舞台「俺節」感想(ネタバレ有)おかわり

コージ、結局世の中とっくり返せてないじゃん…!
俺節」歌い終わって暗転したとき、これで終演かな?コージちょっとは世の中とっくり返せたかなって思ったよね?
とっくり返せなかった、けど隙間にたくさん人が集まってきたよ、っていう終わり、完全なハッピーエンドじゃないのに気分爽快で拍手できるの、何なんでしょうね。コージの隙間に集まるのは、やっぱり隙間の多い人ばかりなんだけど、いつか隙間の少ない人にも届くといいなと思います。

というわけで、6/17日に再度、俺節を鑑賞してきました。前回気づかなかったことなどを箇条書きで*1

  • 前回コージのキャスティングは誰が?と書いたのですが、6/16の俺節ナイトで質問して下さった方が居たようで、2013年の映画「ばしゃ馬さんとビッグマウス」を見た福原さんが、最初から安田さんで考えていたという趣旨の話をされたそうです。私は、キャスティングが決まってから歌を聞いた、というエピソードで、コージはは歌えないとできない役だし、勝手に福原さんではない方がキャスティングしたのかと思っていましたが、「演技がうまければ歌は歌えるだろう」と思われていたとか。福原さんは制作発表の時に「初めてお仕事する時は勝手な片思いで、信頼するしかない」と発言されているのですが、安田さんの「求められたときに出せるように準備しておく」精神と奇跡のようなマッチングで、「両想い」な感じが伝わってきました。
  • コージが歌えない理由を話して、「そんなやつここでいっぱい見てきた」という人と、オキナワが堕ちるときに「お前が外では俺らと変わらない半端者なのは知ってる」っていうのは同じ人ですよね*2?。すごく良い人だからこそみれん横丁にたどり着いた人って感じで好きです。
  • 劇中歌「俺節」を歌っているときのオキナワが微笑みながら涙を流しているところを初めて見ました。舞台上で安田さんがガンガン攻めても大丈夫なように舞台を整える福士さん、良いコンビでした。好きになるしかない…!
  • オキナワと言えば復活後のギター、コージの家に置いてきたものと同じなのでは?と思ったのですが、いつ手にしたのかという素朴な疑問。
  • 信玄餅を投げるシーンは元ネタ的なのあるのでしょうか。橋本さんが邪魔だよ、の現れなのかなと思いつつ、横丁に持って帰れば食べる人いそうなのにもったいないな…、と思っています。
  • 前回観た時と変わったなと思ったところ
    • テレサと警官のやり取り、アドリブなのか追加されたのか分からないけど微笑ましかったです。テレサは恋愛シーンも微笑ましくて「かわええなあ~」とほぼおっさんの目で見てました。シャーロットさんには頑張ってお手紙を書きました。お手紙、というかメッセージカード位のボリューム。
    • 「前の背広はどうしたの」が「引っ越しをするなら教えてよ」のメロディーにのせられていました。
    • 大橋巨泉とうっしっしー」が「HOWマッチ」にかわっていました。前のセリフの方が牛とかかってたけど若い人に伝わらなかったのでしょうか…。
  • Eテレクラスタ的な感想
    • 突然のドンパン節に「コレナンデ商会」のキウイちゃんを思い出しました。キウイちゃん、トップアイドルも民謡歌ってるよ…。
    • ストリッパーさん達のダンス、オフロスキーっぽいなと思いながら観ました。なんだろう、腰つき?
    • 「白鶴~まる~」が「おじゃる~まる~」になっている回がありました。観客やや置いてけぼりでした。

千秋楽のカーテンコールで、座長が「最高のカンパニーでしょう!」と言ったようです。本当に脚本もすべてのキャストも魅力的で好きにならない要素が無くて、最高でした。大阪公演も行けないけど、楽しみです。

*1:思い出したらまた追加するかも

*2:顔を見分けるのが苦手なので自信がない

舞台「俺節」感想(ネタバレ有)

6/1昼公演、夜講演を観劇してきました。これは、感想を、残しておかねばとブログ作ってみたけど、いろいろなことを考えては「あーーーー」ってなって全然言葉にならなくて、でもそのたびに私の中のオキナワが「全部ちゃんと言えよー」と叫びだすので頑張りました。

演歌歌手を目指して青森から上京したコージ(安田章大)。
抜群の歌唱力を持っているらしいが、気弱であがり症なばっかりに、いざ唄うとなると緊張してまともに唄えない。しかし、演歌に対する思いだけは、煮えたぎるように熱い。その熱に感化されたのか、お調子者のギター弾き・オキナワ(福士誠治)は、根城とするドヤ街・みれん横丁へとコージを連れて行く。
そこでコージは偶然、ヤクザに追われているテレサ(シャーロット・ケイト・フォックス)と出会うことに。彼女は不法滞在中のストリッパー。コージの演歌は、彼女への思いが募るほどに加速する。
やがて、飲み屋街で流しの演歌歌手として修行を始めたコージとオキナワは、コンビで演歌界デビューを果たそうと、アマチュアコンテストへの出場を繰り返す。
そんな中、デビューの話が持ち上がるが、そこには「コージ一人で、ソロ歌手として」という条件があった……。

あらすじ | 安田章大主演舞台『俺節』公式

トーリーはこんな感じなんですけど、主題は「歌とは何か」っていうことなのかなと思います。
みれん横丁の人たちが、土方仕事から帰ってきて、流しの大野(六角精児さん)「はたらいているだけなら家畜と一緒、歌を聴くから人間に戻れる、家畜は歌を聞かない」と歌をねだる場面、北野波平(西岡徳馬さん)がコージに「歌の風景の中に君がいない」と説く場面、もう十分歌った、というコージに大野が歌とは何か、を説く場面…等々。列挙するとちょっと説教臭そうな感じになっちゃうんですが、挿入される歌と、西岡さんの迫力(これがすごかった!客席しーんとなったあと拍手が起こってた)とちょいちょい入る小ネタで、すんなりと心に届きました。舞台観てから一週間経っていますが、私の頭ではまだ俺節の曲たちが流れていて、ああ、歌だなって思います。
私は原作をさらっと読んで行ったんですけど、読んだとき、やっぱり「歌の風景の中に君がいない」という場面、すごく気になっていました。原作ではコージの流しの歌を聴いた北野波平が、「流しのクセがついている」から「歌の風景の中に君がいない」に繋がるんですが、流しのクセ→原曲の歌手として歌うという意味で。これ、関ジャム完全燃SHOWのセッションの中で元曲に近い雰囲気で歌う安田さんの印象とかぶって、「こ、この役を安田さんが…ていうかこれ読んだんだよね…」と動揺したのを覚えています。実際に見たコージは安田章大安田章大はコージで、舞台の配役というのがどういうシステムで決まるのか知らないのですが、コージを安田章大にやらせようと思った人に最大限のお礼を言いたいです。

演出は、私が舞台慣れしていないので、良いも悪いも言えないのですが、一番星ブルースをバックに(旨に大きな星のついたTシャツを着ている)オキナワが闇堕ちして、シャツが変わった時に「一番星消えたー!!」と興奮しました。あとはアイドルの呪いのところとかアイドルオタとかジャニーズ主演の舞台でやるのにギリギリのラインを狙っている感じがたまりませんでした。「呪い」のところはこの前の「安田章大の覚悟」で結婚観を読んだばかりだったが故にグサッと来るものはありましたが…。小ネタは本当いろいろある…一番好きなのはバターです…。あとオキナワというか福士誠治さん恰好良かったです。私は俳優さんに疎くて、舞台の直前にやってた視覚探偵日暮旅人でゲストに出た時に初めて認識したんですが、その時も前髪あがってたので、座敷牢で前髪降りてたときにあまりのかわいらしさにびっくりしました。福士さん、短い時間で徐々に闇堕ちしたり復活したり難しい役だと思うんですが、不自然な感じがなくて、すごい方なんだろうなと思いました。(完全にこの先追いかけそうな気配が…)シャーロットさんはきゃぴきゃぴした感じかすごくかわいらしく、コージのかわいらしさも相まって、恋愛シーンはアラフォーのおばさんには眩しかったし、芯の強さを見せるときはすごく強そうで歌も歌えない演技から最後の熱唱までふり幅すごい方でした。あと他の出演者の方たちも何役もやってたり、セリフ無くても動きでキャラ守ってる感じとかすごかったです(語彙力不足)

俺節(劇中歌)のこと
俺節は、オキナワがコージのことを思って書いたのかなと思うけど、コージはコージとテレサのことだと思っちゃって、オキナワ振られちゃう(表現)んだけど、聴いた人が自分のことだと思う、という意味であれは歌だったなーと思います。
安田さんは個人で歌で勝負することはないのかなと思いますが、(最近の雑誌を俺節の歌詞になぞらえると「俺」と「関ジャニ∞」で俺、って意味なのかなと思いました。)コージとして「俺節/みれん横丁のテーマ」を残してもらえるとうれしいです。みれん横丁のテーマ、好きなんです。お仕事中の脳内BGMです。

観劇前、ちょうどスパイダーマンの解禁映像を見たところで、安田さんのあまりのやせっぷりにもうちょっと食べて…!と思っていたのだけど、舞台見たらそりゃ痩せるよ、という熱量で、しかもやりたいんだな見せたいんだなって伝わってきちゃって、何も言えなくなってしまいました。千秋楽まで走り抜けてください…!でもちょっとは食べて…(結局言ってる)

結局オキナワに「おまえなにいってんの?」と言われそうなとっちらかりっぷりですがひとまずおしまい。