シャニアニとミリアニを見たので3Dセルルックアニメに対する所感をまとめる
前書き
シャニアニとミリアニを全部見たので3Dアニメに対する所感をまとめます。シナリオとかの話はしません。
結論から言えばプリレンダリングのアニメでセルルックの3Dアニメを使うのはメリットよりデメリットの方が大きいんじゃないかなと思いました。(もちろん意見は人それぞれだと思いますが)
3Dセルルックアニメのデメリット
シャニアニ・ミリアニを見て感じた3Dセルルックアニメのデメリットをあげていきます
- 情報量のコントロールが出来ない
これは3Dセルルックアニメゆえの難しさだと思うのですが、フォトリアルな3Dの場合はアップになると現実と同じように質感などが見えるようになって情報量が増えるのに対して、セルルックだと引きで見ていた画とそこまで変わらない場合が多いです。(むしろ淡白になる場合もある)
そのため髪や衣装の模様などが割と細かく描かれた寄りに耐えられるモデル作りがされているなと感じました。ただこれが逆に引きでみるとうるさく見えるシーンがあります。
例としては灯織の後ろ髪などですが明らかにそこだけ線が多くてそこだけ目立ってしまいます。
【シャニアニ】アニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」劇場本予告<第2章>|10月27日(金)より第1章 劇場先行上映!【アイドルマスター】 - YouTubeより
- 髪型の変更などができない
これはアニメの内容によっては特に問題ない部分だとは思うのですが、ミリアニもシャニアニもみんなで合宿をするようなシーンが有りました。その際に髪を結んだり髪留めをつけているアイドルがそのまま就寝しようとしているのは流石に演出ではなく、技術的な問題のせいだと思います。
明らかに技術的な問題による嘘は没入感を損ないます。
またミリアニ4話の雨のシーンでの嘘っぽさ(服や髪の濡れが表現できない)などもモデルが固定だからゆえの問題だと思います。
シャニアニ2話などでは別モデルを利用して髪が貼り付くのを表現していましたが、3Dだとあれが限界なのかなという感じでした。
乱れた髪や雨で濡れたシーンの表現は一気に情報量が増えて、印象的なシーンを作ることができる演出だと思うので、そこで他のシーンと対して変わらない画が続くのは物足りなく感じました。
例としてグリッドマンユニバースの予告編サムネにもなってる六花のシーンは髪の乱れで一気に情報量が増えて記憶に残るシーンになっていたと思います。
- 共通衣装のコピペ感
これもアイドルアニメゆえの問題な気はするのですが、ミリアニ・シャニアニのレッスン着でアイドルが集まるシーンで、同じシワがついた同じ服のアイドルが並ぶと流石にコピペ感が出るなと思ってしまいました。
【シャニアニ】アニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」劇場本予告<第3章>|11月24日(金)より第2章 劇場先行上映!【アイドルマスター】 - YouTube
より
特にシャニアニでレッスンの時は全員同じTシャツにジャージの下だったのが、夕食を作るシーンではenza版の立ち絵のようにジャージの上を羽織るなど全員同じに見えないようになっていたので、なんで全員並ぶレッスンのときだけ同じ衣装並べるんだ……となってしまいました。(多分夏のシーンだからだとは思いますが)
- 熱の伝えにくさ
手描きアニメでよくあるんですけど、このシーン気合入ってるな~!!というシーンが3Dだと難しい気がしました。
茜ちゃんのモーションとか、当然ライブシーンとかに気合が入ってることは分かるのですが、高クオリティのモデルが常に動いているからこそメリハリがつきにくいように感じてしまいました。むしろ静止画のシーンが3Dなのに止め絵なのか……という風に思うことがありました。
普通のアニメだと画と動きの2つでメリハリがつけられるのに対して、3Dだと画が固定な分、動きだけでメリハリをつけなければいけないため演出が難しいんだろうなと思います。
例えばアニマスの約束のシーンなどはダンスが激しいとかカメラワークが凄いといった分かりやすい動きは少ないですが、画と動きによる表情の魅せ方と変化で印象的なシーンになっていたと思います。
似たようなシーンとしてミリアニの10話があると思うのですが、静香の歌に合わせて翼が生えて羽が降ってくる演出という形でメリハリをつけていて3Dで印象的なシーンを作ろうとするとどうしてもこういった派手な演出で魅せる形になってしまうのかなと思いました(これはこれで良かったとは思いますが)
この「動きでメリハリをつけないといけない」という部分は特にシャニアニの演出と食い合わせが悪かったように思います。
- 3Dだから良かった点が見つかりにくい
当たり前ですが、セルルックアニメは3Dを2Dアニメ風にしてます。
だからこそ「このシーンは3Dじゃなきゃ出来ないよな」というシーンが作りづらいと思います。
実際は2Dで描くのは超大変だけど3Dなら作りやすいシーンとかがあるでしょう。
ライブシーンとかでカメラゴリゴリ動かすのは絶対3Dの方が向いているでしょうし。
「でも他のアイマスアニメ手描きでライブ動いてたじゃん」
どうしても視聴者としてはこういった意識が頭の中に生まれてしまうので「3Dじゃなきゃ!」と思えなくなってしまいました。
細かく3Dのモーションを微調整していて~とか言われても、手描きアニメも細かく1枚ずつ描いてるしなと思ってしまいます。
あとがき
以上がシャニアニとミリアニを見て思った3Dセルルックアニメに対する所感です。
とはいえ実際これは3Dセルルックアニメだからという問題じゃない部分も結構あると思っています。
例えばサイスタMVとかプリキュアのEDを見て3Dセルルックアニメだからな~とかは全く思いません。
ギルティギアの3Dとかも「え?これ本当に3Dなの?」となるレベルだと思います。なんならこっちはリアルタイムレンダリングですしね。
ただ当たり前ですがそもそもMVだけだったり、ゲームだったりと1クールのアニメとは全然条件が違います。MVの中でびしょ濡れになるシーンや寝るシーンはないでしょうし、ゲーム内で同じ服装のキャラが何人も並ぶこともないでしょう。
また、わたしが感じたデメリットもコストをかければ寄りのモデルと引きのモデルを別にする(特撮だとアップ用のスーツとアクション用のスーツが別にあるみたいな)とか、髪型が違うモデルを作るとか(ミリシタのセカンドヘアスタイルみたいな)、いろんな方法で解決することは出来ます。
ただコストの観点で妥協されてるんだと思います。ただその妥協が分かりやすく見えてしまうのでなんだかな~という感じでした。
個人的に3Dの良さは
- 1度モデルを作ったら動かすコストはアニメを描くより低い
- アニメでは絶対不可能なリアルタイムレンダリングも可能
といった点だと思うのでロングスパンでの活動やMR・生配信・ゲームといったメディア向きでアニメでは良さを活かしきれないのではないのかなと思っています
(アニメが続いてロングスパンになればいいですね)
逆にアニメみたいなプリレンダリングをやるならセルルックよりもフォトリアルよりな方が3Dの良さが出る気がします。ゴジラ-1.0とか凄かったですしね。
以上