セックスレス1102日目
1102目になった。
相変わらず昨日に引き続き、
どんよりした空模様に嫌気がさす。
12時前には出かける予定があったので(浮気ではなく趣味の予定)話題のニュースを取り上げてはガヤガヤ言い合うワイドショーをながら見しながら支度を済ます。
結局はコメンテーターは解決する気などなく、他人に降り注ぐ困難や問題を同意したり、反抗したり、ただの井戸端会議をもっともらしい口調で論じているだけだ。
仕事柄そういう現場に立ち会う事もあるが、
残念ながら製作側は感情なんて関係なく、正論なんて知ったこっちゃねぇ。数字を取れれば良いだけなのだから。
火に油を注いでこそ、飯が食えるのだから。
そんなこんなで趣味の時間を楽しみつつ、
ただ平凡な日曜日が過ぎていった。
平凡な日常や平穏な日々が幸せと言うならば、僕は幸せ者なのだろう。
しかし、今日も僕達が1つになることは無い。
同じベッドで隣同士になりながら、
当たり障りのない会話と、
明日からまた仕事か、というお約束のフレーズが頭をよぎりながら眠りにつくのだ。
セックスレス1102日目。
きっと妻は不満だし不安なんだろうと思う。
でも、僕は今日も妻を抱くことに躊躇して逃げる最低な夫だ。
セックスレス1101日目
1101日目になった。
昨夜の帰り際についつい寄ってしまった、
ラーメンの重みに後悔しながら
左側で熟睡している妻を起こさないようにベットから出る。
昨日の「きよみ」から連絡が来ていないか?そう思い、LINEを確認すると音沙汰はない。
これでいいんだ。
きよみとはこの先関係は持つ事も無ければ、恋愛感情を抱かられる事もないなと安堵した。
少しも寂しくないといえば強がりなのかもしれない。でも、お互いのためにはこれが1番な選択だろうと自分に言い聞かす。
せっかくの休日だというのに、
曇り空で今にも雨が降りそうな天気に、
休日を台無しにされたような思いを抱く。
テレビを見ながらダラダラと過ごし、
奥さんはまだゴロゴロと寝ている。
日曜日は予定があるので、申し訳ないと思い、せめて土曜日くらいは夫婦の時間を設けておこう、と考えていた映画鑑賞も、天気の悪さと、「毎月1日は映画の日」という割引デーによる、混雑が見込まれたので「来週でもいいし」という妻の意見も受けて延期した。
代わりに近所のスーパーを二軒はしごする買い物に付き合う。妻のカゴの着いたママチャリに僕が乗り大量荷物を担当する。トイレットペーパーだけでカゴがいっぱいになり、ママチャリの後ろにもカゴを付けるその意味がわかった。
夕方からは僕はリビングでテレビを、
奥さんは寝室で漫画を読む。
タイミングを見計らったようにセフレのつぼみからLINEが届く。
「こんな服買ったんだけどどうかな?」
という写メと一緒に込められたのは、
今夜のお誘いだったが、うまく誤魔化し、つぼみもそれを受け入れた。
僕の頭に残るのは「本当にAV女優のつぼみにそっくりだなぁ」という、いつもの感想を抱くだけ。
ただ、この関係もそろそろ終わりにしなければいけない。でも、どうすれば良いか良い答えが思い浮かばない。
夜になり奥さんはまた漫画を読み、
僕はまだテレビを見て過ごす。
僕は眠くなり寝室へ。
奥さんはまだ漫画を読みたいからリビングへ。
居場所を交換して「先に寝てるね、おやすみ」と今日が終わる。
セックスレス1101日目。
今日も僕達が1つになることは無い。
でも、僕は奥さんが大切だ。
セックスレス1100日目
1100日目になった。
数字的に見ると妻とそーゆー行為をそれだけしていないのかと、ほんの少しばかりリアリティが湧く。
ブログで可視化したお陰か、
それとも関係ないのか。。。
本当の事はまだ僕にはわからない。
仕事の後に約束をしていた経営者のAさんと飲みに。遅れる連絡を入れた電話越しに聞こえた声や雰囲気に、少し嫌な予感がしつつ指定された店へ向かう。
北口から大きく大回りしながら、飲屋街のキャッチと、色仕掛け勝負のお姉さん達のディフェンスを突破する。
嫌な予感から防衛反応が働いたのか、
コンビニで気休め程度の「悪酔い対策」として、菓子パンとヨーグルトを路地の片隅で胃袋に入れお店へ急ぐ。
念には念を。
僕は左手薬指のリングを外し、バッグのポケットに忍ばせた、ディズニーランドで一昔前に流行った革製のブレスレットにリングを通しては、ボタンで止めてカバンにしまう。
別に結婚していることは隠さなくていい。
でも、なぜ隠すのか。
正解はただひとつ。
「僕のことを好きな女性に、結婚していることを隠す為」だ。
準備していた事は功を奏した。
僕のことを好きだと言った「きよみ」は友人と店にいた。
まさかとは思った反面、
やっぱりなとも思う。
30代後半のきよみは少し年上で、
大学の教授を相手にするような、
キャリアウーマンだ。
白い生地に黒のドットのブラウスに、
ネイビーのレースのタイトスカート。
流行りのOLど真ん中のファッションで、
傍から時折見えるブラジャーが、
僕の好奇心を煽ってくる。
「久し振りだね」
の一言に「ようやく来たわね」の意味も含めたきよみ。
軽めのジャブをかましてきた理由がある。
僕はきよみの誘いを数回「ドタキャン」していたからである。
ある日、きよみは悲しいことがあったと僕を誘い、彼女の家の近くで飲んだ帰りの24時。
社交辞令を思いっきり含んだ、
「遅い時間だし、家の近くまで送るよ」
という言葉を、ダイレクトに受け止めてくれたきよみはその日、お互いに明日が休みとわかると「家で少し飲み直さない?」と目を潤ませて僕を誘った。
僕はその誘いを気付かないフリをして
丁寧に断った。
何故なら、
家には妻が帰りを待っているからだ。
返って「誘惑にならなかった、誠実な男」
という偽りのレッテルが、きよみの中で僕の価値を上げ、それ以来執拗に誘われることになった。
僕は断り続けていたし、そもそも「やっちゃったら、めんどくさくなるタイプ」という明らかな結論が、僕をきよみから遠ざけた。
それ以来のきよみとの再会。
友人がいたせいか、共通の友達としての飲み会だったが、帰りの集団でギュウギュウになった社内で僕ときよみは、まるで抱き合うかのような状態になっていた。
僕が先に降りる。
きよみは次の駅だ。
降りるのか?
誘うのか?
微妙な空気は僕達を駅で別れさせた。
指輪は外していたが、友人が結婚したことを伝えていたのだろう。
僕はそのまま帰路に着く。
ダメなサラリーマンのように、
25時のラーメンを食べていた。
セックスレス1100日目。
帰ったら奥さんは、きっと、眠りについているだろう。
セックスレス恐らく1099日目
1099日目になった。
銀座のど真ん中は、相変わらず煌びやかだ。
観光客が多いが、
街を歩く女性はキレイな人が多い。
地元の人はほとんどいなく、
ほぼ田舎や他の地域から来てる人が密集しているのが原宿のように、銀座もそうなのかもしれない。
着飾る事で銀座は馴染めるのか、
はたまた着飾りたいから銀座に行くのか。
どっちでもいい愚問を思いながら、
たった600m先の店に行くだけにタクシーを使う社長の為にタクシーを拾い、社長をタクシーに詰め込んで、僕は歩いて店にいく。
VIP席に通され、代表取締役、常務取締役と言った肩書きの紙切れが挨拶と共に増え、面白くもない昔話に相槌を打ち、身内ノリの話題で無理やり爆笑をする。
このままでは僕の顔のほうれい線は、数年後には跡が付くくらいクッキリしてしまうのではないか。
夜の銀座は確かに煌びやかだ。
でも、僕が好きになることはないだろう。
居心地の良い住み慣れた街は、
さっきまでの喧騒が嘘のように静かだった。
ラップの張ってある晩御飯に、
申し訳なさを強く感じながら僕は今日も妻とセックスする事なく、眠りにつく。
セックスレス1099日目。
それでも、僕は奥さんの事が大切だ。
セックスレス恐らく1098日目
1098日目になった。
昨日はあんなに仲良くしたAV女優つぼみ似のセフレからは連絡1つない。
これは「もはや俺が手のひらで転がされてるのでは?」一瞬過るが「それはないな」と根拠のない自信がねじ伏せる。
この何処から湧いてきたかもわからない自信が、過ちを繰り返させる原因なのではないか。
罪悪感の微塵もないこの感情は一体何なんだろう。
いつか大きなしっぺ返しが
僕に大きく降りかかる日が来るのだろうか。
妻はパート先で「立ち仕事が続いて足が痛いんだよね」と笑いながらベッドに足を伸ばして漫画を読んでいる。
今日も平穏で穏やかな僕と妻。
不満な事など何一つない。
でも、わかってる事はただ一つ。
僕達は今夜もセックスをすることはない。
セックスレス1097日目。
それでも、僕は奥さんの事が大切だ。
セックスレス恐らく1097日目
1097日目になった。
その原因はハッキリしている。
世間的には都合のいいオンナ、
俗に言う
セフレとさっきまで一緒にいたからだ。
彼女は同い歳で
AV女優のつぼみに驚くほど似ている。
最初に出会った時は本人じゃないかと思われたほどで、カフェに2人でいた時はとなりの男子大学生から「あれ、つぼみじゃね?」
とあからさまに言われ、
帰り際に「サインもらえますか?」と言われた事があるほどだ。
でも
僕は好きじゃない。
それなのに何故身体の関係を結んでいるのか?と言われれば、何一つ反論が出来ない。
ただの性欲に負けて、僕のくだらない「やりたいLINE」を「会いたいと思ってくれている」と捻じ曲げて受け止め「必要されている」と思い込み、僕の欲望を倍返ししてくれる彼女。
僕はいくつもの嘘を積み重ねて会う約束を取り付け、また嘘を積み重ねて用が済んだら帰れるリミットを取り付け、2時間程度の時間をともに過ごす。
つぼみは幸せだという。
僕は「俺も同じだよ」と言葉で
「早く帰りたい」という気持ちにフタをする
1人で髪を濡らさないように浴びるシャワーと、ボディソープの少し強い香りの事を気にしながら、家で待つ妻のことを思う。
そして、
申し訳なさと
こんな事をしているから
僕は妻とセックスレスなんだ。
と、後悔に近い、でも、そこまで悪びれているわけでもない愚かで未熟な自分の感情と人間性に気持ち悪くなりながら、繋ぎたくもない手を繋いでホテルを出た。
つぼみは「また会おうね」と微笑んで
ネオンがうるさい人混みに消えて行った。
僕は振り返ることもせず駅へと向かう。
視界に飛び込んできた
「人身事故で運転見合わせ」
という文字と
妻からの
「今日は遅いのかな?」
の文字が重なり、
酷く怖くなった。
セックスレス1097日目。
こんな最低な人間だけど
でも、僕は奥さんの事が大切だ。
セックスレス恐らく1096日目
今日で恐らく1096日目だ。
昨夜にブログを立ち上げたモノの、
果たしてこれが良い事なのかは、
わからないのが正直な所です。
だけど書き続けようと思う。
自分に出来る1つの策として。
早速午後の移動中の電車内で書こうと思ったが、記入画面の画面上部に表示されている自分のブログタイトルが、左隣に座るOL風の女性に「見られたらどうしよう」と不安になり画面を閉じた。
結果、メモの画面で書き綴ることにした。
今夜も僕は奥さんとセックスはしないだろう。
いつものように20時前に会社を出て、21時過ぎに家に帰り、シャワーを浴びて、BGMのように付けられたテレビを見ながらご飯を食べるのだろう。
今日あった出来事を聞き、洗い物をする奥さんを横目にDAZNで昨日のJリーグのハイライトを見て、グダグダ過ごすのだろう。
奥さんは今日はパードが休みだったから仕事の愚痴もないだろうから、話す話題は少ないだろう。
少しすると奥さんはスマホでゲームをするのだろう。そして僕は0時位に明日に備えて寝室に向かう。彼女はまだスマホでゲームに興じ、1~2時間後位に寝室にきて隣で眠るのだろう。
このいつものルーティーンが、
今夜も行われるのだと思う。
これが6月に入籍したばかりの、
僕達夫婦の日常なのだから。
セックスレス1096日目。
こんな日常だけど、
でも、僕は奥さんの事は大切だ。