SOUL CATCHER(S) 神海英雄 op.57 飛べ 神海英雄

ジャンプNEXTへの移籍回なので、今までのまとめもしながら描かれるリフレイン的な内容になっていますよね。
心の状態をバラされた人はキレる、ド素人からの指揮者志望、人の心は変わり得る、逃げない勇気は必ず自分の助けになる等々。今回の話は、今までのまとめを描いているページに出てくるこれらのキーワードによって出来ているとも言えます。

これらを逆手にとって、あるいはこの信念によって神峰が咲良、実理の攻略をするのが、良いところで。咲良、実理の心の状態について、相変わらず神峰語で

実理さんは
恐怖から逃げるように自分で塔を
高く高く
作り続けてる!!

と言うのですが、ここが心の状態をバラされた人はキレる所。

普通じゃないスかね?
オレ初心者なんで
フツーとかよくわかんねェスわ

がド素人の指揮者志望。相変わらず汗めっちゃ流しながら言うところがカッコいいんですけど。
そして、逃げない勇気は『自分の』助けになるように、咲良、実理それぞれの意識の変化を促します。今回の曲目はW杯の応援ソングですが、あくまで応援なんですよね。この演奏は、咲良と実理に何かをしてあげるのではなく、彼らの変化へのきっかけです。そして、恐怖への行動はあくまで彼、彼女からのアクションによってなされる。
咲良の今出来る演奏としての歌、実理の恐怖から積み上げてきた塔の破壊者たる咲良への応援によって。この辺ほんと上手いし、良いですよね。
同じテーマを繰り返しつつどんどん重いテーマを扱っているなとも思うのですが、このまま突き進んでいってほしいと思います。


や、ほんと神海先生の自叙伝のように思えてきますね。「皆さんの応援がある限りずっと続きます!」と言ってくれる神海先生の心意気に答えて、これからも応援していく所存です。

SOUL CATCHER(S) 神海英雄 op.56 Still We Go

SOUL CATCHER(S) 1 (ジャンプコミックス)

SOUL CATCHER(S) 1 (ジャンプコミックス)

週刊少年ジャンプでの最終話ってことでやっぱショックですけど。

OK
じゃあ
未来の話を
始めようか

ある種のメタ的な意図だと思います。
神海っちゃんの前作Light Wingで打ちきりだったこともあり、SOUL CATCHER(S)はいつ打ち切りになっても切れるようにターニングポイントを多数置いていたように思います。天籟ウィンドフェスも木戸先輩、弦野攻略も、いったん区切りを入れて次への形を描くようになっています、エピソードとしての盛り上げを持ってて来つつ、各エピソードごとにそこから先、次への広がりを描いている。具体的には、ウインドフェスで全国の壁を描き、木戸先輩攻略で残りメンバー攻略の困難さを描き、弦野攻略後に全国、後輩を描くということです。
ある意味では風呂敷を全部広げてしまってあとで全部回収するということも可能だとは思うのですが、それをやってしまうと打ち切りで話数が足りなくなった場合回収しきることが出来ません。だからこそ、その都度収束させることが可能な範囲というのに常に注意しつつ作品を作っているのではないかと思うのです。


こういった前提を踏まえて上で今回を見てみると、収束させるという方向からは完全に逆となっていて。ソニ学、天籟、埼玉誉、下無、竹風といった全国各区のライバル高校、神峰の金管攻略、そして、伊調と黒条の不穏で新たな接触を描いています。収束という意味であれば、金管攻略に焦点を絞るのが最も近い目標です。神峰に課せられたハードルは、全パートリーダーに認められること(残金管パートリーダー)→県大会→西関東大会→全国大会金賞となっているためです。
にもかかわらず、金管攻略でまとめず、ジャンプNextへの移籍の回であえて今後の様々なハードルを匂わせるというのに、Soul Catcher(S)という作品の未来を見せられたのです。まだソルキャはこんなところで終わる作品ではないという。
Light Wingのような凄まじい瞬間最大風速もあれはあれでよかったのですが、やっぱりまだ先、彼らの未来が見たいのです。週刊から隔月刊に変わるということで、より一層練られた「最高に面白い漫画」になることを楽しみにしています。
これからも応援していきますよー。

ノーゲーム・ノーライフ6 ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです

面白かったです。これである意味番外編だからたまんないですね。


僕が作品を見る基準として、その作品の考え方、コンセプトがどれくらいその作品を貫いているかというのがあります。
そういう意味で、この巻は作品を統括しうる巻でもあって。
今は負けても次で、そこで届かなければさらにその次で勝つ、一つでも踏み外したら終わりの駆け引きを当然のような顔をして渡り切る、弱さを持って強さに勝つ、一人では届かないことを二人でなら、などなど。


キャラクターの描き方としても総括的ですよね。エルフのシンク・ニルヴァレンの口調であったり、「成長しない」フリューゲル、その中にあって例外的なジブリールであったり。「ジブリールのこと、嫌いにならないであげてください」とあとがきで書いてますけど、そもそも趣味のためにシュヴィを襲ったことを除けば*1、たった一体の機凱種であるシュヴィに天撃を使うほどに彼女のことを認めたという「未知」への片りんを見せていたりします。最弱に対する最強を描いたことも含めて。

「なぁ、シュヴィ‐もし俺とおまえ、二人で一人だったら、さ……」

番外編のように構成しつつ、空と白をイメージした偽史であるというのも、上手いです。この世界に生まれ変わりはないということで直接的な因果関係は切りつつ、偽史として語ることにより、この作品の主人公である空と白に隣接させつつ描いています。アニメの最初でこの世界に生まれ変わらせてくれてありがとうというような描写がありましたが、そんなイメージもあるのかなと思いつつ。


三巻で成長しない、完成しているという描写がありましたが、だからこそ二人、そしてそれ以上の「ひと」達の力を合わせて、「みんななかよく」世界統一、そして、テトとのゲームに取り組む。
予告の「ふたりでもまだ足りなかった」「”俺ら”で証明してやる」という言葉で、この作品のさらなる広がりを感じて、それが描かれるのを楽しみに待ちたいと思います。

*1:やっぱだめかも…

SOUL CATCHER(S) 神海英雄

SOUL CATCHER(S) 1 (ジャンプコミックス)

SOUL CATCHER(S) 1 (ジャンプコミックス)

小学校5年生の終わり、
サックスに初めて触り
音楽の先生に「お前才能ある」と
褒められてから
音楽にハマりました。
僕の原点です

帯のコメントですが、まさしく神海っちゃんだなと思います。誰かに見つけてもらう、肯定してもらうことがあって、それでそのことにのめりこむ。才能って言葉に関しても否定的ではなく、一人一人にあるもので、別に世界一とかそういう強い意味を持つほどのものでもない。その人を肯定する、ただその程度のものくらいの意味であって。


傑作なのは言うまでもないのでおいといて。
神峰の汗かきっぷりが半端ねえっすね。最初はコミュニケートするってこと自体に相当のハードルがありますが、各パートリーダーの攻略、音楽知識向上を経て最新話みたいに指揮で表現するというところまで来てると思うと移り変わりがはっきり分かりますよね。最初は自分が言うことが正しいのかってだいぶためらいがちですし。打桶先輩のとことかピークですけど、その分勇気を振り絞ってる感が強くてかっけえです。


後は見返してみると、構成だいぶ考えられて描かれてますね。
第一話のパーリー四人がまだ未攻略、二話青年の主張で反応した人が今ようやく終わりそう*1、ラストのパートリーダー全員集合など、この部活の全体を何度か見せつつパートリーダー攻略を進めてます。神峰がこの部を導く「指揮者」であるというのが今週の話でも描かれたメインテーマですが、ライトウイングが一人目*2の及川の覚醒が二巻半ばということと比較するとびっくりするくらいスピーディです。*3。加えて一巻でこれだけの密度ってのもなかなか。モブにも割と気を使っているし。


ほんと一話でも長く見たいので、長く続いてほしいですねえ。


ところで、キャラクター紹介地味に良かったです。打桶先輩細かいこと考えるの苦手すぎwwwwwとか刻阪のお姉さん読み切りと同じくヴァイオリニストなんだとか、谺先生パンケーキ好きなのねとか色々。
いやちょっとほんと人気出てこういう余裕のある話読みたいですよ。

*1:打ち切りにも備えて、場合によってはここで終わることも考えてたんだろうなあ…

*2:二人目?

*3:まあその後覚醒が一ページで…ってのはありますが

SOUL CATCHER(S) op.13 捨てる神あれば拾う神あり

今週の名言

信じられないんだ
あの天井より上が存在すること…

神峰くんの他人の心が見える能力(要約)って、その人の思っていることが聞き取れるとか文章として見えるというわけではないので、解釈の余地があるというのがある種の謎解きや意外性の表現になると思っているのですが。同じものを描いた上で「向上心がまるでない」から箱の中しか想像できないをつなげるというのが良いですね。
ちょうど逆転裁判5をやってたのですが、あっちも事実ではないものを視覚として見せるということをやっていて印象深かったです。逆転裁判5だと事件の再現を絵として見せるのですが、あくまでその時点での情報、証言によってあらわされる事実らしきものがゲームの画面となります。だから事実と違ったものが映像として映される。視覚の与える影響は非常に強いので、見せ方に一工夫入れる効果は大きいです。最初のビジョンでこういうものだと思わせておいて、それを裏切ることによりアクセントをつけられる訳で。視覚による印象付けと、それを裏切る描き方には今後も期待です。


ラストはもし人気があったらパートリーダー攻略という学園の中を延々やってたのかなあと思わなくもないですが、最初から全体を見据えつつやることによって、ライトウイングのように描こうとしている到達点までは駆け足でも行ってほしいですねえ。最近珍しくアンケ出してますけど、アンケだ!!アンケを出してくれ!!という感じ。

SOUL CATCHER(S) op.12

今週の名言

何だ… この人…の…心
向上心が まるで ない

いや、ちょっと胸が痛いですねー…。


忍ちゃん?描写的に女の子っぽいのですが、鉄みたいに硬かったってどういう演出なんですかね。神峰くん的には男の子だと思ってるってことは間違いないと思うのですが。邑楽先輩との会話的に同性かなあと思うのですけれど。歌林先輩の心を恋心と気づかなかったように、神峰くんの心が見えるというのはあくまで通常とは異なった角度から見えるという描き方なので、女の子だとしてもこう描くのはありかなとは思っているのですが、その場合はずいぶん力強い演出wとは。
今週も名シーン多いなと思うんですが、音羽先輩上達したら遊んでやるって、一週間たたない内から見守っていてまじいい人ですね。「なら いい」のシーンとか素敵すぎ。ちょっと気にしてそうな歌林先輩も良さげです。


んで、ちょっと気になったところとして、邑楽先輩が忍がダメなヤツだしって言ったところでいらっとしてるとこですね。その辺含めて、鳴苑のパートリーダー達の曲者っぷりをただ単に嫌な人ではなく上手く描いてほしいと思います。今のパートって、将来的に仲間になる人たちを説得していくパートなので、打ち倒すべき相手とかではないので。神海っちゃんなら大丈夫かと思いますが、丁寧にやってほしいと思いつつ。