恋とナイフ

すべては誰かに認められたい。それが恋だろうと仕事だろうと。孤独な思いをスポーツにぶつける。日本一を経験し、それでも物足りず世界選手権にも出場。しかしいつまで立っても満たされない思いに悩まされる。

恋とナイフ

恋は自分を傷つけるだけではないのか。

 

漫画のような恋愛は現実では起こらない。

ドラマティックな出会いを果たし、

互いに求め合う恋愛なんて・・・

 

私は小学生のころからサッカーをはじめ、

すべてはプロになることが目標だった。

小学校は必死にボールを毎日追いかけて終わり、

中学校は思春期と言えど、休日だけでなく、選抜チームで平日もサッカー漬け。

ラブレターの交換なんてしている場合じゃなかった。

 

高校になると、高校サッカーがある。

野球では甲子園がある。

映画で憧れた「青春」。勿論毎日練習漬け。

周りの部活のメンバーには中には付き合っている人もいたが、自分には皆無。

結局、全国大会で優勝し、高校生活は終わった。

 

大学に入ると、自分自信の自由な時間が増えた。

一方で、サッカーに燃え尽き、バーンアウトの状態にもなった。

そんな中、逃げ道でトライアスロンに出会ったが、今考えると間違えだったのかもしれない。

トライアスロンは一人でするスポーツ。

水泳、自転車、ランニング。大学には部活動がなかったため一人でトレーニングに取り組んだ。

大学の友人たちは着々と彼女を作り、楽しむなか、

自分は日本国内の大会で成績を残し、ついには世界選手権。

スポンサーも付き、期待とプレッシャーを抱える。

海外での転戦で、大学に行くことも珍しくなった。

たまに友人の紹介で付き合う女性も何人かできた。

彼女はただ、結果を聞いて話を聞きたいらしい。

しかし、まったく続かない。満たされない。

達成感や幸福感。

一緒にいて緊張してしまう自分もいる。

落ち着かない。

 

大学4年間がもう終わる。

気が付いたことは「孤独」であること。

こう、自分のことを必要としてくれる人がいない。

自分の中では、試合で勝つこと、結果を残すことが存在意義のようなものだった。

 

恋は自分自身だけでなく相手も傷つけかねない。

ただ、本当の恋とは何か正直良くわからない。