納棺師になりまして。

納棺師という職よりおくりびとの方が有名なので聞かれたらおくりびとと答えている納棺師の日常をお送りしていきます。

キレイな人

先日、とても美人で若い女性の自殺があった。

生前の写真もとても美人で

なんで自殺なんて。ってみんなで話していたけど本人にしかわからない辛い悩みがあったんだろうな。

私達はたった2時間くらいしかその場にいないし、気持ちなんてわかるわけがない。

でも一つ言えるのは、それだけキレイなら何もかも捨ててやり直せたら幸せな未来が待ってたよお姉さん!

今は辛くてもきっと幸せになれたよ!

私にできることは最後にキレイに髪の毛を整えてお化粧してあげることだけだけど

生まれ変わったら今度は死ぬなんて馬鹿らしいって思ってね。

 

南無。

曾祖母の死

私が12歳の時曾祖母が亡くなった。

92歳だった。

曾祖母は隣人の火事により家をなくし私の家の敷地に小さいプレハブを建てて晩年を過ごしていた。

いつもマイルドセブンのたばこを吸って、時に私と将棋やオセロをして、

愛犬とテレビを見てのんびり過ごしていた。

元気に過ごしていたある日、いつものようにお風呂に入る準備をしていたのだが

母から

おばあちゃん今日元気ないから服着替えるの手伝って

と言われ、曾祖母の背中に自分の背中を当ててもたれさせるようにした。

 

おばあちゃん。力ぬきすぎ重いよー

と話しかけても返事はなく

突然母が

おばあちゃん!おばあちゃん!!!!

と大きな声を出して慌てて部屋から出て行った。

わけのわからない私はとりあえずもたれるおばあちゃんをどうすることもできず、

重いのを耐えながらキープ。

すると母と父が戻ってきてやっとおばあちゃんを寝かせた。

マジ腰いてえ

って思ったと思う。

そしておばあちゃんが寝たままぴくりとも動かないのをじっと見つめてたら

医者がきて

ご臨終です。 といった。

 

ご臨終です。

 

人生最初に聞いたご臨終だった。

 

私の背中でご臨終。

そんなことあるのかい。

 

そんなレアな体験をした私が今納棺師をしていることも運命なのかもしれない。

 

おばあちゃん。私みんなに感動してもらえる納棺師になるからね。

初日 秋の終わりに

私がこの仕事をはじめたのは5年前の10月だった

亡くなった人を触るなんてできるのだろうか

 

怖くないのか

 

悲しくないのか

 

ちゃんと続けられるのか

 

明日もこの会社に来れるのだろうか

 

 

そんな不安を抱きながら現場に行った。

 

最初に故人様を見たとき、

 

わ。ほんとに死んでる

 

って思ったけどそこでひるむなんてかっこ悪い!

あたかも全然大丈夫です へへん

って感じにしてたのだが、突然先輩に

 

ちょっと手を持ってもらっていいですか?

 

と言われ

 

ばかやろうか!そんなんいきなりハードル高いわ!今日初日!私今日初日!

 

と思ったけど先ほども言ったようにひるむのはかっこ悪い!

余裕っすよ先輩!って感じで故人様の手を握った

がしかし

つかんだその手はとても冷たくなんだか無性に悲しくなって

さっきまでの感情はどっかにいってしまった。

 

手は冷たいのに柔らかく、

昨日まで生きていて

頑張って病気と闘って、もっと生きたいって思った人なんだ

 

人なんだ

 

実際のところ死因とか覚えてないけどそんな風に思ったのは覚えてる。

 

 

あれから5年

 

私は変わらずこの仕事が好きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

納棺師になって。

納棺師になって5年がたったので日々のことを少しずつ書き残しておきたくてブログをはじめることにしました。

まだまだ一人前ではないけどとても素敵なこの仕事を記録と記憶に残しておこう。

 

きっと私も死ぬときが来るんだから☆

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