代表監督更迭から見るヨーロッパのサッカー文化
久しぶりの更新ですね。
今回は分析や戦術や指導者に関してではなく文化についてのお話し。
代表監督の更迭によって、揺れている日本サッカー。
6月のロシアワールドカップは果たしてどうなるでしょうか。
この更迭によってこの4年間の検証が出来ないという論が多くある気がする。
確かにハリル監督によって作られたサッカーはもはや検証不可能である。
今までの日本サッカーの英知を結集させるのか、それとも西野新監督の頭の中だけで戦うのか。これはこれで視点を変えれば見る側にとっては興味深い内容である。
個人的にはロシアで勝とうが負けようが、今までやってきたことがゼロになることはないだろう。こういった監督交代がどのような影響を及ぼすか検証すれば良いと思うからだ。
今、日本中ではサッカーの話しで持ちきりであろう。
どんな内容であれサッカーに注目が集まっている。
興味がなかった人も、今はサッカーの話を聞いているかもしれない。
そんなタイミングでこんな本を読んだ。オランダ発のヨーロッパフットボールカルチャー誌。戦術的な話や指導に直接関わる話を全くない。
Panenka Magazine(パネンカ マガジン)vol.01 2018年4月: ヨーロッパ発フットボールカルチャー誌
- 作者: Panenka Magazine Japan
- 発売日: 2018/04/21
- メディア: Kindle版
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ただヨーロッパにはサッカーがあり、それが文化となっていることが垣間、見える。
筆者はオランダ人だ。(日本語翻訳されている)
ヨーロッパの人たちがどのようにサッカーと関わっているかがわかる。
こうやってサッカー文化が作れてきたのだと認識することができる。
日本サッカーは世界と比べればまだまだ始まったばかり。
もう監督は変わってしまった。
後には引き返せない。
さあ、みんなで見届けようじゃないか。
今あるプロセスが日本のサッカー文化を作るはずだ。
ベルギーフットボール アンドレヒトアカデミーの形
2014年のブラジルワールドカップの準備に向けてベルギー代表監督ビルモッツの周りは非常に慌ただしくそして、熱っぽかったのだ。前評判では1984年のメキシコワールドカップのベスト4を超えるとさえも言われていた。しかし、最終的にアルゼンチンに破れて、準々決勝で破れてしまうのだ。これでベルギーサッカーの熱が下がってしまうのだろうかと思われた。
けれどもそんなことはなかった。それはあるクラブがあったからだ。それはアンデルデヒトだ。このクラブはベルギーリーグの覇者である。このクラブにはベルギーサッカーを牽引していく責任があったのだ。このクラブは若い血が脈々と流れるクラブでもある。実はこのクラブの育成システムはヨーロッパサッカーの中でも非常に評価が高く、日々多くの国やクラブがアンデルデヒトに訪れている。
クラブには明らかなビジョンがある。
それは18歳から21歳までにトップクラブまでもしくはチャンピオンズリーグで戦える選手を育成することである。
彼らのスローガンはこうである。
“Turn your passion into your profession”
これはクラブが信仰する献身と規律を強調したものである。
ジェネラルマネージャーのHerman van Holsbeeckは育成アカデミーにおけるマニフェストして、評判の良いクラブであり続けることと国内のクラブとトップクラブの間に立ち、常に良い選手を育成することである。
Romelu Lukaku、Adnan Januzaj、Vincent Kompanyはまさにアンデルデヒトのアカデミー出身者である。まさに有言実行というところだ。
アンデルデヒトの将来性のある選手たちは11歳からトレーニングが始まる。
この年代からアンデルデヒトの哲学が刻み込まれていくのだ。その哲学とは、技術的に優れた選手、本能的に相手のプレッシャーをかわすことができる攻撃的な選手を育成することである。
彼らはハイテンポな攻撃的サッカーの中で3−4−3システムをベースにトレーニングがされる。The Anderlecht wayは思考のスピードとプレーの実行の質を形作ることにある。その中の選手たちは自信を持つことを期待され、必要であれば三角形を形成しながらビルドアップし攻撃できなければならないのだ。
また、適応力という要素はアンデルデヒトのアカデミーでは重要である。
15歳から19歳にかけて今度は1−4−3−3でプレーすることを求められる。また、体の成長と共にこの時期からフィジカルトレーニングが組み込まれていくのだ。
今回は少し、ベルギーさっかーについて紹介した。
デ・ブライネ、ハザード、メルテンスなどタレントを豊富に生み出すベルギーサッカー。これからも目が離せない。
(アディダス) adidas 16 17ベルギー代表 トレーニングトップ 半袖 ボールドオニキス B79549 M
- メディア: ウェア&シューズ
ベルギー代表 2016 ホーム レプリカユニフォーム 半袖 7.ケヴィン・デ・ブライネ 【アディダス】 abz77-aa8744-7-d L
- 出版社/メーカー: adidas
- メディア: その他
adidas(アディダス) ベルギー代表 16-17 アンセム ジャケット(レッド)AC5818 (インポートM(O))
- 出版社/メーカー: adidas(アディダス)
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クライフとAjaxとオランダサッカー
オランダ代表は残念ながらロシアワールドカップを逃した。
オランダ国内はもちろん、世界中でオランダのサッカーが下降していると感じた瞬間かもしれない。
オランダ人記者がアルゼンチン代表監督のSampaoliにこんな質問をしたようだ。
「オランダ代表監督にとって良いオプションは何か?Sampaoliとテクニカルチームについてはどうですか?」という内容の質問だ。
Sampaoliは解雇されたDanny Blindの後をそのまま引き継ぎたかったようだ。
そして、彼はオランダのテクニカルコーチと共に仕事がしたかったようなのだ。
結局、SampaoliではなくDick Advocaatが引き継ぐことに。彼は3回目の代表監督である。Sampaoliはチリ代表を率いて2015年にコパアメリカを制した。そう考えるとオランダ代表、オランダサッカーに刺激を与える存在としては最適だと思われたはずだった。
しかし、ここでオランダサッカーはクライフの言葉が引っかかったのかもしれない。
‘Why should I gone back when everything they are doing with soccer in Holland is wrong now?’
ある種、これはサッカー先進国である誇りかもしれない。
オランダサッカーを通じて、ドイツ、スペイン、ベルギーは強くなったのだ。
そして、ドイツはこれに改良を加え、攻撃でフィットした選手たちでチームを形成し、ホーランドスクール3.0を彷彿させるようなサッカーを展開したのだ。
見方によって、オランダは進化することを拒否したのであろうか。
これはオランダが自分たちが小国であるがゆえに自分たちのバーを低くしたこと、そして、オランダ国内においては皆、知り合いであることが一つの原因かもしれない。
2011年にクライフが実権を握った後、元 AJaxの選手たちがクラブの中に入り出したのだ。去年を除き、Ajaxはチームとして約20年、結果を残していない。
去年はPeter Boszがホーランドスクール3.0を彷彿させるようなサッカーを見せた。しかし、今シーズン、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグと早くも姿を消している。
オランダサッカーの発展を考えるとAjaxの成長が鍵となるといっても過言ではない。
AjaxにはPSVやFeyenoordに比べて大きなポテンシャルがある。
予算で見ればオランダトップであり、年間約80ミリオンeuroである。
選手の移籍による収益は158.9ミリオンeuroでこれはアーセナルやマンチェスターユナイテッドに匹敵する。
Ajaxはこれからどうなるのであろうか。
Stefan SzymanskiとSimon Kuperは彼らの本の中で選手たちの給料のインジゲーターはパフォーマンスに影響すると言われている。給料が高く支払われている選手たちが多くいるほど、最終的な結果を良いというものだ。
クライフは選手の給料とパフォーマンスに関して、選手にたくさんの給料を払えばゴールがたくさん生まれるとは限らないと述べている。
しかし、データの上ではStefan SzymanskiとSimon Kuperの意見が正しいようだ。
つまりAjaxがすべきことは良い選手を売るのではなく、高い給料を払ってでも良い選手を残留させてヨーロッパで結果を残すことが求められるのではないか。
それが結果的にオランダサッカーの発展に繋がるかもしれない。
オランダから目を背けてはいけない。彼らは必ず復活するからだ。
参考・引用
https://fd.nl/fd-persoonlijk/1220945/de-boedel-van-cruijff
オランダのサッカー選手育成プログラム ジュニア/ユース編―年齢別・ポジション別指導法と練習プログラム
- 作者: オランダサッカー協会,田嶋幸三
- 出版社/メーカー: 大修館書店
- 発売日: 2003/10/01
- メディア: 単行本
怒鳴るだけのざんねんコーチにならないためのオランダ式サッカー分析
- 作者: 白井裕之
- 出版社/メーカー: ソル・メディア
- 発売日: 2017/07/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
クロップのお家芸 ゲーゲンプレスを見てみよう
We will conquer the ball, yeah, each fucking time! We will chase the ball, we will run more, fight more.
2年前にリバプールの監督クロップが発言した言葉である。
これはまさにクロップのサッカーを最大限に表現した言葉かもしれない。
クロップのサッカーはボールを失った後、すぐに相手にプレッシャーをかけ、すぐさま奪い返し、そのまま攻撃に転ずるというものだ。いわゆるゲーゲンプレス。この戦術はドルトムント時代(マインツでも成功)に成功を納め、リバプールでもこの戦術を採用している。
しかし、今シーズンに限ってはしばし違うようである。
As discussed on latest pod. Aggregated pressing map 2017 v 2016 for WAT, CRY, BUR, LEI pic.twitter.com/zX7C4ZsmOj
— AIUnderPressure (@AIUnderPressure) 2017年9月26日
上の図を見てもらいたい。リパプール3シーズンの分布である。
参照(What Has Happened To The Klopp Press? | StatsBomb)
チームの攻撃方向を左から右としてピッチを5つに分け、 赤い色はパスを乱れさせた回数を数値化したもの(チームのプレッシャー戦術がうまくいったことを表す)、青色はパスを相手に成功されてしまった回数を数値化して表したものである。
気づいたであろうか。明らかに今シーズンだけ違うのである。これだけ見れば、クロップのお家芸、ゲーゲンプレスは効いていないことを表している。
さらにデータによると今シーズンのリパブールの対戦相手のポゼッション時間が今までのクロップが率いたチームと比べると10パーセントも増えているのだ。この時間は約6.5秒(相手のポゼッション時間)である。この時間はプレミアリーグの中で比べると
短い方であるが、クロップのリパプールにとっては大きな変化である。
さらにこれは今シーズン、リバプールが対戦した相手ごとにどれくらいパスを乱れさせたかどうかをまとめたデータである。赤が乱れさせることができたことを表している。
(レスター戦は外れ値であるようだ)
これの図から考えられることとして、今シーズンのリバプールは戦術をチームとして操ることができているということになるのではないであろうか。
チャンピオンズリーグかつカップ戦、リーグ戦と世界一試合数が多くなってしまうであろうプレミアリーグ。これはクロップが出した解決策かもしれない。
ゲーゲンプレスを実行するためには速い攻守の切り替えとそれに伴って前へのスプリントがチーム全体に求められる。
そこで付きまとうのが負荷が高すぎる上での選手への負担であろう。
ゲーゲンプレスの弱点の一つである。
しかし、クロップはこれを考慮し、日程や対戦相手に合わせてゲーゲンプレスを調整しているのだ。
こうなるとますますプレミアは面白くなるであろう。クリスマス前、クリスマス後では順位に変動が大きくあるかもしれない。
ユルゲン・クロップ 選手、クラブ、サポーターすべてに愛される名将の哲学
- 作者: エルマー・ネーヴェリング,鈴木良平,大山雅也
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2015/07/05
クライフの教え タレント育成編
選手育成について知っていますかという問いについて、クライフなら必ず「Yes」と答えるであろう。クライフは特別な選手、特別な監督だけではないのをご存知であろうか。そう、彼は特別な育成者でもあるのだ。
まずクライフはテクニックを持っていることがタレントとして重要であると位置づけている。今回は4つのことをクライフから学びたい。
1、クライフ自身が常に学んでいた。
クライフは自分自身を成長させることに注力していたのだ。これは幼少期に常にサッカーをしていた。そして、どんな時も彼はサッカーをしながら駆け引きをしていたのだ。ただ、彼はサッカーだけできれば良いとは考えていなかったようだ。例えばゴールにも詳しく、ゴルフに関して約70の知識(プレーの仕方)を持っていたようで、大きな大会で優勝もしている。クライフはチームにおいても自分自身が学び続けるという行動で皆、その必要があるということを認識させたのだ。
このリーダーシップはオーセンティック・リーダーシップというカテゴリーに分類される。この特徴はポジティブで、高い自意識、高い道徳心があることである。さらに彼らを囲む環境の中で信頼関係を大切にするという特徴がある。彼らがロールモデルとして振舞うことで彼らの環境に影響を与えるのである。
選手たちがこのリーダーの振る舞いを見ることで、選手たちも並んでこうしようとするのである。さらにこのタイプのリーダーは全体にポジティブな雰囲気、環境を作り上げるのである。
2、意識的に選手たちの長所を探す。
クライフは他の人にはないタレントを発見する力があり、そして彼らをそこでプレーさせていた。彼は1980年Leo Beenhakker(当時のAjax監督)のアドバイザーとして、Ajaxと関わっていた。そこでいち早くRijkaard(元バルセロナの監督)の才能を見出していたのだ。そして、Rijkaardにはいち早く監督になるようにとも助言していたとのこと。そして、Rijkaardが2003年から2008年までバルセロナの監督として、素晴らしい仕事をしていたことは記憶に新しい。クライフは常に長所を探し出し、助言していたのだ。
3、チームの雰囲気に気を遣う。
彼は常にチームの雰囲気に気を遣っていたのだ。クライフはグループの中に属し、選手たちと常に冗談を言っていたのだ。そうすることによってチームの結束力は自然と高まっていったのだである。この効果は研究結果からも証明されている。
チームの結束力が高まることでお互いの絆は強く結ばれていくのである。
さらに以下の点のメリットがある。
・彼らは誰かを肯定的に捉えることができる
・冗談が言い合える
・お互いを鼓舞し合う
・敵からポジティブな印象を受け取る
・全ての人は皆、同じだと考える
・参加するするということに気を遣う
・チームの目標を明るくする(ポジティブにする)
・熱意をチーム全体に作りだす
4、常にイノベーションを作り出すことを考える
知っている人は知っているであろうが、クライフはイノベーションを作り出すことにも注力していたのだ。例えば、彼は3−4−3フォーメーションでプレーし始めたのもその一つである。そして、それをアカデミーでも適用させたのだ。トップの監督、コーチはチームにイノベーションを与え続け、それを積み上げていくのだ。
ある研究結果によると芸術は日々の活動の積み上げ、ルーティーンワークによってイノベーションを作り出すことができるとされている。小さな変化の積み上げによってやがて大きなイノベーションが起きることをクライフは知っていたのだ。
プレミアリーグの3バック革命
シーズンが始まり約1ヶ月半。プレミアリーグを見てみるとあることに気づく。
約半分のチームが3バックと2ウイングバックシステムを採用していることだ。
果たしてこれはなぜであろうか?
シティと共にスタートダッシュを切ったユナイテッド。モウリーニョはこう述べる。
私が考えにプレミアリーグは全体的に守備的になっている。多くのチームが5バックで中盤を2人か3人という形でプレーしている。2つのチームはお互いに合わせようとして、同じシステムで戦うのだ。そして、それは0ー0もしくは1ー0である。
残りのだいたいのチームは4−3−3で攻撃的MF2人、守備的MF1人というシステムを構築し、戦ってくる。しかし、モウリーニョにとってはどうなろうが彼自身のアプローチはほぼ変わらず打ち破りのない攻撃的な防衛を構築するのだ。
モウリーニョの話しを少し先に進みたい。
Michael Caleyによるとプレミアリーグのチームは約30パーセントの時間を5バックで戦っているとのことである、ちなみに昨シーズンは18パーセント、その前のシーズンは4パーセントであるとのことである。
何か大きな理由があるのであろうか。
今までと同じ3バックなのか?
この3バックの爆発的増加は昨シーズンのチェルシーのプレーモデルが大きく影響しているかもしれない。平凡なシーズンスタートを切ったチェルシーはアーセナルに0−3と負けた後、3バックシステムに変更したのだ。これによって大きな戦術的変更となり、脆弱さがなくなったのだ。その後、快進撃を続けプレミアリーグをそのまま制してしまったのだ。3バックの一人は攻撃に参加することが許され、ウイングバックはサイドの深い位置に立ち、センタリングをあげるというよりはそのまま中に切れ込みゴールを狙うことが一つのタスクとして与えられたのだ。
それでも違いを生み出す。
一般的な3バックのトレンドが変わった中で、そこには違いはないのであろうか。
その違いについて選手のプレミアリーグ、グアウディオラのシティの試合が良いであろう。
3バックシステムでは真ん中の後ろに選手を3人残すことで相手のカウンターアタックからの攻撃を後方で防ぐことができる。また自分たちのゴールを硬く守ることができる。しかし、これには弱点もある。それは何かというと後方に3人残っているということは前線には一人少ないという状況が出来てしまうのだ。前線に人がいなければカウンターを防ぎ、相手にショートカウンターをすることができないのである。つまり、相手にボールを奪われた瞬間にボールを奪い返すことが難しくなってしまうのだ。
しかし、グアウディオラのシティはこの問題点を無視してしまっている。この無視こそが問題解決策にはなっているのだが。
その方法は極端なほどまで3人のうちの一人が攻撃に参加するのだ。そして、人が少ない状態でもボールを失って瞬間にボールを奪いにいくのだ。そして、うまくはまらなかった場合は彼はファールを犯すのだ。シティーは今シーズン、インタセプトを1試合平均10.7回という数字を出している。しかし、これはリーグ全体で見た時に決して多い数ではない。リーグでは12番目である。
ちなみにボールポゼッション率は63.8パーセントで、リーグ1位である。(データは2017年10月12日現在)
果たしてこれをどう見るか。
これはデータの見方、考え方かもしれないが、ポゼッション率が高いということはボールを奪っている数も多くなるはずである。攻撃、ボールを保持するためには奪わなければならないからだ。ここから考えられることは、守備において難しい状況(ボールをし失ってボールを奪い返す時)がきた時、状況を見てファールを犯して相手の攻撃の芽を潰していることにならないのであろうか。
これはまさに想像でしかないがグアルディオラはファールの仕方も指導しているに違いない。彼ならそれが可能である。
モウリーニョのモチベート方法 7つの質問
マンチェスターシティと共に最高のスタートを切っている赤い悪魔、マンチェスターユナイテッド。監督としてのモウリーニョもついに復活するかもしれない。
そして、スペインで行われた戦いを第一次戦争とすれば、今シーズンはついに彼らの第二次戦争の幕開けかもしれない。
そんなモウリーニョのグアルディオラに比べ、戦術家というよりは人心掌握術に長けていると言われている。
そんなモウリーニョがどのようにモチベートしているかというインタビューを見つけたので紹介したい。
引用元
1、モチベートのアプローチを個人に対して行っているか?それともチームに対して行っているか。
→答えはチームに対して。しかし、あなたがその選手のことをよく知っている時、あなたはほんの小さな詳細が必要である。その詳細はあなたがその人によって影響を与えることがようなものである。しかし、私はチームの監督である。
2、信頼は選手たちにとってどれくらい大切だと思いますか?
→ほぼ全てだ。私は全てとは言えない。なぜなら、戦術的に準備すること、しなければならないことを知っていることも大切であるからである。しかし、信頼は選手たちを完全に違うレベルに引き上げる。その理由から時々、あなたはある選手は本当によくないと考え、そしてある選手は本当に良いと認識することである。
3、あなたはどのように選手に信頼を積み上げていきますか?
→戦術的な準備は重要である。疑う余地はない。全てをクリアに。ボールのない時のポジション。ボールを持っている時にしなければならないこと。あなたが反応しなければいけない反応。つまり、戦術的な準備はより多くの信頼を積み上げて行くことができるのだ。そして、物事がうまくいき、彼らは彼らの信頼を積み上げていく。さらにパフォーマンスは高くなる。しかし、普通、人々は信頼は言葉についてである、また特別な精神的な準備についてである。私は全てはピッチ上で心地よさによって始まると考えている。
4、彼らの信頼が低い時に誰かを落とすのに良いタイミングはありますか?
→私はそのようなこの視点で物事を見ない。私はまさに敵を分析します。私は、自分の選手を分析し、自分の選手の仕事を分析します。そして、彼らがゲームに適用することができる方法を分析しま。さらに私が考えように成功するチームを選ぼうとする。
私は選手を変える時、私は感覚で変えたりはしない。彼はうまくプレーできていない、だから彼を変えよう。これは信頼という視点で見ていないことである。
5、あなたのマネージメンに影響を与えた人はいましたか?
→初めに影響を与えたのは父であった。なぜなら彼は私が子供の時に、サッカーの監督になりたいと夢見た時にそばにいてくれた人であるからだ。また、全ての世代の多くの監督を通して学ぶことができた。
6、あなたはコーチングされることができるような選手において何を見ますか?
→まず初めに明らかなことはクオリティーである。クオリティーがなければチャンスはない。これは基本的なことである。しかし、クオリティの後にはモチベーションの側面がやってくる。何人かの選手が皆がトッププレイヤーになれるであろうと考えられているクオリティ、ポテンシャルを持っている選手であってもモチベーション、欲望、情熱を日々持つことができなければ、あなたは彼らは才能を失うことのなるであろうと認識するはずである。サッカーの世界では多くのタレントを失っている。
7、チームをモチベートするにあたって最も難しい状況はどのようなものですか?
→チャンピオンになった後のシーズン、もしくは成功を納めた後は基本的に非常に難しいシーズンとなる。普通に難しい。なぜなら、あなたはチームをトップにもっていき、あなたは目標を達成しているからである。私は崩壊とは言わない、なぜならそうであってはならないからである。彼らが同じ方法ではパフォーマンスできないのは当たり前である。成功した後のシーズンは難しいシーズンになってしまうのだ。
トップの監督であるモウリーニョでさえ難しい状況が来てしまう。
サッカーの監督とは本当に過酷な職業である。
今シーズンはモウリーニョはどんなチームを作り、見せてくれるのかこれもまた楽しみである。
サウサンプトンの新しい試み
日本代表吉田選手が所属するプレミアリーグ、サウサンプトンも新しい試みに挑戦している。
この取り組みは昨シーズンから始まったようだ。
昨シーズン、GKのFraser Forsterが足に怪我を負った。
彼はGKとしてトレーニングできないことへの不安や恐れを感じていたようである。
これは選手経験がある人なら容易に想像できるであろう。いわゆるゲーム感というものだ。
そこで一役買ったのがテクノロジーである。
その名も「the Neurotracker」である。3Dトレーニングで脳を鍛えることを目的にしている。
詳しくはこちらも見て欲しい
サウサンプトンの心理学者は
私たちは選手たちが怪我をした後、選手の認知能力が低下するという吟味をした。しかし、the Neurotrackerはフィールドで必要なスキルに対して刺激を与え、試合がない状況でも精神的に集中した状態を保つことを可能とする。GKのFraserは定期的にこれを利用しており、怪我の時にそれはより効果を発揮する。そして、今では彼はチームトレーニングの前にこのトレーニングを実施している。
と述べている。
このデバイスでは、画面上でランダムな方向に跳ね返るのを見ながら6〜8秒間に8個中4個のボールを追跡する必要があります。その4つを追跡できるとすぐに次の4つが現れます。次の段階はボールのスビードが上がり、キャッチしなければならないボールの数が増えるような仕組みになっているようです。
研究によって週に2,3回、6分間のトレーニングセッションをする
ことで認知能力を向上させるのに十分であると考えられており、意思決定と成功率が15%向上することが明らかにされています。
ちなみにこのthe Neurotrackerがプレミアリーグで始めて使われたのはファーガソン時代のマンチェスターユナイテッドだそうです。
当時のマンチェスターの選手、スコールズはコンスタントに良い結果を出していたそでだが韓国のパク・チソンは常にトップだったそうである。
このthe Neurotrackerは他のスポーツにも使用されており、今後さらに注目が集まる可能性があるようだ。
しかし、問題は導入資金。導入には15000ポンドが必要である。
普通のクラブでこれを導入することは少し難しいかもしれない。
参考
ポルト時代のモウリーニョの哲学
今やサッカー界でこの名前を知らない人はいないであろう。その名はジョゼ・モウリーニョ。彼のボルト時代のサッカー哲学についての資料を見つけたので紹介したい。あれから時が流れ、今やマンチェスターユナイテッドの監督となったモウリーニョ。彼自身、成長しているはずである。そんな彼の原点を知ると考えればこれにもプラスに働くはずである。
これが意味していることはサッカーの構造を考えたものである。ビジョンがあり、ゲームモデル、ゲーム哲学、ゲームカルチャーがあってFCポルトが作られるということである。これはどこのチームにも当てはまることであろう。何よりもクラブの成功こそが重要だと考えていたようだ。当たり前かもしれないがこうやって文字にして具体化することが大切である。
プロクラブにおける哲学の成長・発達
1、最大限の数のトロフィーを獲得する
2、魅力的なサッカーを展開する
3、可能な限り魅力的な選手をアカデミー、外から探し集めプレーさせる。
ビジョン
・フィロソフィーはチームと同様に重要である。
・チームとそのチームでのアイディアは選手自体よりも重要である。
・選手たちはそのクラブのフィロソフィーやアイディアを守ることを義務付けられなければならない。
彼の頭の中
1.1 Transition
ボールの奪い合いに勝つこと。ここにおいて重要なことは組織化されていない敵の形を楽しむことである。そして、そこからゴールを奪うチャンスを作り出すことである。
1.2 Possetion
・重要なことはより多くのゴールを決めることである。
・可能な限りチャンスを作り出すことである
・チームと敵の関係性の中でスペースと時間を作り出す
・できるだけ長くボールをキープする
1.3 Transition
ボールを失った後、可能な限り速く組織化する。それは相手のゴールを防ぐことが目的である。
1.4 Defensive situation
・相手のゴールを防ぐこと
・相手のゴールチャンスを作らせないこと
・チームと敵の能力の関係性の中でスペースと時間を使うこと
(この図によっていつどこで誰が何をどのようにするか明確化することができる)
システムプレー
2.1 General System
2.1.1 Possession of the ball
1、最適な選択をする(その状況に合わせて)
2、ボールを相手ゴールに到達させるために循環させる
以下の武器を使って
• Positional Play
• Formation of many lines
• Triangles
• Controlling the game speed
• Using speed
2.1 General System
2.1.2 Transition (possession loss)
1、最適な選択をする
2、ベストなポジションにたつ
3、フィールドの特定の場所でボールにプレッシャーをかける
2.2 Specific System
2.2.1 The general system
この原則はプレーモデルと相手によってアジャストされる
2.2.2 The specific system
この原則は相手のシステムと相手のクオリティーによって基づく。
敵にアジャストさせる。
システムは変わりゆく試合においてどこにポジション、ライン、三角形を置くかで決定される。
(相手が4−4ー2でプレーした場合)
(相手が4−4ー2ダイヤモンドでプレーした場合)
(相手が4−2−3−1でプレーした場合)
(相手が5−3−1ー1でプレーした場合)
資料を通してモウリーニョの頭の中はサッカーが構造化された状態で整理されているように見受けられた。この整理こそがサッカーをコーチングする上で色々と助けてくれるはずである。
- 作者: ジョゼモウリーニョ,Jos´e Mourinho,澤山大輔
- 出版社/メーカー: 東邦出版
- 発売日: 2016/03/15
ホッフェンハイムがバイエルンに勝てた理由
ホッフェンハイムの監督、ナーゲルスマンが若手監督の中でも飛び抜けていることはもはや周知のことである。またしても彼はバイエルンに勝ってみせたのだ。
さて詳しく見ていきたい。
フォーメーション
ナーゲルスマンのホッフェンハイムにおいて非常に印象的なことは、相手によってフォーメーションを変化させることができることだ。
この試合のためにホッフェンハイムは5−2−2−1でフォワードのAndrej Kramaricの下にNadiem Amiri、Mark Uthがプレーする形をとっていた。Kerim DemirbayとDennis GeigerはCBの前でどっしり構える形をとっていた。
一方バイエルンは4−3−3もしくは4−2ー3−1と試合の状況によって見え方が少し変わっていた。そこでThiagoはトップ下でプレーし、自由に攻撃に参加し、Sebastien Rudyがやや後ろめでプレーしていた。
バイエルの支配
序盤、ナーゲルスマンはフォーメーションの噛み合わせ上、ミスを犯してしまった。ホッフェンハイムは真ん中のスペースで守備をしているように見えた。しかし、写真のようにバイエルンに簡単にビルドアップを許してしまっていたのだ。
バイエルンのHummelsは簡単にRudyにパスを出すことができ、そのRudyもRafinhaもしくはKimmichにパスを出すことができたのだ。
サイドでボールを受けたRafinhaもしくはKimmichもまた簡単に前に侵入し、自由に攻撃をすることができた。
しかし、ここからがナーゲルスマン、ホッフェンハイムの真骨頂である。
ホッフェンハイムはこの問題を解決するためにフォーメーションを5ー2ー2ー1から5ー3ー2にチェンジしたのだ。これによってホッフェンハイムは先ほどに比べて守備がしやすくなったのだ。(噛み合わせ上の問題が解決)
ホッフェンハイムの快適な守備
ナーゲルスマンのシステムのアジャスト、つまりアンチェロッティのプランにアジャストさせたのだ。詳しく見ていくとこうだ。
バイエルンのHummelsがボールを持った時、ホッフェンハイムはこのようなポジションを取り、その結果、Hummelsは簡単に前線にボールを運べなくなったのだ。後半もホッフェンハイムのフォーメーション変更に戸惑いながらバイエルンは攻撃の糸口を探していた。うまくハームスペースを探しそこでボールを受けたり、そこから動き出そうとしていたがホッフェンハイムの効果的で賢い守備によってそれを完全に塞がれてしまったのだ。
(バイエルンはパスコースを塞がれ、完全に数的不利な状況を作られてしまっている)
バイエルンの受身的な守備
ホッフェンハイムの守備が効果的だったとは反対にバイエルンの守備は脆弱であった。
ホッフェンハイムは攻撃においてバイエルンの選手がいない穴(スペース)をうまく使っていたのだ。
具体的にはAndrej KramaricとMark Uthが賢くプレーしており、バイエルンの穴にどんどん飛び込みボールを引き寄せていたのだ。
また写真のようにこの状況では3つのパスコースを作り出していたのだ。結局、ボールを持ったこの選手は前に空いたパスを選択したのだ。このプレーはナーゲルスマンのホッフェンハイムではよく見られるプレー傾向で、前線へのパス、前線に走るというプレー原則があるようである。
結論
このゲームは試合における監督の技量が見て取れたゲームである。ナーゲルスマンは即座に問題を見つけ、プランBへと変更したのだ。それによってゲームを有利に進めることを可能し、勝利を掴んだの。正直にいえばアンチェロッティは戦術に長けた監督というよりは選手の特徴を最大に引き出すことができる監督であろう。選手能力の高さで見れば絶対的に上であろうバイエルン。しかし、勝ったのはホッフェンハイム。個人の能力では勝てない相手に戦術、戦略をうまく使って勝った素晴らしいゲームである。
まさにあっぱれナーゲルスマンであった。
今さら聞けないバルセロナの哲学〜これを読めばバルセロナのサッカーがわかる〜
多くのチームや監督、コーチがバルセロナのサッカーについて語り、真似をしたがる。それは彼らのサッカーが革命的で観ていて興奮する他ならないからだ。
バルセロナのサッカーにおいてはレベルの高い技術とある特定の理解、ゲームを読む力が必要とされる。決してバルセロナの文化になれ、バルセロナのシャツを着てプレーできる選手はそう多くはない。そして、彼らの哲学は3つのP(positioning, possession and pressure)によって構成されている。改めてそれを詳しく見ていきたい。
Positioning
positioningはバルセロナの個人技、創造的なコレクティブさ、自由を生む出すフレームワークとなる。それは、必要条件と構造の理解によって作られているのだ。
ご存知の通り、バルセロナのフォーメーションは4−3−3。中盤の形はトップ下の逆三角形である。実はこのフォーメーションはより簡単に等間隔で三角形を最も簡単に作ることができるフォーメッションなのである。つまり、これはボールが簡単に動かせることを意味している。基本的な形として、ボールを保持している場合、選手たちは広く深い位置にポジションを取る。選手たちがこの形を維持、作り出すために素早い切り替えとスプリントが求められるのある。そうすることに初めて、11人が心地よくプレーすることができるようになるのだ。
このオーバーロードが求められるバルセロナのサッカーは5vs2のトレーニングが根幹をなしているとされている。
これはバルセロナのヒートマップである。これは彼らがどのようなポジションでプレーしていたかを表しているわけだ。
ボールポゼッションを維持するためにオーバーロードによる動きが必要とされるわけだが、これによってボールを保持し続けることによってゴールに近づいたり、チャンスを作り出すことができるのだ。さらには相手をずっと自陣のゴール前に留まらせておくことができるのだ。
バルセロナ選手たちはアカデミー時代から大切にボールを扱うことを学んでいる。これは全てのサッカー選手に必要なことで非常に大切なことであることは言うまでもない。しかし、これを可能にできる選手やチームだけが美しく魅力的なサッカーを展開することができる。
ボールのないところでの流動性、動きとボールを受けるポジション、そこにおける体の向きによって攻撃的で共通のイメージも持った状態でのボールポゼッションを可能にする。彼らはそれが簡単にできているように見えるのだ。しかし、彼らはそのための準備を怠らない。むしろ、これが完全に身についてしまっている。
今はカタールでプレーしているシャビは90分間に804回も周りを見ていたというデータがある。パスの成功は必ずしもボールを蹴るという技術だけではなく、こういった準備があって始めて可能とする。バルセロナの選手たちは相手の位置、敵の位置、ボールの位置などあらゆる情報を集めているのだ。
バルセロナはしばしば攻撃のポイントを変える。これを操っているのが守備的ミッドフィールダーのブスケッツだ。彼はボールを受ける際の体の向きやキックフェイント、ターンによって攻撃のアクセントを作り出す。ちなみに彼をこれを8歳の時からバルセロナで学び実行しているのだ。そう考えると末恐ろしい。
攻撃のアクセントを変えるということは敵に驚きを与え、守備陣形を崩し、ギャッブを作り出すことを可能とする。バルセロナはロングボールを使ってウイングやトップの選手にパスを送るというよりは短いパスでこれを成し遂げる。むしろ短いパスの方が成功率が高いと考えているようだ。それはデータも物語っている。
攻撃的なサッカーを展開するスペインリーグで唯一、平均55パーセント以上のポゼッション率を保ち、チームにおけるパスの成功率はなんと88パーセントである。ちなみにレアルは87パーセントでポゼッション率は平均54パーセントである。また、バルセロナのパスの距離の平均は16メートルである。
ハーフスペース
今、日本でも流行りのハーフスーペスという言葉があるが、もちろんのことバルセロナもこのスペースを使うようにしている。このスーペスでボールを受けることで相手に脅威を与える他、選択肢を多く作れるのだ。(詳しくは今回は割愛したい。)さらいに彼らは相手のギャップを見つけてそこでプレーするのだ。ギャップとは相手DFとMFの間、MFとFWの間のスペースのことである。
バルセロナの守備
バルセロナにとって最大の守備はボールを失わないことである。ボールは人よりも速く走るという考えから、逆転の発送で守備においてボールをなるべく追い回さないようにしたいのだ。この戦い方は必ずしも試合に勝てるとは言えないかもしれないが、ボールを保持し、得点チャンスを多く作れる可能性があることから試合に勝てるチャンスを高まるであろう。これを実行するためにバルセロナは攻守の切り替え時(攻撃から守備)においてボールを失ったらすぐにボールを奪い返しにいこうとするのだ。多くのチーム、選手がステップバックをするのに対して、ステップフォワードするのだ。詳しくはこちら。
バルセロナのメソッド部門のトップJoan Vilàはhe 2015 National Soccer Coaches Association of America Convention in Philadelphiaでこう述べている。
“Our game is an idea—our idea,”
この言葉にバルセロナの全てが詰められている気がする。
バルセロナ関連はこちらも。
どのように中国はサッカー大国になろうとしているのか?
中国マネーによってサッカー界に革命を起こそうとしている中国。果たしてどのようにサッカー大国になろうとしているのか。実際のところ、ワールドカップ予選では結果が出ていない。今回も出場できないのが現状であろう。
しかし、中国はいたって冷静なのかもしれない。
2030年にワールドチャンピオンになるのは誰か?それは中国!と目標を掲げているのは中国の大統領Xi Jinping。意外である。現在、何百万人もの子供たちがサッカーに目を向け始めている。また、育成年代には日本をはじめ、ヨーロッパ、南米からコーチ、監督を招き入れている。さてこれをどう考えるべきか。
普及から
蘇州のあるクラブでは12人の外国人コーチ、60人の中国人コーチに1000人以上の子供経ちという大規模な形で育成クラブを作り、成功を収めている。このクラブからすると中国の子供たちは落ち着きがあり、控え目で自分から主導権を握ることに慣れていないという。コーチが何かを言えば常に「YES」という言葉が返って来るのだ。しかし、多くのタレントがここに眠っているという。
チャイニーズドリーム
意外にも中国人ではなくヨーロッパ人に夢があるという。中国には多くの指導者が様々な国から来ている。そして、すぐに帰国してしまう指導者がいれば残る指導者もいる。その中で中国のサッカーに革命を起こし、名前を残すというものだ。中国からすればこれは最高の形かもしれない。外からやって来た指導者たちに相当なモチベーションがあるからである。いずれ日本と同じように中国も自分たちのサッカーとはといった何なのかという問題にぶち当たるかもしれない。しかし、中国全土でタレントが育てばこんな問題は吹き飛ぶであろう。なぜならタレントが集まることで試合に勝てるからだ。トップレベルになれば勝利こそが全てであろう。
ストリートでボールを蹴る子供はまだいない
現状、中国ではまだサッカーは熱狂的なスポーツになっていないようだ。南米などのようにストリートでサッカーをする子供たちはまだいないという。つまり、まだまだ改善の余地があり、サッカーが大きくなる可能性を秘めているわけだ。
これを考えると中国の経済が破綻さえしなければ2030年にワールドチャンピオンになれる可能性は大いにあるはずだ。アジアが発展することで日本も発展するという考えがあるかもしれないが本当にそれで良いのだろうか。日本からこれ以上、優秀な指導者を送り込んで良いのであろうか。気づいた時には取り返しがつかないことが待っているかもしれない。そう、中国の台頭によってワールドカップに出れなくなってしまう時が来てしまうかもしれないのだ。
さて、皆さんはどう思うだろうか。