ふるさと納税の趣旨をわかりやすく!
はじめに
ふるさと納税制度は税金も控除できて、豪華な返礼品ももらえてお得!
そういう認識が広まってもう随分経ちます。
近年では、「ふるさと納税制度の趣旨に反した過度な返礼品」や「返礼品競争が過激化」、「返礼品を寄付額の3割を上限へ」などといったニュースもよく見かけるようになりました。
100億円還元!?なんてニュースもありましたね。
そこで皆さん!
ふるさと納税の趣旨をご存知でしょうか!
なんとなくふるさと納税の趣旨を理解されている方は多いとは思いますが、
ここで改めてふるさと納税の趣旨についてちょっぴり詳しく見ていきましょう!
ふるさと納税の趣旨
現在の日本では、それぞれの地方で生まれ育ち、そこから多くの人が都会に出て進学、就職するといった流れになっています。
つまり、幼少期等に手厚いサービスを地方の自治体から受けていたにも関わらず、実際に働き始め、税金を納めているのは都会の自治体という状態が顕著になっていました。
でも、「お世話になった自治体に恩返ししたい!」「なんらかの形で貢献したい!」
そういった思いをなんらかの形で実現できないか。
というところからふるさと納税制度の仕組みが検討され始めたのです。
また、上述の他にも、
- 地方は元気がなく、高齢者ばかりで活力が削がれているため、人、カネの流れを変えなければ!
- 地方からは、高校まで多額のコスト行政コストをかけたのに、成長した若者は出て行ってしまう。なんらかの還元ができる仕組みはないか。生涯を通じたバランスの中で受益と負担を考えていくべきではないか。といった意見も!
というところも、制度設立の問題提起として挙がっていたようです。
こうした問題提起から設立されたふるさと納税制度ですが、
そういえば特にふるさとに限らず寄付できてしまいますよね!?
あれ!?趣旨は何処へ!?と思った方もいらっしゃるかもしれません!
これには訳があるんです!
寄付先が自由である理由
実は寄付先が自由である理由の1つとして、ふるさとを特定するのが困難である点が挙げられるんです。
例えば、親の仕事の都合等で複数の都道府県で育った場合に、その自治体をふるさととするかの明確な基準を定めるのが困難だということかと思われます。
さらに、ふるさと納税研究会報告書(平成19年10月)によると、国は地方団体における自主的な努力を求めています。
つまり、地方団体が納税義務者から寄付を受けるためには、地方団体が、寄付を受けるに相応しい行政を展開していることが前提で、各地方団体は地域の魅力を高めるための継続的な努力、地域における望ましい政治・行政に向けたたゆまぬ経営改善努力を求めているのです。
そして納税者が数ある地方団体の中から、寄付したい団体を自由に選べるようにする事で、そういった努力している地方団体には寄付が集まり、地方団体間で健全な競争が行われることが期待されています。
だから寄付先は自由となっているのです!
趣旨から考える返礼品
さて、ここまで趣旨を見てきましたが、ここで返礼品のあり方について少し考察したいと思います。
健全な競争が行われることも期待されいているふるさと納税ですが、今や返礼品の豪華さ、還元率をウリとして寄付金を獲得する競争になっている部分があり、適切な競争が行われていません。
ちなみにふるさと納税研究会報告書によると、返礼品等によるふるさと納税制度の乱用は、制度を立ち上げる際にも懸念されており、一定の制度的措置を講ずる必要があるという意見もあったようですが、各地方団体の良識ある行動を期待することで留めています。
これは、特産品を返礼品とすることで、地域企業の活性化や、地域をよく知ってもらうことで、観光の活性化を通じ地域を元気にしたいという方法での活用の余地を残したかったからではないかと僕は考えています。
そう考えると、地元に関係のないものを返礼品としたりするのはあまり良くないような気がしますね。
なお、2019年度の税制改正案にようやく、地場産品以外を返礼品としないなどの規制が盛り込まれました。
まあ、趣旨から考えると当然の規制かと僕は思いますが。。。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
もっと詳細に見ていくといろんな課題があり、さまざまな思いが詰まってこの制度ができているのですが、今回はその辺りは割愛したいと思います!
(一つの記事にはきっと収まらない。笑)
返礼品等で一気に人気が出たふるさと納税ですが、
寄付をする側、される側共に、本来の趣旨を正しく理解した上で、制度運用を行っていけると、より良い制度になっていくのではないでしょうか。
では、今回はこの辺で。