ABC予想を用いたフェルマーの最終定理の証明

昨年ついに望月先生の証明したABC予想の論文がアクセプトされたようです。

恥ずかしながらABC予想の主張をようやく把握しましたが、その強力さに非常に衝撃を受けました。

望月先生によるABC予想の証明及びABC予想を証明する鍵となる望月先生が1から構築したIUT理論について理解することができれば、21世紀の数学の世界が見れるのではないかと思い、数論を本格的に勉強しようと思いました。

 

ABC予想を用いると、フェルマーの最終定理が瞬殺できてしまうそうです。あのフェルマーの最終定理が一瞬で解けてしまうのは、なんだか複雑な気持ちになりますが、この成果によってリーマン予想など数学上の重要な問題の解決が前進すると考えれば、21世紀の数学もまだまだワクワクしますね。

さて、今回はABC予想を用いたフェルマーの最終定理の証明をしてみたいと思います。

フェルマーの最終定理は3 以上の自然数n について、x^ n+y^ n=z^ nとなる自然数の組(x, y, z) は存在しない、という定理です。

 

ABC予想の主張は以下の通りです。

a + b = cを満たす、互いに素な自然数の組(a, b, c) に対し、積 abc の互いに異なる素因数の積を d と表す。このとき、任意の ε \gt 0 に対して、
c \gt d^ {1+ε}を満たす組(a, b, c) は高々有限個しか存在しない。

 

また、自然数 n に対して、n の互いに異なる素因数の積を n の根基 (radical) と呼び、rad(n) と書きます。以下に例を挙げます。

p素数の場合、rad(p) = p
rad(8) = rad(2^3) = 2
rad(20) = rad(2^2 ⋅ 5) = 2 ⋅ 5 = 10

 

rad(n)を用いるとd=rad(abc)とかけます。

ABC予想と同値な表現として次のものがあげられます。

任意の正の実数 ε に対し、ある定数 Kε が存在して、全ての互いに素な正整数の組 (a,b,c) a+b=c であるようなものに対して以下が成り立つ。

c \lt K_ε⋅rad(abc)^{1+ε}

 

証明

ε=1,K_ε=1のときc \gt K_ε⋅rad(abc)^{1+ε}を満たす全ての互いに素な正整数の組 (a,b,c) が存在しないという仮定のもとで証明をします。(この仮定が正しいかどうかはわかりません。調査不足で申し訳ございません。)

ε=1,K_ε=1より

c \lt rad(abc)^2

 

フェルマーの最終定理が成り立つと仮定すると3 以上の自然数 n について、x^ n+y^ n=z^ nとなる自然数の組(x, y, z) が存在する。

a =x^n,b =y^n,c =z^nとすると、

z^n \lt rad(x^n y^n z^n)^2

ここで、整数k に対して rad(k^n)=rad(k)≤k なので、

z^n \lt rad(x^n y^n z^n)^2 =rad(xyz)^2 \leq (xyz)^2

また、x^ n+y^ n=z^ nより z \gt x,z \gt yなので、

 z^n \lt (xyz)^2 \lt z^6

z \gt 1よりn \lt 6

したがって、n≥6 の場合のフェルマーの最終定理に解が存在しないことが言えました。

n=3,4,5の時は古典的な証明があるので3 以上の自然数 nについて解が存在しないことが言えます。

 

初めての記事なので思ったより時間がかかってしまいました。

徐々に慣れていきたいと思います。