自問自答ファッションのもぐら活動:シャツをめぐる冒険②

はたして、シャツはあった。そりゃあるよ、店でしょう?って思うでしょう?ないんですよ。ないらしいの。ファッションとかコスメ。欲しい〜と思って発売日から幾日かたって店に行くと「あれはもう…」って言われるの。まじか。知らなかった〜〜〜!でも、まあ、ありました。2週間前に見たものとは、色違いの白。着てみませんか?という店員さんの言葉に、ふらふらと試着室へ。

 

か、KA・WA・Eeee……。

思わず文字も大きく。実際に着てみると、シャツは自分が思っている以上に似合っていた(たぶん)。なんかシュッとしてる〜〜〜〜!

 

そうなんですよ〜黒より白の方がシャープなイメージになるんです、という店員さんが言う。並んだボタンだけが「黒」というのがいいのかもしれない。ディティールが凝っていてニンマリする。私は「ディティールにこだわったもの」が好きなのだ。(ということに気がついて、心のメモ帳にメモした)。

 

ボタンを外して着てもはまりそう。だとしたら夏も使えるな。

 

いや…使えるか?白だよ?私の汗に耐えられそうかね???汗以前に、私の食べこぼしには?アトピーによる流血は?

白い服をもっと着たい、という気持ちは、ある。あるにはあるが、それを、この値段で、このシャツで「試す」の???

 

とても即決できるような値段ではないので、考えます、とお店を後にして、次の目的地へ。

しかし、頭の中はあの白いシャツのことばかり。ぼんやり考えていた、とかかいていたけど、ぜんぜんぼんやりじゃなかったね!と言うか、買う算段としてのお金の計算してましたね。つまり欲しいんですね。

 

用事を済ませてからも、ぐるぐるとお金のこととシャツのことを考え続ける。しかし白は…着なくなるかも。待てよ、黒はもう、本当にないんだろうか?もしかしたら、最初に見たお店で残ってるってことはない???幸い、目的地から自宅に向かう電車は、最初にシャツを見たお店の最寄駅にも停車する。

 

こうして、私は、黒のシャツを買ったのでした(急展開)。

 

結果から言えば、黒いシャツを求めたことは、大きな間違いだったと思っています。

これは私がしょっちゅうやる買い物のミスで、もはや癖みたいなもの。

欲しいと思った対象のマイナス部分を考えるうちに、それをクリアした全く別のものを買ってしまう、と言うやつです。

対象にフォーカスして欲しいか否か、の逡巡が足りていないため、冷静になった瞬間、「あれ、なんでこれ買ったんだった?」ってなるやつ。「欲しい」という心の動きが発端だったはずなのに、途中から「買い求める」に目的がシフトしちゃってるんです。

 

試着でかっこいい、と思ったのは白いシャツでした。実際に買うかどうかは別にして、その白いシャツにフォーカスして、自問自答をしなければならなかった。なのに、白は着なくなるかも→黒だったら着るのでは?ってなって、挙句、試着もできない状態で、買ってしまった…。(在庫はなくて、注文までした)。

 

だめじゃん!!!

(思わず文字サイズ200%)

 

シャツ自体はどちらの色も、とても可愛いのです。でも、白だったんです。

 

さて次回。買い物にサクッと失敗して見えてきた、外せないワードとコンセプトについて。自問自答のもぐらが、固い地層に爪を立てます。

 

あきやあさみさんの「自問自答ファッション」についてはこちら〜

2冊目も出てるよ〜

 

自問自答ファッションのもぐら活動:シャツをめぐる冒険①

このお話は、私が、あるシャツについて想いを巡らせた話です。コンセプトはどうなった?靴の試着は?というお話は一旦置いておいて、書き留めておきます。何回か続きます(たぶん)

帰路に着いたはずだった。自宅へと向かう乗り換えの駅に停車した電車の扉が閉まる。このままこの電車に乗っていれば、”あのシャツ”を取り扱うお店に行けるな、と気がついたのは、電車の中でだった。私はぼんやりと、午前中に試着した白色の”あのシャツ”に着いて考えていた。

初めてブランドの名前を知って、検索。「新作」として紹介されていたシャツに目を奪われた3月。「ついでがあるし」と足を伸ばし、発売直後の店舗で、”あのシャツ”の黒色を羽織らせてもらった。試着ではない。試着をする勇気は出なかった。さっと羽織って、ふむふむ、かわいいですね、でも、私じゃあ着こなせない気がします、そんなことないですよ、とっても似合っています、いやいや、こんな素敵な服、私が着るのはもったいないです。

それから2週間。あの服は、もうないだろう。その時点で、入荷はこの一点のみです、と言われたし、この週末で売れてしまうと思います、というのが店員さんの見立てだった。

その日私は、ちょっと落ち込んでいた。新宿の伊勢丹で靴を見よう、という日だった。


受けたのは、事前に連絡をして、足のサイズを測ってもらって、靴をお薦めしてもらうサービス。店員さんはとても親切で、知識も豊富で、話を聞くのはとても楽しかった。ところが、私の伝え方が悪かったのか、いつの間にか「冠婚葬祭用の靴」をメインで進められる状況となっており、これがもう、本当に楽しくなかったのだ。

私としては、好きなタイプの靴は事前に伝えてあったし、計測をしてもらった上で、合いそうなブランドやおすすめを見せて欲しい、と言う気持ちだったのだけど、最初に「パンプスはいかがですか」と勧められ、パンプスだったら、冠婚葬祭用に使えるものですかね、と言ったせいだ。私の伝え方が100%悪い。

私の足は、肉が着いているので、細身で肉感を拾う靴は靴の形が変わってしまう。踏み込むたびにべたっと広がり、靴のラインを変える。足首もない。だから、つま先や靴全体にボリュームがなければ、到底好きなシルエットにはならない。でも、その日持ってこられるものはほとんど、て言うか全て、そのコンプレックスをグイグイと抉ってくるものだった。当たり前だ。「冠婚葬祭にも履けるもの」と言う目的が重視されているのだから。

そんなわけで、終わるころにはいろんな靴を履いてみたい、自分が好きで、似合うと思える靴を見つけたい、と言う気持ちはすっかり萎えてしまい、私はもう、自分の足を見るのも嫌、と言う思いだった。「履けはするけど、全く好きじゃない」ばかりを試したせいか、このデパートの中にある靴が、どれも自分には似合わないもの、のような気もしていた。そんなわけ、ないのにね。

だから、”あのシャツ”を扱うブランドの名前を目にした時、なんだか吸い込まれるように入ってしまったのだった。

あの、美しいシャツはあるかしら?