でのプレゼンスを確保していくこと、技術をアピールしていくことが目標になっていると考えられる。店舗での計測としなかったところがネット専業のZOZOだなという印象がある。
収益性
顧客の体型情報を確保することは今後のネット通販事業において外せないポイントになっていくことは間違いない。一方、体型を計測するサービスの顧客認知やそれが当たり前になっていくこと、統一された規格となっていくのには時間がかかり、だからこそチャンスが大きいとも言える。
ブランドによるネットショップ囲い込み、顧客囲い込みの積極度が高くなっていく中で、次の成長と現ビジネスの規模を維持するためにも顧客を囲い込める仕組みへの投資は彼らの生命線でもあり、収益性からして損失が出たとしても順当な一手と言えるだろう。
利用雑感
自分自身での利用はできなかったが、他の人が使っている状況を見るに
- 初回利用するのは非常に煩雑であり、手間がかかり分かりづらい
- 一方、使ってしまえばその後のネットショップ体験はレベル感が違うものであり「ゆったり着る」「ピッチリ着る」などの工夫もできるなど、既存のネットショップ体験をレベルアップするのに足るものだと思う
一方、この手の情報は多くの店舗は本来的には持っているものであり、情報を入れる煩雑さは解決する店舗型端末のほうが合う可能性があるだろうと思う。UNIQLOなどは順次その手のサービスを提供し始めるだろう。
トリクル - フリマ出店の手間の代行を価値に
トリクルは、
売りたいアイテムを渡すだけ!
家に"取りに来る"
出品代行サービス
ということで、フリマ出店を全てものを預かってやってくれるサービスだ。買い取りサービスはあるが、買い取りに来てくれるというのは差別性があった。
市場規模
市場規模はわかりやすく、リユース市場は環境省の調査で、最終需要ベースで3.1兆円の市場となる。フリマでいうと、メルカリの流通総額が2480億円(2017年)、それ以外のアプリやサービスを含めて1兆円弱程度はフリマの市場規模があると見ることもできる。
ただし、このサービスがあくまでフリマの市場規模の中で(手数料を払ってでも)面倒くさくて全てを任せてもいいというユーザをターゲットにしていることを考えると、その市場のうちのごく一部を専有していくことをまずは想定していると考えられる。
収益性
既存でもこの手の取組は存在しており「バイク王」などは買取査定を実際にユーザのもとに行って行うことで有名だ。車やバイクなどは特に男性にとって愛着を持つ存在でありがちで、バイク王が実際どうかはいざしらず、多少強引に引き取ってもらえることで踏ん切りがつく(?)という話も多い。
サービスの話題性も相まって、公開1ヶ月で1万点のアイテムを集めてサービスが中断してしまうほどであり、あくまで推測の数字ではあるが仮に平均アイテム販売金額が3000円と考えたら1ヶ月目で900万円の潜在的な売上を(更に伸びしろがある形で)生んでいるということになる。(もちろん、ブランド品や携帯電話等の高額商材によって販売金額は実際上がっていく可能性もある)
一方、今後最適化が見込まれるのだろうがアイテム出品フローがどの程度コストになるのかは収益性を担う一番のファクターであろう。上記の通りで3000円が平均のアイテム販売金額とすると、その売上を生むために何時間の労働が生まれるかによってコストは大きく変動する。
ある種の自動出品システム(AI含む)がここでは活躍していくことになる。
もちろん、プラットフォーム側にある程度場所を握られている以上、プラットフォームからbanされるリスクはある一定、存在する。
利用雑感
残念ながら使うことはできなかったのだが、このレビューによると夜に取りに来てくれる、身分証を確認する、管理画面があるなど、で法的に問題のない形を作りつつ、ユーザには負担のない形のシステムが組まれていることがわかる。
実際には成果が出てきてから世の中で口コミが生まれてくることになると思うが、「面倒な人は使っても良いかもしれない」というレベルまで持っていければある程度の市場は産めるのではと思う。
また、リユース市場の中でも高額な商材である車やバイク、大物家具など本当に持っていってほしい具合が強いものだったり高額査定が求められていくようなものへのアプローチをすることも一つの市場開拓になることは容易に想像できる。(事業提携ベースの車・バイク販売代行サービスなんか面白いかもしれない。)
JAMLIVE - ライブチャット+クイズを日本でも
JAMLIVEとは、
365日開催されるライブクイズショー JAM!
参加人数に制限なく誰でも参加していただけます!
家族、友人、恋人と一緒に賞金をGETしましょう!
ということで、生放送でクイズをリアルタイムライブ配信され、正解すると10万円などプレゼントを山分けするリアルタイム参加型クイズアプリだ。
もともとはアメリカで「HQ Trivia」というアプリが大ヒットしたことを受けて日本でも多くのプレイヤーが生まれた流れで出てきたアプリである。
市場規模
明確にこれが市場規模ということはないが、日本ではクイズ番組が7時〜10時のゴールデンタイムに多く流れており、多くの人が視聴しているなどクイズ番組のコンテンツとしての魅力度は高いと考えられる。
視聴率低迷のさなか、視聴率1%(100万人)参加しているアプリを生むことができれば、ゴールデンタイムの番組を代替することになっていく可能性があるという意味では狙えるチャレンジになると考えうる。
収益性
このアプリの収益性は「継続してリアルタイムに参加しているユーザが存在する」ことがどれだけのパワーになるのかというところに尽きる。映画のプロモーションなどで朝の情報番組やクイズ番組にタレントを送り込むよりもこの手のクイズアプリに参加させる方が映画の動員や、商品の購買につながりやすいのであれば喜んで広告は付くだろう。
ただし、結構この手のアプリを渡り歩く人が多いため、実際には相当属性のバイアスがかかることは広告にとってはマイナスになる可能性がある。
一方、現在クイズを間違えたときに使うと復活できる「ハート」を友達を招待すると配っている。この「ハート」を始めとするアイテム群を有償で購入できる機能を用意することでユーザからの課金も可能になるかもしれない。(ギャンブル的になるかならないかの議論は置いておいて。)
利用所感
実際に使ってみると、2018年6月26日時点で8200人前後の人が参加していた。実際に継続して視聴をしてもらうため、最初の5問は非常に簡単な問題、そこから徐々に難しい問題を出していく形式となっている。
かつ、問題回答を間違っても12問全てを回答するとハートがもらえる仕様になっている。最後まで回答するモチベーションを出しつつ、ショーとしても面白いものを出しているのだなという所感だった。
継続率などは課題となるものの、そのうち、資本力のあるところから知名度のあるタレントがゲストで参加したりなど話題作りをしていくことで一気にアプリの知名度が上がる可能性は十分ある。755のように気がついたらそういうサービスもあったなとなる可能性もあるが、大手だからこそできるチャレンジかもしれない。
タベリー - レシピ本をネットで「悩み解決」ツールに
タベリーの定義は、
提案レシピからあなたにピッタリの献立やメニューが10秒で創れる「献立アプリ」です。
今日の献立を何にするかという悩みをアプリで解決するアプリだ。
市場規模
今日の献立を決めるレシピのアプリは非常に競合も多く、月間利用者数2000万人超を誇る「一強」とも言えるクックパッドと、ここ1〜2年で勃興しつつある動画をキーとしてユーザを獲得しようとしている「DELISH KITCHEN」「クラシル」などのプレイヤーがひしめき合う状態となっている。
クックパッドのプレミアム会員数が200万人弱となっており、お金を払うユーザ層をいかに取り込めるか、利用料を上げられるか、食材等の関連ビジネスに手を広げられるかがビジネスプレイヤーの観点となる。
市場規模算出は悩ましいところだが、下記参考リンクを参照して2008年時点でのハウスホールド関連雑誌の総発行部数を総計すると201万部であり、クックパッドのプレミアム会員数とも兼ね合わせてプレミアム情報市場だけでは200〜300万人であると推定できる。
これを市場規模に換算すると雑誌の単価等で単価を500円計算でおおよそ年間150億円。関連事業(食品、生活、それに関する広告)までを含めれは数十兆規模の市場となるが、レシピ情報サービスが奪い合おうとしている市場自体はその規模感となる。
収益性
タベリーの特徴はアプリの特徴もさながらに、「月間720円」という他サービスと比べると高価なサブスクリプションサービスにチャレンジしようとしているところだ。この記事を書いてから(2018年6月現在執筆中)半年後には変わっている可能性も十二分にあるとは思うものの、クックパッド 280円、DELISH KITCHEN 480円と比較するとその高さが際立つ。
類似の紙媒体では号によってばらつきはあるものの、オレンジページが390円、ESSEが500円、レタスクラブ590円とワンコインを目安に価格付けがされている。
これらの雑誌やサービスがメインとして主婦層をターゲットにしていたのに対して、忙しい共働き夫婦をターゲットにしたより問題解決アプローチであるからよりターゲットは狭い代わりに高い単価を取れるアプローチを取ったのかもしれない。
利用所感
筆者は自分でも料理をするため今まで料理を何か作ろうと思ったタイミングで行った手法は「検索」だった。なんとなく買ってある食材の名前でクックパッドやGoogleで検索をして良いレシピを探して、気に入ったものがあったらそれを作るというアプローチを取っていた。
ある程度食べたいものが決まっている、ないしイメージができている場合はそれでも良いのだが、イメージができていない時の一つの解決策としては結構優秀な印象。
一方、このアプリ事業が収益化するためにはユーザが毎日のようにこのアプリに頼ってしまうような中毒性が求められるとも感じる。「作り置き・常備菜レシピサイト『つくおき』」などを代表とするコンテンツサイトもある中で60日間でどの程度ユーザを中毒化できるかは悩ましい。
(筆者はクックパッドプレミアムも申し込んでないユーザなので対象外かもしれないが。)
スペースマーケット (SPACEMARKET) - レンタルスペースのマーケットプレース
スペースマーケットの定義は
SPACEMARKET(スペースマーケット)は貸し会議室から民泊まで、
約6,000ものユニークなスペースの予約から支払いまでワンストップで
簡単に行えるサービスを提供しています。
ということで、スペースのゲストとホストをつなぐマーケットプレースとなっている。法人向けの会議、写真撮影、ロケ撮影、イベントなどの用途はありつつもオウンドメディアBEYONDでは個人向けのパーティーやBBQなどの用途の提案があるなど、個人向けのニーズ開拓を進めていこうとしている。
市場規模
貸し会議室(スペース)市場は一説に9000億円の市場規模があるという。
貸し会議室は会議や研修に使用するだけではなく、展示会・パーティー・スタジオなど、幅広い用途に使われるので、国内の市場規模は年間9000億円を超える市場規模です。インターネットを使った広告費を見ても、総額1兆円程度と極めて巨大なビジネスに成長している事が分かるでしょう。
貸し会議室の運営会社を始めるには?市場規模やメリットをご紹介 | 大阪・東京などの貸し会議室ポータルサイトの会議室セレクト
この内10%の市場専有をし利用費30%(この話は後述)を取れれば 1000億円の総流通 + 300億円の売上のガリバー企業が生まれることになる。彼らの狙いとしてはここにあるだろう。
収益性
このビジネスの収益性を語る上で外せない話は利用費30%の高さだ。メルカリが10%、airbnbが3% + 0~20%(ゲスト) を取る中で30%の利用料の高さは群を抜いている。
高い手数料を取ることは、
- ユーザの代わりに広告費を多く投下してプラットフォームの収益性を高める投資ができる
- 企業としての営業利益を高く取ることができる
というメリットがある一方、
- 利用費が低い他プラットフォーム(自前主義含む)への代替が進むリスクが高まる
というデメリットを抱えている。メルカリの例で分かる通り、利用料の低さはある程度の代替に向かわせるエネルギーはあるものの、プラットフォームの強さ(充実さ、使いやすさ、わかりやすさ)が決め手になるケースも多く、ユーザ獲得が途切れなければこの利用料の戦略はうまくいく可能性が高いものを思われる。
ネットショップの提供事業者が抱える悩みと似ているのだが、ある程度成長してノウハウが溜まったゲスト(非常に収益性も高く魅力度も高い)が独立して自分たちでサイトをやりたいと思うエネルギーに対してどう対処していくかは中長期的には課題になっていくと思う。
利用所感
1ユーザとして利用した感覚としては
- 普通の会議室のように受付がいたり手続きがないので簡単に使えるし、誰とも会わないまま利用開始〜利用終了できる
- 最初はその感覚に戸惑うけど、何回か利用しているとカーシェアのように誰とも会わないサービス利用シーンになれてくる
そういう意味では、部屋を貸すホストに対して「コスト削減」の提案や「スペースを貸すことへの教育」を強くすることにより部屋を貸すことのビジネス提案を強くしていることが伺える。