2008-07-28

腰くだけてメロメロ

寝て起きたら、腰をいわしたらしく、痛みで歩くのもままならない。
し、歩いたところで、背筋をピンと伸ばすことができなくて、
これが原人のような姿勢になってしまって非常に情けない。
ならばいっそ、全裸で街を歩いてみれば珍しがられて、捕獲してもらえるかもしれない。
そして、研究機関にとらわれて人体実験されるんだ。
もしくは、警察にとらわれて臭い飯だ。

両方だめだ。病院だ、病院。
僕は以前から、腰痛もちなのでマイコルセットを持っている。
ベルサイユ宮殿から脱出して以来、使っていなかったので、
ウエストサイズも内臓の位置もすっかり元に戻ったが、
ついに出番だ、巻いて気休め。
非常に楽だ！

で、病院。

「それじゃライダーベルトだよ」
と僕のコルセットを見て医師は言う。
中世貴族を捕まえて、言うにことかいて仮面ライダー呼ばわりとは。
この医者、舞踏会の時に被るＳＭ仮面とライダー仮面を混同しているらしい。
「看護婦さん、そのコルセット巻きなおしてあげて」
と医師は言う。

別室に移動し、看護婦さんにコルセットを巻きなおしてもらう。
看護婦さんに、Ｔシャツを胸の辺りまでめくりあげるように言われる。
いわゆる援助交際のポーズだ。実に恥ずかしい。
しかも、すでにズボンはずり下げていて、インドアな僕の白く柔らかいお腹は、
２箇所、蚊に食われている。

こんなとき、なんてうらやましい！と思う人もいるかもしれない。
が。
往々にしてこういう若い男性相手の仕事は、
ベテランの看護婦さんが担当するものと決まっている。
当方としましても、若くて綺麗な看護婦さんに腰に手をまわされたら、
恥ずかしくって仕方がない。

で、だ。
サモアの看護婦さんみたいな日本の看護婦さんに、
コルセットをぐいぐい巻きなおしてもらったわけだが、さすがプロフェッショナル。
実に、調子がよくなった。
感謝。
伸びなかった背筋がピンと伸びた。
これだけでも、お医者にかかった意味があった。

だが、しかし。
水島新二先生が描く不細工さんを黒塗りにしたようなおばさんでも、
腰に手を回されると、悲しいかなこれが男の性なのか、
僕の自覚症状のない性癖の扉が開いたのか、
何がなんだかわからないが、なぜかニヤニヤしてしまうんだ。
何を期待しているのか。情けない。
まったく、どうしたものか。
軟弱でいけない。

そこで、今度、腰痛でお医者にかかるときは、一本歯の下駄で来ることにする。
コルセットのかわりにさらしを巻く。
背筋が伸びなければ、竹を背中にくくりつける。

ケムマキ君のところの猫の影千代が二本足で歩行できるようになったのは、
そういった不断の努力があったが故だ。

僕はまだまだ日々の鍛錬や、精神の鍛え方が足りないと思う。
もっと、心身ともにバンカラに生きなくては、と、この腰痛を通してあらためて思い直した。

ちなみに、医師の診断は、運動不足からくる腰痛。
「骨とかなんともなってないですね。若いんだから、もっと運動してください。
はい次の方」

もっとバンカラに生きなくては、生きてゆけない。