「レザーは、未来への希望とともにある」
昨日、飲食店をやっている友人と話していて、ふと気づいたので短いコラムを。
今夜気分よくなりたい人は、おいしいお店に行きます。
今日買って明日気分よくなりたい人は、ユニクロに行きます。
レザー製品の場合は、半年、一年後、もしかしたらそれ以上の先のために買うものです。
「このカバンは使っていったらどんなふうになるんだろう」とか、
「こういう仕事をするから、こんなバッグを持ちたい」とか、
「今度する旅行のために、こういうポーチがあるといい」とか、
「この財布を何年も使いたいな」とか、
「このブックカバーがこんな色になるまで何年かかるかな」とかとか。
だから、あまり将来に希望が持てない人は手にしないでしょう。
明日死ぬかもしれないと思っている人は、おいしいものは食べたいと思っても、わざわざレザー製品は買わないはずです。
ですので、コロナ禍が一年もつづいて、先が見えない今の世の中で、レザー屋は大変不利です…。
日本が、世界がどうなるのか不安な中で、レザーを持つ意味など見出せません。
レザーというのは、そういう「未来への希望」とともにある製品なんだなぁ、と気がつきました。
あんまり口には出さないのですが、「コロナめ!」とめちゃくちゃ思ってますし、「平穏な世の中に戻りますように…」と誰よりも祈っています。
スナワチは、今後に希望を持って、あれこれたのしい企画も進めています。
その頃になったら、またお会いしましょう。
P.S. スナワチは幸い、報酬はおやつだけで働いてくれるジョージ店長と私だけの小さな会社なので、こんなひどい景況でもそう簡単にはなくなりませんのでご安心を
「愛せるモノを、持たないか?」
スナワチ大阪ストア
大阪市西区阿波座1-2-2
06-6616-9626
sunawachi.com
「今年もいろんなモノつくりました2020」
どなたにとっても大変だったであろう2020年ですが、スナワチはそんな中でもいろいろなモノをつくりました。
購入してくれた皆さん、オーダーをくださった皆さん、ストアやイベントを訪ねてくださった皆さん、ありがとうございました。
今年つくったモノを駆け足で振り返ります。
ちなみに去年のはこちら:
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①スナワチTシャツ
3月くらいに「コロナウイルスがいよいよヤバそうだぞ」という雰囲気になり、当初は販売用ではなかったスナワチTシャツをご希望者にお売りすることにしました。
たくさんの方に買っていただけて、4月は助かりました。ありがとうございました。
いまは2020年の暮れですが、私もジョージ店長も元気にしております。
②OUGI Leathersの看板
スナワチのストアスペースをシェアしている後藤さんが、自分のブランド名をOUGI Leathersにして新たな一歩を踏み出しました。
レザーにレーザー刻印した看板を自らつくっていました。
③扇子ケース
OUGI Leathersは、縁起をかつぐことを大切にしている後藤優太名人が、「末広がりで縁起がいいから」という理由で名づけました。
京都から扇子を仕入れてきて、そのケースをレザーで製作しました。
また来年の夏にはつくると思います。
④スナワチ×吉靴房の革下駄
京都、夏、といえば、そうでした。京都で野島さんという靴職人がやっている吉靴房(きっかぼう)とコラボしてレザーの雪駄もつくってもらいました。
靴を研究している野島さんによると、鼻緒がついた履物全般を下駄と呼ぶので、これは「革下駄」なのだそうです。
おかげさまで好評でした。また来年の夏に…。
⑤オイルド・ラティゴの3点セット
米国ウィケット&クレイグ社のレザー「オイルド・ラティゴ」で、札入れ、コインケース、名刺入れの3点セットをオーダーいただき、後藤名人がつくりました。
このレザーはオイル分とワックスが大変多く含まれていて、床面(とこめん=革の裏面のこと)なんかベッタベタになっているすごい革でした。
後藤さんとしては接着剤がきかないからとても扱いづらいレザーだったそうです。
しかし、手馴染みがよく、使い込むとツヤが出て、素晴らしい味わいを楽しめるはずです。
⑥iQUOSケース
形状がちがうiQUOSでもう一件ご依頼があったのですが、写真を撮るのを忘れてしまいました…。
⑦ファイヤーマンバックルのベルト
バックルの下側を折ることができて、消防士が素早く着脱するためのベルトです。
素早く脱ぐ必要があるときにがんばってください♡
⑧ブルーのクラッチバッグ&ロングウォレット
なんでもブルーでオーダーくださるMさん、いつもありがとうございます。
⑨ミニトート(ショルダーストラップ付)
なんでもブラックでオーダーくださる、こちらもMさん、ありがとうございます。
⑩GPSケース
小学生の娘さんに持たせるGPSデバイスをかわいく携行できるケースです。
⑪ハーマンオークレザーのショルダーバッグ
後藤名人が自分のために2019年1月につくったショルダーバッグと同型のものをオーダーいただきました。
米国ハーマンオーク社のレザーは飴色に変化していきます。
後藤さんが自分で2年ほど使用したバッグとの比較です👍🏻 pic.twitter.com/BooxHn9P2b
— スナワチ (@Sunawachi) 2020年10月27日
⑫ビジネスバッグ
会社四季報やPCなど荷物が多い金融マンの方からのオーダーで、こちらのバッグはKIGOを展開している金魚製鞄 内山高之さんが手がけました。ゴート革(山羊)です。
⑬オーストリッチのバッグ
ダチョウ革です。演劇の劇場を経営されている社長さんからのオーダーでした。
こちらも金魚製鞄さんの仕事。こういうカバンは高い技術が求められ、最近はつくれる職人も少なくなっているそうです。
⑭札入れ&コインケースのセット
イタリアの革、ミネルバボックスの黄色で、m.ripple村上裕宣氏がつくってくれました。柔らかくて「世界一経年変化する」と評価する人もいるくらいの、使って楽しいレザーです。
⑮グローブホルダー
こちらもm.ripple村上さんの製品。
「以前にホルダーから落ちて手袋をなくしちゃったことがある」というご依頼主のため、ループを付けてベルトが抜けにくくしてあります。
ちなみに写真の手袋はスナワチ×香三堂のサイズオーダー手袋で、筆者の私物です。
2年前に販売していたネイビーです。
以上、ぜんぶをご紹介することはできませんでしたが、2020年にスナワチがオーダーいただいたレザーアイテムたちでした。
皆さん、ありがとうございました。
オーダー品以外にも、腕っこきのレザークラフツマンたちのレザー製品がストアにはあります。
また来年お目にかかります。
Thank you all very much. Have a great year 2021!
(了)
文責:前田将多
スナワチ
大阪市西区阿波座1丁目2-2
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「私を助けた犬のこと」
レザーストア「スナワチ」では、ジョージというヨークシャーテリアの犬が店長をしております。
OUGI Leathersの後藤さんと、ジョージ店長と、社長の私(前田将多)の二人と一匹で、ストアを運営しているのですが、過去にはジョージが後藤さんの紹介コラムを書いてくれました。
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最近は、ストアで、SNSで、ジョージ店長をかわいがってくれるお客さんも多いので、今回はジョージについて私が書きます。
ジョージのことはジョージが死んだときにでも書こうかなと思っていたのですが、もし死んだら私は泣いてしまってそれどころではなくなるでしょうし、それは10年も先のことになるはずなので、いっそいま書きましょう。
「何才なんですか?」「保護犬なんですって?」と訊かれることも多いです。
はい、ジョージはもともとは保護犬で、そのため正確な年齢はわかりませんが、推定8才です。
2015年の夏、私はカナダの牧場でカウボーイをしておりました。
…って、私を知らない人にはいきなりウソくさい作り話に聞こえるでしょうけど、本当です。
6月に電通を辞めて、7月からひと夏、カウボーイをしていました。
カナダの短い夏が終わりかけた頃、日本にいるうちの主人(妻)から
「妹がケガした猫を拾ってしまったのだけど、彼女はアレルギーで飼えないから、うちで飼ってもいい?」
と連絡がありました。
見捨てるわけにもいきませんし、それがあまりにもかわいい猫だったので、僕は「いいよ」と即答しました。
牧場では千数百頭の牛と、三百匹くらいの羊と、犬や猫、鶏たちと暮らしていましたので、うちで猫1匹くらい面倒見るのは屁でもない、と大きな気持ちになっていました。
それで、「猫を飼うなら、犬も飼おう」ということになり、帰国してすぐに大阪の鶴橋というところにある保護犬カフェを訪ねました。
主人はウェブサイトで「この子か、この子」と二匹、目をつけていたみたいです。カフェに入ってすぐに、一匹目のヨークシャーテリア「チャビ」くんをケージから出してもらい、私が抱っこしました。
すると、チャビは私の胸にぴったり体を預けてくっついてきました。
「もうこいつに決定! もうダメもうダメ…」
私は即座に決めました。
もうダメ、というのは「もう一匹を抱っこしてしまったら、二匹のうちどちらかを断らなくてはいけないから、それはダメ。この子に決めます」という意味です。
保護犬って、人間を警戒したり、吠えたり、もっと用心深いものかと思っていましたが、チャビはピタ~っとくっついてきて、その瞬間に私の心はアイスクリームのように溶けました。
それがのちの「ジョージ」です。
ちなみに、猫の方は、悪魔みたいなやつだったと、のちに判明します…。
ジョージは、高齢のブリーダーが倒れて、世話をされないまま放置されていたところを保護された犬だそうです。
とうぜん不潔で、飢えた状態で、左前肢が骨折していたそうです。カフェが提携する獣医によって治療され、今でもその肢には金属プレートが入ったままです(レントゲン撮ると写っています)。
そのときに「3才くらいでは」と聞かされたので、いま5年たって、おそらく8才です。
チャビは、我が家でジョージと名づけられ、新たな生活をはじめたのですが、初日はトイレシートの上にじっとしていて、動こうとしませんでした。
カフェのケージの中はトイレシートが敷いてありましたから、「自分はシートの上にいるもの」と思い込んでいたのかもしれません。
あまりにみすぼらしくてくさいのでシャンプーをしたり、早々に獣医に連れていって予防接種を受けさせたりしました。
獣医に診せたら、「あれ? チャビ?」と言われ驚きました。奈良のうちから鶴橋はだいぶ離れているのですが、偶然にもそこは提携先のひとつだったようで、元チャビ、現ジョージを治療して去勢した病院が近所だったのです。
ジョージを散歩させようと屋外に出しても、はじめはぜんぜん歩きませんでした。
そのうち庭をチョコチョコ歩くようになって、やがて家の周囲を走るようになりました。
私と追いかけっこするように、飽きずに何周も何周も走っていました。
脚が悪くて走れないと思っていたびっこのジョージがうれしそうに走ったときのことは、よく覚えています。必死に写真を撮りましたから…。
駐めてあった自動車のバンパーにゴチン! と頭をぶつけてキュー! と啼いてからは、家の周りは走らなくなりました。
私について外を歩くようになって、徐々に距離を伸ばしていき、近所を一周できるようになりました。
秋が冬になり、私は家の二階の書斎で『カウボーイ・サマー』の原稿を執筆していました。
ジョージを一階に置いたままにすると「キュー、キュー」と啼いて集中できないので、書斎の足元に動物用ベッドを用意してそこにいさせました。ジョージは自分で階段をのぼることができません。
ストーブをつけて机に向かって書いて、疲れるとジョージと散歩して、一緒に昼寝して、夜にまた書くという生活でした。
無職ってすごいんですよ。一日なにをしてもいいし、なにもしなくてもいいんですよ。
でも、常に不安ですから、孤独とのたたかいが苛烈です。
行く会社もない、仲間もいない、給料もない、自分が人生を転落したような気持ちばかり募る。すべてが無駄に思えて、毎日なにをがんばっているのかわからなくなります。
オンラインでスナワチも開始しましたが、誰とも会わないから、とにかく毎日孤独。
いつ来るかわからない注文を待ち、出せるかどうかわからない本を書く。
あの冬の日々に、犬のジョージと猫の寅次郎がいなかったらと想像するだけで、気が狂いそうです。邪魔する寅次郎に怒ったり、私が外出するとピーピー啼くジョージにイライラしたり、育児ノイローゼみたいな気分も味わいましたが、いまになって振り返ると、本当にあいつらがいてくれてよかったです。
私が保護犬のジョージを助けたのではなく、ジョージに出会った私が助けられたのです。飼い主と飼い犬以上の関係なのです、私たちは。
『カウボーイ・サマー』は17年に書籍になり、カウボーイの本などそんなに売れるわけではありませんが、おかげさまで高い評価を得ております。
スナワチは、よくつづいてるなと自分でも思うほど、さまざまな方に助けられて、業績もなんとかジグザグに上がっていっている感じです。
スカイロケットすることも、万事がうまくいくということもありませんが、漸進することが大事だと信じてやっています。
18年にスナワチ大阪ストアを持って、ストアが書斎にもなり、こうしてなにやら書くこともありまして、特にジョージを連れて来られる日は至福です(さらにお客さんが多い日はなおよいですけど)。
あのころのように、朝起きて夜寝るまで一緒にいられるというのは幸せなことです。
おかげでジョージはちょっと分離不安症気味で、お腹もすぐにこわしますが、それ以外は、誰にも吠えることも噛むこともなく、弱っちい犬が一生懸命に店長をしてくれています。
「ジョージです! きたよー」 pic.twitter.com/L33EQaglBL
— スナワチ (@Sunawachi) 2020年1月17日
「ジョージです! きたよー」 pic.twitter.com/F067Bkraqm
— スナワチ (@Sunawachi) 2020年2月6日
「ジョージです! きたよー」 pic.twitter.com/VOMIPM7dRJ
— スナワチ (@Sunawachi) 2020年3月23日
今後とも、スナワチを、ジョージ店長を、ご愛顧願います。
「愛せるモノを、持たないか?」
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「愚か者のマーケティング」
私はだいたい毎日、本を読むのですが、ビジネス書と自己啓発本はあまり読みません。
読むのは、いま興味があることの新書、知らない世界が描いてあるノンフィクション、尊敬する作家や学者のコラム、そして息抜きとしての小説が多いです。
友人から『BUSINESS FOR PUNKS』(ジェームズ・ワット著/日経BP)という本をもらいました。
ブリュードッグというクラフトビールを世界的に大ヒットさせた創業者の著書だそうです。
…だそうです、というのはまだ読んでいないんです。ごめんね、Tさん。
今度ちゃんと読もうとは思いますけど、だって帯に「人の話は聞くな。アドバイスは無視しろ」って書いてあるから、「じゃあ、読まんでいいわ」と思ってしまったのです。
かくいうスナワチも、ほとんど人のアドバイスは聞くことなく運営しております。ほとんどマーケティングというものは無視してやっております。
なぜなら、まともなマーケティングをやりたければ電通時代の仕事として、人様のお金でできたはずですし、なにより、「こういうマーケティングで、こんなに成功しました」というのにどうしてもノレない天邪鬼な自分がいるのです。
もっとわけのわからない、「なにこれ」という不可思議を求めたいですし、レシピのないものをつくりたいような、漠然とした欲求があるのかもしれません。
そもそもレザーという素材自体が、タンナーさんに言わせれば、レシピ通りにやっても毎度同じものができるわけではない奥深いもののはずです。
スナワチは非常に独特の方法で、経営をしています。
カンタンに言えば、前田将多(私)が好きなようにやって、ツイッターで好きなことを言って、「月刊ショータ」というコラムを毎月書いて、私に興味を持ってくれた人が、レザーにも関心を抱いてくれて、やがてストアに来てくれる/注文をくれる、というほぼ再現のできない手法です。
方法とか手法と書きましたが、はじめからそれをマーケティングとして計画・実施してきたわけではなくて、やってたらそうなった、というだけのハナシです。
生きてるうちに「自分の店を持つ」人がどれくらいいるかわかりませんが、それのなにがうれしいかって、はじめてのお客さんが、たまに来てくれるお客さんが、久しぶりの友人が、いつもの友人たちが、いつ来るかわからなくて、毎日のようにうれしいサプライズがあることなんです。すごいことです😎✌🏻
— スナワチ (@Sunawachi) 2020年8月10日
もちろん自分なりにマーケティングしてるつもりなんですよ。だけど何事も計画通りにはいかないというのが、スナワチを5年やっている自分の実感ですし、はじめてやる行為はだいたい失敗するというのが、カウボーイの経験から知ったことです。
科学とデータにのっとって、もうちょっと賢くやっていたら、もっと儲かっていたのでしょうけど、愚か者なりにまずまずがんばってきたほうです。
マーケティングしてないから、「ふつうの法則」が通用しません。
たとえば、’19年の10月に消費税が10%に上がり、ふつうのお店や会社は軒並み売上が下がったはずです。
しかし、スナワチはなぜかその頃から売上が高めに安定していきました。意味がわかりません。
そこから春までずっとよくて、たのしくやっていたのですが、さすがにコロナはガツン!ときました。
「おおぉ、やべえやべえ」と必死になにか考えまして、スナワチTシャツを作ったり、新製品として革下駄を発売したりしました。
価格の税抜/税込を誤って告知してしまったボストンバッグを、起死回生の(苦肉の)策としてそのまま先行予約価格として受け付けもしました…。
そんなことをしていたら夏があっという間に過ぎていきました。
この夏は京都の宇治に遊びにいっただけで、あとはあちこちでビールを飲んだ記憶はあるものの、たいした思い出も残すことなく、嵐のように去っていったような感慨があります。
7月はおかげさまで最高売上でした。いまでも「あのスナワチTシャツ、もうないんですか?」と尋ねてくれる方もいて、うれしいことです。
皆さん、ありがとうございました。
燃え尽きたのかなんなのか(いや、燃え尽きている場合ではない)、9月は静かです…。
いかんいかん、神様は私たちにラクさせてはくれません。
またなにかたのしいこと、よろこんでもらえることを考えます。
マーケティング的に、統計的に言えば、レザー業界なんてずっと逆風です。
電車で車内を眺めても、誰も革のカバンなんか使っていませんし、財布だって小さく小さくが潮流です。
ダンディズムも、モノを大切にも、風前の灯火でしょう。
しかしまぁ、『BUSINESS FOR PUNKS』はまだ読んでいませんけど、私も心だけはパンクスの端くれですから、自分の心の中にちゃんとした「オレ」がいる、そういう人たちにスナワチを訪れてほしいと思います。
See you all.
「愛せるモノを、持たないか?」
スナワチ大阪ストア
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「2周年記念に革下駄を発表します」
新型ウイルスによる緊急事態はようやく全国的に解除されましたが、まだ宣言下の10日ほど前に、スナワチ大阪ストアは静かに2周年を迎えました。
1周年の去年は”BARスナワチ”と称して、ストアを即席のバーにしてみんなでお酒を飲んだのですが、いまはそれも叶いません。
それにもかかわらず、ビールやウィスキーを贈ってくださった方々ありがとうございました。顧客となってくださったみなさん、シビれるようなレザー製品をつくりつづけてくれるクラフツマンたち、いつも励ましてくれる友人たちに、改めてお礼を申し上げます。
Thank you very very much.
長年あたためてきた企画をようやく実現することができます。
京都に吉靴房というちいさな靴の工房がありまして、野島孝介さんという寡黙な男がやっています。
私は6、7年前に、彼のつくる「革下駄」を購入しまして、夏になると履いておりました。当時はまだ会社員でしたが、たまーに会社にもそれを履いて行っていました。自由な会社でしたな……。
スナワチを起業して5年目、大阪にストアを構えて2年目のこの春、私は野島さんに連絡をとり、京都まで出かけ、「スナワチのために革下駄をつくってほしい」と依頼しました。
彼は快諾してくれて、吉靴房のレギュラー製品よりもややスリムで対角線の2カ所の角を落としたフォルムの、特別な革下駄をつくってくれました。彼は革下駄と呼びますが、まぁ雪駄ですな。下駄の歯があるわけではありません。
レザーは、ヌメ革です。ヌメ革というのは、タンニン鞣しの革のことを意味するのですが、一般には、中でも染色や塗装のないものを指してそのように呼びます。
私は同じレザーでつくられた革下駄を何年も使っていますから、履き心地についてはよく知っています。
さらっとした足触りで、履きこむと足型に合ってくるような感触があります。歩いて足裏にじわりと汗をかくくらいが、歩きやすい感覚を得られます。
どの雪駄や下駄もそうなのですが、はじめは鼻緒の部分が足にあたり痛みます。現代人は靴生活に慣れているので、常に守られている足の皮膚は弱いものです。
履きこむにつれ、レザーの鼻緒は柔らかくなり、快適になります。
靴底はウレタンで、思いのほか長持ちします。やがてすり減った際には交換もできます。
最近はハイテクな素材を使った柔らかい雪駄、クッション性を売りにするものも世にはあるようですが、こちらの革下駄は、ふかふかした感じはありません。
革で歩く、本来のしっかりした感触です。
「ラクですか?」と訊かれれば、ラクではありません。
「カッコいい?」なら、「おう、これを見てくれ」と言えます。
カラーはナチュラルの1色。糸の色は白、黒、赤の3つから選べます。
サイズはS(25.5-26.0) / M(26.5-27.0) / L(27.5-28.0)が目安です。
スナワチ大阪ストアには試着用の上記各サイズを用意していますので、試してみたい方は遠慮なくどうぞ。
女性用のXS(24.0前後)はサンプルがありませんが、吉靴房の野島さんは製作してくれますので、ご自分のサイズ数値を把握した上でご注文ください。
※オーダー製作になりますので、サイズ選びに不安がある方は遠慮なくご相談ください。
なお、雪駄を履くときには「かかとを半分出して履くのが粋」という言説があり、わざとやや小さめを履く方もいます。私も実は(以前より履いているものは)そのようにしています。
職業上の必要ももちろんでしょうけど、靴の歴史を繙読するのが趣味であるという野島さんによると、
「小さめを履くのが粋というのは、武士は食わねど高楊枝みたいな起源もあり、昔は草履のサイズなんて細かく設定がなかったんですよ。だから、多少小さくても平気な顔して履かざるをえなかった、という意味もあると思います」
とのことです。
ですので、基本的には靴が26.5の人はMを、27.5の人はLをオーダーいただいて構わないと思います。
「自分の足は、ブランドによって26.0と26.5の中間くらいなんだよなー」という方は、小さい方(つまりこの場合はS)をお選びになればいいと思います。
満を持して発表にこぎつけた革下駄ですので、ふつうにスナワチのオンラインストアで販売したいところなのですが、季節モノですし、吉靴房としては複数個のオーダーをまとめて製作したいという事情がございまして、オーダーをいただく期限を区切って、販売したいと思います。
第1回オウナー募集:2020年6月10日(水)
第2回オウナー募集:2020年6月20日(土)
第3回オウナー募集:2020年6月30日(火)
とさせていただき、7月以降はまた考えます…。
製作期間は約90日間いただきまして、1か月半後のお届けをメドとしてください。
■価格:25,000円+税=27,500円
+送料700円で、合計28,200円です。
お支払い方法は、①口座振込か②代金引換便でお願いします。
いずれも手数料がかかってすみません。
※ストアで購入される方はもちろん送料・手数料はかかりません。
レザー製品はなぜだか秋冬のイメージがあるのですが、涼しげな夏に「ジャパニーズ・レザー・サンダルズ」、いいと思いますよ。
■ご注文方法:
以下をお書きになってメールをください。
①お名前
②郵便番号とお届け先
③お電話番号
④ご希望サイズ:S(25.5-26.0) / M(26.5-27.0) / L(27.5-28.0) /その他(数字をご記入)
⑤糸の色:白、黒、赤
⑥お支払い方法(口座振込、代金引換便、店頭)
今はまだ、なかなか出かけられなくて鬱々としますが、みなさんによい夏がやってきますように。
Have a great summer!
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ストレートに言いますと「スナワチTを買ってください」
この夏、自分で着ようと思って数枚だけ作ったスナワチTシャツは、非売品のつもりだったのですが、撤回します。
ご希望の方に販売いたします。
コロナウイルスの危機が日に日に拡大する状況(2020年3月末現在)の下、スナワチは昨年秋の消費税増税にもかかわらず、おかげさまでビジネスとしては順調に推移し、「ようやく食えるかもしれないな……」と、ほっとしていた矢先でした。
今はギリギリ持ちこたえているのですが、キツイのは「終わりが見えない」の一点に尽きます。
3月は締めてみたら、例月の20~30%減です。よくないです。
楽観的な私でも、じわじわと不安が迫ってきて、どうしたらいいかわからなくなる瞬間もございます。
政府の個人への給付金はどうやらないみたいですし、企業に対する支援といっても「どう見ても『なるべく来ないでね!』と言わんばかりの難解な書類と煩雑な手続き」が待っていて、アテにできません。私は小規模事業者持続化補助金というのに過去3回も落ちてるので、政府から見放された存在だとあきらめております(苦笑)。
しかし、まぁ、こういうとき、モノを売る商売の人間は「いいモノを買ってもらう」しか手はないのです。
おかげさまで毎年好評を博している「ウェットブルー・ポケットTシャツ」は2020年版も計画中です。
が、それも夏まで発売しませんので、この春をなんとかするために、「スナワチTシャツ」を作ります。
と言っても、ペペッと乱造したものを売るようなことは、スナワチの沽券にかかわりますからいたしません。
こういうTシャツです。
ベースとするシャツは日本製。海外製なら数百円で手に入りますが、このプロジェクトはスナワチご支援のお願いであり、国内メイカー支援も兼ねているので、品質のいいものを起用したいです。
以下はTシャツメイカーの説明です(私はシャツの専門家ではありませんので譲ります)。
- 40双糸(細めの40番糸を2本撚り合わせて、20番単糸と同程度の太さをもたせた糸で編まれた生地です。強度を高めながら、細めの糸のなめらかさを持ちます)
- コーマ糸(糸を生成する最終段階で、均一性を高めるために、コーミングという工程で余分な繊維を20%ほど取り除いた糸です)
- 度詰め(糸から生地にしていく編みたて工程の糸テンションを一般より1クラス詰めて編み、生地目がきっちり詰まったもの)
- 6オンス程度の厚み
「スナワチ」ロゴは、やや小さめにプリント。
シルクスクリーンなので、仕上がりがきれいで、耐久性に優れています。
裾にはレザータグを縫い付けます。ウェットブルー・ポケットTでも使用する、「染色されていないから色落ちしようがない」という大発見なウォッシャブル・レザーです。独特のブルーは、皮をクロム鞣しする際の塩基性硫酸クロムの薬剤の色です。
以下、正直なスナワチは、このTシャツの個人的によくないと思う点も挙げておきます。
不良品はもちろん交換しますが、購入前にご承知いただきたいです。
- サイズが小さめです(後述)。身幅が狭く、着丈がやや長いように感じます。体の大きな男性には合うサイズがないかもしれません(比較的体の大きな男たちがまわりに多いので申し訳ないです)。
- 生地はよいですが、縫製については若干甘い印象です。
こういうTシャツでよろしければ、ご希望の方に受注生産というかたちでお届けします。
■価格は、税込・送料込みで、5,500円です。
ここでも正直に申し上げますと、通常の製品として販売するなら、この品質、プリント、レザー縫付けの手間(つまりコスト)であれば、6000円以上にします。
「こういうときだし、しゃーないのう!」と気持ちよく言ってもらえる価格のつもりです……。
■サイズ選択について:
やや小さめです。ふだんMを着る私がLを着ています。
男性サイズです。女性でももちろん着用可能ですが、今回選択したメイカーに女性サイズの設定がなくてすみません。
洗うと若干縮みます。メイカー提供の「洗濯後、乾燥機使用」ののちの数値がこちらです。
※メイカーでは乾燥機仕様は、ぜんぜんおすすめしていません。
不安がおありの方は、お気に入りのTシャツサイズとご比較ください。
■カラーは1色です。白ベースに黒プリント+ウェットブルー・タグ
■お支払いについて:
銀行口座振込(振込手数料がかかります)、PayPay、商品代引き(代引き手数料がかかります)の3通りが可能です。
■返品と交換について:
不良品は交換いたします。サイズが合わなかった、イメージとちがったなどの理由による返品は、今回に限ってはご容赦ください。
再度言いますが、ひとつ上のサイズがおすすめです。
■締め切りとお届け時期について:
第1回締め切りを「2020年4月1日の夕方6時」とさせていただきます。すぐ来ます。
そこから製造して、4月第3週にはお届けしたいと考えています(予定)。
ご希望者が少ない場合、第2回はありませんw
そんなわけで、ご希望の方は以下の情報を記載の上、メールをくださいませ。
①ご希望サイズ
②お支払い方法(それによりメール返信で詳細をご案内します)
③お届け先の郵便番号・住所・電話番号 ※レターパックでお送りします。
④お名前
送信先:info@sunawachi.com
以上です。
お問合せ、ご質問もメールでどうぞ。
どのお店も会社も助けてほしい状況だと思いますが、スナワチとしてはただなにかを恵んでもらうのではなく、お互いに「よかった!」と思える施策を打ちたくて、考えたプロジェクトです。
賛同くださる方々のご購入をお待ちいたします。よろしくお願いいたします。
Thank you very much in advance.
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