現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

久し振りの更新で記事は長いです。むのたけじの言葉など。

7日(火)
「尻踏み」それから畦畔の草刈り。

↓菖蒲、アヤメ、カキツバタと見分けるのはなかなか難しいが、たぶんこれは菖蒲。たぶんですけど。







8日(水)
 田回り。それから今日は播種機を貸してもらえる日で、湛水直播(たんすいちょくはん・たんすいちょくは)。直播き(じかまき)です。
 稲作ではふつう苗を苗代でつくって、それを田植えします。でもそうすると手間がかかります。それで苗をつくって田植えするのではなく、田んぼに直接、種を播くのが直播きです。苗代をつくる必要がないので大幅に春の農作業が楽になります。苗代をつくらないのでお金も少なくてすみますね。
 直播きにはおおまかに二種類あって、水を張って、代かきをした田んぼに種を播くやり方、これが湛水直播です。もう一つは水を張っていない畑の状態の田んぼに種を播いていくやり方。これを乾田直播といいます。畑の状態ですから、専用の水田用の播種機を使わなくてもトラクタで播けますね。ですからさらに楽になります。でも播種したあとで、水を張ることになります。簡単に水を張る、と言いますが、畑に水を入れてもすぐに染み込んでしまって水を溜めることは難しくなりますね。また畑の状態だと地面を水平にすることが難しくなりますね。水を張って代かきをするので、水と土(泥)の関係で高い低いがわかるわけです。水を張らないわけですからレーザーレベラーなどを使って水平・均平をとる必要があります。
 さらになぜ田植えをするかというと、いろいろ理由はあるでしょうが要するに雑草対策なわけです。代かきをして、雑草を泥の中に埋めてしまって、まったく雑草のない状態のところに一ヶ月ほど前に伸びた苗を植えるわけですから、雑草との競争でアドバンテージがあるわけです。イネの苗のほうが一ヶ月ほど先に芽を出して大きくなっているわけですから雑草との競争に有利ですよね。ところが直播きですと、きれいに雑草を泥に埋め込んでも、イネの種が芽を出すのと、雑草が芽を出すのと、いっしょにはじまるわけです。ですから雑草とのガチンコ勝負になりますが、こうなると雑草の強さは圧倒的ですから稲は負けます。それで除草剤をやって雑草を枯らせることが必須になります。ですから直播きは除草剤散布ありきの技術なわけです。
 さらに。やっぱりね、芽立ちというのはデリケートなわけです。苗代で特別に管理するのではなく、田んぼに直接播いてしまうので、やはり不揃いになりやすいんですよね。カラスが種をほじくりにくるし、努力しても完全な均平にはできないので、水が溜まったりするところができてしまいます。そうすると発芽しても窒息状態になってしまいますし。温度管理もままなりませんしね。
 そんなこんなで、三年ほどお試しで湛水直播をやってみたのですが、どうもうまくいかないことがあって、五年間ほど中断していたのですが、今年は五年ぶりにやってみることにしたのです。60aほどのお試しですけど。さてさて。

↑湛水直播しています。苗が植わっていません。

 午後はまた田植えに。

9日(木)
 朝から田植え一枚。その後、ヤンマーの8条植えGPS付き直進アシスト田植機のデモ機を半日貸していただく。ま、立派な田植機をオペレートするのは長男ですけど。メーカーの方にいっしょに乗ってもらってあれこれ教えてもらいながら一枚植える。その後は長男が一人で操作して植え付け。さすがに8条植えはうちの6条植えと比べて二条多いだけですけど、この二条分が効いて早いですね。枕地も一周分ですみますし。15時半までどんどん植えて、その後ザッと洗車して返却。ありがとうございました。
 GPSの直進アシストについては、苗箱や肥料を運んだりアシスト役の僕にはよくわからなかったが、長男は「気分的に楽」と申しておりました。ちなみに・・・、と田植機のお値段を訊いたら500万円ほどだとか。高いのか安いのかも、もう僕にはわからない。ただ、うちで儲けてやろう、とは思わないでね。よそで儲けてね(笑)。


↑8条植えGPS付き直進アシスト田植機でデモンストレーション中、観客はいなかったけれど(笑)。
↓だんだん黄色くなってきた大麦と夕陽。夕陽だがガンマンはいないぜ(笑)。

10日(金)
 今日で直播きから48時間になるので、朝、尻水戸を切り、落水。
 今日も朝から田植え。5日から田植えを始めたが、初めてあまり風の吹かない一日。ああ、風がないとこんなにも田植えが楽なんだ、とつくづく感じる。朝は冷えたけれど、どんどん気温が上がる。
 今日もちょうど15時半に田植え終了。これで田植え第1弾が終わる。また明日から田植えができる田んぼを準備します。起したり、「こなし」たり、「尻踏み」したり。
 うちの田植機は、先日から一日に一回か二回、植え付けモードにならないトラブルが起こっていた。何度か動かしているうちに植え付けモードになって事無きを得ているが、農機センターのKさんに訊ねると「TPO関係のメカニカルな部分、ワイヤーとかの動きが泥や肥料の粉で固着しかかっているのかも」ということだったので、長男が田植機の洗車後、下に潜ってTPO関係のメカニカルな部分のカバーを外し、あちこち動かしながら注油して汚れを取ってくれた。これでトラブルが収まるといいが・・・。


↑久し振りに登場、ビビ号。朝日を浴びて座っているが、カメラには目を合わせない(笑)。飼い主に似て怖がりで照れ屋、小心者なのかも。

↓庭のアジサイ。先日買った鉢の苗木。アジサイ花言葉は「移り気」「辛抱強さ」「浮気」「無常」四つもあるんですね。なるほど。


↓庭のオリーブの苗木。オリーブの花言葉は「平和」と「知恵」。スバラシイじゃないですか。

↓風のない日なので、田んぼも落ち着いています。

↓快晴無風で先日の直播きの田んぼもくっきり。普及所や農協の指導では播種時に落水してその後しばらく干すことになっていますが、ベテランの直播きの名人に教えてもらって、播種後48時間は湛水してその後落水するのがいいとのこと。

↓軽トラに苗を満載して田植えにGo!

↓1枚植えて上がる田植機。

↓振り返れば落日と植えたばかりの田んぼ。

11日(土)
 昨日、落水した直播きの圃場だが、なかなか均平になっていないので、まだあちこちに水が溜まっていたりする。それで溝切り機で水たまりを突っ切って溝をつけ尻水戸につないで強制的に落水できるようにする。この溝切り機は商品名が「田面ライダー」で、笑ってしまう。
その後、トラクタで荒起しに出る。で長男と交代。長男は先日刈ったへアリーベッチの鋤き込みもやってくれる。
 僕は午後から大麦の畦畔の草刈り。
 夕方、あちこちの圃場に水を入れる。
 今日はまた強風。どうなってるんだ?

↓やっぱり、うちの畑のイチゴ。

12日(日)
 朝は田回り。であちこちの田んぼで尻水戸をつくり水を入れる。それから大麦関係で畦畔の草刈り。
 午後はまたあちこちの田んぼで尻水戸をつくり水を入れる。長男はトラクタで「こなし(荒代かき)」をしてくれる。
 午後からはパラパラ雨。でも風が強い。田んぼで百姓同士で話をすると、この風はどうなってるんや?どうしようもないが・・・。というような話になる。

↓昨日はとりあえず、縦に4本、溝を切って落水を促してみた。

↓午後は雨。畦畔の蕗が雨に濡れている。たぶん15年以上無農薬の畦畔の蕗。蕗のうまさがわかる人は大人だなぁ(笑)。



 先日、農家の友人がブログでぼやいていた(笑)。春の水路掃除。田んぼの維持管理にどうしても必要なもので、村の地主さんや関係者で作業をしておられるそうです。うちの村も同じようにやっています。地主や耕作者が各家から一名づつ出て、午前中は圃場整備地区、午後は新田地区と水路掃除をしています。
 その友人のブログでは、村の地主のみなさんなんでしょうが、水路掃除への関心が薄い、と。ぼやいておられました。ま、よくわかります。
田んぼには地主さんがいて、文字通り地主さんの持ち物だし、農道や農業用の水路はもちろん村のもの、公共のもの、みんなのものであります。田んぼの維持管理ということを考えると、水路掃除や農道の維持管理、草刈り等はすでに農家だけではどうにもならないわけです。農家そのものの数が激減してきていて、後継者は不足してきていて、高齢化が進んできているわけですから、ま、あきらかなわけです。ぼやきたくなりますね。
 食糧自給率の低さ、農家の後継者不足・高齢化、もう30年前から(?)ずっと言われ続けてきているわけですが、いっこうに問題は解決していない。ぼやきたくなりますね。

 むのたけじさんの言葉が先日、日本農業新聞のコラムに載っていた。



 さすがに反戦・反骨のむのたけじだ。読んで笑ってしまった。笑うしかないのだが。政治や世の中や世間の目がどうであろうと、自分のやりたいようにやって生きて死ぬしかない。たぶん生命というのは、そういうものなんだろう。
 

今日も風が強いことと田植えと「尻踏み」と『スティング』


6日(月) 振替休日
 お天気おねーさんは、雨が降りまっせ、ところによっては雷雨でっせ、とおっしゃってましたが、雨はそれほどには降らず、でも相変わらず風は強かった。黄金週間も今日で終り。

 早起きして午前中は田植え。午後は今度湛水直播をするので、その「尻踏み」を。雨は思ったほど降っていないけれど、風は相変わらず吹きやまず。

 ジョージ・ロイ・ヒル監督『スティング』(1973)を観る。ポール・ニューマンロバート・レッドフォードの映画だ。何度観たかわからない(笑)。DVDを持ってます。ここ数年観てなかったけれど、さっき観たけど、やっぱり良かった。というか観るたびにオモシロイってブログで書いているように思います。
 ひょっとして前に書いたかもしれませんが、ロバート・ショウが、どう観ても名演ですよね。とくに前半の列車内でのポーカーでポール・ニューマンにやられるところ。冷静さを装いつつ怒り狂ったあの顔!(笑)
 ジョージ・ロイ・ヒル監督はいいですよねぇ。『明日に向かって撃て』も『ガープの世界』 も。


田植えはじめました。


↑畑の初物のイチゴ。酸味は強いけど、甘味がもう一つ(笑)。でもおいしい(笑)。

4日(土) みどりの日
 朝、田回り。
 その後、「尻踏み」。お昼前に長男と交代。苗代の水管理をして、午後は畔塗りに出る。先日刈ったへアリーベッチの圃場と雨で塗れていなかった圃場。一枚はやっぱりトラクタが沈んで塗れずに引き返す(笑)。
 夕方、明日から田植えをするので、その準備のあれこれ。



↑今日植えたばかりの田んぼに夕暮れ。

5日(日) こどもの日
 朝、田回り。その後苗代の苗を積んで田植えに。
 終日、田植え。
 早朝は無風だったが、田植えをはじめた頃から風が吹きはじめる。その後、強風。強風に難儀する。

 天気予報では、気温や降水確率の話はするけれど、あまり風の話にはならない。でも百姓にとっては風の強さは仕事のあれこれに大いに影響するので、お天気おねーさんの話とは別にネットで風速を確認します。いつも思っているのだが、世の中の人はお天気はあれだが、風速に無頓着なのだろうか?

 風が強くて難儀した故、おおいに疲れ申した。まだ田植えははじまったばかりじゃが(笑)。

 そんなこんなで、ビールを飲んで『光る君へ』を観ていたら、寝落ちしていた。道兼はしかし一度は関白になっていたのか・・・。知らなかった。道兼の死因はしかし疫病ではないと思うのだが・・・。東三条殿はやっぱりいろいろオモシロイ人物だったのでしょう。橋本治の『双調平家物語』では、どう描かれていたんだったか?
 白居易の新楽府が出てきましたね。『白氏文集』。「白居易が民に変わって時の為政者を正しているものなんだ。」「どういう風に正しているの?」「うん?読んでいないから知らない。」ま、ここは笑わせる脚本なんでしょうけれど。藤原為時岸谷五朗にすこし説明してほしかったところですな。白居易の「新楽府」五十首として有名(?)なのですが、読んだ記憶はあるのですが(授業で習った?)、何にも覚えていません(笑)。風刺、風諭詩なんですよね。世の中への批判なんですけれど、裏金問題とか、能登半島地震の復興対策の遅れとか、円安と日銀の介入とか(なにげに円安問題は暮らしにジワジワきますよね。)批判の渦はたくさんあるような気がするので。
 しかし、なんですな。吉高由里子がクスッと笑うと世界が変わりますな(笑)。

 明日も田植えの予定ですが、今夜も風は吹き荒れるようです。そして明日も。どうなる?やれやれ。

「尻踏み」と畦畔の草刈り

 憲法記念日

 早起きして朝飯前から田んぼに出て「尻踏み」。お昼前に長男と交代して、朝飯でもなく昼飯でもないご飯をいただく。
午後は畦畔の草刈りなど。

 五月は美しいぜ。

 窓を開けたが、今夜はフクロウの声は聞こえない。昨日まで上下冬のパジャマだったが、今日は上はTシャツで寝てみる(笑)。



↑「尻踏み」を長男にバトンタッチ。


↑庭のアヤメ。





↑18:14の大麦の圃場

最近の写真から



↑4/26撮影 庭の石の上に咲いているラン。20年くらい前にお隣の今は亡くなってしまわれたおばあさんからいただいたものらしい。


↑4/26撮影 朝露と苗代の苗。


↑4/26撮影 朝露と庭の花。



↑4/27撮影 苗代を観た帰りに気がついた庭の花。


↑4/28撮影 手前の田んぼに水を入れようと隣村にやってきたけど、青空がスバラシイ。


↑4/28撮影 大麦の穂。昨日はすこし黄色くなりかけていた。


↑4/30撮影 新築工事中のお寺の残された夕暮れの釣鐘。


↑4/30撮影 夕暮れのサツキ。



↑5/1撮影 小雨の中、スライドモアで盛大に盛り上がったへアリーベッチを刈る。うーむ。窒素分多すぎるような気がして心配。


↑5/2撮影 朝の伊吹山


↑5/2撮影 室から出してきたばかりの新品種「きらみずき」。ちょっと薄播きにすぎた?苗代に並べました。


↑5/2撮影 いつものように田んぼからの帰り道にコンビニに寄ってビールを買う。ああ、すでに日没じゃないか。

昨日から「尻踏み(田植前の2回目の代かき)」が始りました。今日もこれから「尻踏み」してきます。快晴無風の朝であります。黄金週間も後半ですね。

「こなし」と尻水戸をつくる農業土木にも励んだぜ

27日(土)
 今日から世間は黄金週間らしい。ま、よそ様のことは関係ない。このあたりではそろそろ田植えが始ります。うちは五月の連休の後半から始めることが多いです。子どもの日ぐらいからお天気が安定してから、と思ってのことですが、ここ数年は地球温暖化とも地球沸騰化とも言われていますから、もっと早くはじめてもいいのかもしれませんね。
 世間様のことはともかく、田植えに向けて、一年で一番、慎重かつ大胆に仕事を進めなくてはいけない時期です。黄金週間だからといって浮ついていられません。というか私は一年中浮ついているんですが(笑)。

 などと毎年同じようなことを書いてますな。笑えるぜ。笑うしかないぜ。


↑朝日に照らされる前の苗箱。並べて二日目。緑化してきているので、もうたっぷり水を入れても大丈夫。

 早起きして浸種の水の交換。それから苗代の水管理。で、昨日の続きで「こなし(荒代かき)」に出る。途中で長男と交代。
 代かきしながら、尻水戸がきちんと出来ていない田んぼが数枚あることに気づく。というか思い出しました。一つは昨秋作業所のことで尻水戸がなくなったので、簡易的に畦畔を切って水を落している圃場。二つ目は圃場整備の時の工事がまずくて尻水戸が高いので、水がきちんと落ちず、数年前にこれまた畦畔を切ってコンクリートブロックと板で尻水戸を自作した圃場。三つ目は一昨年新たに借りた圃場はたぶんトラクタのロータリーかなにかで、尻水戸のコンクリートの枡を壊してしまったんでしょう、なくなっていてそのかわりにブロックや大きな自然石が置いてあって、それに板を当てて尻水戸にしてある圃場。去年はそのまま使っていましたが、使い難い仕様で、「米作り、飯になるまで水加減」と言われるぐらい水管理は大切なのです。それで改修することにしたのです。ええ、自分で。百姓はなんでも自分でやらねばなりません(笑)。手軽なのはU字溝の利用ですが、ちょっと水深というか水の深さの調節がやり難いのです。それに深く置きにくいですし。
 と思って近くのホームセンターにいったら、なんと!ちょうど田んぼの尻水戸用のコンクリート枡があるではないですか!ただU字溝は1980円。ですが長すぎる!対して田んぼの尻水戸用のコンクリート枡は専用ですから使いやすそう。でも5780円もします。これに2mの塩ビ管が1750円。枡は3つ必要ですし、けっこうな出費。でも必要な経費なので仕方ないですね。
 というわけでスコップ、つるはし、板などもいっしょに積んで尻水戸づくり。農業土木士になる。

↓一つ目。つるはしとスコップでコンクリート枡を置く場所をつくり、塩ビ管を繋いでみた。

↓二つ目。水を止めて作業。下のほうに塩ビ管少しだけ見えます。土で埋めました。

↓三つ目。ここは大きな土手なので、すでに塩ビ管は埋まっているので枡だけ、管に合わせて置いて埋める。
周りにはそれまで使っていたブロックや自然石がちらかってます。

↓軽トラの荷台が、あれこれの作業台となる。

 どれも完璧な作業(笑)。写真はどれも作業途中です。二つ目と三つ目はすでに水を入れていたが、水を止めながらの作業。今どき、つるはしを使っている土木作業員さんも少ないんじゃないか?
 尻水戸一つあたり、資材費が7500円ほど私の手間賃が5000円として(どうなの安い?高い?)、12500円で請負仕事を始めようかな(笑)。うちの村から出る時は主張旅費を実費でいただきますが。日本全国どこでも出張いたします(笑)。あなたのところにも出張させていただきます。って、出張費を実費でとるんだから気楽ですな(笑)。というかだいたいみなさんなんでも自分でやってしまわれますな、こういう作業も。

 その後、また尻水戸をとめて入水の田んぼ五枚。このところずっと日の出から日没まで働いているぜ。