39歳雇われ社長から専業主夫(ヒモ)を経て飲食開業へ

仕事に夢中になり、15歳下の女房と離婚寸前になった39歳のおっさんが、飲食店に狙いを定めてみる

飲食修行初日はビラ撒き声出しの一日。もう辞める。

11月まで「社長!」と呼ばれる立場にいた。

仕事に夢中になり、通勤わずか45分なのに、2歳と1歳の子どもを女房に押し付けて別居し、離婚寸前になった。

そんなとき思うところあり、このままこの仕事を続けようか迷いが生じ、女房と話したところ、是非辞めてくれの一点張り。

今まで頑張ってくれてありがとう、でもこの仕事はもう絶対辞めてほしい、お金は私が稼ぐから、本当に好きなこと、人の役に立つことを、ゆっくり考えてやってほしい。とのこと。

 

年末に、ひょんな事から居酒屋の開業をする人間と知り合い、手伝うことにした。

飲食をやりたくなったから、やる上でいい経験になると考えた。

女房と相談し、我が一家で店をやるために彼女は水商売をやって金を稼ぐ、僕は日中飲食の経験を積む、ということで合意した。

オープンは2月、チキンをメインにした居酒屋業態と言っていたが、なぜかコンサルに丸投げしたラーメン屋になっていた。

 

ロープレやレセプションをやり、オープンを迎えたその日、僕の仕事は駅前でのビラ撒きだった。

生活している最寄駅でチラシを持って大声を張り上げる。生まれてこの方一度もやったことがない。

プライドなんか一番いらない。歳も経歴も一切関係ない。誰も僕のことなんか知らない。恥ずかしそうにやってる方が恥ずかしい。

わかっちゃいるけど声は出ない。

 

そうこうしていると、女房が子供二人連れてたまたま通りがかった。まさに生き地獄。

その後ろからクリーニング屋のおばちゃんもやってくる。

数ヶ月前までエルメスやサンローランのスーツを毎日出してたクリーニング屋。

もう少しすると自宅のお隣さんの奥さんが小学生男子兄弟を前後に乗せて自転車でやってきた。

意外と顔見知りいたんだな・・

恥ずかしさと屈辱感で、もう声も出ないしチラシもポッケに隠す。

悪いけどもうやれない。こんな仕事は手伝えない。