歌鳥のブログ『Title-Back』

歌鳥の小説やら感想やらなにやらのブログです。よしなに。

【意味がわかると怖い話】99%の崩壊

   意味がわかると怖い話『99%の崩壊』

 

 テレビの実録番組で、DNA鑑定の話題が出た。
 妻の浮気を疑ったことは一度もない。だが鑑定には興味があった。おなじ番組を見ていた妻もノリノリで「試してみよう」という話になった。俺・妻・息子の3人分のサンプルを調査会社に送り、親子関係を調べてもらった。
 一か月後、鑑定結果が届いた。
「99%の確率で実の親子である」とのことだった。

 俺と妻は離婚。妻は精神を病んで入院した。
 息子は施設行きになった。他にどうしようもなかった。

 

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 えー、大変ご無沙汰しております。

 いわゆる生存報告です。

 

 気がつくと1年近くブログを放置してまして。こりゃヤバい、と思い、急遽先日思いついた小ネタを形にしてみました。

 執筆15分。はっきりいって勢いだけです。

 勢いだけ、の割には面白いと思うのですが、いかがでしょうか。

 実のところ、「意味が~」というよりは水平思考ゲーム、いわゆる「ウミガメのスープ」向きの題材かもしれません。というかむしろ質問していただけると嬉しいです。

 質問やら答え合わせやら、ご希望の方はこちらのコメント欄かツイッターまで。なにとぞよしなに。 

代わってもらった

   代わってもらった

 私はオカルトを信じない。
 霊とか死後の世界とか、信じたことはなかった。もちろん生まれ変わりも。
 だからあの日、公園で男の子を見かけた時も、怖いとは思わなかった。ただ心配だっただけ。
「ねえ見て。あの子、なにやってんだろ。こんな時間に」
 ひとりの男の子が、ブランコに座っていた。
 もう肌寒い季節なのに、薄いTシャツと半ズボン。ブランコを漕ぐでもなく、じっと自分の足元を見つめている。
 まわりは真っ暗で、他にはだれも見当たらない。真夜中の公園にいる男の子の姿は、不気味で、異様だった。

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【漫画】ぼっち・ざ・ろっく!

 今日ちょっとショッキングな出来事がありまして……というのはつまりハードディスクが壊れまして。
 結構痛い出来事でした。いわゆる「致命傷で済んだ」状態です。一応バックアップは取ってあるのですが、たぶん過去作品のいくつかは霧の彼方へ消えました。あーあ。
 でまあ、気を紛らわせるためにこれ書いてます。

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ぼっち・ざ・ろっく!

 SNSで使い勝手の良い画像がいっぱいある漫画です。
 キャッチコピーは「陰キャならロックをやれ!!」。

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十枚入り封筒198円

   十枚入り封筒198円

「長谷川さん、ご気分はいかがですか?」
 個室のドアを開けた。ベッドに腰かけていた長谷川さんは、こっちを向いてにっこりして、それから首をかしげた。
「ええと、どなただったかしら……?」
「ヘルパーの結城ですよ。いい加減覚えてくださいね」
「ああ、そうだったわね。もうお昼ごはんかしら?」
「昼食は、まだ三十分くらいありますね」
 私はにこやかに答えて、ポケットから封筒を取り出した。
「はい。お手紙が届いてましたよ」
「あら、私に? 誰からかしら」
「差出人は“長谷川 あゆ”さんですね。ご親戚ですか?」
 長谷川さんの顔が、ぱーっと明るくなった。
「まあまあまあ。それ、私の孫だわ」

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再放送

   再放送

 とっておきのクッキーとコーヒーを用意して、コックピットに戻った。折りたたみテーブルを広げて、お皿とカップを並べる。甘い匂いと香ばしさが、同時に立ちのぼった。
 操縦はオートに任せてある。目の前には空虚な宇宙。ワープエンジンの冷える、チンチンという小さな音が、エンジンルームから聞こえてきた。
 メインモニターで時間を確認。私の計算どおりなら、もうすぐ放送が始まるはず。
 コントロールパネルに手を伸ばして、まずブースターをオンに。それから、ラジオのスイッチをオン。
 周波数は合わせっぱなし。徐々にボリュームを上げていくと、耳慣れた音楽が流れてきた。
 うん、大丈夫。まだ聞こえる。

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卒業の日に打ち明けた本当のこと

   卒業の日に打ち明けた本当のこと

「ねえみんな、ちょっと聞いて」
 卒業式の余韻でざわついていた教室は、その一言でふっと静かになった。クラスメートたちは一斉に口をつぐんで、教壇に注目した。
「私、みんなに黙ってたことがあるんだ」

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【意味がわかると怖い話】角の民族

    意味がわかると怖い話『角の民族』

 飛行機が墜落して3日。ジャングルをさまよったあげく、私はどうにか小さな集落にたどり着いた。
 住民は突然現れた私に驚いていた。だが敵意がないことを示すと、すぐに暖かく迎え入れてくれた。
 片言の現地語と身振り手振りを駆使して、我々はどうにか意思の疎通に成功した。私の苦境を知ると、皆は傷の手当をし、豪華な食事と酒で歓待してくれた。

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