醤油手帖

お醤油について書いていきます。 料理漫画に関してはhttp://mumu.hatenablog.comへ。お仕事の依頼とかはkei.sugimuraあっとgmail.comまでお願いします

『琥珀の夢で酔いましょう』ビールがビア・ブラボーで販売されます!

2024年5月3〜6日に、大阪の京橋で行われる『ビア・ブラボー』で、琥珀の夢で酔いましょう』のコラボビールが販売されます!

beer-bravo.com

醸造してくれるのは大阪の堺筋本町にある『APE BREWING』さん。昨年の秋から醸造開始した、新進気鋭のブリューパブです。Instagramがうまく埋め込めなかったので、食べログ情報をぺたりと。

tabelog.com

さて、コラボといってもどのレベルでのコラボなのか、気になりますよね。

  • どんなビールが飲みたいかをリクエストし
  • どういうホップなどを使うかをブリュワーさんと一緒に考え
  • 実際の仕込みのお手伝いをしてきた

という感じです。

結構がっつりやっていますよ!

ビールの味がしないビールを飲みたい

どんなビールにしたいかを考えたときに、まず『琥珀の夢で酔いましょう』の関係者が思い浮かべたのが、作中内イベント「十月はたそがれのビール」でも話題になったビールの味がしないビールです。11話・12話に登場した、京都醸造さんの「後ろめたい秘密」というビール(現在は終売)のようなビールが飲みたい、というリクエストをしたんですね。

はい。「???」と思った方、わかります。

作中で、いわゆるビールの味が苦手だけれども、ビールそのものには興味を持った子が出てくるんです。ひょんなことからビールイベントに参加することになり、ビールの味が苦手なんですけれども……と言いながら飲んでびっくりしたのが、ビールの味がしないビールだったというわけですね。

もちろん我々はビールらしい味わいや、苦みや香りが大好きです。

でも、やっぱりビールの苦みが苦手という方もいらっしゃいます。

そういう方でも飲んでもらえるビールがあったらいいのではないかということは常々考えていたし、それを実現された京都醸造さんの「後ろめたい秘密」というビールが好きなんですね。

そういう苦みのほとんどない、ビールの味がしないビールを飲んで、よりビールの可能性の大きさを知ってもらいたい。というわけでリクエストをしたのでした。

そしてスタイルやホップやらを選び抜き、レシピを作ってもらい、実際に大阪のAPE BREWINGさんに伺って作業のお手伝いをする……ということをやっています。

ちょっと作業の合間合間に麦汁を飲ませていただいたりもしたんですが、結構思い通りにいっているのではないかと! 予想されるIBU(苦みを表す数値)は10ぐらいのビールになるはずです。

東京でも飲めるように調整中?

現在は絶賛発酵中なこのビール。

詳細やら続報はビア・ブラボーさんのInstagramや、こは酔いのInstagramを見てください。名前をどうするかもいまあれこれ会議中です。

で。

大阪のビールイベントでしか飲めないのかとお嘆きの関東の方。現在調整中ですが、東京でも飲んでもらえる機会があるかもしれません。ここは続報を待ってもらう感じで! 決まったら報告いたします!

あ、樽ごと欲しいんだけど! とか、うちのイベントでも出したい! という方は、とりあえず僕だけの判断じゃ駄目なんで、ビア・ブラボーさんやAPE BREWINGさんやマッグガーデン編集部におつなぎするのでご連絡をいただければと。

そんなわけで、コラボビール、我々も楽しみにしております。よろしくお願いいたします。

紅麹とお酒や醤油を造る麹は人とゴリラ以上に違う(ので、パニックになるのはやめましょう)

ちょっと3月恒例の深刻なやつでバタバタしすぎて、更新がおろそかになっておりました。そして、書きかけのものはあるんですが、先にこれをと思いまして。そう、紅麹の問題です。

小林製薬が販売する紅麹の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症し、会社は「直ちに使用中止を」と訴えております。というのも、紅麹原料を約50社に供給していたのだとか。

news.yahoo.co.jp

これは大変なニュースですし、何よりも今回の件で健康被害に遭われた方のご快復をお祈りいたします。

ただ、ちょっと「麹」についての風評被害的な意見がちらほらしているので、若干整理しておこうかなと思います。例によって目次つけました。

3月26日 14:50追記

ニュースによると、とうとう死者も出てしまったようです。お悔やみ申し上げます。

このエントリの主題は「紅麹によって被害が出ているけれども、パニックになって関係のないところに問い合わせたりするのはやめよう」というものです。紅麹のものを避ける気持ちはわかりますが、そこでお酒や醤油や塩麹のメーカーに問い合わせるのはやめましょう、ということです。ここ以下は、それらがなぜ無関係なのかを説明した文章です。

あと、症状が起きたら病院に行くとともに、小林製薬の紅麹健康受付センターに連絡をしてください。

追記ここまで

麹といっても種類はたくさんある

まず一番心配している人が多いと思われるのは、「麹」に問題があったということで、たとえば塩麹は大丈夫なの? とか、日本酒やお醤油は大丈夫なの? ということではないでしょうか。

実は麹菌と言っても、種類はいろいろあるんです。

たとえば日本酒やお醤油を造るのに欠かせない麹菌は、黄麹菌」です。学名をAspergillus oryzaeといって、『もやしもん』の「オリゼー」として有名なやつですね。

沖縄の泡盛を造るのに用いられている麹菌は「黒麹菌」です。Aspergillus luchuensisといいます。

この黒麹菌のうち、白色に突然変異したのが「白麹菌」です。Aspergillus luchuensis mut. kawachii、もしくはAspergillus kawachiiと言います。現在では焼酎造りで多く用いられています。

ついでに言うと、お醤油を造っている麹菌は、Aspergillus sojaeです。大豆タンパク質を分解するのに特化した性質を持っています。

黄麹菌はでんぷんを糖分に分解する力に優れていて、黒麹菌や白麹菌はタンパク質を分解する力に優れています。あと、クエン酸をたくさん生み出します。それぞれ種類が異なるので、得意な分野が違うというわけなんです。

 

では紅麹菌も同じようなものかというと、ちょっと違います。学名が「Monascus purpureus」というんです。そもそもアスペルギルスの仲間ではないんですね。

というわけで、種別が異なっておりますので、紅麹に何か問題があったということで、ただちに日本酒や醤油に影響があるわけではない、ということはしっかりと覚えておきましょう。

また、いわゆる「塩麹」に用いられているのも「黄麹菌」、オリゼーです。なのでこちらも大丈夫。まずは安心してこれらの食品を存分に食べちゃってください!

あと、お酒や醤油、塩麹のメーカーに「あなたのところの商品は紅麹を使っているのか」と電話をかけたりメールをするのはやめましょう黄麹菌と黒麹菌・白麹菌と、紅麹はまったくの別物です。実際、いくつかのメーカーさんから、問い合わせが殺到していて返事が追いついていないという話を聞きました。

紅麹は色にも特徴がありますし、使っていたら「紅麹甘酒」みたいに、その使用が売りになるものでもありますので、だいたい名前が出ていることが多いです。赤くもなくピンク色でもなく、紅麹って名前がついていなかったらほとんど使っていないと思っていいでしょう。

ちょっとややこしいことを知りたい人向けの章

前述のうち、黒麹菌は「Aspergillus awamori」もしくは「Aspergillus niger」じゃないの、と思う方もいるかもしれません。

これがちょっとややこしいんですが、黒麹菌は1901年に最初に分離成功したときは泡盛からとられたので、琉球から名前をとって「Aspergillus luchuensis(アスペルギルス ルウチウエンシス)」とつけられていたんです。

でも、1913年に分離された黒麹菌は、少し形状が異なっていたので、見た目が違うから別種として「Aspergillus awamori」と名づけられました。ここでAspergillus awamoriの名前が広まったのです。さらに、海外ではこれは「Aspergillus niger」(ヨーロッパではこっちがクエン酸生産に使われています)の一種と考えられていたんですね。

ですが、現代では見た目で判断だけの時代ではありません。ゲノム解析によって、遺伝子レベルでいろいろわかるのです。というわけでゲノム解析をすると、これまでに形状でつけていた分類ではなく、遺伝子的には黒麹菌は3種に分かれているぞ、となったんです。そこでAspergillus luchuensisとAspergillus awamoriは同じもので、これらとAspergillus nigerは別ものだということがわかったんですね。というわけで現在は黒麹菌のことをAspergillus luchuensisと呼ぶようになっています。

ちなみに、日本醸造学会が認定している「国菌」があるのですが、awamoriからluchuensisになったときにきちんとそれに対するリリースも出ていたりします。

https://www.jozo.or.jp/gakkai/wp-content/uploads/sites/4/2020/02/koujikinnituite2.pdf

 

紅麹菌の話に戻ります。学名が「Monascus purpureus」ということからわかるように、そもそもアスペルギルスの仲間ではありません。

生物の分類に「界・門・綱・目・科・属・種」があります。学生時代に覚えた人も多いんじゃないでしょうか。左側ほど大きい分類というわけですね。

たとえば人間の場合、「動物界」で「脊椎動物門」で「哺乳綱」で「サル目(霊長目)」で「ヒト科」で「ヒト属」で「サピエンス種」と言うことができます。

Aspergillus oryzeなどのアスペルギルスは「ユーロチウム目」「マユハキタケ科」「コウジカビ属」に分類されます。

一方で、紅麹菌は「ユーロチウム目」「モナスカス科」「モナスカス属」に分類されるんです。

「科」が違うということは人間に例えると、人間(ヒト亜科)とオランウータン(オランウータン亜科)ぐらい違うんです。遺伝子の距離でいうと、ヒト科はまずヒト亜科とオランウータン亜科と別れ、次の属のところでゴリラ属と別れ、チンパンジー属と別れ……と距離が離れていきます。というわけで、もう、全然遠いんですよ。

ただ、日本語にすると「麹」という言葉を使っている上に、「黄麹」「黒麹」「白麹」と色がついているものがある中に「紅麹」と出てくるので、同じだと思っても不思議ではありません。

というわけで、遺伝子レベルでも本当に別物なのだということを覚えておいてください。

紅麹は何に使われているの?

東南アジアだと紅麹の発酵食品はいくつかあるのですが、日本では多くありません。代表的なのは沖縄の豆腐ようです。

豆腐ようって赤い色をしていますよね。あれが紅麹が発酵の際に生み出す色素によるものなのです。紅麹色素、もしくはモナスカス色素と呼ばれています。この色素はかまぼこなどのピンク色に使われていたりします。

今回回収になった、宝酒造「澪 PREMIUM ROSE」も、この色素を用いてピンク色が美しい日本酒でした。商品ページではなく、ニュースリリースですがぺたりと。

www.takarashuzo.co.jp

他にも紅麹味噌や、紅麹甘酒など、紅麹を用いている発酵食品はあります。ただ、前述の通り、健康にいいというプラス面を訴える上でも「紅麹」と使用を商品名でうたっていたり、赤やピンクを売りにしているものが多いので、実はこの商品にこっそり使われている! みたいなことはないと思っていいです。


紅麹は体に悪いの?

これが、すごく難しい問題です。

まず、紅麹を使っている発酵食品は東南アジアに多く、当たり前ですがそのすべてが毒性を持っているわけではありません。

それどころか、コレステロール値を下げるコレステロールの生成を阻害する作用を持つ)成分である「ロバスタチン(モナコリンK)」が含まれていて、医薬品のもとにもなっているのです。現在世界中で出回っているコレステロール低下剤のスタチン類は、このロバスタチンがあってこそ。名前もそのものですしね。他にも、GABAとかいろいろ体に良い成分をたくさん含んでいます。

ただ、紅麹菌の一部に、「シトリニン」という物質を生成するものがあるのです。これが腎臓の病気を引き起こすカビ毒なんですね。

ヨーロッパで紅麹のサプリなどが制限されているというのは、このシトリニンが原因です。

www.fsc.go.jp

サプリメント健康被害がおそらくあったのでしょう。基準値が設けられていますね。スイスで全面的に違法とされているのはどうしてなのかはちょっと調べきれませんでした。

ただ、あくまで「基準値」ということに注目をしてください。これを上回らなければ大丈夫というのが基準値なんです。

えっ、でも、毒なんじゃないの? それは少量でもダメでしょうと思う方もいるかもしれません。ですが、この基準値というのは、毎日食べても健康に影響がない量が設定されているんですね。

多くの食品は「毒」を持っています。たとえば、みんな大好きトマトだって「トマチン」という毒を持っているんです。なんと、完熟したトマトを一度に4トン食べると、トマチンが致死量に達し、死んでしまうんです。はい、4トンです。これはちょっと現実的な量ではないですよね。

というわけで、今はあれこれ科学技術が発達していて、トマトは普通に食べる分なら大丈夫代謝されたり体外に排出されるので)とわかっているのです。毎日トマトジュースを飲んでも本当に大丈夫なんですね。致死量にはまったく届いていないので。

基準値はこんな感じに、基本的には毎日食べても大丈夫な量が設定されております。ただ、やっぱり難しいのは「サプリメント」の手軽さなんですね。

サプリメントは特定の栄養素を効率良く摂取するために、ギュギュッと濃縮しているため、少量で、もとの何倍もの栄養素が含まれていたりするのです。

さらには、こう、医薬品じゃないから大丈夫だろうと、目安以上にたくさん飲めば効果があるだろう的に飲んでしまう人も少なからずいるのです。摂取しすぎてしまう可能性があるので、規制されていたり医師に相談しなさいと言われていたりするのでしょう。

今回の件(被害に遭われた方が摂取し過ぎていると言っているわけではありません)で、小林製薬側ではサプリメント以外では被害に遭うとは考えにくい」と言っているのは、見つかった物質の量が理由だと思われます。

ちなみに、小林製薬では、紅麹のゲノム解析を行って、小林製薬で育てている紅麹にはシトリニンを生み出す遺伝子が含まれていないということを解明しています。

www.kobayashi.co.jp

なので今回「シトリニンは検出されなかった」「シトリニンとは別の未知の成分を示す分析結果が得られた」「意図しない成分が含まれている可能性が判明した」としているのは、シトリニンを生み出さない紅麹を使っていて、本当にシトリニンが出ていなかったからなのでしょう。

ここから先は、原因が解明されないとちょっとわからないです。とりあえずは、回収されている小林製薬の紅麹を用いているサプリメントは控えた方が良い、ということだけが言えると思います。

 

小林製薬が紅麹を提供ってどういうことなの?

ニュースでは小林製薬が52社に提供しているとありました。

これはどういうことなのでしょうか。なんとなく、発酵食品の菌って、その蔵についているものを使っている(それが各社の味の違いになる)イメージがありますよね。

でもこれも、自社で造っているところと、他のメーカーに造ってもらっているところとがあるんです。『もやしもん』の「もやし屋」とは、種麹屋さんのこと。つまり、麹を育てて他の会社に売る仕事というわけですね。各蔵は種麹を買って、自分のところでお米とかにつけて育て、米麹にしているというわけです。

そして紅麹は結構デリケートで、培養するのが難しい菌でもあります。というわけで、自社で造っているところは少なく、小林製薬のようなメーカーに依頼して造ってもらっているところが多く、それが50社にものぼるというわけなんです。

結局どうするのが一番いいのか

心配になる気持ちはわかります。

今回回収となった機能性表示食品や食品を食べている場合。症状が出たらすぐに小林製薬に連絡しましょう。NHKのニュースにも連絡先が書いてありますね。

www3.nhk.or.jp

くり返しになりますが「麹」とついているものすべてが紅麹を使っているわけではありません。日本酒や醤油や味噌で、紅麹とうたっていないものだったら、普通の黄麹等を使っているのでまず大丈夫なんです。電話やメールで日本酒などの会社に問い合わせるのは控えるようにしましょう。

今回は原因不明の物質(すくなくともシトリニンではないと思われる)による健康被害なので、本当に紅麹が悪いのか、それとも製造工程で別の菌が混入してしまい、その菌が何か原因物質を生み出していたのかなどがまだわかっていません。

ただ、すべての「麹」が悪いのではとパニックになる必要はまったくないのです。もちろん、すべての「紅麹」が悪いわけでもありません。落ち着いて、大丈夫なものは安心して食べつつ、続報を待つようにしましょう。

 

3月26日 10:00追記

日本酒の方でも、特に「桃色の日本酒」で問い合わせがあったり、買い控えがあったりしているという話を聞きました。

宝酒造の『澪 PREMIUM ROSE』が回収になっているので、同じように桃色のお酒も危険なんじゃないか、まだ売っているとはどういうことだ、というものですね。

結論から先に言いますと、多くの「桃色日本酒」は紅麹を使っていません。

清酒用赤色酵母(アデニン要求性酵母)を使っているんです!

こういうのです。

www.jozo.or.jp

そもそも、麹菌と酵母は別物です。

日本酒用の酵母はほとんどがSaccharomyces cerevisiaeです。『もやしもん』のセレビシエですね。例の分類でいっても、「サッカロミケス目」「サッカロミケス科」なので、「目」からして違うんですよ。

役割も当然異なり、黄麹はお米のでんぷんを糖にするというもの。そして酵母は糖分をアルコールにするものなんです。

その酵母の中に赤色の色素を出すものが発見されて、それが赤色酵母となったわけです。にごり酒のように「白」がたくさん残っているところに赤い色素が加われば桃色になる。ということで、桜の季節に合わせて「桃色にごり」「桃色日本酒」が造られているんです。

これがまあ、おいしいものが多くて。お花見の季節にぴったりですし、盛り上がること間違いなし。そんなお酒が実在するの? という方は、こちらの記事も読んでみてください! 

soredoko.jp

たまたま『澪 PREMIUM ROSE』は紅麹を用いたものだったのですが、今の季節に見る桃色にごりはほとんどがこの赤色酵母によるものです。当然、安全です。

心配な方は、買おうと思っているお酒のWebページを見てください。「酵母によって色がついている」という表記だったらまず間違いなく大丈夫です。お花見に合わせて買って、飲みましょう!

3月9日(土)放送のTBS系『熱狂マニアさん』に出演します

TBS系列で全国放送されている「熱狂マニアさん!」という番組に出演します。

www.tbs.co.jp

放送日は2024年3月9日(土)19:00〜です。TVerでも見られるはず!

関東の方は、その前の18:54?ぐらいから、ちょっとした番組があるみたい(これはTVerでは放送されないようです)です。こちらも収録をしたので、自分が出ているかはわからないんですが、見ていただけたと!

X(旧Twitter)に予告の映像が!

予告動画の8秒ぐらいから、ギャル曽根さんの後ろに変な醤油Tシャツを着た人が映っていますね。はい、わたくしです!

ちなみにですね。恐ろしいことに、本名である「杉村」で出演するのではなく、名札は「むむ先生」となっております。いやなんか、ノリでそうなってしまいました。

今回のテーマは『久世福商店』さん。

https://kuzefuku.com/

ご存じない方にわかりやすく言うと……和食の食材を中心に扱うセレクトショップといいますか。カルディの和食版、という表現が一番わかりやすいかもしれません。

ここの商品、本当においしいんですよ!

それで、久世福商店を愛用している人で、「調味料マニア」として出演することになりました。

いやー、本当に撮影は大変でした。

まず、京都にあるうちに撮影班が本当に来て、我が家の調味料コレクションを撮影しております。以下、撮影前のちょっとしたお話。引用の枠で囲んじゃいますが。

「なるほど。むむ先生のおうちには調味料がたくさんあるんですね。それを撮影させていただけますでしょうか」

「いやー、いいっちゃいいんですけれども、全盛期に比べるといまはちょっと少なくなっていまして」

「ほほう、なるほど。では、どうでしょうか。うちがお金を出しますので、調味料を買い足して全盛期に近づけてもらうことは可能ですか?」

「(あのお高い調味料もそのお高めの調味料も買い放題だやったー!)えっ、そうなんですか。わかりました。ではいったん現状を写真に撮って送りますので、どのぐらい買ってもいいか教えていただけますでしょうか?」

・・・(パシャ)

「あーっと、えっ、これ、今の写真ですよね……?」

「はい! いま撮りました!」

「あーー……その、予想をはるかに超える数なので、買い足していただかなくて大丈夫です。これを撮らせてください」

えっ……?

我が家の醤油&調味料コレクションが全国放送に!

まあ、そんな感じなので、ちょっとした変人枠? として出ます。

そのあと何回か東京へ行って収録をしてきました。2月はそんな感じで東京に頻繁に行ったりしていたのです。

料理も最近全然していないんですが、料理をしたりするところも映されていたりして。予告編のところがそうです。ブンブンチョッパー使わせて! という悲鳴は映っているのかなあ。映っていなさそうな予感もします。

出演される他のマニアの方も、負けず劣らず濃い方達ばかりなんで、きっと面白い番組になっているかと!

いやもう、司会のウエンツ瑛士さんと、東京03の飯塚さんがすごかったです。テンポ良く、的確なツッコミを入れつつ、芸能人の方達だけじゃなくて我々もフォローしてくださるという。

あと、芸人さん達が本当に面白くて、スタジオでもめちゃめちゃ笑い転げていました。

番組を見た方への宣伝コーナー

以下は、番組を見て興味を持ってくださった方へ向けての宣伝です。

番組でたぶん紹介されていた調味料の本は、こんな感じの本です! 残念ながら今回は久世福商店さんの調味料は登場していないのですが。

記事内にサンプルページもあれば通販リンクもあります。手元にはもう無くて、通販在庫しかありませんので興味をお持ちの方はお早めにどうぞ!

shouyutechou.hatenablog.com

あとは、「食」にまつわる超おもしろい(自分で言っちゃう)本もあります。こちらは新書サイズで200P弱ありますので、読み応えたっぷりですよ!

shouyutechou.hatenablog.com

 

shouyutechou.hatenablog.com

 

COMITIA147おしながき

2月25日(日)に行われる、COMITIA147のおしながきです!

新刊はこちら!

「いけず石観察手帖3」!!

shouyutechou.hatenablog.com

京都の路地なんかにある、いけず石。そのいけず石についてああでもないこうでもないと書き連ねた本です。

あれです。

「よくわからない人がよくわからないものに情熱を注いでいる本」こそが同人誌の真髄であると思っている方には、かなり刺さる本なのではないかと!

まあ、そういう本です。

そして、既刊として、冬コミに持って行った『醤油手帖 最近ハマった調味料2023』も持って行きます。

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調味料についてあれこれを書き綴った、こちらもまたそんなに情熱を燃やすジャンルだったっけ? というジャンルに情熱を燃やした本です。

さらに、たぶん、『印度映画手帖2023』も持って行ける……かな……?

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こちらはインド映画について情熱を燃やした本です。

疑問形になっているのは、実際に持って行けるかまだギリギリまでわからないから!

そしてそして。

同じくインド映画で、昨年の夏コミのときに頒布した『印度映画手帖 RRR編』も持って行きます。

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持って行くと言いながら、あれです。ほんの数冊です。

もう手元にはほとんどないんですが、デザインをしてくれた地獄のデストロイ子さんのところに数冊あるのでそれを当日の朝に持ってきてもらう、というものなので、この本を目当てに来ていただいても、無いかもしれません。ご了承ください。

どうしても手に入れたいという方は、前日に手に入れるチャンスがあるとかないとか、そういう感じのあいまいなヒントっぽいものでピンと来た方が何とかしていただけたらと。

そしてそしてそして。

新書の超面白いシリーズも持っていきますヨ!

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臆面も無く自分で超面白いと言っちゃいますが、面白いです。自分でも読み返しちゃうぐらいなんで、間違いない!

表紙はなんと寺沢大介先生! 『わるいはうまい』ミスター味っ子味皇様、『毒を喰らわば』喰いタンの高野さんを描いていただきました。

毒を喰らわばはこちらから立ち読みもできます。

shouyutechou.hatenablog.com

というわけで、非常に盛りだくさん!

今回のスペースは「東3ホール つ08a」です。お隣は、寺沢大介先生のサークル「寺沢企画」です!!

そう。

寺沢先生のところの新刊が味皇、寿司を喰らう!』なので、じゃあもうこれは味皇様祭りをするしかないよね! というわけで、『わるいはうまい』を持って行くのです。

間に合えば、明日にでも『わるいはうまい』の一章分立ち読みページを作成します。

というわけで、ぜひ、寺沢先生のところに寄られた後には、うちのサークルにもお立ち寄りください。

当日、みなさまとお会いできることを楽しみにしております!

 

COMITIA147で『いけず石観察手帖3』を頒布します

石を見続けた本の第三弾が出ます!

全国数千万人のいけず石ファンの皆様、大変お待たせいたしました。ほぼ5年ぶりに『いけず石観察手帖』の続編を、COMITIA147で頒布いたします。

もちろん、「いけず石……? 何それ……?」と思う方もいらっしゃるでしょう。

いけず石とは、京都のような古い街並みの曲がり角に突如として現れる石のことです。自動車を運転している人にとっては、なんでこんなところに石が! と悲鳴を上げながらぶつかってしまう、そんな石です。

そんな「いけず」をするような位置に置いてあるので、いけず石というわけですね。

この石が本当に趣深くて、日夜京都の街を歩き回りながら目に付いたいけず石をチェックするという趣味を持っているのです。そして、それを本にまとめたのが『いけず石観察手帖』というシリーズですね。

過去の宣伝ツイートはこんな感じ。

何が何やらという方も多いと思いますので、サンプルを見てみましょう!

たとえば京都の街にはこんなにもカラフルな石があるんです!

どうですか。

これは表紙にも採用した、通称(勝手にわたくしが名づけました)『パラソル石』です。これが、歩いているとどどーん! とあるんですよ。

ただいま絶賛放映中の大河ドラマ『光る君へ』の舞台であるので、そのときの時代から京都を守り続けている石だってあります!

これ、藤原道長の六男である、藤原長家の邸宅の礎石だという伝承があるんですよ。本当に。

こんな感じに曲がり角に置かれていると、車がうまく曲がれなかったときにぶつかるのは家や塀よりも先に、この石になります。

つまり、これは家や塀を防御するためのものなんですね。

それでいて、ドライバーにとっても、実際に家や塀を傷つけてしまったら大損害になるところが、石だったら(石の分の)弁償はしなくて済むのです。

いわば、不要なもめ事にならないようにあらかじめ設置をしておく、京都の知恵というわけですね。

たとえばこんな京都だったら誰もが知るあの光景にもいけず石はあります。本当にあるんですよ! こんなところで事故を起こしたら、弁償しなければならない金額は相当になりますよね。でも、石だったら石だけで済ませられるのです。

ちなみに、京都以外にも石の文化はあります。

これは香川県のとある醤油蔵で見つけた石ですね。

と、こんな感じにいろんな石を見ては、写真を撮り、そこにとんちきな文章をつけた本です。

面白そうでしょう。面白いんですよ!

理解者は少ないかもしれませんが、わたくしはとてもとても満足しております!

ちなみに、昨年いけず石について新聞に意見を求められたりしているので、日本で唯一のいけず石専門家による本と言っても差し支えないかもしれません。差し支えるかもしれません。

www.kyoto-np.co.jp

そんなわけで、こういう石の写真もトンチキな文章もいっぱいの『いけず石観察手帖3』。表紙は『白熱日本酒教室』でもおなじみのアザミユウコさんです!

『いけず石観察手帖3』はフルカラーA5版24Pで、頒布価格600円の予定です。

予定……というのは、まだ当日までに届くかわからないから!

イベント会場に直送するスケジュールでは間に合わなかったため、印刷所からうちに直送してもらい、それを受け取って即上京してイベントへ、という無茶な感じにしているので、少しでも歯車がズレたら頒布できないというドキドキな展開なんです。はい。もし会場に置かれていなかったら察してください。

というわけで。

もし届きましたら

2月25日(日)COMITIA147 東3ホール つ08a『醤油をこぼすと染みになる』

にて、フルカラーA5版24P600円で頒布いたします。よろしくお願いいたします。

通販はこれから申請します〜

「日本酒「純米酒」「吟醸」の違い、正確に言えますか?」の人は日本酒の違いを勉強した方がいい

前回の記事も、またまた思っていた以上の皆様に読んでいただけたようです。ありがとうございます!

shouyutechou.hatenablog.com

 

というわけで、第三回です。今回もあれです。

今回はなんというか、ツッコミどころが……という次元じゃない、のかな。うーん。

toyokeizai.net


日本酒「純米酒」「吟醸」の違い、正確に言えますか? という人が言えていない問題

前々記事「日本酒『"添加物"で伝統的造り方が減少』は問題か」で「高級酒ブームが来ている」と述べましたが、大変失礼ながら、この2つについて知らないままに「高級酒ならおいしい」と思って飲んでいる人もいるようです。

記事を読んだ感想が、大変失礼ながら、純米酒吟醸の違いについて正確に知らないままに「伝統的なお酒ならおいしい」と思って飲んでいらっしゃいませんか、でした……

2ページ目のツッコミどころ

日本酒で一定の条件を満たしたものは「特定名称酒」と呼ばれ、法律(酒類業組合法)によって8種類に分類されています。 

酒類業組合法……?

すみません。ちょっと法律の専門家ではないので、「この法律によって分類されている」という表現があっているのかはわからないのですが、とりあえず酒類業組合法(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律)はこれですよね。

酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律 | e-Gov法令検索

ここには具体的な数値とかは載っていないんですよ。

そしてたぶんなんですが、これを見たのじゃないかなあとも。

www.nta.go.jp

清酒の製法品質表示基準」です。確かに「特定名称の清酒の表示」について載っていますね。

冒頭にこうあります。()はこちらでフォントを小さくしています。

酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(昭和28年法律第7号、以下「法」という。)第86条の6第1項の規定に基づき、清酒の製法品質に関する表示の基準を次のように定め、平成2年4月1日以後に酒類の製造場酒税法(昭和28年法律第6号)第28条第6項又は第28条の3第4項の規定により酒類の製造免許を受けた製造場とみなされた場所を含む。)から移出し、若しくは保税地域から引き取る清酒酒税法第28条第1項、第28条の3第1項又は第29条第1項の規定の適用を受けるものを除く。)又は酒類の販売場から搬出する清酒に適用することとしたので、法第86条の6第2項の規定に基づき告示する。

清酒の品質に関する表示を定めたら、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」に載っている通り、すみやかに告示しますよ、ということが書いてあるんです。

酒類の表示の基準)
第八十六条の六 財務大臣は、前条に規定するもののほか、酒類の取引の円滑な運行及び消費者の利益に資するため酒類の表示の適正化を図る必要があると認めるときは、酒類の製法、品質その他の政令で定める事項の表示につき、酒類製造業者又は酒類販売業者が遵守すべき必要な基準を定めることができる。
2 財務大臣は、前項の規定により酒類の表示の基準を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。

これを「酒類業組合法によって分類されている」と言うのは微妙にあっているような、そうでないようなという感じなんですが……法律に詳しい方、ご存じでしたら教えてください!

というわけで、記事のツッコミに戻ります。

これに対して「吟醸」とは米をどのぐらい削るか(精米するか)によって決まってきます。吟醸は60%以下、大吟醸は50%以下まで精米します。

ここは、ちょっと正確ではありません。

言葉が足りていないんです。そして、この後の記事を読む限りでは、その足りていない部分について理解していらっしゃらないような……

ここの解説は後述します。

米は外側部分にたんぱく質が多く、内側に糖質が多いので、しっかり削って中の方だけ使えば、その分糖分が多くなって甘みのある酒ができるのです。「吟醸大吟醸」は「醸造アルコール」を使ってもOKです。

ここもかなり微妙です。

しっかり削って中の方だけ使えば甘みのあるお酒ができるわけではありません。

甘さの感じ方はいろいろあり、一概にこうだからこう! とはなかなか言えません。それでも甘さを感じるためには糖分が不可欠です。そしてその糖分は、発酵の過程でアルコールに分解されるため、どれだけ発酵するかによって残る量が決まるのです。

著者自身も1回目(連載的には62回?)の2ページ目で

「酛」をタンクに入れ、米、麹、米を3回に分けて加えるのです(3段仕込み)。このとき、酵母が糖をアルコールに変えます(アルコール発酵)。

と書かれていますよね。酵母が糖をアルコールに変えるので、しっかり発酵すればするほど糖は少なくなり、アルコールが増えます。

なので、どのぐらい発酵させたか、すなわちどのぐらい糖を分解したのかというのがお酒の指標のひとつになるんです。そこで使われるのが「日本酒度」という数値です。できあがったお酒の比重を計測したもので、数値が大きいほど糖が分解されており(比重が軽い)、数値が小さいほど糖が残っている(比重が重い)というものです。

味わいを決める要素はこれだけではないのですが、糖がどれだけ残っているかを示すのに便利なのでラベルに日本酒度が記載されているお酒も多いです。糖が多ければ甘いお酒で、糖が少なければ甘くない(辛口)お酒という感じに、指標にされることもあります。

ようするに、精米をたくさんすれば甘くなる、というわけではないのです。

あ、どうでもいいんですが、加えるのは米、麹、米ではなくて、書かれているどちらかの米は水ですね。

要するに「純米酒」と「吟醸大吟醸」は分け方の違いによるものです。
純米=「醸造アルコール」を添加していない、米だけの酒
吟醸大吟醸=米の磨き方/米の精米レベルで決まる

ここが! 要すらないんですよ! ここで足りない部分があるので、このあとの話が全部アレな感じになっているんです。

「特別本醸造」や「特別純米酒」など「特別」が冠についた酒もありますが、この「特別」に基準があるわけではありません。メーカーごとに申請し、許可が下りれば使用できます。

この部分も、よくわかっていないから適当に流したと思われちゃうんです……
いや、本当にわかっていないんじゃという気がします。

というわけで、ここの部分を説明するには、全部最初から説明しなければなりません。ある程度ポイントを絞っていますが、それでも長いです。なので、もう少し詳しく知りたい、よくわからなかったという人は、本を読んだりしてください。

特定名称酒は8種類ある

まず、8種類あると言っているんですが、元の記事をどんなにくり返し読んでも7種類しか登場していません。ここも、本当はよくわかっていないんじゃ……と思うポイントです。

特定名称酒は以下の通りです。

特別本醸造酒はお気に入りがあるためか、頻繁に登場するんですが、「本醸造酒」が登場しないんですよね……「特別」が冠についたお酒があります、という表現はあるんですが、そこから本醸造酒のことを読み取れというのは無茶じゃないかなあとも思います。

醸造アルコールの有無で分けよう

ここはまあ、元の記事もそれほど間違えているわけではありません。特定名称酒8種類は、おおきく2つのグループに分けることができます。

原材料に醸造アルコールを使っているものと、使っていないものですね。
使っていないものには「純米」とつきます。

精米歩合で分けよう

元の記事中では「精米度」という言葉が何度も登場します。まあこれは、日本酒に携わっている人はあまり使わないんじゃないかなあ。100%、誰も使っていないと言うほどではないんですが。だいたいの場合は「精米歩合」と「精白度」という言葉を使います。ここがごっちゃになってしまっていて、「精米度」という言葉を使っているのではないでしょうか。

で、ここでカテゴライズができるのも、間違いではありません。
というわけでこの部分の話をしていきます。

まず、前提として、特定名称酒というのは「定められた基準を満たしている材料や製法で造られているお酒」です。前回もちょっとお話しましたね。「米だけの酒」の中には純米酒と名乗れないものがあり、それはお米や麹の割合が基準を満たしていないからだ、という話です。

というわけで、お米をどれだけ磨いたかによっても、グループ分けができるんです。具体的には、精米歩合70%がひとつの基準になります。玄米から70%ほどになるまで磨けば、これはもうすごいことだぞ、と。あ、ちなみに我々が普段食べている白米は精米歩合90%ほどです。

玄米(100%)から白米(90%)にするのと、90%から80%にするのだと、同じように10%分磨いているだけだから簡単に思われるかもしれません。でもこれが違うんです。お米を磨けば磨くほど、固い部分がなくなったりして、やわらかく、脆くなっていきます。これが砕けないように、少しずつ外側を磨いていくのはとても大変なんですね。

なので100%から90%よりも、90%から80%の方が大変な作業だし、時間がかかります。そして80%から70%にするのはもっと大変な作業だし、時間がかかるのです。

というわけで、精米歩合70%までいけば特定名称がつけられるということになりました。醸造アルコールを加えたものが本醸造酒、加えていないものは純米酒です。

(お酒に詳しい人はここでツッコミを入れたくなっていると思いますが後述しますので焦らないでください)

じゃあ、もっとお米を磨いてしまおう。具体的には、70%じゃなくて60%にしてしまおう。これはもうすごいことだぞと。こんなにすごいなら「特別」の名をつけてもいいんじゃないか。というわけでこうなりました。

(お酒に詳しい人は以下略)

そしてここでさらに、吟醸造りという特殊な製法が登場します。

ただでさえ精米歩合60%ですごいお酒に、吟醸造りという特別に吟味して醸造する手法を加えたら、もっとすごいお酒になるんじゃないだろうか。それはもう、特別本醸造酒特別純米酒とは別ものだ! というわけでこうなります。

じゃあもっともっとすごいことをしよう。精米歩合50%にして、吟醸造りまで加えちゃう。これはもう現在考えられる最高峰のお酒に違いない! というわけで大吟醸酒純米大吟醸酒の名前がつきます。

というわけで、ここまでをまとめるとこんな感じです。

実際にはこんな風に順番で決まったとかそういうわけじゃないんですが、覚え方とわかりやすさを重視して順番に書いていきました。

なお、これは条件を満たしていればいいので、たとえば精米歩合45%とか、23%とか、50%以下の場合でも大吟醸酒or純米大吟醸酒になります。ウルトラスーパー吟醸酒とかはありません。

そして、時代が変わったりして基準が見直されたりもろもろあったりして、純米酒精米歩合70%以下じゃなくてもいいようになりました。最初にこの基準を定めたときは精米歩合70%ぐらいまで磨かないと良いお酒にならないんじゃと思われていたのが、現在の醸造技術だと精米歩合80%だろうと90%だろうとおいしいお酒になることがわかったからですね。

そして特別本醸造酒特別純米酒「客観的事項をもって特別なことをしている」のであれば、申請して許可が下りればつけられます。たとえば、通常では考えられないぐらい長い時間をかけて醸しているんですよ、とかそういうのです。

その特別なことをしている部分が、精米歩合に関わっているものの場合は、精米歩合60%以下に限りますよ、という形になっております。


吟醸造りについて

吟醸造りは文字通り「吟味して醸造する」ことなんですが、具体的には「低温でゆっくり発酵させる」というものです。

温度が低いと酵母がなかなか働きにくいので、温度が高めのときに比べると、同量のアルコールを生み出すのに時間がかかってしまいます。あまりに寒いと、我々もコタツで動きたくなくなってしまうように、酵母も活動をあまりしなくなるんですね。

そのため、吟醸造りは通常よりも長期間発酵させます。著者の方は「昔ながらのじっくり発酵させた酒がうまい」とおっしゃっていますが、実は吟醸酒もかなりじっくり発酵させたお酒なんですよ。

ちなみになんで温度が低い必要があるのかといいますと、いろいろあるのですが、ひとつには「吟醸香(吟香とも)」と呼ばれるいい香りを生み出す、酵母が持っている酵素が、温度に弱いからです。

吟醸酒の最大の特徴は果物のようなフルーティーな香りなんですが、その香りを生み出す酵母は、低温のときにたくさん出してくれるのですね。

 

あとは吟醸大吟醸ですと、ゆるーくお酒を絞っています。もろみの発酵が終わったときに、ろ過をしてお酒と酒粕を分離するのですが、このときにゆるーくやるので、酒粕が多く出るし、その酒粕には絞りきれなかったお酒がたくさん含まれているんですね。その分、絞ったお酒は雑味の少ない、綺麗な味わいになっているんです。そういったところでも贅沢な造り方をしています。

味について

著者の方は「お米を研げば甘みが増す」としか言っていませんが、それもちょっと微妙な表現です。
お酒の味わいはひとつの要素だけでは語れないため、一概に言うのは大変難しいのですが、それでも一般的な表現をすると

精米歩合の数字が小さいほど、雑味の少ない綺麗な味わいになる」

と言えます。

本醸造酒よりも大吟醸酒の方が、綺麗ですっきりとした味わいになるのですね。

そして、なぜ著者の方がしきりに「甘みが増す」と言うのか。それはおそらく吟醸香にあります。フルーティーで華やかな香りの吟醸香。人は、味覚よりも嗅覚で味わうことが多いために、甘い果物のような香りを嗅ぎながら飲むと「甘い!」と思ってしまうのです。

よく、かき氷のシロップは実は全部同じ味で、香りが違うだけと言いますよね。

他にも嗅覚の影響が強い例としては、苺やブルーベリーを鼻を摘まんで食べると味がしない、というのがあげられます。風邪のときに鼻が詰まっていると味がしないというのもそうですね。

じゃあ、どういう基準でお酒を選べばいいかは後述します。

高級なお酒が高いわけ

というわけで、ここまでくると何となくわかってくることがあると思います。それは、「高級なお酒がなぜ高いか」です。

簡単に言うと、「原材料をたくさん使って長期間発酵させたお酒は高い」んです。当たり前ですよね。

たとえば、あるお酒を造るのに、精米したお米が1kg必要だったとしましょう。

精米歩合40%だと2.5kgの玄米を用意しなければなりません。一方で、精米歩合80%だと1.25kgの玄米があればいいのです。この時点で、原材料費が倍違いますよね。

そして、吟醸造りなどをして、発酵に時間がかかれば、当然設備費や人件費がかかります。それも「原価」に反映されるのですね。

前述の特定名称酒の中では大吟醸酒純米大吟醸酒がお高いのですが、これは「原材料」と「長期間発酵」のためです。

ちなみに生酛も時間がかかりますので、お値段が上がる傾向があります。


3ページ目のツッコミ

以上を踏まえて、3ページ目のツッコミどころなんですが。

実際に65%研いだものと75%研いだものでは酒の出来上がりがまったく違います。60%まで研ぐと、甘みは出ますが、酒の風味自体はなくなります。

精米歩合で味わいが変わるのはわかりますが、60%以下まで研ぐと甘みは出ますが酒の風味自体はなくなります、というわけではありません。

甘みが出るわけでもなく、風味が失われるわけでもないのです。

 

【「吟醸」の原材料例】
米、米麹、醸造アルコール精米歩合45%

これ、スペック的には大吟醸酒なんですよね。精米歩合が45%ですので。

実は特定名称酒は、「条件を満たしたら名乗っていい(ラベルに記載していい)」というものだったりします。

なので、大吟醸酒の条件を満たしているということは、同時に吟醸酒の条件も満たしています。利き酒をしてみると、世間で言われる大吟醸酒のイメージよりは、吟醸酒に近いお酒に仕上がった。じゃあ、このお酒はあえて「吟醸酒」というラベルで売り出そう。みたいなことができるのですね。

ただその説明がなく45%のお酒を例にあげて説明なしというのは微妙な気がします。いきなり例外を挙げないでくれ、と。

ちなみに最近では、超人気の蔵などで、「こういう大吟醸とか純米大吟醸という言葉におどらされて欲しくない」ということで、あえて特定名称を記載しないお酒も増えています。

どうやってお酒を選べばいいのか。

現在は醸造技術の発達によって、特定名称でお酒の味わいを比べるというのは結構難度が高くなってきています。なんかこう、「本当は吟醸酒なんだけれども、どう味わってもこの風味の良さと味のクリアさは大吟醸酒」みたいなお酒とか、たくさんあるんですね。

というわけで、特定名称で種類を比べながら飲むというのは、推奨しません。

後はこの組み合わせで、好みの酒を選べばいいのです。

とは、あくまで私の意見ではありますが、思わないのです。

じゃあ何をもって選べばいいのか。

いろいろなポイントがあるんですが、初心者がまず覚えた方がいいのは「生」って書いてあるかどうかだと考えています。おそらくここが一番味の違いがあるのではないかと。

日本酒は品質の維持や、雑菌を退治するために、発酵が終わった後に「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌をします。ところが、醸造技術や冷蔵技術、輸送技術の発達によって、その加熱殺菌をしないでお酒が流通できるようになりました。

これが「生酒」です。

生酒は開封前も後も冷蔵保存が基本ですので、それがわかるように「生」と書かれていたりします。あ、第一回で言っていた「生酛」のことじゃないですよ。「生酒」とか「生原酒」と書かれているかどうかです。

書かれていないものは、すべて火入れを行っています。というのも、加熱殺菌をするのが当たり前なので、わざわざ書いていないのです。

生酒は、たとえるならば、牧場でしぼりたての牛乳を飲むようなものです。

書いていない、つまり火入れされたお酒は、牛乳パックで飲む牛乳のようなものです。パックには「加熱殺菌」と書かれていますよね。

なので、日本酒を飲むときは「生」と書かれているのかどうかを気にして、飲んでみて気に入ったのなら改めてお酒のラベルの他の情報を見てみる、というぐらいでいいと思います。そのお酒が「吟醸酒」だったら、じゃあ次は別の蔵の「生」で「吟醸酒」を飲んでみよう、という感じですね。

もちろん、「生」と書いていない方がおいしいなと思ったら、次も「生」と書かれていないものを選ぶといいと思います。

めちゃめちゃ長々と書いてきましたが、結論としては「生」か「生でないか」をお酒選びの第一の基準にすると、わかりやすいですよ、ということです。


というわけでとりあえず2月20日現在で記載されているお酒についての記事のツッコミは以上です。次は今週末に控えているコミティアの宣伝をいくつか挟ませてもらって、いただいたブコメ等のご意見とか質問とかに答えていきたいと思います。

 

一応シリーズリンクということで

shouyutechou.hatenablog.com

 

shouyutechou.hatenablog.com

 

「日本人が知らない「激安お酒」のヤバすぎる裏側」を話す前に知識をアップデートした方がいい

前回の記事は、思っていた以上の皆様に読んでいただけたようです。ありがとうございます!

shouyutechou.hatenablog.com

というわけで、第二回をやっていきます。

第二回の元記事はこちらですね。

toyokeizai.net

ここもまあ、あれでして。

元記事が短いのでそんなに多くはないのですが、例によって例のごとくツッコミを入れていきます。

 

日本人が知らない「激安お酒」のヤバすぎる裏側、を問題視する

2ページ目のツッコミどころ

じっくり時間をかけて発酵させることで甘味、酸味、辛味など、日本酒の複雑で深い味わいが醸成されます。

うーん、何といいましょうか。厳密では間違いではないかもしれないんですが、正確ではないということで一応。

それは日本酒に「辛味」があるか、ということです。

辛口の日本酒、なんて表現があるのですが、日本酒には唐辛子などを入れているわけではありません。現在主に使われているような辞書的な意味での「辛味」は存在しないんですよ。(ものすごく厳密にいうと「辛み」であり、味の字はあとから当て字として混ざったとかそういう話もあったりするんですがそれは割愛します)

辛味は味覚ではなくて、舌などに刺激がある痛覚に近いものだ、という話はよく知られていると思います。いわゆる辛味成分(唐辛子のカプサイシンなど)が、そういった刺激物質です。

そして日本酒にはこういう辛味成分が含まれていないんです。発酵によっても生み出されません。

じゃあ日本酒の辛口というのは何なのかというと、これがまた大変長いお話になるので、おおざっぱに言いますと「甘くない日本酒」や「後味にキレがある日本酒」を「辛口」と呼ぶことが多いと考えればいいでしょう。

まあ、自分にとってはアルコールの刺激が大変きつくて辛味と感じるんだと強弁されれば、まあ個人の感じ方だしそれはそうなのかも……とはなりますが、辛味が発酵で醸成されることはないんです。

醸造アルコール」を添加した酒は「普通酒」「一般清酒」とも呼ばれます。私たち業界人は「アル添(酒)」などと呼んでいます。

アル添と呼ぶことは呼びますが、普通酒」や「一般清酒」とは呼びません。ここは明確に間違えているポイントです。

このあとの第三回で著者自身も少し触れていますが、日本酒はものすごく大きくカテゴライズをすると「普通酒」と「特定名称酒」に分けることができます。

特定名称酒というのは「定められた基準を満たしている材料や製法で造られているお酒」です。ようするに、材料も吟味していますし、製法も特別なものだったり手間暇かかっているんですよ、というお酒ですね。ちなみに、著者が同じページで挙げている「純米酒」も「特定名称酒」です。きちんと規格が定められているものなのです。

逆に言いますと、特定名称酒のような特別な手間暇をかけたお酒以外は普通酒なんです。少し乱暴ではありますが、普通酒には明確な法律上の基準があるわけではなく、特定名称酒以外はすべて普通酒と考えればいいでしょう。「普通酒」という言葉も通称ですし、「一般酒」「一般清酒」と言われることもあります。

つまり、純米の中にも普通酒はたくさんあるんです。いわゆる地酒を扱っている酒屋さんではなくてスーパーなどに行ってみると、「米だけの酒」に二種類あることに気づくと思います。「米だけの酒 純米酒」と「米だけの酒(純米酒の規格に該当しません)」です。後者は普通酒なんですね。

お米だけを使っているのに純米酒の規格に合わないというのはどういうことなのかと疑問に思われる方もいると思います。たとえば純米酒だけでなく、特定名称酒にするためなら、使うお米を農産物検査で3等以上に格付けされたものを使わなければなりません。

逆に言うと、その規格から外れてしまったもの(これを等外米と言います)を使うと、純米酒と名乗れないのです。また、麹の使用割合が低い(15%未満)ものも普通酒となります。お米か麹のどちらかで、規格に該当していないのでしょう。

該当しているのに「米だけの酒 純米酒」と言っているのはなぜなのかというと、実は純米酒の規格は昔はもっと厳しかったのが、2004年に緩和されたことに要因があります。緩和前は規格を満たせなかったので「米だけの酒」としていて、緩和後は規格を満たせるようになった。でも、消費者に馴染みのある名前を残そうということで「米だけの酒」を前に出しているお酒もある、というわけです。

そういうわけで、アルコールを添加しているかしていないかは、普通酒にはまっったく関係ありません。

今、日本酒で最も多く出回っているのが、この「アル添酒」です。みなさんもご自宅にある酒のラベルを見てみてください。

ここはすごく微妙な話ではあります。

まず、普通酒の方が圧倒的に出回っているのは間違いありません。普通酒7割、特定名称酒3割ぐらいです。近年では徐々に普通酒の売り上げが減っているので、特定名称酒の割合が増えてきているけれども、大まかにいうとこのぐらいです。

そして普通酒の中ではアル添のお酒はとても多いです。正確な割合は知らないのですが、アル添の方が多いのは間違いありません。なので、もっとも多く出回っているのがアル添酒という言説は間違いではないのです。

じゃあなぜ微妙かと言いますと。

特定名称酒の中では、純米がどんどん売上を伸ばしていっているからなんですね。

人気の出ているお酒には純米酒が多い、ということから「出回っているお酒でアル添が多い」という言説に、ちょっとした違和感を持つ人もいるかもしれないと思ってのツッコミでした。まあ、ここは元記事が間違っているというわけではありません。

3〜4ページ目のツッコミどころ

さて。問題の箇所です。本題でもあります。

この「醸造アルコール」を使えば、「1本の純米酒」から「3本の酒」を作り上げることも簡単です。これが「3倍増」という作り方で、作り方は以下の通りです。

ここが「知識が古い」というところです。

3倍増、まあいわゆる「三倍増醸酒」、略して「三増酒」なんですが、現在は存在しません。

2006年の酒税法の改定によって、造ることが根本的にできなくなったんです。副原料の使用は白米重量の50%以下までとされたので、3倍に増えるぐらいの醸造アルコール(副原料)を加えられなくなったんですね。

というわけで2006年以降は三倍増醸酒を造ると、「清酒(日本酒)」としては認められず「リキュール(※)」扱いとなっております。できて二倍ぐらいまででしょうか。それでもギリギリまで醸造アルコールを入れているところはほとんどなかったりします。

(※)最初「リキュール類」と書いちゃっていました。ご指摘があったのですが、現在は「リキュール」ですので訂正しておきます。申し訳ありません。こういうことを言っておきながらミスが出る一番恥ずかしいパターン!

 

3倍増というのは、戦後間もないころから生産されるようになった「三倍増醸酒」のことが念頭にあったのだとは思いますが、少なくとも2006年よりも前の知識でしか語っておられないんですね。

著者の方は1951年生まれということで、おそらく2006年には食品専門商社でのお仕事を辞められていたのでしょう。そこからまったく知識がアップデートされていないまま語っているというわけです。さすがに法律の話ですし、今から17年以上前の話ですし、知らないで講演活動とかやっちゃうとまずいですヨ! こっそり勉強しときまショ!

要は、「醸造アルコール」も使い方次第で、たんに「カサ増し」のために使われることで、日本酒本来の味が損なわれることが問題なのです。

醸造アルコールは使い方次第というのは本当です。

ただ、それこそ三増酒も一概には悪者にはできないんですね。

以下は最後のツッコミというか単なる歴史の話だし、蛇足だしで興味のない人はスルーしてください。

 

終戦直後の食糧難のときに三増酒が造られたという話は多くの人が知っていると思いますが、そこには国の思惑も入っていたりするのです。

戦後は何が難しかったというと、原材料であるお米がなかったし、さらに杜氏や蔵人が戦争にかり出されて戦死した方も多かったため、根本的に人手が足りなかったのです。そんな状態でお酒を造れるわけがありません。

そこに、戦争に出ていた兵士が復員してきました。まあ、兵士の大半はお酒を飲める年齢の男性でありますので、お酒の需要が一気に高まります。需要が増えても供給ができない。だとすると、闇市しかありません。

かくして闇市で密造酒が横行するようになりました。いわゆる「メチル」「カストリ(粕取り焼酎とは異なるものです)」「バクダン」です。これらは飲めたものではないというか、失明の危険性があったり死亡率が高かったりするんですが、それでもお酒を欲する人が多かった時代でした。

さらに政府にとって、酒税は主要な収入源だったというのもあります。多いときは税収の三分の一が酒税だったぐらいですから、国民の健康を損ねる上に税収が減る密造酒の横行はたまったものじゃありません。

というわけでお酒を増産しろと言うものの、経験者がのきなみ死んでいたりするわけですから酒造りもうまくいかないわけです。腐造が相次いだりもしてしまいます。そこで国がなんとかしようと考えて、三増酒の技術を開発。添加用の醸造アルコールを大量に配給して各地で三増酒を造らせたのです。そうして密造酒を排除して、税収を蘇らせようとしたのですね。

そして、造り手側にもメリットがないわけではありませんでした。カサ増ししてお金儲けができるというわけじゃなく、途絶えてしまった酒造りの技術の復活です。

もろみの中にたくさんの醸造アルコールが入るということは、確かに味が薄まるということでもあります。ということは逆に、多少お酒造りに失敗しても誤魔化せるということでもあるのです。

そうしてお酒造りに関する経験をのびのびたくさん積むことができたことが、現在の日本酒造りにもつながる技術力の復権にもつながったとも言えるのですね。(もちろんこれだけが全てではありません。念のため)

飲み手側としては……やはり、失明しない。飲んだだけでは死なないというのがメリットでしょう。いやほんと、そういう時代だったというわけです。なので、三増酒は確かによろしくないものではあるんですが、時代背景的には100%悪者じゃないんですよ、という話でした。

 

ちなみに現在の形での純米酒を最初に造ったのは、京都の玉乃光酒造だと言われています。1964年(昭和39年)に「無添加清酒」を販売開始したのですね。もちろん、純米酒と呼ばれるのにふさわしいお酒は戦前にも造られていたとは思いますが、戦争でいったん全てが途切れて、また純米酒が復活するまでにこれだけの時間がかかったというわけです。

続きは第三回の分へ。

続きです。

shouyutechou.hatenablog.com

 

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