ポケモン 召喚 方法 🔍
前回の記事でポエムにしたためたように、私は2020年の夏、ダンバルというポケモンをCGでつくって実写映像に投影しました。
ロマンのかけらもない言い方だけど、ただ今回はそういう技術的な話をしたいと思います。CGとか映像制作とかそういうのに興味のある人でもない人でも、読んでみて「あーそんなふうにつくってたのね、わたしもつくってみようかな」とかなってくれれば嬉しいです。
著作権
ポケモンのキャラクターをお借りするという形なので、どのポケモンを作るにしても最初に確認しておいた方がよいです。やってはいけないこととして
(a)他の商品、サービス、又はブランドとの関係を示唆するものであり、この行為は、(b)消費者に混同を生じさせる可能性があるものであること、(c)ポケモンの名誉を毀損し、又は信用を傷つけるものであること、(d)何らかの商業目的のためになされるものであること、又は、(e) 弊社の知的財産権を何らかの形で侵害するものであること
が挙げられています。今回作ったモデル自体は完全にダンバルというポケモンですが、ゲーム内のモデルよりもリアリズムを追求したデザインにするなどして(Pokémon Goなどの)公式の商品との混同を回避(しようと)しています。
グレーゾーンなども多く、難しい話題ですが著作物に触れる上で知っておくべきだと思います。
特にポケモンは二次創作の盛んなコンテンツですが、一度は読んでおくことを強くおすすめします。
モデリング
これが多分CGときいたら一番思い浮かぶ作業なんじゃないかなと思います。3Dのキャラクターを作る工程です。
ただ単にモデルを作るといっても様々な方法があるのですが、機械的なデザインのキャラクターなので今回は立方体や球などのシンプルな立体(ジオメトリーといいます)をつみきのように組み合わせて形を作っていきました。
なお、お手本の画像を画面に表示するのにはPureRefというソフトウェアを使用しました。超便利。
気づいた方もいらっしゃると思いますがライティングの環境として横浜駅を使っています。
Google Street ViewのiPhoneアプリで周囲の写真を撮影して一枚の画像につなぎ合わせることで、撮影した環境を周囲に球状に投影しています。平面にするとこんなかんじ↓
テクスチャー
表面の質感のことです。表面の光沢や色、凹凸などで素材の質感を出します。
左側にあるのがモデルの展開図です。飴の包み紙とかを想像するとわかりやすいかもしれません。この展開図に線を引いて模様を作っていきます。
画像右にある地図みたいなやつはシェーダーノードといって、先ほど黒く塗った部分は光沢少なめにしてね、とか全体に傷をちょっとつけてね、とかを決めるものです。超便利。
ここの塩梅でリアリズムの度合いが決まるのでけっこう時間をかけていろいろいじります。
リギング
骨格を作ることです。
下の画像で浮いている後半で折り方を間違えた鶴みたいなやつがダンバルの骨格です。
頭部、胴体、爪を単純化した形を作って動きを決め、ダンバルのモデルの各部分が追従して動くという仕組みです。
もうステージ上を飛び回ってますがこれをここで貼ったのはスクリーンショットがこれしかなかったからで、動かすのはまた次の工程です。
さらに、目と爪はそれぞれリモコンみたいなもの(ドライバーといいます)を作ることで操作しやすくしました。
アニメーション
ついにキャラクターを動かします。
まずはどう動いて欲しいか考えます。
スクリーンショット上にいろいろとプランを書き込んでいきます。
45fとか数字が書いてあるのはフレーム数です。1秒間を30フレームとしてそれぞれの動きにかかる時間を書き込んでいます。30という数字は、私の持っているiPhone7の動画撮影が1秒間に30フレームのスピードで行われることによるものです。
駅のホームをざっくり作りました。
これは柱のかげにキャラクターを隠したいのと、アニメーションを作るときにベンチの位置がわかると便利だからです。
トラッキング
まだあるんかい
そうです、まだやることがあります。
トラッキングとは、現実世界で映像を撮影した時の手ブレなどの動きをバーチャルなカメラに再現することです。
これがないとモデルと元映像の動きが合わず、いかにも合成という印象がでてしまいます。
作業中のスクリーンショットがないのですが、やり方が気になる方は是非調べてみてください。YouTubeにいっぱいチュートリアルがあります。おすすめはこれです↓
適当な物体を置いて、元映像と調整したバーチャルカメラの動きがあってるかみてみます。
いけてるなと思ったら駅のホームのモデルを置いて動きを見てみます
レンダー&コンポジティング
最後の一息です。
レンダーとは3Dモデルが動くところを実際に映像として出力することです。
今回はリアリズムを出すためCyclesというレンダーエンジンを使います。
画像が1フレームずつ出力されるので、10*30枚出力することになります。画質などにもよりますが、綺麗な画像を出そうと思ったら1枚あたり1分ほどかかることもあるので、5時間待つなんてこともままあります。しかしここはリアリズムのためです。待ちましょう。
このレンダーを効率化する方法はいくつもあるので、レンダーする前にいろいろ最適化することをオススメします。参考動画
コンポジティングはその出力された画像と元の映像を合わせることです。
明るさや色味を調節したり、ここでボケやその他効果を加えることができます。
完成
完成したものがこれです(多分音が出ます)
みっけ pic.twitter.com/BSCf3HWfJV
— すけるぷと (@Sukelpt) 2020年7月25日
いかがでしたか?
そこそこの量書きましたがこれでも省略しているところがけっこうあります。
またこのプロジェクトを始める前にかなりの量の動画を見たりネットで記事を読んだりして試作を重ねていますので、覚えきれなくても全く心配しないでください。
趣味でやるぶんには完全にどこから初めても自由ですし、公開しないなら本当になにをつくっても自由です。この記事が、趣味としての3DCGを気軽に始められる一助となれば幸いです。
また、わかりにくいところなどあればTwitterのDMで気軽に聞いてください。
それでは、良いお年を。