ふり向けば加藤さん

わたモテ感想&考察

【感想】喪161:モテないしいつもに戻る

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』喪161が公開されました。

今回の扉絵は個人的に喪154以来のナイスデザインです。地面の区切られ方等の背景情報からして、手前の女の子はたぶん雫ですね。この寂しげな立ち位置に一番相応しい人物なので。隣にいるのは彼氏でしょうか(密着し過ぎなのでそうであって欲しい)。畜生発言の割にはちゃんとフォローしてるんですね。

ダメなとこばかり描かれてきた彼氏さんですが、雫と同じ方向を見つめる姿に好感が持てます。わざわざ他校まで迎えに来てることといい、彼氏としての務めを果たしてるようでよかった。彼女達の真っ当なツーショットが本編で描かれることはなさそうなので、凄く良いものを見れたような気分です。

雌猫達はうっちーのことで盛り上がってるんでしょうか。仮にそうだとすると、うっちーが彼女達から応援される理由や普段の関係性が伝わって来るような絵面ですね。喪152で率先して当たりのキツかったかよが誰よりも爆笑してるのがポイント高いです。

前回に引き続いて本編の方もなかなか情報量多いですね。まず人が多いですし。毎度のことながら加藤さん多めで拾っていきたいと思います。

 

 

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「自分も言われたら嫌でしょ」という発言は正論ですが、相手を喜ばせたい時に苦労しそうな考え方です。自分が言って欲しいことを相手に言っても好意の押し付けになりかねませんからね。喪159でのLINEの文面がちょうどそんな感じでしたし。(幼女説+1点)

そこへいくと、ネモは周りをよく見ています。やはり過去の経験からか、言葉の裏を読むことには長けてるんでしょう。流れを断ち切る大袈裟な「ぴょん」も加藤さんには真似出来ない芸当です。

しかしながら、加藤さんは物凄く面白くなさそうな眼をしています。後からやって来て知った風に場をまとめた、暗に自分の意見を否定する形で話を遮った、ようにも映るネモのムーブから蚊帳の外にされてるように感じたんでしょうか。カフェ回(喪137)とか呼び出しの時(喪145)にもそんな雰囲気ありましたね。ネモが加藤さんを子供扱いする空気というか。自分に出来ないことが出来るから凄いという尊敬がネモに対しては向かないのもこの辺が原因なのかも知れません。

逆にネモからすると加藤さんは裏表なくぬくぬくと生きてきた恵まれた存在に見えてたりしそうですけどね。この二人のギクシャク感はどことなく姉妹のそれに近い感じがします。

 

 

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麗奈と杏奈は相手の様子を見た上で食べ物を薦めており、これはみんなの食べ物だからお前らも遠慮せず食え(ゆりと真子を仲間として承認する)という気遣いが見て取れます。しかし、加藤さんの「食べて」は乾杯直後であり、個人を指定してることに加え、カフェ回(137喪)より語勢も強めです。黒木さんのために私が買ってきたんだよ、みたいな圧を感じます。単純に喜んで欲しいだけなんでしょうけど、こう言われてしまうと「わーい!おいしい!」みたいな喜び方をしなければいけないようなプレッシャーを感じてしまいます。子供がお菓子を分けてくれた時のアレです。

思い起こせば、チュロスにしろパンケーキにしろ、加藤さんから食べ物を与えられた際にもこっちは露骨にデレデレ喜んでいました。黒木さんに食べ物をあげると喜ぶという情報は加藤さんにとってセクハラと並んで参照ランク上位に来てるのかも知れません。

ここ最近の加藤さんは黒木さんの為に何かしたい、喜んで欲しいという気持ちがやたら空回っていましたが、特にこのシーンは喪21でゆうちゃんに貢いで抱きしめて貰おうとしたもこっちを思い出して少し悲しくなりました。色々大袈裟に捉え過ぎかも知れませんが、加藤さんに対しては誰かが今江先輩の役割を果たさないといけない所まで来てる気がします。私としてはネモとの関係で何か救いを得て欲しいと思っていますが。

 


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咄嗟の切り返しが苦手(喪130)なゆりが太めのフォントではっきり即答してるので、この「おかえり」は智子が帰って来たら絶対に言いたい言葉として大事に温めてたんでしょうね。吹き出しの余白の大きさも四文字に凝縮された想いの強さを感じさせます。喪151のネモへの意趣返しもそうですが、たった一言を発する為だけに凄く綿密なシュミレーションをしてそうです。

ゆりはよく面倒くさい女の代名詞として挙げられますが、むしろ恐ろしく手のかからない子だと思います。名前で呼ぶとか「ただいま」「おかえり」だけでお腹いっぱいになって、後は放っといても大丈夫とか低燃費にも程があります。拘りの癖が独特なせいで万人と仲良くすることは出来ませんが、そのツボを天然で引き当てるもこっちと出会えたことは半ば運命といっていいでしょう。

 

 

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他方、加藤さんの満たされなさはとどまる所を知りません。「茜も最近根元さんの話しかしないけどね」(喪128)とか言ってた頃は二番手であることを受け入れることが出来てそうだったのに、一体何が加藤さんに火を着けたんでしょうか。

この問題についてはハッキリした答えが描かれてないので兄の喪失フラッシュバック説とかを勝手に妄想してます。加藤さんにとって兄は、頑張ったら褒めてくれる、本当の自分をわかってくれる、自分の愛に同じだけ応えてくれる存在だったのではないかみたいな話です。それで、前2つをキーホルダーの件でクリアしたもこっちに3番目の要素を求めてしまってるんじゃないかと。年齢差のせいで一緒の大学に通えないことから、もこっちと青学に通うことに固執し、他の女性が兄にとっての一番のポジションをかっさらっていったことから、ネモやゆうちゃんに対抗心を燃やしてる、と考えたら諸々の疑問にも方がつきます。本編に全くそういう描写が出てないので特に意味はありませんが。ただ、加藤さんが並ならぬお兄ちゃん子であったこと、青学の志望動機に直接影響を与えてることからすると、超重要人物であるとは思っています。

ていうか、この妄想を突き詰めると現在の加藤さんが外見上は大人の女性であるという事実が危険です。中学生の頃とは違って今は成長して武器があるわけですし、喪155のセクハラ誘惑シーンの意味合いも変わってきますからね。

 

 

本文で触れませんでしたが、「キモいって言っていいの!?」っていうセリフも地味に衝撃受けました。発情の仕方がつき合いたての彼氏のそれに変わってるような気がするんですよ。ん?今めちゃくちゃ段階飛んだか?と。それはともかく、ここ最近の怒り方を見るに、もこっちはうっちーと仲良くなったら小宮山さんとはまた違った激情のぶつけ合いをしそうな気がします。猫の喧嘩みたいなやつを。

電話の件がここで言及されたことにはビックリしました。確かに前回の母子の物語にねじ込むわけにはいかないネタですが、それならもうちょっと引っ張るかなと思ってたので。こんな人の多いとこで問い詰めても不完全燃焼で終わりそうな気がするんですが、LINEの話題に脊髄反射してしまう程に余裕がないということなんでしょうか。これはもういよいよ引き返せないとこまで来たという感じです。まあ、サラッと流される可能性も全然ありますが。(了)