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心のたねを言の葉として

安倍派会計責任者 初公判 起訴内容を大筋で認める

安倍派会計責任者 初公判 起訴内容を大筋で認める

2024/5/10 NHK

 

安倍派「清和政策研究会」の会計責任者、松本淳一郎被告(76)は、民間企業の出身で、世耕・元経済産業大臣の紹介を経て、2019年2月に安倍派「清和政策研究会」の会計責任者に就任し、事務局長も兼任しました。

安倍派の派閥側としては唯一立件され、2022年8月、当時の派閥幹部が集まって所属議員へのキックバックの取り扱いを協議した会合にも参加していたとされています。

 

きょうの初公判で…
松本被告は、おととしまでの5年間であわせておよそ6億7500万円のパーティー収入などを派閥の政治資金収支報告書に収入として記載せず、議員側にキックバックした分などほぼ同額の支出も記載しなかったとして、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪に問われています。

 

松本・会計責任者は、裁判長から起訴された内容について問われると、準備した紙を手元に持ちながら、「一部間違いがございます」と述べました。

そして「平成30年分と令和元年分の政治資金パーティーの収入の一部とそれに対応する支出について収支報告書を提出する時点で認識していません。それ以外については間違いございません」と述べ、大筋で認めました。

その後、弁護士が補足説明し「一部の国会議員などが派閥側の口座に入金しなかった分やこれに対応する支出については認識することもできなかった」と述べました。

額については収支報告書の収入、支出ともに、平成30年分は1300万円余り、令和元年分は2600万円余りについて認識がないと主張しました。

 

そもそも派閥の政治資金事件とは
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件では安倍派、二階派、岸田派の会計責任者や元会計責任者、それに国会議員などあわせて10人が政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で立件され、このうち略式起訴された4人はすでに有罪が確定していて、残る6人については今後、裁判が開かれます。

 

【派閥側】
安倍派「清和政策研究会」では会計責任者が2022年までの5年間で、パーティー収入などおよそ6億7500万円を派閥の政治資金収支報告書に収入として記載していなかったほか、支出についても、主に議員側にキックバックした分の6億7600万円余りを記載しなかったとして在宅起訴されています。

二階派志帥会」では、元会計責任者が2022年までの5年間でパーティー収入など2億6400万円余りを記載せず、支出についても1億1600万円余りを記載しなかったとして在宅起訴されています。

岸田派「宏池政策研究会」では、元会計責任者が2020年までの3年間のパーティー収入など3000万円余りを記載しなかったとして略式起訴され、すでに有罪が確定しています。

一方、特捜部は安倍派「5人衆」と呼ばれた松野・前官房長官、高木・前国会対策委員長、世耕・元経済産業大臣、萩生田・前政務調査会長、西村・前経済産業大臣、それに、座長を務めた塩谷・元文部科学大臣や、事務総長経験がある下村・元政務調査会長二階派の会長を務めてきた二階・元幹事長ら派閥の幹部については立件しませんでした。

 

【議員側】
議員側では、安倍派に所属し、党を除名処分となった池田佳隆 衆議院議員が2022年までの5年間に4800万円余りのキックバックを受けたにもかかわらず、政治資金収支報告書に寄付として記載しなかったとして、政策秘書とともに逮捕・起訴されました。

同じく安倍派に所属し、自民党を離党した大野泰正 参議院議員と秘書は派閥からキックバックされた5100万円余りの寄付を記載していなかったとして在宅起訴されました。

また、安倍派に所属し議員辞職した谷川弥一衆議院議員と秘書だった娘は派閥からキックバックされた4300万円余りの寄付を記載していなかったとして略式起訴され、罰金などの略式命令が確定しています。

このほか、二階・元幹事長の秘書が、3500万円余りのパーティー収入を二階派に納入せず、二階・元幹事長の資金管理団体の収支報告書に派閥側からの収入として記載していなかったとして略式起訴され、罰金などの略式命令が確定しています。

立件された10人のうち6人については今後、裁判が開かれる予定で、10日始まる松本・会計責任者の裁判のほか、6月19日には二階派の元会計責任者の初公判が開かれることになっています。

 

原爆投下「戦争止めた」 米国防長官、議会で見解

原爆投下「戦争止めた」 米国防長官、議会で見解

2024/5/9

 

 【ワシントン時事】オースティン米国防長官は8日、上院歳出委員会の小委員会で証言し、広島、長崎への原爆投下について、第2次世界大戦を終わらせるために必要だったとの見解を示した。米国内では原爆投下に肯定的な意見が多く、それに沿った見解と言えそうだ。

 

 グラム上院議員共和党)の質問に回答した。グラム氏はまず米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長に「広島、長崎への原爆投下を支持するか」と尋ね、ブラウン氏は「それが世界大戦を終わらせた」と語った。オースティン氏はその後に同じ質問を受け、「議長(ブラウン氏)と同意見だ」と述べた。

 このやりとりは、米政府がパレスチナ自治区ガザ最南部ラファへの本格侵攻に対する懸念から、イスラエルへの大型爆弾輸出を停止したことに関し、グラム氏が批判する文脈で飛び出した。グラム氏は「負けるわけにはいかない戦争で、イスラエルに必要なものを与えるべきだ」と訴えた。

 

トヨタ 2023年度決算 営業利益5兆円超え 日本の上場企業で初  2024年5月8日

トヨタ 2023年度決算 営業利益5兆円超え 日本の上場企業で初

2024年5月8日 NHK

 

トヨタ自動車が発表した昨年度(2023年度)1年間のグループ全体の決算で、本業のもうけを示す営業利益が5兆3500億円余りとなり、日本の上場企業で初めて5兆円を超えました。ハイブリッド車を中心に販売が好調だったことや、円安で利益が押し上げられたことが主な要因です。

トヨタ自動車は8日、昨年度1年間のグループ全体の決算を発表し、売り上げにあたる営業収益は前の年度から21.4%増えて45兆953億円となり、過去最高を更新しました。

本業のもうけを示す営業利益は96.4%増えて5兆3529億円となり、日本の上場企業で初めて5兆円を超えました。

ハイブリッド車を中心に販売が好調だったことや北米やヨーロッパを中心に車の性能向上に伴う値上げを行ったことなどで前の年度と比べて2兆円の増益につながったほか、円安の影響で6850億円の利益の押し上げがあったことが主な要因となっています。

また、最終的な利益は101.7%増えて4兆9449億円となり、過去最高を更新しました。

SMBC日興証券のまとめによりますと、日本の上場企業の最終的な利益では、ソフトバンクグループが2020年度に計上した4兆9879億円が過去最高で、今回のトヨタの決算はこれにほぼ並ぶ水準となりました。

一方、会社は、今年度(2024年度)1年間の業績予想も発表し、営業収益は昨年度より2%増えて46兆円となる見通しを示した一方、営業利益は19.7%減って4兆3000億円、最終的な利益は27.8%減って3兆5700億円と減益の見通しを示しました。

EV=電気自動車やAI=人工知能など成長領域への投資のほか、仕入れ先の支援や従業員の職場環境の改善などに合わせて2兆円の投資を行うことなどが理由だとしています。

また、今年度の生産見通しは、トヨタ単体で昨年度の997万台を上回って1000万台になるとしています。

 

「国が殿さま、自治体は家来」に戻っちゃう 玉城デニー知事・保坂展人区長・岸本聡子区長…LIN-Net詳報  2024年5月4日

「国が殿さま、自治体は家来」に戻っちゃう 玉城デニー知事・保坂展人区長・岸本聡子区長…LIN-Net詳報


2024年5月4日 東京新聞

 

 地域主権主義に根差した政治を目指す「ローカル・イニシアティブ・ネットワーク」(LIN-Net)は4月20日に東京都内で、7回目の集会を開いた。沖縄県の玉城(たまき)デニー知事が、国が県の事務を代行して進める辺野古(へのこ)新基地建設の問題点を特別報告した。
 続くシンポジウムでは、地方自治体への国の指示権を拡大する地方自治法改正案の問題点を中心に、いずれもLIN-Netの世話人で世田谷区の保坂展人区長、杉並区の岸本聡子区長、政治分野のジェンダー平等を目指す団体の能條(のうじょう)桃子代表、政治学者で東京工業大中島岳志教授が、玉城氏を交えて話し合った。(関口克己、山口哲人)

 

【玉城知事・特別報告】辺野古の新基地、問題点は

◆「代執行は地方自治否定の先例に」
 辺野古新基地ができれば、沖縄の過重な基地負担が固定化される。翁長雄志(おなが・たけし)前知事と私は知事選で建設反対を明確な争点にして勝利した。2019年の県民投票も辺野古埋め立て反対の意思を示した。だが、日米両政府は「辺野古が、普天間(ふてんま)飛行場の危険性除去の唯一の解決策」との姿勢を変えず、県民の思いを顧みずに建設を強行している。
 国は昨年12月、埋め立てに関して工事の設計変更を県に代わって承認する代執行を行い、今年1月、海上工事を強行した。国と地方自治体との関係を「対等・協力」とした地方分権改革の成果を無にして、「上下・主従」に逆行させた。
 代執行という国家権力によって、選挙で県民の負託を受けた知事の処分権限を一方的に奪うことは、憲法が定めた地方自治の本旨をないがしろにするもので、断じて容認できない。国の判断だけが正当と認め、地方自治を否定する先例になりかねない。この問題は沖縄だけではなく、全国の自治体にとっても重要だと捉えてほしい。


【シンポジウム】国と地方と民主主義
◆保坂氏「対話を欠き、国が正義となっている」
 保坂氏 沖縄の県民投票で埋め立て反対が7割との答えが出れば、政府はその声を受け止めて政策変更を考えるはずだが、そうしないのが政府の特徴。対話をする姿勢を欠き、「国が正義」となっている。
 玉城氏 翁長前知事も私も政府に対話を求めている。対話の中で、沖縄県と国がお互いに、どこまで責任を持つのかを確認できれば、解決方法は見つかるはずだ。だが、政府は対話の場を開かない。「聞く耳をお持ちですか」と何度聞いても答えはない。私の声は岸田文雄首相の耳には届いていないだろう。
 岸本氏 LIN-Netは、地域主権によるコモン(公共財)の再生を掲げているが、私たちが今、どのような日本で生きているのかを沖縄は身をもって体現している。沖縄の県民投票は、選挙以外の方法で民意を示す民主主義の醍醐味(だいごみ)の一つを成功させたが、政府がそれを全否定している状況が現在進行形で起きている。


◆能條氏「植民地主義、日本にも」
 「FIFTYS PROJECT」(フィフティーズ プロジェクト)の能條代表 玉城知事の話を聞き、ガザでのジェノサイド(民族大量虐殺)やパレスチナにおける植民地主義は、遠い国だけではなく、日本にもあると感じた。辺野古に関しても、県民投票で有権者が意思を持って出した結果を完全に無視されている状況は許せない。国会議員が700人以上いるのに、沖縄の選挙区から出ている議員が(衆参選挙区で計6人と)少ないから起きているのではないか。
 中島氏 沖縄の出来事を人ごとと思わないことが重要。この会合が東京で開かれている意味をかみしめたい。日本全体が今、直面している問題として地方自治法改正案がある。
 保坂氏 昨年12月に地方制度調査会が新型コロナウイルスのような感染症など非常時に、国が地方に補充的指示を出せるという答申を出したら、政府は地方自治法改正案を今国会に出した。コロナ対応に当たった実感からすると、国がいつも正しいとは限らない。むしろ、地方が先行した取り組みを確認してから国の方針にしていた。ともに知恵を出したのに何が悪かったのか。調査会が答申を出した1週間後に、沖縄で代執行があったのは地続きではないか。「国が殿様、自治体は家来」という姿に急激に戻そうとしている。
 中島氏 国と地方は相互補完的な関係で、対話が重要だというのがコロナ禍の実態だった。だが、地方自治法改正案は国からのトップダウンの形に収めようとしている。補充的指示を出す「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」も恣意(しい)的な解釈が成り立つ。


◆岸本氏「区役所は上意下達が染みこんでいる」
 岸本氏 2000年施行の地方分権一括法で国と地方は対等な関係になったはずだが、その後の24年間で、その関係が進んできたのか。私は2年前に区長として地方自治の現場に入ったが、区役所は上意下達が染みこんでいると感じた。都市計画や大規模なインフラ事業は住民と熟議をして、民主的に決めることが必要だが、決定できる情報も時間も決定権も与えられないことが、東京23区では日常的だ。地方自治法改正案が今、出てきた意味も考えないといけない。玉城知事をリーダーに戦ってきた沖縄県民への制裁かもしれないし、住民自治を実現するLIN-Netのような小さな政治的な力の息の根を止める行動なのかもしれない。
 能條氏 この改正案については、与党は21年の衆院選や22年参院選で必要だと言っていないのに、成立させようとしている。コロナでも「アベノマスク」とか一斉休校とか、どちらかというと対応がまずかったのは政府だった。共同親権の問題にしても、自治体の方が当事者の痛みが見えて対策が取れるのに、痛みに一番鈍感な国が体制を決めるのは危険に思う。
 玉城氏 コロナも災害も個別法で対応できる。沖縄での代執行の後、地方自治法改正案が提案された流れを見ると、沖縄のような抵抗が全国に広がってはいけないと政府が思っていると疑わざるを得ない。


◆中島氏「対話で合意形成という基本、どこへ」
 中島氏 対話を繰り返して合意形成をする民主主義の基本が今は損なわれている。自分と異なる意見に耳を傾けて、言い分があると思えば合意形成をするのが本来の保守政治。沖縄との対話の姿勢を完全に失っているのが今の自公政権だとすれば、「保守」とは何かを問わなければならない。
 保坂氏 コロナの時も、自治体の多くは国の指示待ちだった。今回の改正案で懸念されるのは、自治体の指示待ちの制度化。来年は戦後80年だが、国が間違ったときは抗議をするという気風が戦後の日本に完全には根付かなかった。戦後80年の節目は民主主義を再構築する残された貴重なチャンスだ。
 岸本氏 「対話」には時間がかかるとか、誰も決められないというイメージを持たれるが、対話の目的は住民による地方自治を実現すること。「くじ引き民主主義」という言葉のように、民主主義をアップデートするにはさまざまな手法がある。デジタルトランスフォーメーション(DX)も住民と行政の信頼を再構築する情報基盤だ。
 能條氏 自治体は生活に近い分、政治に無力感を感じている人にとって成功体験を得るきっかけの場となる。「フィフティーズ プロジェクト」は地方議会で立候補する20代、30代の女性を増やす活動をしている。そのような女性が議会にいないと、その世代が抱えている課題は議論の俎上(そじょう)に載らないことが多い。議会制民主主義である以上、多様性を担保することが大事だ。

 

『虎に翼』 昭和12年12月に被告人16名全員に無罪の判決

第5週「朝雨は女の腕まくり?」を振り返って
 
明治大学法学部教授、大学史資料センター所長/図書館長
村上 一博
 


 第5週は、「共亜事件」の一週間でしたね。モデルは「帝人事件」です。「帝人事件」は、昭和9年3月に捜査が始まり、有罪の予審終結決定がなされたのが同年12月、昭和10年6月から2年以上にわたって全部で265回の公判が重ねられ、昭和12年12月に被告人16名全員に無罪の判決が言い渡されています(検察は控訴せず、第一審だけで無罪が確定)。政財官界を巻き込んだ、昭和戦前期における背任・贈収賄事件としては最大の事件(大疑獄事件)で、この事件によって斎藤実内閣が総辞職しています。事件の詳細はここでは省略しますが、台湾銀行(三淵嘉子さんのお父さんの勤め先でした)がこの事件に絡んでいたことから、帝都銀行勤務の寅子の父親の直言が事件に関与していたと考えても不自然ではありませんし、寅子が明律大学法学部に在学中で、高等試験司法科に挑戦しようとする時期とも重なっていることから、ドラマに採用することになりました。ドラマ企画会議(私がそう呼んでいるだけです)で、脚本担当の吉田恵里香さんはじめ、演出担当の皆さん(チーフの梛川善郎さん、安藤大佑さん、橋本万葉さん)たちが、実に周到に関連資料を集めて勉強されていたことを覚えています。
 
 さて、ドラマでは、父親を無罪にするため、寅子に何ができるかを考えねばなりません。贈収賄罪が成立するかどうかの法律問題は弁護士の仕事ですから、寅子にできることは、予審調書に書かれている犯罪事実を逐一検証することぐらいしかないだろうということで、級友たちにも手伝ってもらって、あちこち事実関係を検証していくのですが、その過程で、はるの日記が重要な資料となることに寅子が気付き、直言の行動について日記と調書とが齟齬する14箇所を探し出すというようにドラマは展開していきましたね。
 一方、直言は、逮捕ののち勾留され、取調べの結果、検事によって起訴されて予審に回されました。予審は、通常は、予審判事によって行われ、そこで事実関係が確定され、公判に付するかどうかが決定されます(予審中は弁護士との接見は許されませんでした)。ドラマでは、予審中にも日和田検事による厳しい取調べが行われ自白に追い込まれたという設定ですが、これは「帝人事件」でも実際に行われた事実です。また、予審中の拘置所内で、直言は上役の高井から説得されて罪状を認めたことになっていますが、通常は、予審中に被疑者同士を接見させることは、供述の口裏を合わせる恐れがあるので認められないのですが、ドラマでは高井に説得させるために検事が仕組んだという設定です。
 
 さて、第1回公判の場面は、被告人16名(弁護士も同数)、傍聴席は満員(約50名)という100名近い大人数での撮影でした。すべての俳優さんに、当時の衣装(眼鏡・時計なども含め)が準備されますから、撮影現場は大変でした。安藤大佑さん(演出)から緻密な法廷の配置図や撮影進行表をみせてもらいましたが、この撮影は、私には驚きの連続でした。
 直言が長期間にわたって革手錠を付けられ、拘置所でのたうち回っている様子が映っていましたが、実際に「帝人事件」でも革手錠が「人権蹂躙」として問題になりました。革手錠を「典獄、刑務所長」の許可なく使用することは、監獄法施行規則第49条に違反すると追及されたのです。ドラマでは、これに気付いた寅子の大手柄にしてあります。
 なお、余計なことですが、ドラマでは法廷内に、弁護側が要請して速記者を一人配置しました。おそらくどなたも気付かなかったと思いますが・・・裁判官に向かって左側の席です。民事事件では原告側が座る席です。刑事事件では空席になってしまい、誰もいないと寂しいですからね。
 
 いよいよ、武井裁判長(アニメ・ワンピースのサンジ役の声優さんなんですね)による判決言い渡しです。「被告人は全員無罪」。「検察側が提示する証拠は、自白を含めどれも信憑性に乏しく・・・あたかも水中に月影を掬いあげようとするかのごとし」。証拠不十分だから無罪とするのでなく、犯罪の事実そのものが存在しない、検察による捏造だと判決したのです。判決文は裁判長ではなく桂場が書いた、政治的圧力をはねのけ司法の独立を守った、稀に見る名判決・・・ではあるのですが、「帝人事件」と同様、「共亜事件」でも、検察による人権蹂躙について判決が糾弾することはありませんでした。当時の司法の限界というところです。
 最後に、寅子の級友たちが判決結果を固唾をのんで待っているシーン。傍聴人以外は裁判所の中に入ってはいけませんから本当は裁判所の門の外にいなければなりません。現在よく見られるような「勝訴」と書いた紙を捧げて記者が階段を駆け降りてくるシーンも考えたのですが・・・止めておきました。

 

「人生に映画を」経営難で閉館も…ミニシアターのこれからは  2024年5月1日

「人生に映画を」経営難で閉館も…ミニシアターのこれからは
2024年5月1日  NHK

 

皆さんは最近、いつ映画館に行きましたか。仕事帰りに1人で足を運んだり、家族や友人と見たかった作品を見に行ったり。多様な楽しみ方ができるのが、映画館の魅力です。

映画館の中でも、小規模ながら独自の視点で選んだ作品などを上映するのが、ミニシアターです。ただ、経営難などを理由にやむなく閉館するところが少なくないのも現状です。

どうしたら観客に作品を届け続けることができるのか。そのヒントを探ります。

仙台放送局記者 北見晃太郎/経済部記者 野中夕加)

 

閉館したミニシアター
ことし3月末、仙台駅東口で営業を続けてきた映画館が20年の歴史に幕を閉じました。

映画館の名前は「チネ・ラヴィータ」。
イタリア語で「人生に映画を」を意味しています。

2004年、当時閉館した映画館を引き継ぐ形でオープンしたこの映画館。

当初は大手の映画会社が配給するヒット作品を中心に上映していました。

ただ8年前、近くに大型の映画館がオープンし、競争が激しくなります。

運営会社は差別化を図るため、大手が扱わない作品を独自に選んで上映する「ミニシアター」に営業形態を変えました。
幅広い世代に親しまれてきましたが、厳しい経営が続き、ことし3月末での閉館が決定。

運営会社は、市内にもう1つのミニシアターを運営していて、そこでの営業は続けていくとしています。


マネージャー 鵜飼優子さん
「長年支えてくれた人たちにただ感謝の気持ちを伝えたい。個人的にも、長年勤め上げ愛情を注いできた映画館なので無念な気持ちはあるが、もう1つの映画館でスタッフと一緒に頑張っていきたい」


全国的にも厳しい経営
映画文化を発信する場所として愛されるミニシアターですが、その経営となるとハードルが高いのが現状です。

全国のミニシアターなどでつくる団体、「コミュニティシネマセンター」などが去年、全国78のミニシアターに、経営に関するアンケートを行いました。

その結果、全体のおよそ7割が現在の経営状況について「とても悪い」、「悪い」、「やや悪い」と回答。

さらに、「1年以内に閉館を検討する可能性がある」と回答したところは、全体の1割余りにのぼりました。
経営を圧迫する要因として多く挙げられたのが、機材の更新に伴う負担や物価の高騰、施設の老朽化などでした。

専門家は、複数のスクリーンがある、規模の大きな映画館「シネコンシネマコンプレックス」とは異なるミニシアターならではの収益構造も、経営の厳しさの背景にあると指摘します。


せんだいメディアテーク 小川直人 学芸員
シネコンではヒット作品を複数のスクリーンで1日に何本も上映することで安定した収益を得られるほか、3Dなど映像・音響技術を駆使した付加価値を提供することができる。一方、ミニシアターはスクリーンの数が少なく、チケット代だけで収益を得ているところがほとんどだ。その上に新型コロナや設備投資などの問題を抱え、経営的に厳しいところが多くなっている」


新たなビジネスモデル模索の動き
こうした中、経営を維持していくため、新たなビジネスモデルを確立しようという動きもあります。

 

東京・墨田区の「Stranger」は座席数49席のミニシアターです。
2022年のオープン以来、独自の企画として、海外の権利元と直接取引して日本初公開の作品を上映するなど、映画ファンの支持を集めてきました。

しかしことし2月、大きな転換点を迎えました。

厳しい経営が続いてきたうえ、先行きも見通せないとして、運営が別の会社に委ねられることになったのです。

新たな運営会社が目指すのは、地域に密着したミニシアター。

いわゆる映画ファンだけでなく、地域の人にいかに足を運んでもらうかが重要だと考えています。

まず取り組んだのが、作品のラインナップの強化です。

独自色の強い作品だけでなく、より幅広い層が見やすい作品も選ぶようになりました。

ことし3月には、79年前の東京大空襲をテーマにしたドキュメンタリーを上映しました。

映画館のある墨田区は、この空襲で大きな被害を受けた地域です。

ふだん足を運ぶことのない地域の人たちに来てもらうきっかけとなり、大きな手応えを感じたといいます。


Stranger 小金澤剛康 会長
「作品の本数や上映回数を増やし、編成ルールも変えた。例えば翌週の作品は、前の週の観客数を見てから決めている。お客さんがたくさん来てくれるのであれば延長すべきで、柔軟に対応している」


チケット代以外でどう稼ぐ
映画のチケット代以外の収益を伸ばす取り組みにも力を入れています。

映画館にはもともとカフェが併設されていましたが、提供するビールの種類や食事の品数を増やしました。

さらに、カフェのスペースを使って人を呼び込もうと次々と企画を打ち出しています。
短編の映画を上映し、その監督や出演者と交流できるイベントを開いたり、アート作品の展示販売を始めたりしました。

また、地元で活動するDJが、上映している映画にちなんだ音楽を流すイベントも定期的に行っています。


Stranger 小金澤剛康 会長
「ミニシアターというとコアな映画ファンだけが来るところだと思われがちだがそれでは、その少ない人たちをミニシアターどうしが奪い合うだけで、事業として広がっていかない。ミニシアターの魅力はスタッフとお客さんとの距離の近さであり、気軽に入れる文化発信拠点として、地域社会に貢献できる施設にしていきたい。コアな映画ファンと初めて足を運んだ人たちが共存できる空間を作りたいという思いが強い」
ミニシアターをめぐっては、さまざまな動きも出ています。

 

名古屋市にあるミニシアター「ナゴヤキネマ・ノイ」は、1度閉館した映画館を元スタッフらがクラウドファンディングで募った資金で改装。

ことし3月に新たにオープンしました。

3年前に東京・青梅市にオープンしたミニシアター「シネマネコ」は、映画を上映する劇場を地域の団体などに貸し出す取り組みを行っています。
また地元の子どもたちにも映画に親しんでもらおうと、小学校の課外授業の一環として、映画鑑賞会も開催しています。

まちの映画館として、地域に根ざした運営をしていくことに力を入れているということです。


ミニシアターのこれからは
いわゆる「シネコン」とは大きく異なる「ミニシアター」。

専門家は、その意義について次のように話しています。


せんだいメディアテーク 小川直人 学芸員
現代社会において、市場原理に基づいた、あるいはマーケティングとか、アルゴリズムに基づいて作られるものがビジネス的に成功するというのもある。ただ映画を例にとるのであれば、ミニシアターのように非常に個性的で小さな映画の場所があることで、多様性や創造性、あるいは次なる成功のための準備、もしくは偉大なる失敗というのも含めて体験できる、そうした文化の土壌ができるのではないか」


動画配信サービスの普及でいつでも手軽に映画を見ることができるいまの時代ですが、ミニシアターにはただ映画を見るという体験以上の価値があるのだと、取材を通して改めて感じました。

観客どうしやスタッフとの距離が近いアットホームな雰囲気はその1つです。

ミニシアターならではの独自の魅力をどう打ちだし、観客の来館につなげていくのか。

その動向にこれからも注目したいと思います。

(3月29日「てれまさ」で放送)

 

ハマス代表団がエジプト入り 休戦交渉、最終局面か

ハマス代表団がエジプト入り 休戦交渉、最終局面か

2024/5/5

 

 【カイロ時事】イスラム組織ハマスの代表団が4日、エジプトの首都カイロに到着し、協議を開始した。ロイター通信が伝えた。パレスチナ自治区ガザで続くイスラエルハマスの戦闘休止や人質解放を巡り、イスラエルと仲介国エジプトが提示した案に対し、ハマスが回答するとみられる。

ハマス最高指導者「前向きに検討」 イスラエル案に否定的反応も―ガザ交渉

 ハマスは3日の声明で、合意に向けた協議に「前向き」に取り組むと表明した。米中央情報局(CIA)のバーンズ長官も3日にカイロ入り。「肯定的な動き」があれば、イスラエルも代表団をカイロに送ると報じられており、米国やエジプトなどが仲介する間接交渉が最終局面を迎えつつあるもようだ。

 イスラエルのメディアは4日、ハマス関係者の話として、ガザで拘束する人質のうち、ハマスが女性や子供、高齢者らを対象とする第1段階の人質解放については受け入れたと報じた。

 休戦案では、第1段階で約40日間戦闘を休止し、ハマスは人質33人を解放。イスラエルは収監するパレスチナ囚人を釈放することになっている。残りの人質を解放する第2段階へ移行し、最終段階でハマスは人質の遺体を引き渡す。