ござさんの魅力を語る部屋

ピアニストござさんについて、熱く語ります

NEO PIANO Acoustic ー実況編(ネタバレを含みます)ー

 

この記事は、NEO PIANO Acoustic コンサートの感想:実況編 です。

開催日:2024年4月28日(日)

 

※注:この感想は激烈ござさん単推し熱血ファンの自分が書くため、ござさんの演奏に偏って焦点を当てます。内容の割合もかなりの部分をござさんに割くと思われます。

 

さて、この記事はネタバレを含みます。

ご了承いただける方のみ、下にお進みください。

 

 

先日このコンサートつまりNEO PIANOシリーズについて前もって分かっていた情報を整理した記事があるので、参考資料として置いておきます。


また、当日の公演アーカイブは5月5日まで視聴及び配信チケ購入が可能です。

NEO PIANO Acousticのチケット情報 - イープラス

今からでもオンラインで買えます。

どうしようか迷いながらこの記事へやってきたそこのあなた。(大部分の方はコンサート鑑賞後にここをご覧のこととは思いますが)今からでも間に合います。ゴールデンウィークを過ごすお供としていかがでしょうか?

 

コンサートをまだご覧になられてない方は、鑑賞後にこの記事をお読みください。

全編ネタバレありです。

よろしいでしょうか?

 

ここまでスクロールされた人は、ネタバレをご了承いただけたものといたします。

 

さてNEO PIANOライブのコンサートとしては去年の2023年7月ぶりとなった今回の公演。あの時のメンバーは入れ替わり、今回はけいちゃんさんが新たに加わった……いや、けいちゃんさんは第一回、第二回 NEO PIANOライブに参加されて以来の久しぶりの出演になる。

予習記事に貼りましたがもう一度このツイートをお借りします。

 

リハーサルのときからこうしてつるんで悪さをしてる ……仲良く練習されている様子がまるでみんな母校に帰って同級生とふざけてるかのような雰囲気でした。

そう、これはけいちゃんさんにとっては同窓会なのかもしれない。菊池さんとは何回か共演されていたかもしれないが、ござさんはほんとに3年ぶりなのでは。

あの何でもありだったねぴらぼから幾年もの歳月を経て、それぞれの音楽の道を歩み続けるけいちゃんさんと菊池さん、ござさん。3人それぞれの演奏に、この3年間の劇的な変化を感じる。

再び顔を合わせ、同じ舞台に立ち、またピアノで切磋琢磨するところが見られて、もう自分は胸がいっぱいです。

過去のねぴらぼはもうアーカイブは遺っていないので、当時の感想記事を貼ります。

※参考資料:今回のメンバーのうち3人が参加されていた初回のねぴらぼの記事

※参考資料:これも同様に3人が参加されていた第二回のねぴらぼinventionの記事


※参考までに自分の視聴環境:
デスクトップパソコン(メモリとCPUはしょぼい)とWindowschromeブラウザ。audio technicaのヘッドホン……それから。

 ↑↑↑↑ creative社のサウンドブラスター。Twitter始めた頃ござさんファン界隈の方から教えていただいたサウンドブラスター。それはパソコンの周辺機器の一種:サウンドカードのことです。ヘッドホンにこれを経由してパソコンにつなぎ、また専用ソフトでエフェクトを設定することで、サラウンドの本格的な音響で鑑賞できる。屋外のライブ、歌手のスタジアムライブ、大編成のオーケストラ、オペラ、そしてピアノ等、楽器演奏や歌を視聴するときに真の威力を発揮する。アコースティックな音をリアルに(他にもバンドのドラムやベースライン等を)鮮明に、繊細に、明瞭に解析して立体的な音にしてくれる。

その場で発生している音を目の前で耳にする如く、ありのままに再生してくれるのだ。控えめに言って神。少々高価ではあるけどパソコンで視聴する場合、配信鑑賞の強い味方になってくれるのでお薦めです。

 

 

ではそろそろ目次を書く。

この項目ががっつりネタバレのため冒頭には置きませんでした。

ご注意ください。

 

目次:クリックで各項目へ飛べます

 

 

 

時は2024年4月28日(日)。

場所はクラシック音楽の殿堂、サントリーホール

ネットを中心にツアーやライブ、作曲などで幅広く活躍するピアニスト5人の公演、

NEO PIANO Acoustic

が幕を開けた。

 

エントランスにはデジタルポスターでコンサートのロゴが掲げられていた。このロゴが上下左右に反転してるところが、コンサートのコンセプトを象徴している。参加メンバーのそれぞれが持つ個性を思い出せばなるほどと肯ける。

配信でも、オープニングまでの待ち受け画面にこのロゴが掲げられていた。

(  ↑↑ コンサートに行かれた方からご厚意により提供いただきましたm(__)m。)

 

NEO PIANOシリーズのライブは初回ねぴらぼの代から、

あらゆる音楽分野の境界を越えて自由に往来しつつ、

鍵盤楽器でできる表現の限界に挑み、

新しい概念で未知の世界を開拓する。

 

今までの5回のコンサートではそれぞれに表現方法が様々であったが、今回は前回までに見られたベースとドラムパートや弦楽パートなどとの合奏というライブの形ではなく、完全にピアノだけのアコースティックライブだ。そういう意味での、NEO PIANO Acousticというネーミングになっている。(前回のSummerPianoJunctionでもこうだったのかもしれないが自分は鑑賞してないのでわからない)

当然(配信用の集音マイクはあっても)会場に音響増幅用のスピーカーなどなく、完全にピアノの音のみの勝負である。

 

さて、大きなステージの上に、重厚なたたずまいでそびえ立つパイプオルガン。

ござさんから開演前の最終コールが掛けられた。

 

クラシック専門の2,000人収容できるサントリーホール

用意されたのはスタインウェイのコンサートグランドピアノ。

さてどのような演奏会になるのだろうか……

 

Budoさん

英雄ポロネーズ

Budoさんのピアノは自分はこのコンサートがほぼ初見に近い。Youtubeでパジャマを着てストリートピアノを演奏されていた動画は以前見たことがあったが。確か前回のSummerPianoJunctionにも参加されていたような気がする。その時も含めてクラシックピアニストの方と耳にした気がする。おそらく、今年の夏ごろにサントリーホールでのコンサートを予定されているのではないだろうか。

ピアノは最初の第一部は2台が両方とも反響板を外されて置かれていた(第二部もピアノの反響板は全部外されていたが)。

コンサートの幕開けに相応しいショパンの大曲、英雄ポロネーズ。このコンサートに来場された人の中で知らない人はいないだろう名曲である。(子供時代以降、ピアノ曲をござさんのYoutube動画で初めて聞くようになった自分にとっては、ショパンの曲はどれも華やかで聴きごたえがある。)

特に中間部以降の左手が迫力があります。

少し原曲よりゆったりしたテンポで堂々とした演奏、丁寧に間を取り、半音階のユニゾンからの両手のキメ(自分はここが一番好き)などがみどころ。

この人の特徴はなんといっても愛嬌のある、親しみにあふれた人柄だろうか。

その人柄ははっきりとした自信に満ちたピアノの音にもあらわれている。

 

ござさんとBudoさん

2台ピアノでシューベルトの歌曲「魔王」リスト編曲版(と、ピアノ五重奏曲「鱒」)

さて、このコンサートはリレー演奏形式でコラボレーションをつないでいくようになっていた。Budoさんにコールされて登場したのはござさんだ。

シューベルトの魔王といえば一般に有名なのは歌曲の「魔王」だが、ここではリスト編曲版の超絶技巧曲をBudoさんが演奏され、ござさんがそれに対称的に掛け合いの演奏をされていた。

リスト編曲版でBudoさんの左手により刻まれるオクターブが不安を煽り、曲の展開に重々しく陰を落とす。こっちが原曲通りの展開だ。

そんな中、ござさんが高音部でアクセントをつけて一筋の光明を見出し、そこにさわやかな五月の風みたいな旋律でピアノ五重奏曲「鱒」三楽章のメロディを混ぜてきた。

2台ピアノならではの趣向を凝らした演奏。

 

歌曲とは違ってひょっとしてハッピーエンドに終わるのではないかという新しい解釈の演奏が流れる中、照明が効果的に独特な紋様を投げかけて、謎は謎のまま二人のコラボ演奏は終わりを告げた。

 

 

さて次はござさんのソロ演奏である。

自分はござさんの超単推しであり、この日記部屋は普段ござさんのことしか書いてない。よって一連の演奏の中でもここ以降、不自然にござさんに偏って内容が充実します。

読んで下さっている方には、何卒ご了承いただきますよう伏してお願い申し上げます。

 

 

ござさんの音

自分がこの部屋で(かれこれ4年間)日記を書いてるのは、そもそも、ござさんのことをYoutubeで知ったとき本能的に「このまま聴けなくなったらどうしよう」というひらめきが脳裏をよぎったから。

Youtube動画でござさんを見つけた時、ござさんは音楽専業になったばかり(2020年2月末)で、それからどういう未来があるのか自分には見えなかった。

自分は、その動画でピアノ弾いてた人、つまりござさんにどうしてもピアノを弾き続けててほしかったし、もっと多くの人に広くござさんのピアノの事を知ってほしかったから、この部屋で血眼になってござさんのことを書き続けた。

しかし当時、ござさんのピアノが持つイメージと現実の乖離に黙って唇を噛むしかなかったし、抗えない自分の不甲斐なさが悔しかった。どうやったら現状を変えられるのか見当もつかなかった。

 

でも今になって当時を振り返れば、ござさんは黙ってひとつひとつご自分で設定された目標を地道に塗り替えていっていた(この経緯の具体的なことは言いません。ござさんファンなら誰しもがご存じのことばかりです。)のだから、ファンたる自分も黙ってピアノ聴いて見守っていればよかっただけ。

信じて待っていればよかっただけなのに、この部屋を設置してわーわーわめいていた自分は、結局ござさんを信じることができてなかったという意味なのか。

そういう事実を自覚して凹んだりした。自分には雑念が多すぎたのだ。

 

とにかくござさんはひとつづつ大きな舞台での経験を積まれ、また(おそらく他のピアニストさんと同様に質量ともに想像を絶する)練習に明け暮れてきた日々への応えとして今がある。

ござさんが今立っている舞台でニコニコ嬉しそうにしてるのは、それだけのことを積み重ねてきた裏付けがあるからだ。

 

自分はこの大きなクラシック音楽のホールで、スタインウェイのコンサートグランドピアノを前に、ピアノの弦から放たれるえもいわれぬ美しい音色にござさん自らが聞き惚れ心酔しながら音楽を紡いでいる様子を(たとえ画面越しにでもです)見れただけで本望だ。

 

自分の願いは、ござさんにただ心から楽しそうにピアノを弾いていてほしい。ずっと。

それだけだ。

 

ピアノは弾く人を音色に載せて表すという。人が違えばひとつとして同じ音はない。

ござさんのピアノの音もまた一瞬聴いただけでもわかる音。

若葉から滴る朝露のような透き通る輝き。

闇に燃え上がる紅蓮の炎のような官能的な情熱。

純白の綾絹のような艶やかさ。

理知的で端正な輪郭……

 

ござさんの音を表していると終わらないのでこの辺で言葉を留めておく。

 

 

ござさんのソロ  ”さわやかクラシックメドレー”

この前がシューベルト「魔王」リスト版という超絶技巧曲(と「鱒」)、この後もまた激しい曲調の演奏が続くという事で、ござさんがソロ曲に選んだのは「さわやかメドレー」であった。

乙女の祈り

愛の夢」第三番、

アメイジンググレイス

ゆったりした抒情的なバラード調の曲で構成されている。

 

コンサートの流れからここを一息ついてもらう箇所、とござさんの中で設定したらしい。聴いてる人の立場から想定されて考えられている。(この選曲はあらかじめ決まっていたとしても)ござさんは自分が初めて見た公演である第一回ねぴらぼを思い出すと人が違ったようである。

何よりもござさんは聴衆に正面から向き合ってくれるようになったことが、自分は嬉しい。10年以上ネット生配信で活動されてこられたござさんには今一つ「ファン」が存在することを信じていただけてなかったが、ここ二年程こういった実際の舞台で演奏を披露し、それへのレスポンスとして歓声と拍手をもらうことに慣れてきた感がある。

ござさん。

配信を聴く人、コンサートに足を運ぶ人は、ピアノの演奏に感動したら拍手を贈るんです。その声に正面から向き合ってくれるようになって、自分はそれだけでも今までござさんのピアノを聴いてきてよかったなと報われた気がします。

この観客に向けてまっすぐ視線を返してくれるござさんは、言い換えると、プロとしての矜持を以て演奏されるようになった、という事だと思うんだ。

自分には第一回ねぴらぼの時よりも、ござさんの背中が、鍵盤を踊る手が、何周りも大きく見えた。

所作も落ち着き払っておられ、MCも如才なく進められて、さらにBudoさんとの「魔王」が始まる前にBudoさんが忘れ物(?)か何かで袖に下がったときは繋ぎ演奏としてアルペジオに乗せて「魔王」と「鱒」のモチーフで間を持たせるという落ち着きぶり。

 

ソロ演奏のさわやかメドレーでは、ブルース風とか軽快なJAZZアレンジを挟みつつ、曲を遷り変りながら、次第に曲調が高まっていく巧みな構成。リズムの揺らぎとフレーズの狭間に置かれた空白すらも美しい。その計算され尽くした一瞬の間、休符とはいえない間隙がもたらすものは僅かな緊張と馥郁たる余韻。

最高音域で刻まれるアメイジンググレイスの決めの音が気高く響く。

ほんとうに配信で聴いても素晴らしい音響です。

 

ござさんいわく「激しいプログラムの合間の浄化される演奏」、自分は、今までの雑念が浄化されたような気はする。

 

ちなみに見どころは?

ヒラッと90度(伝わってください)回転する左手。

歌うフレーズで音楽に乗って舞う空いた方の手。

この空いたほうの手が、雄弁に何か歌ってると思います。

 

 

 

菊池さんとござさん

ビゼーアルルの女」第二組曲より  ファランドール

ござさんのコールに合わせて、リレー演奏の次の共演者である菊池さんが現れた。

この2台ピアノの組み合わせはこの間の京都での桜音夜コンサート、さかのぼれば去年のフジロック以来の演出ということになるらしい。

 

(↑↑エントランスの写真と同様、コンサートに行かれた方からご提供いただいた、ステージ上に並ぶスタインウェイ)

 

ファランドールの2台ピアノアレンジはその去年の7月、千葉県勝浦市での公演とフジロックで演奏された以前に、第二回ねぴふぁび(2023/1/24)で演奏され、さらにその前の2022年11月池袋のスタクラフェスが初出である。

※第二回ねぴふぁびの感想は配信があったから遺っているので貼っておく。目次から該当箇所へ飛べる。


この曲の冒頭の演奏を始めようとして菊池さんが何をやってるのか座り込み(イスの高さ調整?)、空いてる右手で繋ぎに何か弾き始める菊池さん。なんで両手でそれぞれ別々のことが出来るんだ。あ、ピアノではいつもやってる事か。

そのフレーズはチャルダーシュであった。ござさんは仕方ないので*1ライティングが落ちたまま演奏を合わせる。なんでだ、鍵盤見えないはずだけど。

そして始まったセッション曲、この二人の場合のみどころはユニゾンの迫力ではなく中間部のアドリブ合戦である。お互い2周り目くらいまでは第二回ねぴふぁびと同じフレーズで踏襲してる気がするが、そこから後が今回オリジナルと思う。唯一同じなのは熊蜂の飛行を菊池さんがねじ込んできたぐらい。

ノリでアドリブで羽目を外すのではなく、より一層理論的に羽目を外している、たぶん(なんのことやら)。準備してアドリブを考えてきたというか、アドリブすら決め譜なのではと思うくらい理路整然としたかっこよさ(素人目線)。

2人でアドリブを入念に考えたのでしょうか。よりレアな和音のバリエーションを。

この曲、何かの都合で2,3日前に突如決まったらしい。それでシレっと演奏できるあたり、やっぱりこの二人は何の心配もなく聞いていられる(ほんとうに)。

このユニゾン以降の後半は原曲のキメのままのようだが、唯一ねぴふぁびと違う?のは、1:09:10秒くらいの所の菊池さんの左手。シンコペーション?みたいになっててなんかかっこいい。

 

 ↓ ※去年の菊池さんの左手はその箇所はシンプル。

日本最高峰のロックフェスに出演するピアニスト達の演奏がヤバすぎて会場大パニックw【ござ×菊池亮太】【ストリートピアノ】 #ストリートピアノ #ござ # #菊池亮太 #ピアノ #フジロック - YouTube

 

 

菊池さんソロ

パガニーニ変奏曲 

この曲は言わずと知れた菊池さん編曲のオリジナル曲である。さらに、同じ場所サントリーホールで2021/8/12に開かれたソロリサイタルでの思い出の曲。自分はこのときか、所沢ミューズホールかどちらかでこの曲の披露を聴いた気がする。

このサントリーホールのコンサートに向けた告知が、告知の告知の告知から始まってて謎に包まれていた記憶。

確かにファランドールの前にござさんの曲で箸休めをさせていただいたのはありがたい展開だったかもしれない。あれからどの曲もエネルギッシュな勢いのある曲ばかりだから。

 

この曲でも菊池さんはファランドール同様、謎のアレンジは入れてこずにたぶん原曲アレンジのままと思う。

菊池さんのやってることはその場に合わせた自由な即興とか独創的なコード使いとか、ござさんとそっくりだ。自分が菊池さんのピアノ動画をよく聞いていたのも故あっての事だ。最近菊池さんは活動の幅を広げられていて自分は全くついていけていないが。

そんな菊池さんがオリジナル曲と称する数少ない曲。

↓↓↓ ※サントリーホールの演奏動画、概要欄に構成の解説がつけられている。ご参考までに。

Paganini Variations - Ryota Kikuchi/菊池亮太 - パガニーニ変奏曲【LIVE at Suntory Hall】 - YouTube

確かこの編曲の前後で、音大の大学院に入り直してリストの研究されていませんでしたっけ。

作風が違うだけで菊池さんとござさんはどこまでも音楽を探求し追求するピアニスト。

菊池さんの弱点?それはオヤジギャグが芸風な所である。というかそれを看板にしてるふうすらある。もはやたくおんさんもござさんも、それにツッコミ入れるのは高度過ぎる技術を要するのでスルーされている節すらある。

そんな冷たい仕打ちにもめげずに菊池さんには頑張ってほしいところである。

 

たくおんさんと菊池さん

上記の通り、菊池さんがいきなり安心してボケ始めるもたくおんさんのツッコミ支援はなく無事滑りまくるまでがセット進行である。

「次の曲は、サン・サーンスの死のぶとう……Butou…ぶとう……」と呪文のように繰り返す菊池さんをクールな視線でやり過ごすたくおんさん。よしよしその調子です。

え?出演者にBudoさんがいるから、ぶとう……ぶどうさん。。。。ってつぶやいてほしかったんですね菊池さん。しょうがないので自分がここでツッコみます。

サン・サーンスの交響詩「死の舞踏」

ちなみに、この曲もまた第二回ねぴふぁびでの菊池さんとたくおんさんのレパートリーを踏襲している。

菊池さんとござさんのビゼーファランドール」が名曲であるように、このサンサーンスの死の舞踏もまた古典派の薫りを色濃く残す名曲である。

一応この曲はオーケストラによる交響詩だが、サンサーンス自身の編曲による2台ピアノ版という決め譜がそもそも存在する。

正統派クラシック奏者のたくおんさんの操るピアノには、のちにラフマニノフやリヒャルトシュトラウスにも共通する点があるような、19世紀後半ながらも古典派風の由緒正しい端正な曲がよく似合う。菊池さんもまた元来のベースはクラシック奏者であるから選曲としてはよく似合っていると思うのだ。

 

ただ、今回の演奏がゆったりしていて、この前後がまたしても個性的なアレンジであるのでここでも聴衆には休憩してほしいタイミングということだったのだろうか。

不穏な曲の展開だがサンサーンスの曲の展開にはあくまで奥ゆかしい上品さがあるので、決して恐怖映画みたいな展開にはならない。

それに、たくおんさんの演奏じゃ絶対怖くないから大丈夫である。

音が明るいからである。

菊池さん一人で、低音域でおびやかそうとしているけど無駄なことだ。

 

時計の音が真夜中を静かに告げる。

そんな中、骸骨が不気味に踊り出す。骨と骨が打ち合うカチカチいう音も、原曲のシロフォンの音を忠実にピアノの高音で拾う。骸骨のモチーフは、古く14世紀に欧州で流行したペストによる死者。

(※どうでもいいつぶやき)
1:25:15あたりの進行が、なんかショスタコーヴィチ交響曲7番「レニングラード」第一楽章の、通称スターリンマーチの旋律に似てませんかね、でも今回の死の舞踏の演奏はサンサーンス自身による編曲なので、菊池さんが何かねじ込んだのではないようだ。

 

たくおんさんソロ

ウィーンの夜会

この曲はもはやたくおんさんのコンサートにおけるマスターピースとなってきた感がある。留学されてたのがウィーン国立音大のためたくおんさんの奏法はウィーン風なのだろうか。ウィンナワルツは伴奏の2つ目の音が若干遅れるのが特徴だがその微妙な現地の楽団でしか出せないニュアンスがたくおんさんのピアノにはあらわれている。

このどこまでも明るい音もまたたくおんさんのピアノの特徴。

優雅で貴族風なワルツのリズムと併せて、この5人の中では随一由緒正しいクラシック奏法でここもまた息抜きタイムといえるかもしれない。

 

ここで自分のコメントが寡言なのは、ござさん以外は皆それぞれに自分のツアーを敢行なり主催のイベントをシリーズ化なりなんなり、音楽活動のフィールドをある程度自分で広げていっているからです。

そこに余計なつぶやきはいらない。

すでに彼らの活動は軌道に乗り、こんなとこで個人がつぶやく必要がない。

この部屋はござさんについてつぶやく部屋であり、ござさん以外のフィールドには自分は部外者なので客観的な事実以外は自分はコメントしないです。

 

 

けいちゃんとたくおんさん

ピアソラの「アディオスノニーノ」

タンゴとクラシックの融合した曲。ここまでピアノ曲やオケ曲のクラシックが続いた中で、ラテン音楽のタンゴの要素を選ばれている。

ピアソラは第二回ねぴふぁびでも、ござさんとたくおんさんが選曲していた思い出深い曲である。けいちゃんさんは作風がPOPSふうな打ち込み音源を多用した曲などを多数作曲している経緯から、正面からのクラシック曲からは少々軌道を外してきた感じがする。

珍しい組み合わせで、確かにこの二人の組み合わせは自分も見たことがない。たぶん初めてだと思う。けいちゃんがクラシック寄りの演奏をグランドピアノでやってるのがレアすぎです。生配信とかを基本けいちゃんさんはほぼ残されないので、そういう意味でも今回の演奏はレア。

 

懐かしいけいちゃんのピアノ

けいちゃんさんはこの曲で初登場。けいちゃんさんのファンが待ちかねたようにコールを飛ばす。こうやって叫べるようになったのもごく最近のことなので、感慨深いことです。

けいちゃんさんといえばござさんと菊池さん同様、ジャンルを問わずなんでも耳コピアレンジで即興演奏していたイメージ。それからオリジナル曲も豊富で、オリジナルばかり集めてCDを2枚くらいリリースされている。

作風は打ち込み音源を多用したPOPSとピアノの融合、だろうか。

その印象が強いので、自分はけいちゃんはピアノばっかりのこのアコースティックコンサートに一体どのようなかかわり方で登場するのだろう、とその点が最大の焦点であった。

しかし、自分はほんとにこういう公演で、配信にしろけいちゃんのピアノを聴くのは久しぶりだったのでほんとピアニストの同窓会みたいな雰囲気を呈してきたなと思う。

けいちゃんはここ2年見ないうちにすっかり変わられました。言動が、今回の舞台でも言ってる内容が一番落ち着いてましたね。

けいちゃんもまたこの2年のうちに、色々なツアーや、CDなどの作品の発表を経てきた。

ピアノも奏法を刷新されてる感じがしましたが、でも懐かしかったです。

(故意に聴いてなかったわけではありませんが、ここの部屋のペースでござさんを追っていると他の人のピアノを聴けていないだけです。すいません。)

 

(※おまけ)
けいちゃん「譜めくりペダルで楽譜を見たいけど左足の落ち着きが無さ過ぎて(ノッてくると左足が動き出す)ペダルを蹴っ飛ばしちゃうんですよねえ」

けいちゃんの暴れる左足は健在だった説。Youtube動画を見ていると、古い動画はたいてい左足でリズム取ったり、そうじゃなくても暴れてたことが多いがその動きは健在だったようだ。確かに今回も足で拍をとっている。

 

けいちゃんソロ

オリジナル曲の「人間失格

「人間失格」ピアノ六重奏 作曲:けいちゃん Piano Instrumental - YouTube

配信勢にも手を振って挨拶してくれる。ござさんと同様、公演の全体の流れを見てるのだなーと思う。配信勢として謝意を述べさせていただきます。ありがとうございます。

けいちゃんさんのオリジナル曲といえばバンド演奏とピアノのコラボ、打ち込み音源も多用しているが、今回ピアノソロ曲にオリジナル曲を選ばれている。

レアです。原曲はピアノ六重奏曲だと思う。

ピアノの演奏もさらに切れを増し、さらにネピアコ特製アレンジなのか?ベートーベンの何かのソナタ(月光?)が混じってる。

 

けいちゃんさんは自分はライブを追えるわけでもなく、生配信のアーカイブもあまりなく、自分は全く最近聴けてなかったが、お元気そうで安心しました。

言いたいことといえばひとつだけ。

ご飯、食べてますか?ちゃんとご飯食べてください。(余計なおせっかいの近所のおばさん目線)(そもそも自分はおばさんだしな)

 

けいちゃんさんと菊池さん

聖者の行進でセッション・JAZZチックな曲にするというお題が与えられた。

原曲はディキシーランドJAZZであり金管楽器クラリネット、ドラムが入る構成だが、それらのパートも含めて2台ピアノでのアドリブを繰り広げている。そしてラストのテーマに還ってくるとちゃんと色んな楽器の音が聞こえる。

 

トークからして既に旧友の感があるふたり。

曲はJAZZの二台ピアノセッション。

(菊池さんによる注:)拍手はくれぐれも裏拍で!

コール&レスポンスが機能してる。すごいですね、これもなかなか近年できませんでしたので、ほんとに客席と舞台が一体となって作品を作り上げてる。これが本来の演奏家の姿ですよね。

いいなああーーー。

JAZZセッションになってやっとけいちゃんさんに笑顔が出てきた気がする。自分のフィールドに帰って来た感がある。楽しそうです。ずっと笑ってるけいちゃんさん、ほんとに久しぶりに見たんですけど。

そして、出た。

元祖ねぴらぼ名物の菊池さんのコードメモ。タブレットのソフトが、もはやイラストアプリなんですよね。文字を書く気が無いぽいですね。何書いてんのかもわからないですね。1:56:57あたりの情報によると………やっぱわかんないですね。F→ G、くらいですかね?判読できるの。

前曲のピアソラからだんだんJAZZ風味になってきて、ここにきて謎和音のアドリブで応酬し合うふたりが楽しそう。

なんでしょう、JAZZの語法を手加減なしでぶつけ合える相手だから楽しそうなのか。ええーいいな菊池さん。ござさんもそれ参加したかったと思うんですけど。何それずるいです。

 

第二部・5台ピアノ

そして休憩を挟んで舞台後方に置かれていた3台のピアノが加わり、5人による合奏となった。

まずねぴらぼで全員の合奏といえば定番?となった感のあるショパンの革命。なぜ定番なのだろう。大人数でのアレンジがしやすいからだろうか。

ここで休憩から少しずつ人数が戻ってきて増えながらエチュードの革命へと……

進むわけもなく、全員揃ったところでリズムはござさんが音頭を取って何か刻み始めた。なんなんでしょう、ラテン……?いや、自分はアフリカンシンフォニーのリズムだと思うんですけど、たぶん。どうなんですかね…?

わかんないです……

 

 

ホルスト 組曲「惑星」から木星  ”快楽をもたらす者"

後半からまたござさんが登場したので自分は言及したい。というかなぜ一人だけ紙楽譜なのか。みんなタブレットなのに。ござさんアナログ派??いやいや何を言う、いつもパソコンとDAWCubaseで作曲してるのに? 

よくわかりません。ござさんだけスコア(全体の編成)譜を持ってるのでしょうか?何でそう思ったのか?というと、ござさんはいつもオケ曲を一人で即興で生配信で演奏されてるので。そして、各パートをカバーするのに指足りないと言われてるため、5人いればイメージするピアノカバーができるのかなあと思ったり。

※休憩の概念

休憩とはスタミナを回復し、また精神的にリフレッシュすることで集中力をより高めるために作業の合間で取る時間である。しかし。たくおんさんによりリハにおけるメンバーの自由気ままな様子が暴露され、そんな中ひとり常識的な社会人として秩序を守ろうと尽力されているたくおんさんの気苦労が忍ばれる。

菊池さんとけいちゃんさんとござさんが、休憩中に休憩しない問題。休憩時間じゃなくて「貴重な自由時間」だと彼ら三人は主張する。たくおんさんはちゃんと休憩は癒しタイムとして「紅茶を飲んだりチョコ食べたり」とウィーンのカフェみたいな優雅な時間を設け、疲れをリセットされているようだ。

しかしあの3人にとっては、緊張感あるリハの合間にこそ、自由なフレーズで気ままにアドリブをキメる癒しタイムが必要なのだ。

(想像される三人の自由な会話)演奏してたらいろいろアレンジ思いついちゃってー、最近こんなマニアックな練習やってるんだー、へーそれってあの曲に使えますねー、例えばこういう奏法があるじゃん、ほうほうそのコード進行おもしろいなー(エンドレスに続いてそう、終わらなそう)

……なるほど。

もう何も言うまい。

 

木星とは

木星ホルスト組曲「惑星」の第4曲。ホルストエルガーと並んで近代イギリスを代表する作曲家だ。なかでもこの組曲「惑星」の火星と木星は特に印象的で、オーケストラの演奏会でもたびたび取り上げられる人気曲である。

※原曲オーケストラ版のコンサート動画。
ウィーン・フィル Schönbrunn Palace Concert - 組曲『惑星』作品32第4曲 「木星(Jupiter)」 - YouTube

※おまけ:惑星の全曲
Holst: Die Planeten ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Hugh Wolff - YouTube

木星の中間部のゆったりした主題は讃美歌として歌詞をつけ歌われたり、またPOPS曲としてアレンジされたりと時代とジャンルを横断して親しまれる名フレーズだ。

 

5台ピアノアレンジ

5台ピアノとなると5人10手アレンジとなり、高音から低音全てをカバーするピアノで合奏となるとほぼオーケストラを再現できることになる。

あと1人1台ピアノとすることで連弾と決定的に違うのは、特にユニゾンの厚みが増し、また同音域で沢山の別フレーズということも可能な点だ。

という訳で今回のアレンジではオーケストラ版に準拠したもので、ガチガチに原曲のキメまで再現した緊張感あふれるものになっていた。

演奏後のござさんほか全員の感想「息する間がなかった」。なるほど、だからよけい休憩時間に楽しくピアノ弾きたくなるんですね、とってもよくわかります。

※フレーズが複雑すぎて、誰が何やってるのかわかんなくなってきたら、カメラが映す鍵盤と演奏者の指をガン見するのです。誰が高音、中音域、低音域をやってるのか、今聴こえるフレーズで弾いてるのは誰か、鍵盤を動く手を見ればおおよそわかるからです。

そうすると緻密に設計されたアレンジの全体像がわかってくる。

内容からいうと、ボレロが自由人たちの高度な遊びだったのに対し、木星はオケ版に準じて限りなく原典のイメージを温存している。

 

ござさんはクラシック曲のピアノ曲もレパートリーに数多いが、なんといってもアレンジにおいて管弦楽曲のバリエーションが圧倒的、ござさんは今回の五人の中でもオケ曲アレンジに造詣が深いと思う。それは菊池さんも同様と思われるが、自分の過去記事にあるござさんアレンジの資料をひとまず貼っておく。

 

さて、このように裏付けを取っていくと。

この木星をやろうと提案してきたのは、どう考えてもござさん以外に考えられないのですが。

「誰だろ~~?????」ってしらばっくれてもネタは割れてるんだ、いい加減正直になろうよ。ほら、すなおになれば天丼出します、話してくれさえすればこれ食べれますよ…???

 

 

演奏の振り返り

この曲は高音連符でヴァイオリンやら木管(フルート、クラ、オーボエ等)が効果音?装飾音?的な役割でスパイスを効かせてるので華やかでキラキラ素敵に聞こえる。

しかし。

木星の主役は高音群に対峙する中低音のオブリガードつまり対旋律のほうです。

オブリガード・対旋律とは、最低音のひとつ上の音域、BASS~アルトの高さで動く、メイン旋律とは別の動きの旋律のことを指す。

この中低音の旋律はときどきメイン旋律になったりもするが、表になったり裏に潜ったり、その行方を捜すとおもしろい。対旋律とその他のリズムが全く違ったりするので、キメがずれないか見ててハラハラして心臓に悪い。

 

冒頭の16分音符による高音の掛け合い(原曲だとヴァイオリン)から鮮烈な印象で曲は幕を開ける。全員が16分音符なのでずれないために?けいちゃんさんが最初双眼鏡のモノマネで「皆の者、準備はよいか!?」的な最終確認をとったあと、けいちゃんさんがさっと振り上げた指揮の指に呼応して煌めく、16分音符。

第一主題 2:30:40~


\relative c' {
\key c \major \clef bass
\time 2/4
\tempo ""
\tempo 4 = 140
a8-._\markup{ \musicglyph #"f" \italic "molto pesante" } b4-- g8--~
g b-. a4--
b16-. c-. a-. b-. c8. g16--~
g4 b8-. a-.
g16-. a-. c-. e-. \clef "treble" g8. g16-.
a8-. b4-- g8--~
g
}

※楽譜画像の引用:惑星 (組曲) - Wikipedia

冒頭の16分連符に続いて突如、オオカミの咆哮のように現れる第一主題。(原曲だとまずホルン全員のユニゾン、そして再び2人ティンパニを含む全オーケストラで繰り返される)この勇壮なフレーズを、けいちゃんさんがひとり両手ユニゾンの中低音で鳴らしながら颯爽と切り込む。

冒頭の4人でやってる高音16分音符は、そのあと次第に様々なフレーズに形を変えながら引き継がれるが、鍵盤なのに16分音符が阿吽の呼吸で縦が揃っててすごい。

人数が増えれば増えるほど、アンサンブル(合奏)は普通揃わなくなるものだが。

だからフレーズのまとまりごとに、要所要所のキメではたくおんさんがいちいち大きく指揮して合図を送る。

けいちゃんさんにより第一主題が提示された直後、たくおんさんの最初の指揮の直後に原曲でいうヴァイオリンの様子を全員高音(オクターブ?)トレモロでずっとやってて、控えめにいって見てるだけでも指がつりそうである。

 

※ちなみにこの第二主題の直前の和音が一種の最初のヤマ場の一つ、要するに大事なキメである。完璧に合っててさすが。

第二主題 2:31:37~


\relative c' {
\key c \major
\time 2/4
\tempo ""
\tempo 4 = 140
b8_\markup{ \musicglyph #"f" \italic "molto pesante : non legato" } d e4~
e8 [ fis g a ]
fis d d4~
d b8 d
e4. fis8
g [ a b d ]
cis a fis4~
fis
}

この主題をござさんと菊池さんのユニゾンでやって、音圧を増幅している。連弾じゃなくて複数台ピアノってこういうふうに制約なく贅沢な演奏が可能なところが、現実のオケに肉薄できる所以かと思う。

 

2:32:00  ここで菊池さんが冒頭の第一主題を高音で再現しつつその末尾は他の音との掛け合いに消える。バッキングポジションの一部と化したとき、菊池さんの職人としての完璧さが遺憾なく発揮されている。

職人と化したとき、菊池さんの目からは感情が消え、冷徹に音楽の一部となって溶け込んでいる。こういうときはアンサンブルはミクロの世界で息が合う。

この菊池さんの直後  2:32:08~、同じく第一主題をござさんが中低音でやるが(原曲は木管楽器数人のささやかなフレーズ)、両手使って和音で動いて決めてるんですよね何気ないフレーズを。生配信だとこんな些細な箇所はスルーしてたかもしれないが、ここも豪華に両手で和音でやれる\(^o^)/というノリでしょうか。5人で分担するから、いつもあきらめざるを得なかった気になるフレーズも、気になる和音も全部盛りの豪華版\(^o^)/とか思われてるに違いない。絶対にそうだ。

いちいち何弾いても目が輝いてノリノリで生き生きと弾いてるのは絶対に気のせいではない。

他のメンバーも折に触れてたくおんさんは指揮を出し、ござさんはあたりを見ながら、菊池さんはたぶん見なくても合わせられそうで、みんな合図を出しつつ要所をキメながら進んでいく。いちいちキメが来るのを自分は知っているだけに、ほんとに合わせられるのかこっそり胃が痛かったが、しかしメンバーの顔触れを見てやっぱり安心していられると開き直るのだ。

さて、ここまでは単一のそれぞれの主題が交互にあらわれて受け継がれてきたが、それが立体的に絡みだす第三主題以降のアンサンブルが面白い。

誰が何をやってるのかわからなくなるのはここからだ。

 

第三主題 舞曲風 2:32:18~


\relative c' {
\key c \major
\time 3/4
\tempo ""
\tempo 4 = 160
g'4\f d e
f e d
g d e
a, b c
g' d e
f8 g a4 \tuplet 3/2 { g8 ( a g }
f4 ) \tuplet 3/2 { e8 ( f e } d4 )
\tuplet 3/2 { a8 ( g a } b4 ) c
}


このシンプルな旋律がたくおんさん → けいちゃんさん → と遷り変っていくが、けいちゃんさんの旋律の次に、

2:32:40~

いろんな掛け合いが旋律を裏から引き立てる。

主題の横でござさんとたくおんさんが(原曲だと高音の木管楽器の)アルペジオを可憐に再現。このアルペジオから両手ユニゾンで第三主題を堂々と奏でるござさんが、というかどこの場面のござさんも実に心から楽しそうで、自分はいちいち号泣して涙が止まらない。いつしか目前にはティッシュの山。

タイミングを合図しあってうなずく姿も、どの瞬間も楽しそうなござさん。

まさに水を得た魚。

 

2:32:50~

そしてだんだん和音が複雑に、響きに厚みを増してきた第三主題が形を変えてそれぞれの奏者に受け継がれる中、このタイミングで堂々とバリトン音域が対旋律として現れる。この部分が対旋律としては第四主題直前のヤマ場。

 

2:33:09

ここで駿馬の駆ける音のような音が遠くから聞こえる……

それは菊池さんの足音が号令をかけて合図していたキメだった。このキメの前後、原曲で言えばホルン全員の和音からティンパニに遷り変っていく、リズム。

菊池さんの左手がピアノの一番左の低音域でリズムを刻む。そして徐々に弱音になりながらフェードアウトしていく……

いぶし銀が光る職人技。こういうリズムをやっている菊池さんの手はまさに全員のアンサンブルに対して忠実に倣う。

 

第四主題:一番有名、木星といえばこれ


\relative c' {
\key c \major
\time 2/4
\set Score.tempoHideNote = ##t
\tempo 4 = 130
g4\mf bes \bar "||"
\key ees \major
  \tempo \markup  {
    \concat { "Andante maestoso"
      (
      \smaller \general-align #Y #DOWN \note {2} #1
      " = "
      \smaller \general-align #Y #DOWN \note {4} #1
      )
    }
  }
\time 3/4
\tempo 4 = 65
c c8 ( ees ) d8. ( bes16-. )
ees8 f ees4 d
c8 d c4 bes
g2
}

えーと、ここは解説いらないですね。飛ばしましょうか。

言わずと知れたJ-POPのジュピターとしても親しまれている旋律です。ただし、作曲者のホルストは当時すでにこの曲の旋律がもつキャッチーさから単独で第四主題のみが取り上げられがちであった風潮をよく思っていなかった説は遺っているが。

けいちゃんさんが静かに旋律を歌い始め、バッキングも穏やかに和音を刻む。それから徐々に旋律は雄大になり5人を包んでいく。

 

2:35:14

この第四主題が終わる直前、旋律の流れの山でござさんが高音アルペジオを何気なく入れてくる。

……………ん?そんなんあったっけ。

いやいや原曲にはそんな装飾音はない。ただ壮大で重厚な全合奏による第四主題の和音でこのフレーズは一旦区切られるのだ。

そこに高音アルペジオあると、重厚な曲に華を添えられるなーというござさんのお茶目心が見える。

ほんとに全く油断ならない。決して目を離してはいけない。

 

2:37:10~ 再び第三主題

この第三主題の裏でもう一つ流れがあるのが対旋律。

上記と内容が重複するので書かないが、当然、これ以降の和音が豪華になる後半部分の対旋律がかっこよく聞こえる。

さらに、ここからは、前の2:32:50付近で聞こえた低音部による対旋律もセットでもう一回登場する。この対旋律、ござさんがまたしてもドヤアと両手弾きしていてこの対旋律が効くことで、もともとの第三主題も活きてくる。

 

2:37:45~ 転調と共に最後のヤマ場

音楽の流れがいったん止まり、皆がたくおんさんに注目する。ここで全合奏が一斉に転調し、バリトンつまり再低音域が(めったに旋律を担当しない音域が)アンプから聴こえるエレキベースの音さながらに、第四主題で迫ってくる。まるで山塊がそのまま頂上から剝落して落ちてくるような迫力満点の重低音。

と、終幕を飾るに相応しい主役は重低音のはずだったが、しかしここぞとばかりにハープみたいな華麗なアルペジオが聞こえる……

これは何もねじこまれたのではなく、原曲では重低音の上で弦楽器と木管が全員で壮麗なアルペジオでうねるのだ。

第四主題でだいたいいつものござさんの生配信の即興は終わってしまうので、この木星の終幕のアルペジオは自分もお目にかかったことはない、と思われる。

というわけでここで重低音の流れと共に弦楽器のアルペジオを完コピしていたのはござさんだった。(ほんとは2~3人でやってたのだと思うが自分の視界にはござさんが主に映ってる)ほんとにこのアルペジオが、ござさんは今回のコンサートで一番楽しそうという説まであった。いつもはここのパートも即興のイメージの中では鳴っていたのだなあと思うと、ただただ感慨深い。

最後の、和音のまま半音階で上がっていくところも5台ピアノならではの迫力。まさに全オーケストラの規模を再現していると言って過言ではない。

 

ボレロ

ピアノで遊び始める確信犯の三人組はこの期に及んで部外者みたいにシラを切る。

この曲でもやはりたくおんさんの心労は絶えない。胃に穴が空きそうな勢いである。

菊池さん「いきなり転調から始まるから~~~」

たくおんさん「ほんとに、ダメだよ!!僕が立ったタイミングでCからA-durへ、これだけは守ってくださいwwwww」

そしてここで元祖ねぴらぼinvention名物、ボレロ冒頭の弱音のスネアをグラピの枠を叩くリズムで再現する菊池さん。

そして空いてるパートのけいちゃんさんが踊り(なんちゃってバレエ)担当。INVENTIONでは指揮の真似だった(どっちでもいい)。

けいちゃんさんは踊りつつ旋律パート担当の鍵盤に不協和音をねじこんでくるのだが、たんにテキトーに鍵盤を押してるだけなのか、狙って不協和音にしてるのか、どっちかがわからない。

 

さて、曲の途中でこれだけアドリブで放り込まれてきたわけですけど。

パリのアメリカ人?

木星(ござさん)

水の戯れ(以下、菊池さん)

モーツアルトソナタか何か

トルコ行進曲

くるみ割り人形から 金平糖の踊り

木星の冒頭(けいちゃんさん?)

魔王(ござさん)

ホルスト組曲「惑星」から火星(ござさん)

革命(菊池さん)

火星(ござさん)

バレエ音楽シバの女王ベルキス」からソロモンの夢(誰?単なる空耳かも)

 

最初から順番に各楽器でソロ回しをしていくわけですね、原曲は。んでピアノでそれやると音色が変わらないから単調じゃないですか?だから、こうやって菊池さんとござさんとけいちゃんさん?でそれぞれ順番に違う曲のフレーズをアクセントとして載せてきたんでしょうか。

ござさんの譜面台に、楽譜の右に怪しいメモ??が並んでいる。それがこのねじこんでくる曲一覧だったのじゃないかなあ。だってこんだけ横槍入ってるのだから、いいかげんたくおんさんが怒り出しそうとおもいきや、別に誰もツッコミを入れないし。

 

最後の転調のタイミングはむしろわかりやすいので、それよりも難題はおわりの下降するフレーズのタイミングが難しかったのでは?そこで対策として、たくおんさんは2回手拍子で合図をしている。確かに、こうでもしないと絶対合わないと思う。

 

それでは、メンバーのグダグダぶりをもうちょいご覧いただこう。

菊池さん「これから最後の曲です」

けいちゃんさん「いや、我々は間違っている」

最後の曲はボレロだったため、今からやるのはアンコール曲だった説

 

アンコール:リベルタンゴ

けいちゃんさんが一番よく練られたコメントをしてくださって場が引き締まるのです。

「純粋に音楽を通しての友人同士、自由にピアノで演奏できる空間をお客様と共有出来て幸せでございます」

「これからも5人の音楽活動を応援よろしくお願いします!」

 

ほんとうにこのコメントに尽きます。何もかも、5人のすべての気持ちがこの言葉に詰まっているのではないでしょうか?

ねえボレロでいたずらっ子な発言をしていたどこかの菊池さんとござさん。ちょっとお聴きになりましたか?考えましょうよ、アレンジのどこに謎和音を投げ込むかっていう議論は置いといて……

 

それは置いといて、アンコール曲はリベルタンゴであった。

危うくこの曲をプログラム最後の曲としてみんな気づかずに紹介しそうになり、そこをけいちゃんさんに助け船を出されて危機一髪で修正するという綱渡りではありましたが。

ほんとにけいちゃんさんありがとうございます。

 

 

ござさんファンの自分としては。

このリベルタンゴ、生配信でも覚えてしまって一時期飽きてしまうくらい聞き倒したござさんの定番レパートリーである。それに第二回ねぴふぁびでも一曲目アンコールとして採用されていた(2曲目アンコールは威風堂々)。

しかし、今回のリベルタンゴは旋律もアドリブも、全部ござさんがやってる節がある。なぜかというと???たぶん、5/1に新しいCDアルバムリリースを控えたござさんが、CDにリベルタンゴが収録されているため即座に弾けたしアドリブも豊富に持っていたからではないか。それは菊池さんもけいちゃんさんもその程度の手札は持っているのではないかと思うが、しかしふたりともリアルライブやら公演やイベントに走り回っているので(菊池さんはネピアコ後にラジオだったらしい)、今回のネピアコのレパートリーだけでも膨大な量の中、アンコールピースまで手は回らなかったためではないか。

 

そんな事情はなんでもいいので、ござさんファン的にこのリベルタンゴは実質ござさんが珍しくバッキングに回らずずっと旋律やアドリブやってたので、聴きどころとしてソロのクラシックメドレーと並んでこの最後のリベルタンゴは注目です。

CDアレンジの全貌がまだ謎の中、このアンコールでまた違う編曲のリベルタンゴを楽しめた気がして、思わぬ天からの賜りものみたいで有難かった。

 

 

 

最後のござさんの挨拶ツイートお借りします。(この挨拶ツイートと、円陣を組む動画は5人のメンバーがそれぞれに投稿されていますが、自分はござさんファンのため、このツイートのみを載せます)

 

コンサート終わって、まっすぐこっちを向いて、笑顔のござさん。

マスクに隠れてるけどこの微笑みがコンサートの成功と手ごたえを確信されてると思う。

 

 

クレジットされないスタッフの方に感謝を込めて

出演者以外のスタッフの方々がわからないので、ここでお礼を書く。

この素晴らしい舞台で自由に演奏できる準備に携わってくださった方々へ。

🎉ロゴデザインされた方

今回のコンサートは、パンフレットも、ポスターも、イメージロゴすらも公式さんから前もってビジュアルが提示されなかった。広報活動はどうなっとるんですかと思うが、当日配信の待ち受け画面と、現地エントランスのデジタルポスター(この記事の最初の方参照)にロゴが掲載されていた。

というわけでどこにも名前も出しておられませんけど、ロゴデザインしてくださった方、ありがとうございます。上下左右反転されたアルファベットが、ピアノによる新しい境地を開くっていうこのコンサートのキャッチフレーズにぴったりです。

 

🎉ヘアメイク・衣装の方

衣装とスタイリングは出演者の方それぞれに担当者の方がいつもおられると思います。公演ごとについているはずですので。

そこで、ござさんの衣装について見てみると、去年のこのコンサート時のセットアップではないでしょうか。インに着たシャツのみ違ってて今回は黒のネクタイをつけられてました。

今回もとってもお似合いの衣装だったと思います。

このときのノーカラーのシャツもステキでしたけど、今回の普通の黒シャツにネクタイもまたスタンダードなのに垢抜けてます。ござさん、衣装を自然に着こなされるようになったなあ(もう何見ても泣く)。

 

🎉調律のご担当の方

当然スタインウェイのコンサートグランドピアノが5台も集結しているので、調律のスタッフの方を依頼しているはずです。

一台だけでも大変な作業と思いますが、しかもこのコンサートはクラシックとは違う奏法になるので、いつもと勝手が違ったのではないでしょうか?ありがとうございます。

 

🎉照明の方

ねぴらぼのもう一つの名物、それがバリエーション豊かな照明による演出だと思う。

いつも会場ごとパッケージのように、それぞれの曲に対して入念にタイミングも考えられた演出が施されてきた。

今回も様々な色彩で投影された照明。

荘厳なパイプオルガンを背景にスケールの大きな演出をしてくださっています。

名前がこちらもクレジットにどこにも上がってきませんが、深謝申し上げます。

 

🎉音響エンジニアの方

配信で鑑賞させていただくにあたり、照明と並んでカギを握るのは音響である。

今回の音響がただ言葉をなくすくらいあまりにも素晴らしかったのでここにコメントでお礼を書かざるを得ない。

ピアノは全部スタインウェイのコンサートグランド、場所はサントリーホールという事を差し引いても、凄かったのです。

どんなに高音域の端の音まで使っても絶対に耳障りな刺さる音にはならず、小鳥のさえずりみたいな鈴を振るような麗しい音色がした。

また、低音域は強く弾いていると割れて聴こえることがあるけどそんなこともなく。

ただただ御担当の方の技術に脱帽です。そしてまるで会場でそのまま聞いているかのような臨場感を演出して下さり、ほんとうにありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:

大きな古時計で巡る、ござさんアレンジの歴史

 

※ござさんの2ndアルバムについては実際にCDの演奏を聴いてからまた書きます。

ここでの記事はおもに「大きな古時計」アレンジによる「ござアレンジ研究会」さんのリレー動画について語ります。

 

目次:クリックで各項目へ飛べます

 

 

 

ござさんの2ndアルバム「Fantasia」

ござさんの2枚目のピアノソロアルバムがリリースされることになった。

発売日は2024年5月1日。

前回の1st ALBUM「EnVision」2021年11月24日発売から約二年半の歳月を経て、ござさんの「今」が詰まった注目の一枚である。

 

※1stアルバム EnVision発売時の、ござさんのインタビュー記事。

 

 

ござさんのピアニストとしての転換点はいくつもあったと思うが、最大のキーポイントは今思い出してもこのアルバムにあったと思う。

ファンにとっては今も昔も生配信でピアノを弾いてるござさん、という姿は変わらないのだけど。生配信で即興アレンジを自在に弾いてるのがござさんの本来の姿。

でもCDという媒体で出すことで、ピアニストとしては目に見える、手に取ることのできる看板を持つことになる。自分はこの1stCDリリースを夢にまで見て待ち望んでいた。ネット配信での即興が主たる活動ということは、よく言えば一期一会、言い方を変えると二度と同じものはないし他の人にも手軽に案内できる看板がメジャーなところに無いことを意味する。

しかしこのCDリリースに際して自分は心のどこかに一抹の不安があった。

即興アレンジこそがござさんの最も輝く場。

ライブにしても、配信にしても。

「CDに収録した曲」として決め譜にしてしまうと、ござさんのピアノの精彩は全く色を失って命を奪われるのではないか?

 

現に、ござさんは今もほぼ毎週Youtubeツイキャス配信で定期的に演奏されているが、やはり配信でその場で考えられているほうが、生き生きと音とリズムが躍動する。

しかしそんな心配は所詮、素人の浅はかな戯言であった。思慮が足りず愚かなことを口走ってしまったにすぎなかったのだ。

 

今回の、ござさんの2ndアルバム発売に際してのインタビュー。

この記事の中に全て答えは詰まっている。

 

このインタビュー記事から抜粋で引用させていただきます。

――前作では滝廉太郎の「花」をフィーチャーしましたが、今回は「大きな古時計」を選ばれましたね。

この曲も、最初に編曲をしたのは10年前で、そこからどんどん形を変えていった曲でした。僕の配信を見てくれている人にとっては、BGMとしてもおなじみの曲。演奏をする時は「今の自分を弾く」という気持ちになるので、自分の現在地を知ることができる、とても大切な曲です。

 

――アレンジや楽曲のアイデアは、どんな時に沸いてくるのでしょう。

僕は演奏中に膨らむことが多いですね。自分の演奏から着想を得るといいますか。自給自足みたいで変な感じですけど。自分が弾いたフレーズに合うものはと、突き詰めていくという感じです。

 

この記事に見える通り、ござさんのアレンジは生きていて呼吸する。

刻一刻と姿を変えて、一瞬たりとも同じところに留まらない。

 

決め譜を作ったから精彩を欠くのではなく、決め譜があるから、次へのアレンジへの足掛かりになるのかもしれない。

この2ndアルバムのレコーディングの流れの中でも、常にその時のアレンジをその場で咀嚼してさらに新しい着想を得る糧にしている感がある。

 

2ndアルバムのビジュアルも決まったようだ。ピアノをモチーフにしたアート風なジャケットである。POPで幻想的かつ抽象的、明るい色調とかわいらしいイメージは誰でも手に取りやすい親しみやすさを持つ。

 

※レコード会社の公式ページはこちら

 

収録曲のラインナップ:

リベルタンゴ
トロイメライ
幻想即興曲による幻想曲
森の出来事
CHOPIN SYNDROME
空の陰影
悲愴
大きな古時計
ミックスナッツ 
Tank!

 

 

この収録曲には、自分は色々思い入れがあるが、全体的にはCDが発売されてから感想を書きたい。

 

さて、ここに見える「大きな古時計」もまたござさんのピアノアレンジのなかではもっとも歴史が長い曲であり、ござさんファンなら各々の方がそれぞれに胸に思い出をもつのではないか。

ござさんもこの曲についてコメントされている。重複するけどもう一度引用。

――前作では滝廉太郎の「花」をフィーチャーしましたが、今回は「大きな古時計」を選ばれましたね。

この曲も、最初に編曲をしたのは10年前で、そこからどんどん形を変えていった曲でした。僕の配信を見てくれている人にとっては、BGMとしてもおなじみの曲。演奏をする時は「今の自分を弾く」という気持ちになるので、自分の現在地を知ることができる、とても大切な曲です。

 

ござさんの生配信はあらゆるジャンルを持つという意味で横に幾重にも無限の拡がりをもつ。どれが主役というのではない。いろんな要素を絡ませながら、お互いに作用しながら、顔貌を変えていくのだ。

 

お互いに干渉しているようで全く別のいくつもの貌を持つ。

交わらないようで、しかしどれもござさんのピアノに欠かすことのできないファクターだ。

 

生配信の来歴を思い出すと、ござさんのいう通り過去をベースにして現在があり、そして未来は無限に広がり繋がっていく。終わらない時間の道。

 

 

時間という概念とござさんのピアノからイメージしてみた。

 

原始の昔、音楽とは自然の雨の音、動物の声、

耳に入るもの全てだったかもしれない

音楽の黎明を告げる時代

いつごろから人間は音を携え

音楽として奏ではじめたのだろう

 

ござさんはピアノを傍らに

音楽と向き合い対話を繰り返してきた

ござさんにとって音楽は

ありのままの姿で受け止めるもの

 

長い音楽の歴史は紡がれていく

人間の一生はそのうち僅かな間

瞬きするほんの少しだけの時間

 

すべての土地の風土を背景として、

またすべての人の営みに根付いた音楽がある

 

ござさんの音楽は生き物

明日はどんな姿で会えるだろう

 

ござさんの音楽は純粋かつ斬新

歩んでいくのはござさんしか拓けない道

果てしなく続く道

追い求めても、目標は幻影のまま

でもござさんは歩き続ける

この道程はピアノに、音楽に携わる人々

全てに行く先が広く示されている

 

 

ござさんのアレンジを俯瞰してみるーー大きな古時計ーー

2ndアルバムのラインナップに「大きな古時計」がある。

インタビューにもある通り、大きな古時計はござさんの「今」を切り取る指標として、生配信で常に新たな解釈が提示されてきた。

 

現実の配信での演奏がその刹那の二次元的な存在であるなら。

YoutubeTwitterに現存する過去の様々な大きな古時計のアレンジ演奏動画は、ござさんの今に至るまでの足跡を三次元的に表現する、ござさんの歴史の生き証人だ。

可視的、そして寺院の塑像のような不可逆的な存在でもある。二度と同じものを新しく作ることはできないから。

 

 

松尾芭蕉の「奥の細道」の冒頭、

『月日は百代の過客にして、行き交ふ年もまた旅人なり。』

からイメージを引用すると、

ござさんは時空の旅人。

ござさんの音楽は生き物のように姿を変える。

その変化は木が長い年月をかけてゆっくりと小さくも年輪の幅を重ねていくように、目に見えないがしかし着実な揺るぎない歩みをしるす。

 

生配信でござさんの新鮮な今その瞬間を味わう。

アーカイブでその時ごとの演奏アレンジを永く愛でる。

ファンは、ファンの立場から自分のスタイルでござさんの演奏を楽しむだけである。

どの瞬間の演奏もござさんだから、

ござさんが提示する普遍的な世界は時代を超えて語り継がれるべきものだから。

 

 

奥の細道の冒頭部分は、唐の詩人李白の詩「春夜宴桃李園序」に題材をとっている。

引用サイト:『春夜宴桃李園序』李白 【原文・書き下し文・現代語訳・解説】

「春夜宴从弟桃李園序」: 春夜従弟の桃李の園に宴をするの序

李白

夫天地者万物之逆旅、光陰者百代之過客。而浮生若夢。為歓幾何。古人秉燭夜遊、良有以也。

況陽春召我以煙景、大塊假我以文章。会桃李之芳園、序天倫之楽事。群季俊秀、皆為恵連。

吾人詠歌、独慚康楽。幽賞未已、高談転清。開瓊筵以坐華、飛羽觴而醉月。不有佳作、何伸雅懷。如詩不成、罰依金谷酒数。

 

現代語訳。

春の夜に従弟の桃李の園で宴会を開くにあたっての序

月日は万物を泊める宿。時の流れはゆきかう旅人のようなものだ。

生者と死者の違いは夢を見ているか、夢から覚めたかの違いでしかない。

物事は永遠に移り変わり、追い求めても手にできる喜びはほんのわずかだ。古人は夜ろうそくをともして遊んだというが、その気持ちはよくわかる。穏やかな春が美しい景色で私たちを誘っているのだ。大自然はこの世ならぬ美景を私たちに見せる。桃花の香りの中、花園に兄弟たちが集まって楽しかった昔話にふける。弟たちはみな優秀で、謝恵運のような才能を持っている。一方私の詩はとてもその兄・謝霊運に及ばず恥じ入るばかりだ。清らかで雅(みや)びな遊びが繰り広げられ、闊達な議論もやがて清言雅語に代わっていく。敷物を広げて美しい花を愛で、酒杯を次々と酌み交わしては月の光の中に酔う。良い詩がなくてどうしてこの思いを伝えられよう。もしこの場で詩を作れないというなら、昔の金谷園の故事を真似て、罰として酒を三杯飲ませよう。

 

 

「ござアレンジ研究会」による、「大きな古時計」の演奏でファンが辿るござさんの歴史

大きな古時計のござさんのアレンジは、まず代表的なものでいえば月刊ピアノの連載楽譜が挙げられるだろう。

 

大きな古時計アレンジは、月刊ピアノの2020年10~12月に掲載された楽譜である。

月刊ピアノ連載は53回を数えたところで一区切りとなった。古時計以外にもあらゆるジャンルを網羅し、ピアノを学ぶ人には必ずや何かの学びが得られるであろう、奥深くかつ初心者にもやさしい解説記事が併記されている。

「ござアレンジ研究会」ではこの53回分のアレンジ楽譜についてアンケートを行っている。

ござさんファンの方におかれましては、もし回答がまだの方がおられたらぜひご参加ください。(このツイートのツリーに、月刊ピアノ楽譜の参考動画URLもあるのでそちらから演奏を聴くことも可能です。)月刊ピアノ連載は次の6月号から新たなシリーズとして再開されます。この際に、今までのござさんのアイデア満載の月刊ピアノ楽譜を振り返ってみてはいかがでしょうか。

 

 

月刊ピアノ楽譜のほかにもござさんの「大きな古時計」アレンジは様々な形が存在する。Danny Boyと並んでござさんの代表的レパートリーとして挙げられる「大きな古時計」。

現在ネット上で確認することのできるアレンジ動画と併せて、ファンの方によるオリジナルアレンジの演奏も交えつつ、「ござアレンジ研究会」ではリレー動画として投稿されている。

 

 

過去にも様々な節目でござさんのアレンジを演奏されてきた「ござアレンジ研究会」さんだが、

「アネモネ」リレー演奏 ござさんリスナー有志で弾いてみた - YouTube

「清新の風」リレー演奏 ござアレンジ研究会有志で弾いてみた - YouTube

 

今回は演奏とともにファンアートとコラボレーションされている。

ーーYoutube概要欄を転載ーー

ござさんが思い入れがあると仰っていて、2024年5月1日発売のセカンドアルバムにも収録されている「大きな古時計」をテーマに、” ファンアートとピアノ演奏のコラボレーション ”というのをやってみました。
ファンアートは、オリジナルイラスト、DOLL、切り絵、チョークアート、フラワーアレンジメント、詩など。ピアノ演奏は、歴代のござさんのアレンジと、研究会メンバー自身のアレンジです。
目と耳の両方でお楽しみいただけたら幸いです。

 

それぞれの演奏とイメージを合わせたファンアートは演奏と共に、視覚的に訴えかけてくるものがある。それぞれの曲と演奏のイメージに寄り添うようなファンアートの数々。ピアノの音は演奏する人によって表情が違うように、ファンアートも様々な表現で、ござさんの今までの来歴、これからの道のりを静かに暗示してくださっている。

 

「ござアレンジ研究会」では皆日々の生活の傍ら、それぞれに研鑽を積んできた。

ピアノ練習は精神的にも時間のうえからも余裕をもってないと難しい。しかしござさんの楽譜に関しては、弾いているとござさんの和音が楽しめるから、疲れてても時間無くても、一日5分だけでもという気持ちでピアノに向き合えたりするものである。

この一日わずかな時間だけでもピアノの事を何か考えるという事自体が練習の継続という意味では重要な役割を果たすようだ。

少なくとも全くの素人である自分にとってはそうだった。

(自分もこの演奏の片隅に名を連ねているので)この動画について思い入れを語ります。

 

 

以下、各動画の見出しも全てyoutube動画 概要欄からの引用です。

また各箇所に各演奏の頭出し済みの動画リンクをそれぞれ貼りました。

 

テーマ
大きな古時計 -My Grandfather's Clock-』

1. Jazz style(arr.Rie)
チョークアートSaori_kerrisdale
演奏:Rie

演奏頭出し済み(冒頭):『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube

大きな古時計の曲がもつ古き良き時代のクラシカルなイメージ。そこへ現代的なJAZZ風の解釈を加えられたお洒落で格調高い演奏になっています。
ウィットの効いた和音と軽快なリズム、オリジナルのアレンジです。

ござさんのこの二年間の集大成といえるアルバムリリース、その晴れの日にファンから捧げる祝賀の花束代わりの演奏とアートのコラボ。

重厚なチョークアートは色のタッチが奥深く、懐古調でレトロな雰囲気を醸し出しています。そんな中、窓から吹き抜ける一陣の風が初夏の新緑を思わせる。

動画の冒頭を華やかに飾る、グランドピアノでの素敵な演奏です。

 

2. ジャズ・バラード風(月刊ピアノ2020.11月号 arr.Goza)
イラスト:あづ
演奏・再アレンジ:桜と月の森

演奏頭出し済み:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube
※出典動画ーー月刊ピアノ参考演奏:月刊Piano 2020年11月号「ござさんの All that Goza's Piano Arrange」第11回 大きな古時計(ジャズ・バラード風) - YouTube

シンプルなアレンジに見えるがござさんはリズムをスウィングさせていて、つまりJAZZアレンジの大きな古時計である。月刊ピアノの3つのアレンジ楽譜のひとつ。

グランドピアノでの豪華な響き、美しいアルペジオ、噛み締めるようにひとつひとつ丁寧に押さえられる音が優しい表情をもって聴き手に語りかけてくる。

ゆったりしたバラード調で和音をしみじみと存分に味わえるアレンジ。

 

夜空に瞬く星が大きな古時計を形作り、星たちを背景にござさんのピアノの音が幻想的に流れていく、天の川のようなイメージのアート。桜の花が、ぼうっと光るござさんの手元を優しく彩る。

 

(自分で書いててなんですけど本当ため息が出るくらい音と視覚が本能的に融合しててうっとりする・・・・こんなことやってるとTwitterでは感想を絶対に全部書ききれないので、やっぱりこの部屋でいちいちコメントするしかない。)

 

3. 綺麗な内声・裏メロ特集(arr.Goza)
DOLL:月兎耳-つきとじ- さん
演奏:ひつじぐさ・Saori_kerrisdale

演奏頭出し済み:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube
※出典動画ーー「大きな古時計」で学ぶ「綺麗な内声・裏メロ」特集! - YouTube

この動画はござさんが効果的に使えると例示されているアレンジ集なので、全部通して弾けば演奏効果抜群の構成になっている。

定番の指使いや和音展開を例示しつつ、ござさんなりのちょっとスパイスを効かせた語法で語られる音楽理論の数々。楽譜も図解で添付されてて、内声がどのように動いているのか、その工夫により和音がどのような効果をもたらすのか?

このござさんアレンジ特有な和音の連続を、ひとつひとつゆっくりと踏みしめて歩を進めるように響かせて演奏されている。

郷愁を誘う優しい音、不思議な一工夫ある和音の連続に、思わず立ち止まって振り向きたくなる懐かしい雰囲気。

傍らでござさん人形がマスコットのように愛らしく、オリジナル曲のモチーフであるアネモネを手に優しくピアノ練習の風景を見守ってくれているようだ。

 

そしてござさんと、ファンのピアノを通じた交流を暖かくつなぐ、数々の演奏のアイデアたち。ござさんはピアニストだから、わたしたちファンは投げかけられたお題に対してまたそれぞれの解釈をしてみせるのもまた、楽しいものである。

 

※この内声・裏メロアレンジ動画そのものについて

ござさんがこの動画のサムネに記している副題は「使える!内声・裏メロ・ベースライン集 in 大きな古時計 obligato/ inner voice  Tips On ”My Grandfather's Clock”」つまり、和声のバリエーションだけではなく、ベースラインにもこだわってるんですね、このアレンジ動画は。

このアレンジが、大きな古時計動画の中ではある意味もっともござさんの原点に近い存在かもしれない。投稿は2019年とござさんの活動遍歴の上では比較的新しいけど、動画の内容はござさんのアレンジ手法に自ら切り込んでいる。そこまで具体的に例示していいのかというくらい、はっきりと詳細にしかも楽譜付きで解説されているのだ。

何がすごいって、この動画は2小節単位とかでこまかくアレンジパターンを実際の曲の展開で例示しつつ、大きな流れで見てちゃんと「大きな古時計」の曲として起承転結を経てまとまってるところです。

ござさんの持ってる手札、カードの豊富さ、その場で対応できる臨機応変さはすでにここで垣間見ることができる。

 

こういったアイデアを可視化・成文化した集大成がござさんのアレンジ参考書となって出版に至ったのだなあと思うと、あらためてこのお題だけで一冊の本が書けるござさんの発想の独自性と引き出しの多さに脱帽せざるを得ない。

さらにもっと恐ろしいのは、この一冊をもってしても、ござさんの演奏バリエーションに実際に肉薄するには全くパターンが足りないのではないかという点だ(素人から見ても)。レパートリーが2000曲を超えるという事実を紐解くと、ござさんが日々携わっている創作の現場が垣間見えてきて驚嘆すると同時、にプロとして活動できる所以もまたむべなるかな、全く首肯するべきものだった。

 

4. ショパン エチュード10-3アレンジ(arr.ひよこ豆
詩:ひよこ豆
デザイン:リオ
演奏:ひよこ豆

頭出し済み動画:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube

ここだけどうしてもHNで呼ばせていただいてよろしいでしょうか。(といって勝手に進める)ござさんのアレンジを研究して演奏されてる方は多々いらっしゃいますけど、ひよこ豆さんは、このリレー動画の中でもRieさんと並んで実際にござさんのアレンジ手法を用いて自分なりのアレンジ曲を作ってしまわれました。

何のことだか耳を疑う。

人はその才能を鬼才と呼ぶ。

独創的な着想が、ござさんの生配信での意表を突く表現手法と重なって見える。

このメロディラインと和音進行を用いて、大きな古時計の曲の中に何げなく落とし込まれている。(こうやってサラッとやってるようですが、ござさんのアレンジへの飽くなき探求心が成せる業です)

 

夕日が優しく空を染める。

この場面は一日の終わりを告げる時間なのだろうか。

家路へと足を速めているところ?それとも薄暮のなかの気ままな散歩?

 

どちらにしても歩いてる人が聴いてるのはきっとござさんのピアノなんだろうなあ。

何聴いてるんだろう、いつかの生配信なのか、お気に入りの動画なのか。

日が傾く時刻、耳に心地よい風を受けながら……

今日は良いことがあったのかもしれないし、疲れて落ち込んでるかもしれない、でもピアノを聴いて心をととのえて前向きになれる気がしますよね。

 

ござさんのピアノはいつもすぐそこに寄り添ってくれる。

ピアノの楽しさも音楽への情熱も全て包んでいつも黙ってそこにいてくれる。

 

 

5. In Jazz Ballad(arr.Goza)
イラスト:いよかん さん
演奏:Bee Hachi・ティム・ohirunesukisuki

頭出し済み動画:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube
参考動画:tomorrow(アニー/from Annie)/大きな古時計(My Grandfather's Clock)/どんなときも ピアノアレンジ詰め合わせ - YouTube

ござさんアレンジで楽譜も販売されている:「大きな古時計」 ピアノソロ譜面 mucome

↑↑ この楽譜に記されたござさんのコメントから。

「……音数は少ないですが、余韻を活かした豊かな響きを目指しました。」

 

前述の内声・裏メロの技術と知識をもって書かれたのがこの曲なのではないかと思う。実際にはこの動画の投稿が2014/6/26なので、解説動画の投稿のほうが後になるが。

ござさんの動画がもとになった楽譜そのままであるため、月刊ピアノの楽譜よりは格段に難しい。なぜなら速度は遅くても上記の通りの複雑な技法を用いて和音が書かれているから要するに単純にすぐ弾けるという構成ではないからだ。そもそも曲の長さも月刊ピアノ楽譜の4倍ある。

大きな古時計アレンジの原点の姿。今に伝えられた、いにしえの音楽の語法。

ご提供いただいたイラストも、まるで旧家に伝わる絵画のような古びた仕様になっている。印刷のインクがモノクロだった時代の写真のような懐古的な色調。そして古びた紙の折り目や皺を思わせる独特の加工が施され、まるでほんとうに100年前の演奏会のパンフレットのようなイラスト。

モチーフが大きな古時計というレトロなお題になったのに合わせ、クラシックな時代をイメージしてリアリティを以て仕上げられた絵もまた、ござさん同様にプロの業である。

 

そして、100年前も演奏されていたと言われればうなずけるような、郷愁を誘うピアノの音色。

ござさんが2ndアルバムインタビューで語られた所の「大きな古時計のアレンジは、『今の自分を弾く』という気持ちになるので、自分の現在地を知ることができるとても大切な曲」とのことだった。

でもファンはこの動画に還って来ればいつでもござさんの昔の姿に出会える。

そう思ってこの演奏を聴くと、それぞれの音が雄弁に語りかけてきて、豊かな物語の世界を体験できることだろう。

ござさんの楽譜は、それぞれの和音にこのように深い含蓄があるから練習して弾いていて、自然とござさんと音楽を通じて深い世界を共有できるところにファンとしての醍醐味を感じる。

この曲は通して4分、使われている和音も難解で(素人の自分にはなかなか弾けるものではなく)縁遠い曲ではあるが、この和音を習得でき、曲として演奏できた時の感慨はひとしおではないかと推察する。

 

 

 

6. ラヴェル風(月刊ピアノ2020.10月号 arr.Goza)
切り絵:うみいぬ さん
演奏:よっちゃん

頭出し済み動画:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube
お手本動画:月刊Piano 2020年10月号「ござさんの All that Goza's Piano Arrange」第10回 大きな古時計(ラヴェル風) - YouTube

3つある月刊ピアノアレンジの2つ目、これは印象派作曲家のラヴェル風である。

詳しく言うと、「亡き王女のためのパヴァーヌ」風に書かれている。

さて、印象派風に書かれた月刊ピアノ連載の楽譜は他にもある。よく知られているところでは2020年3月号の「アメイジング・グレイス」の印象主義風がある。

参考動画:【月刊ピアノ連載】超マニアック?!「印象主義風アレンジ」の方法を声アリ解説!【アメイジング・グレイス】 - YouTube

このラヴェル大きな古時計アレンジは、やはり月刊ピアノ連載の楽譜だけあって、しかもござさんが傾倒している(レパートリーも多い気がする)印象派なだけあって、テーマが一本透っていて、入念に仕組まれている気がする。

上記のアメイジンググレイス動画でござさんが自ら語られているポイントを挙げながらこの動画を見るとやはり共通点が多いことがよくわかる。

・静かで幻想的な雰囲気

・保持音

・平行和音

・(アメイジンググレイスでは月の光と混ぜられている)

・(今回の楽譜ではパヴァーヌと混ぜている)

・旋律をオクターブで演奏すると音域に広がりが生まれる

全音音階(ホールトーンスケール)

今回の亡き王女のためのパヴァーヌ印象派のアレンジにもこれらの要点ははっきりと生かされている、と思う。この前のJAZZふうアレンジとは違い、静かに瞑想するイメージは同じかもしれないがはっきりと使ってる和音が違う。古典派のクラシック風ともまた違う。古風な舞曲をお題にしながらも、ラヴェルらしい近現代的な和音使いが見える。(自分は詳しく調べられてなくてすいません)

優しい幻想的な余韻の残る音は自然と奏者の人柄を映し出す。思慮深く穏やかな、何か哲学的な思索に耽っていそうな姿。

印象派の名の通り、大きな古時計もまたこの曲の中では時空の中に幻影を残す。

 

大きな古時計アレンジのためファンアートも時間の経過を意識して作成してくださっているが、ここでは切り絵によりござさんの演奏風景をアニメーション風にされている。

切り絵のモチーフはござさんのグランドピアノ配信だと思われるが、アレンジ動画の演奏風景とも重なるものがあって、ひとつひとつの和音を弾いてる姿を切り絵にイメージとして写し取った感じがする。

アートとのコラボ、アートというだけあって、芸術の域です(日本語が不自由)。

芸術って持ち主の手から命を吹き込まれて自我を持ち、ひとりでに何か語り出すんですよね。

この切り絵とピアノ演奏がコラボするとほんとうに切り絵が動き出してるという錯覚に陥る。

 

※どうでもいいおまけ
亡き王女のためのパヴァーヌはいにしえのスペインの王宮で王女が踊っていた舞曲をイメージされているらしいので、念のため参考に16世紀スペインの王宮で生まれた王女の画像を貼っておきます。

エレオノーラ・ディ・トレド - Wikipedia

 

 

7. AOR風(月刊ピアノ2020.12月号 arr.Goza)
詩:かまたまうどん
デザイン:Bee Hachi
演奏:かまたまうどん

お手本動画:月刊Piano 2020年12月号「ござさんの All that Goza's Piano Arrange」第12回 大きな古時計(80年代AOR風) - YouTube

(このコーナーだけ唐突に自分の練習日記)

ここは自分が演奏した曲のため、いきなり練習日記の体裁をとります。異論は認めませんので勝手に進めます。

曲は月刊ピアノの3つのアレンジのうち最後のAOR風。AORとはいわゆる80年代のシティポップを指し、この曲も都会的で垢抜けた印象のアレンジとなっています。お洒落な和音で動くリズミカルな旋律がポップな印象を生む……はずですが強弱の付け方が難しくベタ弾きみたいになっている。難しい。

シティポップは曲が生み出された当時は近未来的な要素も含まれていたと思われ、そのためファンアートとして現代的なアグレッシブな背景に、過去から遠い未来へ一貫した道を行くイメージとしていただきました。

そこにござさんの時空を超えるイメージと世の中を広く掌中に納めて展開するアレンジ領域を詩に表してみました。

 

それはいいから。

自分はござさんのアレンジを研究するとかできない素人である。

というか月刊ピアノの連載楽譜を通して一回分自分で弾くというのが今回のお題だったのだが、この時点で自分にはすでに超えられない可能性のある壁だった。月刊ピアノのアレンジは通して弾くと40秒~1分かかる。普通の曲が5~6分とかかかるのに比べると何のことはない短編と思われるかもしれないが自分にとって今回の演奏を動画に撮ってみるチャレンジは清水の舞台から飛び降りるのも同然の荒業であった。

誰が見てるわけでもないピアノ部屋で、いつも使ってる携帯で動画を撮る。ただそれだけのなんのことはない作業だが、動画のカメラが回ってると思うだけでいつもできてる所もミスするものだ。自分はそんな小心者のチキンなのだ。

しかしとにかくござさんが2ndアルバムをリリースするからには自分もそれだけの覚悟を以て何かを為さないとござさんについて行けない気がして(←気のせい)、前から続けてた基礎練から叩きなおしてやりなおし、楽譜のござさんの難解な和音も必死で目を血眼にして覚えた。

しかしよく見てみよう。この楽譜の解説キャッチフレーズに書かれてるのは

「弾きやすさにこだわったAOR風」

である。ござさんはそもそも超絶技巧の使い手なのにこんな素人向けに月刊ピアノの連載楽譜を優しい語法で書いてくださっている。それだけでも感謝なのにこのAORはわざわざ弾きやすさにこだわった、とある。

確かに。

この曲は、アネモネなどEnVisionアルバムの曲の楽譜や、ましてやほかの月刊ピアノ連載の楽譜と比べても、格段に和音が理解しやすかった。

逆に言えば、理解しやすかったので自分は心が折れずに最後まで練習できたという気もする。この曲の難易度は月刊ピアノ掲載時、★★であった。つまり、初心者向けの簡易なアレンジということのようです。なかなか一曲を通して弾くのが難しい自分みたいなのには、こういった存在は神から賜ったお恵みかというくらいありがたいです。

なぜありがたいのか?

最後まで練習できたからやってて楽しかったし、自分の中ではじめて実際に短期間で弾けたので嬉しかったのはある。

それよりも、それまで全くの謎の存在だったコード進行というかコードの構成なるものが、この曲の和音が簡易な仕組みだったおかげなのか????少しわかって来た気がするからだ。

ここで長年の疑問がいくつか(自分の中で)解消できたため、他の曲の楽譜を見ても、そういう意味で曲の造りというかなりたちというか、そこに書かれている意味はどういう意味があるのかという点が分かって来た気がする。

「コード進行は曲を実際に弾いてみるとか解析してみないと、理論だけ読んでてもわかるわけがない」

っていう意味を長年理解できてなくて自分は半ば腐ってて自暴自棄だったのですが、ここの曲でコードについてちょっと親しみを持てたおかげで、ピアノの練習というかピアノそのものに今までよりも前向きに取り組める気がする。

スケールも、何で必要なのかわかってきた。

コードの種類が頭で考えるよりも響きでなんとなくわかってくるから?かもしれない。

ーーーーーーーーーーー

 

以上、ここだけ自分の練習日記部屋でした。

再びリレー動画の感想に戻ります。

 

 

8. ピアノ二重奏(arr.Rie)
フラワーアレンジメント:花職人の店いるでぱいん
演奏:紳士的日本人(Primo)・花職人の店いるでぱいん(Secondo)

頭出し済み動画:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube

ここでピアノアレンジは原曲、元来の曲のイメージに戻っていく。いわゆる昔から、小さい頃から童謡としてみんな歌ったことがあるであろう原曲のイメージだ。

なんならこども向けの合唱曲などで聞いた事があるかもしれない。

誰もが知ってる「大きな古時計」の楽譜。

このアレンジもまた、アレ研の方のオリジナルアレンジである。(つくづくやってることがほぼござさんである)

小さい頃の童謡そのままのかわいらしいアレンジに、中間部で旋律パートに高音のアクセントがついていて、重厚な古時計を思わせる演奏が続く中でここだけちょっとかわいらしい。装飾音までつけられてて童謡からすこしだけクラシック風に衣装替え。

 

ござさんのアレンジはこの動画の前半を見るとわかるとおりJAZZアレンジが主体となっているため、この原曲通りのバージョンでリズムも和音ももとのままの演奏は動画全体の中でも色んな意味でアクセントとして機能している気がする。

ファンアートは、アネモネが一輪大きく添えられたドライフラワーふうのアレンジメント。クラシカルな色調のモノクロ写真で、童謡にあるおじいさんが生きてきた100年の時の経過を暗示する。

アネモネはもちろんござさんのオリジナルの曲名からモチーフをいただいたものだ。

 

9. 即興アレンジ(2023.10.22 ござさんyoutube配信)
イラスト:Bee Hachi
演奏:Yuri.A

頭出し済み動画:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube

ここで無駄なコメントとかいらないですね。

静かに演奏をご堪能下さい。(動画の最終盤ですがここに頭出ししたURLで貼っていますので直接飛べます。)

出典は、去年のござさんの生配信からの演奏です。(動画はメンバー限定となっているためここには貼りません。メンバーの方は各自アーカイブでご確認ください。)

たぶんモチーフとしては、ござさんの歴代の大きな古時計をモチーフにしたアレンジをこの動画で聴いてきた中で、この演奏は現在のござさんを表しているようです。

過去の一つ一つの演奏を糧に積み重ねてきたござさん、現在もなお進歩、いや進化し続ける姿。

配信の姿そのままのアルペジオで埋め尽くされた標題は、壮麗にして圧巻。

この動画、軽快な古典的swingふうJAZZで華麗に冒頭を飾られていたが、終末はより進化し続けるござさんの姿を暗示して劇的に幕を下ろす。

 

ここに合わせて載せられているファンアートはそのようなイメージなのだろう。

抽象的な歯車と時計の針(の先はペンギン仕様になっている)。

全てモノクロの世界の中科学的な光彩の中に浮かぶピアノの鍵盤。

歯車と交錯する円は、大きな古時計のコード進行の記号で構成されている。

濃い色の中に淡く緑色を帯びてタタミみたいな格子と共に浮かび上がるこれらのモチーフは、ござさんのひたすら音楽と向き合ういつもの姿、これからも音楽を探求し続けていくであろう研究者としての姿を彷彿とさせる。

 

 

サムネイル:special thanks to いよかんさん
音声・動画編集:ひよこ豆さん

 #大きな古時計 #grandfatherclock #ござの日

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

以上、「ござアレンジ研究会」アカウントにて投稿された

『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ

のリレー演奏動画について感想を書いてみた。

 

この大きな古時計の演奏は記事の冒頭で述べた通り、5/1発売のござさんの2ndアルバム「Fantasia」に収録されている最新版が待たれるところである。

 

このアルバム曲の紹介動画に、大きな古時計も短いフレーズだけだが登場するので聞いて見て下さい。


大きな古時計の本編の演奏は、CDリリースを待ちたい。

おそらくリリースののちに、各種配信サービスでも鑑賞できるようになるはず。

 

 

 

 

NEO PIANO Acoustic ー予習編ー

 

目次:クリックで各項目へ飛べます

 

 

NEO PIANO Acoustic

この記事ではこのコンサートについてまとめてみます。

略して

#ネピアコ  

とお呼びいただきますようお願いいたします。

 

公式アカウントからの告知ツイート。

 

※唐突ですが追記します。この部屋は自分の備忘録なので、けいちゃんさんがTwitterに投稿して下さったリハーサルの模様もお借りいたします。

 

けいちゃんさんは、

2020.7.24の初回NEO PIANO CO.LABO. のライブ、通称ねぴらぼ。

2021.2.11の第二回NEO PIANO CO.LABO. ーINVENTIONーのライブ、通称ねぴらぼinvention。

このシリーズには当初から参加されていたメンバーである。

耳コピによる即興アレンジで、クラシックからJAZZまであらゆるレパートリーを持つという意味では、ござさんと全く同じ演奏スタイルをもつ。

音楽活動のスタイルはござさんとけいちゃんさんは、それぞれに新たな道を歩みつつあるなかで、また再びねぴらぼスタイルの舞台で共演することになって自分は胸にこみ上げるものがある。

リハーサル動画を投稿してくださったのがけいちゃんさんとあって、どうしてもここに動画を保存したかったので追記しました。

 

初回ねぴらぼからもうすぐ四年。

けいちゃんさんとござさんはそれぞれに、様々な公演や制作活動を行ってこられましたが、再びふたりのセッションが見られるとあって胸の高鳴りを抑えきれない。

鍵盤を縦横無尽に駆けまわるふたりのアレンジが交錯するとどのような音が生まれるのか?

ちなみにけいちゃんさん投稿の動画でござさんが弾いてるのはBoz Scaggsの、We're All Aloneである。ござさんは先週日曜の生配信でも演奏されていたのでリンクを貼ります(頭出し済み)。

来週は本番ですがピアノ弾いてますリクエスト募集中! 2024/04/21 - YouTube

 

美しくも憂いを含んだ響きが胸を打つ。時代を超えて語りづがれる名曲だが、ござさんのリハでの演奏は、夢のように儚く美しいJAZZアレンジ。

うっとり聞き惚れているうちに30秒の動画は終わる……もう一回……と、永遠に聞いていられるこの動画。ていうか永遠にリピートしてて止まらない。これがカセットテープだったら(例えが古すぎる)、既に絶対に擦り切れているに違いない。

 

ーー《追記コーナー終わり》ーーーーーー

 

 

さて、この記事のお題はNEO PIANO Acousticである。

日時:2024年4月28日(日)

場所:サントリーホール

開演:13:30~ (開場 12:30~)

 

さて、サントリーホールで5人のピアニストが集うコラボコンサートですが、当日券は売り切れとなっています。

しかしチケットをお持ちでない方、当日の都合がつかなかった方にも朗報です。

コンサートは生配信でも聴けることになりました。

すばらしい響きのサントリーホールでの生演奏。

グランドピアノによる5人のピアニストたちの夢の競演をご自宅でも鑑賞できます。

 

↓↓↓配信チケットご購入がまだの方は下記URLからどうぞ。

NEO PIANO Acousticのチケット情報 - イープラス

 

 

出演メンバーは

石井琢磨さん

菊池亮太さん

けいちゃんさん

ござさん

Budoさん

の5人となっています。

 

 

さて、勝手にタイトルロゴを考えてみた。

 ↑ ↑ ↑ 音ゲーぽくてなんか違うな…?

 

 ↑ ↑ ↑ ロックバンドのフェスぽくてやっぱ違う……?

 

↑ ↑ ↑  クラシックホールでのアナログでアコースティックなライブのイメージ……?

 

NEO PIANOライブのたどってきた足跡

さてこの NEO PIANOライブは形を変えてシリーズ化(と言っていいのか)している。

というより、初回の2020/7/24のライブはコロナ流行の影響で当初予定していた有観客ライブが開催できず、無観客での半ば見切り発車となった。

リアルの空間で直接ライブやコンサートを鑑賞できることが当たり前だった中に突然発生した未曽有の事態。

そんな時期に、

無観客ライブ、

生配信のシステム、

視聴者の受信環境など……

何もかも手探りで行き当たりばったり。

緊急事態宣言によって芸術の公演存続自体が危ぶまれ、現実に観客を前に公演できない中でどのように活動を維持するのか?

世の中全体がその是非を問われた時でもあった。

この NEO PIANOライブが暗中模索しながら拓いてきたオンライン配信公演というツールはそのまま、演奏家と聴衆の葛藤を受けて形を変えながら変遷してきた。

振り返ってみれば、コロナ以降ネット発信してきたピアニストの経歴の一端がわかる。

(※この記事の最後に資料部屋を置いて過去の NEO PIANOライブとそのときの自分の感想記事も貼っておいた。)

 

5人の出演者

ここで、出演者のうち三人の連弾動画が載っているこの動画をみてみよう。

けいちゃんさんは動画編集の手法に特色があることで自分の中では要注目なのだが、この動画はひとつのテーマでけいちゃんさんがいろいろなピアニストと連弾してみた動画となっている。

人によってまったくアレンジも、奏法も、音も違うのがよくわかるだろう。

今回の出演者でこの動画に見える三人に加え、石井琢磨さんとBudoさんが入ってどのようにクラシカルな演出になるのか楽しみである。


 

では50音順にいきます。

石井琢磨さん

クラシックホールでのグランドピアノセッションということで、演出の主軸となると思われるのは、去年2023年7月のSummerPiano Junctionに引き続き、石井琢磨さんだと思われる。

ウィーン国立音大を卒業された経緯から、Youtube動画にはウィーンの歴史あるロケーションで撮られた演奏が多い。ピアノ演奏にも由緒正しいモーツアルト由来の古典派の気風。どこまでも奥ゆかしく品性を保っていて正統派の演奏。

何を演奏しても、ピアノをピアノとして扱っている。

絶対にピアノとしての音色から、軌道を外れない。

クラシック音楽をそれだけ深く研究し、真摯に向き合っているプロとしての矜持が感じられる。

曲を知り尽くしているからこその思い入れが半端ない。

しかしYoutube動画の演出はそのようなミュージックビデオから面白い企画ものまで、どれも見ていて演出が楽しい。

たくおんさんの目的は「難解で知名度のないクラシック曲をより身近に感じてもらって素晴らしさを知ってもらう事」なのかもしれない。コンサートホールのツアーも好評のようであり、実際に聴いてもらってクラシック曲のすばらしさを肌で感じてもらうというたくおんさんの願いは少しづつ叶っているのかもしれない。

 

参考リンク:クラシック曲が中心のミュージックビデオ動画

"Classic MV" - YouTube

 

ところで今回は複数のピアノによる演奏会ということでたくおんさんの連弾動画を聴いてみた。共通する出演者ということで菊池さんとの連弾動画。

その前に。たくおんさんは地元である徳島県内の各地でこのようなチャリティー的な性質のイベントやホールでのコンサートを多々開催されている。芸術を研究するだけじゃなくて一般に幅広く普及するべく地道な活動もされているのである。

特にこの鳴門で演奏された連弾は、鳴門大橋の目の前の山(にある道の駅)までわざわざグランドピアノを搬入し、当日は地元の子供たちに参加を募ってたくおんさんと連弾するというイベントの中の一環であった。当然たくおんさん一人で企画したのではなく、開催には地元新聞社などが関わっている。

言い得て妙である。

東京やウィーンで発信してるだけじゃ対象者は限られる。ネットが広まったとはいえ、たくおんさんが追求する生のピアノ演奏の音というのは実際に聴いてもらってこそ。

そのためにたくおんさんは地道な活動を経て発言力を大きくしていった、ともいえる。

【菊池亮太】渦潮の前にあるストリートピアノで超高速グリーグ弾いてみた! - YouTube

海辺で世界的プロと「最速クラシック曲」ガチ連弾したら観客が大爆笑!?【ストリートピアノ】【たくおん×菊池亮太】天国と地獄/剣の舞 Session with a world-class pianist - YouTube

 

別のストリートピアノ動画。これも菊池さんと。

お互いクラシック曲を知り尽くしているからこそ、そして鉄壁の演奏技術と表現力があるからこその遊び。

【菊池亮太】ガチクラシック曲であるハンガリー舞曲を連弾してみた!【ブラームス】 - YouTube

【ドッキリ】本場のプロに突然ガチクラシック挑んだら大変な事にwwwwwk【石井琢磨×菊池亮太】ラデツキー行進曲/ヨハン・シュトラウス一世/Radetzky-Marsch - YouTube

 

菊池亮太さん

石井琢磨さんがクラシック音楽におけるこのコンサートの軸。

すると菊池さんはクラシック音楽に重きを置きながらも他ジャンルへの架橋となる存在だ。

石井琢磨さんーBudoさんのクラシック奏者ルート

菊池亮太さん(クラシックと他ジャンルの融合ポジション)

けいちゃんさんーござさんのJAZZその他あらゆるアレンジを主体とするルート

という3つの流れに大別できるかなあと思う。

 

石井琢磨さんと菊池さんのクラシック演奏の共通点というと?

知識がなくても聴いてて楽しい。理屈抜きで本能的に音楽に入り込める。

石井さんの演奏はどちらかというとぎりぎり理性を以てクラシック界の境界線は超えてないといったところか?

その境界線を石井さんはどうやって超えてるのかというと、それは演奏以外の動画の面白さであったり、演奏会での演出であったりすると思う。しかし何よりも、石井さんのピアノの品格ある音が多くの人を惹きつけているのは言うまでもない。

 

では菊池さんはどのように聴衆を惹きつけているのだろうか?

それはつまりピアノアレンジです。

もう一度言う。ピアノの多彩なアレンジこそが、菊池さんのピアノの身上だ。

クラシックピアノを深く研究し(そのために音大の大学院に入り直して志す分野の研究を改めて修めている)、その土壌の上でピアノならではの音楽技法を駆使しまたアレンジの可能性を追求している。

バンドのキーボード奏者として色々な曲を経験していることも、菊池さんのピアノの表現の幅広さに大きく関与しているといっていいだろう。

菊池さんのピアノはJAZZのバッキングもみどころ。

世界的プロとジャズの名曲を即興連弾したら大喝采!?【都庁ピアノ】Fly Me to the Moon - YouTube

クラシック曲はオリジナル曲を発表している。

Paganini Variations - Ryota Kikuchi/菊池亮太 - パガニーニ変奏曲【LIVE at Suntory Hall】 - YouTube

ストリートピアノにも名演奏は枚挙に暇がない。

ラフマニノフの神曲メドレーを大学生のリクエストに応えて制限時間内に弾いたら都庁騒然!?【都庁ピアノ】improvised Rachmaninov Medley on the street piano - YouTube

 

この二刀流ともいえる菊池さんのピアノ、はっきりいって表現できないものはない。

自分は自信をもって断言する。

地球上にあるあらゆる事象をピアノで芸術的に表現して見せることも容易なはずだ。

菊池さんは有言実行なんですよね。

ほかにも色々ピアノへの熱意がすごすぎです。

連続Youtube動画500日投稿とか、人間としての限界を超えてる。

このように息するようにあらゆる表現をピアノで難なくこなしてしまうと思われるので、どのメンバーと2台ピアノセッションになるかわかりませんが安心……いや想像を超えて度肝を抜かれる事態になることだろう。

 

菊池さんの実態、それは完璧かつ常識外れの奏法、無限とも思われるクラシックの知識、とかいう王道だけではない。

アレンジの作法ぎりぎりというかこっそり素人には分からないレベルのマニアックさで何かをねじこんでくるいたずらっ子気質である。

よく耳を澄ましてみよう。

菊池さんの操る音にはよく考えると首をひねらざるを得ない、ひと癖もふた癖もある謎の音や謎リズムがこっそり間違い探しみたいに隠されている。それを探すのも、単なるクラシックコンサートとは違った楽しみ方である。

 

けいちゃんさん

さて、たくおんさんと菊池さんがクラシックと他分野の融合ジャンルなら、けいちゃんさんとござさんはあらゆる分野のアレンジに軸足を置く。

というかけいちゃんさんとござさんはピアノという楽器と鍵盤というツールに留まらず、音そのものをシンセを使って自由に操る。

けいちゃんさんの聴きどころはこの色んな障壁が取り払われた独創性だ。

けいちゃんさんの最大にして最強の看板は、創り出すフレーズのキャッチーさとオリジナリティ。(自分はそのまま広告代理店に出せるレベルだと思うが)究極で普遍的かつ親しみやすいのだ。CMにそのまま使えるじゃんというくらい、耳になじんで記憶に残るメロディライン。そして曲の全編を彩る前衛的で抽象的な和音。

 

Youtube動画も当初から、映像作家さんですか?というレベルでどれも面白い。ご本人も動画編集はどんだけ時間かかっても楽しいと言われていた。

Youtubeチャンネルの比較的初期の動画ですでにこの完成度。すごすぎない?

けいちゃん「World & Me」【Official MV】/Piano Instrumental “Keichan” - YouTube

危険すぎる革命のエチュード/Chopin Etude Op.10-12 dangerous arrangement - YouTube

この「初音ミクの消失」は1日に1回しか弾けません【ピアノ】 - YouTube

 

最近のYoutube動画も相変わらず映像作家さんレベルで発想が面白い。そして見てて楽しい。(自分の中では)路上ピアノ動画三部作。 

路上で「月の光」を弾いたら女性が近づいてきて…【ストリートピアノ】ドビュッシー - YouTube

路上で「幻想即興曲」を弾いたら女子高生が1万円札を持って近づいてきて…【ストリートピアノ】ショパン - YouTube

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《※アルバムと連動したミュージックビデオはほんとうに映像作家さんが関わってるぽいのでここには貼らない。それは面白くて当然なので個人の発想とは別だからだ》

 

そこで今回のNEO PIANO Acousticコンサートにけいちゃんさんを呼んだコンセプトは何なのか?というお題が浮上してくる。

 

つまりクラシック曲を斬新にアレンジするコンサートっていうコンセプトを体現してくれる立ち位置がけいちゃんさんなのでは、と思う。

けいちゃんさんのソロピアノ動画も、どれもアレンジが難解だが都会的な演奏でスタイリッシュ。(リズムは違うけど発想が)ボサノバとかシティポップの方向性に似てる気がする。

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ござさん

自分は個人的にはござさんファンなわけです。いつもは超単推し熱血ガチござさんファンなのです。というわけでここのコーナーだけ不自然に充実すると思いますがやむを得ない。

上記の通り石井琢磨さんーBudoさんから菊池さんをクラシック奏法のルートとするならけいちゃんさんとござさんは多様なアレンジで攻めるルートと述べた。

ござさんはけいちゃんさんよりさらにあらゆるキャラ設定を内包している。苦手なジャンルはあるのか?そんなジャンル分けはござさんの中では意味をなしてなさそうです。

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そして菊池さんと同様かそれ以上にギリギリ攻めたラインを突っ走る。何がギリギリかって、使ってる和音がぶっ飛んでると思う。それからあらゆる実験的要素が詰め込まれてる。テンプレ的展開はひとつもない。

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あらゆるジャンルの奏法を駆使して、ベースラインから和音のバッキングから時々アドリブの高音の味付けまで、何から何まで担当しそうなのがござさん。

ござさんの左手演奏論についての動画です。

【ピアノ講座】Lemon(米津玄師)の左手講座 - YouTube

ポピュラーピアノの左手講座 - YouTube

 

また、2021年5月9日河口湖畔で開かれたPIANIC-STREET PIANO Festivalのフィナーレの連弾で、ござさんは一人だけ電子ピアノでエレキベースパート(?)を担当している。

Digest video of ”PIANIC-STREET PIANO Festival-" - YouTube

この時ベースライン弾いてるところがどう見ても楽しそうです。

 

よって、セッションのバッキングなりアドリブなり、独創性を加味したいと思うときにプラス要素としてござさんはそういう演奏パートに入ると思う。より豪華に、より感動的に、よりおしゃれに、より迫力を持たせて……

どうすればもっと演奏がすばらしいものになるのか?ござさんの求めるところはそこであり、よってござさん的に完成された演奏とかいう概念はなく、どこまでも追求してそうなところが底なし沼みたいである。

 

 

ござさんと参加者のみなさんの連弾動画

けいちゃんさん:お互いにスマートな和音の使い手らしく、かっこいい仕上がりです。

駅で「残酷な天使のテーゼ」を弾いてたら撮影者が乱入してきて会場騒然www【ストリートピアノ】【けいちゃん×ござ】 - YouTube

【丸サ】演奏中にまさかの飛び入り!?けいちゃん&瀬戸一王さんと夢の連弾!!【大きな古時計】 - YouTube

 

菊池さん:ござさんの動画で連弾として上がってる中で群を抜いて数が多いのが菊池さんとの連弾です。どれもお互いのギリギリラインを攻めすぎてて一触即発何が起こるか分からない緊張感あふれる雰囲気。見えない火花が散っている。お互い譲れないこだわりを存分に主張してておもしろすぎます。

スタジオの2台ピアノでJAZZスタンダート曲のチキンを演奏。今回のコンサートに一番近い設定かもしれない。
【ござ×菊池亮太】怪しい2人がジャズの名曲セッションしたら最高な事にwwwwwwww【ピアノ】 - YouTube

2人の初めての連弾。そうとは思えない意気投合ぶりです。
怪しすぎる二人が都庁ピアノで丸の内サディスティックを即興連弾した結果... - YouTube

都庁ピアノ連弾からもうひとつ。単なるきらきら星ではない。いろんな曲がこっそり隠されている。
【ござ×菊池】きらきら星を即興で連弾したら驚きの展開に!?【都庁ピアノ】 - YouTube

ストリートピアノ動画からいくつか貼っておきます。どっちも謎和音とこだわりのマニアックなコード進行の連続です。

【神回】不審者と変質者が駅で「名探偵コナン」を即興連弾したら史上最高の盛り上がりにwwwww【新百合ヶ丘駅ストリートピアノ】 - YouTube

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【神演奏】即興でルパン三世連弾したらあまりの演奏に観客が驚いた!?【都庁ピアノ】【ござ×菊池亮太】 Transcendental technique Lupine III duet - YouTube

 

いかがでしたでしょうか。ふたりのはじけっぷりをご堪能いただけたことと思います。今回のコンサートはクラシックホールのため、こうした踏み外し方はせずお行儀良くされるのでしょうか。そんなわけもなく、自由に和音で遊ぶ二人の姿がみれたらいいなと楽しみにしています。

 

さてござさんの楽しい展開の動画を最後にもうひとつ貼っておこう。ござさんの描く音楽の世界は何が起こるかわからない。最後までわくわくさせてくれる、生粋のエンターテイナーだ。

呼び込み君のメロディ(ポポーポポポポ♪)の一人セッションが超楽しい!! - YouTube

 

Budoさん(ここでは詳しく書きません)

自分はBudoさんの動画をあまりチェックできてないので、ここで詳しく言及するのは避けます。当日の演奏を聞いてみるのを楽しみにしたいと思います。(コロナ流行で緊急事態宣言とか出ていた時期に何かの拍子でパジャマでピアノ弾いてる人の動画として見たことある気がするが系統的に聴いてたわけではないし)

適当に述べることはしたくないので。

なぜなら、Budoさんは石井琢磨さんと同様にクラシック音楽演奏家であるので、自分は完全に門外漢だから何かを述べる立場にないからだ。石井琢磨さんはクラシックの枠にとどまらない面白い活動を展開してるのでピアノじゃなくてその独自性については上で述べた。

しかしBudoさんは純粋にクラシック奏者であるので、クラシック曲について自分は詳しくないため、Youtube動画で予習して本番に備えたい。

 

結局ネピアコのききどころって何なのか

それぞれの奏者についての足跡を分かる範囲で辿ってみました(長くなりすぎた)。

セッションの醍醐味とは、JAZZとクラシックで楽しみ方が大きく分かれる。

クラシック曲の複数台ピアノは、二人じゃないとカバーできない原曲が大編成の曲とか、例えば交響曲とかバレエ音楽やオペラなど、二人ならではの豊かな和音の響きと迫力が聴きどころだろう。豪華な雰囲気を楽しめるはずだ。または抒情的な響きも二人だとより表現の幅が広がり、味わいが深まると思う。

JAZZ風アレンジによる複数台ピアノセッション、今回はベースとかドラムパートの人の参加はないようですが、しかしござさんと菊池さんとけいちゃんさんは各々ペースラインやドラムパートの左手カバーなどを得意としていますので、そういったセッションがクラシックホールの音響で演奏されるのは楽しみである。

また、彼ら三人はクラシック以外のあらゆるアレンジを得意としているため、クラシック曲を他ジャンルのアレンジに、また他ジャンルをクラシック風にという演出もあるかもしれない。

4/28日のネピアコまであと数日のため、それぞれの奏者さん達はどのように演出を仕掛けてくるのか?

上記で考えたテンプレ演出以外に意表を突くアイデアも出てくるかもしれない。

どのような公演になるか、過去の演奏動画を参考に聴きながら当日を待ちたい。

 

 

 

資料部屋:過去のNEO PIANOライブと感想日記

事の発端はこのとき(2019年11月)に出た話のようだ。つまりコロナ流行前に企画されたライブがもとであり、新築されたZEPP羽田で有観客で開催されるはずのライブだったそうだ。

このとき出たコンセプトは無観客ライブとなってもそのまま上演方針となって受け継がれ、その後のNEO PIANOライブにも生かされていくことになる。

 


①初回ライブ2020.7.24……NEO PIANO CO.LABO. 

出演:けいちゃんさん、菊池さん、ござさん、かてぃんさん

無観客ライブになるという切羽詰まった状況ではあったが。

ストリートピアノ文化の流行とYoutube動画で話題に上っていたネットピアニストが集う話題のライブであることには違いなかった。

そして上演半年後、一年間の期限付きで出演者によるトークの副音声版が新たに配信され、DVD販売等は(たぶん著作権の関連で)なかったけど、長い間にわたってファンに親しまれたライブとなった。

 

 

②2021.2.11 NEO PIANO CO.LABO. -INVENTION-

出演:けいちゃんさん、菊池さん、ござさん、かてぃんさん

コロナウイルス流行により2回目も無観客配信となったNEO PIANOライブ。

しかし第一回よりも多ジャンルにわたるプログラム、使用した鍵盤のバラエティあふれるラインナップ、衣装を含めたトータルコンセプトによるプロデュース。

さらに豪華ホテルで告知配信、記念冊子発行にグッズ販売、何もかも贅沢で充実したライブであった。

このライブもまた無観客でありながら上演半年後に、一年間の期限付きで出演者のトーク(映像付き)あり版が配信され、長く楽しめた公演である。


③2022/4/24 第一回NEO PIANO Far Beyond

出演:石井琢磨さん、菊池亮太さん、ござさん、Jacob Kollerさん

趣を変えてクラシックピアニストの石井琢磨さんとJAZZピアニストのJacob Kollerさんを迎え、編成もピアノにベース・ドラム・パーカッションのバンド編成から、2台ピアノ中心の公演にストリングス部門を加えてクラシカルな演出になっていた。

この回も前回同様に半年後から開始して一年間、アーカイブが公開されている。

そしてこの公演から対策を取りつつも有観客公演へと切り替わっていく。

 

※感想が4つに分かれているが全部貼ります。

 

 

④2023/1/21 第2回NEO PIANO Far Beyond
出演:石井琢磨さん、菊池亮太さん、ござさん、瀬戸一王さん

第二回と違うのは出演者が瀬戸一王さんに変わり、よりクラシック色が強まったこと、そして場所がかつしかシンフォニーホールというクラシック音楽のホールとなり、ピアノの音がスピーカーで拡散されず生の楽器の音がそのまま楽しめる、クラシック色の強い公演に変わっている。

ストリングス部門の方の演奏もこの回はひときわ印象的であった。

ただ瀬戸一王さんはゲーム音楽を得意とするので、他の出演者さんも含め、やっぱり演奏曲のジャンルは多方面にわたっていて、このコンサートの「ピアノの可能性を最大限に追及して引き出す」というコンセプトはずっと生きていると思う。

 

 

⑤2023/7/23 Summer Piano Junction

出演:石井琢磨さん、菊池亮太さん、ござさん、瀬戸一王さん

キービジュアルが公式アカウントから出ていたので貼ります。

この時はメンバーも四回目と同じ、場所もオペラシティということで四回目と同様のクラシックホールであり、グランドピアノの響きを生かした生のピアノの音自体を楽しむコンサートとなっていたようだ。

自分はこのとき配信がなかったので感想記事を書いていない。そのためプログラムもよくわからないのでここで言及することは避けたい。

ござさんファンなので、リハーサル動画が上げられていた中から、ござさんと瀬戸さんのリハの様子のツイートをお借りします。

 

 

 

さて、今回のコンサートは

である。

acousticという名前の通り、今回のコンサート会場はサントリーホール、クラシック演奏会の殿堂ということで、よりグランドピアノの音そのものを堪能する公演になるのではないか。

 

 

 

 

 

 

ござさんのピアノーー即興の謎

 

目次:クリックで各項目へ飛べます

 

 

生配信

ござさんのピアノ生配信は、ひとつの壮大な物語。

 

ござさんのアレンジは、

配信という大きな流れでみても、

テーマごと、曲単位、さらにひとつのフレーズ単位まで細分化して解析しても、

常に起承転結がはっきりと意識されている。

 

はじめに音が生まれ、

いくつかの流れが集まって主題をかたちづくり、

その主題は次第に大きなうねりを伴いながら昂ぶりをみせ、

やがて壮大な流れになって幕を閉じる。

またはささやかな日常に溶け込むように、おだやかな陰翳になって姿を消す。

 

このような展開はあくまで通常論であるがござさんの音楽にはこのようなはっきりとした流れが見えるのだ。(もちろん通常の一般形でない方が多いのはいうまでもなく)

どんなに大きな括りでも、

どんなに些細なフレーズでも。

 

ござさんの生配信は世の中のすべてを表現する物語そのものだ。

自分は本好きなため文字が世の中でもっとも真実そして真理を表現する媒体だと信じているが、しかしござさんのピアノもまた世の中でもっとも雄弁なのではと感じ、今までの持論を少しだけ軌道修正した。

 

無邪気に胸をはずませ、

胸が踊る。

胸がいっぱいになり、

胸が張り裂けそうになる。

胸ということばひとつで考えても、ござさんのピアノはあらゆる表情をみせてくれるのだ。

 

しかし本来の顔は、どこかにクスっと笑えるポイントを絶対仕込んでくる生粋のニコニコ生配信出身らしい一面があるのをよく存じ上げているけど。

ぎりぎりの攻防に手に汗を握り、

意表を突かれ、

足元を掬われ、

奈落に落とされる。

それもまたござさんのピアノのほんとうの姿。

世の中のすべてのことを美しいヴェールに包んだまま、ござさんは裏表なくピアノで語る。

 

Youtubeツイキャス配信

ござさんのYoutube配信が大きな物語だとすれば、ツイキャス練習配信は物語を構成するパーツの辞書だ。

レパートリーから無作為に抽出した選曲だから演奏曲にだれも異議は唱えない。

これで珍しい曲もレパートリーから姿を消すことはない。

 

ジャンル別にござさんが2018年に分析されたところの構成はこんな感じ。

 

ファンにとってはこっちのツイキャス練習配信のほうが生命線だったりする。

なぜなら無作為にExcelファイルから抽出される曲なので、youtube配信で拾われない、いにしえのレパートリーが発掘されるからだ。ひょっとしてござさんもこの練習配信でアレンジをメンテナンスしてる節すらある。

というかござさんも弾けることをすっかり忘れてる曲もある気がする。

2000曲を超えるレパートリーを暗譜で維持するという事はそういうぎりぎりの綱渡りみたいな作業だということがこれでよくわかる。

ただただ、その人間離れした偉業に敬服するばかり。

 

ござさんのアレンジ

上の項目では生配信を客観的に聴いた印象を書いてみた。

しかしござさんはただ闇雲に原曲通りを再現しているわけではない。

確かに原曲通りかと見紛う演奏も多々あるが、しかし原曲の構成を全部踏襲しているわけではない(はず)だ。

 

この日記部屋でも何度も書いてきたが、ござさんの第一言語は音楽なのである。

ピアノで語ると、

また音楽を通して表現すると、

とたんに流暢になるござさん。

 

なぜなら、精巧で綿密な設計に裏打ちされた、複雑な音楽理論が伏流水のように見えないところで張り巡らされているからだ。

 

ござさんの音楽はただ聞いているだけでも一級品のエンタテイメントである。

事実は小説より奇なりというが、

自分にはござさんの作り上げた現実世界での演奏が、よっぽど小説よりも奇抜で意表を突き、またオリジナリティにあふれてると思う。

 

でも。

ござさんは、あくまでファンにもこの音楽の無限の底知れない奥深さ、楽しさを分かち合ってほしいと言ってるように見えるのだ。一般人には難解でしかない音楽理論とそれに基づいたアレンジを、どうにかして理解し共有して楽しんでほしい、らしい。

(即興でコードを自在に操り、独自の解釈で表現するピアニストはなにもござさんだけではない。それ自体は、世の中の普遍的文化ともいえるだろう。)

なんでだ?

ござさんは即興生配信で自由にアレンジして弾いてるのが一番息するように楽なはずなのに。

 

 

でも思えばこの和音解説動画にはじまり、ござさんのYoutubeには各種のおびただしい解説動画が投稿されている。

【ピアノアレンジ講座】①「和音(コード)の概要」 - YouTube

【ピアノアレンジ講座】②「コードの種類と単体での性格」 - YouTube

【ピアノアレンジ講座】③「オンコードとテンションノート」 - YouTube

【ピアノアレンジ講座】全調練習入門~いろいろなコードに馴れる - YouTube

 

★ほかにも、このJAZZふうアレンジ解説動画とか、

かえるの合唱でジャズリハモ講座 - YouTube

 

★リズムの解説とか色々ある。この動画もなにげに74万回再生されてて、需要はあるところにはあるんだなあと痛感させられる。

「丸ノ内サディスティック」で実用的リズムパターン解説! - YouTube

 

★さらに練習ガイド動画まであった。ほんとになんでもある。


さてこの動画のお題というかサムネになんか書いてますね。

魅力的なことばが。

そう、「Youtubeを見ながらでもできる!『永遠に続けられる基礎練習』」という素敵なキャッチフレーズ。

なになに?Youtubeを見ながらでもできる!?

このステキな呼び込みにうっかりつられてピアノ練習始めたのはほかでもない自分です。

だってYoutube見ながら手軽にカンタンに練習できるって、楽しそうじゃないですか(^o^)

しかしこれが落とし穴だったのだった。

この動画のレベルの速さで練習できるござさんだからこそ、この24調の指の動きが無意識にできるまで頭と体に叩き込まれてるからこそ、ここに至るまでの長年積み重ねた練習があってこその、

Youtube見ながらでもできる」

練習という意味だったのだった。

端的にいってYoutube動画見ながら基礎練は絶対できない。リズムがわかんなくなるし、youtubeの音はピアノにかき消されて聞こえない。二兎を追う者は一兎をも得ず。

そうですよね、世の中そんなに甘くないのです。黙って真面目に練習しなきゃ。

ほんとに、しみじみとプロの偉大さを噛み締めるばかりです……

 

さて暗に地道な練習こそ王道と指示してくれるござさんの動画だが、実際に動画だけではなくピアノ練習ガイドもござさんは執筆されている。

それは月刊ピアノの連載、そして「ござ式ピアノ演奏裏ワザの極意」である。

 

 

月刊ピアノの連載講座「ござさんの All that Goza's Piano Arrange」

この動画リンクは再生リストで、わかりますかね、ちょうど動画が53本ある。つまり連載は53回を数えるということになる。だからなのか何なのか、気がついたら2024年5月号、今発売してる号でござさんの連載は終了となるようだ。

ござさん4年余りの間、毎月欠かさず楽しい楽譜を連載して下さりありがとうございました。

 

 

ござさんの53回分の連載の内容を追うと、いろんな分野のアレンジを系統立てて習得できることに気がついた。

終了が決まってから気づいてもタイミングが遅すぎる?

はいごもっともです。

今更過ぎてすいませんが、しかし素人には一つ習得するのに最低3か月~2年以上はかかる月刊ピアノ連載なので、自分的には半永久的に練習のお題が提示されている現状には変わりない。

月刊ピアノ連載は左ページがその回のアレンジテーマに沿った音楽的解説、右ページが譜面となっている。

この解説が、本格的で充実してるのに素人にもわかりやすく読んでて楽しい内容なのだ。

そして譜面もござさんこだわりの和音だったりリズムだったり曲の展開も凝っていて、一分前後の短い曲ばかりなのに、曲を理解し習得すると自然とござさんの考える音楽理論が身につくというか方向性を共有できるように設計されている。

自分は理論じゃなくて経験から入るタイプ、しかも楽しくないと練習する気にならないので、月刊ピアノの楽譜はやってて身についたなーという実感があった。

ござさんの書く解説を頭から鵜呑みにするのではなく、自分の中で主体的に理解しようとするとより奥深い意味が分かってくるような気がする(なんのこっちゃ)。

 

というわけで、月刊ピアノの連載楽譜が気になる人は練習にチャレンジしてみよう。

上の動画リストから気になる動画を選んで、自分に合ってるな?と思ったら該当する月のバックナンバーを公式サイトから購入できるのです。

公式サイト:月刊Piano|雑誌|ヤマハの楽譜出版

 

そんなんタイミングが遅い、4年間も連載期間あったのだから途中で書いとけばよかったと言えばそれまでですが。

自分がピアノの練習楽しいなーとすなおに向き合えるようになったのもほんの最近のことですし。ものごとはなるようにしかならない。

 

この月刊ピアノの連載53回分は、動画再生リストから見てもわかる通り、ござさんの昔のYoutube解説動画とは質量ともに比較にならないレベルの充実ぶりですので、ぜひ一回分でもいいから関わってみてほしいのです。

まず一つのお題の曲で3回分くらい違うアレンジになってる。この時点で全く別の曲かって言うくらいどれも個性的なアレンジで、聴いてても飽きない。

また、どのお題の曲も誰もが知る耳になじんたもので、「知らないから取っ掛かりにくい」という音楽に関わる際の最初の敷居が低い。

さらにどのアレンジも専門的に仕上げられてるのに、左ページの解説が親しみやすくておもしろいから理解するのも苦にならない。

 

ござさんの解説文の言い回しひとつにも、またアレンジ楽譜の和音ひとつとっても、なんとかしてファンにもピアノに親しんでもらいたいという気概を感じる。

だって解説文がやさしいので難しくてもつい読んでしまうし、それよりも楽譜が弾けるようになってくると、ござさんのアレンジの工夫が実感できるようになってきてよりすごさがわかってくる。そうなると楽しくてさらにやめられなくなるのだ。つまりピアノ練習の沼である。(^o^)

弾くのは難しいかもしれないけど、それでも習得すれば音楽の新たな素晴らしい世界が見えてくるから、頑張りましょうっていうござさんの叱咤激励みたいな声が聞こえてくる(気がする)。

 

ござ式  ピアノ演奏裏ワザの極意

ござさんの執筆した練習ガイドはもうひとつある。言わずと知れたこの本である。

YAMAHA出版の特設サイト:ござ式 ピアノ演奏裏ワザの極意~今日から使える弾き映えテクニック~

この本は左ページ見てれば手を置くだけで弾けるっていうキャッチフレーズだが、自分の中では月刊ピアノの楽譜でござさん特有の和音使いに慣れてから、一定の演奏と知識を積んでから読むと、より面白く感じると思う。

左ページを理解するにも、コードがなんなのか分かってたほうがより理解できて面白い。

自分は分からないのが大嫌いなので、この本を読むには素人すぎるので手を出さないことにした。もっとコードの事がわかってから読もうと決めた。

素人にもわかる、かんたんに習得できるっていうキャッチフレーズは間違いではないがそんな表面だけできるようになったのは自分の中でできるようになったとは言わない。

 

この本は月刊ピアノの連載楽譜よりももっと具体的に、直截的にござさんが使ってるアレンジについて解説している。

はっきりいってそんな詳しく書いていいのかレベルで全部バラしている、ように素人目には見える。

それは企業秘密ってやつじゃないんですか?

いいんですか全部バラしちゃって?

と素人は心配になるのだが、しかし単なる杞憂にすぎなかった。

 

だって録画が遺ってる時代だけでもニコニコ生放送から通算して14年以上の生配信歴ですよ。Youtube動画とかツイキャスも入れたらそれどころじゃない分量で放送してるござさんがですよ。本でひととおり基本アレンジを解説したからって、持ち札が枯渇したりするとかありえない。

ていうか毎回生配信のたびに新しいアレンジやら不思議和音とかいちいち使ってくるくらいですから、たぶんござさんの持ってるカードは無尽蔵に湧き出てくると思って差し支えないだろう。

 

最近のござさんの出演するコンサートに自分は都合により行けてないことが多かったが、しかし心配はいらない。だってこの通りござさんはいつも楽しそうにピアノ弾いてるし、持ち曲とか持ちアレンジがなくなるのもありえないとわかりきっているから。公演後にニコニコしてる写真がUPされてきて、あー楽しかったんだなーよかったーと安心するだけである。

むしろ、公演ならではの特別感出したアレンジにしてみたり、より豪華な和音使ってみたり、そんな工夫を盛り込んでしてやったり感を出してドヤ顔してるござさんの様子ならありありと思い浮かぶが。

 

この本は実際にござさんのように耳コピアレンジで即興演奏されてる奏者の方に、より親しまれ実践の場で読まれてるといいなと思うのだ。

昨年出版されてから、再重版されたということです。おめでとうございます。

 

 

ござさんの活動にはこのほかにも楽譜集、来月に控えた2ndアルバムのリリース、ござの日のソロコンサート、セッションにおけるござさん、ピアノ以外の音源も駆使した投稿動画とかいろいろあるが、そのことは次の記事でつぶやくとして、とりあえずこの記事は筆をく。

 

 

 

 

雑感ーござさんのピアノを聴いて

 

気がつけば、季節はすっかり春の盛りになっていた。

夕暮れに咲く満開の桜。ソメイヨシノじゃないらしいので、珍しいので撮ってみた。

 

 

古くから三寒四温という言葉があるように。

時に雪が降り、また冷たい雨に当たりながらも世の中は、つくしが顔を出し野の花も一斉に芽吹き、一日ずつ前へ動いていることを感じさせる。

 

世は桜の真っ盛り。

しかし自分は個人的には桜は散ってしまう儚さの中に美があるから、ござさんには例えたくない。

ござさんはもっと普遍的な美を求めていると思う。

いや、美という一方的な価値観じゃなくて、森羅万象すべてのものごとをあまねく捉えて表現する、その方法がござさんにとっては音楽だったのだろう。

 

ときはなる松のみどりも春くれば今ひとしほの色まさりけり

古今和歌集 第一巻 春歌上 源宗干)

常に変わらないはずの松の緑色も、春が来ると、一段と色が鮮やかになる。

春の到来は松の色さえもあざやかに見えると詠んだ歌。

 

ござさんの活動スタイルは演奏家というより研究者といったほうが、自分の中では腑に落ちる。

研究者を続ける方法として演奏家をやっているという方がイメージとしてしっくりくる。

でも自分は、ござさんのピアノが大好きなのでなんとしても多くの人に聞いてもらいたいと思っている。

この部屋を続けようかどうしようか冬の間悩んでたけど再開させたのはこのためだ。

 

ござさんのつくる音楽の世界は通りすがりには取っ掛かりがなさすぎて、世間に広く訴えるキャッチーさはない。

いや、ひとたび聴きさえすれば、誰もがどこかに心に響くものがあるはずで、絶対リピーターになってくれるポテンシャルがあると思うのだけど。

その聴いてもらうまでの障壁が高すぎるだけだ。

この障壁を下げる手立ては数えきれないほど素人の自分でも思いつくが、かといってそういった対策を講じている気配は特に感じられない。

部外者なので特にそういう具体的なことはここでは挙げないでおくが。

でもひとつだけ言わせてもらうとすれば。

 

ござさんのTwitter投稿動画、これを自作できるひとは、打ち込み動画いわゆるDTM界隈にたくさんおられると思いますけど、ゲーム音楽とかもそれらのひとつのジャンルですが、その演奏をアドリブを交えてJAZZにしたり、クラシック曲をアレンジしたり、ここまで自由に演奏できる人はかなり稀有な存在だと言えると思う。

 

 

 

いわば看板、売りにできるジャンルの一つであるはずのござさんの一人合奏動画ですが、このようにYoutubeのような動画メインサイトに投稿するでもなく、かといって# を特につけるでもなく、検索にあえて引っ掛からないようにしてる感さえあるコメントを何気なくつけるだけでこのような動画をTwitterの片隅に置いておくのはどう考えてももったいない。

部外者が何言っても詮無いことではあるがどうしてもこれだけは言いたかったので。

 

ござさんは研究者気質なのだと思うんですよね。

何を演奏してもたぶん永遠に満足してないと思う。アドリブのアイデアとか、コード進行の奇抜さ?とか、常に自分の中で試行錯誤して、気分はずっと研究生のままなのではないかと思う。

 

演奏家は演奏して音楽を表現するが、

ござさんは音楽そのものを構築する研究家として、演奏はその表現の一手段なのだろう。

ござさんの部屋は研究室。

だったらJAZZ専門の大学とか音大のJAZZ科とかで院に進めばいいのにな?と、疑問に思うこともあったが、今思えば、限られた学閥の中で与えられた課題というのは、ござさんにとって意味をなさないものだったかもしれない。

研究環境としてそういった施設は充実しているかもしれないが、ござさんは別にそういう外的要因は必要としてないんじゃないかと最近思うに至った。

学閥が考える既存の枠はござさんにはどれもあてはまらないと思う。

 

ござさんにはありあまる好奇心があってそしてピアノ演奏が大好きなだけ。

ちょっとした遊び心があるのだ。

3/30の配信の最後、蛍の光の直前のモルダウの最終盤、BASS音域が鳴る中で弦楽器が最弱音でアルペジオで動くところを、このアルペジオの調を変えて2~3往復している。単純にアルペジオを弾くだけじゃつまんないじゃない?とでもいうように。

冷徹な研究者肌にして、このお茶目心が随所に現れているギャップ感が、大好き。

 

 

新しく2ndアルバムもリリースされることが決まっている。

Fantasia | ござ オフィシャルサイト

 

ござさんの演奏は13年以上生配信でアレンジを演奏してきても、およそ同じものはひとつとしてないと言っていい。

自由自在な活動の拠り所として、形としてのこる可視化された演奏を発表することで、ござさんの研究活動はこれからも飛躍的に……ではなく、一日ずつ地に足をつけた確実な進歩を遂げていくことだろう。

 

自分はこの部屋でわかりやすい広報でも一発打ち出したいところだが、

ござさんの活動姿勢を鑑みて、粛々と生配信を聴きそのアドリブというか奏法を理解しようと努めることにしたい。

 

 

 

 

 

 

 

ござさんのスタイルと、3/17の生配信

 

目次:クリックで各項目へ飛べます

 

 

前衛的

ござさんのピアノは不思議な音がする。

旧来の懐古的な響きでもなく、

安定したおなじみの展開でもない。

なぜならそれらは、ござさんが過去に全て通ってきた道だからだろう。

そしてその過程ですべて掌握してしまった領域だからだろう。

 

ござさんは見たこと無い景色を見ながら新しい道をたどりたいのだろう。

でもその道は危うい。

破綻するかどうかの境界線を眼下に眺めつつ、

ぎりぎり境目の稜線を颯爽と闊歩する。

踏み外すという単語はござさんの辞書にはないらしい。

 

ござさんのやっている音づくりはそれくらい前代未聞なのだ。

でも、誰もやらないから新しい。

聞いたこと無いから面白い。

前と同じことやらないからこそ。

 

ござさんはいつも、新しいこと思いついた!という風にいたずらっ子のような目を輝かせて一つ一つ音を紡ぐ。ただその速さが見てるぶんには目に止まらないだけで。

 

自分はござさんの果敢に攻めたアレンジが好きなのであって、また如何様にもなる表現が好きなのだ。

新しい調の組み合わせ、新しいリズムの取り方、色んな音楽のジャンル……

ほら無限に面白くなるでしょ?

とでもいうようにござさんの手は鍵盤の上を踊る。

ござさんにとっては常にピアノで実験してるだけなのかもしれない。

手当たり次第に組み合わせてるわけではなく、ござさんの過去のおびただしいアレンジ解説動画を見てわかる通りその手法にはセオリーや王道テンプレともいえるパターンが無数に生かされている。

これはアレンジで演奏されてる人は誰もが取り入れてることのはずだが、自分はござさんのアレンジが水になじむらしい。理由は知らないけど。

 

こうやってござさんが自由に音で遊べるのは、言うまでもなく理論と知識が徹底的に叩き込まれてるからであり、また日々の膨大な練習量がその理論を現実にする。これを音大行かずに仕事しながら何年もかけて習得されたというところにござさんの自己完結した世界と飽くなき音楽への執念を感じる。

この今使ってるシンセも前代のやつからしてステージでプロがライブに使うやつだが、そのマニュアルを仕事しながら昼休みに覚えてるところとか。体力仕事の介護職で合間にやることじゃない。

n回目ですけどこのツイートを引用します。

仕事しながら何かを習得するというのはよほど確固たる意志がないと、資格にしろ何でも難しいことです。

 

ござさんにとってピアノの練習とは演奏の練習と音楽理論の構築を含めて、描いてる世界を具現化する手段にすぎないのであり、演奏そのものを目的というよりは、演奏はあくまで理想の音楽表現への通過点なのかもしれない。

ござさんが提唱する音楽の世界はピアノにとどまってないから。

 

 

これらの各楽器の音源ソフトを入手されたようで(というか以前に)、音源ソフトを使いこなすための実験と実益を兼ねた趣味などとのたまわれておられた。各パート楽譜に起こし、バンドスコアまで作って。もはやそれは趣味っていうかアレンジ曲の作曲家というんです。

それを匿名SNS(いうても公式アカウントではあるが)で何気なくそっと置いてて、単に公開しているだけというのが……

そういう雑念はこの記事では書かないことにしたんでした。

 

3/16の生配信

この記事ではあわせて3/16の生配信のことを書きたいのだった。

ピアノ弾いてますリクエスト募集中! 2024/03/17 - YouTube

 

といっても、具体的に述べるのは素人なのでできない。

自分が言いたいのは、

「全くトークできないのでピアノ弾こう」

とござさんが言い始めたらそのときの配信はアレンジが格別に冴えわたってるから絶対に聞き逃さないように、ていうかYoutubeだからアーカイブあるから必ず、で き れ ば  ど う に か し て ゆったりと聴ける時間を作って、ぜひござさんの作る世界に存分に浸ってほしいということだ。

 

あ、この部屋を読んでる人はそんなのご存じですね。すいませんでした。

ござさんの第一言語はピアノでしたね。なので、トークが全然振るわず、手持ち無沙汰にピアノ弾き始めた時点で、その日の配信は最高なの確定です。永久保存版です。いえいつもアーカイブ置いててくれてるので大丈夫ですけど。自分の中で永遠にリピート決定版です。

場繋ぎに演奏されてる間奏がすでに音楽としてえもいわれぬ完成度です。

そんなのいつもでしょという説もあろうかと存じますが、確かにいつもですが、でもあえてトークが振るわない日は中でも格段に素晴らしいということを自分は意地でも申し添えたい。

 

自分はアレンジの有識者ではないため、具体的に曲について言及しませんが。

ござさんの配信は見た目に「あの曲弾いてるんだな」という客観的事実では推し量れない。

上記に述べたアレンジの引き出しの膨大さから、ほんとに、同じ曲でも一回として同じ演奏は無いと断言して差し支えありません。

え?そんなの今更大きな声で言わなくてもわかってる?

いいじゃないですか敢えて明文化するくらい。

 

とにかく、毎回アレンジ違うので正確にアレンジごとに分類しようなんてことは不可能で、およそ250回を超えるYoutube配信と、アーカイブ残ってないから回数不明のツイキャスとニコ生を含めればその歴史をたどることはもう無理といえるござさんの演奏遍歴には、文字通り天文学的なアレンジのアイデアが玉手箱みたいに詰まっている。

ござさんは、自分みたいな素人にだって平易にわかりやすく聴きどころに山場をつくり、心に響く印象深い演奏をしてくれる。

 

ござさんほどの腕を以てして、素人のために分かりやすい音楽を奏でてくれるのだ。

なんか、ここが自分が今まで抱いてきた音楽家のイメージと決定的に違う点でしたね。だって偉大な演奏家は偉大なままで、その演奏がどうすごいのかは聴衆が音楽の情報を集め、多くの演奏を聴き込んで知識を積まないとわからないものだったじゃないですか?

でもござさんは偉大な存在だと思いますけどでも演奏の表現手法は素人に近づいてきてくれてる、だから素人でも楽しめる部分はある。いちいち予習しないでも、ござさんのピアノは楽しいし美しいし洗練されてるのは誰が聴いても首肯するところだろう。

そうやって表現を磨き上げつつ、どこかにちょっと笑える機知を潜ませてくるお茶目でやっぱりいたずらっ子なのだ、ござさんは。

 

そして、聴いててもじゅうぶん楽しめるのだが、ござさんは毎月月刊ピアノに楽譜と解説記事を連載されている。2019年暮れからだから、連載4年目に突入してることになる。この月刊ピアノはあくまで例えで、Twitterにも楽譜付きの演奏動画を投稿されていたり、またソロアルバムの楽譜集も公式に発売されてるから、ござさんの演奏は本格的かつ難解だが誰でも手に取ることができる。

だからござさんの演奏の秘密に触れることは、誰でも可能でもある。

楽譜の公開というか販売って普通、やります?

アレンジが伝家の宝刀であり秘術なのだったら普通それは企業秘密として秘匿しますよね。

それをどんどん楽譜付き動画とかまたは販売楽譜として公式に出している。

ということで、企業秘密にするより、ござさんはアレンジをファンと共に楽しみたいのだと思う。

いつか、ファンの音楽偏差値あげるんだというようなことを言われてたし。

そんな教師みたいなことではなく、あくまで少しでも多くの人と音楽の楽しさを分かち合いたいっていう意味だったような気がする。

 

まあ自分はござさんの楽譜を練習してるけど実際にその理論がわかるまでは地平線の彼方までの道程が必要なようで、遠い道のりです。

 

しかしござさんの楽譜は見てわかるというより素人には鍵盤を押しさえすればその不思議さの一端はわかるというか。

まるで今まで見たことない和音使って、世の中のセオリーからすると「次はそうはならんやろ」という展開で意表を突くのです。

月刊ピアノもかなりの回数を重ねてきましたが、しかし毎回盛り込まれてる要素がいちいち本格的。なのに全く話題は尽きない。

 

ござさんの配信聴いてると、やっぱり不思議な和音と不思議なリズムが目白押しで、さらにいろんなジャンルが交錯して、聴いてて一瞬たりとも飽きない。

 

結論としては、ござさんの演奏は聴いてて楽しいし、感動する。

だが実際に弾いてみると、さらに楽しい。

 

どっちにしてもござさんはファン全員に楽しんでもらいたくてその一心でピアノ弾いてる……んだろうな。

いや、ござさんが楽しくピアノ弾いてたら、ファンも楽しめる演奏になってる。といったほうが正しいかもしれない。

 

 

 

 

 

ソロアルバム「Fantasia」リリースとござの日ライブ開催決定にあたって

 

唐突ですが自分がござさんのピアノを知ったのはこの動画からだ。

動画投稿は2019/12/25。まだ、介護職とピアニストを兼業されていた頃。


このブログ部屋をご覧になっている皆さまにも、それぞれござさんのピアノとの出会いは様々なシーンがあり、それぞれに思い出があることだろう。

 

でも自分の中でのござさんは、どんなに演奏スタイルが変わっても基本的に変わらない。自分が知る前も知った後も、配信始めた13年前からいやもっと前のネット掲示板でのセッションスレの頃から……

ござさんがやってることはずっと変わらない。

それはピアノ弾いてるということだ。

そんなのいちいち言わなくても見てればわかる?

 

そうですけど、この動画を見つけて咄嗟にこの部屋を開設したのも、自分の潜在的な意識の中でもっと違う形でもっとたくさんの人にこのピアノを聴いてほしいっていう思いがあったのだと思う。

結局、自分が見てたのはござさんのピアノそのものよりも、社会的・表面的なことに過ぎなかったということなのかなあ。

 

ござさんには、楽しそうにずっと一生ピアノ弾いててほしいんだけどなあ。

それだけなんだけどなあ………

でもそのままだといつか介護職へ戻って行かないか、今のままでのピアノ演奏は楽しめなくなるのではないかという意識が心のどこかに澱のように淀んで去らない。

(自分は石橋を3回くらい叩いた挙句予備の石橋を渡してそっちを行くタイプだから)

 

というのが常々抱いてる自分の願望なわけですが、そんな横槍を入れるまでもなく、ござさんはちゃんと自分で強固な橋を選び、足跡を盤石なものにしながら進んでいたのでした。

 

万全整ったところで颯爽と渡っていくござさんの姿は威風堂々というにふさわしい。

 

 ↓ イメージ

 

というわけで。

この記事は、ござさんの2/25の配信で告知された2ndアルバム発売とソロコンサート開催について書いていきます。

 

 

目次:クリックで各項目へ飛べます

 

 

告知配信

ござの日ライブ

さて、先日2024年2月25はござさんからの久しぶりの告知配信でした。

告知って何か?ほんとなら大喜利大会をこの部屋で繰り広げたいところでしたが個人的にそんな場合じゃなくて、思考回路が中途半端に錯綜するにとどまってました。

 

グランドピアノ配信というところからも、何か改まった告知なのだなということはわかる。そこで過去のグランドピアノ配信を思い出すと、

2023年ござの日ライブ(東京)のお知らせ
【ピアノ配信】告知配信 2023/03/24 - YouTube

2023年1月のソロコンサートのお知らせ(アルバムの楽譜集発売の関連でPiascoreスタジオから配信)
出張グランドピアノ配信! 2022/10/15 - YouTube

2022年ござの日ライブ大阪のお知らせ
告知があります!!! 2022/02/25 - YouTube

 

全部ソロコンサートかござの日ライブのお知らせなので、今回もライブのお知らせなのだろうと、だいたい存じ上げてはいた所ですが。でも想像にすぎませんし。

それにソロアルバムEnVisionのリリースが2021年11月だったので、あれから約2年ほど経ったということでアルバム発表かなあと思っていた所でもありましたが、それも想像でしたし。

ノリで発言するようなことは、石橋を叩く主義の自分はそういう発言は絶対しないので黙ってました。それでもし違ったら目も当てられませんしね?

 

しかし予想していたことがしかも同時発表だったということで取り急ぎ、お祝いにこの記事を書いている。

 

 

 

これはたぶん定番の展開なのでしょうけどこの台詞を言いたいがために足掛け三年かかってるので、自分はこの際声を大にして言う。

ソロアルバムリリース、そのプログラムを携えてコンサート開催!

わーい!!!

.゚+.(´∀`*).+゚..゚+.(´∀`*).+゚.

🎉🎉🎉🎉🎉🎉
 ↑
わかりにくいけど泣いてる

 

このねぴらぼinventionが終わったころに(まだ毎週グランドピアノ配信されてた頃)、こんなツイートあって、「長い時間をかけていたあるものがひと段落した」、それはソロアルバムの演奏の収録だったのではと仮定してみるわけです。

この後アルバムリリースの発表は10月にされ、その後の2022年ソロコンサートにつながるわけですが、自分の中では上記の仮定からEnVisionのソロアルバムはもっと前に演奏・収録済んでた派なので。
【配信】重 大 発 表 2021/10/02 - YouTube

 

何が言いたいか?

今回のアルバムは実際の今のござさんの演奏を録音し、そのままのプログラムを再来月のござの日で聴けるということです(アレンジの違いはあれど)。

 

たびたび振り返りますが、最初に予定されてた2020年ござの日ライブは確か都心からちょい離れたとある音楽サロンにて、定員30名で予定されていたものです。なぜ定員30名だったのかというと、その前2019年に2回開催されてたライブも定員30名だったからです。

 

今回は紀尾井ホールで開催ということで、ここはサントリーホールと並んでクラシック演奏会のメッカらしいので、ござさんの音を生で、すばらしい響きで堪能できることでしょう。
紀尾井ホール/公益財団法人日本製鉄文化財団

そう、クラシック演奏向けに設計されているので去年の葛飾ホールと同様スピーカーを通さずに生のござさんの音が聴けます。

いつもYoutubeツイキャスを通して配信されてますがそれは電子ピアノのソフト音源なので、告知配信でもグランドピアノで演奏されてる通り、ござさんの音は一目見たらわかるというか一瞬聴いただけでもわかる特徴的な魅力的な音。

演奏曲のジャンルも下記に述べますが多岐に渡っていてあらゆる表現を楽しめることでしょう。

ぜひ演奏会に足をお運びいただき鑑賞されることをお薦めします🎹

 

と、通り一遍なことを書いてみたものの、告知でのござさんはいつも通りグランドピアノを触れて楽しそうな配信であった。ツイートに上がっていた写真にあるように、マイクも本格的でピアノの音が最高でした。え?顔が見えない?そうですね、仮にもCDも発売になろうかというのにご本人がマスクしてるとはいえ顔出ししてないのは販促活動としては致命的ではないのかという意見もあろうとは存じますけど、とにかく事実、配信で顔出しされてないのでそこはスルーするしかないですよね?単なる部外者がこんなとこでわーわー騒いでも意味ないので次行きますね。

ござさんの発言には内容が前後することが多々あり、自分もこの部屋で散々ツッコミを入れて来た過去があるが、そんな不穏な空気を察知されたのか、告知配信にはスタジオに同伴されたのか匿名のスタッフさんが字幕を配信画面に載せてくださっている。以前の告知でもこの字幕には大変お世話になった記憶があるな。

ござさんも告知に先立って「配信での言は意味ないので皆さま字幕および公式サイトをご参照ください」とのべられている。字幕、大変助かります。ありがとうございます。

…………それじゃ告知配信の意味ないじゃん!?ΣΣΣ( ̄ロ ̄lll)

とにかく配信は、告知と名付けたござさんが楽しくグランドピアノ弾くタイムなのであった。自分ら視聴者もウキウキでピアノ触るござさんと素晴らしい演奏を楽しく鑑賞するタイムなのであった。

 

この配信のみどころとは。

それは鍵盤が見える角度だということだ。

ござさんが押さえてる複雑な和音や一部の指だけが動くややこしい和音。

瞬時に正確に押さえられるすごい幅で跳躍して飛ぶ音。

(たぶんメトロノームを内蔵してるんでしょうけど)寸分の狂いもなくタイムを計ったように細かく決まるリズムと、複合拍子のややこしいアレンジもサラッと演奏されている。

それらが全部、至近距離で楽しめる。

過去に2020~2021年にかけてグランドピアノ配信を続けられていたが、その前半の時期?くらいはピアノの上から写す角度の配信だったので遠目にではあるけど、鍵盤を演奏される様子も楽しめた。しかしこのような鍵盤が全部見える角度でのグランドピアノ配信は、ピアスコアスタジオでもそんなことはなかったので初めてかもしれない。

上から鍵盤を映してる角度の家での配信は多々あれど、このグランドピアノ配信は貴重だと思うので、末永く楽しみたい。

なんといってもカメラがずっと後ろから鍵盤へ固定してるのですべての曲を鍵盤見ながら楽しめるのですよ。ええ、素人には押さえてる和音がなんなのか具体的に推察することはできませんけど?でもこの音の時にこういう動きなのかーっていう新しい発見の連続ですよね、そんなすごいことしてるんだΣΣ( ̄ロ ̄lll)!!!って改めて思い知ったというか。

この演奏を支えてるのは?いうまでもなく毎日の膨大な練習量があるから、ござさんの不断の努力の賜物にほかならないので、ござさんにはなんも他の事を気にせず憂慮する要因無く、思いっきり毎日ピアノ練習できる環境が続くといいなあという思いを強くするのだった……

 

ちょっと重箱の隅を楊枝で洗っておこうか。

「アルバムに収録した曲は、配信でリクエストを拾うことを避けていた」と言われていたが今までの配信でもこの告知配信でも、避けていた曲はリベルタンゴくらいなのでは?それとオリジナル曲の「そして鐘が鳴る」。

あ、そういういらないツッコミはしないんでしたね、失礼しました。

 

《どうでもいい視覚的な情報》

どうでもいいと言いつつ、とりあえず備忘録として貼っておく。

 

今回告知配信ではスーツを着用されてて、見ててこちらも身が引き締まる思いでした。

青いスーツはたしか2022年の『日本遺産物語コンサート』で着られていたのでツイートを引用させていただきました。ついでにインナーのチェックのシャツも同じでしょうか。

ネクタイだけ今回ストライプになっててちょっと違いますね。

ほんとどうでもいいですが、このスーツぴったりござさんに合ってて、ピアノ弾いてて窮屈かもわかりませんけど見てて似合ってるので自分は大好きなのでいちいちメモ代わりに書いている。

このスラっとしたスーツが似合うのにいったいどこからあのピアノ演奏するエネルギーが湧いてくるんだといつも不思議に思うところではある。

 

2nd ソロアルバム

箝口令とは

実質、レコーディングの話はこのあたりですでに匂わせ発言が繰り返されていた。

ござさん、ここでレコーディングってはっきり言っちゃってるじゃん( ´∀` )wwww

もう9割9分アルバム収録ってわかってましたが公式発表がなかったのでそれに触れるのは避けてました、というか自分はこの部屋で去年から休止中だったので筆が止まってたのでした。

その後の配信でのトークによると、レコーディングは四日間にわたったとのこと。

なんかこう、ござさんは、純粋にピアノを練習して演奏し、ファンはそれを鑑賞するというコンテンツに集約されているので、ファンは見てる景色の視界が明瞭で進む方向もわかってるから安心して推せるというのはある。

 

そのとき聴いてて面白いのは、しかしファンとしてはすぐ飽きる。

いわゆるすぐに廃れて捨てられるファストファッションみたいなものである。消費され淘汰されることを前提としたニーズ、安価で使いやすいデザイン、すぐ次に移ろっていく購買者の嗜好。

 

というわけで、ござさんにおかれましてはじっくり納得するまで楽曲に向かい合っていただけたのではないか?と、ファンとしては思うわけです。

1st アルバムの「EnVision」がいままでのレパートリーや投稿動画をアレンジして演奏されていたので、その後出る投稿動画はアルバムを意識されてるのかなあ、というようなスタジオ収録の完成された演奏が多かった。ストリートピアノ動画も二つ投稿されていましたのでそれはそれで嬉しかったのですが。

研究者が史料の学術的な面を研究したり、科学的にあらゆる可能性を否定せずに追求したり……という、楽曲に対して妥協せず、限界まで攻めた姿勢を崩さないござさんのスタイル。

聴いてて飽きないのはそれが理由かもしれない。

綱渡りするようなぎりぎりの線上をかろうじて踏み外すことなく持ちこたえながら、バランスを保って渡る。

ござさんの音使いにはそのような常に挑戦する姿勢を感じる。

平凡な日常なんてつまらない。

ござさんの音楽アンテナをもってすれば原曲を原曲通りにピアノで弾くことは可能だ。

しかしそこから踏み込める限界線まで鋭利に切り込んだ、常に冒険者のスタンスを崩さないござさんのアレンジは聴いてて心地よいスリルを味わえる。変化のない日常に刺激を与えてくれる。

音楽の深い森には果てしない未踏の地が広がるが、その闇を切り裂いてござさんの太刀筋が翻り、鋭く閃く。

ござさんは自称17才だが、言い得て妙である。

自我の無い子供でもないが完全に自立しきっていない、まだ未来に無限の可能性を感じている17才。実年齢は存じませんけど、ござさんのつくる音楽には全てそういう若々しさと、真実がどうなのかを恐れない勢いと潔さがある。しかし、演奏は確固たる円熟の域に達し、老成されたとさえいえる技術と圧倒的な知識に裏打ちされたもの。

有無を言わせない説得力をもつ演奏の前に聴衆はただ感服して聴き入るのみである。

 

いつだってござさんのピアノは聴く人にえもいわれぬ充足感を与えてくれるが、ござさんの中でも納得のアレンジで演奏されたという意味で、このCD収録はファン垂涎の演奏と言っていいだろう。

 

下記に挙げる収録曲から、ござさんのフライング。ちっとも隠せていませんwwwwこの時点で、レコーディング?CD??トロイメライ入るの???ってファンはざわついておりましたがまだ未確認情報に過ぎませんでしたので。

(※トロイメライの演奏)

 

ちなみにござさんのピアノは、ござさんが構築する音楽の世界を鍵盤で表現したに過ぎない。ピアノ以外にも無限にフィールドは広がっている。その一郭をピアノというツールで切り取ったに過ぎないのだ。CDでの表現が全てのように記述すると、現実との甚大な齟齬を生み誤解を与えるので、ござさんの描く音楽シーンをほかにも貼っておく。

ござさんの音楽活動は全て実験室、ファンはその試行錯誤の過程を一緒に迷いながら跡をたどっている。

 

ござさんのシンセにはプリセットされた内臓音源の多様なものがあるが、また市販で音源をダウンロードされて使われてるらしい。(そういうのは楽器演奏をサンプリング録音して鍵盤に対応させて再生できるようにしてるようだ)

そこでクラリネット音源をてにいれたからって、中学の部活でクラリネットされてたからって、このレベルでわずかな息遣いの揺らぎからアーティキュレーションのリアルさまでサラッと再現、感性で遊ぶってこういうことでしょうか。

 

こっちはJAZZアドリブ。JAZZは奏者の数だけアドリブが存在すると言っても過言ではない。そこで耳コピしたからってセッションのサウンドを楽器ごとに完コピ。すごい。このテナーサックスのリアリティが、本物よりも本物に迫ってる。

 

こっちもセッション。一人ドラムが………といいつつ絶対楽しんでるに違いない。

 

 

話が横に逸れた。

さて、CDのお取り扱い店は下記のようになっており、それぞれ通販または店頭販売で対応されている。それぞれに特典が異なっているのでご確認ください。特典の在庫は、多分予約の先着順です。

Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CV52P75H/

楽天楽天ブックス: 【楽天ブックス限定先着特典】Fantasia(L判ブロマイド) - ござ - 4582552480425 : CD

セブンネット:https://7net.omni7.jp/detail/1301548469

TOWER RECORDSござ/Fantasia

HMVFantasia : ござ | HMV&BOOKS online - EM-37

 

《収録内容》
※曲順未定
Chopin Syndrome
幻想即興曲
悲愴
リベルタンゴ
ミックスナッツ
森の出来事
大きな古時計
空の陰影
そして鐘が鳴る
Tank!
トロイメライ

(Amazonのサイトより)

 

 

トロイメライから読み解くござさんアレンジの謎

さて、再びトロイメライのツイートを貼る。なぜならこの曲はござさんのアレンジの歴史そのものでもあるからだ。

 

つまりこのアレンジが原型と思われる。

 

さらに楽譜も販売されている。ちなみにEnVisionアルバムからの楽譜集よりずっと前に、ござさんが仕事の傍らまとめられた楽譜である。ほんと仕事の傍らとは思えない世界観の究めっぷりですごいですね………(語彙力)

【楽譜】トロイメライ / シューマン ジャズバラードアレンジ / ロベルト・シューマン (ピアノソロ / 中級) - Piascore 楽譜ストア

 

そしてそれらの、以前まとめられた楽譜は13編もある。どれもござさんのこだわりと思いが詰まった珠玉のアレンジばかり。いかがですか。

 

そこで、これらのアレンジは一見優しそうに見えてものすごく難しい。自分が素人だからなのもあるがこれよりずっと取り掛かりやすい月刊ピアノの楽譜でさえ、自分はちっとも習得できない。

なぜなのか?(そりゃ君が素人でヘタだからやろwwという野次馬のツッコミは放置します)

 

指運びが難しい。

リズムも難解。

でもそれだけではなくて、上のほうでも述べたがござさんが操る和音が難しいのだと思う。ピアノを習ってきた初期の教本でおなじみの和音たちは全く影をひそめて、「なんでそこでそう来る??そこはこうやろ???」っていう展開ばかりで、脳がバグるというか本能的に拒否ってる気がする。

「それはクラシックの定番展開をイメージしてるからやで、ござさんの使うのはJAZZの和音やから展開がまた違うんやでwww」

というツッコミもありそうだが、でもJAZZアレンジにしても、YoutubeとかCDで聴くスタンダードJAZZの演奏とは何かが違う。

何が違うってそれはわかんない。それがわかってたらとっくに自分もJAZZアレンジ弾けてますよ、わかんないので困ってるんだ。

そこでだ、界隈の某有識者のHさんから助言をいただいて推測してみたが、

「(いろいろな曲をJAZZアレンジに読み替えて)さらにござさんならではの和音展開にしてるからこそ、耳慣れない独特の響きになってて、それこそが魅力」

なのだそうだ。

ふうん??????

だから、ぱっと見では覚えられないのか。

 

この独特な和音使いこそ、

ござさんのピアノの特色。

ござさんのピアノを聴く醍醐味。

「ござさんのピアノでないとなんか違うな?」ってなって満足できなくなる要因の、正体ということか。

聴衆を引き寄せる問答無用の説得力。

惹きつけて離さない強靭な引力。

すると、このござさんならではの和音使いは、ござさんが広い芸術の海を泳ぎ切っていくなかでの切り札になるだろう。伝家の宝刀ともいう。

 

ござさんの演奏するピアノ、ござさんの編集された楽譜から、ありがちな和音が聞こえて来たことが未だかつてあっただろうか、いやない(反語)。

そういう意味ではクラシック曲を弾いていてもなんらかの手心を加えてござさんふうに読み替えている気がする(詳しくは知らないけど)。

ほんと全く油断ならない。

 

 

大きな古時計の歴史

今回のアルバム曲の中で、トロイメライと並んでござさんのアレンジの歴史をいろどってきた曲に、大きな古時計がある。

そしてまたしても黙っていることができないござさん。ほんと、箝口令とは……?

 

このアレンジもまた遡ればここに行き当たる。そして楽譜もこのときすでに発売されている。この時代、すでにござさんの描く音楽の世界は大体完成されていたということもできる。

 

さらにござさんの独特な和音についての解説動画。

ちょっと疑問なんですが、自分はピアノ習ってて小学六年でやめましたけど、それまでにこういう内声とか和音の工夫って言う指導はピアノ教室ではやらなかったんですけど???個人のピアノ教室へ通ってましたけどね、バイエルとかソナタとかソナチネツェルニー等の教本しかやらなかったんですけどね。この和音を工夫して自分なりに曲の表現を変えるとかいうことはやらなかったし、知識を仕入れとけばござさんのいうアレンジを弾くのに今ここまで悩むこともなかったんですけど。

なんでなん?(わからない)

 

その後もござさんからは月刊ピアノの連載シリーズで三つのアレンジが提唱されている。それぞれに平易で短く素人でも挑戦できるアレンジとなっている。

月刊Piano 2020年10月号「ござさんの All that Goza's Piano Arrange」第10回 大きな古時計(ラヴェル風) - YouTube

月刊Piano 2020年11月号「ござさんの All that Goza's Piano Arrange」第11回 大きな古時計(ジャズ・バラード風) - YouTube

月刊Piano 2020年12月号「ござさんの All that Goza's Piano Arrange」第12回 大きな古時計(80年代AOR風) - YouTube

 

また、現在毎週の生配信の冒頭ムービーのBGMとしてござさんの演奏が毎回流れてるのは皆さま周知のことと存じます。

おまけで、ストピ動画にも大きな古時計アレンジがある。この動画の前半が、ござさんによるアレンジ演奏である。この動画が好きすぎて、自分はもしこの動画がカセットテープだったら間違いなく擦り切れていたであろう回数を聴き倒して、もうアレンジの展開も全部覚えてしまったくらい、大好きである。

【丸サ】演奏中にまさかの飛び入り!?けいちゃん&瀬戸一王さんと夢の連弾!!【大きな古時計】 - YouTube

 

編曲が古典的または有名な童謡とかが多いのは、童謡や民謡は主題が明快で、モチーフとしてアレンジしやすいとかいうことをいつかござさんは語られていた気がする。

それにだれでも聴けば知ってる曲で、挑戦しやすいこともあるだろう。

ござさんファンなら知らない人はいないであろう、ござさんと共に歩んできたアレンジがこのたびアルバムに収録されることになり、(いや自分は弾けないけど)感無量です。

ござさんのレパートリーが幅広すぎて、最初のアルバムEnVisionの曲を選ぶにあたって絶対悩まれたと思うんですね。でもこうして足跡を新たにされていくことで、ファンもまたござさんの活動をリアルタイムで追うことができてファン冥利に尽きる。

 

 

ござさんの詩的な世界

ござさんの作りだす独特な世界でもうひとつ特筆すべきは、言葉選びだろうか。ござさんの使う言語はピアノでありリハモというかアレンジ言語なので、日本語は第二言語だと思いますけど、曲の題名につけられる言葉が独創性にあふれてて、どんな曲だろう?って色々と想像が広がる。

 

まず最初にござの日ライブを開催するにあたり、アー写のロケ地に選んだのが旧古河邸っていう時点で独特のこだわりを感じる。

( ↓ この背景が旧古河邸)

 

※ついでに、アー写撮影時に収録したと思われるYoutube動画。背景に映る旧華族の邸が、和洋折衷でレトロな落ち着いた雰囲気を醸し出している。

 

また、介護職を辞めた当時(2020年2月当初)、どこにでかけてたのかをたずねられて「六義園です」と答え、ぜろいちさんに「おじいちゃんだな」とツッコミを入れられていたのもいい思い出です。

そんな思い出はさておき。今はこのアー写も差し替えられておりますので。

 

なにげなく切り取られた風景も絵画的で情緒がある。この、花がつぼみのところに趣を感じるのが日本の古典文学に通じるものを感じるのです。

 

そしてござの日ライブで初めて東京以外(大阪)に行くものの観光せずトンボ返りしてこの都立植物園に行き、「観光してきました!!」とのたまってたのは置いといて。

ござさんの目に入るのは自然物というか静かに植物と対話してる感じがします。

 

ネコも登場してみたり。去年の京都での桜音夜の帰りと思われ、後日の振り返り配信によれば、京都から西に電車で向かってみたそうで、ネコと坂道で有名な文学作品ゆかりの町尾道だそうな。

 

ござさんの使う言語はピアノであることは間違いないとして、でも第二言語の日本語にも、奥ゆかしさと洗練された意識を感じる。

含蓄に富んだ言葉遣いによって何か深いところの意味を示唆しているような表現だ。

森の出来事

空の陰影

そして鐘が鳴る

(オリジナル曲の曲名)

 

また1stアルバムの「夕さり」という曲も、古語に由来を取った古風な言い回しだ。

夕さり - YouTube

 

その言葉は古く万葉集にも見える。

玉かぎる夕さり来ればさつ人の弓月が岳に霞たなびく

 

また、古今和歌集 紀貫之の和歌の詞書にも夕さりの語がある。

雷鳴り(かんなり)の壺にめしたりける日、おほみきなどたうべて、雨のいたくふりければ、夕さりまではべりて、まかり出でけるをりに、さかづきをとりて

秋はぎの花をば雨にぬらせども君をばましてをしとこそ思へ  貫之

 

 

また、アルバム名の「Fantasia」は音楽では幻想曲というほどの意味である。

ござさんの作る世界はすべて幻想の世界ということか。いやいや幻想即興曲という、収録曲にちなんだ題名なのだとは思いますが。


 

でも幻想曲という単語自体も、ござさんのアレンジを的確に表現しているのではと思います。

配信ではほぼ全部即興アレンジだし、同じ曲でもその時によってアレンジが違うのでファンは毎回新鮮な表現を楽しめるし、ござさんも配信での即興が一番アレンジがアグレッシブで攻めてる感がある。

そしてそれらの表現は楽譜に残らないから毎回一期一会の表現をござさんとファンで共有していることになる。そういう意味で幻想。