19冊目:遅いインターネット
・「ゼロ年代の想像力」とかで有名な宇野常寛が書いた本。2020/02/20初版なのにオリンピックの話が完全に上滑りするところから始まっていてちょっと面白い。この本が悪いわけではないが、この手の内容を書いたすぐあとに例の感染症が来たことは運が悪そう。
・インターネットのあの辺りが持ってる価値観をうまく言語化してあるなーという印象(逆か)。「自由と民主主義は両立しない」とか、Anywhereな(壁のない世界に強く適応した)人とSomewhere(弱くしか適応できなかった)な人の立場の違い、決定的な価値観のずれとか。
・オンラインサロンとかの解決策が良い/悪いはともかく、この人たちがえらいなーと思うのはそれでも頑張って誰かとコミュニケーションをとろうとしているところだと思った。虹ヶ咲スクールアイドル同好会(ラブライブ!)でも思ったが、あなたと私(AnywhereとSomewhere、一人だけのアイドルと皆のためのアイドル、好きと嫌い……)が決定的に相いれないことが前提にあって、”それでも”どうにか妥協点を探そうと考えられるのは本当にすごい。その前提ならもう離れ離れになる、という選択肢もあっていいはずなのに。
・やはり古野まほろか
・あなたと私が決定的に相いれないことを理解したうえで、それでも手をつなごうと頑張ることこそがコミュニケーションの本質ならば、この回答は完璧ではないことを理解したうえでそれでも頑張ってついていこうとすることこそが進化の本質だ、みたいな話でしょう。
・「正しいとは何かを考え続けることだ。例えいつか答えにたどり着いたとしても、そこで考えるのを止めないことだ」(正崎善)
リゼロの感想
7年ぶりにリゼロを読んでやっと原作に追いつけたので、感想をまとめる。
4章
・スバルの過去編
・エミリアの過去編
・スバルの「なかった今」
・ロズワールの話
・ベアトリスとの和解
ぐらいが主なイベントか。ガーフィールの話とかもあるけど。
ベタに読めばロズワールの話はプロット的によくできていて、ロズワールの行動は全部「変わらないことがよいことだと思ってるから」で説明できる。福音書の記述は変わらない方がいい、気持ちは変わらないほうがいい、ラムとの関係も変わらないほうがいい、とか。一貫性がとれててよい。
メタに読むと、試練とかいうシステムが合目的的すぎて笑っちゃう(過去を乗り越えたらスイッチが開くって、主人公とヒロインの心の問題を解消するためだけの施設だ)。
ループもの的に考えると、「失敗した世界における死者をどう弔うのか?」っていう問題を直接取り扱ってたように見える。ありうべからざる今で。ただ、読み返してもどんな解答がでてたのか頭が悪いのでよくわからなかった。頭がいい人の記事を待とうかな。あと、無限時間方式とか総当たり方式がかなり悪しざまに描かれてたのは面白い。ループものへのアンチテーゼっぽい。
「信頼の非対称性をどう解消するのか?」についてはむしろ、「ループ者と非ループ者の間には構造的な断絶があるんだけど、愛と友情の力で乗り越えられなくもない」というお話になってるんじゃないかなと思う。オットーもそうだし、5,6章でも
「ベティーにも話せないことかしら」(でもついていく)
「スバルの勘は結構信頼できる」(無限の信頼)
とかやってたし。さらに言えば、この信頼はスバルが(ループ者が)自信とか自覚を失った際の解決策にもなってたりするのかな?この辺はもうちょっと考える必要がある。
5章
・
17冊目:自殺の歴史社会学
・まず日本で年間2万人も自殺者がいるって言う話に素直にびっくりしてしまった。
・自殺という言葉についての変遷を、「意思」を軸に整理していく本らしい。歴史の講義みたいになるのかな?
・〜1950年まで〜
家としては、世間体もあり自殺を隠したい。警察としても無限のリソースを割けないし、家との政治的バトルもある。よって、「厭世自殺」(そいつの意思で死んだ、周りは悪くない)が流行したという側面がある。医療のマンパワーが足りない、当人の成仏という面からも、色々な立場からの都合のいい「落としどころ」だったと言える。
・高度経済成長成長以降は社会に余裕が出てきて、自殺をより深く理解できるようになった、って感じ。余剰がないと回せないのはどれも同じか。
・「持たざるものがワンチャンスつかめるかも?」という夢を見せる自殺生命保険、というと宝くじみたいだし、たち悪いな(本当は富裕層がより儲かるという構造を再生産しているだけなのに、一見人に夢をみせているぶん言わないより悪い、みたいな)
・自由意思で自殺したら自己責任→会社のせいで病気(精神病)になった、というロジックで会社の責任を問うロジックになってるらしい。『人には意思がある』とすると全部自己責任だし、『自殺だけは特別に意思が無い』としても不自然だしで、決まりを作ってる人は大変そう。
・自殺は自由意志によるので本人以外の責任は問えない、というのが基本線で、過労については精神障害にさせたという意思の解体が進んだ一方、いじめについては子供自身の責任という見方=意思の非解体が根強い。
16冊目:時間の空間化批判
・物理学者と哲学者が「時間」について討論する本。お互いの論文にコメントしあう形で進む。
・かなり楽しいディスコミュニケーションの本だった。お互い相手が頭が良いことはわかっていて、自分が相手の分野に門外漢なこともわかっているためリスペクトしあっていることが伝わるが、最後の一線を絶対に譲ろうとしないため絶対に話が合わない(百合)。
・「私の話はわかってもらえないようだし、彼らの話はわからない。」
・1つ目の感想としては、物理学はなにかを言う際に「検証」を基礎にしているのに対して、哲学者は基礎ではなくて1層目からスタートして基礎を作っていく、みたいなすれ違いがあるから話が合わないんだろうなという感じ。何かを主張したいときに、いつまでも土台がしっかりしているかを確認したいのが物理学者なのに、哲学者は土台の話をそこそこに出来上がったものの話をしたいからスピード感があってない。
・「科学者は研究で得られた解答が部分的なものであっても小さな満足として、前進することを好む。哲学者にとっては自分が抱いた疑問が一番大事なので、部分的な解答を言われても妥協を許さず、何度でも原点の疑問に立ち返る。下手に前進して間違った方向に行ったりしてはいけない、それこそ哲学が戒めていることだからだ。」すごい。よく分析してる。
15冊目:世界経済論 岐路にたつグローバリゼーション
・めちゃめちゃ最新の経済の本。妹の授業の教科書。
・歴史→理論→現状の順でまとめてある。専門用語が多過ぎて門外漢には辛い。
・多国籍企業になるのは自社内で貿易ができて得だから。→自分の作ったコンテンツで無限にメディアミックスするやつじゃん!と思った(無理やり)。
・もうちょっと現実から離れてたほうが好みだな、と思った。