読書好きの森。

読書好きの、読書好きによる読書ブログです。本を通して、心に宝物を。

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【ケーキの切れない非行少年たち/宮口幸治】

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話題となっている「ケーキの切れない非行少年たち」を読んでみました。

 

この本を読むに当たっての目的は

 

・漢字を誤って視写する子や計算の仕方が覚えられない子は、見たものや聞いたことをどう捉えているのか、感じているのかを知りたい

 

というものでした。いつも抱えている私の疑問。この本を読めば分かりそうな気がして。

 

大雑把に結果から話をすると、

・認知機能の弱さ、感情統制が苦手、融通の効かなさなどが要因となり様々な問題に繋がる。

・小学2年生頃からサインを出し始めている。

・学校という場で苦手なことに目を背けず支援する必要がある。

ということが分かりました。

 

本全体を通して、非行少年たちの特徴や課題を捉えることができました。

 

私たちはついつい自分の目線で物事を捉えてしまう。「これができて当たり前」と。「なぜ出来ないのか。」と。

しかし私たちが目を背けたまま、子どもが成長したとき、誰が支援するのか。苦手をそのままにして社会に出た時、私たちは助けてあげられない。

 

学校現場では、よく「困り感」という言葉を耳にしますが、まさしくそれでした。子どもたちは困っている。「なぜ出来ないのか」という視点から「どうすれば出来るようになるのか」に変えるだけでも、違いはあると感じました。社会に送り出すために、力をつける取り組みをしなければならないのです。

 

 

「子どもの心に扉があるとすれば、その取手は内側にしかついていない」

 

とても響く言葉でした。私は子どもがその取手に手をかけようと思えるように、支援すべきなのだと感じました。

 

本書の〈第7章 ではどうすれば?1日5分で日本を変える〉で、非行少年が変わろうとするきっかけが述べてありました。

それは①自己への気づき②自己評価の向上だそうです。

 

私が安心したのは、(全てではないと思いますが)殺人などの犯罪を犯すほどの子どもも、やはり認められたいという承認欲求があり、それに向かって頑張ろうと変わることができるということが述べられていたことです。

 

朝の会の5分間で取り組むことが出来るトレーニングも示されていたので、取り入れるためにもう少し深く勉強したいです。

『コグトレ―みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング(著:宮口幸治)』も読みます。

 

自分が関わっていく子どもたちに、何を返せるかなと考えています。

 

読書ノート載せさせていただきます。

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【 流浪の月 / 凪良ゆう 】

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流浪の月 凪良ゆう


2020年本屋大賞ノミネート作品

 

愛ではない。けどそばにいたい。

互いに惹かれ合う家内更紗(かないさらさ)と佐伯文(さえきふみ)。

足りないところを埋め合っていく、そんな特別な関係。

 

一度、望まぬ別れを経験した男女。

再会すべきではなかったのかもしれない。

そんな二人の、辛く悲しくも温かい、新しい人間関係への旅立ち。

 

 

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本屋大賞ノミネート10作品で、最後になる作品のご紹介です。

 

 

「浮世離れした人」=「マイペースすぎてやばい人」

周囲からは変な目で見られる、変わり者の更紗の母 家内灯里(かないあかり)と父 家内湊(かないみなと)。

そんな浮世離れしていると言われる二人が、更紗は大好きだった。

外国語のラベルが貼られた、ラムやジンやウォッカテキーラの瓶、南の島の海色、真夏のバッタ色、白雪姫の毒林檎色、お母さんの派手な爪の色。

大好きな綺麗な物と、大好きな二人との幸せな生活。

いつまでも続くと思っていた、大事な時間だった。

 

 

常識とは

両親と離れ離れになった更紗。

自分が思う常識が通用しない、とても窮屈な生活に息苦しさを感じていた。

手を差し伸べてくれたのは10歳も年上の佐伯文。

二人の常識破りの自由な時間も長くは続かなかった。

 

 

ネットで誰でも簡単に情報が得られる時代。

しかし、その情報は本当に嘘偽りのないものなのでしょうか。

その情報に隠されたドラマや真相。

安易に鵜呑みにできない情報ばかり。

そんな情報に踊らされたくない。

そうは思いつつも、やはりネット上の拡散は恐ろしく、時に醜い。

そんなインターネットという明るみで公開処刑されれば、一生消えることのない傷がつく。

「デジタルタトゥー」

消えない傷がついた体で生きていくのはどんなに辛い事でしょうか。

 

 

読んでいて、とても切なくなり、ぎゅーっと苦しくなる。

なのに読む手が止まらず涙が出る。

 

あなたは人に優しくできますか?

親切な人ですか?

では、その親切は本当に相手は望んでいる事ですか。

 

 

常識とか、世間体とか、自己満足の優しさとか。

そんなんじゃなくて!

自分に素直に生きていきたい。

しっかりと信じるものを自分で見極めて。

まっすぐ生きていきたい。

そんな風に思えるとても大切な一冊になりました。

 

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作者である凪良ゆうさん。

 

10年以上もBL作品を書き続けている作家さんです。

そんな人間関係を書き続けているだけあり、とても繊細な心理描写に心打たれます。

センシティブな関係を描き出す名手と言われるのにも納得。

 

 

私個人的にすごく良かった作品。

今これを書きながらもまだ余韻が消えずにいます。

 

様々な感情が駆け巡る作品。

読んだ後はきっと放心状態になります。

そして使いすぎた頭には甘いものが欲しいですね。

 

読了の際は、ぜひ「アイスクリーム」をご用意ください。

 

 

 

【 ルビンの壺が割れた / 宿野かほる 】

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ルビンの壺が割れた 宿野かほる


ネタバレ厳禁!!

結末は絶対に誰にも言ってはいけない

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上記がご紹介させていただきますのは、話題の問題作

 

 

あるきっかけから、ネット上で再会を果たす男女。

SNSを通じてメッセージのやり取りが始まる。

驚愕のラストにあなたはどんなことを思うのか。

 

 

ルビンの壺とは

皆さんは「ルビンの壺」という多義図形をご存知でしょうか。

 

ルビンの壺とは、1915年デンマーク心理学者エドガー・ルビンが考案した多義図形ルビンの顔図地の壺ルビンの盃ルビンの杯 とも言われる。

 

表紙にもある黄色い壺。

しかし、見方を変えると二人の人間の影が浮き上がってくる。

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ルビンの壺

出典: ルビンの壺 - Wikipedia

 

意識を変えることで全く違うものが見えてくる、このトリックアートのような壺。

 

何故、ルビンの壺なのか

まさしく本書も、このルビンの壺のような作品なのです。

 

再会を懐かしむ思い出話のメッセージ。

と思いきや、メッセージのやり取りが進むにつれてコロコロと表情を変える展開に。

読み進めていくにつれて受ける印象は人それぞれかもしれません。

皆さんはどんな展開を予想するでしょう。

 

170ページ(文庫版)という短いページの中で巻き起こる予想不可能な展開。

手に取った私自身も異変に気付いたのは、なんと164ページに差し掛かったところでした。

血の気が引くほどのラストの真実に驚きました。

 

最初の数ページからは、全く想像できなかったであろうこの展開。

真実なんて言うと「ミステリー」作品なのかと思ってしまう。

私も手に取るまでは、何か謎を解明していく推理ものか、ミステリー要素のあるものだと思っていました。

 

しかしこの【ルビンの壺が割れた】は、ミステリーとは別もの。

新感覚の物語に、是非挑んでいただきたい。

 

私が購入した「ルビンの壺が割れた」には2種類のブックカバーが付いていました。

1つは通常のブックカバー。

2つ目は、読者から寄せられた絶賛、驚嘆、怒濤の感想が敷き詰められているブックカバー。

 

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特製全面帯

 

二度と抜け出せない壺にハマってしまった。 (20代男性・東京都)

「嘘」はないのに、騙される。(10代男性・神奈川県)

こんな気持ちにさせないで!(30代女性・愛知県)

鳥肌もの!(60代男性・東京都)

 

といった様々な興味がひかれる感想の数々。

序盤から、不思議な展開が続き一気読みでした。

 真実を知った今、改めて再読してみようと思います。

また、ルビンの壺のように違った見方ができるかもしれません。

 

覆面作家として本書で作家デビューを果たした宿野かほるさん。

【ルビンの壺が割れた】は、友人たちとの集まりで聞いた話をもとにしているとのことです。

原稿を読んだ友人の勧めによりこのように作品に!

どういった方なのかは謎のままになっていますが、この作品の読者さまの反応によっては次回作も?ということで次回作の有無も気になっていくところ。

 

 

是非少しでも興味の持った方は、この一度入ると出ることができないルビンの壺へ。

そして、それが割れた驚愕のラストを目の当たりにしてください。

 

 

 

【 むかしむかしあるところに、死体がありました。 / 青柳碧人 】

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むかしむかしあるところに、死体がありました。 青柳碧人


2020年本屋大賞ノミネート作品

一寸法師】→一寸法師の不在証明】

【花咲か爺さん】→【花咲か死者伝言】

【つるの恩返し】→【つるの倒叙がえし】

【浦島太郎】→【密室龍宮城】

【桃太郎】→【絶海の鬼ヶ島】

 

むかしむかしあるところに...

から始まる、誰もが知っているあのおとぎ話。

アリバイ崩し、イヤミス倒叙クローズドサークル、どんでん返し。

様々は技法が使われた奇妙なミステリー作品。

 

 

 

一寸法師の不在証明

お姫様を守るために勇敢に鬼に挑む一寸法師

しかし、それがある人物の、ある野望への計画だったとしたら...

 

花咲か死者伝言 

「枯れ木に花を咲かせましょう」

心優しい老夫婦の元に舞い込んだ財宝。

そんな幸せもつかの間、欲に目がくらんだ黒い魔の手が迫る...

 

つるの倒叙がえし

助けてもらった鶴が体を張って行う恩返し。

その甘い蜜の味を知ってしまった青年。

こんなつもりでは無かった鶴の恩返し。

しかしその一連の発端は...

 

密室龍宮城 

亀を助けて連れてこられたのは、世にも美しい龍宮城。

歓迎された浦島太郎は、なぜか密室殺人の謎解きをすることに。

とある大きな計画に巻き込まれる...

 

絶海の鬼ヶ島

「お腰につけたきびだんご、一つ私にくださいな」

鬼目線の桃太郎?

いや、これこそが本当の鬼退治だったのかも...

鬼!鬼!鬼!鬼!鬼!鬼!鬼!鬼!鬼!鬼!鬼!鬼!鬼!鬼!

メモ必須!

 

 

本屋大賞ノミネート作品の中でもとてもインパクトのある表紙とタイトル

POPな絵からは想像できないような、妬みや、欲望といったおぞましい物語が、実は隠されています。

中には物語の内容を見事に逆手に取った謎解きがあり、どれもお見事。

 

 

【つるの倒叙がえし】のストーリーに、「なるほど」と感心。

さらに【絶海の鬼ヶ島】では、まさかまさかの展開に先が全く読めずで、こうきたか...とやられた感満載でした。

 

元々の物語の内容をそのままに、うまく利用していたり、舞台の見取り図があるのも面白い。

 

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懐かしいでは済まない5つの物語

是非一度読んでみて、お気に入りの作品を探してみてください。

 

 

私個人的には【つるの倒叙がえし】が一番のお気に入りです。

 

なんだか、倒叙ミステリーというと古畑任◯郎を思い出してしまい、頭の中で流れるあのBGMを聴きながらの謎解きがまた楽しかったのです。

 

5つの作品のうち何作品かで思い知らされる女って怖い!

 

 

 

決して子供には読み聞かせられないザワつくおとぎ話。

 

めでたし...めでたし...?

 

 

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【 線は、僕を描く / 砥上裕將 】

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線は、僕を描く 砥上裕將


2020年本屋大賞ノミネート作品

 

両親を交通事故で亡くした、大学生の青山霜介(あおやまそうすけ)。

孤独の中、水墨画の巨匠・篠田湖山(しのだこざん)と出会う。

篠田湖山の内弟子として水墨画に触れていくことで、自分の生き方と向き合っていく。

描くのは「」。

まるで絵が見えてきそうな美しい水墨画を描く描写の数々。

主人公とともに水墨画に魅了されていく。

 

 

水墨画」と言われると、墨や筆で描く絵。

と言うぐらいしか分からずの無知な私でも、その奥深さに魅了され楽しめました。

 

とにかく水墨画を描く描写が美しい。

墨をする時のあの香りを思い出して、懐かしく優しい気持ちになりました。

 

水墨画とは水暈墨章(すいうんぼくしょう)という言葉が元になっている。

水で暈して(ぼかして)、墨で章る(つづる)という意味。

 

塗る工程は無く、線を描くのが水墨画

油絵のように様々な色を使い分けるのでは無く、墨と水で画面に濃淡・明暗を表していく。

また、線のひき方一つで、その人の癖や雰囲気・弱点なんかも分かってしまうらしい。

 

 

青山霜介が篠田湖山から水墨画を学んでいく中で、水墨画四君子」「」「」「」というものが出てきます。

絵画というと、自分なりに自由に表現したり、描き手の拘りが表れたりしてくるものだと思います。

しかし、水墨画となると話は別。

用筆法・用墨法をしっかりと学び、何度も練習を重ね、自分のものにしなければいけないとのこと。

その基礎の練習過程で用いられているのがこの「四君子」。

作中でも青山霜助がかなり試行錯誤して練習していました。

才能やセンスだけでは太刀打ちできない奥深い水墨画

 

作品の中では、数人の水墨画家が登場します。

同じ題材を描いているのに出来上がる作品の違いや、その描き方や筆の動くスピードの違い。

それを分析していく霜介の繊細な表現がとても気持ちが良い。

 

この青山霜介。

とある出来事から美しい水墨画家と水墨画で勝負をします。

その勝負の行方や、孤独の淵から這い上がっていく霜介の成長を是非読んで確かめていただきたい。

美しい描写にうっとりしながら、感動すること間違い無し

 

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作者である砥上裕將さん。

この【線は、僕を描く】で作家デビューとのこと。

というのも、本物の水墨画さんなのです。

 

本書の始まりと終わりにも作品があります。

またこれがとても美しい。

ネットで検索すると他の作品もあり、私個人的に魅了されたのは、作品でも題材として出てきた「薔薇」です。

墨の綺麗なグラーデーションで描かれた薔薇の花びらが美しく、天に昇るように描かれているその風景に息を飲みます。

作中で霜介が色が見えると言った薔薇の作品。

本書を読んだ方も、これから読もうとしている方も是非一度調べてみてほしいです。

 

 

僕は、線を描く

のではなく、

線は、僕を描く

 

この意味は水墨画の本質と向き合いながら知ることとなるでしょう。

 

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【仮面病棟/知念実希人】

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仮面病棟 知念実希人



驚異のベストセラー 衝撃の映画化!

2020年3月6日(金)公開

 

週に一度ほどの療養型病院での当直のアルバイト。

その日たまたま先輩の当直を代わった 速水秀悟(はやみずしゅうご)。

いつもは待機ばかりの暇な「寝当直」のはずが、恐ろしい事件に巻き込まれる。

閉ざされた病院で繰り広げられる、クローズド・サークルなミステリー。

 

運悪く居合わせた外科医の速水秀悟。

発砲され傷を負った、美しい女子大生 川崎愛美(かわさきまなみ)。

患者を守るために熱くなる、田所病院の院長 田所三郎(たどころさぶろう)。

中年で肉つきが良いシングルマザー、田所病院看護婦 東野良子(ひがしのりょうこ)。

結婚を控え近々病院を辞めることになった、田所病院看護婦 佐々木香(ささきかおり)。

コンビニ強盗、....??? ピエロ。

 

事件に巻き込まれながら、明るみになっていく、とある大きな「秘密」。

現役の医師である知念実希人先生ならではの、本格ミステリー×医療サスペンス

 

 

冒頭から駆け巡るハラハラとした展開に、一気読みでした。

医療サスペンスと聞くと、なんだか身構えてしまいますが、とても分かりやすくスラスラと読み進められるのも本書の魅力の一つ。

 

舞台は、療養型病院である田所病院。

本書の目次の次のページには、舞台である田所病院の各階のフロア図が載っている。

作品を読み進めながら、時々フロア図に目を戻す。

舞台が想像しやすく、自分なりに推理していく楽しさがありました。

 

コンビニ強盗を犯し、警察やマスコミから田所病院へ逃げ込んできたピエロ。

ピエロの意図とは?

 

入院患者をも人質に取られた、恐ろしい事件。

それでも警察に通報しない院長の意図とは?

 

明らかになっていく、とても恐ろしく悲惨な黒い陰謀

一度だけと、軽い気持ちから始まった恐ろしい犯罪。

身を引くことは出来ず、どんどん後戻りできない泥沼にはまっていく。

 

騙されて、騙されて、騙されて、騙されて...

 

 

 

金田一少年の事件簿』や『TRICK』でも有名な演出家・映画監督である木村ひさしさんを監督に、2020年3月6日(金)映画公開。

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映画版ブックカバー

映画の公式サイトには様々な予告編動画が。

中にはピエロ繋がりであのピエロ界の有名人「ペニーワイズ」とのコラボ予告編もあって面白い。

サイトのメニューが田所病院のマップになっているところも、とてもお洒落なので一度覗いてみてほしい。

 

あの、終始緊張感がある緊迫した雰囲気を映画でどう表現されるのか、今からとても楽しみです。

 

 

カバーの表紙にも伏線が...!?

 

いったい仮面をかぶっているのは誰なのか、是非真実を明らかにしてほしい。

 

 

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【まんがでわかるヒトは「いじめ」をやめられない/中野信子】

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「いじめをなくそう!」「いじめはいけない!」

 

と聞き続けて、何十年。

 

いつまで経ってもなくならない。

 

むしろ、

 

インターネットやSNSの爆発的な広がりにより、

いじめの形態は複雑に、そして、陰湿になってきている。

 

私の友人の中学校教員も、今年度受け持ったクラスでSNSトラブルがあり、

 

聞き取りや話し合いに相当苦労したと言っていた。

 

そもそも授業時間外に起こったトラブルであっても、

「いじめ」につながる可能性があるならば、学校として対応している。

 

ということみたいだ。

 

いじめを受けるほうも、それに対応するほうも、そして、いじめの加害者も、

たくさんの人がダメージを受ける「いじめ」。

 

広くいじめの危険性が広がっているにも関わらず、

なぜなくならないのだろうか。

 

それは、

 

いじめには「機能」があるからなのでは?

 

と述べている。

 

ムラが出来だし、集団として生活はじめた時代。

周りの人々と協力し、行動していくことが重要視された。

そして、

集団で創った食べ物を均等に分配するなど、「ルール」が必要になった。

種を残すために「ルール」を守ることが大切であった。

 

そこで、一番脅威になる存在は誰か。

「敵」ではない。

 

集団を内部から壊そうとするフリーライダーという存在である。

 

直訳すると、「ただ乗りする人」

 

簡単に言うと、

協力しない人・ずるをする人のこと。

 

フリーライダー」に自由にされたら、

集団を壊されてしまう。

集団を壊されないように、

フリーライダー」を制裁する必要がある。

こうして、人を制裁することが起こってきた。

 

社会性の維持のために、「いじめ」が機能を持っている。

 

しかし、

社会性が高まりすぎることが問題なのである。

 

「みんな同じに!」を大切にしすぎると、

 

少しの違いでも制裁をしたり、

ルールを知らないだけの人にも制裁をしたり、

過剰な制裁を下すようになる。

 

これが、現在の「いじめ」の根幹である。

 

厄介なのは、

過剰な制裁時には、

快楽ホルモンのドーパミンが脳内に分泌されているのだ。

特に、子どもの時期は、攻撃性が高まるが、攻撃性を押さえる情動の「ブレーキ」がまだ育っていない。

 

だから、やめられない。

 

「いじめはいけません!」と言って、かんたんに防げるものではないのだ。

 

 

学校は、「同じ・平等」を求めがちである。

もしかすると、

学校の存在自体が、いじめにアクセルをかけているのかもしれない。

 

そもそも、

 

「全員違う人であることがあたりまえの社会」

 

であれば、いじめは起こらないのかもしれない。

 

 

 

…でも、違いだけでいいのか?

 

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