小豚と美貌鹿

生きる上で役立つなあ、と思ったこと、日々の生活の中で頭に入れたいことなどを纏めます。

東名高速あおり運転事件と危険運転致死傷罪の成否

2018年6月,東名高速道路にて煽り運転により一家4人が乗るワゴン車を停車させ,大型トラックの追突により夫婦などを死なせたという痛ましい事件が起きました。大変な話題となり,煽り運転に対する意識を強く意識させるきっかけに間違いなくなったこの事件は,まだ記憶に新しいところであろうと思います。

そして,この事件につきニュースやワイドショーで連日話題になったのが,当該事件被告に対する危険運転致死傷罪自動車運転処罰法)の成否です。

横浜地裁はこの事件につき同罪の成立を認め,懲役18年との判決を下しましたが,本事件は現在控訴審に係属しています。今後の展開が気になる裁判の一つと言えるでしょう。

 

が,結論から言えば本事件において危険運転致死傷罪は成立しないと考えるのが妥当だろうと思います。

 

危険運転致死傷罪自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律自動車運転処罰法)の第2条に規定されており,2条各号に該当する方法で運転をすることが「危険運転」として評価されます。

本件において「高速道路で車を停止させる」行為が2条4号「重大な交通の危険を生じさせる速度」にあたるかどうかが問題となっていたのですが,そもそも被害者家族の死傷結果がその危険運転によって引き起こされたのか?という点が問題となるはずなのです。

 

ここで阪高裁平成27年7月2日判決を見てみたいと思います。

少年である被告人が,交差点を左折するにあたり,後輪を路面に滑らせ車体を回転させるいわゆるドリフト走行を試み,これに失敗して自車左後部をガードレールに衝突させた上,折から歩道上を登校のため歩行中の小学生5名に衝突させるなどして,同人らに傷害を負わせた本件事故について,制御不能となった時点での車両の走行速度が時速40kmを下回り,速度の点が車両の制御を不能にする主たる要因とは認められないなどの事実関係の下では,危険運転致死傷罪の要件である「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」にあたらず,同罪は成立しない。

 

 この判決は,危険運転致死傷罪の成立にはその結果発生の主たる要因危険運転にあることが必要としています。従って,因果関係を肯定するためには当該危険運転の孕む高度な危険が結果へと現実化したということができなければ同罪を認める事はできないのです。(ここでは因果関係につき現在の判例通説である危険の現実化説をとっています。)

 この点,横浜地裁判決は「4度の妨害と停車、暴行は密接に関連があり、その危険が事故によって現実化した」という点では検察側の主張を認め,当時は夜間で一定の交通量があり,停止している車がない前提の高速道路の追い越し車線が現場だったことから,「追突事故が起きる可能性が非常に高く,被告が車に戻る途中に事故が発生しており,危険は解消されていない」と述べ、同罪が成立すると判断しています。

 

しかし,実際には危険運転かどうか争点となった「高速道路で車を停止させる」行為の後、被害者家族も車を停止し,被告人は下車して被害者の車の下へ行き,車を蹴ったり運転者を殴ったりしているわけで,そういった過程を経てトラックの追突を招いているのです。この結果発生を先行する危険運転が主たる要因であるとするのは厳しいように考えられ,停止行為が孕む危険が現実化したものが本件の追突という結論を導き出すのは無理があるといえます。

 

以上の理由で危険運転致死傷罪は成立しない,と考えるべきでしょう。

 

では無罪になると考えるべきなのか?

そもそも本件でなぜ危険運転致死傷罪が論点になるのか。それは検察官が訴因を同罪にしたからにほかなりません。ご丁寧に予備的訴因として監禁致死傷罪を挙げていましたが,もっと単純に,傷害致死(刑法205条)で起訴すればよかったのではないでしょうか。

 

運転における危険行為,幅寄せなどが暴行罪(刑法208条)の構成要件に該当することは判例の示すところであり,本件煽り運転が暴行に該当することは疑いの余地がありません。さらに,横浜地裁判決では停止行為後の暴行も一連一体の危険行為として認定していましたが,前述の通り危険運転の1個の行為として見ることには無理があるといえます。この点,煽り運転から停止,その後に暴行行為があって被害者家族はその場に止まらざるを得なかったのですから,最初の行為を暴行として捉えることで,一連の行為を一連の暴行行為として評価することは素直であるといえるでしょう。

そうであるならば,被告の暴行行為によって高速道路という通常停止が予想されない場所に留め置かれたことで,トラックの追突により死という結果が発生したことは,暴行罪の結果的加重犯である傷害致死罪の構成要件を充足し,高速道路に留め置くという行為の孕む死の危険が結果へと現実化したものであるといえ,結果的加重犯においては暴行の故意のみで傷害致死の故意も認定することができるので,同罪が成立する,ということになります。

 

法定刑についても危険運転致死傷罪より傷害致死罪の方が重いですし,危険運転致死が現在のように特別法で規定される以前には刑法の208条の2(過失の規定の前,暴行罪の枝番),つまり故意犯として規定されていたことからも,上記結論を導き出すのは妥当であると考えます。

 

現在では煽り運転が暴行罪を構成することにはほぼ異論がなく,警察も煽り運転を暴行として処理する傾向にあります。免許の講習でも「煽り運転は暴行です」と指導されるはずです。

 

同事件は非常に痛ましい事件であり,交通トラブルは全員が加害者にも被害者にもなる可能性のあるものです。自衛のためにも,関心を寄せておきたい事例の一つであるように思います。

行政法における原告適格の判断について

行政事件訴訟における原告適格について,根拠条文が行政事件訴訟法9条2項に挙げられます。原告適格の判断は行政法のとっかかりとして必須なので判断にあたっての考慮事項を簡単にまとめます。

 

まず,行政事件において行政事件訴訟法(以下,法令名省略)9条1項により,「法律上の利益を有する者」に原告適格があると定められています。

そして,その「法律上の利益」とは「法律上保護された利益」の事を言い,法規が他の目的達成の過程で得られた反射的利益とは異なるとされています。この解釈(法律上保護された利益説)で今はほぼコンセンサスが得られているので,今は他説である保護された利益説については触れることはしません。

 

そして,同法9条2項は,法律上保護された利益説の中での判例の展開の再確認という意味を持ちます。

伊達火力発電訴訟→新潟空港訴訟→もんじゅ訴訟というように判例展開してきたわけです。

 

それでは,9条2項に基づく原告適格の判断枠組みについてまとめていきます。

 

原告適格の判断にあたっての考慮事項

 

原告適格の判断にあたっての考慮事項は

①当該処分又は採決の根拠となる法令の規定の文言

 

②当該法令の趣旨及び目的

(+④当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的

③当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質

 

(+⑤当該処分又は採決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることになる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案する)

 

です。では,以下で①②③を判断する上での視点を見ていきます。

 

①②(+④)の判断の視点

a 目的規定があるか。あれば,どのような目的が定められているか。(具体的利益保護の宣言)

b 規律内容が詳細に定められているか。

  →あれば関係者の利益を具体的に保護している方に傾く

c 第三者の事前手続への参加について定めた規定があるか。

  →あれば参加者の具体的利益保護目的があるといえる。

d 第三者の情報が記載された申請書類を提出するよう求める規定があるか。

  →あればその第三者を保護しようとしている。

e 処分に条件を付すことを許容する規定があるか。あれば,何のために条件を付せるか。

  →その目的が処分の名宛人以外の第三者の個別具体的利益の保護につながるものなら肯定側による。

 

③(+⑤)の判断の視点

a 被侵害利益が高次の利益といえるか否か。高次かどうかは以下の図を参考。

 

     高←――――――――→低

       生命,身体,財産,環境

 

b 侵害行為の発生元になる場所と被害を受ける場所が果たして,またどの程度近接しているか。

 

c 侵害行為が果たして,またどの程度反復・継続して行われるか。

 

 

 

以上が判断の観点です。しっかり頭に入れて使えるようにしていきましょう。

 

心を掴め!正しい人のホメ方

褒め。これは人間が社会形成する上で最も簡単かつ最も効果的な行為です。

特に自分が仲良くしたい相手に対してこの行為を行わないということはあり得ません。

偉い人に気に入られるために「ヨイショ」する,ライブの良席を譲ってもらうためにTOを褒めちぎる,なんてことは日常茶飯事でしょうし,みんなが大好きな「恋愛テクニック」の本なんかでもほぼ確実に「相手のことをホメましょう」なんて書いてあるはずです。

 

じゃあとりあえず褒めてみよう!となるのですが,その際の考え方はあっていますか?

言い換えると,

 

あなたのその褒め方,正解ですか?

 

ということを考えてみていただきたいと思います。

 

褒め方について,数年前に「正しいブスのほめ方」という本が一部で流行し、テレビドラマにまでなりました。テレビドラマ版のタイトルは「太鼓持ちの達人」。テレビ東京系で放送されており,役に立つかどうかはともかくまあまあ面白いので興味がある方はご覧になってもいいかと思います。

 

さて褒め方ですけれども,多くのサイトに書いてあるのは

 

服装,髪形をホメましょう!

細かいアクセサリーに気付くことが心理的に好印象です!

 

なんて言ってたりします。間違いではない,間違いではないんですがあまり効果的だとは思えません。

 

もう少ししっかり内容がある本やサイトだと,

 

服装,髪形,アクセサリーをホメる時に

「センスいいね!」

と,それをチョイスした人自身をホメるのがいい

 

なんて書いてあったりします。

これはわりと正解だと思います。

 

逆に,対して仲良くない状態の人に

 

君可愛いね!目がパッチリしてるし,俺の好みだわ!

 

などと褒めてる人,結構いませんか?もしかしてあなたもやってたりしませんか?

実はこれが正しくない褒め方なんです。

つまりナンパで「君かわうぃ~ね!」ってやってる人はよっぽどのイケメンでもなければ成功しないってことですね。

 

ここで「でも可愛いって言われたらうれしいじゃん!」「イケメンって言われるのの何が間違いなの?」って疑問が出てくることと思います。

実は外見を褒めることがダメなのではなく,褒めるタイミングがあるよ,ということをお伝えしたかったのです。

 

じゃあどのタイミングで褒めるのが正解か。ズバリ信頼関係をある程度形成した後の外見を褒めるのは効果的なんです。

逆にそれ以前,初対面だったりまだあまり話せてない時期だったりにおいては内面を褒めるべきです。

 

例えば僕なんかは,初対面で

 

「イケメンですね!」

 

なんて言われたとしても(そもそも言われないだろ,というツッコミは厳禁です),おそらく

 

「いやまあ100%お世辞じゃんw」

 

としか受け取りませんけども,初対面で少し話した人に

 

「いや,見た目から少しチャラいのかなと思ってましたけど,話してみると全然そんなことないし,むしろしっかりした感覚をお持ちで驚きました。ぜひまたお話ししたいです!」

 

なんて言われた日には

 

「ほ~~~んそうかそうかあ,君今ノド乾いてないかね?おっちゃんが奢ったるでグヘヘヘ」

 

てな感じになっちゃいます。

 

逆に,付き合いの長い友人や異性に

 

「改めてみると君って睫毛も長いし,鼻筋も通ってるしカワイイ(カッコイイ)よな」

 

なんて言われたと想像してみてください。

 

 

「グヘヘヘへへへ」

 

 

ほらね?

 

 

以上,正しい褒め方でした。これも恋愛のみじゃなくて,褒める場面全般で効果的です。褒めるってのは誰にもデメリットが無い,それどころか相手を幸せにして自分の株が上がる最強の行為です。

 

褒めを極めてあなたの手で幸せな世界を作っちゃってください。

処分権主義・訴訟物

今回は民事訴訟法の重大原則,処分権主義についてです。処分権主義を理解する上で訴訟物の理解は必須ですので,訴訟物についても確認しておきましょう。

 

訴訟物とは

訴訟物とは原告の訴え,具体的には訴状の請求の趣旨および原因によって特定され,裁判所の審判の対象となる権利関係のことを言います。

訴訟物の特定に関しては新訴訟物理論と旧訴訟物理論の対立があり,新訴訟物理論が有力に主張されていおりますけれども,実務は旧訴訟物理論で動いておりますし,我々が問題を解く上でも旧訴訟物理論で考えるのが素直であろうと考えます。

 

旧訴訟物理論とは訴訟物を実態法上の権利自体が訴訟物である,との立場です。

訴えを提起する上では訴訟物を特定しなくてはなりませんが,その特定は権利の性質によって変わります。

物権的請求権の場合には

①権利の主体

②権利の内容

によって特定され,

債権的請求の場合には

①権利の主体

②権利の内容

③権利の発生原因

によって特定されます。

 

物権の場合は物権の個数と侵害の個数,債権の場合は契約の個数,くらいで考えてみてもいいかと思います。

 

ちなみに新訴訟物理論は個々の実態法上の請求権を包括した上位概念としての言ってイン給付を求め得る法的地位があるとの権利主張のことをいい,紛争の一回的解決に資するとの有用点があります。

 

処分権主義について

処分権主義とは民事訴訟法(以下,法令名省略)246条を根拠条文とする,当事者が訴訟の開始・訴訟物の特定・訴訟の終了・紛争の実態的解決について処分権能を有し,これらについて自由に決定できるとする建前のことを言います。

これらのことについて当事者に決定させることにより,

①紛争処理方式の選択の自由

②訴訟の対象の自主的形成

③手続き保障・不意打ち防止

の機能が働くのです。

 

そして前項の訴訟物の特定は,処分権主義との関係で,審判対象の特定・被告に対する不意打ち防止・訴訟物の同一性 を判断する上で必要となります・

 

(被告に対する不意打ち防止,とは,たとえば50万円の給付訴訟を提起されているとすると,被告は敗訴しても最悪50万円払うことになるだけ、という合理的な推認が働きます。それなのに100万円支払え,との判決をされたら被告からしたらびっくりしてしまいますよね。これを防ごう,という趣旨のことです。)

 

これは訴訟提起段階での訴訟物の現れです。

いかなる訴訟物につき,いかなる種類の権利救済を,いかなる範囲・限度で求めるかを請求の趣旨の記載により明らかにするということです。

 

一部認容判決について

ここで気になるのが一部認容判決です。

一部認容判決は申立て事項と判決事項が一致して無いように見えますが,これは処分権主義に反しないのでしょうか?

この点,処分権主義の趣旨は当事者間の公平と訴訟経済に資する,という点にあると解釈すると,

①原告の合理的意思に合致し

②双方にとって不意打ちにならなければ

趣旨に反せず,許されると考えて良い,とされています。

 

よくあげられる問題として,「現在の給付の訴えに対する将来給付の判決が

認められるか」というものがあります。

 

これを上記観点に照らし考えてみると.

①原告からしたら将来給付であっても,債務名義を取得できる方が現訴訟について敗訴,期限到来後再度別訴提起.といった流れを取るより良いと考えるでしょうし,②被告の負担のMaxよりも将来給付の方が(期限の利益を得られるから)小さい,といえるので不意打ちにはならず,原告にとっても請求を棄却されるよりも有利な判決と言えるので,双方の不意打ちにならない

ということができ,認められるであろうということになりますね。勿論135条の要件を満たすことは前提です。

 

債務不存在確認の訴えについて

次に検討するのは債務不存在確認の訴えについてです。

債務不存在確認の訴えにおける訴訟物は、その訴訟形態の性質は給付訴訟の裏返しであり,上限と自認額の差額の不存在となります。

上限を明示しなくとも請求原因その他の訴状の記載から債権自体の特定が可能であれば裁判所にとって審判対象は不明でなく,債権者である被告は債権額を主張立証すべき実態法上の地位にある(最判昭40.9.17)

 

では債務不存在確認について裁判所が原告主張の額を超える額を残債務として認定した場合はどうなるでしょうか。

これについては原告の申立ての範囲を量的に超えていますから処分権主義に反しそうですし,原告の主張につき「残務額は別訴で争う意思」であるとして請求棄却判決をするべきであるように思えます。

 

ですが,このような訴訟において単に請求棄却判決をするだけでは何ら紛争解決基準を示さないことになり,紛争の解決どころかかえって紛争を誘発することになりますよね。

 

さらに,双方の意思から考えてみても,紛争は早く解決してしまいたいと考えるのが通常でありましょうし,裁判所は上記心象を得るにあたって審理を通じて残務額を確定していると考えられます。そうだとすれば上記処分権主義の趣旨に反せず,一部認容判決をすべきである,との結論になります。

 

おわりに

今回は処分権主義とは?のような点について述べました。

処分権主義の重要論点,一部請求についてはまた改めてまとめますので,まず処分権主義の趣旨・意義はしっかりと確認しておいてください。

 

 

                                     以上

 

逮捕って何?

「逮捕」。我々が生活する上でよく聞く法律概念トップ3には入るであろう単語だと思います。

 

最近池袋で人を轢いた上級国民が逮捕されない,ということで話題になっていますよね。逮捕されない?人を殺しているのになんで!罰されないとかあり得ない!のように思う方もいるかもしれません。

 

ですが,逮捕って実際どうやってされるの?逮捕されたら犯人なの?といったように,事実よくわかっていないんじゃないでしょうか。

なので今回は「逮捕」について簡単にまとめてみようと思います。

法律を学ぶ方にとっても逮捕は大論点なので,ここで逮捕の基礎概念を固めておいて損はないと思います。

逮捕とは?

憲法第33条

何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない

 刑事訴訟法第199条

  1. 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、30万円(刑法暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
  2. 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。
  3. 検察官又は司法警察員は、第1項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があったときは、その旨を裁判所に通知しなければならない。

 

以上が逮捕の根拠条文です。逮捕とは憲法で保障されている自由権を侵害する行為ですから,事件の証拠が相当程度収集され,一定の要件が整った場合にのみすることが許されるのです。裁判官のによるチェックを経て令状を発布されなければこれを行うことができないんですね。

 

そして,その逮捕が許容されるには

 

①被疑者が罪を侵したことを疑うに足りる相当な理由があること

②逮捕の必要があること

 

が充たされる必要があります。

 

そして,明らかに逮捕の必要性がない場合として,刑事訴訟規則143条の3は「被疑者の年齢及び境遇ならびに犯罪の軽重及びその態様その他諸般の事情に照らし,被疑者が逃亡する虞がなく,かつ,罪障を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がない」場合を挙げています。

 

よって,罪証隠滅の虞逃亡の虞がない場合には逮捕はされないのです。そしてそれは家族の有無・定職の有無・住居の有無など,様々な要素を考慮してなされます。逮捕は,前述したように憲法上誰にも保障される重要な権利を侵害するものですから,しなくていいならしないに越したことはないからです。

 

今回の池袋の事件においては,「上級国民」などと揶揄されるように,住居も身分も前職も経歴も公開されるくらいはっきりしていましたね。さらには87歳という高齢ですし,逃亡する虞はない,との判断に至ったのでしょう。ちなみに犯罪白書によれば,捜査機関が被害者の身柄を拘束する,すなわち逮捕する「身柄率」と呼ばれるものは捜査対象事件のうち3割程度でしかありません。ですから逮捕されないのは別に珍しい訳でもないということですね。

 

 

勿論,逮捕されなかったからといって捜査対象から外れる訳ではありません。これからの捜査によって犯罪の嫌疑がはっきりすれば,検察官により起訴がなされることは充分ありえる,ということです。

ちなみに,今回の事件概要を読める訳ではないので詳しいことはわかりませんが,今回のことを殺人罪だと言いたい気持ちは分からなくもないですけれど,被疑事実は危険運転致死傷罪又は過失運転致死傷罪ではないかなあ,と思います。殺人で評価するのは難しいのではないかと。故意次第の部分もあると思いますが。

 

 

 

 

 

 

質問力UP!会話を盛り上げる超級会話術

 

 

今回は前回「コミュ力を爆上げする方法」の続きです。

当該記事はこちら↓↓

 

porkblog.hatenablog.com

 

コミュ強になるための心理学~オウム返し理論について~

前回お伝えした質問力。そしてこの質問をするにあたって超超超有用なテクニック

オウム返し

と呼ばれるものです。バックトラッキング法と呼ばれる事もあります。ちなみに「バックトラッキング」とは野生動物が追手から逃れるために使う足跡を偽装する逃走方法の事です。

 

オウム返し理論については本当に有名であらゆる本やサイトに書いてありますが,その使い方を勘違いしているものが非常に多いです。

 

大抵は

 

「相手の言ったことをオウム返しして返事することで,相手は『話を聞いてくれている!』と感じ,もっと話そうとしてくれるから会話が弾むよ☆ミ」

 

などと記載していますが,本当にそうでしょうか?

この説明が想定する会話とは,

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

女「今日スタバ行ってきたんだよね~」

 

僕「スタバ行ってきたんだ~」

 

女「うん!それでね,今回の新作に赤と白があるんだけど,1人だから片方しか飲めなかったんだ~。飲み比べしたいから今度一緒に行こうよ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

のような会話だと思われますが,こんなに相手からポンポン話してくれてあまつさえ自己開示&2人でのお誘いをしてくるなんてかなり仲良くなってないとありえませんからね。まだこれから仲良くなりたい段階のうちにこれをやったところで

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

女「今日スタバ行ってきたんだよね~」

 

僕「スタバ行ってきたんだ~」

 

女「うん。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

こうなります。

 

でも先ほど,このオウム返しは超有用だと言いましたね。どう使えばこのテクニックが有用になるのでしょうか。

 

オウム返しがそれだけで「話を聞いている」と思わせる効果は確かにあります。

 

ですがそれだけで好感度を爆上げするのは難しい。相手と会話が続かなければ好感度もクソもありません。ですが皆さんは話を盛り上げる,つまりはコミュ力を上げる方法をすでにご存じのはずです。

 

そう,質問と組み合わせるのです。

 

先ほどの例で言えば

「スタバ行ってきたんだ!俺あそこのフラペチーノ好きなんだよね。君は何を飲んだの?」

のような感じです。

 

オウム返し質問力を併用することで会話に即した質問が非常に容易になりますし,この例でいうと自己開示もしれっと混ぜることができています。相手の事を知った方が親近感がわく,というのは心理学的に確立している見方ですから,二重三重に効果がある会話テクニックであるということができます。

 

しかもこの会話法,論理的には無限に話が続いていきますから,15分間に8回質問しなきゃ!などと意識して尋問になったりせずに自然に楽しく会話をすることができます。

 

コミュ力の1条件が「正しく意思疎通をする」点にありますから,このオウム返し理論を的確に使うことによって会話を適切に続けることはコミュ力強化に直結するわけです。

 

みなさんも質問力オウム返しをマスターしてコミュ強街道を爆進してみてください。

 

 

                                   以上

一瞬でコミュ力を爆上げする方法

今回は「コミュ力」つまりコミュニケーション能力についてです。

人間社会を生き抜くうえで最も必要かつ有用な能力がコミュ力であることについて大多数の人が異論を唱えることはないでしょう。恋愛心理学・恋愛テクニックと呼ばれるもののうち大半も,つまるところはこの「コミュ力」を上げるためのものだったりします。

 

しかしそのうちの何パーセントが信用に足るものか,というのは怪しいものです。ですから,本当に効果のあるものだけをちゃんと知ってほしいということは以前にも述べました。そして今回のは本当に効果があるだけじゃなくめちゃくちゃ簡単な方法を教えちゃいます。

 

私も一部では「陰キャ界のコミュ強」と言われることがありますけれども,こういった風に呼ばれるのも単にこういったテクニックを知っているからというだけです。

 

ぶっちゃけ今回のは本当に教えたくありませんこれを知っているだけで誰でもコミュ強になれちゃうからです。皆がこれを知るだけでコミュ強になれるので,相対的に私は「陰キャ界のコミュ強」から「ただの陰キャ」になってしまいます。

 

でも私だけが知っていても不公平ですし,みなさんにこのテクニックが本当に効果があることが伝われば,きっとこのブログでお伝えすることの信頼度も上がるでしょうから,涙を呑んで教えることにします。今回と次回の記事を「知っている」と思って途中でやめることだけはしないでください。最後まで読んでみて結局知っていた方はゴメンナサイ。

 

 

コミュ強になるためのテクニック~質問力~

 

コミュ力を上げるためのたった一つのテクニック。それは質問です。

人間は基本的に話すことが好きな生き物なので,相手に話させることで勝手に自分への好感度がアップします。

ある研究では「いっぱい話す事はお金をもらった時と同じくらいの嬉しさを得る」というものもあるそうです。

 

逆に言えば「相手が話す時間があまりない・自分だけが面白くない自慢話をしている」場合には好感度が下がってしまうわけです。

これは少し思い浮かべてみればよくわかると思います。

 

自分語りしかしないオタク,好きですか?

自分が最前に行ったライブの自慢しかしてこないオタク,キモくないですか?

合コンで自分の悪かったアピールばかりしてくる男と付き合いますか?

飲み会で昔の話を延々としてくるハゲ上司,好きになりますか?

 

そういった人たちは「自分の中では話が盛り上がった」と思っているわけですし,いっぱい話しているので自分はめっちゃ気持ちいいのですが,そういう話は

相手が反応できない=離せない=面白くない 

ので,それから次に繋がらないわけです。

 

 

ではどうしたらいいのか。そうです,相手にもっと話してもらえばいいのです。

 

どうやったら相手にもっと話してもらえるのか?ここで質問力が出てくるわけです。

 

これは簡単ですね,単に質問すればいいだけです。

 

アメリカの大学での研究ですが,初顔合わせの状態で次々と話してもらい(街コンみたいな感じです),その中でされた質問の数と「また会ってもいいと思うか」との艦恵瓊を比べた実験があります。

これによると,質問が多かったグループは質問が少なかったグループに比べ,次に会ってもいいと思う確率がなんと1.5倍もあったんです。

 

1.5倍ってすごい数ですよね。3人声かけて1人と3人声かけて2人とではぜんっぜん違いますから。

 

そして当然ですが次会えなければそこからの人間関係の発展は見込めませんし,会う回数が多ければ単純接触の原理も働いて好感度が高くなる確率が上がります。

その確率がたったこれだけの事で50パーセントもアップするんですから,やらない理由がないと思いませんか?

 

ここで上記実験における質問の「多い・少ない」ですが,多い方は15分間に8回以上で,少ない人は15分間に4回以下です。

これ4回でも我々の感覚からしたら割と多いんですよ。日本人は最初確実にシャイなので,実際街コンとか行ってみても4回も質問してない人が大多数です。

 

ということは逆に,その質問力を発揮した時の効果もさらに大きいのです。

 

ぜひとも15分間に8回の質問を意識して,今この瞬間からコミュ強の道を爆進してください。

 

 

当たり前の話ですけど,ちゃんと会話に即した質問をしてください。これ教えると結構やる人いるんですよ。全然そんな話じゃなかったのに,取り合えず質問しなきゃ!ってなって

 

「ところで兄弟はいますか?」

「へー、では出身は?」

「今住んでるところは?」

 

みたいに単発の質問を繰り広げる人。これは質問じゃなくで尋問ですから。話拡がりませんから。やめてください。

 

 

だけどそんなこと言ったってそんなにポンポン質問なんてできないよ・・・と思う人もいるでしょう。

安心してください,質問力を上げ,かつもっと相手との会話が弾むテクニックもお教えします。今回は長くなってしまったので次の記事でまとめますから,質問をうまく使って毎日デートしちゃってください。

 

                                     以上