なんかパーツ、パーツはおもしろかったけど、全体としてはとっちらかってた印象。
まず気になったのは、歌うというテーマなのにリズムにかなりの比重が置かれていたこと。これ全体では歌ではなく音楽の話だよね?という。
歌をテーマにするなら、音楽における人声の役割の特別性とかを深掘りして欲しかった。
そしてリズムに関してもビート予測の報酬系に拠り過ぎだと思う。例えば音の大きさと快楽の関係性というのはビート予測では納得できないんだけど……。
あと和声や不協和音の齎す快・不快)の深掘りも足りなかったと思う。これも音楽の気持ちよさの重要なファクターだよね?
予測と報酬系だけじゃジャンル……音楽とその嗜好の多様性の説明もつかないじゃん?
あと絆って結論に関しても、なんか絆の感じ方の多様性に対する言及が不十分だったように思う。
とにかく自分の音楽を聴いてるときの感覚がきちんと言語化されていない不充足感が募るばかりだった……。
あと京都大学ヒト行動進化研究センターのチンパンジーを使ったビート予測の実験のビートが全く気持ちよくなかった。ビートの予測機能が働くにはまずそのビートへの集中が必要なのでは?少なくとも騒音(実験のリズム)による不快なストレス環境下では働かない気がする。
人間に関してもどんな音楽が好きかそもそも音楽が好きか……と色々な関係があるのだから、それなりの数のチンパンジーにBPMやリズム音の高低など色々試して、チンパンジーに嗜好をある程度理解した上で実験してると思うけど。
あとこの番組の結論の一つである絆という点で言えば、今は音声合成技術も向上しているのだから、被実験チンパンジーに他のチンパンジー同士の鳴き声が和声やリズムをなしているような音声を聞かせてみたり、被実験チンパンジーの鳴き声に対してその鳴き声に対して和声やリズムをなすような鳴き声を合成して聞かせてみたりするのはどうだろうかと思った。そこから快を得て、何か行動は変容するのだろうか。