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観た映画、読んだ本の話

信長エピソード・ゼロ〜『天下人の父・織田信秀』

織田信長があらゆる意味で革命を起こした人物だってことは誰だって知っている。
 
でも、なんでそれを実現する力を持っていたのか、なんで織田家には金と権力があったのか。
 
それを知っている人はほとんどいない。
 
そんな織田信長のエピソード・ゼロを教えてくれるのが『天下人の父・織田信秀』です。
天下人の父・織田信秀――信長は何を学び、受け継いだのか(祥伝社新書)

天下人の父・織田信秀――信長は何を学び、受け継いだのか(祥伝社新書)

 

 

 
信長のジイさんが最初の一歩を踏み出し、それを父ちゃんがほぼ1代で圧倒的な規模に育て、最後にフィニッシュとして信長が全国に知れ渡る人物となる。
 
この過程がとてもよく分かる本でした。
 
父ちゃんの信秀は政治・外交・経済、全てがすごかった。
 
もちろん優れた大名は他にもいるわけで、だからこその戦乱の世。全てがうまくいったわけではないけれど、でも失敗したときの立ち直りも名将そのもの。
 
そんな中でも、津島と熱田の2つの巨大商業都市を支配し、その経済活動を奨励したこと。
 
これが織田家の基盤となり、また信長の経済政策の元ネタであったことがほぼ確信できました。
 
ここで「確信」と言ったのは、本書の内容はほぼマンガの『桶狭間戦記』で読んでいたものだったから。 
センゴク外伝 桶狭間戦記全5巻 セット (KCデラックス)

センゴク外伝 桶狭間戦記全5巻 セット (KCデラックス)

 

 

 
そこで思い描かれた信秀・信長像に、ある程度客観的な説明が加わって納得感が生まれたというのが、本書を読んだ一番の感想でした。
 
特に本書はたくさんの人名が出てくる分、読みづらさもあるので、マンガとセットで読むのがいいです。
 
この本と、桶狭間戦記、そして井沢元彦氏の逆説の日本史10巻の3冊があれば、信長についてはだいたいのことが分かる。
逆説の日本史10 戦国覇王編/天下布武と信長の謎

逆説の日本史10 戦国覇王編/天下布武と信長の謎

 

 

あとは小説を読んでその人間味を感じたり、あるいは『サイコパス』等を読んで超人あるあるを見つけたりすることで、
 
自分の中での信長像を作っていくのが楽しいんじゃないかと思います。

『超現代語訳戦国時代』

ブロードキャスト!!房野史典さんの『超現代語訳戦国時代』を読む。歴史にあまり興味がない人に向けて、その面白さを最短で伝えるために書かれたような本。
 
まずは地球誕生から現在までを4ページで語るという強烈なスタートダッシュから始まります。たしかに、ざっくり言うとそうだよなっていう納得感がすごい。
 
そこから先はタイトル通りの戦国時代の解説になるわけだけど、1冊通して本当に分かりやすかった。
 
戦国時代の始まりである応仁の乱と、戦国時代の終わりである関ヶ原の戦いを紹介し、その間の時間を真田氏3代の物語で語ってしまいます。
 
大河の真田丸を毎回楽しみに見てたけど、真田って本当に戦国を知るためには欠かせないんですね。高校で習わないのが意味不明に思えてくる。
 
自分の中でこの本が特によかった点は、人間の関わり合いに焦点を当てているところ。
 
歴史の話は「誰が○○した。その理由は□□がこうだったから」みたいに、誰かの行いとその原因を話すパターンがとてもとてもとても多い。
 
だけど、特にエラい人が何かをする際には、必ず部下とか友達とのやりとりがあったわけで、そこを想像上の会話で書いたり、手紙の内容を笑えるやりとりに翻訳しているのがこの本。
 
普段から漫才をやっている芸人だからこそだけど、会話だと本当に面白く読める。
 
「芸人×日本史」としては『京大式日本史』も読んだけれど、著者が歴史上の人物にインタビューをするという200%のウソを読むよりは、あったかもしれない会話として面白くしているこの本の方が好きだなと思いました。
 
笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳・戦国時代

笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳・戦国時代

 

 

最初のひと押し〜『恋読』by小橋めぐみ

何気なく手にとってみた本がすごく素敵だったときの、「本ってやっぱりいいよね」感。最も好きな瞬間の1つだと思う。
 
思ったことをうまく言葉にする方法はないものかと本屋に行き、小橋めぐみさんの『恋読 本に恋した2年9ヶ月』を偶然見つけました。著者がいろんな本を読んで、そのときに感じたことを取り繕うことなく書き綴った読書エッセイです。
 
見開き2ページの”まえがき”が、決して特別なことを言っているわけじゃないのに、すごく自然な文体で気持ちがいい。そのまま続きを数ページ読み、すぐにこれは自分の本棚に置いておく本だと思ってレジに並ぶ。
 
支払いを終えて持ち主が僕になると、とりあえずいつものスタバへ。もちろんどんどん読み進すすめてしまうわけだけれど、1/3ほどいったときにふと、「このペースで読むのはもったいない」と思い始める。
 
世の中、一度動き出すと案外そのまま進んでいったりするもの。慣性の法則って言うのかな。文系だから自信ないけど間違ってないはず。とにかくその勝手に流れていく中で読んでしまうべき本じゃないと思ったのです。
 
1つ読んだら本棚に戻し、またふとしたときに1つ読む。こうしてポジティブな気持ちを取り戻すための最初のひと押しになってもらった方がずっとありがたい。そのペースで読んだほうが紹介されてる100近い本の魅力もしっかりすくえて楽しい気がします。
 
読むのを辞めたら、今度は自分も読書エッセイをやってみたいと思い始める。この『恋読』みたいにうまく書けないのは分かりきっているけれど、まあ、やってみよう。最初のひと押し本だからね。
 
本だけじゃなく、映画だったり、あるいは日常そのものだったり。とにかく自分の目で見て感じたことに、自分なりの言葉を当てはめていきたいと思います。
 
ということで、ブログ名は「3ta4da」。「見た・読んだ」と読んでください。
 
数年後に過去記事を振り返ってみて、「自分成長したじゃん」と思えることを目標に、長く緩くやっていきたいと思います。よろしくお願いします。