そろそろリビングがWebサービスとコンテンツ業界の主戦場に

iPadがネットサービスへのアクセスに革命的なインターフェースを提供し、リビングにおけるネット体験を変え、GoogleGoogle TVを発表して更にその追い討ちをかけたと思ったら、Youtube leakbackという大きな画面でYoutube動画を観ることを前提とした新しいインターフェースをリリースしました。

YoutubeLeakbackそのものは、まだまだTVでネットサービスを利用する環境の乏しい現状ではなかなか爆発的な普及は見込めないとは思うものの、明らかにGoogleTV登場後を意識したものだと思います。

こういった動きを見るにつけて、とうとう既存のコンテンツ業界は本気でそういった環境下でどのようにコンテンツを流通させていくのかを考えなくてはなってきたと思います。物理メディアに頼った既存の流通形態とコンテンツメーカーたちの姿勢が問われてくるのではないでしょうか。

イノベーションを起こすアイデア

ジレンマから解き放たれるための新たな事業創出についての上司の話がとても有益だと感じたので書いておきます。

収益の柱となる確固とした事業を持つ企業にとって、それに代わる新たな柱を見出そうとする時に、ジレンマに囚われて身動きが取れなくなってしまうことがあります。iPadの来襲で電子書籍という荒波に晒されている出版社について考えてみるとそのジレンマがどういったものなのか理解しやすいと思うので、例に挙げて説明させてもらいます。

一部の先進的な出版社を除く多くの大手出版社にとっての収益の柱は言うまでもなく、紙で流通される本であり雑誌です。ただ多くのコンテンツがそうであるようにデジタル化によるネット配信の流れは出版業界にも否応なく変化を求めています。そしてAmazon KindleiPadといったその流れを加速する優れたインターフェースを持つデバイスの登場は、出版業界自体が大きく変革されていくことから逃れ得なくなって来ています。1ユーザーとしての見地(しばしばそれは著名なジャーナリストも囚われがちですが)から考えれば、なぜ日本の出版社はその大きな変革の波に乗ろうとしないのか不可解に思うこともあるかもしれません。今後本や雑誌はデジタルファイルで読むことが主流になり、紙媒体で流通するものはやがて無くなることが決定的なのであれば、既存のやり方を変えて、成長分野に思い切って舵をきるべきではないかと。ではなぜ多くの、特に日本の出版社はそれをやらないのか、もしくはできないのか?そこにはその当事者だからこそのジレンマがあるからです。

出版社にとって、今なお紙で流通される多くの本や雑誌は収益の柱であることは疑いのない事実であり、長年かけて築いてきた強みを簡単に捨てることは勇気を伴います。できればリスクの高い新たな領域にチャレンジするよりも、今強い地位を築いている有利な土俵で勝負することに固執したいと思うのが普通でしょう。もし積極的に自ら電子書籍事業を推進してしまった場合、その自分にとって優位な地位で戦うことができる紙での事業そのものを危険に晒すことになりかねないというジレンマがそこにはあります。そんなことを考えていると結局、市場の変化を目の前にして何もできないまま時間が過ぎていき、いざその収益の柱そのものが失われうまで時間を浪費してしまうことになってしまう。

過去の歴史を紐解くと、このジレンマに囚われた当時のリーディングカンパニーが、他業種もしくは新興勢力によってとってかわられてきた事実を目にすることができます。例えば最近ではアップルがiPodiTunes store で音楽業界における流通を一気に変えてしまったのは記憶に新しいかもしれません。いつか音楽配信が当たり前になると言われていながら、CD販売への影響を恐れて手をこまねいていたレコード会社や小売店を尻目に、まったく音楽流通に関係ないプレイヤーであったアップルがその流通における覇権をかっさらってしまいました。

そういったジレンマに侵されてしまった企業が、そのジレンマに打ち勝つ方策はないのかというとそうではありません。多くの企業がそのジレンマの中で身動きができなくなってしまっている一方で、継続して事業を生み出し、新たな収益の柱を築くことができている会社のひとつにフジフィルムがあります。その会社名からわかる通り、もともとはフィルムメーカーとして成長してきたこの会社は、今ではそのコアコンピタンシーを生かして胃カメラを製造するなどその事業領域を広げています。

フジフィルムの例をひとつのヒントとして考えると、ジレンマへの対処方法が分かってくるように思います。胃カメラとフィルムはまったく異なる領域で、胃カメラを製造することがフィルムメーカーとしての事業領域を侵すことはありません。フジフィルムはある意味でジレンマが生み出される領域を避けることでその成長を継続してきています。

単純にジレンマを避けてまったく異なる領域にチャレンジするだけでは、大抵の場合、失敗が目に見えています。フジフィルムの成功は、異なる領域でありながら、その領域で通用する自社の強みを持っていたことから生まれています。つまり、フィルムメーカーとしてカメラのノウハウを持っていたことが、既存の医療メーカーの胃カメラとの競争に打ち勝つ競争力を生み出しました。

フジフィルムの成功から考えると、あえてジレンマと戦うことはあまり得策ではないように思えてきます。今収益を生み出している事業におけるコアコンピタンシーを客観的に見定めた上で、偏見に捕らわれることなく、新たな領域でイノベーションを仕掛けていくことが、企業の事業を拡大し継続して成長を続けていく上で必要なことなのかもしれません。

Google TVは放送を変えるのか?

IPadの登場でにわかに盛り上がりを見せようとしている電子書籍。私もKindleがグローバル展開した際、すぐに飛びついた希有な日本人の一人ですが、日本語の書籍がほとんど買えないという日本で普及するには致命的な状況ではあるものの、洋書や日々の新聞(英文)についてはほとんどKindle2で読むという習慣にすっかり慣れてしまっています。物理的な持ち運びやすさに加えて、どこでも電子ブックが購入できるという利便さは、ちょっとした空いた時間に本屋にいかなくても立ち読みをしているかのような体験をもたらしてくれます。たぶんその結果、日々の書籍購入の量は、今まで本屋で買っていたよりも増えたんじゃないかなあとも思います。

その一方で、印刷媒体の電子化による既存の出版業界の流通の流れが大きく変わっていこうとする中で、先日GoogleGoogle TVなるものを発表しました。

ネットとリアルをつなぐ試みのまとめ(とりあえず羅列)

ここ数年のネットサービスの流れを追っかけていると、ネットへアクセスする端末の多様化によって、よりリアルな世界とネットの情報とが密接に関係を持ち始めているように思います。

例えば、セカイカメラ
Sekai Camera Support Center » SERVICE Sekai Camera Support Center   » SERVICE Sekai Camera Support Center   » SERVICE このエントリーをはてなブックマークに追加

最近Googleが試験的にサービスを開始したジェスチャー検索。画像を認識して、それに関連する情報を表示させるようです。
グーグルが試験提供中の「ジェスチャー検索」って? - デジタル - 日経トレンディネット グーグルが試験提供中の「ジェスチャー検索」って? - デジタル - 日経トレンディネット グーグルが試験提供中の「ジェスチャー検索」って? - デジタル - 日経トレンディネット このエントリーをはてなブックマークに追加

はてなモノリス。バーコードをiPhoneもしくはAndroidの専用アプリから認識して、商品情報をリスト化し、他のユーザーと共有できるサービスです。
はてなモノリス はてなモノリス はてなモノリス このエントリーをはてなブックマークに追加

上記の3つのサービスに共通するのはリアルな現実にあるモノやコトをネットからその情報を引っ張ってきて理解するというアウトプットの側面と、叙述し共有することでネットの情報をより増やしていくというインプットの側面を持っていること。こういったサービスがより浸透していくと、双方向の働きかけを通じてネットの世界がリアルの世界とシンクロしていき、ネットの世界は時間軸とか空間とかに関係なく徐々にあらゆるモノやコトに関する情報が蓄積されて行くことになるのではと、便利なようで末恐ろしいような感じがします。ちょっとしたSFの世界ですね。あと数年もしたら。

Good Bye! Google!

自他ともにGoogleをこよなく愛し、こよなく使い倒し、そしてどちらかというと中毒性すらあるのではないかと思ってしまうほど、とりあえずGoogleなくしては何も出来ないような生活に埋没していたのですが、ここ最近になってGoogleからの卒業という一大決心をしました。

Googleは、私の中でも“師”とも“友人”とも“ライバル”とも言えるような存在として、今まさに広がり行くフラットな世界におけるフラッグシップであることはおそらく十数年変わらない事実としてあると思っています。ただ、少し距離を置いてみたいなという気持ちがここ数ヶ月のうちに芽生えてきました。

ひとつは、ここ最近ニュースで伝えられるGoogleの動向が、ちょっと以前ほど自分の考えとシンクロしなくなってきてしまったことがあります。個人的な変化という側面も少なからずあるのですが、、、どこかちょっとGoogleという会社が持つ判断の基準が、ユーザーの思いとかを飛び越えて、政治的かつ資本主義的な面に偏ってしまっているような気がします。

言わずもがなGoogleはクラウドサービスの先鞭としてGmail,Google Docsなどの革新的なサービスを無料で提供し、ソフトウェアの持つ価値であったり、ユーザーのネットへ対する意味だったりを、ものすごい勢いで変革していったわけですが、それはどこかでユーザーが実現したい未来を真摯に受け止めて考え抜いた結果だったような気がします。でも最近は、権利者を無視してその権利を自社で抱え込んでしまうことを意図しているかのような無謀な著作物の電子化、ユーザーの思いを無視して政府への当てつけのように行った中国からの撤退、そういったニュースを見るにつけて、常人には考えもつかないような意図がそこにはあるのかも知れないですが、ちょっと疑問符がついてしまいます。新たな権益を獲得することに固執して、自らの存在の大きさを誇示しようとしてるかのような。

もうひとつの理由は、ちょっとこれは私自身の個人的な見解の変化に起因するものですが、Googleがユーザーにとって有益と思って行われてきた、情報やコンテンツ流通の拡大のための無料化至上主義に対して、限界を感じてきたというのがあります。発言すべき場やそれを議論したり受容する場(例えばブログとかTwitterとか)としてのコミュニティが自由でフリーであることは必要なことだと思いますが、一方で、ある責任を持って時間と労力を使って生み出されたニュースやコンテンツにとって、その収益を獲得するための手段が無料提供に限られてしまうことは、ものを生み出すことへのモチベーションを削いでしまっているのではないでしょうか。

逆に、Amazon Kindleなどの成功例からは、多くの消費者たちは、ある一定の品質とそれを購入し活用するにあたってのユーザービリティが確保されていれば、たとえ無料の情報やコンテンツが溢れているインターネットに簡単にアクセスできる環境にあったとしても、お金を払うことに抵抗はないのではないかと考えるようになりました。そういった購買へ誘う優れたインターフェースと利便性の高い購買の仕組みによって、本当の意味でのコンテンツ流通の多様化が実現したとき、多くの映画会社などのコンテンツ供給元が、ようやっとユーザーにとって価値のあるコンテンツを生み出すことに本気になってくるように感じます。

と、考えた時に、ユーザーにとって、お金を払ってでも手に入れたいというコンテンツがネットを使って簡単に入手でき、本当の意味でユーザーにとって価値あるコンテンツ流通が実現されるのは、単に無料化を進めるのではなく、コンテンツを生み出す側にとってもビジネスの対象として魅力的な流通経路の土壌を作り上げることではないかと思うようになりました。

ということで、長々と書いてきましたが、単純に言うと、今まで利用していた生活上不可欠ないくつかのツールについてGoogleへ依存している比率を少し下げてみようかと思いつき、とりあえず、ブログもBoggerからはてなダイアリーに移設してみました。移り気の激しい私の性格から、これでブログ引っ越し3回目ということになりましたが、はてなに期待するところはとても大きく、ここにしばらくお世話になりたいと思っていますのでよろしくおねがいします。

歴史が教えてくれること

しばらくご無沙汰してました。
最近チョット教養を豊かにするためもあって、あまり直接仕事と関係がなく、自分の興味にあった本を読むようにしていました。本屋や図書館で目につくものをとりあえず買ったり借りたりしていたら、特に意図していたわけではないのですが、歴史とその歴史をどのように認識するのかという問題を取りあげたものを多く読んでいたことに気づきました。

私の専門は歴史ではなく、また学生時代勉強をほったらかしにしてすっかり別のことばかりやってしまっていたので、偉そうなことは正直言えないのですが、そんなこんなで読んでるうちに気づいたのは、過去の出来事をどのように解釈するということはすなわち、今生きている世界がどのような時代なのか考えることと表裏一体になっているのだなあということです。

塩野七生さんの「ローマ人の歴史」を読んでいて思ったのですが、ローマ帝国皇帝の評価は時代によって大きく変わっています。同時代を生きた知識人が英雄として讃えた皇帝も、それから100年、さらに1000年と解釈する時代が変われば、悪帝となってしまうことも少なくありません。それは、多分英雄なのか悪帝なのかを判断する基準が、その歴史家が生きた時代の価値観に依存しているからのように思います。

そうやって考えると、今を生きる歴史家がどのように歴史を解釈していくのかに触れることは、少し今の時代がどのような時代なのか、垣間見えてくるように思います。いろんな価値観に縛られている中で、自分が置かれている状況や自分の考え方を客観的にとらえようとするのは難しいことですが、時折、こういった歴史の解釈の方法に触れながらそれを認識していくことで得られることは多いように思います。

過去の出来事を通して今を知ろうというのはちょっと逆説的過ぎるような気もしますが、、、。


ご参考までに最近読んだ本からいくつか…

【Europe2008vol.6】Oxford(11/25)


【オックスフォードの牛】ーやはり街の名前(Ox)の由来となった牛が駅を出てお出迎え

昨年ロンドンは十分に堪能したので、ロンドンに泊まっておきながら、あえて、Paddington駅から50分弱のオックスフォードへ。友人と会う約束などもあり、観光という点では街そのものを楽しむ時間はあまり少なかったのですが、ようやっとここでインディアンにありつきました。やはりインディアンはイギリスの主食?!、イギリスで食べるインディアン料理の味には日本ではなかなかありつけません。

ちなみにお店は「4500」というオックスフォード駅から徒歩1-2分のところ。愛嬌のあるネパール人のウェイターは、いとこと兄弟が東京のホテルで働いているとのことで、東京から来た私たちに優しく話しかけてくれました。チキンマサラとほうれんそうのクリームソースのカレーを食し、昨年もありつけなかった本場?のカレーに夫婦ふたりで大満足の夜でした。



(上:ボタニックガーデンは冬の趣き/下:夜の闇に浮かび上がるオックスフォード城)

■オックスフォードで行ったところ
・Cornmarket St. 本屋の中のCosta(喫茶店)
 イギリスでは本屋の中に喫茶店があるスタイルをよく見かけました。
・Oxford university
 留学中の友人と会いました。ちなみに経営学の授業に内緒で飛び入り参加。授業の質の高さに感激しました。
・Botanic Garden ※妻のみ
・4550 (インド料理)
 待望のインド料理レストラン。なんでイギリスでたべるインド料理はこんなにおいしいのでしょうか!?