昨年から連日ニュースで報道され、今では安倍内閣の弁慶の泣き所の一つともされる「桜を見る会」。4日の衆院予算委員会でも会を巡る議論が度々紛糾しました。
この「桜を見る会」、何が問題なのかまとめてみます。
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1、そもそも桜を見る会とは
2、きっかけは共産党からの追求
3、何が問題なのか
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1、そもそも桜を見る会とは
―いつから開催?誰が参加している?
桜を見る会の前身は皇室主催の「観桜会」です。この観桜会は1881年(明治14年)に吹上御所で「観桜御宴」が行われたのが最初で、1883年(明治16年)から1916年(大正5年)までは浜離宮、1917年(大正6年)から1938年(昭和13年)までは新宿御苑に会場を移し、いずれも国際親善を目的として皇室主催で行われていました。
政府主催の「桜を見る会」は1952年に吉田茂首相(当時)が開いたのが最初です。東日本大震災などで中止になった年を除き、毎年4月ごろに東京都内の新宿御苑で開催されてきました。旧民主党政権も2010年に鳩山由紀夫首相(同)の下で開催しています。皇族や外国の大使、国会議員のほか、文化・芸能、スポーツなど各界の功労者が招かれています。
2、きっかけは共産党からの追求
問題が表面化したのは、2019年11月8日に開催された参議院予算委員会でした。この会議共産党の田村智子議員が『首相が後援会関係者を多数招待しているのでは?』と質問したのをきっかけに一気に問題が表面化しました。
https://www.youtube.com/watch?v=usOGh7Ws2Ws
3、何が問題なのか
「桜を見る会」の問題は大きく分けて3つあります。
ー問題点①3倍以上に膨らみ続ける予算
安倍晋三首相は1月24日午前の参院本会議の代表質問で、「桜を見る会」の支出が毎年、予算を大幅に上回る形で続いていたことについて、「望ましいものではなかった」と陳謝しました。日本維新の会の片山虎之助共同代表が「国会軽視だ。反省はあるのか」とただしたのに対する回答です。
国会の審議を経て成立した予算では2019年までの過去6年、同額の1767万円を計上しています。しかし実際に支出された額は14年の3005万円から増え続け、19年は5519万円になり、予算の3倍超となっていました。
ちなみに招待客と支出の推移は・・
2010年:約10,000人(鳩山政権、支出:??)
2014年:約14,000人(予算1766万、支出:約3000万)
2015年:約15,000人(予算1766万、支出:約3800万)
2017年:約16,500人(予算1766万、支出:約4700万)
2019年:約18,000人(予算1766万、支出:約5518万)
参加人数は、鳩山政権(2010年:約1万人)時代と比べると約2倍近くに。予算が1766万円なのに対し、2019年は5518万円ですから、約3倍近くの費用が使われていることになりますね。
招待客に振舞われる、食べ物、飲料、お酒、参加費等は基本無料。ちなみに会場までの移動や宿泊にかかる費用は招待客の自己負担となっています。食事や飲料の種類は、焼き鳥、赤飯、茶菓子、茶そば、樽酒(アルコール)等があります。お土産も付いているそうです。
出典:『桜を見る会』食べ物・飲み物・お土産は?まとめてみた | 白い旅人ブログ
安倍首相は「準備、設営、最低限必要となる経費を前提」に予算額が計上されたと説明しています。「予算積算上の見積額を上回ってはいるが、国会で決議された内閣府の共通経費の範囲内で執行された」と語っています。
ー問題点②招待客の選定基準の曖昧さ
https://www.jiji.com/jc/d4?p=skr215&d=d4_ss
日本の内閣総理大臣が主催する公的行事で、とりまとめているのは主に内閣府。
選ばれた招待客には招待状が送られてきます。
2010年の約10000人から現在は約18000人と約2倍に。招待客が年々増え続けている理由の一つが「選定基準の曖昧さ」です。
「桜を見る会」の目的は、各界「文化、芸上、スポーツ、政界など」で功績や功労があった人を総理大臣が招待し、招待客を慰労し懇談するというのが本来の目的とされています。
しかし野党は、首相の後援会関係者が多数招待されていたことを問題視しています。桜を見る会は国民の税金で賄われており、「公私混同」だという主張です。公職選挙法が禁じる買収・供応に当たると指摘する声もありますが、政府は「公選法違反には当たらない」という見方を示しています。
安倍首相は当初、「招待者の取りまとめには関与していない」と国会で明言していましたが、その後招待者の推薦に関わっていたことを認めました。首相には昭恵夫人分も含め約1000人の推薦枠があり、安倍事務所が地元で希望者を募り、内閣官房に名簿を提出していました。野党は「うその答弁だった」と反発しています。
また、立憲民主や国民民主、共産、社民の野党追及本部は昨年11月、政府事務局側と警察庁に会に反社会的勢力が参加していた疑惑についてヒアリングを行った件に対して、菅義偉官房長官が「把握していなかったが、結果として入っていたのだろう」などと発言したことが波紋を呼んでいます。
ー問題点③記録・公文書の破棄
安倍事務所が企画したツアーには、桜を見る会前夜に東京都内のホテルで開いた夕食会も含まれていました。この夕食会は会費制でしたが、主催した首相後援会の政治資金収支報告書に記載がなく、野党は政治資金規正法違反の疑いを指摘しています。野党には、会費5,000円は割安だとして、「首相側が差額を負担したのでは」との疑念もあります。ただ、首相は「費用は全て参加者の自己負担で、報告すべき収支はない」と反論しています。
総理は前夜祭の会費は一人5,000 円と回答していましたが、ニューオータニの夕食(立食)料金は約11,000円〜16,000円程度と言われています。足りない分の差額を税金で賄っていた場合、公職選挙法違反となる可能性があるのです。
政府は招待者名簿を「廃棄した」と説明していますが、共産党議員が名簿提出を求めた日にシュレッダーで処分していたことも判明しており、野党は不信感を強めています。夕食会の明細書も出すよう要求しているが、首相側は「存在しない」と主張しています。
2020年は中止に
このような野党の批判を受けて、菅義偉官房長官が昨年11月13日、招待基準を見直すため、2020年度の中止を発表しています。もともと皇室主催の国際親善行事だった会が今や国会での与党糾弾の主材料となってしまった、というのが現状です。
<出典>
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