インクルーシブ・デザインのワークショップに参加してプロダクト開発の悩みが解消しました

(2013年6月7日執筆)

インクルーシブデザインとは何か

私が「インクルーシブデザイン」という言葉を知り、興味を持ったのは、医療と暮らしをテーマに活動している塩崎望さんに話を聞いたときでした。そしてついに、彼女が開催しているワークショップに参加することができました。 インクルーシブ・デザインの解説をする塩崎さん

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書評『鉄則! 企画書は「1枚」にまとめよ』とエレベーターピッチ成功の秘訣について

(2013年3月10日執筆)

オフィスの共用スペースにあったこの本を衝動読みしていしまいました。著者のライリーさんはある大富豪に50ページ以上の企画書を出したところ全く読んでもらえず、かわりにその大富豪に「1ページに企画書をまとめる方法」を教わりました。そのノウハウが書かれた本です。

 

鉄則!企画書は「1枚」にまとめよ
パトリック・G. ライリー
CCCメディアハウス
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伝わる企画書のためのノウハウが標準化されている

この本がいいなと思ったのは、ノウハウがどんな用途でもだれにでも使えるように標準化されていることです。 具体的には、

  • 企画書のフォーマットがわかりやすいこと
  • そのフォーマットの使い方が実例を交えて説明されていること
  • 企画を売り込む方法がパターン化されていること

です。 そのフォーマットとは、以下のものです。

  • 【タイトル】簡潔な言葉で企画を凝縮
  • 【サブタイトル】タイトルに色彩を加え、説明を補足
  • 【目的】読み手のニーズを意識し、一番重要な目的を一つだけ
  • 【サブ目的】説得力を増すため
  • 【理由】プロジェクトを進めるべき理由、それが実行可能である理由。熱い思いをアピール
  • 【予算】重要な数字だけを具体的に
  • 【現状】読み手に現状を把握してもらい、情熱を伝える
  • 【要望】相手に要求する行動をストレートに

これらすべての項目について、なぜそれが必要なのか、なぜその順番なのかが実例を交えて丁寧に解説されています。このフォーマットの使い方の真髄が書かれているわけです。

大切なのは読み手の立場、簡潔さ、情熱

この本で繰り返し主張されてることは、

  • 読み手の立場に立って書く
  • 簡潔にストレートに書く
  • 情熱を伝える

の3点です。これらは企画書を書いてそれを元に目的を達成、つまり誰かを説得して何かをしてもらうために欠かせないことです。

そのほか、企画書を書く準備段階としてのリサーチ、情報収集と整理方法が丁寧に解説されています。事前に徹底的に情報を集める、わかっていることとわかっていないことをリストアップし、わかっていないことについてはすべて調べ尽くす。このように膨大な情報収集をした後に、要らない情報を捨てて絞り込む作業です。

また、売り込みの具体的な方法や断られたり判断を留保されたりした時にどのように行動すればよいのかが、パターン化されて書かれている点が実用的だと思いました。

フォーマットだけでうまくいくのか

わたしが知っている限りでは、コンテンツ業界では企画書を1ページで収めることは常識となっています。ただ、「1ページに収める」ことだけを実践して「相手を説得するツール」としての要件を満たしていないものも少なくないと感じています。1枚におさめるために字を細かくしてびっしり詰め込んでいたり、熱意が伝わってくるけど熱い表現をじっくり「読み解いて」やっと目的が分かるような企画書です。

これは、フォーマットやテンプレートだけが共有されて、その使い方の真髄が共有されなかったからだと思います。この本がおすすめなのは、フォーマットだけでなくそれをどのように活用して目的を達成するかをカバーしているからです。

60秒プレゼン、エレベーターピッチ

「フォーマットの使い方」が大切なことについて、Startup Weekend というイベントに参加した時の体験をもとにお話します。このイベントでは、1人あたり60秒の持ち時間で自分のアイデアについてプレゼンをします。自分のアイデアに賛同しイベント終了までチームメンバーとして協力してくれる人を集めることが目的です。

イベントでは事前に次のような構成のフォーマットを教えてくれました。 Captura de Tela 2013-03-09 às 21.58.58 出典: http://athensoh.startupweekend.org/2012/03/how-to-pitch-selling-your-idea-in-60-seconds-2/ 自己紹介→課題→解決法→何がほしいか、という構成です。これはこの本に書かれているフォーマットと似ていますね。

最初の失敗

私はこのフォーマットどおりに構成して「いつでもどこでも語学学習ができるサービス」についてのプレゼンをしましたが、ほとんど誰の印象に残ることもなく落選しました。

  • 【自己紹介】エンジニアをしていますUmioです。
  • 【課題】空き時間に語学学習をしたいと思いませんか?それから、効率よく学習したくないですか?
  • 【解決法】位置情報に応じた教材が自動的に選ばれます。例えばカフェにいたら、注文の例文とか。
  • 【何がほしいか】位置情報、データマイニングが得意なエンジニアとUIデザイナーの方と一緒にやりたいです。

このプレゼンが聞き手に刺さらなかったのは、シンプルさに欠けることが原因でした。課題が空き時間の活用と効率と2つも盛り込まれていました。

大きかったのは、プレゼンのあとLean Startup Japan の和波さんに頂いたアドバイスでした。

自分の名前とか仕事じゃなく課題に関連するような自己紹介を。

60秒間で話を聞いてもらうには、最初の5秒くらいでで関心を持ってもらう必要があります。聞き手は私が何者かということではなく、どんな課題を解決しようとしているのかを知りたいのです。だから、最も大切なトピック「課題」への導入としての自己紹介が必要なのです。

再び挑戦

2回目の挑戦で「お菓子作りのコツを教えあうサービス」をプレゼンした時は無事選ばれ、6人もの仲間に協力してもらうことができました。

  • 【自己紹介】最近お菓子づくりを始めたUmioです。お菓子づくり楽しいよね!
  • 【課題】レシピを見てレシピ通りにお菓子を作ってみたけど、うまくいきませんでした。みなさんもこんな経験ないですか?
  • 【解決法】レシピに載っていないコツを動画や写真などで教えあるうことで、お菓子づくりがうまくなるようになります。
  • 【何がほしいか】エンジニア、デザイナーの仲間と一緒にやりたいです。

大切なのはフォーマットの使い方

ここで強調したいのは、フォーマットどおりにやってもうまく行かなかったけど、フォーマットに書かれていない知恵をアドバイスしてもらったことにより「伝わるプレゼン」ができたということです。フォーマットと同じように、フォーマットの使い方に関する知恵が必要なのです。

「あなたにとって幸せな情景は何ですか?」クリストファー・アレグザンダーに学ぶ顧客開発プロセス

(2012年10月18日執筆) 

アジャイル」という手法でアプリケーションを開発しています。まずプロトタイプを作りユーザに使ってもらって、ユーザの声を聴きながら毎日改良を重ねています。

これまで、ユーザの声を聴いて本当にユーザがほしいものを知ることはとても大切だとはわかっていたのですが、具体的にどうやってやっていいのかはよくわかっていませんでした。

でも、建築家クリストファー・アレグザンダーについてのドキュメンタリー番組を見る機会があって、その答えがわかりました。

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BEATセミナー「eメンタリングが支える学びの場づくり」を受講して

(2012年9月2日執筆) 現在、おもにコミュニティづくり、コミュニティをベースとしたWebサービスに取り組んでいることもあって、BEAT(東京大学大学院情報学環ベネッセ先端教育技術学講座)セミナー安心して学べるソーシャルメディア環境」に行って来ました。

◯ 講演1「eメンタリングが支える学びの場づくり」松田岳士さん(島根大学・教育開発センター/准教授)

メンター、メンタリング」をキーワードに、オンラインの学びの場における人的なサポートの重要性や体制作りについてのお話、教育現場での実践がベースなので、分かりやすく説得力がありました。

Beat seminar 2012-09-01

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しくみが行動をガイドする: StackOverflowのコミュニティ運営

(2012年7月25日執筆)

渋谷のカフェで打ち合わせをしていたところ、来日中のStackOverflow(エンジニア向けの良質なQ&Aサイト)の方々と偶然出会い、下北沢オープンソースカフェでの講演(2012-07-23)に行く事になりました。

StackExchangePresentationAtOSSCafe

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ペアプログラミングの手法から学ぶこと

(2008年10月7日執筆)

『ペア・プログラミング エンジニアとしての指南書』から、ペアプログラミングをうまく進めるためのコツをまとめたものを書きます。この「コツ」はソフトウェア開発だけでなく、仕事や家庭でのコミュニケーションにも役に立つと感じたのでメモっておきます。

 

ペアプログラミング―エンジニアとしての指南書
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