BL漫画が怖い

私はBL漫画が怖い

 

怖いというより、むしろ恐怖に近い存在だ。

私は、どんなに怖いホラー映画を観ても夜はのび太並みにすぐ寝られる。

けれど、トラウマになったBL漫画のあの描写がフラッシュバックすると、動悸が激しくなる。書いている今も少しバクバクする。

中学の時に仲良しだった友達が腐女子だった。

 

お互い銀魂とリボーンとテニプリが好きで、体育のプールの時間にバディになってすぐに意気投合して、本当に一緒にいて楽しくてずっと笑ってた。

 

友達はBL漫画大好きでよく勧めてきた。
私はBLに興味がなく、「BL漫画は読まない読みたくない」とずっと言っていて、「なんでなんだ!こんなに素晴らしいのに!」とその子と議論するのもまた楽しかった。

 

それを見た瞬間はいきなりだった。

 

曖昧にしか覚えてないけど、確かその子とまた別の1人の友達の家でそれぞれ漫画読んでる時に、男同士のおセッセのページを見てしまったのだ。

 

「読んでみなよ!」ってページをバンって開かれたのか、「エッチなシーンは栞で仕切ってあるから!」って言っていたのに仕切り忘れられたおセッセシーンを見てしまったのか覚えてないけど、どちらかだった。

 

体位はバックで、裸の男の人が同じく裸の男の人のお尻に入れていて、所謂「受け」の人がお尻に汗かきながら「痛い」って言っていた。

(この原稿を書いている今、猛烈に背筋から順に腕にかけて寒くなってきた。多分お風呂上がりだからだけど。)

 

「恐怖」だった。気持ち悪い、とかじゃなく、紛れも無い「恐怖」

 

理由は今思えば2つある。

1つはこれ見よがしに過激な性描写。多分そこが見どころだし、彼女曰く「その最中にいい台詞を言う、せつない、泣ける」から欠かせない場面なのだと思うけど、中学2年生の多感な時期に男が尻に汗かいてる男の尻の穴に突っ込んでる姿は本当に怖かった。

少女漫画にだってそういう描写はあるけれど、その当時読んでたのは「僕は妹に恋をする」とかで軽い運動程度の描写しかなかったから、これは本当にショックだった。
男が主人公の漫画にいたっては、友情・努力・勝利のジャンプ系しか読んでいなかったから、余計に混乱した。

 

敵を倒すために一致団結した仲間を犯したりしないだろ、するなよ。

 

あと家がキリスト教でまじでそういうのNGな家庭だったこともあるかも。
(でもおじいちゃんの追悼ミサやった教会が「愛のむきだし」の変態神父の教会のロケ地だから厳しいのか緩いのかわかんない)

 

2つ目は、「なんで自分を選んでくれないんだ」と思ったこと。


今思えば不思議だけれど、「女の私は選んでくれないのか」と思ってた。

別にLGBTの人に偏見があるとかではないと思う。現実で会う人にそういう思いを持ったことはないから。
でもなんでか、2次元の、ストーリーもよく知らない、2人の関係性もわからないBL漫画の登場人物のセックスを見て、「自分はこの人たちには選んでもらえないんだ」と思った。


なんだろう、疎外感なのかなんなのか、なんで前提として選んでもらえると思い込んでたのかもわからんけど、その時は「選ばれない」って事実が怖かった。

 

性的にみてもらえない事実が怖かったのかもしれない。
異性と交友がそんなになかった私にとって、自分が「女」という性を持っていることは、いつか異性と一緒になれる唯一の切符みたいなもので、価値だと思っていた。
でも友達に見せられた世界では「女」であることはアドバンテージじゃなかった。

 

自分の価値を否定されたような、お前がいなくても成立すると言われているような気がした。
14歳の時の私はとてもそのことが怖かったんだと思う。

 

今思えば男女関係なく現実の行為の方がエグいんだからなんともないとは思うけれど、やっぱり思春期に受けた衝撃は強かった。
今思い出しても身体の中から寒気がする。

 

 

でも腐女子は嫌いではない。
好きなものを語る時、語彙力2になるところとか早口になるのに一回も噛まないところとか。国語の音読あんなに噛んでたじゃん、なんなんだ。
何より楽しそうだし、キラキラして愉快だ。

 

そんな人たちの大好きなものを理解できず、共有できないのは寂しい。
でもどうしてもBL漫画だけは受け入れることができない。

 

このトラウマのせいで明日(もはや今日)朝バイトなのにこんな時間(2:34)まで眠れないから、やっぱりBL漫画は怖い。

死ぬ気で今から眠りますおやすみなさい。