縦の糸はホラー 横の糸はゾンビ 織り成す布はいつか誰かを暖めうるかもしれない

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映画ヒューリーズ 復讐の天使のあらすじとネタバレ感想

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映画の評価

★★★★☆

相変わらず各国のよくわからない映画賞を受賞している怪しい映画の祭り、未体験ゾーンの映画たちの一作です。

ただ、スラッシャー映画としては中々の掘り出し物でして、8人の殺人鬼と8人の美女(笑)が殺し合いのサバイバルをするという話で、未体験ゾーンの映画たちは肩透かしの内容が多い中で、なかなか激しい描写の続く映画です。

しかも作中、ただ殺し合うだけでなく色々な”仕掛け”があるので、それも中々いい隠し味になります。

 相変わらず邦題の”復讐の天使”は意味不明で、まるでリベンジ映画みたいになってしまいますが作品に罪はありません。 

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あらすじ

夜の街で落書きをしていたケイラは友人のマディと一緒にさらわれ、気が付くと知らない森の中で棺桶のような箱の中で目覚めます。

そこには何人かの女性と不気味なマスクをかぶった殺人鬼がいます。

殺人鬼は女性を殺しに森の中をさまよいます。

ケイラはマディを探しながら森から脱出する方法を探すのでした。

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ネタバレ感想と魅力解説

 8人の美女と8人の野獣が殺し合いーなんだか期待しては裏切られてきたこの手の設定ですが、見事にこの作品は期待に応えてくれました。

 冒頭から早い展開でケイラたちが拉致され、シーンは人気のない森の中へ。

そこで出会った謎のマスクをかぶった小汚い殺人鬼たち。

気づけば殺人鬼たちはジェイソンだったり、レザーフェイスだったり往年の大先輩たちのマスクをかぶっていますが、小柄なせいか迫力はありません。

内容としてはそういった殺人鬼と女性たちがヒット&アウェイしていく映画ではあるのですが、この映画ではもう一味作っています。

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美女と野獣で一組

 作品中盤で殺人鬼同士が殺し合ったり、ケイラの前で突然野獣の頭が爆発するシーンがあります。

視聴者も「?!」となったこと間違いないと思いますが、これはここでデスゲームが8人VS8人ではなく、2人VS4組という構図だということに気づきます。

つまり、美女と殺人鬼はそれぞれがチームではなく、美女+殺人鬼で1つのチームで互いに殺し合いが行われる「美女と野獣」方式なわけです。

こうなると美女同士が協力するわけもなく、互いに見張りながら殺人鬼からの攻撃を防ぎます。

 この設定は斬新かつ素晴らしかったです。

(まあその設定が生かしきれていたか?と言われると微妙ですが) 

続編があるか?

美女とは到底いいがたいとか、アクションシーンの迫力がいまいちとか、目をくりぬけば脱出できるとかチートすぎ、などつっこみどころは多い本作ですがグロシーンはしっかり作りこんでいるし、続編が楽しみです。

サラリーマンバトルロワイヤルなんかもこの手の終わり方でした。

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 まあ邦題の復讐の天使あたりはラストにちょこっと主催者やスポンサーを襲撃するシーンぐらいしかないので相変わらずセンスないなと思いますが。 

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 最後に

スプラッターやスラッシャー映画好きならぜひご覧ください。

【躾は大事】ブライトバーン/恐怖の拡散者のあらすじとネタバレ感想

ブライトバーン 恐怖の拡散者のあらすじからネタバレ感想

あらすじ 

トーリとカイルの夫婦は長年不妊に取り組んでいました。

ある日の夜大きな音とともに外を見にいくと森の中で一人の赤ん坊を見つけます。

トーリの強い希望もあり、その子をブランドンと名付け夫婦は彼を育てていきます。

彼が思春期に差し掛かるある日、ブランドンは自分が普通と違うことに気づきます。

時々「奪え」という声が頭の中で聞こえ、我を忘れたときにはすさまじい力や瞬間移動、空を飛ぶなど超人的な力を発揮するのでした。

トーリとカイルはそんなブランドンの変化に戸惑いながらも、どうしても彼を疑いきれずにいました。

そんなある日、ブランドンが学校の友人の腕を骨折させたことからトーリの周りでは不審な失踪事件や事故が次々と起こります。 

 主要キャストの紹介

ブランドン・ブレイヤー役 ジャクソン・A・ダン

トーリ・ブレイヤー役 エリザベス・バンクス

カイル・ブレイヤー役 デヴィッド・デンマン

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ネタバレ解説

事前の情報でこれほど面白そうな題材はない映画だと思いました。

アベンジャーズ、ジャスティスリーグなどヒーローものはずいぶんと盛り上がり一巡したころ「もしヒーローじゃなく悪落ちしたヒーローがいたら?」というなんとも素晴らしいアイデアを映画にしたわけですから。

しかもそれを、ガーディアンズオブギャラクシーでヒーローもの作ってるジェイムズガンが作ってるならそりゃ面白いはず!なんて思ったわけです。

評価は

正直映画の評価はいまいちでした。

でも、それでも目の付けどロコはよかったと思いますし、単なる悪落ちしたヒーローとは違ういい味も見つけた映画だったので少しづつ解説していきます。

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映画の見どころは

結局この映画のテーマが何だったのか?ヒーローになるのはスーパーパワー+倫理が必要?生まれよりも育ちで善悪が決まってくる?子育ては大変?思春期は大変?色んなテーマがありそうな中で私はやはり「親子愛」に尽きるかなと思いました。

改めてこの映画の最大の見どころはどこか?

それはラスト、ブランドンが出演している人間の半分くらいを殺し終わった後に最後トーリと対面するときです。

悪に完全覚醒したブランドンに対し、そのブランドンを殺す方法を見つけて彼をおびき出したトーリ。

強者と弱者、悪と善、子と親、安心と殺意、これらが僕が感じた二人の印象です(前者がブランドンで、後者がトーリです)

そして、決定的だったのがブランドンが語った言葉です。

ここは大事なので映画からそのまま引用します。

トーリ「今でも信じてるの。あなたは地球に落ちてきた贈り物だと。(中略)なにをしたにせよ、あなたの心の中には優しい心が残っているはず。」

ブランドン「僕は本当はいいやつになりたいんだ

トーリ「なれるわ、私が手を貸す。あなたはいつまでも私のベイビーよ。」

 分かりますか?

ブランドンは父に殺されたかけて混乱しているところで最後の安息地である母親に助けを求めるのです。ですが結局トーリは口ではブランドンに優しい言葉をかけるのですが、右手にはナイフを握っておりブランドンを殺そうとする。

親子愛がテーマのはずの映画でここの前提が崩れてしまっているのが一番残念です。

本来であればトーリはブランドンを信じてあげるべきでした。

どんなに息子が殺人鬼でもロクでもなくてもサイコパスでも変態でも、それに無償の愛で応えるのが母親なのです。

友人や学校の先生や親せきや父親が見捨てても、それでも最後まで息子を信じるのが母親という存在なのです。

もう一度言えば、息子が「本当はいいやつになりたい」と言ったとき世界で唯一彼を信じあげられる人間が母親のトーリであるべきです。

そして、それでも彼が絶対悪だと言うのであれば、喜んでトーリは死ぬべきです。愛した息子に殺されることほど救いのある話はないでしょう。何しろ息子を信じたまま死ねるわけです。

息子ではない、のか

さらに興味深いのはカイルが中盤から完全に「(ブランドンは)息子ではない」と明言していることです。中盤から感じる違和感はトーリとカイルの温度差も関係があります。

カイルにとってブランドンは息子ではなく、”子犬を拾ってきた”(表現悪いですが)という感覚でしかなかったのです。結果的にブランドンを守り(信じ)切れなかったトーリも”そのレベルの覚悟”しかなかったことが個人的には残念です。そういう意味でとても暗い映画に仕上がっています。

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 最後に

トーリは最後までブランドンを信じてあげていれば彼がより大きな厄災をもたらすことはなかったはずです。監督がそれほど人間の愚かさを描きたかったのであれば、これほど救いのない鬱映画はないでしょう(そこまで考えていないように思いますが。) 

題材が面白い分、作りこみが甘く、内容が浅くなってしまっていたのは少し残念です。

続編の構想もあるらしいですので、覚醒したブランドンがどう成長していくかはとても楽しみですね。

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映画ポラロイドのあらすじとネタバレ感想【写れば死ぬ】

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 評価とキャスト

★★★★☆

 気鋭の監督ラース・クレヴバーグのデビュー作とあって、なかなか面白かったです。

作品としてはクラシックなポラロイドカメラを題材にして、シナリオもよく練られている作品です。

オチは読みやすいですが、物語が2点3転していくので飽きることなく鑑賞することができます。

写真に写ると死ぬ、というのは洋画よりも邦画に多そうな題材なのでより日本人にもしっくりくる内容でした。

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キャスト

 バード:キャスリン・プレスコット
コナー:タイラー・ヤング
ケイシー:サマンサ・ローガン
謎の老女:グレイス・ザブリスキー
ペンブローク保安官:ミッチ・ピレッジ
ハビエル・ボテット
ケイティ・スティーヴンス
マデリン・ペッチ
ショーナ・マクドナルド

スタッフ

監督 ラース・クレヴバーグ
脚本 ブレア・バトラー
原作 ラース・クレヴバーグ
製作

ロイ・リー
クリス・ベンダー
マイケル・マホニー
製作総指揮

ヨン・アイナル・ハーゲン
ペッテル・オンスタッド・ルーケ
マシュー・シグナー
キース・レヴィン
マリ・ユーン
ジェイク・ワグナー

あらすじ

高校生でカメラが趣味なバードはある日バイト先の友人タイラーから年代物のポラロイドカメラをもらいます。

喜んだバードはお礼に彼の写真をとってあげると、次の日彼は突然死んでしまいます。

その日バードは友人のケイシーに誘われて気乗りしないパーティに参加します。

場になじめないバードは一人でつまらなそうにしていると、ひそかに想いを寄せるコナーに声をかけられます。

友人に頼まれコナーとケイシーたちの写真を例のポラロイドカメラでとったバードはふと写真の陰のようなもの映っていることに気づきます。

それからというもの、写真に写った人間が次々と死んでいく事件が起きます。

そして、その時には必ずポラロイドカメラで撮った写真に影が映っているのでした。

バードはポラロイドに何か秘密があると思い、ポラロイドのケースに入っていた事件の証拠記録を見つけます。

そこには何十年も前にある連続殺人事件が関係していることに気づくのでした。

結末ラスト

ポラロイドに宿っていたのは殺人犯の意識でした。

彼は自分が娘のポルノ写真を撮っており、その真実を知った人たちを殺しては拷問してその様子を撮影していたのでした。

襲われるバードたちは殺人犯の霊の写真を撮り、その写真を焼くことで殺人犯の霊を倒すことに成功します。

バードは最後にポラロイドを海に投げ捨てるのでした。

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ネタバレ感想

 ラース・クレヴバーグ監督のデビュー作品であるこの映画ポラロイド。

この監督の名前は知らなくても「チャイルドプレイ」という映画を知っている人は多いはず。

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 チャイルドプレイのリブートを制作したのがこのラース・クレヴバーグ監督です。

もともと短編で作った映画を長編した本作ポラロイドは今とても勢いのある監督の作品であることは間違いありません。

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ポラロイドの良さ

時は幕末、日本では海外から入ってきたカメラというもので写真を撮ると魂を吸い取られると信じていました。

日本人の頭にはそういった恐怖感が心の奥底に眠っているんですね。

それから100年以上たった今、ありそうでなかった「写真を撮られると死ぬ」という設定がフィルムに現れます。

ただ、幕末と違うのは今の人たちはカメラではなく、スマホで写真を撮るということ。

科学の最先端を行く、スマホという小さなこの箱は毎年新しい機種が出て、1年ごとに電池の消耗とともに買い替えが頻繁に行われる消耗品です。当然そんなものに魂なんて宿るわけもなく、仮にホラーを作ってもチープな感じがするでしょう。

ですが、ポラロイドカメラというクラシックなハードを使用するとあら不思議、たしかになんだか魂というか呪いというか霊が宿っていそうな雰囲気が漂うわけです。

日本には昔から古いものに魂が宿る「付喪神(つくもがみ)」という神様がいますが、なるほどたしかに古いものにはなんだか尊敬と畏怖の念を持ってしまいます。

映画として面白い

そして何より映画として面白かったです。

最近のホラー映画はお化け屋敷映画(音や描写で驚かしていく映画)が多い中で、ちゃんと起承転結があり、ポラロイドに宿る殺人鬼との戦いもしっかりしていました。

ただ、残念な点は画面が終始暗すぎて、何が起きているかわかりずらいということ。

写真の影が次殺す相手のところに移動していく設定ですが、そこも見ずらく、今影がどこにあるのかわからないということも多々ありました。

ただ、全体的にはとても楽しめる作品でした。

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 最後に

ラストでバードはカメラを壊さずに海に投げ捨てました。

映画としては続編を匂わせるようなラストでした。

映画王宮の夜鬼の評価・あらすじとネタバレ感想【朝鮮時代ゾンビスペクタクル】

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評価

 ★★★★☆

  韓国発のパニックアクションです。

タイトルからはわかりずらいですが、ゾンビものの一種と言える作品で韓国×ゾンビと言えば、やはり新感染-ファイナルエクスプレスでしょう。

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ただし、本作はアクションや娯楽に力を入れた作品であるため作品の重厚感については新感染よりも下にならざるを得ないです。

しかし、ドンゴンとヒョンビンという美しい(?)俳優二人の実力は十分であり、何よりもゾンビものをここまで丁寧に奇麗に作った作品として個人的に評価できる作品です。

 より詳しく「ネタバレ感想」で書きたいと思います。

あらすじ

大陸では明と清が争う時代。

朝鮮の沖には黒船が停泊しており、そこでは銃の密売が行われていました。

彼らは狂気の王イ・ジョに反旗を翻すつもりでしたが、王の舞台により捕まってしまいます。

怒った王は彼らを拷問しますが、なんとその黒幕は自身の王子だったのです。

王子は今の王の政治に異を唱え、そのまま自害してしまいます。

時はたち、王子からの書簡を受け取り、朝鮮へ向かった王子イ・チョンは部下のハクスを従え、市街地で夜鬼という化け物に襲われます。

夜鬼はもとは人間ですが、目が白く、牙が生え、人の血を吸う化け物でした。

夜鬼を撃退するチョン王子たちですが、そこでパク従事官と弓使いのトッキたちと出会います。

ことのあらましを聞いたチョン王子は王宮へ向かい、街へ軍を派遣してもらうよう要請しに出発します。

一方王宮では王位を狙う側近のキム・ジャジュンによる策略が行われていました。

キム・ジャジュンはまず王子の妃を監禁し、自分に都合の悪い人間をことごとく排除します。

そして、王宮に夜鬼を紛れ込ませ、ついに王を襲うことに成功します。

明から使者が来るひ、宴が行われましたが、その最中王が夜鬼になってしまいます。

宮中は大混乱になり、チョン王子は妃を連れて王宮からの脱出を図ります。

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ネタバレ感想

新感染 ファイナルエクスプレスから2年たち、韓国映画でもそろそろ新しいゾンビものが欲しいと思っていたころ現れた本作。

 時代設定が明の時代という歴史ものなのでカタカナの「ゾンビ」はご法度。ですので、歩く死体を彼らは「夜鬼」と呼んでいるわけです。

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韓国映画の魅力(強み)

パラサイトが受賞するなど最近は躍進している韓国映画。

ゾンビ物で最近ヒットしたものといえば、新感染 ファイナルエクスプレスを上げる人もいるはず。

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 私もいくつか韓国映画を見ている中でやはり感じるのは韓国映画の描く「人間模様」の巧みさです。

韓国映画は好き嫌い、愛憎、友情、かけひき、かっこつけ、忠誠、裏切り、多くの人間関係のパターンがある中で、それらを見事に描ききります。

日本にも義理人情というのがありますが、どうもそれを日本映画にすると安っぽく見えてしまう。でも韓国人はそれを平然と感情むき出しに描くのです。

実際、政治を見ても韓国は感情的、日本は淡々としているイメージがありますよね。

日本人は「隠す」ことが美徳に思っている。韓国人はそれを発言や行動に出すことが得意。エンタメ界ではそれが徹底的に生きるんですよね。

 

王宮の夜鬼の見どころ

では本作の見どころは何か。

まずはゾンビ映画としての完成度です。

これは申し分なし、B級やZ級映画のはびこるゾンビ映画界においてクリーチャーの造形は最高峰のレベルです。

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キャストのクオリティも高い。

特にドンゴンの演技はほとんど顔芸が多く、表情を崩さず目だけで威圧感を出しておりドンゴンのレベルの高さがうかがえます。

演技やアクションも素晴らしい。

4つ足で素早く動く夜鬼に対して、殺陣を行うアクションは見ごたえたっぷりです。

夜鬼もラストでは途方もない数になるので迫力もありました。

 満点ではない

さて、散々褒めてきましたが本作は満点ではありません。

80点のクオリティはありますが、それ以上ではない。

その最大の欠点が韓国映画最大の美点であるはずの「人間模様」が薄いことです。

例えばハクスが死ぬシーンはこの物語の一つの見せ場であると言えますが、その感動は薄くありませんでしたか?

これはハクスというキャラクターの作りこみが足りないのです。

ハクスとイ・チョンの関係はおそらく絆があるはずなのにそれが見えにくかったからです。なぜならハクスは冒頭の登場シーンで喋って以来、キャラが薄くなっているからです。

もっとイ・チョンとの信頼関係や、この戦いの中で絆を深めるような流れがないとこのハクスが殺されてもそれが感動や怒りに結びつきません。

そこにも関連しますが、スポットがイ・チョンに向きすぎているのもいただけません。

結局イ・チョンが王になるまでの物語の一節のような扱いになっており、周りは明らかに脇役なのです。

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最後に

 韓国映画のクオリティの高さを改めて実感する1作でした。

特にアクション要素が強いので、パニックやホラーが苦手な人でも見れる作品になっています。文字通りヒョンビン劇場になっているのでファンの方は大絶叫の映画でしょう。

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セーラ 少女のめざめ(少女覚醒)のあらすじとネタバレ感想・解説まで

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 評価

 ★★★☆☆

一度見終わってみるとなんだか不満足な気もしながら、セーラがだんだんと悪魔に覚醒していくところはまさに「少女のめざめ」という感じで満足感もある不思議な映画。

特にホラーというジャンルを見慣れている人にとってはこの監督の才能が垣間見れるはず。

一人の少女が夢を見て、ダークサイドに落ち、そして悪魔として覚醒する過程はまさにホラー映画の不気味さ=面白さの一つ。近年のお化け屋敷映画のような音と映像だけで勝負するのではなく、手先から冷えていくようなホラーは中々見ごたえがありました。

とは言え、万人受けする映画ではないので評価は★3つとしました。

あらすじ

ハリウッドで女優としての成功を夢見るセーラはオーディションを受け続けるもいい結果は出ません。

今日もいつものようにアルバイトと同じ夢を見る友人たちと暮らすアパートを往復する日々でした。

彼女には秘密がありました。それはストレスがかかると自分の毛を抜いたり、発作が起きたりするのでした。

ある日老舗の映画製作会社のオーディションに応募したセイラはそこで演技を披露しますが、結果は不合格でした。

オーディション会場のトイレの個室で悔しさを爆発させていると、ふとオーディションの審査員からもう一度声をかけられます。

会場に戻ったセイラは悔しさをぶつけるように演技をすると次の審査にも呼ばれました。真っ暗な部屋で指示通りに演技するセイラでしたが、そこでも合格します。

最終審査の会場で審査員の女性に連れられてある部屋に連れてこられたセイラは、そこで製作会社の男に会います。

彼は成功するには犠牲を払わないといけないと、セイラに性行為を要求します。

セイラは驚き、その場を後にし家に帰ります。

友人たちに事のあらましを説明し悔しがるセイラですが、内心オファー断ったことを後悔していました。

友人たちと酔っ払いバカ騒ぎしたり、アルバイトをしていても身が入りません。

セイラは状況を変えるためにもう一度審査員の女性に電話します。

すると今度は屋敷に呼ばれ、また例の男に会うことになり、身を委ねます。

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結末ラスト

ふと気づくとセイラは家に戻っていました。

しかし、以前までの自分とは何かが違っていました。

髪が抜け、肌はただれ、血が吹き出してきます。絶望に打ちひしがれながら彼女はふと友人を殺してしまいます。

それを快感に感じた彼女は次々と同居している友人たちを殺していきます。

同じころ、例の男や審査員の女性は集まって儀式をしていました。

彼らは五芒星をかたどった特殊な魔法陣を囲むように呪文を唱えています。

それと同時にどんどんセイラは凶暴になっていきます。

ふと目覚めるとセイラは土の中にいました。彼女は土からはい出し、家に戻ります。彼女の髪は完全に抜け落ち目は緑色になっていました。

ネタバレ感想・解説

序盤からワクワクする展開ではじまり、一気に物語が急展開していきます。

最終的には映画の製作会社はカルト集団の隠れ蓑で審査員もすべてカルト信者だったというオチです。

そのカルトたちの手によって魔法陣を描いた儀式でセイラは悪魔に生まれ変わります。

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なぜセーラが選ばれたか

 作中セーラが選ばれる理由は明確には明かされません。男性が言っていた「成功のために犠牲はつきものだ」という言葉から察するにセーラはその人物と見込まれたものと思われます。

ただ、個人的に「服を脱ぐ」とか「プロデューサーと寝る」なんていうのは犠牲どころか「よくある」話だと思い、少しそこはいまいちしっくりきていません。

むしろ「一番親しい友人を殺してこい」とかのほうがオーディションとしては面白いように思いました。  

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映画セーラの魅力

少女のめざめという副題のとおり、セーラが徐々に悪に染まっていくのがこの映画の魅力です。

はじめから精神的な不安定さを抱えて抜毛症も持っているセーラがそこから役を得るために悪魔に魂を売る内容です。

設定はとても面白く、苦悩するセーラが見ている側にも伝わり、この手の映画が好きな人には楽しめるものでしょう。

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ラストに引き込まれる

何より急展開ならラストに脱帽です。

はじめはちょいエロなバイトや傷のなめ合いをしている集団というよくある「ダメな人」だったセイラが「ちょっと怪しいな」ぐらいの橋を渡って、渡りきったと思ったら45度の坂を転げ落ちるように悪落ちするわけです。

蝶が美しく、毛虫が気持ち悪いようにその変態の過程は見苦しいことこの上ありません。毛が脱けおち、まるで落ち武者のようにのたまうセイラはもはや絶望の淵にいたことでしょう。

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ですが、ラスト土から這い出たセーラはまさに蝶が羽化するかの如く、きれいな存在になります。

制作陣の意図はわかりませんが、実際私は生まれ変わったセーラを見て「きれいな蝶」と思ったくらいです。

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最後に

「ホラーに意味なんてない」ということがとてもわかる映画です。

でも一方で「なにもないからいい」ということも感じれる映画だと思います。

あのあとセーラがどうなったのか。

おそらく生まれ変わった彼女は完璧な身体を手に入れて、もしかしておまけで永遠の若さぐらい手に入れたかもしれません。

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映画ドアロックのあらすじとネタバレ感想【韓国ストーカー物語】

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 評価

★★★★☆

 ストーカーの恐怖という題材としては使い古されたもので、シナリオも正直よくありそうな展開でしたが、それでもしっかり丁寧に作られている作品のため安心して見ることができました。

韓国映画がアカデミー賞を取るほど最近は良作が多いです。

 スリラーとしておすすめの作品です。

あらすじ

銀行の契約社員で働くギョンミンはアパートで独り暮らしをしていました。

ドアのカギはコードロック式ですが、ある日ドアのコード入力のカバーが空いていることに気づきます。

誰かが侵入を試みたかと思うと、怖くてしょうがないギョンミンですが、警察もまともに取り合ってくれません。

仕方なく業務にいそしむギョンミンですが、ある日積立口座をすすめたお客さんと揉めてしまいます。その客は気性が荒く、暴行の前科もあり、ギョンミンにしつこく付きまといます。

ある日、その客がギョンミンを待ち伏せしており、声をかけられますがギョンミンの上司の課長が助けてくれます。

ギョンミンを家まで送ってくれた課長ですが、ギョンミンが家を空けたわずかな時間に殺されてしまいます。

ギョンミンはストーカーの仕業と思い、同僚とともにストーカーの正体を突き止めようとします。

しかし、ストーカーを追跡しアジトを突き止めたギョンミンですが、そこで手を縛られ、足を切断された衰弱した女性を見つけます。

直後その女性の死体が発見され警察は殺人事件として、ストーカーを探しはじめます。その第一容疑者として例の銀行でもめた客が挙げられるのでした。

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結末ラスト

指紋など決定的な証拠が得られない警察は仕方なく例の客を解放しますが、彼はその直後ストーカーによって殺されてしまいます。

ギョンミンがふと買い物をしていると前のマンションの管理人が声をかけてきます。

彼が不振に思ったギョンミンは店をでます。

家に戻ったギョンミンは警察からもらった部屋に取り付けて監視カメラを見ます。

するとそこにはギョンミンの家にいる例の管理人の男が。

しかもその男はギョンミンのベッドの下に隠れていました。

慌てて逃げ出すギョンミンですが、管理人の男に捕まってしまい、廃墟に連れていかれます。その頃警察も管理人の男の足取りを調べて廃墟に駆けつけるのでした。

ネタバレ感想

 韓国発のスリラー「ドアロック」です。

20年前ならいざしらず昨今ではストーカーという言葉は聞きなれてしまっていますが、改めて映像で見るとストーカーとは怖いなと感じる作品でした。

以下物語のネタバレを含みながら映画の感想と解説を伝えていきます。

安定のシナリオ

 序盤、コン・ヒョジン演じるギョンミンの演技は安定していました。

 平凡な女性、忍び寄る恐怖、日常に感じる違和感、でも決定打ではない、誰も頼れない、などじわりじわりと背中にイヤなものを感じる展開です。

それがはじめて浮き彫りになるのは銀行での一件です。

ギョンミンが営業をかけていたお客さんが実は低所得者であるとわかると一転ギョンミンの態度が一転、客がその態度に激怒します。

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 ここでわかりやすくギョンミンにとっての「敵」が出てきます。

当然映画を見ている人からすれば「かませ犬」であることは明白なのですが、ギョンミンの欲しい答えとしてのスケープゴートとして彼は見事に役割を果たします。

そして、わかりやすい彼の暴力性やギョンミンにつきまとう非社会性も同時に進行しつつ、ギョンミンに本当の魔の手が伸びる、という展開です。

細かい伏線

ギョンミンのはじめの違和感はカバーの開いたキーロックでした。まるで誰かが入力したように開いており、しかもその後触ったボタンがあとでわかるように粉まで振りかけられていました。

たしかに暗証番号方式の場合入力した4桁の番号さえわかってしまえば、あとは多少の類推で番号をあてることができます。

しかもその後もギョンミンは母親との電話や廊下での警察との会話の中でも暗証番号を口走っています。

そして管理人がオーナーに夜中抜け出していることがバレて怒られていたり、警察が来たことを黙っていたりと、見終わったあとになるほどと思う仕掛けが施されています。

本当に怖いストーカー

揉めた客はカッとなりやすく、暴力前科もあるわかりやすい人間です。ですが、今回のストーカーは監禁した女性の足を切り落とすなど残忍極まりない、どこか歪んだ人間の一面を持っています。

実は見終わってみるとこの二人の男がともに非社会性を持っていても全然違うタイプの人間というのが映画として深みを与えていることに気づきます。

そして、本当に怖いのは目の前で暴力を繰り広げる男よりも、こっそりとベッドの下に忍び込んだり、寝ている間に部屋に侵入する男だということに気づいてこの映画の怖さを知ります。

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 韓国社会の闇

さて、少し脱線しますが(もちろんストーカーは犯罪だという前提で)ギョンミンの銀行での態度はたしかにお客さんを勘違いさせるものでした。

実際自分との共通点を話、プライベートの話までされては「じゃあコーヒーでもどうですか?」といったお客さんの気持ちもわからなくもありません。

実際日本の銀行も基本的に富裕層向けターゲットで、貧困層は無視の経営方針を打ち出しています。これは欧米の資本主義では必要なことですが、欧米ではそもそも富裕層と貧困層ではそのラインを明確に設けているので改めて貧困層が「俺らも相手にしろ」なんてことは少ないわけです。(そもそも住む場所も違いますから)

一方で日本や韓国はそこまでアッパータウンとダウンタウンが別れていないためこういう同じ銀行の同じ窓口で違った対応をされるわけです。これはギョンミンが悪いというよりも社会構造の問題とも言えますね。

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最後に

映画ドアロックはストーカーの恐怖を描いた秀逸なスリラー映画です。

配給がアルバトロスだったので期待値が低かったというのもありますが、安心して見れる作品です。

ただ、1人暮らしの女性が見ると家に帰るのが怖くなるかもしれませんので要注意です。

実話映画冷たい熱帯魚のあらすじとネタバレ解説・感想【埼玉愛犬家連続殺人事件】

 

冷たい熱帯魚

冷たい熱帯魚

あらすじ

社本信行は街の小さな熱帯魚店を営むおとなしい性格の男です。

彼は数年前に妻を失い、再婚した妻の妙子と自分や後妻の妙子に反発しグレている娘の美津子とともにぎくしゃくした家庭になっていました。

ある日美津子がスーパーで万引きして捕まったと電話あがり社本夫婦が誤りに行くとそこで村田という男が仲裁にはいってくれます。

彼はアマゾンゴールドという熱帯魚店を経営しており、高級スポーツカーに乗り、社本の店の何倍も儲かっていそうでした。

ある日社本からの提案で美津子をアマゾンゴールドで働かせる運びになります。

娘との折り合いが悪い社本は提案を受け入れ、そこから村田との交流がはじまります。

村田は人のいい見た目とは裏腹に社本家をむしばんでいきます。

まずは妻の妙子が村田によって強姦されます。

そんなことを知らない社本はある日村田から高級熱帯魚を仕入れて売る儲け話を持ち掛けられます。

呼ばれて応接室に行ってみるとそこには投資をしたいという男がおり、1000万を持ってきました。

村田は現金を確認すると、彼の飲み物に毒を混ぜ殺してしまいます。

驚いた社本でしたが、村田夫婦の勢いに押され、村田の隠れ家で死体の始末を手伝わされます。

 

彼らは投資詐欺と殺人を繰り返す犯罪者でした。

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ネタバレ解説~埼玉愛犬家連続殺人事件~

 冷たい熱帯後は1993年に実際に起きた埼玉愛犬家連続殺人事件が元になっています。

以下Wikipediaより

埼玉愛犬家連続殺人事件の概要

埼玉県熊谷市にすむ関根元と風間博子が経営するペットショップ「アフリカケンネル」で愛犬家に対して、血統のいい犬を売りつけその子供が生まれたら高値で引き取ると言う投資取引を勧めていました。

しかし、実態は生まれた子供を引き取る際に難癖をつけて金を出し渋る投資詐欺で、関根は顧客と揉めた際は殺害していたといいます。

埼玉愛犬家連続殺人事件の異常性

この事件の異常性は死体の処分にあります。

関根自身が「ボディを透明にする」という表現をしたとおり、関根たちは殺害した相手を風呂場でバラバラに解体し、骨と肉を分けたうえで骨はドラム缶で灰になるまで焼き、肉は数センチに切断したうえで、山中に投げ捨てられたと言います。

そのため、最低でも4人を殺害したとされていますが、遺体なき殺人事件となっています。

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ネタバレ感想

園子温監督の作品は数多くあれど、この冷たい熱帯魚をNo1に押す人もいるのではないでしょうか。

実在の事件をモチーフに映像化した作品で、「事実は小説より奇なり」といえる作品でしょう。

園子温ワールド全開

事件自体がとんでもない内容のため、それを映像化するのには限界があるとはいえ、彼はやってくれました。

飛び散る肉片、必要以上のヌード描写、人の弱みを突くセリフ、狂った社本、もう書き出すと書ききれないくらいに映画の枠を超えた作品になりました。

これぐらい容赦ない映画を作れるのは日本でも少ないでしょう。見る人を選ぶ映画ですが、万人受けせずともコアなファンに響く素晴らしい作品だったと言えるでしょう。

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みんな狂ってる

冒頭妙子が冷凍食品オンリーで飯を作ってるあたりから雲行きが怪しいのですが、蓋をあけてみれば全員狂人で見ているこちらのモラル判断基準もどんどん下がっていきます。

でんでん演じる村田は当然きっすいの殺人鬼で、とにかく楽しそうに人を操り、殺します。

妻の愛子は村田と同じくらい頭のネジが外れており、もう”ヤる"=(殺る・セッ●スする)

という文字しか頭にないとんでもお姉さんです。ラスト社本と殺し合うところなんて本人も殺ってるのか、ヤってるのかわからなくなってますからね。個人的に本作で一番印象に残ったキャラでした。

社本はもちろんラストに向けてのイカれ具合も素晴らしいですが、家庭がうまくいかない苦悩がひしひしと伝わってきます。必死に村田から逃げようとしたり、プラネタリウムに行って気を紛らわせようとしますが、そんなもの焼け石に水、マグマに水もいいとこ。

妙子と美津子はこの中では比較的まともである一方で、でんでんに乱暴されるところなんてやはり彼女の抱えるストレスや不満が爆発するようで見ていられませんでしたね。

とにかくみんな狂っていて、それが世界観としてしっかり映画としてちゃんとした作品になっていることがほんとうに素晴らしかったと思います。

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最後に

本人は嫌がっているようですが、本作は家賃3部作と言われ実在の事件をとりあげた園子温監督の1つです。

もし冷たい熱帯魚が面白かったらこちらの愛なき森で叫べもどうぞ。 

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家にワニ!映画クロール~凶暴領域~のあらすじとネタバレ感想

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評価・レビュー

★★★☆☆

「思ったほどでは。。。。」
ハイテンションのアレクサンドル・アジャが監督を、サム・ライミがプロデューサーを務めている話題作でした。
はじめの期待が高かった分、思ったよりも盛り上がりのシーンに欠けてしまったため普通の作品になってしまいました。
二人の鬼才の才能を無駄遣いしてしまったというか、打ち消してしまったというか。
ワニはリアルで、作りはしっかりしているので、最後までは見れる作品です。

あらすじ

ヘイリーは父と二人三脚でずっと競泳をやっていました。
大学になり、家を出たヘイリーは中々競泳のタイムが出なく、悶々とした日々を過ごします。
ある日、巨大なハリケーンが近づく中、姉のベスから父と連絡が取れないと連絡がきます。
仕方なく様子を見に行くヘイリーですが、自宅には愛犬のシュガーだけで父はいませんでした。
方々探すうちにヘイリーは昔家族で住んでいた家に行ってみることにします。
空き家になっていた旧家を訪れると父の車とキッチンには父の携帯があります。
ヘイリーが地下を探すと父が重傷を負って倒れていました。
しかも地下には今にも水が入ってきそうなうえに、この大雨によってワニ園から逃げ出したワニたちがヘイリーたちを襲ってくるのでした。

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ネタバレ感想

 評価にも書いた通り、サム・ライミとアレクサンドル・アジャのホラー界のスーパーコンビが組んで期待値はマックス。

サム・ライミといえば死霊のはらわたが有名でしょうが、個人的にはスペルやポゼッションもとてもおすすめの作品です。

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 そして、アクレサンドル・アジャも素晴らしい作品が多いです。

ハイテンションはもちろん、ヒルズ・ハブ・アイズ、P2なんかはホラー映画ファンも唸らせる名作が多いです。

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 さて、そんなゴールデンコンビが組んだら1+1が3にも5にも10にもなりそうなところですが、残念ながら1+1=1.9ぐらいになってしまった感じです。

ワニ映画として

ワニ映画なら、ブラックウォーターやマンイーターンなどこれまでも作品が作られてきました。間違いなく、このクロール~凶暴領域~もワニ映画として今後名前の挙がる作品になることでしょう。

特に今回は親しみやすいサイズのワニで、街中にワニが入ってくるという展開。

しかもB級設定のわりにしっかりと作られているので普段B級映画を見ない人でも納得の作品となることでしょう。

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問題点は2つ

それでもやはり評価が上がりきらないのは2点あります。

一つ目の問題はワニが水の中にいるといまいちその存在が薄くなってしまうこと。これはサメ映画でも同様のことが言えまして、サメは頑張って空を飛んだり、幽霊になったり、顔が3つも4つもついたり、メガロドンのように映画のために巨大化したわけです。

さらに今回はリアルなサイズのワニなので小さくて見えにくい。しかも前半は特に床下で暗いのでさらに見えにくい。

二つ目の問題はワニに食いつかれても結構みんなタフなこと。足やら手やらワニに結構長い間食いつかれてたりしてもそのあと平気で泳いでいたり、腕を食いちぎられても平気で梯子を昇ったりと「あれ、意外にワニって攻撃力弱い??」となってしまうわけです。

ゾンビに一口かまれるとアウト、サメにかまれたら半身持っていかれて死亡というのに比べると少し迫力に欠けました。

最後に

それでもやはり2大スター監督だ、という期待感が先行してしまいました。ホラー映画好きには物足りなさが残るところです。それでもこういう大衆向けのワニ映画が出るのはいいことですよね。

少し前だとMEG ザ・モンスターなんかも流行りましたしね。

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実話映画「愛なき森で叫べ」のあらすじと映画解説【北九州監禁殺人事件】

映画「愛なき森で叫べ」は残虐な内容を含む映画です。

この記事にはネタバレを含みます。

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あらすじ

世間では警官の拳銃を奪った殺人犯が射殺事件を繰り返しています。

東京へ出てきたシンは偶然出会ったジェイとフカミ、そして妙子と一緒に映画を撮ることになります。

女性経験のないシンに妙子は高校の同級生の美津子を紹介します。美津子は友人のエイコが交通事故で死んでからというもの引きこもりでした。

ある日美津子に村田という男から電話が入ります。村田は昔借りた50円を返したいと美津子に会いに行き、美津子はあっという間に村田に夢中になります。

美津子の後をつけていたジェイたちでしたが、妙子が村田を見て彼が詐欺師だと指摘します。

村田はその昔妙子の姉に結婚詐欺を仕掛けていたのでした。

ジェイたちは村田を観察して彼に関する詐欺師の映画を撮ることを決めます。

 しかし、村田は巧みな話術と嘘、そして通電という暴力で美津子だけでなくジェイたちを逆に支配していきます。

いつしか村田を中心に映画を作り出す一行でしたが、暴力的なやり方を続ける村田にまずはフカミがグループから抜けます。

続いてジェイも「辞めたい」と言い出すと村田は美津子にジェイを殺させ、死体をバラバラに解体させます。

美津子のやったことをネタに村田は美津子の父と母を脅し、妹のアミもその支配下に置いていきます。

拷問・虐待・暴力・酒・詐欺・映画撮影の連続だったある日美津子は村田がアミとできてることを知り、逆上します。

それに怒った村田は美津子と両親に一晩中通電をしますが、それにより美津子が流産し病院に運び込まれます。

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結末ラスト

 退院した美津子を迎えに行った村田ですが、ピクニックと偽って森の中で美津子を殺そうとします。

しかし、そこで美津子からはじめから村田の正体に気づいたことを告白されます。

それだけでなく、美津子はシンが実は連続射殺犯であることも言い当てました。

彼女は自分を処女だと偽っていたり、村田たちと行動を一緒にすることで自分の周りの人間を崩壊させようとしたのでした。

シンは美津子、アミを射殺し、村田も殺そうとしますが隙を見て村田は逃げ出します。

仕方なく乗ってきた車で帰るシンですが、途中で車の壊れた女性を拾います。

シンが運転していると昔死んだはずのエイコにそっくりな女性を見かけて森の中へ入っていきました。シンは車を止めその子を追って森に入っていきます。

命からがら逃げだした村田は道へ出て、これまたエイコに似た人間の運転する車に乗り込むのでした。 

元となった事件

まずこの作品を深く知る上で欠かせないのがこの映画の元となった事件です。

本作のはじめに「この作品は実話に着想を得た物語です」とあります。

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その実話とは「北九州監禁殺人事件」のことです。

(以下Wikipediaの内容を要約しています)

北九州監禁殺人事件とは

2002年(平成14年)3月に北九州市小倉北区で発覚した監禁、殺人事件です。

その内容があまりにも残虐で非道なものだったため当時報道自粛もあり、世間にあまり内容が知られていない事件です。

詐欺師の松永太が拷問と監禁、そして相手の弱みを握ることによって、ある家族や友人たちをマインドコントロール下において殺し合いや死体処理をさせた事件です。

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S/D:https://matome.naver.jp/odai/2135181593658354201

事件詳細

幼いころから弁が立ち、嘘がうまい松永は詐欺や恐喝、押し売りなど違法な方法でお金を稼いでいました。

小心者でしたが弱いものへは恫喝などしていた松永は暴力的で配偶者に定期的に暴力を振るっていました。

松永の内縁の妻である緒方純子はDVにより完全に松永の言うことを何でも聞く奴隷になっており、自分の家族もお金のために松永に売る始末でした。

松永のマインドコントロールの方法はDVだけでなく、相手の弱みを握ることでした。例えば緒方の母親には「静かなことろで相談したいことがある」と言葉巧みにラブホテルへ連れ込み肉体関係を持ち、裸の写真を撮り、それをネタに意のままに操っていたとされています。

なお、松永は緒方の母親だけなく、妹とも肉体関係を持っていたとされています。

マインドコントロール下に置いた相手に対し、松永は暴行の共犯者にします。

例えば緒方の母親を緒方自身に殺させたり、死体処理させることで罪悪感を植え付けていったと言います。

結果的に松永は自身が手を汚すことなく、マインドコントロールした家族同士で殺し合いをさせ、6人死亡、1人傷害致死、あげくのはてに家族同士で死体の処理までさせたと言います。

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通電

映画中でもたびたび出てくる通電という言葉。

これは松永が暴力を振るう際によく使った手で、むき出しにした電源コードの電線をクリップにつなげ人間の身体に電気を通すというものでした。

お手製のスタンガンのようなものですが、その電力は協力で、意識が一瞬飛び、皮膚が焼けただれるレベルの強さだったと言います。

特に男女関係なく性器への通電は頻繁に行われていたそうです。

また、通電時には松永より理由を言い渡され、松永だけでなく、松永に命令を受けた家族同士で通電を行い、監禁されている者同士の不信感を募らせていきました。その結果被害者が時には加害者になっていき、より松永の支配から逃れられなくなったのでした。

マインドコントロール

監禁場所はマンションなどの通常の居住地だったため、監禁は主にマインドコントロールによるものが大きかったようです。

それは通電含む虐待やDVだけでなく、互いに暴力を振るわせることで被害者が加害者側に加担する(少なくてもそう錯覚させる)ことになるのでした。

また、前述したとおり、松永は相手の弱みを握り、それをネタにコントロール下に置いていきました。

また松永は緒方の家族に序列を作り、不満や不平を言う人間の序列を下げ、通電の対象になっていました。いつしか緒方の家族は互いに序列を上げることに執着していくのでした。

また、松永は緒方の家族にルールを課し、食事、衣服、睡眠、会話、排泄などあらゆるものを制限し、時に松永の許可を受けなければそれができないようなときもありました。それを破ると通電になりました。

裁判・判決

松永は当然のように死刑に、そして、緒方については無期懲役になりました。

被害者でもあり、加害者でもある緒方について、裁判官は以下のように述べたそうです。

「死刑の選択も十分考えなければならないが、異常な虐待を長期間繰り返し加えられ、指示に従わないことが難しい心理状態の下でXに追従して犯行に加担した点や、捜査段階での自白が真相解明につながった点も、極刑に処するほかないとは断定しがたい」

ラスト結末の解釈

 おそらく多くの人がラストでシンと村田が出会ったエイコ(ロミオ)に戸惑ったことでしょう。

特にこれについて作中で解説がないので、私なりの解釈を書いていきたいと思います。

真の黒幕は誰か

作中、基本的に集団をリードしているのは村田です。彼は巧みな話術で美津子に近づきましたが、後半様相が変わってきます。

それはマインドコントロール下にあったはずの美津子が「自分は一度も村田を愛していなかった」「村田が詐欺師だとわかっていた」「シンが殺人者であるとわかっていた」などまるで一連の結果を想定していたかのようなことを言いだします。

状況を掌握していたのは村田だけでなく美津子も同様だったのです。

美津子の企み

美津子はなぜ村田の詐欺に乗った(フリをした)のでしょうか。

それは過去エイコ(ロミオ)を失った彼女が自殺を考えたにも関わらず、復讐したかった相手がいたからです。

それを整理すると以下のようになります。

妙子…エイコ(ロミオ)と影で愛し合っていて美津子にとって一番死んでほしい相手だった

父親…対面ばかり気にして、自分には理不尽に厳しい、その反面過去に浮気経験があるなど偽善的な部分もある

母親…自分に必要以上に厳しく過保護、父親から自分を守ってくれない。一方で父親の浮気から一転して優しくなるなど一貫性が無い人間性

アミ…自分と違い自由奔放、一方で自分をとても嫌っていて敵対心を持っている

美津子はこれらの人間を文字通り「地獄に落としたい」と思っていました。

そのため村田の策略に乗ったフリをして彼らを全滅させた+自分も自殺したかった(殺させた)のです。

では美津子が真の黒幕か?

Noです。

美津子は単なる"かわいそうな女の子"であり、彼女は大それたことができる器ではありません。美津子の行動の裏には必ずエイコ(ロミオ)がいました。

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美津子を操っていたのは

美津子の背後には必ずエイコ(ロミオ)がいました。

シェイクスピアのロミオとジュリエットでは、ロミオはジュリエットが死んだと勘違いして自殺し、ジュリエットはロミオが死んだのを知り自分も死を選びます。

今回ジュリエットである美津子はロミオの死後、すぐには死にませんでした。

彼女は自分とロミオの邪魔をした人間を皆殺しにしてから死のうと思ったのです。

ただ、それは決して彼女の意思ではありませんでした。

思い出してください。

ロミオが死んで美津子や妙子が屋上で睡眠薬を飲んで死のうとした時です。

美津子(ジュリエット)はロミオの死を悲しんで、睡眠薬を飲んだ後屋上に立ち、自分も死のうと思いましたが、結局最後彼女を止めたのは金網の向こうで呼び止めたエイコ(ロミオ)でした。

このエイコ(ロミオ)をどう表現していいかわかりませんが、これは美津子の幻影というよりは、死神や悪霊というほうが正しい気がしています。

全ては人外の悪霊による鬼畜の所業

実際の裁判でも北九州監禁殺人事件は「鬼畜の所業」と表現されましたが、まさにそのとおり、悪霊と化したエイコによる呪いのようなものに思えます。

つまり、ラストで出てきたエイコは悪霊であり、関わった全ての人を不幸にします。

車を降りて森へ向かっていったシンもおそらく生きては帰れないでしょう。

村田はエイコに似た女性に行き場所を聞くと「Go to hell(地獄へいく)」と言い残しており、間違いなく村田の命運も尽きているでしょう。

最後に

園子温監督の考えていてことはわかりませんが、ラストの考察は私独自の感じたことです。

悲しい事件が起きるとまるで「悪魔が犯人に舞い降りたのでは?」と思うことがありませんか?実は凄惨な事件の裏には人間の理解を越えた力があるかもしれませんね。

それくらい北九州監禁殺人事件は衝撃的な事件ですので、興味ある方はぜひご自身でWikipediaで調べてみてください。

園子温監督作品はこちらもおすすめです。

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(R18)映画NY 心霊捜査官のあらすじとネタバレ感想【心霊捜査官ラルフ・サーキ】

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評価・レビュー

★★★★☆

実在の心霊捜査官ラルフ・サーキ誕生の事件となった悪魔祓いを題材にした作品です。

特殊メイクもしっかり決まっていて、やはり怖いです。

ホラー映画をしっかり見れる人にはおすすめの作品です・

あらすじ

イラクから帰還した3人の兵士は洞窟の奥で"あるもの"を見てから様子が変でした。

NYPDに努めるラルフ・サーキはDVの通報を受け現場に向かっていました。そこには元軍人のジミーとその妻がいます。

妻は顔が腫れ上がり、その場でジミーを逮捕しました。

別の日、ラルフは通報を受けて動物園で自分の子供を檻の周りの堀に投げ捨てた母親を逮捕しました。彼女は猿の檻の前で一心に土を掘っていました。

一連の事件はつながりが無さそうに見えましたが、ラルフはそれぞれ全員イラクのあの洞窟にいた人物であることに気が付きます。

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ネタバレ感想・解説

まず注意したいのがタイトルです。

タイトルからまるでニューヨークにいる心霊捜査官のお話を期待してしまいますが、これは実在した心霊捜査官ラルフ・サーキが心霊捜査官として覚醒する前のお話です。

ですので、作中のラルフ・サーキはまだ霊能力を信じていませんし、自分に特殊な力があることに気づいていません。

ラルフ・サーキとは

ラルフ・サーキは18年間NYPDで働いていました。

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こちらが本物のラルフサーキです。

彼は悪魔祓いを求められるような事件で十字架や聖水を持って現場へ行っていました。

かの有名なエドとロレインウォーレン夫妻と協力することもあったそうです。

エドとロレインウォーレン夫妻は死霊館で有名な人物です。

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彼はBeware the Nightという著書を書き、自身の経験を広く人々に伝えています。

この映画NY 心霊捜査官はこの本が元に制作されています。

以上はWikiより抜粋

https://en.wikipedia.org/wiki/Ralph_Sarchie

 アメリカでは大ヒット

アメリカでは有名な人物ということでとてもヒットした作品のようです。

エクソシストや死霊館のような作品が大人気のように悪魔祓いはどの時代でもとても人気がでます。

この作品では特に悪魔の描写が生々しくR18の指定を受けた作品となっています。

R18の理由

R18というと以下が思いつきます。

・残虐な描写

・性的描写

・インモラルな描写

この映画では性的描写はありませんが、呪われたアメリカ兵が自分の足を食べるところなど気持ちの悪い描写もあります。

さらに決定的なのなラルフが深く心に残った事件で、まだ赤ちゃんがゴミ箱に捨てられたり、6歳の女の子が性的暴行を受けた上に殺されてゴミ箱に捨てられているシーンもあり、特に幼児や小児への暴力描写があるためにR18になっているものと思われます。

感想

ジェリーブラッカイマーが製作に入っている時点である程度のクオリティが担保されているのは当然でしょう。

その分安心して見れる作品になっています。

一方で、タイトルからラルフが悪魔祓いを率先してやるのかと思いきや基本的にはメンドーサ神父が中心に悪魔祓いは行われるのでその点だけ少し期待外れでした。

最後に

エクソシストなど悪魔祓い系のホラーは外れが少ないです。

そういったホラー映画が好きな方には安心して見れる作品になっています。

個の作品が好きなら、死霊館シリーズはおすすめですし、他にはこちらもお好みになるのではないかと思います。 

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