いよいよ勝浦に到着しました
時間はまだ朝の9時にもなっていません
相当な時間を自由に過ごすことができます
ちなみに私は事前に勝浦のことをある程度調べて、どこをまわるか決めてきています
とはいえ、面白そうなところがあったら、ルートを変えて別のことをする余裕は残しておきます
帰りの特急の予約などもしておりません
ゴールデンウィークの日曜日ということもあり、終点の勝浦で降りた人は結構います
ですが、改札を過ぎて歩き始める時にはすでに私一人になっていました
ですが、気にしません
最初の目的地である覚翁寺に向かいました
途中ですでに廃墟になった産婦人科を見つけました
五階建てですが、蔦が絡まっていていかにも廃墟感をかもしだしています
これだけの規模ですから、全盛期には相当な数の妊婦を迎え入れたのでしょう
昭和中期くらいに最盛期を迎えたのかもしれません
比較的最近まで経営していたと思ったのは、一階の駐車場スペースに冷蔵庫があり、その型があまり古そうな気がしなかったからです
文学好きの私としては、こういう昭和中期くらいの病院というのは、何か琴線にふれるものがあります
そして覚翁寺へ到着してしばらく敷地をうろうろします
背景が高台になっていて、緑に囲まれたお寺なので異空間の感じがあります
次の目的地である高照寺へ行こうとすると、人通りが多いことに気付きました
ふと看板を見ると、朝市と書いてあります
そういえば、勝浦というのは日本三大朝市の一つだと何かの記事にかいてありました
人々が向かう方へ行くと、見事なほど露天が並んでいて、賑わっているお祭りくらい人でごった返しています
ほんとうの魚を置いている露天もあれば、いちご飴を売っていたりもするし、アクセサリーのようなものもあり、混沌としています
家族か夫婦やカップルばかりで、私のように一人で歩いている人は見当たりません
いるとしたら、地元の散歩しているおじさんのくらいのものです
高照寺を見てから、次は津慶寺というところなのですが、明らかに距離があります
ほとんど人がいなくなり、一人で歩くことが不自然ではなくなります
ひっそりとした民家の間を入っていき、途中でトンネルもありました
この日は暑くて都心は27度と言われていましたが、トンネルの中はひんやりして気持ちがいいです
そこを抜けると、一気に外洋が見えてきます
海に近づくと、海水の透明さに驚きました
沖縄と遜色ないのではないかと思わせるものがあります
その海岸伝いに津慶寺はありました
少し高台になっていて、階段を上って後ろを振り返ると海が見えるという素敵な場所です
ゴールデンウィークでこんな素晴らしい場所だというのに人は私以外に誰もいません
敷地内を少し歩いていると、「今月の聖語」なるものが掲載されています
人身は 持ちがたし 草の上の露
にんじんは たもちがたし くさのうえのつゆ
意味が理解できているのか分かりませんが、確かに人間の一生なんて悠久の時からしたら、そんなものなのかもしれないなと思いました
海が見える津慶寺というロケーションの影響もあって、身に沁みます
次の目的地は官軍塚という見晴らしの良さそうな場所なのですが、またかなり距離がありそうです
ここまですでに一時間ほど経っており、少し疲れてきていましたが、きつい傾斜の坂道やトンネルが続き、息が上がってきます
そんな中でも、見える風景は私の日常からはかけ離れたものでした
ひっそりとした湾、高台にそびえる一軒家、庭でおじいさん漁師がしている手作業、森から聞こえてくる奇妙な生き物の鳴き声
足は疲労がたまっていますが、私の心は満たされていきます
そして、官軍塚に到着すると、360度の風景を見ることができます
片側は太平洋、反対側は山と街
穏やかな日光とともに涼しい風が吹いてきます
この官軍塚が今回の旅のハイライトと言っていいかもしれません
なかなかアクセスしにくい場所かもしれませんが、官軍塚には駐車場もありますので、機会があれば是非行ってみてください!