解明コミュニケーション

「今の若い人は、はっきり言わない」という言葉は、よく聞かれることだと思います。

たしかに「今の若い人」というのは、一部を隠し一部を見せてコミュニケーションしていると言えるかもしれません。そしてそのようなコミュニケーションが必要な世代、また求められる世代だといえるのでしょう。

 

作品においても同様で、展示の際に全てを伝えることに重点を置いていないように見えます。むしろ隠す部分と見せる部分という、二面性に重点を置いている傾向があります。そのため「伝えるべき事が伝わっていない」「もっとはっきり言え」と、言われるわけです。

でも、その二面性こそ伝えたいことだったりするのです。

 

そもそも「隠すこと」と「解明すること」は相反するものです。しかし逆説的なこの二面性の関係に、コミュニケーションが存在しているのです。「今の若者」は、この二面性が勝手に存在するものとしてではなく、意図的に作り出そうとしていると思います。

しかし見せる部分だけで、「解明すること」が行われるように用意しておかなくてはならないでしょう。重要なのは解明するためのヒントをすべて与えること。そしてすべてを解明させた気にさせることだと思います。

 

隠さずに全部言えというけれども、隠していないモノほどリアルに感じることができないモノはないと言えないでしょうか。この感覚は、この世代独特の感覚なのかもしれませんが。

解明するという行為に、自分の考えに変換するというコミュニケーションが存在していると考えています。そのため、解明するモノとそれでも気づかない「裏・隠れた部分」を、意図的に作ろうとしているのでしょう。