給料を払ってくれないバイト先への賃金請求手順
つい先日まで、以前インターンしていた会社から給料が支払われなくて社長とバトルしていました。
私自身は期限通り払ってもらえなかったのは二回目で、一回目は派遣の登録アルバイト。これは派遣先の本部に直接電話したら後日支払われていました。
今回は働いていた先が社長一人で仕切っているようなベンチャーで、自宅勤務のパソコン作業だったのが非常にめんどくさかったです。社長には「働いていたことの証明をしろ」「言いがかりをつけるなら大学・内定先に連絡する」等何度も言われました笑
大学生だから何もできないだろうと舐め腐っているその態度が非常に気に食わなかったので、少額のことですが最後まで請求を続けたところ、払わせることができました。
同じように困っている学生の手助けになればと思い、私が行った手順を簡単ですが残しておこうと思います。
~賃金請求の手順~
1.情報収集をする
2.働いたこと、給与の支払いがないことの証明を用意する
3.直接勤務先に連絡して請求する
4.内容証明を送付する
5.労働基準監督署に相談し、是正勧告を行ってもらう
6.少額訴訟をする
~相談に乗ってくれる窓口~
①法テラス
無料で法律系の相談にのってくれるNPOのようなものです。
②東京都労働相談情報センター
東京都産業労働局の出先機関です。
http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/soudan-c/center/
③大学の相談窓口
学校によってはこういったトラブルのための相談窓口があるようです。ただ、大学が直接何かしてくれるわけではなく、法律の専門機関を紹介してくれるなどの相談にのってくれるだけなので、最後は自分でなんとかしなくてはいけません。
1.情報収集をする
個人によって事情が少しずつ違ってくると思うので、不明点や心配なことは前述の機関に相談してみましょう。
ただ、絶対に知っておいた方が良いこととして“賃金全額払いの原則”があります。これは簡単に言うと、”働いた分のお給料は絶対に払わないといけないよ”というものです。
(参考:http://www.mibarai.jp/chingin-gensoku/zengakubarai.html)
『忙しい時にやめたせいで損失が出ているから給料から差し引く。』
『辞め方が気に食わないから払えない。』
相手がこういっていても、強気で請求しましょう。これらの言い分は法律上認められていません。働いた給料から損失額(と相手が勝手に言っている金額)を差し引く事どころか、もしバイト生が社長から借金していたとしても賃金と貸付金を相殺するのは違反です。
全額払いの原則に違反した場合,使用者は,刑事罰として,30万円以下の刑罰を科される場合があります(労働基準法120条1号)。強気で請求してください。
2.働いたこと、給与の支払いがないことの証明を用意する
契約書、出勤簿・タイムカード(これらがない場合は業務指示のメールや業務報告のメール)、など、出来るだけ“働いていたこと”の証拠を集めましょう。過去に給料が払われていたら銀行に行って入出金明細もとってください。
また、先に勤務先にメールや電話をして、誘導して“働いていたことを認識している”証拠を残すのも一つの手です。『(働いていたことは認めているけど)~~の理由で払えない』等言わせればこっちの勝ちです。電話なら内容が残るよう必ず録音しておきましょう。
私の場合は毎月提出していたexcelの活動表と、facebookスレッドで業務報告していたスクリーンショット、一度振り込み担当者が「支払います」と言ってくれたメール(その後社長が出てきていちゃもんをつけてややこしくなった。)などがありました。
3.直接勤務先に連絡して請求する
2で集めた「働いた証拠」を添付してメールを送り、返信がなければ電話もしましょう。メールは形として残りますが、電話は前述のとおり必ず録音しておきましょう。脅される場合もありますが、逆にそれを訴える材料として残しておきましょう。
請求するときは、「お支払いいただけない場合は内容証明を貴社に送付し、労働基準監督署に相談させていただきます。」と今後のアクションを一言添えておくと良いと思います。
4.内容証明郵便を送付する
3でも対応してもらえなかった場合は、企業に内容証明を送付しましょう。
内相証明郵便とは?
内容証明郵便とは、「誰が、誰宛てに、いつ、どんな内容の手紙を出したか」ということを、郵便局(郵便事業株式会社)が公的に証明してくれる郵便です。特に書いた内容に関して正しいか証明したり法的拘束力があるものではありませんが、自分が本気だということが相手に伝わるのでビビッて支払ってくれる可能性があること(笑)、今後の5・6のプロセスで必要な「自分が主張していた内容の証拠」として残すことができるということがあります。(ただ、この内容証明送るのに千円ちょっとかかります。内容証明にかかった費用を合わせて企業に請求してもいいと思いますが、私は結局妥協して自己負担しました。)
内容証明の書き方
特別用意するものはないのですが、字数制限など書き方に若干の決まりがあります。また、3枚全く同じものを用意しなくてはいけません。郵便局のHPやネットで調べればすぐ出てくるので、確認しながら作成しましょう。
参考:http://www7.plala.or.jp/daikou/naiyou/
※企業の住所が分からない時…
当然ですが住所が分からないと内容証明が遅れません。いろんなサイトの相談を見てると、なぜか会社所在地が分からないことが時々あるみたいです。税金をきちんと納めている企業ならデータが必ずあります、企業サイトにも載ってない時は相手のメールの署名を確認したり、帝国データバンクなどのデータベースで検索したりしてください。
※企業が倒産している場合…
勤務先会社が「倒産」して賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、独立行政法人労働者健康福祉機構が勤務先会社に代わって賃金を支払う『未払賃金立替払制度』というものがあります。一定の条件を満たしている必要があり、早目に手続をとらないと立替払いが受けられないなど色々制限はありますが、該当する人は厚生労働省のHP(http://www.mhlw.go.jp/)で確認してください。
内容証明を送ったら
内容証明郵便を送付した後、企業にこんな感じでメールを入れておきましょう
ちなみにこれは私が実際に送ったメールで、これで対応してもらえなかったら本当に上述の内容を行う予定でした。
しかしこのメールを送った後
チープな脅し文句とともに振込が完了していました。
なのでこの後のプロセスは実際に私は行っていません。これ以降は情報収集で得た知識のみですが、これでも払ってもらえない人のために書いておこうと思います。
5.労働基準監督署に相談し、是正勧告を行ってもらう
労働基準監督署に、2で集めた証拠、3で催促した履歴、4で送った内容証明を持って相談しましょう。労基法に違反していると労働基準監督署が判断すると、企業に是正勧告を行ってくれます。メリットとしては費用が無料であることがありますが、必ずしも労基が動いてくれるとは限らない(証拠が不十分など)ことや、是正勧告に法的義務がない(従わない企業は相当やばいと思いますが…)ことなどのデメリットもあります。
あっせん制度など、第三者機関が間に入ってくれる制度もあるようです。手続きが迅速で費用がかからないなどのメリットがあるので、利用を検討する場合は、近くの労働基準監督署、労働委員会等に相談してください。
参考:http://yokoyalp.jp/newpage2.html
6.少額訴訟をする
ここまでしても動いてくれないと、1万円以下で出来て1日で終わる手ごろな裁判、
少額訴訟という手があります。
少額訴訟とは?
60万円以下の金銭の支払を求める場合に限り,利用することができる簡単な裁判です。
少額訴訟には弁護士・司法書士・行政書士を立てる必要はなく、自分で行うことができます。(進め方は簡易裁判所の裁判官や書記官がアドバイスしてくれます。)
また、原則として審理は1回でその日のうちに判決が下されるので、時間的にも負担は軽く済みます。
印紙などが必要なので裁判には5千円から1万円ほどの費用がかかってしまいますが、訴状の中で合わせて企業に請求しちゃいましょう(^ω^)
企業にとっては訴訟歴が残ることから、必ず避けたいことだと思います。
訴状を送った時点でやばいな、と思って支払ってくれると期待したいところです…
用意しなくてはいけない書類、手順などは裁判所や法律事務所のHPでしっかり確認してください。
参考サイト:
意外と簡単!お金を払わない相手から少額訴訟で債権回収する方法
http://best-legal.jp/small-claims-1098
こちらにはリスク等がまとめられています
やってみたらやばすぎた少額訴訟の落とし穴
http://rucaro.hatenablog.com/entry/2015/03/21/200000
以上です。
簡単なまとめになってしまいましたが、少しでも役立てば嬉しいです!
頑張ってください。