蜘蛛は二次元しか知らない

生き方を模索していた蜘蛛は自らの巣が「二面」からの獲物しか捕らえられない事に気がついた。
それから彼は腹で考えた。
そして一つの作品を作り上げる。
綺麗な三角錘を作り上げた。
彼はとても満足した。自らの作り上げた巣に感動すら覚えた。

彼の仲間は彼の巣を「下手」だと罵った。
自らの作品を罵られた彼は無いはずの胸に怒りを感じた。

彼は沢山作品を作り上げた。
巣の数が数えられなくなった頃に彼は気がついた。
巣を作る意味を忘れてしまった事に。
仲間達は二次元で満足している。こんなことに意味はなかったのだと悟った。

彼もまた二次元に戻った。
作品は全て自らの足で壊した。
仲間達はまた彼を迎え入れた。
小さな牙すら抜かれてしまった彼はもう作品を作らなかった。